時系列とししましては、
本作一話二話→ゼンゼロ原作となっております。
「おはようお兄ちゃん」
リンはいつもより早い五時に起床して二階から降りてきた。
「おはようリン。ほら、座って座って」
アキラはまだ眠そうに瞼をこすっているリンを苦笑いで見ながら朝食の準備をしていた。
「……それで?なんでこんな早い時間に起きるよう言ってきたの?」
リンがいつもより早起きした理由。それは別に何らかの理由があったからではなかった。昨晩、アキラはリンに『いつもより一時間ほど早く起きて欲しい話したいことがあるから』と伝えたが故であった。
「あぁ、それはね……言葉で説明するより見てもらった方が速いと思うよ。居るかい『Fairy』?」
Fairy。つい最近邪兎屋の依頼での騒動の際、彼女らを救う為に私達が使ったチップの中に入っていた謎の高性能AIである。今のところは私達の味方だ。
「……あれ?Fairy反応してこないね?」
「そうなんだ。どうやら彼女は睡眠をとる習慣があるらしいんだ」
機械なのに睡眠って……あの子たまに人間臭いところあるとは思っていたけどここまでとは……
「まぁ、これでようやく彼女に知られずに内緒の話ができる。一度彼女について話し合う必要があると思うんだ」
アキラは朝食のパンやスープを器に入れ終わり、テーブルに綺麗に並べながらそう言ってきた。つまりは食べながら話そうという訳である。
「もしかして、これってよくある新入りの悪口を言う展開?なんかワクワクしてきた!」
「あいつちょっとくらい腕が立つからって生意気なんだよ……って違うから」
アキラはノリツッコミをしながら話題の軌道修正を図る。
「彼女は本人が自称している通りAIとして別格の性能を持っている。以前の僕たちより何倍も速い速度で脱出ルートを割り出し適格に指示できる。ホロウに携わる者にとって彼女の与えるアドバンテージは計り知れないものがあるだろう。それは確かだけど……」
「上手い話には裏がある、ね」
リンは続く言葉を口にする。
「Fairy本人に害がなくても存在そのものが災いを呼びかねないよね」
「リンの言う通り、彼女は悩みの種どころか時限爆弾のようなものだ。それに彼女は君に無理矢理契約を迫ってきたんだろう?……許せねぇよなぁ」
怒りをにじませたその言動は口だけでなく行動にまで現れていた。なんと、握っていたスプーンをマジシャンのスプーン曲げみたいにぐにゃりと曲げてしまっていたのだ。
「お兄ちゃん落ち着いて私はどうにもなってないから……」
リンは自分がブラコンのけがあるが、兄には遠く及ばないと改めて思った。
「……そうだね。彼女Fairyに裏があると思われるけど僕たちにできることは何もないのが現状だ」
「だったら、今のところはFairyと平和に共存しよう?」
それが結論としてひとまずこの話題は終わりを告げた。同時に二人は朝食を食べ終えるのだった。
『おはようございますマスター、助手二号。今日も一日頑張っていきましょう』
食事の後かたずけをしている時、件のFairyも起床してきたようだった。
「おはようFairy」
「誰が助手二号だって?」