ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ   作:ゴロリコン

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セルゲーム開催

 ベジータとトランクスが精神と時の部屋に入って早くも三ヶ月が経過していた。現実世界では然程時間は経っていないが、それでもトランクスはこの三ヶ月で見違える程の成長を遂げていた。

 

「はぁっ!!」

 

「フンッ!!」

 

 超サイヤ人に変身したベジータとトランクスの繰り出した拳が轟音を立てて激突する。流石に力の差が大きいのか、トランクスは弾かれるように吹っ飛ばされるが、即座に体制を整えると、ベジータに対し巨大な気功波を放った。

 

「バーニングアタック!!」

 

「効かんっ!!」

 

 迫り来る気功波をベジータは手刀で真っ二つに切り裂くと、二つに分かれた気功波がそれぞれ左右に飛び散り、爆散する。だが、その時には既にトランクスの姿はベジータの視界から消えていた。

 

「今のは目眩しか……だが、甘いっ!!」

 

 背後にトランクスが現れた瞬間、ベジータの回し蹴りが炸裂する……かに思われたが、背後に現れたトランクスは残像であり、ベジータの蹴りは空振りに終わってしまった。

 

「残像拳だと?フッ、小癪な真似をしてくれる!!」

 

「貰ったぁっ!!」

 

 ベジータの蹴りが空振りに終わった瞬間を狙い、トランクスが飛び出し、頭部を狙って黄金の気を纏ったパンチを放った。だがベジータは首を捻ってそれを回避すると、トランクスの腕を掴み、背負い投げの要領で地面に叩きつけてしまった。

 

「ぐぅっ……はっ!?」

 

「ここまでだな。」

 

 トランクスが目を開けると、目の前にベジータの掌が向けられていた。

 

「ふぅー……降参です。やはり、父さんにはまだまだ敵いませんね。」

 

「フン、当然だ。早々簡単に追い抜かせはせん。」

 

 トランクスの手を掴むと、そのまま立ち上がらせてやるベジータ。一方のトランクスは負けてしまったものの、確かに自分が成長しているのを感じ取っているのか、嬉しそうな顔をしている。

 

「でも、驚きました。あれだけの事でここまで強くなれるなんて……」

 

「それだけ平常心を保つ事と基礎を鍛える事は重要だと言う事だ。」

 

「はい。今なら父さんが何故最初にあの指示を出したのか、よくわかります。」

 

 ベジータはまず精神と時の部屋に入った後、悟空達に習い、常に超サイヤ人の状態を維持して生活するよう指示を出し、その状態に慣れるまでは基礎を鍛える為の初歩的なトレーニングしか行わないとも宣言した。

 トランクスは最初からかなりハードな修行になると考えていた為、その意味が分からず困惑し、ベジータにもっとキツい修行をつけて欲しいと頼んだが、つべこべ言わずにやれと怒鳴られて拳骨までされてしまった為、大人しくその指示に従った。

 

 そしてつい先日、ベジータが突然そろそろ頃合いだろうと呟き、トランクスに超サイヤ人に変身する要領で気を高めるよう指示を出した。

 言われるがままトランクスは気を高めてみたが、自分から放たれた凄まじい気にトランクスは驚きを隠せなかった。何せこれまでとは比べ物にならない程気が高まり、黄金のオーラもかつてない程に洗練されていたのだ。

 

 そこで漸くトランクスはベジータから最初の修行の目的を聞かされ、これまでの修行が無駄ではなかった事を理解したのであった。

 

「さて……お前も超サイヤ人の状態を維持し、平常心を保つ事は問題なく出来るようになった訳だが、残りの時間でお前には超サイヤ人の限界を超えて貰う。」

 

「超サイヤ人の限界……?なんですか、それは?」

 

「その前にお前に釘を刺す意味で、間違った超サイヤ人の進化を見せておく。はぁぁぁぁぁ……!!」

 

 突如ベジータが気を激しく上昇させると、黄金のオーラが嵐のように吹き荒れ、全身の筋肉が凄まじく膨れ上がり、ブロリーを思わせるような体格になった。

 

「こ、これは!?な、なんてパワーなんだ……!!か、勝てる!!これならセルに勝てますよ、父さん!!」

 

「はぁ……やはり、この変身を見せておいて正解だったな。良いか、トランクス。仮にお前がこの変身をしたとしても、絶対にセルに勝つ事は出来ん……と言うよりラディッツやナッパにも完敗を喫する事になるだろう。」

 

「えっ!?な、何でですか!?」

 

「いいか、この形態はパワーだけなら凄まじい物だが、その分スピードが完全に死んでしまっているんだ。どんな攻撃だろうと当たらなければ何の意味もあるまい?その上身体にかかる負担も大きく、体力の消費も激しい。だからこの形態は間違った進化だと言ったんだ。」

 

「っ!!な、なるほど、そうだったんですね……」

 

「お前に目指して貰うのはこの形態ではなく、基本的な超サイヤ人を極めた先に辿り着ける、真の意味で超サイヤ人の壁を越えた姿だ……行くぞ、よく見ていろ!!はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

 一旦通常の超サイヤ人に戻ると、そこから更にベジータは気を上昇させていく。その上昇量は先程以上であり、周囲に暴風が吹き荒れ、トランクスは思わず両腕で顔を覆ってしまった。

 

 やがて風が止み、トランクスが顔を上げると、その時にはベジータは変身を終えていた。外見は基本的な超サイヤ人と変わりないが、放たれるプレッシャーは段違いであり、黄金のオーラの周りに無数の紫電が走っていた。

 

「と、父さん、それは……!!」

 

「これが超サイヤ人の限界を超えた超サイヤ人……カカロットのセンスに合わせるなら超サイヤ人2と言った所か。」

 

「す、超サイヤ人2……!!な、なんて凄い圧力なんだ……ただ目の前に立っているだけだと言うのに、身体の震えと冷や汗が止まらない……!!」

 

「これまでの修行はあくまで土台作りの為の物だったが、明日からはこの超サイヤ人2を目指し、お前の当初の望み通りこれまでよりずっとハードなトレーニングを行うぞ。覚悟しておけ!!」

 

「の、望む所です!!是非お願いします!!」

 

 

 それからトランクスにとって地獄の修行が開始される事になった。ベジータは自分でもやり過ぎたかと思うくらいトランクスをボコボコにしてしまった事も何度かあったが、以前も言った通り未来の世界に残された戦士はトランクス以外誰も居ないのだ。

 

 未来世界でも当然魔人ブウは存在するだろうし、これまで倒した強敵達もかなりの数が生き残っている筈だ。唯一安心出来る事と言えば、邪悪龍は確実に生まれない事だけだ。

 それを考えれば、超サイヤ人2になるだけでは全く足りないし、このくらいの修行を乗り越えて貰えないようでは地球を背負って行く事など出来はしないだろう。

 

 なのでベジータは心を鬼にして徹底的にトランクスを鍛え上げた。また、トランクスも父が本気で自分の為を想い、強くしようとしてくれているのを理解しているのか、何度心が折れそうになってもその度に闘志を燃やして立ち上がり、決して弱音を吐こうとはせず、ただひたすらにベジータに食らいついて行った。

 

 その甲斐もあってか、精神と時の部屋に入ってから11ヶ月が経とうとした頃、遂にトランクスは超サイヤ人2への変身を遂げるのであった。

 

 

 トランクスが超サイヤ人2に覚醒したその日、疲労と達成感で気絶するように眠ってしまったトランクスをベッドに運んだ後、ベジータはトランクスを起こさないよう、離れた場所である実験を行おうとしていた。

 

「超サイヤ人4に変身出来る今、この形態に変身する意味は然程ないが、トランクスに教える為にも習得しておいて損はないだろう……さぁ、やるかっ!!」

 

 気合を入れると、ベジータはまず超サイヤ人2まで一瞬にして変身を遂げる。問題はここからだが、今の自分なら問題なくなれる自信が……いや、確信がベジータにはあった。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………!!!!」

 

 ベジータの身体の中から、超サイヤ人2に変身した時以上の気の嵐が吹き荒れる。そしてベジータの気が高まって行くのに合わせ、ベジータの髪が更に伸びて行き、昼夜問わず真っ白な筈の精神と時の部屋が暗くなり、空間そのものが軋んでいると錯覚する程の振動が発生する。

 

「うぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!!!」

 

 次の瞬間、ベジータから解き放たれた光が精神と時の部屋を包み込んだ。

 

「……どうやら成功したようだな、超サイヤ人3への進化が。」

 

 ベジータの姿は、超サイヤ人2の時とは大きく変化を遂げていた。無数の紫電を走らせ、髪も同形態の時の悟空程ではないが長くなり、眉も無くなっていた。何よりも、全身から放出される気の量は、超サイヤ人2の頃とは比較にならない程圧倒的に高くなっていた。

 

「とは言え、やはり超サイヤ人4には及ばないか……体力消費も激しいし、トランクスに教える時以外は基本使う事はないだろう。」

 

 そう呟きながらベジータは超サイヤ人3を解除する。これでトランクスに超サイヤ人3について教える事も可能になった訳だが、それでもベジータの表情は晴れない。

 

「トランクスが超サイヤ人3になったとして、本当にそれで足りるだろうか?いっそドラゴンボールを使ってトランクスに尻尾を生やし、超サイヤ人4を習得させるのも有りか?いや、だが確かセルを倒した後に叶える願いは犠牲者の蘇生と18号達の爆弾を取り除く事に使うから……」

 

 いつもの変顔をしながらトランクスが起きるまであれこれと考え込むベジータ。そして残り時間的に超サイヤ人3のマスターは厳しいので、超サイヤ人3の特訓は最後の一日を使ってからと言う事になり、ベジータ達は一年の経過と共に精神と時の部屋から出るのであった……

 

 

「ベジータさん、お久しぶりです!」

 

 そうベジータに挨拶したのは、かつてナメック星で助けたデンデであった。どうやらベジータ達が精神と時の部屋に入っている間に、悟空が新しい地球の神としてデンデをスカウトして来たようである。

 

「デンデか……久しぶりだな。しかし何故地球に貴様が居るんだ?」

 

「神が俺と同化した事で、今地球には神が居ない上、ドラゴンボールも使えなくなってしまってな……そこで悟空が新たな神として、新ナメック星までナメック星人をスカウトしに行ったんだ。」

 

「それで、デンデが新たな神となった訳か。」

 

「はい!」

 

 デンデが頷いた直後、ドラゴンボールを抱えた悟空が瞬間移動で現れた。

 

「おーい、ドラゴンボール集め終わったぞって、ベジータにトランクスじゃねぇか!!二人とも修行は終わったんか?」

 

「まぁ一応な……」

 

「へぇ〜……一眼見ただけでわかっぞ。二人ともでぇぶ強くなったみてぇだな?」

 

「フン、当然だ。」

 

「こりゃオラもうかうかしてらんねぇな……兄ちゃん、早速オラ達ももう一回入ろうぜ!!」

 

「ああ。」

 

 悟空に声をかけられたラディッツが早速立ち上がった。しかしベジータは悟空がもう一日入るのが想定外だったようで、少しばかり目を見開いた。

 

「何だカカロット、貴様も二日間フルに使うのか?」

 

「ん?駄目なんか?」

 

「いや、駄目ではないが、てっきり貴様は入らない物だと……」

 

「前の修行でも強くなれたけど、今のまんまじゃベジータには全然勝てそうにねぇかんな。もっともっと修行して強くなんねぇと!!」

 

(こ、この言い方からして、カカロットはもしや俺に勝つのが目的なのか?で、ではまさか、前の世界に比べてやけにカカロットが修行に力を入れているのは、俺が原因だったのか!?)

 

「悟空さん、今度は悟飯さんとは入らないんですか?」

 

「ああ。最初はオラも悟飯と入る予定だったんだけど、兄ちゃんに頼まれてな。」

 

「修行していて気付いたのだが、俺はカカロット程修行が上手くないからな……兄としては悔しいが、ここはカカロットに鍛えて貰おうと思ったんだ。」

 

「そして、悟飯は悟空とラディッツの後、改めて俺と一緒に入る予定だ。」

 

「ほう、ピッコロとか。なるほど、悟飯を鍛える上では、確かに貴様が一番の適任者と言えるだろう。」

 

「そう言う訳だからよベジータ。ここは久しぶりに俺と二人で……」

 

「断る。トランクスをまだまだ鍛えなければならんし、貴様は一人で入れ。」

 

「そ、そうか……」

 

 どうやらベジータに鍛えて貰うつもりだったナッパは、ガックリと肩を落としていた。そして最終的に飲み仲間のヤムチャを無理矢理引き摺り込んで一緒に修行したらしい。

 

 そんなこんなで精神と時の部屋で悟空達は修行し、遂にセルゲームの日を迎えるのであった……

 

 

 

 

 セルゲーム当日、Ζ戦士達と修理された16号が会場に集まると、前の歴史通りミスターサタンとその弟子達がセルに挑むが、当然の如く軽く一蹴されてしまった。

 

「さぁ、今度こそセルゲームを始めるぞ。まずは誰から来るんだ?ラディッツか?ナッパか?それともベジータか?」

 

「勿論、オラからだぞ!!」

 

「ほう、早速貴様か孫悟空。メインディッシュは最後まで取っておきたかったんだがな……」

 

(前の世界と同じくカカロットから始めるようだな……と言う事はやはり途中で交代し、悟飯に変わるのか?)

 

「来いよ……」

 

「言われるまでもねぇさ。はぁぁぁぁぁぁぁ……!!!!」

 

「むっ!?」

 

「これはまさか……!!」

 

「はぁっ!!!!」

 

 気を一気に解放する悟空。すると髪が更に逆立ち、オーラに紫電が走るように変化を遂げていた。その姿は正しく超サイヤ人2であり、悟空は本来の歴史よりも早くこの力を会得していた。

 

(ま、まさかとは思っていたが、カカロットの奴、こんな短期間で自力で超サイヤ人2に到達しやがるとは……これは、そのままセルを倒してしまうのではないか!?)

 

「カカロットめ、まずは小手調べをするつもりらしいな?最初から全力を出せば良い物を……全く、困った弟だ。」

 

「えっ、あれで全力じゃないのか!?」

 

「まだまだあんな物じゃないさ、今のカカロットの全力はな。」

 

(こ、これで全力じゃないだと!?ま、まさか……まさかカカロットの奴、既に!?)

 

「そ、孫悟空、貴様……!!」

 

「行くぞ、セルっ!!」

 

「ちぃっ!!」

 

 オーラを爆発させ、超スピードでセルに突っ込んで行く悟空。本来の歴史より遥かに進化した悟空は、どれ程の力を得ているのだろうか……?

 

 

 

 

「……さて、そろそろ行くか。」

 

 とある惑星の荒野で、岩に腰を掛けていた異星人が空を見上げた。

 

「長かった……だが、屈辱の日々はもう終わりだ。覚悟しろ、ベジータ!!今度こそ貴様を葬り去り、俺が全宇宙の頂点に立ってやる!!ふはははははははは!!!!」

 

 高笑いしながら地球へと飛び立つ紫の異星人。ベジータの想像を超える脅威が、地球に迫ろうとしていた……

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