ブルアカ世界に、キーブレードそのものとして転生した件について   作:ニュームーン

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すみません、大変遅くなりました。
お待たせしました。


第十九話 魔法を撃ち合いました

「やああッ!!」

『■■■■──ッ!!?』

 

 私の銃が、テラー化したホシノ先輩を狙い撃つ。

 左手で連射して、強化した弾丸で行動を阻害する。

 

「……本当の、ホシノ先輩ならこんな弾丸へっちゃらだった」

 

 ホシノ先輩を足止めしている最中、離れた位置で、“もう一つの世界の私”がガトリングを準備しているのが見えた。

 そっか。あのシロコは、最近いつの間にか使わなくなった、アビドスのみんなの装備を使う頃のシロコなんだ。

 

『■■■■■■──ッ!!!!』

「ん、当たらない」

 

 ガトリングの一斉掃射。

 “広くなった視界”でタイミングがよく見えた私は、強化した脚力で大ジャンプする。

 そのままの勢いで、シロコに向かって右手のキーブレードを振り下ろす!! 

 

 けれど、振り下ろしたキーブレードは、シロコが取り出したホシノ先輩の盾に阻まれた。

 が……

 

「はああああああッ!!」

『──────!?』

 

 私は盾ごと、シロコを叩き潰した。

 強化した身体能力、キーブレードによる打撃なら、防がれた上で押し込む事も十分可能。

 

「……本当のシロコなら、この程度の動き簡単に捌いていた」

『■■──ッ!?』

 

 シロコが叩き潰された盾の裏から、アサルトライフルで反撃をしてくる。

 それをキーブレードを横に構えてガードする。

 

 そうしていると、真後ろにテラー化したホシノ先輩も近づいて来たのがで分かった。

 その場から、ホシノ先輩は何かを投げてくる……手榴弾だ!! 

 

 きっと、シロコの方しか見えていなかったのなら当たってたと思う……けれど、“広くなった視界”を持つ私にはバレバレ。

 私はタイミングを見計って、その場から離脱する。

 私と入れ替わりのようにやって来た手榴弾が丁度……爆発した。

 残ったシロコだけ、爆発に巻き込まれた形だ。

 

『■■■■──ッ!??』

『■■■■──ッ!!!』

 

「やっぱりあなた達は、私の知ってる二人と全然違う。もっと二人は強かった」

 

 そう言いながら、私はテラー化したホシノ先輩をキーブレードで斬り飛ばす。

 ホシノ先輩は、シロコと衝突して一緒に倒れ込む。大きな隙だ。

 

「そんな偽物のあなた達に……私は、負けない」

『『──────!!』』

「【ファイガ】ッ!!」

 

 そうしてその呪文と共に、初めてみる大きな火球がホシノ先輩とシロコに飛んでいって──爆発した。

 これが、“ガ級”の呪文の威力……!? 明らかに“ラ級”と全然違う!! 

 私は、ただ真っ直ぐ飛ばしただけの炎の火球が、今までのどんな技より強力だった事を実感した。

 

『『■■■■■■■■──ッ?!!』』

 

 私の呪文に当たった二人は炎に包まれて……倒れ込んだ。

 倒せた……! まずは二人に勝った! 

 

『──────!!』

「ん!?」

 

 そんな私に対して、闇の私が偽のキーブレードを振り下ろしてくる。

 それを横ステップで躱すと、追撃をせずに闇の私は倒れたホシノ先輩とシロコに近づいていく。

 助けに行った……いや、違う!! 

 

『──────』

「させない!! 【ファイガ】ッ!!」

 

 きっと、さっきの対策委員会のみんなのように、倒して糧にするつもりだ!! 

 私は、闇のシロコがやろうとしている事に気づいて、それを妨害する! 

 さっきと同様のサイズの火球が、闇の私に向かって──

 

『『ッ■■■■──ッ!!』』

「なっ?!」

 

 それを、倒れてた筈のホシノ先輩とシロコに防がれた。

 二人のそれぞれの盾を合わせ、並べた状態で完璧に防がれた。

 それでも火球の火力が高かったのか、元々再現度が低いのか、二人の盾は溶けるように壊れていく。

 

 けれど、問題はそこじゃ無い──

 

『──────』

『『■■■■──』』

 

 闇の私を庇ったホシノ先輩とシロコは、コクリと頷き合い、闇の私を見た。

 それを見た闇の私も頷き、両手をそれぞれ二人の肩に置く。

 その後、二人の体は崩壊して──闇の私に吸収された。

 

「──自分から、吸収された……!?」

 

 さっきのは、無理やり闇の私に吸収されたと言うより、明らかに自分達から納得したように吸収されていった。

 どう言う事……アビドスのみんなも、無理矢理吸収していた訳じゃなかったの? 

 一瞬の混乱が走る中……状況は大きく変わった。

 

『■■■■■■■■■──ッ!!!!』

 

「ぐうっ!!?」

 

 二人を吸収した、闇の私のオーラのようなものが更に強大化する!! 

 闇の私は、その状態でキーブレードの先を私に向けて──

 

『【ファイガ】』

 

「え──!?」

 

 今まで意味を持たない鳴き声しか発せなかったソレが、はっきりと意味の分かる言葉を口にした。

 その呪文とともに、“黒い炎”が私に襲い掛かる!! 

 

「ぐうううううッ!??」

 

 ギリギリ、ガードが間に合った……!! 

 青い光が見えなかったから、とっさの判断でキーブレードで防いだけど、成功だった。

 しかし威力が強大で、私は防いだ衝撃で数メートル後ろに押され込んでしまっていた。

 

「今度は、呪文まで使えるように……!?」

 

 さっきの黒い炎は、私の【ファイガ】と全く同等の規模だった。

 せっかく上級の魔法を使えるようになったのに、もう模倣された……!? 

 

「それもただの再現だ!! あくまで真似、魔法のような物を行なっているに過ぎない!! だが、今の強化状態のシロコと同等の身体能力、魔法能力があると思え!!」

 

 遠くから、リクのそのアドバイスが聞こえてくる。この魔法のようなものも、あくまで再現。

 けれど、私の使う魔法と同等規模の威力があるのは事実。

 正真正銘、今の私のコピーとなったんだ。闇の私は。

 

「これで今度こそ最後だ!! その状態のソイツを倒せば、試練は終わる! 正念場だ、シロコ!!」

「ん!!」

 

 その言葉に、私は元気よく返事をする。

 そうだ、これで最後だ。終わりが見えて来た。

 この闇の私に勝って、私は試練を乗り越える──!! 

 

「【エアロガ】ぁッ!!」

 

 私は、上級魔法の風を発生させる。

 狙った位置に、局所的な台風のような竜巻が発生する。

 おそらく巻き込まれたら、風の刃で大ダメージを受けるそれ──を、闇の私は回避していた。

 

「んん──ッ!?」

『──【ブリザガ】』

 

 簡単に回避された事を驚く暇も無く、今度は巨大な氷の塊が飛んでくる!? 

 避ける暇も無く、再度キーブレードのガードで防ぐが、また結構な距離を押し込まれる!! 

 

「ック!! 【ウォタガ】ッ!!」

『──【ウォタガ】』

 

 苦し紛れに、水の上級魔法を発動するけど、向こうも全く同じタイミングで放ってくる。

 互いに放った水球が空中でぶつかり合い、あたり一面にちょっとした津波が巻き起こる。

 膝下まで浸かるほどの大量の水が、ばしゃあっと広がった! 

 

「大洪水……! っ!?」

「──【サンダガ】」

「まずッ!?」

 

 一瞬気を取られていると、闇の私はいつの間にか高く飛び上がり、雷の上級魔法を放とうとしていた。

 この状態は、不味い──!? 

 私は無我夢中で、大きく後ろに浮かぶように全力で飛び上がり、離脱した。

 

 私のいた所を、周囲一帯大きな雷が降ってくる!! 

 そして、大量の水に塗れた地面を、そのまま通電してあたり一面に広がっていた! 

 あのまま水に入ったままだと、そのまま感電して終わっていただろう。私は空中で冷や汗を垂らした。

 

「この!! 【ファイガ】!!」

「──【ファイガ】」

 

 空中で互いに身動きが出来ない状態ならと、【ファイガ】を狙い撃つ。

 しかしそれも、同じ魔法を放たれて空中で相殺されてしまう。

 

 私たちは、既に水が引いた地面に距離を取って着地した……

 

 

 ☆★☆

 

「──当たらない。当たらないっ!! 攻撃魔法が、全然ヒットしない……!?」

 

 私は、だんだん焦りを感じていた。

 せっかく習得した上級魔法が、闇の私に全然通用しない。

 あれだけ憧れて、せっかく使えるようになったのに……私は歯痒い思いをした。

 当たれば、当たれば勝ちなのに! 全然当たらない……!! 

 せっかく強い魔法を覚えても、私には使いこなせない──? 

 

 そうして、だんだん絶望感が湧いてくる中……

 

「シロコ」

「っ! リク……」

 

 いつの間にか、リクが近くまでやって来ていた。

 そうして、私の肩をポンっと叩き……

 

「──“魔法を、必殺技だと思い込むな”」

 

 そんな、アドバイスを貰った。

 

「え──?」

 

「魔法は、結局の所“攻撃手段の一つ”でしかない。例え“ガ級”と言えどだ。お前の世界はどうだ? キヴォトスでは、“銃弾を1発当てただけで勝敗が付くのか? ”」

「──ん、違う……」

 

 私は、リクのその言葉を聞いていくたびに、興奮していた頭が冷えて行くような感覚を感じていた。

 まるで客観的に、自分を見れて来たような感覚……

 

「それと一緒だ。キヴォトスでは、銃弾も何発も当てなくちゃ相手を倒せない。そもそもキングダムハーツでは、“一つ当たったら勝ちと言う攻撃は存在しない”。魔法も含めて全ての攻撃手段は、ただの選択肢の一つでしかない──」

 

 だが……と。

 

「“選択肢を、組み合わせる事は出来る”」

「組み合わせ──?」

「物理と魔法を組み合わせる。あるいは、さっき迄のシロコのように銃とキーブレードを組み合わせたり。あるいは、“複数の魔法を組み合わせ”たり──」

「じゃあ、上級魔法を組み合わせれば……!」

 

 いや、とリクはかぶりを振った。

 そうじゃ無い、と。

 

「それも選択肢の一つとしてありではあるだろう。けど今のシロコには、上級魔法の連続発動はまだ出来ない。定型発動しか出来ないからな」

「それじゃあ、どうすれば……」

「シロコ、お前はまだ強さにこだわりが捨て切れていないな」

 

 そう言って、リクは私を見つめて……

 

「──ココロとの遊びを思い出せ」

「ココロとの……? ──あっ」

 

 ……その言葉に、私はようやく思いついたような気がした。

 

「気がついたか。学校の掃除の時。あるいは、プールで遊んだ時。お前は、魔法を必殺技としては使ってなかった筈だ。ただ楽しんで、組み合わせて使っていた」

「……そう、そっか……」

「あの遊びは、無駄じゃない。やるべき事が見えたか?」

「……ん」

 

 私は、その言葉にコクリと頷いた。

 

「よし。なら追加でアドバイスだ。“魔法は、正式な呪文を唱えなくても使える”。燃えろ、とか、凍りつけ、とかな。イメージさえはっきりしていればいい。代わりに誤射に気を付けろよ。後は、慣れれば無言で“連続発動”も可能だ。……ここまで言えば、大丈夫だな?」

「ん、ありがとう」

「よし。なら見せてみろ! シロコの魔法を!!」

 

 そう言って、リクはバシッと私の背中を叩いてくれる。

 私はそれを受けて、前に飛び出して行った──

 

 ☆★☆

 

『────!!』

「これが最後の攻防! 決着を付ける!」

 

 私は、闇の私に向かって一気に距離を詰めて行く。

 その私に対して、闇の私は黒いキーブレードで狙いを定めて来た。

 

『【ファイガ】』

 

 巨大な黒い炎が、私に向かって真っ直ぐ飛んでくる。

 ガードしてもいいが、それだとまた距離を離されてしまう。ここは……

 

「【ウォタガ】!!」

『────!?』

 

 私は、水の上級魔法を放って撃ち落とす。

 ん、火には水。こんな当たり前な事も、さっきまで考える余裕が無かった。

 属性さえ勝っているなら、同じ上級魔法でも、簡単に勝ち越せる! 

 

 火を飲み込んだ私の水魔法は、そのまま闇の私に向かって飛んでいく。

 濡れるのが嫌だったのか、闇の私はそのまま飛び上がって避ける。

 ん、狙い通り……! 

 

「【ファイラ】!!」

 

 私は、炎の上級魔法では無く、中級魔法を放つ。

 ただし、“10発程”。

 

『────!??』

 

 その数に驚いたのか、闇の私は空中で動揺しているように見える。

 けれど、よく見たのか闇のシロコはそこから行動しない。

 ほとんどの魔法は扇状に放っている。火球が真っ直ぐにしか飛ばない事を考えると、全然当たらないと判断したのだろう。

 うん、それは正しい──上級魔法だったなら。

 

「集まれ!!」

 

 その掛け声とともに、扇状に開いて飛んで行った火球10発は──闇の私に向かって、収束した。

 

『────!??』

 

 その全ての火球を、闇の私はクリーンヒットする事になった。

 狙い通り。もともと私は、下級の魔法ならココロとの遊びで精密操作出来るくらいだった。

 真のキーブレード使いになった今、中級の魔法の軌道を変える事くらい朝飯前!! 

 

 そして、まだ終わらない!! 

 

「凍れ!! 【ブリザラ】!」

 

 私は、“濡れている”地面に向かって氷の魔法を放つ。

 上級魔法なら、ただ巨大な氷塊が飛んでいくだけだろう。しかし敢えて中級発動する事で、濡れている地面をあたり一面凍らせて行く。

 

 一瞬にして、小さなスケートリンクの完成だ。

 

『────?!!』

 

 着地した闇の私は、そのままスッテンコロリン。見事に転んでいた。

 動きは封じた! 今の内!! 

 

「【ファイガ】!!」

『──!! 【ウォタガ】!!』

 

 私の火の上級魔法に対して、今度は向こうが水の魔法で相殺しようとしてくる。

 ん、やっぱり学習速度が早い! すぐ真似してくる! でも……

 

「私が先にやったから、真似される事は予想してた!! 【エアロラ】!!」

『────!?』

 

 私は続け様、風の中級魔法を闇の私を包むように放つ。

 相殺して、私まで飛んでくる相手の水の魔法は、そのまま私の風に引き寄せられて水の竜巻となる。

 これで闇の私はずぶ濡れだ!! 

 

「今度はこっちが真似する番! 【サンダガ】ァッ!!」

 

 そうして、水の竜巻ごと──巨大な雷で全てを飲み込んだ。

 

『■■■■■■■■■──ッ??!!』

 

 闇の私は、甲高い叫び声を上げている。

 一気に大ダメージを与えられた!! 

 これでもう決める!! 

 

 私は闇のシロコに接近して、キーブレードを下から掬い上げるように振り上げる!! 

 闇の私はギリギリガードした……関係無い! そのまま飛ばす!! 

 

 そのままガードごと、闇の私を空中に打ち上げた!! 

 落ちてくるのを待ってるつもりは無い!! 

 

「【ファイラ】!! 【ブリザラ】!! 【ウォタラ】!! 一斉掃射!! こっちも!!」

 

 そうして、私は中級魔法を複数種類連打、同時に左手でのアサルトライフルで真上に連射。

 二刀流の攻撃を惜しみなく連打した。

 

『────?!』

 

 複数種類の魔法に対して、相殺魔法を選ぼうとしたのか闇の私は一瞬戸惑った。

 その戸惑いが致命的!! 全ての攻撃が闇の私に入る!! 

 

『■■■■■──ッ??!!』

「これ、で──」

 

 落ちて来た私に対して、キーブレードを大きく振りかぶる!! 

 

「終わりぃ────ッ!!」

 

『■■■■■■■■■──ッ??!!』

 

 そうして、銃を離して両手で持ったキーブレードを全力で振り抜き。

 闇の私を、全力で吹っ飛ばした。

 

 ドッドット……と、数度バウンドしながら飛んでいき。

 

 闇の私は、倒れたまま動かなくなった。

 

「────っ、はあああああああ!!!」

 

 私は思わず、決着がついた事を確信し、大いに雄叫びを上げていた……




決着。そして……
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