生きるためにネームドキャラを目指したら幽閉されました   作:あああああああ

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第1話

「どうしてこうなった」

 

少年自問自答する。

 

自分は転生したらしい。そう気が付いたのは何時だったか。意識を取り戻した時、この世界が自分の知るゲームの世界と極度に類似していると気づいた。

 

とある学園RPGファンタジーのゲームであり、界隈ではあまりにもモブキャラが死にまくることから、有名になったゲームだ。

 

だから彼は生き残るために決めたことがあった。それは死なないために主要キャラになることである。ただ、ネームドのキャラであっても脱落する確率がある作品であるため、なるべくストーリーには関わらない位置にいるキャラになる必要がある。

 

そこで、少年が考えついたのは、前作主人公の立ち位置である。ここに入れば、脱落することはない。そう思い色々と小細工を弄してきたわけだ。

 

「漫画でよくある敵VS敵の構図って盛り上がると思うんじゃよね」

 

「そうだな」

 

「主人公がボロボロになって戦うところとか、身を削っての戦い、突然の裏切り、敵が味方になるのも捨てがたいの」

 

「そうだなー」

 

日本のとある人工島に建てられた魔法学園。その与えられた一室の中で、二人の人間が座ってた。

 

一人は黒髪、青目の少年。人形を思わせる美しい顔立ちにすらりと伸びた手足。まぎれもない美少女である。

 

一人は、フリルまみれの豪華なドレスを着た小柄な女。可憐な雰囲気と長い桃色の髪を靡かせる女は、外でもないのにも関わらずなぜか日傘をさしていた。若いというよりかは幼いと形容すべき顔立ちだ。

 

ただ、その二人には決定的な違いがある。関係性を示す装飾品ともいえる物が少年の首には付いていた。デザインはシンプルだが、妖しく輝く首輪である。

 

少年は自問自答する。

 

何故こうなったのだろうか。

 

5歳の頃に前世の記憶に目覚め、とある名家の人間として生きてきた。ネームドになるために数多くの暗躍を行ってきた。

 

この世界には魔法というものが根付いており、魔法使いは兵器としても抑止力としても、さらには国を豊かにする研究者として重宝されてきた。強く優秀な魔法使いたちを多く有する国が、世界を制すると一時期は囁かれ、他国の魔法使いを暗殺するなんてことも少なくなかった。

それ故に、魔法使いたちの権力は強く優秀な魔法使いたちを多く有する名家であれば国家の運営に口を挟めるほどである。

 

しかし、同時に魔法使いたちは畏怖され、憎悪の対象にもなり得る。特に10年前とある魔法使いが起こしたテロが原因で、魔法使いは恐ろしい存在であるという風潮が広まった。

加えて、『永血魔法』呼ばれる魔法を行使できる魔法使いは国家から監視対象とされている。この魔法は現代の魔法使いには再現できない魔法であり、この魔法を使える人間の危険度と有用性は国家を傾けることができるとされている。

 

さて、ここからが重要だ。永血魔法は特別の証であり、保有すればネームドに確実になるであろう魔法だ。世界的に見ても『永血魔法』の使い手は9人しかいない。発現者は魔法を発現した時点で普通とは隔絶する。

 

だから少年は思った。永血魔法が使えるということにしようと。要するに嘘をつくことにしたのである(ロールプレイ)

 

原作知識を元に重要な局面に現れては、意味深なセリフを常に吐き続け、原作知識からクリア後の隠し要素であるチートアイテムを回収し実力を偽造。唯一開発した魔法の効果もあり、少年は見事に世界から注目される魔法使いとなった。しかし、彼は気づいていなかった。前作主人公ポジというにはあまりにもヒールじみている所業に。

 

悪役と手を組みチートアイテムを奪取、その過程で悪役が軍の一個大隊を壊滅させる。他国の遺跡に踏み入りアイテムを回収、遺跡の仕様で遺跡が倒壊する。意味深な言葉を考える過程で絶対にバレてはいけない国家機密情報を漏らしてしまい、懸賞金を掛けられるなど。やらかしも多かった。

 

結果、あまりにも警戒された少年は街一つを消し去り、魔法使い100名からなる軍の精鋭部隊を壊滅させた危険人物として指名手配された。

 

ちなみに、冤罪だったのだがそんなことは関係ないなとばかりに少年は各国から襲撃を受けた。そんな彼を救ったのが、目の前の女である。

 

少年は瞳に不満を溜め込んで、彼女を見る。

 

「助けてもらったことには感謝してるけどな、俺が冷徹無慈悲の危険な魔法使いだと宣伝した挙句、ここに閉じ込めるとか聞いてないが!?」

 

「学園内でも異彩を放つ建物、『封魔の塔』。そこには学生でありながら危険故に封じられている魔王が住んでいる………興奮する設定じゃろ」

 

彼は目の前の少女とある契約を結んでいた。それは、少年をこの魔法学園で匿う代わりに少女の指示に従ってもらうというものだ。彼女は最終章のラスボス戦で戦ってくれるお助けキャラだが、選択肢によってはラスボスを殺して自分がラスボスに成り代わる超危険人物でもあり、関わる気はなかった。

 

そもそもの精神性が人間のそれではない。まあ、実際種族も人間ではないが。

 

学園を作ったのは少年少女の日常に手を出してドラマを演出し、それを観察したいからだと聞けば普通の思考ではないとわかるだろう。

 

「アリシアの性癖が見えるな」

 

「この世界にはドラマが足りない!悲劇と時折起こる劇的な事件で満たされている。少年少女のキャッキャウフフの日常は?ドラマチックな戦いは?心躍る復讐劇は?火種はあるくせに、何も起きない。つまらない現実だけだ。だから自分で作ることにした。儂が管理するこの箱庭では儂が退屈するなど許さん」

 

見た目よりも遥かに長く生きている少女(アリシア)は、退屈をひどく嫌う。彼女にとって、この世界は創作物なのだ。現実を現実だと認識できていない。質が悪いのは、この世界が本当に創作物ベースであることだ。

常人には理解できない感性だろう。彼女が抱える狂気を転生者である少年だけが、受け止めることができた。

 

「お前の性癖はどうでもいいから、用件を言え」

 

「………数週間後、我が学園に新入生が入ってくる。今年は豊作じゃ。闇が深そうな学生から訳ありのお嬢様、主人公じゃんと口にしたくなる少年、加えてその幼馴染である永血魔法の使い手の少女。あと、顔がいいからテロリストを入れた」

 

「これが学園長なんだから世も末だな」

 

顔の良さでテロリストを入学させる。数ある魔法学園の中で最も歴史があり、かつ最も高度な講義を行うことで有名な学園の名が泣きそうである。

 

「凛音よ。おぬしだって逆の立場なら同じことをするじゃろ?顔のいい女は欲しいもん」

 

「今更幼女ぶった口調はやめろ。腹立つから」

 

「今年の中心人物は浦部忠也こと主人公君を矢面に立たせようと思うんじゃよ。面白い人材を取りそろえたし、退屈はしないと思うんじゃよね。で、おぬしにはここにまとめておいた生徒をバックアップして欲しい。テロリストとかテロリストとかテロリストとか」

 

「………拒否権はないよな」

 

「拒否しても良いぞ?その後の保証はないがな」

 

空間が揺らぐ。魔力がざわついて、鳥肌が立つ。凛音の生存本能に警鐘を訴えかける。

 

「まあよい。儂の依頼、くれぐれも頼むぞ」

 

そう言って部屋を出て行こうとするアリシアに凛音は声を上げた。

 

「なあ、面白いからって理由で自分が隠れて人型ゴーレムを学園長として動かすのはいいんだけど、何で俺の隣の部屋に住み込んでるんだよ」

 

「お主が自家発電を始めた時にそれを撮影して揶揄うためだが?」

 

「おい馬鹿止めろ、え?俺ちゃんと鍵してるよな?」

 

「匂いでわかるが?」

 

「――――――――――」

 

 

 

 

 

 

今年の新入生についてw

 

1:名無しの魔法学園生

この掲示板は魔法学園に所属する学園生が、ひっそりと運営するものです。

教師への密告、ここの存在を明るみにした場合は、メンバーに殺されると心得てください。

 

 

2:名無しのタレコミマスター

今年、目立っているのは3人。

旧名家のお嬢様、水谷鏡花さん。

美しい黒髪に青いメッシュ、そしてボクっ子。ドストライク過ぎです。

強気な女の子っていいよ。

 

知崎剣

試験官を倒した次席。男。

 

浦部忠也。

入学試験で起こった事故から女子生徒を庇って負傷した。その後、膝枕をされていたらしい。ちなみに、イレーナさんと幼馴染。

 

最後に、イレーナ・バスカヴィル。

我が国が誇る永血魔法の使い手。今年の首席。

可愛い。白髪万歳!

封魔の塔に興味があるそうです。

 

 

3:名無しの魔法学園生

何処から仕入れてくるのだ………

 

4:名無しの魔法学園生

4人じゃねえか!

 

5:名無しの魔法学園生

女と男で情報量に差があり過ぎ

 

6:名無しの魔法学園生

性癖に正直でワイは好きだ

 

7:名無しの魔法学園生

ひとまず、浦部忠也は殺す。水原鏡花さんは写真を撮ってきて、ばら撒く。

これでええな。

 

8:名無しの魔法学園生

浦部忠也は殺す。

 

9:名無しの魔法学園生

イレーナさん、封魔の塔に行くのはダメだろ。

 

10:名無しの魔法学園生

>>9

そもそも、あの塔は立ち入り禁止だからな

 

11:名無しの魔法学園生

>>7

浦部忠也を殺す会は、別スレにあるぞ

 

12:名無しの魔法学園生

封魔の塔って何?

 

13:名無しの魔法学園生

新人か?

 

14:名無しの魔法学園生

え?あれを知らない奴がいるの?

 

15:名無しの魔法学園生

本当に学園生か?

 

16:名無しの魔法学園生

あー、呼び方は結構種類があるからな。

封魔の塔っていうのは、『死神』紅凪凛音が幽閉されている建物の正式名称だ。

紅凪は知っての通り、あの事件の容疑者で内の学園の3年生や。

正直、行くのはお勧めしない。

そもそも、入れないしあれに会って無事で帰れる保証がない。

 

17:名無しの魔法学園生

首輪をしているから大丈夫や。

ワイは近づかんけど。

 

18:名無しの魔法学園生

首輪?

19:名無しの魔法学園生

学園長が3年かけて作った魔力を封じる首輪や。

10分の1程度の出力しか出せなくなるらしい。

正直、あれは顔だけはいいから首輪してるのは興奮しますが。

 

20:名無しの魔法学園生

スレチになってきてる。

 

21:名無しの魔法学園生

新入生の話しろ。

 

22:名無しの魔法学園生

イレーナ・バスカヴィルのご尊顔が可愛くて、入学式で10人以上に告られた話する?

それともイレーナさんに蔑まれたい話する?

 

23:名無しの魔法学園生

お巡りさん、こっちです

 

24:名無しの魔法学園生

みんなも同じだろ!

 

25:名無しの魔法学園生

そんなわけないだろ!俺は蔑まれたいけどなッ!

 

 

 

 

 

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