【完結】アンデッドダンジョンの最深部でパーティ追放されてボコられて放置された結果、俺を拾ったダンジョンのラスボスの女の子が俺のご先祖様だったから後継者に指名された件。今日から俺がダンジョンマスターだ。   作:羽黒楓

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第14話 グラマスの実力【※※※和彦視点あり】

 和彦たちは地下8階にさしかかった。

 ここらから、モンスターが強くなってくる。

 気を引き締めないといけない。

 

「……なにか、くる」

 

 春樹がいった。

 パーティ三人は身構える。

 確かに、通路の奥からズル、ズル、と足をひきずるようにして歩いてくるなにかがいる。

 

「ゾンビ……か?」

 

 和彦がいうと、美香子が答えた。

 

「ちがうみたい……あれ、きっとフレッシュゴーレムだよ」

 

 フレッシュとは死肉のこと。

 死肉でつくられたゴーレムで、何者かに操られている存在だ。

 呪いによって動いているわけではないため、解呪が効かない。

 魔法使いの攻撃呪文であれば効果があるが、この三人の中では司教《ビショップ》である和彦しか攻撃呪文を使えないし、それは最深部までとっておきたかった。

 

 自然、僧侶《クレリック》である春樹と美香子が前にでる。

 僧侶はメイスを装備できるので、ある程度の物理的な戦闘にも対応できるのだ。

 フレッシュゴーレムは8体ほど連なってくる。

 まず、一番前のフレッシュゴーレムが襲いかかってきた。

 なんだか、動きがカクカクしている。

 美香子の魔法のメイスの一撃をまともにくらい、あっさりばらばらになった。

 

「……弱いね、楽勝楽勝」

 

 二体目。

 さっきより少しマシだが、やはり動きがのろく、パンチを打ってくるのだが春樹とは全然別の方向にジャブを打っている。

 こいつも春樹の一撃であっさり撃沈。

 

「弱すぎる……」

 

 

     ★

 

 

「だめだぁ~~~!」

 

 俺はプレステのコントローラーを投げ捨てた。

 

「ご先祖様、これ難しすぎやしませんかね? 全然必殺技でないし、シビアすぎですよ」

「なれると面白くなってくるんやが、初心者は最初がなー。格ゲーは初心者が楽しめん時期があるのが問題なのよな」

「じゃあ今度私!」

 

 ほのかさんが俺が投げ捨てたコントローラーを骨の手で手に取る。

 

「よし、やるぞー」

 

 しかし、俺よりはましだけどやっぱりうまくいかなくて、春樹の一撃で首がとれちゃった。

 

「あーん、むずかしー……必殺技なんて絶対だせないよー」

 

 俺たちが苦戦するのを後ろから見ていた桜子。

 湯上りほかほかでショートボブの黒髪がシャンプーとコンディショナーでサラサラになってる。

 こいつ、一時間以上も風呂を楽しみやがって。

 昔から長風呂なんだよな。

 うーん、でもなんか、こう、お風呂上がりの女の子って、すっごいふわりと香るいい匂いがしてさー。

 いいよね。

 そういや、こいつは格ゲー好きだったような……。

 

「私、スト5でグラマスだから。……ここでこの三人にさ、さっきレイプ殺人されかけた恨み、はらしていいんだよね?」

 

 グラマスってなんだ? うーん、よくわからんこといってるけど、自分のレイプ殺人未遂の恨みなら、どんだけ晴らしても許されると思う。

 

 

     ★

 

 

 一瞬だった。

 吸い込まれたようだ、と春樹は思った。

 

「は?」

 

 と思う間もなく、春樹はフレッシュゴーレムに抱き着かれた状態で空中におり――しかも頭が下だ!――ドリルのように回転しながら頭から床にたたきつけられた。

 

「ごはっ!」

 

 死んだ、と思った。

 慎太郎の耳から強奪した守りのピアスの効果がなかったら、まじでクリティカル死していたかもしれない。

 ありえない動き、ありえないモーション。

 今の、なにがどうなって俺はこうなったんだ?

 

 くそがっ。

 

 さすがに春樹はすぐにたちあがれず、床をなめるはめになった。

 自分で自分に回復呪文をかける。

 見ると、春樹に今スクリューパイルドライバーをしかけたフレッシュゴーレムは、自分の動きに死肉の強度がおいつかなかったのか、バラバラになっている。

 

 ――追撃を受けてたら、死んでた。

 

 頭部への衝撃による吐き気を感じながら、春樹はぞっとした。

 

 

 

 

 

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