ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ 作:ゴロリコン
バカな、強さもそのままだと!?
「き、貴様等…ラディッツにナッパ!?馬鹿な、何故貴様等がここにいる!!また地獄がおかしくなって蘇りやがったのか!?」
ベジータは今、混乱の極地にいた。何故とっくの昔にくたばった筈のこいつ等がここにいる?そもそも、ここは一体何処だ?いつの間にこんな場所に移動させられた?それに何故、俺は全く気付けなかった!?
「はぁ…?と、突然何を言い出すんだ、ベジータ?」
「ベジータ、やっぱお前疲れてんだよ…さっさと惑星フリーザに帰って、メディカルカプセルで休もうぜ?」
(わ、惑星フリーザだと?奴等の拠点はとっくに殆どが壊滅している筈…一体何がどうなって…ん?なんだ、この手袋は?俺は寝る前に手袋なんてした覚えはない…っ!?!?)
その時、ベジータは漸く気がついた。自分がかつて使用していた戦闘服を着ている事…更には尻尾まで生えている事に。
(ば、バカな!?この戦闘服はかつて俺がフリーザ軍に居た頃に使っていた物だ!!それに何故今更俺に尻尾が生えている!?ヤジロベーの野郎に斬られて以来、ずっと再生しなかった筈だ!!)
「…一体今日のベジータはどうしちまったんだ?」
「よっぽど疲れてるみてぇだな…そんなに強い奴等の居る星じゃなかったんだが…」
何やら黙り込んでしまったベジータを見て勘違いする二人。だが、ベジータにとってはそれどころではなかった。何せ自室で休んだ筈が、気がついたら見知らぬ場所にいて、死人が蘇っていたのだ。
そりゃ、ぶっちゃけてしまうとベジータの周りで死人が蘇る事はそんなに珍しい話ではない。だが、この二人を好き好んで甦らせるような奴は身近にいないし、そもそもドラゴンボールは悟空と共に消えてしまった。これで混乱するなと言う方が無理な話だ。
「…あー…それで、ベジータ。行って来て良いか?」
「…?行くとは何処にだ。」
「おまっ…やっぱり最初から聞いていなかったのか!?地球とやらに弟のカカロットを呼びに行って良いかと何度も聞いただろう!?」
「カカ、ロット…?今、カカロットと言ったのか、貴様…?」
「あ、ああ。弟の名前は確かにカカロットだが…ぐおっ!?な、何をするベジータ!?」
いきなり胸倉を掴み上げられ、苦しそうな顔をしつつも抗議するラディッツ。だがベジータにとってそんな事はどうでも良かった。
こいつは今、カカロットと言った。それに、まるで今も奴が生きているかのような口振りだった。そんな筈はない。カカロットはもう、消えてしまった筈だ。いや、待て…こいつは地球にカカロットを呼びに行くと言った…大昔、確か同じような事があった気がする…
「…ラディッツ、俺の質問に答えろ。」
「な、なんだ…?」
「貴様は今、地球にカカロットを呼びに行くと言ったな。それは確かか?」
「あ、ああそうだ。あいつは下級戦士だが、弾除けくらいにはなるだろうから…」
「はっ、弱虫ラディッツの弟なんざ、到底役に立つとは思えねぇがなぁ?」
「う、うるさいぞナッパ!!」
そこまで聞いて、ベジータは思い出した。確か過去にもこんな会話をして、ラディッツは地球にカカロットを呼びに行った。そしてカカロットごとピッコロに殺されてしまう筈だ。
つまり、ここは過去の世界と言う事か?自室で寝ていた筈が、気付いたら過去に跳んでいた、と?そしてこの世界にはまだカカロットが生きている…?
「…フッ、馬鹿馬鹿しい…」
自嘲するようにフッと笑い、ベジータは首を振った。バカな、そんな事がある訳がない。それこそ、消えた筈のドラゴンボールを使っても無理だろう。ドラゴンボールはあれで叶えられない願いも多いのだ。そんな都合よく自分だけを過去に跳ばすなんて出来るとは思えないし、そもそも何処の物好きがそんな事をすると言うのか?
(昨日寝る前にカカロットを思い出していたから、こんな変な夢を見ているんだろう…我ながら情けない事だぜ…)
「で、ベジータ。結局行って来て良いのか?」
「…好きにしろ。せいぜい返り討ちに合わんようにするんだな。」
「フン!!あまり俺をバカにするな。カカロット風情に遅れを取る程落ちぶれちゃいない!!」
強がってみせるラディッツ。実際、彼はこの時点の悟空より遥かに強いし、普通に戦えば負ける事なんてあり得ないくらいの隔絶した力の差がある。だが、そんな彼を見てナッパは鼻で笑っていた。
「はっ、どうだかなぁ?」
「ええいうるさいぞナッパ!!では行って来る!!」
「好きにしろ。(まぁ貴様はそのまま死ぬんだろうがな。それにしても、やけに長い夢だ…いつまで続くんだ、いったい…)」
この時、ベジータはあくまで夢だと思っていた。だが、いつまで経ってもこの夢が覚める事はなく、記憶の通りラディッツは悟空と相打ちになってしまい、ベジータはナッパと地球に向かう事になったのだった
そして一年後…
〜地球〜
「へっ、ここが地球か。随分と重力の軽い星じゃねぇか…ってベジータ、どうしたんだ?」
(………どどどど、どうなってやがる!?)
またもベジータは混乱していた。地球に行くまで一人用のポッドをスリープモードにして眠りに付いていたのだが、ベジータとしてはこれで夢が覚めると思っていたのだ。
しかし、違った。目が覚めたら初めて地球に来た時と全く同じ場所にいたのだ。当然ナッパも一緒である。ここまで来ると、ベジータもこれが単なる夢とは思えなくなった。夢ならとっくに覚めてなければおかしいし、何よりこの夢、リアル過ぎるだろうと。
(まさか…まさか、本当に俺は過去に跳んだと言うのか!?ば、バカな!!何故そんな事が!?)
「さてと、それじゃあピーピーうるさいヒヨコどもに挨拶してやろうかな…」
「っ!?や、やめろナッパ!!」
ウーロンがお腹を抑えて悲鳴をあげそうな事を呟きつつ街を消し飛ばそうとするナッパに、慌てて待ったを掛けるベジータ。このベジータはサイヤの心を持った地球人なのだ。そんな行いを許せる筈もないし、何より…
(街一つ消し飛ばしたら確実にドラゴンボールが使われるからな…余計なマイナスエネルギーは溜めないに限る…!!)
「ど、どうしたんだよ、ベジータ?」
「あっ、いや…この周囲にドラゴンボールがあったら困るだろう。だから下手にこの星を傷つけるような真似は控えろ。」
「お、おお…言われてみりゃその通りだ…すまねぇな、ベジータ…」
「いや、良い…それよりも向こうにデカい気が二つある。こんな雑魚どもは放っておいてそっちに行くぞ。」
自然な流れでナッパをこの地から遠ざけようとするベジータ。っが、ここで彼は一つミスを犯していた。
「気…?なんだ、気って?」
「あっ…いや、戦闘力だ戦闘力。スカウターをつけてみればわかる。」
「お、おう…おっ、確かにあっちの方に二つありやがるな。」
(く、クソッタレ…そう言えばこの頃は気の探知すら出来なかったんだったな…大昔の事過ぎてすっかり忘れていたぜ…今回ばかりはこいつが単細胞である事に感謝しなければ…)
その後、ベジータはナッパを上手く誘導し、かつて悟飯達と戦った荒野へとやって来た。
「いたいた!一匹増えて強そうなのが三匹!」
(悟飯、ピッコロ、クリリン…やはりクリリンはだいぶ若いな…そしてピッコロ。こいつは最後に会った時と何も変わっていないか…)
懐かしの面々に再会できて内心ホッとするベジータ。それからそう時間を置かずにヤムチャ、天津飯、餃子も駆けつけた。
(やはり全員若い…いや、今はそんな事を言ってる場合ではないな。確かこの後は…)
「なぁベジータ、ここはサイバイマンの種を使って…」
「駄目だ!!こいつ等は全員俺が相手をする!!」
「なっ…べ、ベジータ自らやるのか?」
まさかいきなりベジータが戦う事に驚くナッパ。無理もない、こんなハエみたいな戦闘力の奴等の為にベジータが自ら動くなど、これまで一度もなかったのだから。だが、ベジータとしては当然の判断である。サイバイマンに戦わせればヤムチャは汚いボロクズと化し、ナッパが戦えば天津飯は腕が切り落とされて気功砲を無駄打ちして死亡し、餃子は木っ端微塵になり、ピッコロまでもが犠牲になってしまう。
その点自分が戦えば、悟空が来るまで時間稼ぎが出来るし、ナッパが横槍を入れようとするなら始末する口実も出来る。完璧だ…!!
「さぁ地球人ども、話は聞いていたな?全員で掛かって来い!!」
「ちっ、舐めやがって…」
「でも、油断してる今がチャンスだ!!」
明らかに自分達を舐めているベジータにイラつきを隠せない様子のピッコロ。だが、クリリンは逆にそれをチャンスと捉えていた。
「あんまり俺達を舐めるなよ、サイヤ人!!ここらでお遊びはいい加減にしろって所を見せてやるぜ!!狼牙風風拳っ!!」
勇猛果敢に飛び出して行くヤムチャ。その姿は足元がお留守な点を除けば、まるで荒野をかける狼のようだ。最もベジータからすればなんともお粗末で隙だらけな物なのだが…
(遅い…弱い弱いと思っていたが、この頃はこんなに鈍かったのか…)
ヤムチャの連撃を全てかわし続けるベジータ。それを見てヤムチャは少し焦ったような顔をしたが、すぐに好戦的な笑みを浮かべた。
「少しはやるようだな!!ならもっとペースを上げるぜ!!はいぃぃぃぃっ!!!!」
気を高め、更なる連撃を繰り出すヤムチャ。だが、ベジータは回避してヤムチャの真横に回ると、隙だらけの胴体目掛けて軽く拳を当ててやった。これで少しは静かに…
「ぎゃあああああ!?」
「や、ヤムチャさぁぁぁぁぁん!?」
何故か物凄い勢いで吹っ飛ばされ、岩盤に叩きつけられてしまうヤムチャ。感じられる気も一気に底を突きそうになっている。
「な、なんて野郎だ…拳を突き出す一瞬、とんでもなく気が跳ね上がりやがった!!こ、これがサイヤ人の本当の力だと言うのか!?」
「ひ、ひぃぃぃ…」
ベジータの恐るべきパワーの前に戦慄しているピッコロ。悟飯は完全に恐れをなしていた。だが、それ以上にベジータは驚愕を隠せなかった。
(ど、どうなっていやがる!?この頃のヤムチャでもそこまでダメージを食らわん程度に加減していた筈だ!!それが何故たった一撃で…はっ、まさか!?)
ベジータはすぐに察しがついた。確かに当時の自分がやっていたら、ヤムチャも軽くダメージを負う程度で済んだだろう。だが、今の…逆行する前の自分が同じ程度の加減をして、それで足りるか?
(ま、まさか…まさか、戦闘力もそのままなのか!?い、いかん…これはいかんぞ…!!)
「クリリン!!ヤムチャは!?」
「か、辛うじて無事だ!!でも、この様子じゃもうとても戦えそうにない…!!」
ヤムチャの安否を確認する天津飯と、無事を報告するクリリン。だが、早くも一名脱落してしまった事に変わりはない。果たしてベジータは悟空が来るまで上手く加減出来るのだろうか…?
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