救いのために   作:ヒナまつり

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更新遅れました。理由は、ダンテェだったからです。本当に申し訳ない。


6話

 

 暗い、暗い部屋に僕は居た。

 

 月明かりに照らされるだけのとっても静かで何もないこの部屋は今さっきまでの僕を写し出したみたいだった。

 

 だけど、今はもう違う。

 

 この胸には、彼女たちの忘れてしまった想いも、新たな思い出も宿ったのだから。

 

 だから、覚悟を決める。僕が彼女たちと歩むために、彼らと話をするのだ。

 

 そうしなければ、きっと…きっと、僕は家族を傷付けることになるから。

 

 「ふぅ…よし。ここなら、平気。…悪魔さん、悪魔さん。私の声、聞こえますか。聞こえるなら、一人だけ…出てきてくれませんか…?」

 

 弱々しく呟く。だが、それだけでも直ぐに異変は起こった。

 

 僕とこの部屋を覆うように嫌な感じが広がったのだ。それは、目には見えないけれど、良くない匂いで分かった。

 

 そして、その声に応えるように僕の中から、真っ黒な何かが飛び出していく。

 

 禍々しいそれは、闇を広げて徐々に人の形になっていき、やがてその闇を食い破った。

 

 そこに現れたのは、大きく綺麗な女性だった。

 

 青と緑色の混ざった宝石のような髪の毛と面倒くさそうに薄く広げられた紫の瞳。

 

 それに見とれていた僕に、彼女は寄りかかって来た。

 

 「見惚れている場合か~?そんな感じじゃ、他を出したとき襲われるぞ~?」

 

 伸ばされた甘い声が、僕の脳みそを犯していき、作り出された想いが僕を支配する。

 

 彼女を愛せ、彼女に尽くせ、彼女の為に死ね。

 

 だが、それに負けてはならないと誰かの囁く声が聞こえた。

 

 それは、幾つもの声で懐かしく暖かいものだった。今の僕にはそれが誰か、そしてどんな関係だったのか分からない。

 

 だけれど、僕の背はそれに押されたのだ。

 

 「だ、まれ…!お前の、好きに…されるかぁぁ!!」

 

 12個の淡い光が僕の周りを舞った。そして、それは寄りかかる悪魔を引き剥がし、僕へ付き添ってくれた。

 

 まるで、僕を守るかのように。

 

 「…あぁ、君は…やはり、彼と一緒だぁ~。それに、今の君は愛されてるんだねぇ~」

 

 そいつは嬉しそうに微笑む。まるで恋い焦がれている人にであったかのように。

 

 そして、光る彼らを見つめ…頭を垂れた。

 

 「ごめんねぇ~?戦士達…悪気はないのさ~?あれは彼を見極めるために必要だったの~。だから、彼の願いを叶えてもいいかい~?」

 

 12個の光は相談し合うように、身を寄せ合いやがて、僕と彼女を囲うように後ろから見守った。

 

 「許してくれるんだね~?それじゃあ、■■■■?願いを教えて~?」

 

 彼女はきっと僕を呼んだのだろう。だけれど、その名称を僕は聞き取ることが出来なかった。いや、認識することが出来なかった。

 

 きっと、それは…僕とエディドヤに関係するのだろうがきっと今は気にしてはいけないのだろう。でなければ無理矢理でも彼女は僕へ意味を教えるだろうから。

 

 「…僕の願いは、君たちが僕を犯したときに…その制御をするものが…欲しい。それだけ」

 

 「ふーん?そっか~。でも難しいよ~?僕たち、君の中にいるから~、強い想いとかを吹き飛ばしちゃうし~、彼らでも止めれないだろうし~?」

 

 彼女は、悩ましいように首をかしげる。だが、その瞳の奥底には、何かを隠していた。

 

 きっと何かを差し出せば、彼女は出来るのだろう。だけど、僕の承諾が必要でさらに、彼女もしたくないことだから出し渋っているのだ。

 

 「じゃあ、どうすれば制御できる?」

 

 「…君の、魂を使えば出来るかも~?危ないけどね~?」

 

 「魂…?」

 

 「うん、私たちってね~?君の魂の揺れに応じて、力を出してるの~。だから、外部からその魂を制御すれば~いけるかも~?だけど、一時的なものだよ~?君の魂に負担が大きいし~彼女達は君の魂を他の人に触れられたくないし~?ま、それは私もなんだけど~」

 

 「それの、負担はどんなの?」

 

 「うーん、正確には分からないけど~、一回使ったら~二度目は君の魂でも耐えきれずに壊れちゃう~。一度なら~少しの欠損かな~?それなら1年も経てば君なら治るけど~魂の欠損したら~、何かは失うよ~?記憶とか、想いとか。それはきっと、君にとって大切なものを…ね~」

 

 「曖昧だね…?」

 

 「だって~魂の欠損なんて普通は死ぬもん~。君ぐらいの器なら耐えるってだけで~おかしいことなんだよ~?」

 

 「そっか、分かったよ。だけど念のため、お願いしてもいいかな。僕にとって…家族を傷付ける方が…嫌だから」

 

 「ふーん?分かった~。じゃあ、少し触れるね~?」

 

 「うん、お願い」

 

 ゆっくりと近づく彼女は、僕の胸へ手を乗せる。そして、ゆっくりと僕の中へ入っていく。

 

 少しの気持ちわるい感覚と大切なものが持ち出される感覚が僕を襲う。

 

 だけれど、2つの光がからかうように舞いながら僕を励ましてくれた。

 

 そして、耐え忍んでゆっくりと彼女の手が僕の中から離れるとそこに一つの指輪が現れた。

 

 淡い藍と幾つもの星々が浮かぶそれが、僕の魂のようだ。

 

 「きれ~。ねぇ、僕にも後でこれ頂戴~?」

 

 目を輝かせながら聞く彼女には悪いが悪魔に魂をあげるなんて事をしたら良くないのだろう事ぐらい僕にも分かるのだ。

 

 「駄目。僕の魂は僕のものだから。それで、これの対価はなに?」

 

 「うーん、じゃあ~少し近づいて~?」

 

 「…先に教えて欲しいんだけど…?」

 

 「それじゃあ、意味ないからね~?大丈夫、君を害する気はないから~。もしそんなことしたら彼らに殺されちゃう~」

 

 「分かったよ、ほら…これぐらいで…!?」

 

 急激に彼女の顔が近づく。そして、僕との距離が殆ど零になり、唇が僕の唇へ当たった。

 

 花の蜜のように甘い彼女の味が僕の中へ入ってくる。

 

 それは、僕の味を確かめるように僕の舌へ絡んでお互いの味を送り合う。

 

 彼女は、僕の味を嬉しそうに飲み干し、もっとと求める。僕もいつの間にかその味を求めるように、絡み合っていく。

 

 そんな長い長い甘い時間は、彼女の唇が離れて終わった。

 

 名残惜しそうに伸びる糸を彼女は舐めとり、そして、真っ黒な闇へとゆっくりと戻り僕の中へ戻っていた。

 

 12個の光もそれと共に僕の中へ入っていく。

 

 その時、彼らの想いと、彼らの記憶が僕の中で甦った。

 

 「あぁ…あぁ、そっか。ずっと見守ってくれてたんだ…。もう、会えないと思ってたの。忘れてしまったから。だけど、僕の中に居たんだ。皆…居てくれたんだ…!もう、もう忘れないよ…。スリンカー、プータル、スコーピオン、レイファ、ムラム、カクテル、ソラナ、ミミ、マリ―、サムタック、ユラン、ロングトーン…絶対、絶対忘れないから…!」

 

 月夜に照らされた夜に、僕の魂へ僕はそう誓った。

 

 だって彼らは僕にとっての一番の家族だったから…。

 

 


 

 「ドクター、少しだけ…時間がほしいの。ドクターにしか、話せないこと…話したくて」

 

 外が暗くなり月明かりが辺りを照らす時、フォルトが突然私の部屋の前にやって来た。

 

 明日が作戦開始の為、早く休むように伝えていた筈だが…?

 

 そう思いながら、扉を開けた時…彼の顔に雲が掛かっていた。

 

 ぎゅっと胸を握りしめながら、その不安な様子を隠すこともしない。

 

 それは、ケルシーに聞いた勇敢なフォルトらしくなく…私は彼が年頃な少年であることを再認識させられた。

 

 「分かった。…ふむ、フォルト。何か暖かい飲み物を入れようと思うのだが、飲みたいものはあるかい?」

 

 「ココア…ココアが飲みたい…かな。あっ…手伝うよ?」

 

 「いいんだ。私が入れてくるから少しだけ深呼吸でもしとくといい。それか、話す内容の整理とかね」

 

 「…ありがとう」

 

 微笑む彼は少しだけ、身体の震えが収まったかのように思えた。これなら、問題はないだろう。

 

 そう思い、席を立ち私がココアを注いでる間、彼はただただ目を閉じ、意識を何かに集中させているかのようだった。

 

 そして、ココアを彼の前に置いた時、彼は目を見開いた。

 

 その瞳には、覚悟を宿していた。だから、私はその瞳を見つめ続けた。

 

 彼の覚悟を受け入れるために。

 

 「…ドクター。これは、猫さんにも…いや、ケルシーにも言ってないの。だから…後でこの話をケルシーに伝えるかは、ドクターが決めてほしい」

 

 「あぁ、分かった」

 

 「…うん、それで…ね。話したいことは、僕の…アーツ能力についてと、僕の中のコイツらについてなの」

 

 そう言った彼の瞳が色を変えた。それは燃え盛る炎のように赤くその中にある憎悪を見せつけ、私に一瞬恐怖を植え付けた。

 

 だが、必死にその気持ちを押さえつけた。

 

 その様子を眺めていた彼は嬉しそうに見つめていた。

 

 「これは、憤怒。ドクター…僕には、僕の感情に住み着いた悪魔が…7体いるの。それは、僕が望めば顔を覗かせる。ただ、こいつらは…それ以外にも顔を覗かせる時が、ある」

 

 目を閉じて何時もの深海を思い浮かばせる彼の瞳に戻り、不安そうに彼は言葉を紡ぎ続けた。

 

 「それは、僕の精神が不安定な時や、コイツらに紐付いた感情が溢れた時。その時に、コイツらは僕を…乗っ取る。今さっきの憤怒なら、僕が怒り狂った時、その感情を増幅させて…皆の声すら、聞こえなくさせると思う。そして、その怒りが消えるまで、暴れ続ける。誰彼関係なく。」

 

 「それは…危ういな」

 

 「うん、そうなの。だから、だからね…ドクター。一つだけ、約束してほしいの。この先、僕が…暴走して…家族を、ロドスを蔑ろにすることがあったら…これを使ってほしいの」

 

 そう言い取り出したのは、彼の瞳に似た深海を思い浮かべる藍と光輝く星々に彩られた綺麗なリングだった。

 

 「これは…?」

 

 恐る恐る、それに手を伸ばし見つめる。すると彼は少しくすぐったそうに、そして恥ずかしそうに笑った。

 

 「…ドクター、その…あんまりペタペタ触らないで…?今、説明するから…」

 

 「あぁ、済まない。それで、これは…?」

 

 「それは、ある子にお願いして作って貰った…僕の魂を具現化した、指輪だよ」

 

 「魂を具現化…だって?」

 

 その言葉に驚いて私はそっと机に指輪を置いた。

 

 「うん、きっとアーミヤに見せたら、分かると思う。それでね、それは僕に異変があったら形が変わるの。だから、その時、それを元の形に戻してほしいの。それは、凄く繊細だから強くは駄目なんだけど、優しく戻るように触ってくれたら…治る筈だから」

 

 「そうなのか…だけど、何故これを私に…?君にとって私はそれほど信頼できる相手ではないと思うが…」

 

 「あ、そのね?確かに…初めて会った時は臭いって、思ったの。だけど、アーミヤから…ドクターについて聞いたり。彼らの記憶が教えてくれたドクターと、ドクターのその奥にある、暖かい匂いが、信頼してもいいって教えてくれたの。だから、僕は貴方に、これを持ってほしい」

 

 頬を赤く染めながら、彼は想いを正面からぶつけてくる。その瞳は、力強く自身の発言に自信を持ってることを示してくる。

 

 だから、私もそれに応えなければならないと感じたのだ。

 

 「…あぁ、分かった。君の判断を私も信じよう。これは大切に私が預かる。だから、その代わりに、君にはアーミヤを見守って欲しい。私だけじゃ彼女を守りきれないから」

 

 「うん、任せて。ドクター…。僕は家族の味方だから…あっ、ドクターも、もう家族…だよっ?」

 

 フォルトの小さな手が私の手へ触れる。そして、彼の魂が私の指へ収まった。

 

 部屋の明かりに照らされて輝く彼の顔は、真っ白で色を知らないキャンバスのようだった。だけどその中で光輝き真っ直ぐとこちらを見つめる深海に、私の心は溺れてしまった。

 

 彼は麻薬だ、精神を蝕む麻薬なのだ。

 

 そう分かっているのに、その瞳に見つめられると私の胸が高まるのだ。

 

 拒もうと、それは拒みきれない。

 

 だって、彼の瞳には明日への希望な満ち溢れて、幾つもの想いが灯してあるのだから。

 

 白い花に囲まれた彼女のように…?

 

 …?これは、何の記憶だ…?

 

 「ドクター…?どうしたの?」

 

 フォルトが、心配そうに私を見つめていた。だから、私はそれについて思い浮かべるの止め、彼を見つめ直した。

 

 「…あぁ、いや何でもない。それよりフォルト、もう休んだ方がいい。明日は大規模な作戦なんだから」

 

 「…うん。そうだね、ドクターも、ゆっくり休んでね…?」

 

 「あぁ、分かった。それじゃあ、また明日」

 

 「うん、また…明日」

 

 去り行く彼の姿を眺めていたら、さっきの浮かび上がった記憶は消えていた。

 

 私は、何か大切なものを忘れているのかもしれない。だけど、それは私の中からどんどんと薄れていく。

 

 そして、やがて記憶は泡のように消えた。

 

 それに、疑問すら残さずに。




あぁー!アークナイツのアニメが良すぎる~!!
ボジョカスティカッコいいし、フロストノヴァが与えた影響の大きさが見れて最高!
それに、ケルシーが初めはボジョカスティと呼んで、次にパトリオットって呼んだのが彼が変わったのが分かっていい!
そして、運命に抗い続けて、最期の最期に運命に負けたのにフロストノヴァの声で正気に戻って最後にアーミヤを主と認めたけどその心にはフロストノヴァがほぼ占めてるパトリオットも良すぎる~!
続きを早く見た過ぎますねぇ~!?

てか私、あれを書けるか不安すぎる…。あんなにカッコいい人を書ける気がしない…!てか今ですら勢いで書いていてお話の調整を悩んでいる私には描写がムズすぎます!
頑張るけども…!頑張るけどもっ!

皆さんも、アニメを見てない人がいたら直ぐに見て!きっと、アークナイツをもっともっと好きになるから!!
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