【完結】アンデッドダンジョンの最深部でパーティ追放されてボコられて放置された結果、俺を拾ったダンジョンのラスボスの女の子が俺のご先祖様だったから後継者に指名された件。今日から俺がダンジョンマスターだ。   作:羽黒楓

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第28話 生まれたばかりの赤ちゃん【※※※和彦視点】

 と、そこに和彦の足元になにかモンスターがカサカサと這い寄ってきた。

 ぱっと見は昆虫なのだが、その六本の手足が人間のものになっている、最高に気持ち悪いモンスターだ。

 

小炎(ファリトー)!」

 

 攻撃呪文をかけると、そいつはすぐに燃えさかって灰になった。

 くそ、気持ちの悪いダンジョンだぜ……。

 

 だが次の瞬間、

 

「「「「あーーーー!」」」」

 

 慎太郎たちとラスボスの四人が同時に声をあげてこっちを指さした。

 

「な、なんてことを……和彦、お前……」

 

 パクパクと口を開閉させてあえぐようにいう慎太郎。

 

「そ、そんなひどい……そこまでの人だとは思ってなかったよ……」

 

 ほのかは涙を流し、声をつまらせていう。

 

「う、生まれたばかりの赤ちゃんを……こ、ころした……! ひ、ひとごろし……」

 

 桜子は嘔吐しそうになっておえっとえづいた。

 

「いやー、わが部下、和彦よ……。今のはさすがのあたしも引いたぞ……生まれたばかりの美香子の赤ちゃんを焼き殺すとは……さすがにないわー」

 

 ラスボスも呆れたようにいう。

 美香子?

 なんだ?

 こいつら、いったい何を言っている?

 

「ぱおおおおおおおおん!!」

 

 像とタコの合いの子みたいなキメラが怒り狂ったように頭を振って吠えた。

 エロかっこかわいいカウガール姿のラスボスは、象とタコのキメラの頭をなで、

 

「おーよしよし、大好きな兄が殺されたんだから怒るのは当然だ。だけど、あいつはいまやあたしの部下だから、こらえてやっておくれ……。しかし、お前も美香子の腹の中で“混じって”こんな形で生まれてくるとか、きわめて何か、生命の神秘を感じるよなー」

 

 それに答えて慎太郎がいう。

 

「いや、ごせ……ラスボスよ、俺には生命への侮辱を感じるけど……」

 

 いったいこいつらは何を言っている?

 

「あ、赤スパありがとー! また“五月雨を集めてハヤシライス“さんですね! えっと、『桜子さんは処女ですか』あんまりそういうこと聞くと、NGにいれちゃうよ? まー赤スパだからこたえるけど、処女だよー。でもあそこにいる和彦君にガチで顔をぶん殴られてレイプされそうになった。和彦君と春樹君は人類を裏切ってアンデッドキングの部下になったみたい。あ、”のしのし梅子“さんもスーパーチャットありがとう! ナイスパ! 切り抜きチャンネル作っていいですか……? うん、いいよ、いっぱい拡散して! ただし収益は半分こっちに渡してね。うわぁ、同接どんどん増えてる……十万人突破しちゃった。ほのかさんのおしっこしてるっぽいけどおしっこじゃないからBANされない配信があんなにバズるなんて」

「わたし、お茶を飲んでただけなんだけど……」

 

 納得いっていない顔のほのか。

 

「こっちは十二万人やな、まさかなー。人間の出産シーンにはとても見えないからBANされない美香子の出産配信があんなにバズるとはなー。あたしの配信もどんどん切り抜いてーな」

 

 

 くそ、しかしやばい、これを配信してるどころか、切り抜いて拡散とかまじうぜえ!

 変なことを配信されると生還できても学校での……っていうか人間界での居場所を失うぞ!

 あと美香子の出産とかいってたが、なんらかの拷問を受けたのは理解した。

 あいつがどうなろうと知ったことじゃないが、全力であたらなければこっちもやばいことになりそうだ。

 

「俺が人類を裏切っただと!? なにを言っている! ……くそ、慎太郎、ほのか、桜子! お前らこそアンデッドとしてよみがえったモンスターだな? くらえ、闇の力よ、消え失せよ。悪夢の力を解き放て。聖なる神よ、我が声に応えたまえ、――解呪!!」

 

 和彦は慎太郎たちにむかって解呪をしかけた。

 

「ひぃっ!」

 

 ほのかがそそくさと慎太郎の陰に隠れる。

 やはりこいつらはアンデッド――と思ったが。

 慎太郎と桜子がほのかをかばうようにずずいっと前に出てきた。

 解呪の聖なる光が慎太郎と桜子の二人を包むが、――なにも、起こらない。

 

「俺を殺そうとし、桜子をレイプ殺人しようとした、和彦、春樹! 暗黒面に落ち、アンデッドキングの部下になるなんて! 奇跡の生還を果たした俺と桜子、そして聖なる力で蘇ったほのかさんとで、お前を闇の力から救ってやるぞ!」

 

 剣を抜く慎太郎。

 なにがどうなってるのか知らないが、慎太郎が和彦たちに殺意を抱いていないわけがないので、戦闘はさけられそうになかった。

 

「おや、“五月雨を集めてハヤシライス”さん、こっちのチャンネルでは初めてやんな。赤スパありがとさんなー。ええと、アンデッドキングさんはいいスタイルしてますね。なにカップですか? なるほど、あたしはFカップや!」

 

 アンデッドキングのスパチャ読みに、ほのかが間髪入れず叫んだ。

 

「ぬーぶら込みでAカップのくせに! そんな嘘をつくとはやはり邪悪なアンデッドキング! まずは部下からやっつけてあげる!」

 

 それが戦闘開始の合図となった。

 

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