「それで、次はこれをすればいいの?」
「ええ、これであんたがロドスを本気で裏切ったと思わせれるもの」
憂鬱な気持ちを抱きながらもscoutと自身を守るため暗い部屋で次の作戦を組み立てる。
この作戦でどれ程の人を傷つけるか俺には分からない。ただ、ロドスは龍門から悪い印象を持つのは確かだろう。
契約が切れることはないだろうがある程度の処罰はある筈なのだ。
だってロドスのオペレーターが敵に寝返ったのだから。
だが、悩んでいる暇はない。次にロドスとチェンさんが前線をあげる前には準備を完了しておかなければいけないのだから。
レユニオンが一時撤退した頃、ロドスと近衛隊も消耗した体力を回復するため、近場の占領した建物に身を隠しています。
だけど…それは建前です…
本当はロドスの混乱により、戦線が維持出来ないとドクターがチェンさんに伝えて一時休息を頂いているだけ。
いえ、特に私が取り乱してしまったからでしょう。
フォルトさんが、ロドスを裏切り…レユニオンへ行ってしまったのです。
…なんで、なんでフォルトさんはレユニオンへ…?
あの時の言葉は…ロドスの道を信じると言ったあの言葉は嘘だったんですか…?
分かりません…分かりたくないんです。
でも…今はただ、あの人との約束を守るために前に進まないと…。
「アーミヤ…直ぐに来てくれ!」
その焦る声に何があったのかと向かうと…近衛隊の人にナイフを突きつけながら嗤っているWとドクター達がいました。
「W…何の用ですか?」
彼女の所作に目をかけながら少しでも威圧するためにアーツを用いて言葉を出しました。
でも、彼女は怯むことなくポケットから携帯電話を取り出して、こちらへ投げつけてきました。
「私はあんたらに何の用もないわ。でも、どうしても最後に一言を伝えたいって子がいてねぇ~?こわ~い隊長さんがいるのにわざわざ足を伸ばしのよ」
「それは…フォルトさんからですか…?」
「えぇ、そうよ。それじゃあ私の役目はこれで終わりよ。じゃあ、アーミヤ…また会いましょう?」
「…っ!?伏せろ!」
丸い爆発物のようなものを地面へ転がしてWは去っていきました。
ただ、幸いにそれは閃光弾で被害はありませんでした。
それでもWは、逃がしてしまいましたが。
チェンさんが率いる近衛隊はWを追って部屋を後にしましたがペンギン急便の皆さん、フランカさん…リスカムさん、そして私とドクターは部屋へ残りその携帯電話へ手を伸ばしました。
「その、フォルトさん…聞こえていますか?」
「うん、聞こえてるよ。アーミヤ」
まるで何事もなかったかのようにフォルトさんは平常時と同じ反応を返してくれました。
でも、それがフォルトさんがロドスを裏切ってもなにも感じてないように聞こえました。
「ねぇ、アーミヤ。僕はさ…ロドスの道が好きだった。でもね…ロドスでも、助けれない人はいるんだって…知ったんだ」
「僕たちは、何が出来た?誰を守れたの?鉱石病で差別される人も、サルカズの皆も…こんなに苦しんでるのに、僕たちは、手を汚しても…その人たちを助けれなかった」
「レユニオンには、僕みたいな人が…沢山いる。アーミヤやロドスは、確かに…僕を助けてくれた。でも、他の皆は?ロドスの手が届かない…そんな人たちは、どうするの?」
「それは…」
私の口はそれ以上動きませんでした。フォルトさんの問いは、私も胸の縁に抱えているものだったからです。
全てを救いたくてもロドスにはまだその力はないのですから。
でも、この道を進めば…何時かは助けることが出来る筈、なんです。
「確かに…今のロドスでは全ての人を助けることは出来ません。でも、手に届く範囲の人は守れるんです!それに、ロドスが力をつければ何時の日か…」
「アーミヤ…何時の日かじゃ遅いんだよ。ロドスみたいに最先端の、医療施設のない…そんな環境で、感染者は生き続けれない。ただでさえ、差別で疲労しているのに、オリパシーは、止まることを知らないんだ。だから、さ?せめて…感染者が差別されないように、するしか…ないんだよ」
そんなことをしても、鉱石病が治りません…それどころか差別が酷くなるだけ…なんです。
その言葉を伝えること出来ませんでした。だって、私が…ロドスが進む道はたらればの話なのですから。
治療法が見つかれば、鉱石病への知識がついて差別がなくなれば。
そんな、明日を望めるロドスが未来に希望を抱いているだけなんです。
私はそれが間違ってるとは思いません。存続がなければこの地は滅ぶだけなのですから。
でも、フォルトさんが言うように今を生きる人のために戦うことも間違ってるとは言えません。ただ、レユニオンは罪のない人へ攻撃しているのです。
それだけは、間違っている筈なんです。
「それじゃあ、何の解決にもなってないじゃない!フォルト!貴方それで本当にいいの!?それに、レユニオンが暴れたせいで死んでいった罪のない人達はどうするのよ!」
フランカさんが、いち早くその事を伝えてくれました。
「…その人達は、本当に罪がないの?感染者である人が…差別されてるのを、見ないふりしてるのに、本当に罪がないのかな」
「それはっ…でも、危害を加えてるわけじゃ…ないじゃない」
「そうだね。でも、そもそも感染者ってさ、誰にも…危害を与えてないよ?ただ、運悪く…感染しちゃっただけ。なのに、差別をされて、助けを求めても見て見ぬふりされて、治ることもなく…死ぬんだよ。ここには、そんな人達が…運良く、まだ死なずに集まってるの」
「だから、レユニオンは自分達の身を…守るために戦うしか、ないんだよ。だって、全てが感染者を遠ざけるんだから」
私は、何も口に出来ませんでした。だって、それは事実なんですから。ただ、レユニオンはロドスとは違う方向で抵抗をしているだけ、フォルトさんにとっては、その方向の方が正しいと感じただけなのですから。
でも、でも…私は、フォルトさんと敵対したくないんです。私の側にいてほしい…私たちと同じ道を歩んでほしい。ただのわがままなんです。そんな、わがままな私は…罪を犯してしまいました。
「嫌、嫌です…フォルトさん、私の力になってくれるって死んでも私を守るって言いましたよね!お願いですから、ロドスへ戻ってきてください…」
涙が溢れて、みっともない姿で縋ってしまったんです。それぐらい、私にとってフォルトさんは大きな存在になっていたんです。
でも、フォルトさんから帰ってきた答えは…否定でした。
ただ、ごめんと…それだけで…切られてしまいました。
「なんで、なんでですか…嫌、嫌です…」
止まらない涙とどうすればいいのか、分からない絶望が闇が私を飲み込んで、立ってるも辛くて座り込んでしまいました。
「フォルトさん…フォルトさん…。私、貴方が…」
フォルトさんの声も匂いもその全てが大好きで離したくもないのに、フォルトさんは離れてしまいました。
ずっと、一緒にいられるってそう思ってたのに、今では手を伸ばしても突き放されて、刃を向け合わなければいけないなんて…私は、何を間違えたんですか?フォルトさんを良く見ていなかったから?
それとも私から離れられなくしなかったから?この気持ちを伝えなかったから?
そんなぐるぐる回る思考の中で、私は一つ思い付いたんです。
今からでもフォルトさんを、私のもとへ戻す方法を。
それに、私のこの感情をフォルトさんへ見せてあげればいいんです。
そうしたら、フォルトさんだって分かってくれます。
だから、待っていてくださいね…フォルトさん…♡
曇らせになると筆が乗ってしまうせいで前編、中編、後編に分けるようにしました。他のキャラの曇らせはそこに入れる予定です。
まぁ、なんか曇らせ過ぎて変になったかもしれないんですけど…これはこれでいいかなって思いました。ただ、レユニオンとロドスの目的などで違和感があれば感想などで教えていただけると幸いです。