狩猟環境に問題視される点は無い。不測な事態は考え難い長閑な渓流に今現在の今回の狩猟対象である脅威では潜んでいる。
メルは仲間が二人加わった事に対して変に気負う事無く出発できたので幾分か良い雰囲気だった。集会浴場で交わした会話が今になって役立ったのだ。
皆が準備を済ませ、其々が得物を装着し終えた。狩り場に出るには緩やかな坂を下る必要がある。言い方を変えるならば坂を下れば緊迫した狩り場が待っているのだ。
気を引き締めて坂を下る。暫く坂を下ると、清冽な川が広がっていた。辺りに丸っこい身体をした鳥が闊歩している。無駄な狩りはしない、悠長な丸鳥の横を過ぎて
広がった風景は野原、そして、大きな廃屋。この辺りは嵐で滅びた集落の跡地だったと聞く。眼に飛び込んできた大きな廃屋に注意が散漫になったが、エリーの手振りに教えられて視線を外した。ある程度の距離を保って散開する鳥竜、ジャギィ達が居る。長の形姿、気配は見られない。
「…どうするの?」
ルークがエリーに問うた。今回の狩猟でエリーは指揮を執ることになっている。実力と経験を考慮すれば妥当なことだ。
ここで奴らを交戦すれば安易に勝てるだろう。だが、ジャギィの特有の鳴き声で増援を呼ぶことは免れない。それに呼応した群れの長が現れれば事態は急変する。戦闘した状態、若しくは戦闘直後でドスジャギィと遭遇することは好ましくない。
しかしながら視点を変えれば、敵の戦力を排除しておくという考えも一理ある。ドスジャギィが現れるというのは必然的ではなく、増援が来ない可能性だってある。
選択権はエリーにあるが、メルは思考を繰り返していた。だが、答えは見つからない。仕方なくエリーが答えるのを待ったのだが、予想外の言葉が告げられる。
「メル君ならどうします?」
「え……俺か?」
彼女は真正直に頷く。
難事を押し付けられ、困惑しながらも思考を巡らせていた。考え直したところで答えは見つからない。恐らく、考えたって正解は出てこないだろう。運に任せる他ない。さりとて、運に任せるという理由で彼らに危険が迫れば、どう責任を取ればいいのだ。
メルは固定していた視線を外して、皆へと巡らせる。メルの答えを静かに待つエリーを視界に入れ、跳び回るジャギィの警戒心を万全にするルークを見てから緊迫感に起きる戦闘を予感して興奮しているラグッドを見る。そして、自分の握り締めた拳を見た。
「俺には分からない」
「…そうですか。いえ、落ち込むことはありません。それも、一つの答えです。私は尊重します」
偽の賞賛か、真の賞賛か。メルには又もや理解できなかったが、彼女なら恐らく真であろう。根拠はないが、理由はある。彼女が嘘を吐いたことは滅多にないからだ。
結局、彼女は戦闘を控えた。魂を燃え上がらせたラグッドは冷めていたが、納得した様にも見えた。
果たして、奴は佇んでいた。通常のジャギィよりも一際大きい身体、強靭な爪と間々に見える牙、全てに関して上回っている。
緑は少なく、灰色の地面が広がる。大きな亀裂が
目先に迫る戦闘に備えたメルは双剣の柄を握ってエリーの指示を待った。隣で彼女が考えている間が非常に長い。
「…行かねぇのか?」
少々、怒りを含み促す様な声音が後ろから聞こえる。間違いなくラグッドの声だ。声が低いからか、脅しの様にも聞こえて来る。
また少し間が空いた。エリーの言葉を待つ黎明の狩人達はこの状況を不可解と捉えるしか無かった。暫くして黎明の狩人達の一人から声が発せられる。
「何故だ? 奴は一頭だけなのか?」
「……そうなんですよ。と、なれば恐らくまだ長への途上か、と思われます」
普通ならドスジャギィは最低でも三頭ほどのジャギィを率いている。しかし、このドスジャギィは独り身で寂寞すら感じる。
エリーの言葉はこれを意味する。鳥竜達は群れの長を争いで決める。簡単な話で勝てば、長と認められ、負ければ長の権利を剥奪される。そうして、群れは成長していくのだ。群れの長になるため、ジャギィは一度、自立する。多くの修業を積み重ね、再び群れに姿を現し、長への挑戦権を得るのだ。
辺りに子分を率いていないという事は恐らく、奴は『長への途上』。自立した状態だ。
この状況を楽観視すれば潜む危険に気付かないが、メルは直ぐに察知した。ジャギィが増加した傾向にあるという事は恐らく『統率者』が現れたという事で相違ない。だが、未だその『統率者』とは遭遇していない。つまり、『ドスジャギィ』は実質、二頭いる。
「成る程ね」
エリーの思考を汲み取ったルークが神妙になる。未だ状況を理解し得ないラグッドが低能な脳で必死に考えるが諦めた様子だ。
「考えるのはやっぱり、性に合わねぇや」
「…考えても時間の無駄だな」
「みたいだね」
「……行きましょう」
敵に気付かれない様に交わした会話はこれで打ち切る。首を伸ばして辺りを見回す動作を終えたのを確認し、各々が武器を抜き放つ。抜き放たれた武器は一切の音を立てず、血を求める虎狼の様に鈍く光る。奇しくも灰と黒の無情なこの地域と似ている。
土埃が舞い、四人の狩人の内、三人が駆け出す。手筈通りにルークが先頭を切り、その後をラグッド、メルと続く。弾丸をし終えたエリーが毎度の様に冷徹な言葉を放つ。
「任務開始します」
手始めに急襲を成功させたルークが張り付いて敵の興味を誘う。強気で突っ込んで刺突するが、軽やかな動きに避けられ、苦い後味を残してルークは踏鞴を踏んで反転する。直後、迫った狗竜の身体を盾で防ぐ。
直撃は盾によって免れたが、受けた衝撃だけは抑えられず体勢は崩れる。左足で身体が流れるのを防ぎ、即刻に後退する。飢えているのか、興味を誘ったルークに釘付けになった様に追走していく。手筈通りだ、駆け付けたラグッドが大剣を振り翳す。
振り下ろされた大剣は僅かに届かず、刀身は空を切った。地面を砕いた大剣を持ち上げるべく力を入れるが、標的を一瞬で変えた狗竜の攻撃には間に合わない。
予想外な出来事が起きた。筋を通っていたが筈が逸れてしまった。再び筋へと修正するためにメルが救援に駆ける。速やかにルークも走り出す。
事態に対応すべく発砲音が普段以上に増える。恐らくドスジャギィの気を散漫にし、攻撃に制止を掛ける為だ。精確な射撃の甲斐あってか、駆け込んだメルが素早く一閃し、行動を歯止めする。隙を見つけて退いたラグッドを確認するとメルも速やかに距離を取る。怒号を上げてメルを追うドスジャギィの背後からルークが飛び掛かって縦一線に剣を振るう。
臨機の対処で逸れた部分から筋へと修正する。再び距離を置いたルークをドスジャギィは追わなかった。
学習したのかは定かではないが、厄介だ。
一度、交戦が落ち着いた頃にメルはもう一度、辺りを見渡す。子分の気配はない、やはり、奴は独り身である。怒号を上げ、ラグッドへと突き進む。立ち向かおうとするラグッドは大剣を突き出し、敵を牽制する。しかし、やはり奴も鳥竜の端くれだ。一筋縄で決定打は打てない。
体当たりを繰り出した狗竜の体躯を大剣の腹で真正面に受け止め、押し返す。乱暴だが、敵の体勢は僅かに崩れた。エリーが射線を確保すべく駆け出す。動いてい中でエリーが銃に弾丸を一発だけ装填し、空を穿つ。
響く奇矯な銃声に皆の視線が向く。異様な銃声を響かせたエリーを眼で追えば、その手が、仲間に信号を送信しているのが解った。
ハンドサインだ。予め決めておいた法則・動作で非言語的な談話が可能となる。
彼女が示したのは好機を窺って、強烈な挟撃。作られた隙を突いてラグッドが仕留めに掛かるというもの。敵も慎重になり始めた、ならば、一気に攻勢に出るという事だろうか。同じくエリーの意思を汲み取ったルークと眼を合わせ、互いに頷く。
二人が位置に付き、ラグッドが隙を見て、狗竜から離れる。エリーが激しい射撃で惹き付けたのを狼煙に二人が灰色の地を蹴る。目標を挟み込んで視線を絡ませる、一方が腕を下へと伸ばし、一方が腕を上へと伸ばして斬る部位を伝える。
そして、複雑に吹き飛ぶ鮮血。重なった影は個を挟撃し、擦れ違う。脚と胴に痛覚が走った狗竜が思わず倒れ込む。爪先を痙攣させ、暫くの間、不自由になった身体へと厚みのある一太刀が放たれ、この辺りの灰と黒の地面の様に虚しく昏々と死の眠りについた。
死を遂げた狗竜の肉から大剣が引き抜かれる。納刀せず、握ったまま大剣の重みを地面に預けたラグッドは暫く死体を見つめていた。そんな呆然とした様な表情のラグッドにメルが足音を立てて歩み寄る。
駆け寄って来たエリーが妙な空気に触れ、立ち止まる。
死体を流血が埋め尽くす程に時間が流れ、場の空気は一転する。
「ラグッド。エリーのハンドサイン、見てたか?」
「…ハンドサイン? 見てねぇな」
「だから、仕留めに掛かっていくのが遅れたんた。ちゃんと状況を理解していないと、俺達まで危険になってしまう」
「考えるのは苦手なんだよ。良いじゃねぇか、結果が全てだろ?」
「良い結果、か……後悔するぞ」
「しねぇよ」
睨み合う二人。身長と体格共に大差があり、圧倒的にメルが不利な中、強気で果敢に彼を責め立てた。言うまでもなく悪気こそないが、ラグッドの立場が悪いに決まっている。喧嘩に成りそうな勢いだったが、ルークの仲立ちで事無きを得た。
ラグッドにはルークが付き、メルにはエリーが付いて互いに落ち着かせていた。
自分らしくない、普段見せる冷静さを欠かしたメルは後々、後悔していた。ここで場の空気を悪くしたところで良い影響を及ぼすことが出来るのか。幼稚じみた挑発的な態度で彼を咎めて何になる。
しかし、未だ納得できない部分もあった。自分達は連携を基にして成り立っている。互いに身命を預け、信頼が当然の上で成り立っているのだ。それをいとも簡単に断ち切って見せた彼の行動を咎めたは無理もない話だ。
しかし、ここは冷静に落ち着き、これ以上は突っ掛らなかった。しかし、変わってしまった空気は未だ皆に不快感を及ぼしていた。こんな状況で戦地を歩き回るなど危険極まりないが、彼らには時間がない。仲直りなどという悠長な暇は無く、次の
次の
狩人達は
曇天を見上げ、もう一度、地上へと視線を戻す。数は八頭とかなり多めで苦戦が予想される、《ジャギィノス》というジャギィの雌型も六頭と多い為に尚更だ。
少し視線を巡らせれば、そこには一際大きな存在感を放つ『統率者』がいた。間違いなく二頭目のドスジャギィ。先程狩った―――今は死体こそ腐敗したが小袋に素材として収まっている―――まだ『長への途上』だったドスジャギィより大きいと見える。
戦場となるであろう周辺を眺め回し、ある程度の地形を頭に叩き込む。特に足場が変わってしまう川と地面は重要だ。次に重要なのは退路、真っ先に眼に入ったあの滝を潜れば鍾乳洞へと繋がるらしい。そして、その鍾乳洞は多くの観光客を虜にする観光地であり、目の当たりにしている奴らの棲み家でもある。そして、急な上り坂の道と直ぐ目の前にある下り坂の道が退路となるだろう。
隣で静かな息を吐いて吸う彼女が提案した戦術。容易で黎明の狩人達でも思い付きそうな戦術だが、複雑な戦術を避
けた為だろう。こればかりは口出しが出来ない。何せ原因は自分達の無力さにあるのだから。
考えは止めだ。戦術を念頭に置きながら来るべき合図に備えて待つ。
胸が高鳴る。一瞬でも狂いの無いように身体中の筋肉に血を巡らせ、神経を研ぎ澄ます。緊張の糸がはち切れそうになる頃合いに鬨の声が鼓膜を打つ。
曇り始めた空の下、狩人達は得物を掲げた。
跳躍し、手前のジャギィを正面から斬り付ける。直後、地面を震わせる重厚な強攻撃と微細な動きによる連続的な斬撃が繰り出される。そして、間もなく銃声が鳴り響く。熱戦は狩人達の奇襲によって突如、始まった。
十分に踏み込み、捻りながら振り下ろす。二本の軌跡が鱗を剥がし、肉体を裂いて鮮血を噴出させる。湧き上がる激情を剣に宿らせ、完膚なきまでに双剣を振るう。
鳥竜の群体の最中を迷いなく突き進み、切り伏せる。死を確認せず、伏した身体を飛び越えて次の敵へと向かう。
予想だにしない奇襲に直面したジャギィの群れは未だの状況の判然が追い付かない。奇襲の効果は続行中である。敵からの反撃は見られず、対応し切れない連中の配下達を屠るのは容易い。
そんな意図を持ち、メルは双剣を暴風の如く奔り巡らせる。
斬り付けながら、周辺を見回して状況を確認する。連中の長を探し、距離を確認する。
(まだ、だ)
長との交戦はまだ速い。連携を断ち切ってからではないと苦戦してしまう。念の為に、とドスジャギィから離れる方向へと振り返り、走り出す―――直後、影が横を駆け抜けていくのを見、己の眼を疑った。
一頭を切り伏せ、直進することを止めずに突き進んでいく。その先には間違いなくドスジャギィが佇んでいる。真っ直ぐに躊躇いなく進んでいくラグッドが力を溜め込み、横薙ぎに振るう。配下の一頭を吹き飛ばし、大剣を掲げて踏み込む。
(アイツ…!)
安直な振り下ろしは容易く躱され、ラグッドはあっという間に群れの餌食となった。安直な防御を厭わない一閃、恐らく後先考えずに振り下ろした一撃であろう。あの状態から次の動作へと移行するには時間が掛かり過ぎる。
飛び掛かる配下。噛み砕かんとばかりに煌めく牙がラグッドへと急接近する。彼が自ら死角へと招いたのである。
重たい身体に乗られたラグッドの身体は沈み込み、膝を付く。そんな隙を見逃さない筈もなく統率者が動き出す。
(クソッ…!)
自分より遥かに大きい体格を持つラグッドを押し倒すことは難しく、勢いを付け、思い切り跳びかかる。肩を前に出し、体勢が崩れかかったラグッドへと衝突する。
押し倒されたラグッドと押し倒したメルの頭上を尻尾が過ぎる。
即刻に立ち上がり、頭を押さえて状況を理解しようとするラグッドを睨み付け、駆け出す。目の前のドスジャギィへと剣を突き出すが、安易に逃げられる。悪態をつきながら辺りに視線を見回す。
既に取り囲まれた。群れは機能を回復し、連携を取り戻している。それどころか、激怒している為に気迫が荒い。攻撃的になり、全方位から怒号が詰め寄ってくる。
不測の事態を逸早く察知したエリーが援護役に回る。狩人達を取り囲む鳥竜―――ジャギィへと照準を重ねる。目視し、射撃。撃ち出された弾丸は空気を裂きながら正確に頭を撃ち抜く。
確実に着々と撃ち出される銃弾の甲斐あってか、包囲されていた狩人達に猶予が生まれる。素早く駆け付けたルークの支援もあるだろう。弾倉が空になった銃に素早く弾丸を装填し、銃口を再び天へと。先刻と同じ動作、始まりの予兆。
「…エリー?」
「行きましょう!!」
「…了解」
「ふふっ、乱暴だね」
そう、乱暴だ。全てラグッドの愚行が引き金で形勢が一瞬で逆転した。
この戦況を打開するのには少々だが杜撰さが必要となる。先刻の記憶を思い浮かばせ、現状と重ねる。跳びかかってきた配下を斬り飛ばし、ルークと視線を合わせながらドスジャギィを挟み込むようにして陣取る。
前回と同じ。メルが下を、ルークが上を差す。
来るべき爆音を待つ。ひゅん、と大気を裂く音、弾丸が鳥竜達の合間を擦り抜け、一直線に狙い違わずドスジャギィを射抜く。
「―――グワアゥウウ!!」
時は熟した。残る余韻を聞きながら黒煙を上げるドスジャギィへと突っ込む。
地を蹴り、距離を測って、跳躍。
落ちた重力によって膝が曲がり、身体が地面の際まで沈み込む。
渾身の精鋭を込めて一閃。
赤い鮮血。交叉する影―――直後、崩れ落ちる連中の長。
血に塗れた二人の狩人を目の当たりにした配下達は統率者を失い、混乱に陥る。配下達にまるで、波紋の様に恐怖が広がる。徐々に後退し始める、その時、まるで死の宣告の様な声が響いた。
「これより、ジャギィの掃討に専念して下さい!」
「了解」
「うん」
血の匂いが漂う
そこにぽつん、と立ち尽くす三人の狩人と座り込む一人の狩人。皆が押し黙り、暗黙が流れた血が乾いてしまう程に続いた。
誰も座り込むラグッドに声を掛けられずにいる。無理もない筈だ。彼は己を咎め、自らを闇の奥底へと引き摺り込んでいる。ほんの僅かに啜り泣く声が、嗚咽が聞こえ、暗涙も流したであろう。肩が震えている、直ぐ傍らにいたメルは振り返ってエリーとルークを見る。
義兄であるルークならばこの状況を打開してくれるであろう。しかし、場違いだ。ここで自分が話し掛けなければ無責任過ぎる。場の空気を悪くしてまで彼を咎めた自分の言った言葉が、今、こうして彼に起きている。
血塗れになり、過去に猛獣と化した者が己の無力さを恥じらい、落ち込み、涙までも流して弱弱しく衰退している。
大きい筈の彼の身体が小さく見えた。
食いしばり、一歩近寄る。
「……言いたいことは分かってる。俺は弱い奴だ…人の忠告も聞かねぇで……すまねぇ。本当に、悪かった」
声が震えている。近寄った筈の一歩がまた遠ざかった気がした。しかし、足を踏ん張り、次の一手へと歩み出す。
「分かったなら、良い。次は、無いぞ?」
「次…をくれるのか? こんな俺に」
「当たり前だ」
メルの伸ばした手に震える手が重なる。これで良かったのだろうか、メルは不安に包まれていた。これ以上の言葉は無かったのだろうか、と問い詰める。
落ち込んでいた彼が起き上がる。堂々とした身体を張り、後悔の泥沼から這いつくばって抜け出してきた。そんな想像図を描く。
ふと、後ろに視線を向ければ、兜を外した二人は笑顔だった。上手く、出来たのだろうか。
血腥い風が吹く。四人の狩人達に戦慄を感じさせるような逆風だ。
狩人の域へと踏み込んだ時節、初めて兇悪な怪鳥を狩った時機……吹いていたのは順風だった。