救いのために   作:ヒナまつり

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もし、助けてくれたのがscout小隊ではなかったらってやつです。


お気に入り記念
Ifルート【お気に入り100人、200人突破記念】その1


 

 聞こえなくなった笑い声の替わりに鳴る悲鳴を聞きながら僕は燃え死のうと必死に火に向けて歩こうとする。だけど、後一歩ほどの所で誰かに掴まれた。

 

 「早まってはダメよ。タルラ、彼を拘束してる紐切れるかしら」

 

 暖かい、母に抱かれている時のように。でも、母は死んで…

 

 「ああ、任せろ」

 

 衝撃と共に動けるようになった身体で彼女らを見る。そして、心にあるワルい気持ちを吐き出す。

 

 「死、死なせ、て。僕…のせい」

 

 炎と喉にある何かのせいで必死に伝える。だがポロポロと落ちる涙と共に僕の思いは断られた。僕はそとへ連れ出され、そこで村人の皆が死んでいて、その中に死にかけてる彼女を見てしまった。─彼女は僕を見て、何かを伝えようと口を動かそうとして、首を落とされた。でも、見えなくなった彼女の目が頭から離れない。

 

 僕を恨んでいたようででも、それ以外のとても大きな何かの感情があったんだ。

 

 「あ、あ…あぁ」

 

 誰も生きていない。好きだった人も嫌いだった人も全て、僕によって狂わされた。そう理解して、力が入らない。

 

 「大丈夫?!タルラ、すぐに新鮮な空気を吸わせないと!」

 

 嫌だ、嫌だ!なんで、なんで!皆死ななきゃいけない!僕だけが死ねば良かったのに!─なんで、僕が生き残ったんだよ!

 

 母も、彼女も!皆も死んだのは僕に狂わされたせいなのに!

 

 「はな、せぇ!」

 

 必死に抵抗し、家へと戻る。もう、生きてたくなんかないから。そして、頭のなかでずっと見てきていた一人が言っていた言葉を捻り出す。

 

 「明けの明星よ、此処で、僕を殺して!」

 

 その瞬間、全身から力が抜けた。口や目、鼻からは血が流れ、地面に倒れそうになった。でも、目の前に落ちてきた星に抱き止められた。その星は黒い羽をもった天使へと変化していき、顔があった。美しい顔は苦しそうに歪んでいて、身体は震えている彼女は顔を近づけて…

 

 「ダメ、駄目なの。貴方には生きて欲しい。ねぇ、愛しい子、貴方はどうすれば生きてくれるの?」

 

 ポツリと僕の顔に落ちた涙が傷を癒していく。なんでこの人は泣いているのだろう。人を狂わす僕なんて憎まれるべきなのに

 

 「僕は、皆を、狂わす悪魔…だから、死なないと」

 

 「いいえ、貴方は人を狂わす悪魔ではないわ。この事態は貴方のせいじゃないの。だから、死にたいなんて言わないで…」

 

 僕を抱き締めながら、告げるその言葉を肯定したくなる。でもあの子が、母が…皆がこう言ってくる。お前のせいだって。

 

 何も分からなくなる、彼女の救いの言葉を聞く程、呪いの言葉が増えていく。頑張って耳を塞いでもその声は鳴り響いてくる。

 

 うるさい、うるさい!!やめてよ!これ以上、僕を可笑しくしないで!

  

 もう楽に…させてよ。生きている意味も、希望も何もないんだ。

 

 「生きる意味、希望があれば貴方は生きてくれるのですか?」

 

 そう言う彼女は流していた涙を拭い、法悦した顔で僕の頭へ触れた。

 

 そして、何が流れ込む。それは…前世の記憶で。協会のなかで俺が神へ誓った言葉だった。Salva tutti e rischia la vita。俺はそう誓ったのだ。

 

 「主よ、全てを助ける傲慢を御許しください。そして、悪魔へ捧げるこの身をお忘れください。それが、貴方の最後の言葉でしたね。」

 

 ああ、確かに最後の祈りではそう言った。彼女は何者だ?

 

 「私の事などどうでも良いのです。これで、貴方は生きる理由が出来たのではないのですか?」

 

 そうだ、生きる理由は出来た。此処がアークナイツの世界で感染者として苦しんで絶望する人がいる限り、俺は誓いのもと人を助ける。

 

 「悪、趣味」

 

 「ふふっ、そうですよ。私は悪趣味なので」

 

 本当に嬉しそうに笑って彼女は星となり消えた。それにより、立つこともキツかった身体は地面へと叩きつけられる。だが、それと同時にタルラ達が来てくれたようで俺を縛って連れ帰ってくれるようだ。

 

 気絶した振りをしながら、イヤな声の相手をする。記憶を思い出しても悪い記憶は消えることはないみたいだから

 

 「アリーナ、この子は…」

 

 「大丈夫よ、ただ、精神が落ち着くまで私が面倒を見るわ」

 

 「私のせいで迷惑をかけるな。すまない」

 

 「もう、そういう時はありがとうの方が嬉しいわ。私は戦闘で活躍できないもの」

 

 「…そうだったな、ありがとう、アリーナ。」

 

 てぇてぇ!…いや、アリーナが死ななければレユニオンは本当に平和的に感染者の自由を取ろうとしてくれそうだな。タルラの精神の安定剤ってところか?

 

 とりあえず、俺の目標としてはアリーナを殺させない、レユニオンとロドスが味方となるで決まりだな。

 

 この大地は残酷だ。この願いを叶えるためには多大な力と運が必要だろうな。だが、この道が救いを求める人を助けられるが茨な道なのだろう。

 

 だから、一先ず力を付けもし、あるのならアーツを使えるようにしよう。

 

 諦めるなんてことは出来ない、死ぬことも許されない。そして、この過去を忘れることも。

 

 揺られる視界の中で釘を刺すように心へそう誓った。

 




もし、好評だったら続きを出します。また続くならこのルートでは曇らせと原作死亡キャラの一部生存、レユニオンのキャラとの泥々な関係を書きます。

ちなみにロドス組との合流は最後まで行かないとほぼないっすね。

それでは。
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