ブルアカ世界に、キーブレードそのものとして転生した件について 作:ニュームーン
第二話 拾われました
その日、私は砂漠の大オアシスに例の希少鉱物を掘りに来ていた。
ホシノ先輩が暴走して元に戻り、空を浮かぶ巨大な何かを撃退した後、綺麗なプラズマを出していったあの鉱物。
前回セリカと一緒に掘りに来て見つからなかったけど、もう一回再挑戦。
今回セリカはアルバイトで来れなかったから、今日は私一人だ。
ホシノ先輩のアドバイス通り今度は水着も持ってきた。誰もいないし、今から着替えるつもり。
それじゃあ早速……と着替えようとしたところ、何か違和感を感じた。
あたり一面を見渡してみると……大きなクレーターが出来ている箇所がある。
あそこは確か、例の巨大な何かの攻撃で大きく抉れた場所だった。……そこに、何かを感じとる。
私はなんとなくその違和感に従って、クレーターの底に近づいた。
……とりあえず、そのまま違和感に従って掘り進んでみる。
ザッシュザッシュ、とスコップを掘り進めていくと……ガキン、と何かにぶつかった。
「ん。何かある」
私は丁寧に周りを掘り進み、ぶつかった何かを取り出すと……
「──ん。何これ、鍵?」
……それは、巨大な鍵だった。
大きさは、1mは超えているだろうか?
全体的に銀色で、持ち手の部分が黄色の四角形で囲われている鍵。
鎖が付いていて、キーホルダーも付いている。
「──綺麗」
私はその鍵を表裏隅々まで見まわしていた。
重さはそこそこ。けれど作りはしっかりしてそう。
つい振り回したくなる長さであり、片手で持つのにしっくりくる感じだ。
「鍵があるってことは……宝箱もある?」
これだけ巨大な鍵だ。
それに合う錠、例えば大きな宝箱もあるのかもしれない。
もしかしたら、アビドスの借金を返せるくらいのお宝が入っているかも。その期待が湧いてくる。
ホシノ先輩が好きそうな宝探しだ。
「それに宝箱が無かったとしても、この鍵自体を売ればそれなりの値段になりそう……」
『売っちゃダメええええええええええッ!!???』
「っ!? ん……?」
私は大きな声が聞こえてきて、とっさにあたりを見渡した。
もしかしたら、この鍵の持ち主なのかもしれない。そう思って振り向いたが……誰もいない?
気のせい……? と思っていると……
『せっかく出れたのに!! 砂の中からやっと出れたんだから、大事にしてえええっ!!!』
「ん……んっ?」
私は続けて聞こえてきた声に耳を澄ます。
というか、声が聞こえてくるというより、頭の中に直接響いてくる感じだ。
あたりを見渡しても、やっぱり誰もいない。それに、今聞こえた言葉から考えると……
まさか、と思い。私は手に持った大きな鍵を見つめる。
「……鍵が、喋ってる?」
『……え、何が? ……もしかして、私の声が聞こえる?』
ふと思った事を口に出すと、聞こえてくる声にも変化が起こった。
ん……!? やっぱり、喋ってる……!?
「……聞こえる。あなたが、喋ってるの?」
『っ!! やっぱり聞こえてるの!! 喋れてる!! 通じてる!! やったアアアアアッ!!?』
「ん、ちょっとうるさい……」
やっぱり、聞き間違いじゃなかった。
この鍵そのものが喋っていたんだ。
私は心底驚き……
☆★☆
──それは、私にとって光だった。
代わり映えのしない暗闇の中、唐突に眩しい世界が広がった。
砂の中から、取り出された事を感じ取ったのだ。
あれほど望んでいた、夢のような状況。もしかしたら夢なのかもしれない。
何度か似たような夢を見て、その度に起きてガッカリしていた。
けれど、今回のは違う。そう感じ取っていると……
──そこには、美少女がいた。
そう、人だ。人だった。私以外の、人間……!!
銀髪で、獣耳をしていたけど、間違いなく人と言える存在……!!
私は、この女の子に掘り起こされたんだとようやく気づいた!!
ああ、あたりが眩しい!! 本当に、本当に久々の外の景色だ……!!
暗闇の世界からようやく出れた!! 光の世界にようやく戻れた!! 私の心に希望の光が湧いてくる!
ありがとう! ありがとうっ!!
私は目の前の少女に向かって感謝を繰り返した。
ふと、私はこの出会いを運命だと思った。
今までの苦しみは、この時のためだったんだと。
きっとこの少女の元に来るために、生まれ変わったんだと。
私の本当の第二の人生は、これから始まるんだ……!! そう思い込んでいたほどだった。
「それに宝箱が無かったとしても、この鍵自体を売ればそれなりの値段になりそう……」
『売っちゃダメええええええええええッ!!???』
私はつい、大きなこえで突っ込んでしまっていた。
と言っても、声は出せていないけれど。
いや、まって、待って!! せっかく出れたのは嬉しいけど、すぐ売っちゃうのは待って!!
君のものになると思ってたのに!! どうせなら君みたいな美女の持ち物になるのもいいなって思ってた所だから!!
せっかく運命的な出会いしたんだから、売っちゃわないでえええ!!
そう思わず鍵の身体で叫んでいると……
「……鍵が、喋ってる?」
『……え、何が? ……もしかして、私の声が聞こえる?』
少女の様子がおかしい。まるで私の声に反応しているような……これ、本当に聞こえてる?
「……聞こえる。あなたが、喋ってるの?」
『っ!! やっぱり聞こえてるの!! 喋れてる!! 通じてる!! やったアアアアアッ!!?』
私は言葉が通じていることにすごく喜んだ。
鍵の身体でも、言葉が聞こえている! 意思疎通が出来る!! もう最高だった!!
暗闇の世界から一転、光の世界になったのだ!!
ああ、本当に全てが輝いている! この出会いに感謝! 運命に感謝!! そう思っていると……
──次の瞬間、少女に砂の中に突き刺され、スコップで砂を振り掛けられてた。
「ん、気味が悪いから埋めなおそう」
『埋めないでえええええええええええええッ??!!!』
「うるさっ」
私はさっき以上の絶叫で呼びかけていた!!
いや、本当に待って!! それだけは、それだけはダメえええええええ!?
『いや、マジで!? 本当にお願い! もう暗闇の中嫌なの! 一人でいるのは嫌ああああアアアアアッ!!!』
「ん、しょうがない……分かった」
そう言って、目の前の少女はスコップを動かすのを辞めて、改めて砂の中から引き上げてくれた。
ほ、本当に良かった……
「……ねえ。あなたは何者なの? どうして鍵が喋ってるの?」
『どうしてって言われても……うーん、なんて説明したらいいか……』
「後、どうして砂漠に埋まっていたのか気になる。そこも分からない?」
『いやー。私も気づいたら、いつの間にかこの砂漠にいたってだけで、なんで砂漠に出現したかは……砂漠に埋まってたのは、単純に砂嵐とかで砂が掛かって埋まっていただけだと思うけど』
「ということは、結構前から砂漠にいた?」
『多分。いや、正直言うと一ヶ月くらいで砂の中に埋まっちゃったから、どれだけ年月経ったのかよく分からない。多分体感年単位は埋まってたんじゃないかと……』
「そんなに……? ちょっと可哀想」
『ありがとう、まさか私も生まれ変わってこんな目に合うなんて思ってもいなくて……』
「“生まれ変わって?”」
あ。と思ったが、目の前の少女に既に聞かれてしまっていた。
……しょうがない、正直に話そう。転生の事は普通話しても信じられないだろうが、鍵が喋ってる時点で誤差だ誤差。
それに久々の話し相手だ、とにかく何か喋りたかった。
『──というわけで、私は一度死んだ身。それが、さっき言った神様転生ってやつで生まれ変わった結果、このキーブレードの体になったって訳。この体は予想外だったけど』
私は、覚えている限りの情報を目の前の少女に話した。
【キングダムハーツ】ってゲームがあったって事くらいは話したけど、そこまでの詳細はまだ話していない。
「────────」
話を聞いた少女は、驚いた表情で黙ったままだった。
やっぱり、信じきれなかったのかな……? まあしょうがない、鍵が変な事言ってるって思われるのは受け入れよう。
それより、あまりにも変なこと言ってると判断されて、このまままた埋められるかどうかが不安だ……
「……ん、すぐには全部信じきれない、けど……とりあえず、分かった」
『本当!? ありがとうー、今はそれで充分だよ!!』
「ところで、さっき言ってた神様転生ってやつで、異世界に生まれ変わることが多いって言ってたけど……それって、“別の世界線”って事もありえるの?」
目の前の少女の言葉に、疑問を覚える。
別の世界戦?
『並行世界って事? まあ、その場合も普通にありえるんじゃないかな。確かに、私自身生まれ変わる前の世界と、この世界が殆ど同じって可能性は否定出来ないし。そもそも砂漠しかここでは見てないから判断が付かな……いや、普通に違うな。だって君、獣耳だし。それ私の世界では確実に見たこと無かった』
「そうなの……?」
『うん。ところで何でそれ聞いてきたの? もしかして、“別の世界線”って例が既にここにあるの? なーんて……』
「ん。実は実例がいる」
『……マジで?』
「ん、マジ」
マジか。異世界転生とはまた違う、別の世界線という例を既に経験済みでしたか。
すげーな異世界、私のいた世界より遥かに進んでいるのでは?
なるほど……じゃあ私のことも比較的すぐに受け入れたことも納得。同じぐらいありえない現象だもん。
『そうだったのか……いや、確かに私は獣耳少女は知らないけど、“獣耳少女がいない世界線から来た”って可能性も否定出来ないな。それならこの世界の並行世界としても納得出来る』
「考え出したらキリがなさそう……ところで質問変えるけど、あなたは“一度死んだ”って言ってたよね?」
『ん? そうだよ』
「じゃあ、その上でさらに質問。……あなたの前世の名前って何?」
「名前? えっと……」
「──もしかして、“梔子ユメ”だったりしない?」
『……え? 誰それ?』
目の前の少女の問いかけに、思わずそう答えてしまった。
いや、本当に誰?
『ゴメン。その名前全然心当たりない。──いや、実を言うと、ずっと一人でいたせいか、前世の自分の名前すら今思い出せなくて……でも、決してそんな名前じゃ無かった事は確かだと思う』
「そう……」
『……ひょっとして、知り合い?』
「私は知らない。……けれど、私の先輩が大切だった人。この砂漠で亡くなったらしい。……あなたが一度死んだ身って聞いたから、もしかしたらって思って」
『……そっか。ゴメンね、期待に添えなくて』
「ん。別にいい。こっちこそ変な事聞いてごめんなさい」
そう言って、目の前の少女はペコリと頭を下げてくれた。
それはそれとして、と話を続けて。
「……それじゃあ、あなたの事はなんて呼ぼう? 結局名前思い出せてないんだよね?」
『あー、うん。そうなんだよね……』
「じゃあ、確かあなたの姿ってキーブレードって言うんだよね? じゃあ私も、キーブレードって呼んだ方がいい?」
『えー、それはなんかイマイチ……他に何か案ない?』
「んー。じゃあキーちゃん?」
『それもちょっと。じゃあちょっと待って、自分で何か考える。んー……』
そうだなあ……それじゃあ、どうせなら……
『──ココロ。私の好きなゲームからとって、王国ココロ。どう!?』
単純に【キングダムハーツ】を日本語読みしただけだけど、我ながらいい名前では?
うん、しっくり来る!
「そっか。じゃあココロ。うん、これからはそう呼ぶね」
『うん! ところで、君の名前はなんて言うの?』
「私? ──私は“砂狼シロコ”。よろしく」
『シロコ、シロコちゃん! うん、よろしくねシロコ!!』
やっと目の前の少女の名前が分かった。
シロコちゃん、とってもいい名前!
「……ところでココロ。これからどうするの? 何処か行く宛とかあるの?」
『え? ……いや、全然無い。と言うか、私自身この姿じゃ動けない。だから何処にも行けない……けど、もう砂漠で一人ぼっちは嫌だ絶対』
「そう……じゃあ、私と来る?」
『本当!? ありがとうシロコ!! マイマスター!!』
「ま、マスター?」
『うん! こうなったら、もう第二の生はキーブレードとして、君に仕え続ける事に今決めた!! ジャンジャン使って!!』
「ん、使うかどうかは分からないけど……まあいいや」
よっしゃ! 美少女マスターゲット!!
いやー、最高のスタートじゃない! 今までが最悪過ぎた分、テンションアップだ!
「……と、持ち帰るのはいいけど、ちょっと待っててくれる? これからこの辺りを掘り進める予定だから」
『ん? 掘り進めるって何で?』
「ん、お宝探し。もともとそれ目的でここに来てた。スコップで掘ってる最中にあなたを見つけたの」
へー、そうだったんだ。
この砂漠の中にそんなお宝が……
……いや、待てよ? ……もしかして、今ならいける?
『……ねえ、シロコ。ちょっと私を目の前に向けて構えてくれない?』
「ん、向ける……?」
『鍵の先を、適当な砂場に向けて。そうそう』
今の私は、シロコという“使い手”がいる状態。
今なら、あれが出来る、と言う確信が何となくあった。
『そして、こう言ってくれない? ────って』
「? とりあえず、分かった……」
「──【ファイア】」
ボウッ!!
「っ?!」
『やったあ!! 出せた!!』
シロコがお願いした通りに呪文を唱えると、自身の鍵先から炎の弾が射出された!!
心の世界とは違う、現実世界で実際に魔法が使えた!!
「今のは……!?」
『【ファイア】! 基本的な“魔法”の一つ!! シロコが使ってくれる今なら出来るかもと思ってたけど、実際に出来て嬉しい!!』
「これって、さっき言ってたゲームの技って事……?」
『そう! ふふん、こうして私がいる事でその技が実際に使えるようになった訳だ!』
「ん。これは、凄い……」
目の前で起こった現象に、流石にシロコも驚きを隠せなかったようだ。
びっくりした表情で私という鍵を見つめていた。
ふふーん、もっと驚いてもいいんだよー?
『もちろん、他にもあるよー。例えば……』
「……ん、分かった。【エアロ】!」
今度は別の魔法を教えると、目の前に風が発生した。
その風で、あたりの砂が巻き上がる。
「おおー……!」
『【エアロ】、風を巻き起こす魔法。これなら砂をどかすのにも役に立つんじゃないかな? お宝探しにも丁度いいんじゃない?』
「うん、これは凄い便利……!」
目の前で風が渦を巻いて、砂をどかしていく様子にシロコはキラキラした目で見つめていた。
うんうん、喜んでくれているようで何より。
「ねえ、他にも何か出来る?」
『出来るよ。例えばー……』
「ん! 【ブリザド】! 【サンダー】! 【ウォータ】!!」
そう呪文を次々唱えていき、氷、雷、水を辺りに放って行った。
唱えるたびに魔法の現象が起こっていくことに、シロコはとても夢中になってるようだった。
「ん、凄い! 凄い!! ……あれ、出せなくなっちゃった?」
『あー、MP切れだね。連発し過ぎちゃったんだ』
「……と言う事は、もう出せない?」
『しばらく休めばまた使えるようになるよー?』
「どれくらい休めばいい? 一時間? 一日?」
『えっと……確か、“1分も掛からない位”』
「ん、予想以上に早い……!?」
ね。確かに1分も掛からないって破格だよね。
でもこれ、元々ゲームの仕様だったし。ゲームの戦闘時間で1分って結構長いよ?
おかげで裏ボス倒す時とか、何度泣いた事か……
「あ、本当にまた出せるようになった。凄すぎる……」
『どう? これがキーブレードの力さ!!』
「うん、本当に凄い。魔法が実際に使えてワクワクする。予想以上のお宝だね、あなた」
『ふふーん、もっと褒めてくれてもいいんだよー? 後は、戦いにも使えるよ!! 普通に打撃武器としての側面もあるから、そこらの相手に負けるつもりは無いよ!!』
ふふふ、未来が見える見える!!
シロコが私を振り回して、あたりのハートレスをちぎっては投げ、ちぎっては投げって場面が……!!
と言っても、この世界にハートレス多分いないとは思うけどねー。
でも、これで私と言う武器の強さを実感……
「いや、その……魔法はともかく、武器としてはあまりいらないかな」
『……え?』
「私には、既に“コレ”があるし」
そう言って、シロコが見せてくれたのは背中に背負っていた“銃”だった。
……“銃”?
『え? 銃? 本気で? ……え、戦争でもやってらっしゃる?』
「そう言う訳じゃ無いけど、街中でよく銃撃戦は発生してたりする。喧嘩とか小競り合いがよく起こるから」
『何それ怖い。え、それ危なく無い? 1発でも食らったら即死じゃん!? そんな世紀末感な世界なのここ!?』
「そっか。あなたはキヴォトスを知らないんだね。キヴォトス人は銃弾を食らってもそう簡単には倒れない。ちょっと打撲跡がつく程度」
『そうなの!? ……はっ!? よく見たらシロコの頭の上に“輪っか”みたいなのがある!! え、シロコって天使!?』
「人だよ。あと、これはヘイロー。キヴォトス人の女の子なら誰でも持ってる」
『はー……そんな世界なんだ。改めて異世界に来たんだなーって初めて実感したよ』
「ん。後でいろいろ教えてあげる」
思った以上に、私のいた世界と違う世界のようだった。
まさか銃装備が当たり前で、それに当たっても大した事ない世界だとは……
……あれ、ちょっと待って。じゃあ……
「ん。話を戻すけど、そう言うわけで、あなたを武器として使う必要はあまり感じられないかな。銃があるから、リーチ的に使う機会あまり無いだろうし……」
『ま、魔法は!? 魔法なら流石にないんじゃないかな!? あ、もしかして人前で魔法使うと流石にヤバイ世界観なのかな!?』
「んー、確かにそうなんだけど……グレネードとかは勿論、火炎放射とか使う人たちもいるし。さっきの氷、雷とかも“ミレニアム製”の新武器って事にすれば、それほど違和感も無いけど……たださっき見た威力だと、キヴォトス人相手だとどれも致命傷にならないような……」
『つ、つまり……?』
「……ゴメン、戦闘だと使わないと思う……多分」
『ガーンッ!!』
☆★☆
……そう私が言うと、目の前の鍵……ココロはグスグスと泣き出したようだった。
『うっうっ……まだ、まだ本気出してないもん。まだ“ラ”とか“ガ”シリーズが残ってるもん』
とか、
『フォームチェンジとか、キーブレード変形出来ればまだ分からないもん』
とか、いろいろこぼしていた。
……こうして改めて相対してみても、やっぱり信じ切れないような出来事だ。
魔法なんかより、鍵そのものが喋っていると言う事自体が、一番不思議な事だ。
さっき言った通り、ミレニアム製の新武器と言われた方が現実味がある。
しかも彼女は、一度死んで生まれ変わった結果がこうなったと言う。
本当に生まれ変わったのか……そう思い込んでいるだけなのか、実際に確かめる術は私にはない。
……けれど、砂漠の下で一人ぼっちだったと言う彼女の言葉。
それだけは状況的に信じられる。だったら……ずっと一人は、寂しかったんじゃないかと思う。
……私も、記憶喪失の状態で、ホシノ先輩達に拾われていなかったら。
……もう一つの世界の、シロコの事も。私は思い返していた。
だから……
「……ココロ」
『エグ、エッグ……ん、何?』
「これから、私の学校を見せてあげる。キヴォトスのあちこちを見せてあげる」
「だから──これから、よろしくね」
私の、新しい友達。
一人ぼっちにならないように、寂しさを感じさせないように。
それくらいなら、私にも出来るから。
『──!! うん、うん! これからよろしくね!!』
そう言った彼女の声は、とても嬉しそうに弾んでいたように聞こえた。