元殺し屋、元気なお姫様に苦悩する   作:Check

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第3話 何か性格無茶苦茶変わったね

「ベルリス! 素晴らしい朝が来たよ! さぁ、起きよう!!」

 

 ばさと鳴らす掛ふとんの音を聞いた俺が目を少しあけたところで俺は眠たげな意識を頑張って覚醒させるように両腕を前へと伸ばした。ひんやりした感触が手に伝わり驚いて目をあけると、少女が瞳をぱちくりとさせていた。

 

「ウリマ。起こしてくれてありがとう。両手を離してくれ」

「……嫌だよ。だって二度寝するじゃん」

「バレたか」

「バレるよ。さぁさぁ、起きて準備しよう!!」

「うわっととと、引っ張るなって!」

 

 俺は片手を引っ張られながら相棒のウリマに自室の洗面所へ向かわされた。俺は、奴の監視を受けながらため息をついて洗顔する。タオルで顔を拭き終えると意識が、ゆっくりと覚醒した。

 

「ウリマ。お前相当性格変わったな。昔はもっとおしとやかじゃなかったか?」

「いやいやいや。昔からこんな感じだったよ?」

「ん?」

「へ?」

 

 互いに不可思議な間をあけながら俺たちは顔を見合せた。

 今から一年前、記憶喪失のウリマを誘拐してから俺は奴を育てる日銭を稼ぐために万事屋「ブルータス」として活動を開始した……具体的にどんな事件があったとかは今の所数が多いから、キリがないので割愛はするが、これを開始してから最初の時は内気な少女だったと記憶している。

 

 そんな彼女が元気よく積極的にやり取りをし始めたのは、半年経過してからだ。オスの味を知ったのか、はたまた友人から言葉遣いを直せとでも言われたのか不明だがとにかく急速に向上したのである。

 

 全く理解が追い付かない状況に一時困惑はしていたが、人間というのは時間経過に伴って慣れが生じるというもので、あっという間に彼女を受け入れられるようになった。

 

「それじゃ、行ってきます!」

「行ってきます」

「行ってらっしゃい、二人とも」

 

 お世話になっている婆さんが作った飯を一緒に食ってから諸々の出かける準備を済ませた後、いつも通り宿を後にする。温かな日光を浴びながら街を歩いているといつも通り色々な人々に声をかけられる。

 

「こんにちはぁ、ベルリスさん。今日もお仕事かしら?」

「こんにちは。今日もぼちぼち働いていく予定です。困っていることとかはありますか?」

「ないわねぇ」

「そうですか。それじゃ、失礼します」

 

 俺はお婆さんとの会話を中断し、その場を去った。

 

 薄情と思われるかもしれないが、万事屋として生計を立てるには、自分の足で仕事を勝ち取るという姿勢が必要なのだ。

 

「それに……ウリマが頑張っているしな」

 

 そしてサボれない理由のもう一つは、記憶喪失という不幸な境遇でありながら、仕事に奮闘をし続けているウリマの存在があるからだ。どんな不幸でも跳ねのけて頑張って見せようとする彼女がいるからこそ、元悪人の俺が人のために頑張ろうって思えているのだ。

 

「まさに出会い様様ってやつだな」

 

 そんなことを口にしつつ街を歩いていると――俺は仕事を見つけた。

 こわもてな男三人に一人の少年が殴られているのだ。ガタイが大きいのに、数で攻めるなんてクズがやることだと思った俺は苛立ちを覚えながら現場に向かう。

 

「おい、そこのクズども。殴ったりするのをやめろ」

「あぁん!? 何だてめぇは!!」

「まてっ、こいつ……ブルータスだ!」

「何っ、あのブルータスだと!?」

 

 おやおや、どうやら体の強さとおつむが直結している納金どもの割に噂の情報はしっかりと把握しているらしい。しかも、光り物を抜いてきた。

 

「おいおい、やめようぜそういうの。光り物なんて危ないし、な?」

「うるせぇっ! てめぇをやれば、族から金が出るんだぁ!」

「やっちまえぇっ!!」

 

 周りの男二人が刃物を向けながら襲い掛かってくる。胴体をがら空きにしながら向かってくるその様は、攻撃してくださいと言わんばかりだ。

 

「はぁ……しょうがねぇな」

 

 俺はため息をつきながら、二つのコインを握る。そして――相手の間合いが一定距離になってから、俺は「錬成」と一言つぶやいた。

 

 瞬間、俺の手に握られたコインが光り輝き、物体を生み出す。

 

 錬成された物体は、コンパクトな大きさを持つ拳銃と、銃弾だ。

 拳銃錬成はかなり難しい技術だが、仕組みを全て理解していれば錬成など容易いものだ。

 

 そして、拳銃を向けられれば、どんな人間であれ、両手を上げて動きを止める。

 

「撃たれたくなければその子をはなせ。そして――地面に這いつくばれ」

「は、はひゅ……」

 

 俺は全員に拳銃を向けてから天空に向かって空砲を放つ。銃弾生成が上手くいかないため殺傷性を作ることはできないが、それでも最低限音を鳴らすぐらいは出来るのだ。

 

 そして、音を鳴らされた小物たちは小便を流しながら許しを請う。

 

「ゆ、許して……死にたくないっ……」

「おいおい、小物だなぁ」

「小物でもいいっ……! 死ななきゃ勝ちだ!」

「ふぅん……まっ、いいや」

 

 俺がそんなことを言いながら子供を回収し終えると、入れ替わるように警察がやってきた。

 

「そこの男四人! 動くな!!」

 

 警察は俺たちに向けて銃を向ける。下手な行動をすれば撃つぞというサインだ。

 そして、四人という数は、多分俺も含まれている。

 

 拳銃を持っている人間がいれば、当然そんなことを思うだろう。

 だからこそ、俺はすぐさまこのように口にする。

 

「錬成」

 

 そう口にしたとたん――拳銃と銃弾がコインに戻った。

 

 俺の能力、錬成は物体錬成と物体を元の状態に戻すという二つの行動ができるのだ。

 

「警察さん。これで俺は安全、ってわけだろ?」

「あ、あぁ。いってよし!!」

「あんがとさん。それじゃ後はよろしくね」

 

 難を逃れた俺は、少年と共にその場を後にしたのだった。

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