割と怒涛の展開がある後半章。
■予告 エデン条約編 ‐熾天使の捧ぐ、紫陽花の花束‐ 【後編】
――迫りくる絶望。その苦難を前に先生と英雄達の前に現れたのは、『魔王』だった。
『……なぜ貴女が手を貸してくれるのですか?アリスさんの時とはわけが違いますよ、今回は』
『それに貴女はあちら側のはずです。何故、ゲマトリアの貴女が私達や先生に協力を?』
『目的のためにお前たちの障害となり試練となること、それに変わりはない。だが、今回は事情がある』
『――あの愚か者は超えてはならない一線を越えた。それだけのこと』
『私利私欲のために生徒の持つ輝きを発揮させぬようにする。ああ……許し難い、最早我慢ならぬと思ったのだ』
――疑心暗鬼に陥ったことを後悔する少女の前に現れるのは、仮面を捨てた少女。
『私もかつて、疑心暗鬼になって取り返しのつかないことをしましたわ。……でも、先生や他の皆さんのお陰で前を向けました』
『……ワカモさん。まさか、かつて百鬼夜行に居たという『天狐』とは』
『ふふ、さて。どうでしょうか?少なくとも私は、シャーレの狐坂ワカモですので』
『ナギサさん、あなたはもう少しその仮面を外してみることです。それからもっと自分を自由にしてあげなさいな。きっと、いい方向に向きますわよ』
――全てを救うと決めた熾天使の少女は、天使の軍団長たる少女と向き合う。
『私が止められなかったからッ!だから、だからあの子はあんなことになった!全部、全部私が弱かったから!』
『だから、全部滅茶苦茶にして壊そうと思った!大嫌いなゲヘナも、同じくらいに憎いトリニティも!そして一番嫌いな、何も出来なかった私も!』
『……ままならないよね、リリィちゃん。本当は、こんなこと望んでなかったのに。どこからおかしくなっちゃったんだろ』
『――ボクは、トリニティが嫌いです。この先、許すことはないでしょう』
『でも。ミカ先輩、あなたは違います。知ってました、先輩がかつて裏で奔走していてくれたことを』
『逃げていたのは、
――襲撃される調印式。混乱の最中、真っ先に動いたのは自由と混沌を統べる王者だった。
『この場に居るゲヘナ生全てに告げる!奴らは我らの同胞に武器を、敵意を向けた!』
『我らはゲヘナ!我らの
『前を向け、轡を並べ武器を構えよ!我らは我らの全てを以て、自由という尊厳を守り抜かん! ――諸君、返事はどうした!』
『貴様らはウチの期待の後輩に武器を向けた。覚悟は良いな、愚か者共ッ!』
――その絶望に、抗う者たちが居た。
『無事か、ヒナ』
『七度、ユキノ!?どうしてここに!?』
『カヤと先生の指示だ。……酷い怪我だ。少し休んでいろ』
『お前達、今の私は少し頭にきている。 ――
『ご無事でなによりですわ、ナギサさん』
『ワカモさん、どうしてここに……』
『もし私がアリウスなら、最も厄介な相手を狡猾に。確実に潰します。だから予測できました』
『安心して下さい、サララコさんや他の方の所にも心強い援軍が向かっています。 ……さて』
『覚悟はよろしいですね、アリウスの皆さん。私、先生の御身まで狙われて今自分を抑え込むので精一杯なんですよ』
『……いい腕だ。連携も素晴らしい』
『あ、ありがとうございます!あのツルギ先輩にお褒め頂くとは恐縮です……!』
『きひっ、謙遜しなくていい。私の動きについてきながら、周囲への対応を怠らない。流石はSRT期待の星だ』
『今、RABBIT3とRABBIT4が航空機で各方面を支援して回っています。なので私達しか居ませんが……』
『……きひひ、十分だ。カヤやヒナ、ネルがベタ褒めすると言うだけある。背中は任せたぞ』
――襲い来るは人形の軍団。
――皇血と定められた契約により契られた強靭な軍団は強大だった。
――しかし、悪意の根源は気が付かなかった。
――本来それを従える者が居るのだと。
『顕現しているユスティナ聖徒会の約半数が動きを止めて異変を見せている!?一体何が起こっている!?』
『動きを止めた異形の者達が光りに包まれて――なっ、仮面が消えて装備が変わった!?』
『全員、同じ顔。でも、まるであの姿は――』
『天使達が、此方を援護し始めた?』
『――楽園の統率者の名において主命を告げる』
『禁は破られた。
『もう、
――想像もしないような形で、一部とは言えゲヘナとトリニティは協力することが出来た。
――共通することがあるとすれば。それは、それぞれが胸に秘める矜持と誰かを守るという意思だろう。
――シャーレの下に今、ゲヘナとトリニティが集った。
――『反撃』が始まる。
『つまり、このユスティナ聖徒……とは違うので、
『一時的にとは言え顔が同じの500名近い部下が出来たんですけどどうしたら……え?ホワイトボードで絵とか文字使って意思疎通できるんですか貴女達』
『無表情でジト目になったり呆れ顔になったりと随分表情豊かですね!?というか随分とボクの扱いが雑じゃないかなあ!?一応盟主!熾天使だからね!?えっ、なにその微笑ましいもの見るみたいな視線!?』
『啀み合っていた者達が、守るべき者と信念のために歩み寄る。なんたる素晴らしき光景か……このような輝きを見せられて、私も気分が高揚してきたぞ!』
『頼みますからお得意の『神秘』ぶっ放すのだけはやめてくださいよ、いや本当洒落にならないんで』
――最奥で待つのは、全ての元凶。先生とは違う、汚い大人。
――そんな大人は、汚い手を使ってきて。
『既に私は
『このまま行けば核のあの子は保たないでしょう。その時は新しい核として、『熾天使』。あなたを使いましょうか』
――家族を盾にされた時。キヴォトスの守り手として決断しなければならないと少女は覚悟する。
――しかし。そんな結末を許さない、先生ではない
――絶望の化身たる異形の支配者。
――それに対峙するのは、黒赤の長髪を持つ気高く美しい大人。
――それはまるで魔法のようで。
――真なる魔女が、現れる。
『そんな……ありえない!私と同じ力、同じ崇高を……儀式も核もなしにどうして!?』
『うそ……『マム』!?』
『諦めるとは、貴女らしくありませんねリリィ。そんな子に育てた覚えはありませんよ、私は』
――勧善懲悪のありきたりな物語。最後はハッピーエンドで終わる、ありがちな物語。
――でもきっと。望んでいたのはそんな結末で。
――その先にあるものこそが、
『お、お姉ちゃん。何処にも行かないから。は、恥ずかしいよ……スズミ、サッちゃん助けて……』
『だめだよ、今までの分ぎゅーってするんだから!』
――大切なあなたに。目一杯の祝福と花束を。
――エデン条約編 ‐熾天使の捧ぐ、紫陽花の花束‐ 【後編】 開幕。
『あなたが小さい頃に言ったでしょう?よく聞かせてあげた、あのおとぎ話で』
『私は滅びてしまった世界からやってきた、魔法使いだと』
――『絶望』と『選択』の先で、『奇跡』と『魔法』が結末を告げる。
■うらがき
エデン条約後編は決戦の章。シャーレ、トリニティ、ゲヘナ陣営と原作と比べてなんか色々と不穏な空気漂ってるアリウス陣営での決戦。とりあえず絶対に許さんぞベアトリーチェとドン・サウザンド!
前書きにも書いた通りだいぶ怒涛の展開の後半章。黒赤の長髪の魔女……一体何者なんだ……。