【完結】アンデッドダンジョンの最深部でパーティ追放されてボコられて放置された結果、俺を拾ったダンジョンのラスボスの女の子が俺のご先祖様だったから後継者に指名された件。今日から俺がダンジョンマスターだ。   作:羽黒楓

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第1話 追放

「おい、慎太郎、お前はもうパーティにいらない」

 

 パーティのリーダー、和彦にいきなり言われたんだけど。

 あのー、ここダンジョンの最下層なんですけど。

 こんなところで突然そんなことをいわれても。

 

「いまさら言うまでもないが、ここはアンデッドダンジョンだ。正直、司教職《ビショップ》である俺、僧侶職《クレリック》である美香子と春樹がいれば、不死のモンスターなんかみんな解呪できる。戦士職のお前なんかいらない」

「ちょっと待ってくれよ、いらないってことはないだろう?」

 

 反論する。

 ここは俺たちが通う高校の近くにできたダンジョン。

 それも、不死の怪物のみがうごめく、アンデッドダンジョンだ。

 数年前のある日、全国に多数のダンジョンができた。

 国の法律も整備され、俺たち普通の高校生もダンジョンに潜るようになっていた。

 ダンジョンの中では一般人でも職業が割り当てられ、特殊能力が使えるようになり、ステータスが付加される。

 そんなわけで、クラスメートである俺たちはパーティを組んでこのダンジョンに潜って宝物をあさっていたのだが。

 

「戦士職だって多少役にはたつだろう?」

 

 俺がそういうと、和彦は、

 

「いや、お前の仕事なんて、俺たちが解呪しそこねたアンデッドモンスターをその剣で叩くだけだろう? 正直、その程度の仕事は美香子だってできるんだよ。先生に言われてしょうがなくパーティ組んでやったけどさ、ずっといらいらしてたんだよな」

 

 それに美香子ちゃんも同調する。

 

「そうそう、あんたさー、正直超うざかったんだよね。つっかえねーし」

 

 え、ちょっと待って、美香子ちゃんけっこう俺に優しかったはずなのに、なんでそんな……。

 

「ははー。あんたさー、あんまり女っけなさそうだから、和彦と一緒にさー、からかってやろうと思ったんだよ。あんた、すっげー勘違いして、ダンジョンの中でもチラチラあたしのことみてたでしょー? ウケる」

 

 あ?

 え?

 待って、死にたい。

 そこに春樹が口を出す。

 

「やめなよ、和彦も美香子も。二人が付き合ってるからって、そんな二人がかりで慎太郎君をからかうなんて、ひどいよ」

 

 え、待って、この二人付き合ってたの?

 俺ワンチャンあるかと思ってたんですけど。

 あれ?

 布団の中で悶々としたあの日々は全部こいつらが俺をおもちゃにして遊んでいただけ?

 

「慎太郎君、悪く思わないでね」

 

 春樹は俺にやさしげな眼で話しかける。

 うん、こいつはいい奴だと思ってたんだ。

 っていうか、美香子ちゃんがそういうことなら、俺だってこんなパーティにいる必要なんてもうないよな。

 

「わかったよ、じゃあこの探索がおわったらパーティ離脱届け出すよ……それでいいんだろ?」

 

 と俺がいうと、春樹が、すごく優しそうな口調でこういった。

 

「違うんだよ、慎太郎君。今回の探索でボクたち、すごい貴重な宝を手に入れただろう?」

 

 そうだったのだ、さっきトロールゾンビをやっつけたら、超貴重な宝石が手に入ったのだ。

 

「でね、慎太郎君。このまま帰ると、離脱届けを出す前に手に入れたこの宝石の報酬の分け前が、君にも入っちゃうわけだろう? それだともったいないよね」

「はあ?」

 

 え、何を言い始めてるの、こいつら。

 

「そうなんだよ、慎太郎。でだ、俺たちさっき話し合ってな。知ってるだろ、ダンジョン特別法。ダンジョン内での死傷は、パーティ内で責任を負わないってやつ」

 

 ダンジョン探索は危険だから、そういう立法がされたのだ。

 って、そんなことはどうでもよくて。

 

「あのー、どういうこと?」

 

 俺が訊くと、美香子ちゃんが楽しそうにこういった。

 

「ここで死んで?」

 

 次の瞬間、美香子ちゃんが持っていた魔法のメイスを振りかぶると――。

 俺の顔にフルスイングしてきた。

 

「ぐぎゃっ」

 

 変な声をだして床に転がる俺。

 なんだこれうそだろこれ夢だろこれなんだこれ美香子ちゃんが俺を殺す気で殴ったぞうそだろ美香子ちゃんは俺のことを好きかもしんないとかおもわせぶりなことをいってたのにメイスでなぐられたぞやめてしにたいころさないで。

 

 そんな俺に三人がかりでのしかかるパーティメンバー。

 

「おい、身に着けてる貴重品ねえか?」

「体力回復の指輪つけてるわね。これもっていっちゃいましょ」

「うーん、なかなか外れないね」

「外れないなら、指を丸ごと切ればいいだろ。……よっと!」

 

 途端に左手の人差し指が焼けるような痛みに襲われた。

 こいつら……仲間だった俺の指を、指輪ほしさに叩き切りやがった!

 

「ほらとれたとれた。ほかになんかないか?」

「守りのピアスあるでしょ」

「そうだったな、これも切り取るぞ」

「こら、暴れるな、殴れ殴れ殴っておとなしくさせろ」

「このキモオスが! 動くなゴミ!」

 全身をメイスで殴られる。

 やめて

 ごめん

 いたい

 ごめ

 

 あぁぁああぁぁぁあぁ

 

 いたい いたい いたい

 なぐらな で

 

    みみた ぶが

 

        やけ るようにいたた 

     あつ い

 

「そういやボク、人間をぶったたいたことはなかったな。慎太郎君、ごめんね、どんな気分になれるか好奇心があるから、ボクにも殴らせてね」

 

 ゴギン。

 

 あぁうぁぁぁ?

 あ?

 しぬ?

 おれしぬ?

 きょはみかこちゃにこくは しよと

 しぬ

 

「おいおい、あれ、アンデッドキングじゃねえか?」

「ここの大ボスじゃん! ほんとだ、やばいよ、今は魔法力つかっちゃってるから戦えない」

「じゃあ悪いけど慎太郎君をここに囮としておいていけばいいよ。アンデッドキングが慎太郎君を食べてる間にボクたちは逃げよう」

「おう、そうだな」

 

 もう俺にはなにもわからなあい

 

       しぬ

    しにま

  ころ

        さないで

 おかしゃん

                ごめ

 

 

 

 そして聞こえてくるのは……。

 

 

 

 アンデッドキングの、驚いた声だった。

 

 

 

 

 

「あああん? あんた、あたしのひ孫のひ孫のひ孫の、慎太郎だろ? なんでこんなとこでぼろ雑巾みたいにころがってんだぁ?」

 

 俺のひぃひぃひぃひぃひぃ……ばあちゃん? よくわからんけど、とにかく、俺のご先祖様が、そこにいた。

 かわいらしい十代の少女の姿で。

 

 

 

 

 

 

 

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