【魔法少女はここにいる】 〜たまたま声をかけた女の子が勝手に魔法少女に変身して悪の組織と闘い始めた時のマスコットの気持ちを述べよ〜 作:私貴方私(Y-ou@so-soなフリー)
想いの力
やたぁあああああ!!
あたし、魔法少女!あたしの物語は『魔法少女』だったんだ。
今まで頑張ってきた甲斐があったよ。
うんん、これからも頑張らなくっちゃ。
だってあたしは『魔法少女』なんだから!!
最後まであの子を守り抜くからね!!!
怪人タコオバケを倒し、変身が解除される少女。
その視線は未だ鋭く、怪人がいた場所へ向けられている。
彼女は敵がまだ近くにいないか警戒しているのだろう。
そんな凛々しい少女の表情に一筋の汗が伝う。
「あ、暴れすぎたかも…やばいよね。逃げるよ」
キュイ《まあ、見つかったら停学確定だろうな》
少女は私を抱えて現場から走り去る。
その足取りは軽く、疲れは微塵も感じない。
これが先ほどまで怪人と殴り合っていた(一方的)人間の姿か?
これが世間で言う若者の人間離れか。
凄いな今時の若者は。
視界から離れていく戦闘の跡をぼんやり眺める。
……これもしかして真の原因、
だって私の見た目、まんま魔法少女アニメのマスコットだもの。
気づいたら知らない場所、知らない身体だったわけだ。
例のタコ怪人のような『悪の組織?』が実在している世界で、記憶もなにもかも覚えていない私。
怪し過ぎる。
私を追って怪人が現れた可能性は高い。
これ…もしかしなくてもシリアスな『お話』なのでは?
私は悪の組織の実験生物
命からがら施設から逃げ出した
その後、頭を強打して記憶喪失に
それと引き換えに前世の記憶を思い出す
追手のタコ怪人がやってきた
咄嗟に実験で手に入れた『禁断の力』を解き放つ
心優しい少女は血も涙もない殺戮マシーンに……
……という展開もあるかも?
いやいや、全部想像でしかない。
本当のところは何も分からんし、考えるだけ無駄だな。
それでもあの子に迷惑かけることだけは避けたい。
念の為、注意しておこう。
とは言え、単に『魔法少女アニメのマスコットへ憑依?転生?』しちゃっただけかもしれない。
そうじゃないと、
『激可愛ケモボディになって、最初に話しかけた女の子が魔法少女?に変身し、たまたま現れた悪の組織?と戦う』
というとんでも展開が現実に起こったことになる。
流石にないでしょ。
それでもただ1つ確かなことがある。
これは『
ヒリヒリするほっぺたが痛い。
やはり、改造怪人ルートだろうか?
それは怖いから嫌だなぁ。
変身ヒロインのマスコットルートが1番幸せってどんなカオスだ。
キュイ《なあ、少女よ。私たちはどこへ向かってるんだ?》
「あたしの学校だよ。また怪人に襲われたら大変だからね。ちょっと苦しいかもしれないけど、カバンの中に隠れられそう?」
私は頭を引っ込め、少女が抱えているマイハウスの中を眺める。
そこには
キュイ《チェンジで》
「ごめんって。今日は午前授業だから、ちょっとの間だけだから」
キュイ《むりむりむりむり、4時間くらいあるやん。サウナ4時間は無理。せめて校庭でリリースしてちょうだい!》
少女から妥協案をなんとか引き出し、小さき
少女はご機嫌なようで、カバンの中は揺れがすごい。酔いそう。
キュイ《少女よ。嬉しいのはわかるがもう少し揺れないようにしてくれないか?カバンの中でお口から『キラキラ』出そう》
「ご、ごめんね。気をつける。あとあたしは『ショウジョ』じゃなく、『サチ』っていう名前だよ。あなたの名前は?」
キュイ《okサチ。安定してきた。私の名前?なまえ…私の名前ってなんだ?》▼
「分かった。よろしくねフォル」
キュイ《えっ、あれ? フォルか…なんかしっくりくるな。まあそれでいいや。この可愛い体にはぴったりだし》▼
お互いの自己紹介を終えたところで、私たちはサチの通う学校に着いた。
私は窮屈な
『ナニモノ』かに首根っこを掴まれた。
大明神
「サチ…あんた学校に動物連れてきたんか。そういうことをしたいお年頃なんは先生もじゅぅうぶんわかるよ。私もこっそり服の中にハムスター隠して連れてきたことあるし…フック噛み切られて学校生活終わりかけたけど、ボソボソ。でもあんたに私の犯した過ちを繰り返してほしくはないんや。堪忍してな。このワンコは職員室で面倒見とくさかい。午前授業が終わったら迎えに来るように」
「あー、フォルぅ」
キュイ《サチ、勉強頑張ってね》
私は図体のどデカいお姉さん先生に拉致されてしまうのであった。
あの窮屈な
……。
「…フォル。午前中に何があったの?表情がしわしわのヌイグルミみたいになってるよ」
キュイ《ドックフードはもうこりごりだ》
サチが変わり果てた私の姿を見て、心配そうに抱えてくれる。
私は彼女の腕に力なくもたれかかった。
「元気出して! 帰ったらなんか美味しいもの食べよ」
キュイ《高級ドックフードも無理だよ。パンが恋しいよサチ…》
「大丈夫だよ。パンいっぱい用意するから。ジャムもつけるよ」
先生たちは犬好きだったようで、なぜか職場に常備されていたドックフードでおもてなしをされた。
この先生たち、さては自分家の飼い犬をたまに連れてきてるな。
おもてなしの手際が良すぎるぞ。
ドッグフードの味は……薄味の肉?味のない麩菓子?これを毎食は無理だ。精神が保たん。
キュイ《会話できないのがとくに辛かった。私の声はサチにしか届いてないらしい》
「そうなの? 魔法少女とのテレパシー的なやつなのかな?」
先生たちに囲まれて一番つらかったのは言葉が通じないことだろう。
大の大人に赤ちゃん言葉で迫られるのはなんかこう…クるものがある…。
どうやらサチ以外には、キュイという鳴き声しか聞こえないらしい。
若干、サチとも会話がおかしいことはあるが、大した問題ではないはず。
……いや、それで『魔法少女?』になってるわけだし大した問題だな。
「フォル、着いたよ。ここがあたしの家」
キュイ《おお、立派なお家だね》
そこには立派な一軒家があった。
何年ローンだろうか?
「お母さん、ただいまぁ!!犬飼っていい?」
キュイ《私、犬違う》
「何言ってるのサチ。アホなこと言ってないで手洗いとうがいして来なさい」
「はぁーい」
サチは母の言いつけどおり、私をリビングに置いて手洗いに行ってしまった。
『
目と目が合う〜♪
リビングで目と目が合う『母』と『犬』。
その眼差しからただならぬものを感じる。
どうやら歓迎されてはなさそうだ。
しかし、ここを追い出されたら、先生たちとのドッグフード生活が待っている。
それは嫌だ。私の元人間としての矜持的にも。
プレゼンは得意だ。たぶん。
そんな記憶があったりなかったりする。
私のスペシャルなプレゼン能力で、この奥さんに私を飼わせてみせる!
「……」
キュイ《あ、どうも奥さん初めまして。私は決して怪しいものではございません。貴方の娘さんに助けられて恩返しに来た犬です。鶴の恩返し的なやつです》
「……」
キュイ《わ、私。人の言葉分かるんで躾とかし易いですよ。その辺でオシッコや刹那糞したりしないです。インドア派なんで毎日散歩しなくてもいいです。お手軽です》
「…」
キュイ《りょ、料理もできますよ。こう見えて一人暮らし長かったんで和食と中華ならできます。ここで働かせてください。無給でいいです。24時間働けます。あと英検1級あります》
ドタバタドタバタ
「フォル、ごめん忘れてた。お母さん犬アレルギーでぇ!?」
キュイ《サチ…それもうちょい早よ言って欲しかった》
サチがリビングで目にした光景。
それは、
「お、お母さん。落ち着いて。この子は犬みたいだけど犬じゃなくてね。それで、あの、えっと」
キュイ《ドッグフードルート確定かも》
【母のターン】
一歩進む。
【フォルのターン】
カバンから首だけが出ている状態なので逃げられない。
【母のターン】
また一歩進む。
【フォルのターン】
カバンのチャックが私のフワフワ毛を挟んでいて動かない。
サチママが目の前にたどり着く。
さようならサチ。
私はここまでみたいだ。
諦めかけたその時、サチママの手が私の頭に触れる。
なでりなでり
サチママは私の絡まった毛をチャックから優しく外し、そっと抱き上げた。
あ、あたたかい。
「お母さん。えっと、アレルギー大丈夫なの?」
「ええ。私もびっくり。まさか、犬アレルギーを克服できるとはね。昔から犬飼いたかったのよね。お猫様も大好きだけど」
キュイ《私、犬違うんです…》
その後、サチ一家はなぜか『犬』ではなく『猫』だという結論にいたり、無事私はこの一家に家族として迎え入れられたのであった。
■ おまけ
キュイ《なんだこれ?写真か?》
私はリビングに飾られているサチの家族写真を見つけた。
写っているのは4人と1匹。
「これはあたしがまだ幼稚園に通ってた頃の写真だね。お母さんとお父さん、この赤ちゃんは妹の『ミユキ』。弟の『コウ』はまだこの頃産まれてないね。そして、
こっちの大きな猫は『ネコネコフラン大帝』だね。通称フランだよ」
キュイ《え、なんて?》
私はサチ一家のペットにつける名前がヤバいことを知ってしまった。
サチが付けてくれた私の『フォル』という名前も実は『イヌイヌフォルティッシモ三世』略して『フォル』なのかもしれない。
私はこれ以上考えるのをやめた。
私の名は『フォル』。
それ以上でもそれ以下でもない。
それでいいのだ。
■ 次回
明日8:30公開予定
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