【完結】アンデッドダンジョンの最深部でパーティ追放されてボコられて放置された結果、俺を拾ったダンジョンのラスボスの女の子が俺のご先祖様だったから後継者に指名された件。今日から俺がダンジョンマスターだ。   作:羽黒楓

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第39話 ママになろう! part2【※※※春樹視点】

 春樹は、目を覚ました。

 あまりの痛みで意識を失っていたのだ。

 殴られた顔面も股間も、まだ痛む。

 それでも、気絶しているあいだに回復魔法でもかけられたのか、命を失うほどでもない。

 

 春樹は立ち上がろうとして――自分が縄で縛られていることに気づいた。

 後ろ手に縛られて床に転がされているのだ。

 くそ、身動きがとれない。

 周りは真っ暗闇だ。

 なんの明かりもない。

 ここはどこだ、どうなってる?

 真っ暗闇のなか、なにかがこちらへ這いずってくる音が聞こえる。

 モンスターかなにかか?

 

 ――まずいぞ!

 

 芋虫のように体をもぞもぞ動かして、なんとかのがれようとするが、あまりにもきつく縛られていてどうしようもない。

 ついに、その“なにか”が春樹にまとわりついてきた。

 大きさは三十センチくらいか、カサカサという羽音がきこえる、だが触れる感触は人間の赤ん坊の手のよう、そいつは5~6匹ほど春樹の身体を這うようにまさぐっているのだ。

 本能的な嫌悪感が春樹を襲う。

 

「や、やめろ、やめろっ!」

 

 もちろんそんなことをいってモンスターがやめるわけがない。

 皮膚にチクリと痛みを感じた。

 ――こいつら、俺を食う気か!?

 

「くそ、くそ、くそ、くそ!」

 

 こんなところで、全身を縛られて、モンスターにかじられて死ぬなど――。

 死ぬ?

 俺は、死ぬのか、モンスターに食われて?

 いまこの瞬間まで、春樹は自らの死など、考えたこともなかった。

 それが、その“死”が、目の前まで来ている。

 突然のパニックが春樹を叫ばせた。

 

「やめろっ、やめてくれっ助けろ、だれか、だれかッッ!!! 助けて! 助けて! たーすーけーてー!!!!!」

 

 喉がかれるほど大声で叫び、全身をくねらせてモンスターから逃れようとする。

 皮膚をかじられる痛み、恐怖で脳細胞がいっぱいになる、死ぬ、死ぬ、死ぬ、いやだ、いやだ、死にたくない。

 

「助けてっ! 助けてっ! 助けろ! ぎゃあああ! やめろ! だれか! だーれーかーーーーー!!」

 

 と、部屋のドアがギギギと重たそうな音とともに開いた。

 助かった? 

 いやどうなんだ、誰が来たんだ、俺はどうなるんだ?

 部屋に明かりが灯り、四人の人物が入ってきた。

 

「うるさいやんなあ……美香子のかわいい赤ちゃんがじゃれてきているだけやんか」

 

 ロリータファッションの少女がそういい、

 

「そうよ、ミカジロウにミカサブロウにミカシロウにミカゴロウ、そんな怖がらせちゃ、だめよ」

 

 胸から下がアンデッドになっているポニーテールの少女――ほのかはたしなめるようにそういった。

 

「……うっわー、この光景はきっついねー」

 

 桜子が顔をしかめる。

 

「……記念に写真をとっとこうかな」

 

 そして慎太郎がタブレットを春樹に向けた。

 そこで春樹は初めて気づいた。

 自分にまとわりついてきているモンスター、そいつらはゴキブリに人間の手足が生えた、異形のモンスターだった。

 そいつらが春樹の身体にまとわりついて、あちこちをかじっているのだ。

 

「ひぃぃ! やめ、やめろ、やめぇぇ……た、たすけてぇえ……」

 

 と、桜子は目を細めて春樹に冷たい声で言い放った。

 

「私を犯して殺そうっての、春樹君の発案だって美香子ちゃんから聞いたけど、ほんと?」

「ちがう、嘘だ、嘘だ、和彦だ、俺は反対したんだ、許して、許してぇ!」

 

 慎太郎が桜子に尋ねる。

 

「どうする? 許す?」

「………………許したくないけど?」

 

 桜子が答えた。

 

「よっしゃ、あのな、これは美香子ちゃんにもいってやったんだけどな」

 

 ロリータファッションの少女、アンデッドキングが口をはさんだ。

 

「やっぱり人間、こどもをなして親になると、見える世界がかわるんや。春樹くん、君も親になって子をなせ、そうすれば改心するやろ、いいお嫁さんを紹介してやる!」

 

 ほのかが残酷な笑みで、

 

「わあ、よかったね春樹君、高校生でお父さんになれるよ! で、どのモンスターが春樹君のお嫁さんになるんですか?」

「せやな、マイちゃんがええな! おいで、マイちゃん!」

 

 すると隣の部屋から、人間ほどもあるモンスターが、ズルズルと這って入ってきた。

 

「じゃあお見合いしよな! 巨大カタツムリゾンビのマイマイちゃんや! 春樹君、君はマイマイちゃんと結婚して、子供をつくるんやで!」

 

 慎太郎がいぶかしげな表情でいった。

 

「でもご先祖様、俺、春樹のアレをつぶしちゃいましたよ。回復魔法で回復もさせてないし……こども、つくれるかなあ?」

「心配すんなや! カタツムリはなあ、…………ふふふ、雌雄同体なんや! 春樹君、君は、これから、パパになるんやない、ママになるんや! 大丈夫、モンスターの魔法的なアレで君も子供を産めるから!」

「……! …………!!」

 

 春樹は無言で芋虫のように全身をくねらせて逃げようとするが、そこにカタツムリゾンビがおおいかぶさってきた。

 ヌルヌルネバネバの粘液にまみれたとろとろのカタツムリゾンビの触覚がのび、逃げる春樹を捕まえて、ズボンを破く。

 

「あ、タスケ、タスケ、ダ、ダメ、ダメ、ア、ア、ア、……」

 

 ほのかと桜子が両手で顔をおおう。もちろん、指と指のあいだからガン見しているが。

 

「うっわぁ……えっろい声だしてる~」

「春樹君、メスになっちゃうぅ……」

 

 そうして、春樹は、皆に見守られながら、“女”になったのだった。

 

「あああぁぁぁぁぁぁあああぁぁあ~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!」

 

 産卵期になれば、今度は春樹は、立派な“母”になるであろう。

 

 

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