カヤちゃんが征く!   作:無名のカヤ推し

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Episode13:私達の敵、ってことでいいんだよね?

 それは、突然起こった。とある日の午前中、対策委員会の面々は先日のヘルメット団の拠点を壊滅させた際に発見された、違法武器についての話し合いをするために集まっていた。対策室に殆ど全員が集まり、いざ話し合いを。と思っていた矢先。

 

 アヤネの持っていたタブレット端末、そして先生とモエの端末から警報が発させれた。

 

 その警報は、敵対勢力の接近を知らせるものだ。屋上に設置してある遠隔探知式のドローンが、学校の周囲一定範囲を見張っており、もし敵対勢力と思わしき相手がセンサーに引っかかった場合は警報とともにタブレット端末に情報が行くようになっている。

 

 その警報と同時、ホシノ以外のアビドスの面々は慌てたものの、シャーレの部員達の動きは迅速だった。ミヤコとアイコンタクトを取ったミユはすぐさま自身の武器、『RABBIT-39式小銃』を手にして走り出し、屋上の狙撃ポイントへと向かう。モエはすぐさま護身兼護衛用の『防衛室標準指定拳銃18型』をチェックして、タブレット端末をオートマトン指揮モードに変更。キャンプに待機状態となっている、3機のオートマトンをスタンバイモードにしていつでも動かせる状態にした。

 

「やはり、来ましたか。先生とアヤネ、モエはここで指揮をお願いします。モエ、お二人の安全は任せましたよ」

 

「りょーかい。これでも基本的なCQCは先輩に叩き込まれてるんだ、任せてよ」

 

『こ、こちらミユです。狙撃地点にて敵勢力を確認。目視及びセンサーに相手の狙撃手は見当たらず。交戦の場合、優先順位に従い狙撃を行います』

 

「ミヤコです。了解しましたよ、ミユ。 ――サキ」

 

「わかってる。交戦の場合、戦術プランCを実行。その後は……プランBだな!」

 

「『プランB?ないわよ、そんなもの。全力でぶちかましてやんなさい!』……クルミ先輩の十八番ですね。ええ、やってやりましょう」

 

 当たってほしくない予測ほどよく当たるとはよく言ったものだ。アヤネのタブレット端末をはじめとした、敵対勢力が確認できる画面には、先日柴関ラーメンで会った便利屋68の面々の姿、そして雇われの傭兵と思われる大多数の生徒の姿が映り込んでいたのだから。

 

 

「はぁ……こうなっちゃうかあ。じゃあまあ、予定通りに」

 

 落ち着き払った声でホシノは淡々と告げた。

 話し合いをするだけはしてみよう。きっと、結果は見えているのかも知れないが。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「襲撃者が誰かと思ったら……昨日のあんた達だったのね!大将の好意でラーメンも無料で特盛にしてあげたのに!この恩知らず!」

 

 アビドス高校の正門前。そこでは、それぞれの勢力が対峙していた。片や、便利屋68を中心とした襲撃者側。もう片や、アビドスの面々に加えてシャーレの部員であるミヤコとサキがフロントに出てきている。

 

 ひとまず先生の意向とホシノの考えもあって、あえて要塞化している敷地内での籠城はせず正面での話し合いの形を取った。しかし、アル達は気がついていないが校舎の屋上には既に目標を捕捉しているミユに、オートマトンを稼働待機させ、先生とともに状況を見ているモエが居る。

 

「あはは、この件は本当にありがと。いや冗談抜きで食事に困ってたから命拾いしたんだよねー……。まあ、それはそれ。これはこれ。こっちも仕事でさ」

 

「悪いとは思ってるけど、公私の区別はしないと。受けた仕事はきっちりこなす、それがうちのモットーだから」

 

 カヨコとムツキの発言に対して、怒りを燃やすセリカ。それはそうだろう。公私の区別をつけるといっても、事実上大将の好意を利用したようなものなのだから。

 

「まーまー、セリカちゃん落ち着いて。……自己紹介は昨日したし、いいよね? 一応アビドス高校の対策委員会の委員長として確認なんだけどさー、どういった用件かなー?」

 

 セリカをなだめ、今にも飛びかかるのではないのかという雰囲気のシロコを大人しくさせるようにしてホシノが前に出てそんな事を言った。

 

「私達は依頼でアビドス高校の襲撃を依頼されて来たわ。悪いけれど、依頼だからアウトローらしくスマートにこなさせて貰うわよ」

 

「んー、おじさん。学生ならもっと真っ当なアルバイトとかあると思うんだけどなあ」

 

「ア、アルバイトじゃないわ!れっきとしたビジネスよ!会社だってあるんだから!私が社長で、カヨコが課長、ムツキが室長、そして社員がハルカよ!」

 

「おー、そうなんだねえ。なるほど、ビジネスか。 ――それなら確認なんだけど」

 

「ふふん、何かしら?」

 

 それまでのだらけていた雰囲気が消えた。それを感じ取ったカヨコはゾクリ、と。不味い予感と、自分の中で何かが警鐘を鳴らすのを感じた。

 

()達の敵、ってことでいいんだよね?」

 

「そうね。 ――こっちも仕事だから、悪く思わないで  ……えっ?」

 

 敵である。そう回答して、開戦の合図かのようにアルが銃を向けた瞬間、状況は動いた。

 

 

 銃を向けたアルを、カヨコが突き飛ばしたのだ。

 突然のことに驚くアルだが、そんなことに対して形振り構わずカヨコが叫ぶ。

 

 

「あ……ぐっ……!ムツキ、早くアルを連れて隠れて!」

 

 

 結果的にカヨコの咄嗟の直感による行動は正しかった。

 

 

 何故ならば。もし、カヨコが咄嗟の行動を起こしていなければ今頃アルは頭を撃ち抜かれてダウンしていたのだから。

 

 突然の出来事だったが、それが狙撃だとわかった瞬間交戦は開始された。ムツキはカヨコの言葉だけでその意味を理解して、混乱しているアルを正門から離れた遮蔽物の裏に移動させた。同時、雇っていた傭兵の生徒達が戦闘を開始する。

 

「カ、カヨコ!」

 

「来ないでッ!私はいいから、態勢を立て直して!やっぱりこの子達……ヤバイ……!」

 

 そして。アルを庇ったカヨコはといえば、ほぼ継戦は不可能の状態だった。

 アルが銃を向け『敵である』と宣言した瞬間、ミユは一切の容赦なく狙撃を行った。

 

 しかしそれは、咄嗟に動いたカヨコに左足に命中することとなった。高威力のピンポイント狙撃である。いくらカヨコといえど、左足には痛みが奔り上手く動かせなくなる。立て直しを図ろうとするが、それを許すミユではない。すぐさまスナイパータレットによる牽制射撃。そして、ボルトアクション式のライフルを素早くリロードすると、容赦なく倒れているカヨコの右腕を狙い、彼女の持っていた拳銃を弾き飛ばすと同時。その射撃でのダメージで右腕も使えなくする。

 

 ミユが意図的にカヨコを戦闘不能へと追い込まないのには理由があった。そして、それについてカヨコは理解していた。要するに、おびき出すための生き餌である。

 

 任務の時のミユは冷静だ。だからこそ、非情な判断も取ることが出来る。遮蔽物のない戦場の中、まだ意識がある仲間が苦しんでいたらどうするか。良心的な心を持つものであれば、助けようとするだろう。ミユの狙いはそれだ。カヨコを殆ど戦闘不能の状態にして、武装解除状態で戦場の真ん中に放置する。そうすれば、アル達は助けに来ようとする。

 

 助けに来るということは、カヨコと同じように狙撃の射線に入るということだ。そこを狙い撃つ。だが、それを理解していたカヨコはアル達に来るなと叫んだ。助けに来る可能性が低くなった以上、意識を残しておくのは危険か。そう思い、迂闊に動けないようにスナイパータレットで牽制していたカヨコの意識を刈り取ろうと、照準を合わせた時だ。

 

 

『待った、ミユ! ――彼女と話がしたい、撃つのは待って欲しい』

 

 

 先生からの通信だった。どうやら、先生には何か考えがあるようだった。そして、自分達の上官は先生でもある。その指示に従い、狙撃対象を変更。現在、アビドスの面々。そしてミヤコとサキと交戦している傭兵達、そしてまだ残っている敵主力のアル達へと照準を変える。

 

 

「不味いなあ、これ……なんとかしてカヨコちゃんを助けないと。 って、何この音。ローラーみたいな……は、はぁ!?」

 

 戦場のど真ん中。現在は複数名の傭兵の生徒がカバーに入り守られているが、動くことはほぼ不可能のカヨコをどう助け出すかムツキは思案していた時。音が聞こえた。それは、機械的な、ローラーが回転するような音だ。

 

 そして、見た。

 

 アビドス高校の正門の内側。そこから、3機の重装備のオートマトンが、その二足の脚部についているローラーで重装甲とは思えない速度でダッシュしながら、前線へと移動していることに。

 

「な、なにあれ!?完全重武装のオートマトン!?右手側部に固定式のLMG(ライトマシンガン)、右手腕部にグレポン付きのAR(アサルトライフル)、左手に大型バリスティックシールドって、なんでこんなものがアビドスに!?」

 

 現れたオートマトンは、最前線で携帯式のバリスティックシールドニショットガン。『Eye of Horus』を構えたホシノの近くでシールドを構えた戦闘態勢で布陣し、ラインを構築するようにした。

 

「おっ、頼もしいねえ。それじゃ……一気に前線を押し上げようか!」

 

 盾持ちが合計で4。前線を押し上げようとしていた傭兵たちは、オートマトンのローラーダッシュと同時のシールドバッシュにより吹き飛ばされたり、重装備による斉射で次々とダウンしていく。

 

 そうして。一気にラインを上げられたことにより、カヨコがダウンしている所までアビドス陣営に到達されてしまう。そして、オートマトンの1機が、ホシノと残る2機の援護の下、装備をウェポンラックへと格納。バリスティックシールドも非展開状態にして腰部の武装ラックに移すと、そのまま横抱きにするような形でカヨコを回収。アビドス高校の内部へと撤退していった。

 

「カ、カヨコ!――あ、あなたたち!カヨコに何かしてみなさい、絶対に許さないわ!」

 

「ああ、安心していいよ。利用したのはこっちだけどあのままじゃちょっと危なかったしねえ。それに、ちょっと話をするだけらしいから、ちゃーんと無事に返してあげるよ。それよりも、自分達の心配をするべきだとおじさん思うなあ」

 

 遮蔽物の後ろからの悲鳴に近い叫び。それに対してホシノはそう回答した。事実、アビドスとしては彼女をどうこうするつもりはない。戦術的な意味で確かに囮として利用したかも知れないが、こういった自治区同士の抗争ではよくあることだ。相手をCQCにより武装解除し、拘束状態で盾や人質にするなどよくあることなのだ。

 

 開戦から数分。その時点で、便利屋68の陣営は滅茶苦茶だった。指揮官クラスであるカヨコはダウンし、連れ去られた。残った3人に高度な戦術指揮ができるわけもなく、アルも冷静ではない状態。なんとか後ろに下がってラインを構築したが、そのラインもボロボロにされつつある。

 

 真正面からはホシノとバリスティックシールドを構えた2機のオートマトン。手榴弾程度ではビクともせず、ホシノの『Eye of Horus』とオートマトンの重装備による制圧射撃により、どんどん前線は上げられている。

 

 その後続に続くのは、アサルトとして敵陣を制圧するシロコとセリカ。タンクのフォローを受ける形でノノミ。ポイントマン・アサルトの両方の動きができるミヤコは、サキの動きに合わせて開幕ドローンの閃光弾により敵陣を撹乱、そのままサキと共に突撃して傭兵たちの陣形をかき乱している。

 

 タンクにアサルト、ポイントマン。後方にはスナイパーとタレット。人数では圧倒的優位だったはずなのに、相手の練度や実力はその遥か上を行っていた。特に、アル達が感じたのは、アビドス所属のホシノ。そして前線に出てきているミヤコとサキ。この三人は圧倒的だ。まず止めることなど不可能だと感じるほどに。

 

 加えて、相手のスナイパーの練度も常軌を逸している。隣を見た次の瞬間には、誰かが狙撃されている。それがどれだけ恐怖を助長することか。前線を押し返そうにも、身を翻せば間違いなく狙撃手に狙われる。加えて、相手のLG持ちの生徒とLMG装備のオートマトンにより制圧射撃もされている。特に狙撃手は、明らかに自分達便利屋68に対して狙いを定めていた。よって、迂闊に前に出ることも出来ない。

 

 状況は、アビドス陣営が有利。その状態で、戦況は続こうとしていた。

 




■ミユ
 意図的に狙撃対象にとどめを刺さずに利用する、という戦い方はSRTのカリキュラムにはない。実践的で非情な狙撃手としての戦い方は、指導担当のオトギから教わった。

 便利屋側に配置されている狙撃手や主力兵器がなかったことから、柴関ラーメンで確認していた事前情報と、スコープ越しに確認した武器情報から相手のリーダーかつ、スナイパーライフル持ちであるアルに対して真っ先に狙いを定めていた。

■クルミ
「プランB?ないわよ、そんなもの。思いっきりぶん殴ってやりなさい!」

 オトギがとあるレトロゲームをやっているのを隣で見ており、ある台詞を聞いて電流が身体を駆け巡ったとか。通称プランB戦法は彼女の得意技のひとつでもあり、「とりあえず戦況に困ったら思いっきり暴れなさい」は呆れるほどに効果的な戦い方でもある。

■ワカモ
 フル装備のチェックが終わったので、カヤちゃんと色々打ち合わせ中。装備の確認のためにユキノとお互い全力で模擬戦をやって、敗北したものの模擬戦後のユキノはそこそこに息が上がっていた。カヤちゃんを除くとユキノがシャーレ戦力で最高戦力であるため、その彼女が息を上げる状態になるくらいの強さは持っている。

 シャーレでのお役目にあたり、本人としては一気に後輩を4人受け持つことになり真面目に教導について考えつつも内心わくわくワカモちゃん状態である。

 実は、百鬼夜行在籍時には後輩と呼べるか怪しい関係だったが、『ある名家のご令嬢』と先輩後輩関係に近しい関係だったとか。百鬼夜行を去ってからは連絡は取り合っていない模様。

■あとがき

今回は特に書くことがないので余談ですが作者の脳内でのカヤちゃんとFOX小隊、それからリリィちゃんの脳内CVはこんな感じ。

・カヤちゃん
CV阿部里果。某アズールのZ23、カタルシス歌ってる時の声質のイメージ。脳内ではあの声で『まだです!』とか言ってる。

・ユキノ
CV森なな子。イケメンのイメージがあるので某インパクトの召使っぽい声のイメージ。お父様とは呼ばれないが先輩と呼ばれて超慕われている。

・ニコ
CV高橋美佳子。お姉さんっぽい印象とふわふわした感じが多少あるのでリリなののキャロみたいな声のイメージ。

・オトギ
CV山本希望。崩壊3rdのフェリスっぽい声。のんびりとしたイメージがある。

・クルミ
CV釘宮理恵。緋弾のアリアのアリアとかみたいな気の強い声のイメージ。

・リリィ
CV Lynn。作者の趣味で某ファイナルなファンタジー14のスフェーンの声のイメージ。


 作者の脳内ではこんなイメージで色々と物語のやり取りをしたりしています。
 
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