ブルアカ世界に、キーブレードそのものとして転生した件について   作:ニュームーン

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第八話 調べて貰いに行きました

「“──と、言うわけなんだ”」

「────」

「────」

 

「ん、風紀委員長とヒフミ、固まってる……」

『まあ、そりゃあ簡単に信じられる話じゃ無いよねー、神様転生なんて……』

「ココロ、自分の事なのに他人事過ぎない?」

 

 ヘルメット団を片付けた後、私達はシャーレに戻っていた。

 そこで風紀委員長とヒフミに、先生からココロの事について余す事なく説明されていた。

 時おり先生が質問をして来たから、ココロがそれに答えて、それを先生からヒフミ達にも伝えられている。

 その結果、話を聞いた二人はものの見事に固まっていた。

 それを見ているココロは仕方ないよ、と呟いている。

 

『正直、シロコと先生、あとはアロナちゃんとプラナちゃんに信じて貰えただけでも、すっごく嬉しいんだよ。そもそも普通、神様転生の事なんてバラさないのが普通だしね』

「そうなの?」

『うん、だって普通信じられないから、黙ってる人が多いもん。私だって、こうして鍵の体と、ずっと砂の下で一人で寂しかったって言う経験が無かったら、普通に黙ってたと思うし』

「……まあ、確かに普通の人が急にそんな事を言い出したら、頭おかしくなった? って私も思いそう。ココロ自体、鍵が喋ってるからこそ、私もある程度信じられたところあるし」

 

 こうして振り返ってみると、ココロって本当に信じられない経緯でキヴォトスに来たんだね。

 確かに、ココロの話は正しいと言う証明なんて出来ないかもしれない。

 けれどそもそも、鍵が喋ってるなんて時点でおかしいと思うべきだ。いや、聞こえる人が限られてるから、聞こえている人がおかしくなった、と思われるだけかもしれないけど。

 でも、こうして私が魔法を使えている以上、ココロの話は全てでは無いかもしれないけど、十分信じるに値すると思ってる。

 

「……と、とりあえず、分かったわ。先生」

「あ、あはは……もの凄い話を聞いちゃいましたね……」

「そうね……けれど、砂狼シロコが魔法のようなものを使った事は事実。ミレニアムの最新技術を使った可能性は無くは無いけど、機械の動作にしては不可解すぎる現象が多すぎる。ひとまず、そう言うもの、として納得した方が良さそうね」

「“信じてもらえるかい?”」

「ええ、ひとまずは」

 

 そう言って、風紀委員長は先生と話した後、私に振り向いて来た。

 その視線は、私と、私の手元のキーブレードに向けられていた。

 

「砂狼シロコ。あなたの戦いは見させてもらったわ。そして、その鍵がココロ……って子ね? ……とても楽しいものを見せてくれてありがとう。久しぶりにワクワクしたわ。あなたの声は私には聞こえないけれど……あんなに面白いものを見れたのは久しぶり、とても嬉しかったわ」

「わ、私も! あなた達の魔法を見れて、とっても楽しかったです!! 声が聞こえないのは本当に残念ですけど……それでも、すっごい面白かったです!!」

『二人とも……うん、こちらこそありがとう!! 楽しんで貰えたようで、本当に良かった! 私の好きなもので、誰かが喜んでくれた事がとても嬉しい!!』

「……って、言ってる」

 

 私は鍵を構えながら、ココロの言った言葉を過不足無く二人に伝えた。

 その言葉を聞いて、二人はとても嬉しそうになった。

 

「ええ、いい子そうね。とても」

「はい! けど、鍵の状態で意識があるなら、ずっと砂漠の中に一人でいたって事も本当なんですよね? とても大変そうです、私なんかじゃ想像出来ないほどの孤独でしょう……」

「そうね。その苦しみは、私たちには理解出来ないわ。他人事のような感想になってしまうけれど……砂狼シロコに見つけて貰えてよかったわね」

『本当にそれはそう。シロコに見つけてもらえて、本当に運命だったよ!!』

「ん。私にとっても、これは嬉しい出会いだった」

 

 私は砂漠でココロを拾った時を思いだす。

 あの時、本当に見つけられて良かった。私が見つけていなかったら、ココロは今でも砂漠の下でひとりぼっちだったかもしれない。

 私が魔法を使えるようになる以前に、彼女を一人にさせなくなって本当に良かった。

 

「けれど、鍵の体じゃ不便じゃ無いですか? やっぱり、人としての体は欲しいんじゃ……」

『いやあ、そりゃあ欲しいけど、正直今の所アテが無いんだよね……』

「……って、言ってる」

「……そういえば先生。確か先生って、最初はあなたもココロの声が聞こえなかったのよね? どうして聞こえるようになったのかしら?」

「“それは……”」

 

 そう言って、先生は【シッテムの箱】の中で、ココロと会話したときの事を話してくれた。

 それを聞いて、風紀委員長は悩んだような顔をする。

 

「ココロって子と特別な空間で直接会話出来たから、先生とも会話出来るようになった……? じゃあ条件は、なんらかの方法でココロって子と直接出会う事が、鍵のまま会話出来る様になる理由なのかしら? 一度彼女と直接会話出来たら、それ以降は問題無い、って事……?」

「でも、その【シッテムの箱】の中に入れるのは、先生だけなんですよね? そもそも、私たちにもプラナちゃん? って子達の方の声すら聞こえていませんし……同じ方法は使えませんよね」

「でも、ココロって子は【シッテムの箱】の中に入れたのよね? ……ミレニアムに頼んで、会話出来るロボットを作って、その中にココロが入ってもらうのはどうなのかしら? ……心、精神体だから、やっぱりダメなのかしら……」

 

 風紀委員長とヒフミが、いろいろココロとの会話について考えてくれていた。

 けれど、これといって確実な方法が思いついたわけでは無く。

 

『うーん……試してみないと分からないけど、よっぽど特殊な端末とかじゃ無い限り、私自身さっきみたいに入れなさそうな予感。【シッテムの箱】に入れたのは、あの中に“心が二つある”って感じられたからだし、普通のロボットには入れなさそうな予感がする』

「……って、言ってる」

「そう……ダメね。今のままじゃ、私たちじゃ彼女の声を聞く方法は思いつけないわ」

「そうですね……けれど、ミレニアムに相談すると言うのはいい案かもしれません。すみません、私じゃお役に立てなくて」

『気にしなくていいよ。そこまで考えてくれただけでも、私とても嬉しいから!』

 

 私はココロのそのお礼の言葉を、二人に伝えた。

 ふと、私は思い出したことがあった。

 

「そういえば先生、ミレニアムといえば、ちょっと思い出したことがある。関係無い話なんだけど……」

「“ん? なんだい?”」

「キーブレードで出した水って飲めるのか、ミレニアムで調べて欲しい。後、ついでに氷も」

「ああ、そういえば戦闘中出していたわね。そういえば」

「他にも、炎とか電気とかも出してましたよね? あとは風でしたっけ?」

「“なるほど。確かにそれはちょっと知りたいね”」

 

 そう言って先生は、時計の時刻を確認する。ちょうどお昼に差し掛かる位だった。

 

「“そうだね……じゃあ、今日は予定を変更して、このまま午後はミレニアムに行こうか。エンジニア部にも、予め連絡しておくよ。そこで調べてもらおう”」

「ん、了解」

『ミレニアム! なんかよく話題に出てた噂の! うわー、楽しみー!!』

「そっか。先生、ごめんなさい……私はゲヘナの風紀委員会の仕事があるから、今日はもう戻らないと……」

「あ、すみません……私も、元々補習授業部関連で相談したい事があったんですけど、午後は別の用事がありまして……」

「“あ、そっか。ごめんね二人とも。ヒナは書類の受け取りと、ヒフミは補習授業部の相談だね。じゃあそれを今片付けて、二人とはここでお別れしようか”」

「ん、せっかくココロの新しい友達になれそうだったのに、残念」

『そっかー、残念……けど、二人ともありがとうー』

 

 二人は先生とある程度会話した後、私たちに軽くお礼をしてくれた。

 その後、シャーレの部屋から二人はゆっくり出て行った。

 

「“さて、シロコ、ココロ。準備はいいかい?”」

「ん、大丈夫」

『いつでもいいよ!』

「“それじゃあ、行こうか”」

 

 そうして、私たちもシャーレを出て行って、ミレニアムに向かって行った……

 

 

 ☆★☆

 

 ──そうして電車に揺られて数時間。

 

 私たちは、ミレニアムに到着していた。

 

『何これ、すっごい綺麗な高い建物ー!! ここら辺、シンプルな造形だけど、だからこそ近未来って感じがするー!』

「ここがミレニアム。キヴォトスで頭が凄くいい人たちが通ってる学校だよ」

『へー! あっ!? 何あれロボット!? すごーい、そこら辺を動いてる!!』

「ん、掃除ロボットだね。ミレニアムだと、これくらい当たり前」

「“二人とも、話に夢中になって逸れない様にね”」

 

 私はココロのはしゃぎ様に微笑んでいた。

 ココロの興味あるものに一つ一つ説明しながら、先生の後ろをついて行った。

 

 とあるミレニアムの建物に入り、その奥へ奥へと進んで行く。

 ……そして、とある部屋に辿り着いた。

 先生がドアを開けて、中に入っていく。

 

「──やあ、待っていたよ先生」

「ようこそ、先生」

「ようこそいらっしゃいました!!」

 

 そこには、とある生徒が3人いた。

 紫髪の長髪をした人と、部員二人らしき人だ。

 

「“3人とも、久しぶり”」

「ああ。後ろの君は……?」

「ん、アビドス二年生、砂狼シロコ。よろしく。シャーレの当番」

「ああ、よろしく。私はウタハ。このミレニアムのエンジニア部の部長だ」

「ヒビキだよー、よろしく」

「私はコトリです! よろしくお願いいたします!」

 

 この3人が、先生の言うエンジニア部。ココロの事を調べてくれる人らしい。

 

「ところで先生、今日は一体どうしたんだい? 何か大事な相談事があるから、時間はあるかい? としか、聞かれなかったけど、何かあったのかい?」

「“うーん、何から説明したらいいか分からないんだけど……”」

 

『こんにちわ!! 私、王国ココロ!! よろしくね!!』

「んっ!」

「“わっ!?”」

 

 すると、ココロがまたいつもの様に大きな声で自己紹介をした。

 私はまた耳が煩くなり、ちょっと頭がクラクラする。

 先生もちょっと驚いていた。

 

「ん? 先生、どうしたんだい急に?」

 

『……ダメだね。やっぱり聞こえてないや』

「うん、らしいね。やっぱりこのままだと、ココロの声が聞こえる人が増えないね」

 

 ココロが大声出しても、エンジニア部の3人は無反応のままだった。

 やっぱり……アビドスのみんなもそうだったし、風紀委員長とヒフミも聞こえなかった。

 先生も、最初は聞こえなかったし……やっぱり先生みたいな特別な方法で会話しないと、声が聞こえないんだろう。

 

「“えっと、実は……”」

 

「エンジニア部の皆さん!! アリスです! 失礼します!」

 

 っと、先生が説明しようとすると、誰かが入って来た。

 彼女は……? 見覚えがある。確か……

 

「あ! 来てたんですね、先生!!」

「“アリス! 元気だったかい?”」

「はい! アリス、先生に出会えて嬉しいです!」

 

「ん。見覚えがある。確か、アトラハシースの箱舟の時、チラッとみた覚えが……」

「あ! こんにちは! ゲーム開発部のアリスです! 確か、砂狼シロコさんでしたよね! アビドス廃校対策委員会の人が言ってました!」

「ん、そうだ。確かあの時協力してたって聞いたんだった。直接会うのは、箱舟の中心部以来だったよね? あの時はほとんど会話出来なかったけど……」

「はい! あの時は、皆さんがあなたを救えた様で良かったです! 一緒に世界を救えました!」

 

『へー、可愛い子だねー』

 

 ん、元気いっぱいの子だ。

 こうして話しているだけでも、いい子そうなのがよく分かる。

 

「ところでアリス、君は一体どうしたんだい? 我々に用がある様だったけど……」

「っは! そうでした! すみませんウタハ先輩! 【光の剣】の調子が悪いのです! それで見てもらいたくて……」

「む、そうだったか。けど、ちょっと待って貰ってていいかな? 今、先生の方が先約だったんだ。先にそっちの話を聞いてからでいいかな?」

「アリス、了解です! それまで大人しく待ちます! ところで……」

 

 えーっと……と、言いながら、アリスと名乗った少女は辺りを見渡し始めていた。

 一体どうしたんだろう? 

 

「……あれ? あれれ?」

「“どうしたんだい、アリス?”」

「先生、誰かここにもう一人いませんでしたか?」

「“一人? ここにいるのは、これで全員だけど……誰って、どう言う事だい?”」

 

「あれ? 確かさっき、アリスが部屋に入る時声が聞こえたんです。【王国ココロです】って」

 

『「「“っ!?”」」』

 

「アリスの知らない名前の人の自己紹介が聞こえたから、てっきり新しい人がいるのかと思ったのですけど……誰もいませんね?」

「アリス、何を言ってるんだい? 声って? ここには他には誰も……シロコ君の自己紹介を聞き間違えたのかな?」

「けれど、他にも聞こえたんです。アリスの事、可愛いって……」

 

『アリス、アリスちゃん!! え、私の声聞こえてる!?』

 

「あっ! 今度ははっきり聞こえました!! アリスの事を呼んでいます!」

「……? どう言う事だい?」

「ん、アリス。ちょっといい?」

 

 そう言って、私は背中に背負ったキーブレードを下ろして、手に持った。

 それをアリス達によく見える様に両手で掲げる。

 

「それは……気になってたけど、鍵かい?」

「おっきいねー」

「はい! こんなサイズ、見た事ありません!」

 

『アリスちゃん、アリスちゃん! 私、ココロ! 私がそうなの!!』

 

「っ!! はっきり聞こえました!! この鍵から声がしています!!」

「っ!? ええ!?」

「やっぱり……!」

「アリス、びっくりです! あなたがココロさんなのですね!! 私はアリスです! よろしくお願いします!」

『うん! うん!! よろしくね、アリスちゃん!!』

 

 ……こうして私達は、私と先生以外の、ココロの声が聞こえる3人目の人を見つけたのだ。

 いや、アロナって子達を含めると、5人目かな? 

 

 

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