ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ 作:ゴロリコン
悟空とレッドの戦いから早一ヶ月……レッド達はソルベ達の捜索の為、少しの間地球に留まる事となった。
その間レッドは捜索の傍ら、Z戦士達と組手を行っていた。
今までレッドは大抵の敵は一撃で倒していたので、互角の実力を持つ者や格上との交戦経験が欠けていた。
だが、地球には対等の実力を持つ悟空や、界王拳を使っても尚届かないベジータが居る上、他にも多くの実力者達がいる。彼にとっては最高の修行場と言えるだろう。
また、そんなレッドに触発されたのか、ギンガセイバーの面々も修行に打ち込むようになった。
レベルの高いZ戦士達に驚いた彼等だが、流石はレッドの部下と言うべきか、俄然やる気を出しているようだ。(マカモホが時々ヤムチャに怪しい視線を向けているが、きっと気のせいだろう)
中でもターブルは兄であるベジータが率先して鍛えており、息子のトランクスと共に三人でよく重力室で修行を行っているようだ。妻のブルマ曰く大きなトランクスを鍛えてた時みたいとの事である。
ちなみにタコ型の科学者は修行には参加せず、ブルマやブリーフ博士と主に技術面での交流をしているようだ。
一方で、ソルベの捜索については全く進展がなかった。地球外に待機させているレッドの部下からの連絡では、地球から外に出たのは確認されていないそうなので、まだ地球に居るのは間違いないが、相当上手く隠れているようだ。
ちなみに、彼等は今地球上の何処にも存在しないドラゴンボールを躍起になって探しているのだが、当然レッド達がその事を知る術はなかった。
そんな訳で平和な日々を送っていたZ戦士達なのだが、ある日、カプセルコーポレーションに悟飯が訪ねて来た。
何でも今までどうにか誤魔化して来たグレートサイヤマンの正体がとうとうビーデルにバレてしまい、次の天下一武道会に出なければ正体をバラすと脅されているようだ。
「へぇ、あのサタンの娘さんにねぇ……」
(ビーデル……悟飯の嫁か。なるほど、前の世界でもそんな話を聞いた覚えがあるぞ。と言う事は、そろそろ魔人ブウが出て来るのか……)
今のベジータは無理に歴史通りに話を進める気はない。なので最悪魔人ブウを復活させずにバビディを倒してしまっても、それは仕方ないと割り切るつもりだ。
(だが、そうなるとウーブの存在そのものが誕生せずに終わってしまう……歴史通りに進まなくても構わないが、それでも奴の存在そのものが消えてしまうのは、可能な限り避けたい。しかし、ウーブの誕生経緯はかなり複雑だからな。どうした物か……)
ベジータとしても、かつての仲間であり生涯のライバルであった男の愛弟子を、別世界とは言え存在自体しなくなるような展開は避けたいようだった。
だが、ベジータの言った通りウーブが誕生するまでの道のりは中々に複雑だ。まず、魔人ブウを復活させねばならないが、これが一番の鬼門と言えるだろう。
今のベジータはバビディの洗脳を受けるつもりはないし、仕掛けて来ても跳ね除けるつもりだ。何より前の世界ではその事でブルマを悲しませてしまったので、それだけは絶対に避けねばならない。
しかしそうなるとバビディ側の最高戦力はあのダーブラになる訳で、自分や悟空は勿論、悟飯も修行を怠けていないので、全くダメージを受けず、簡単に倒す事が出来るだろう。
同じくラディッツとナッパもこの7年の間、悟空とほぼ毎日修行をしているので、ダーブラ程度にはまず負けはしない。
また、ピッコロも悟飯や悟空とよく一緒に修行をしている為か、前の世界よりもかなり実力が高く、完全体のセルを上回る力を得ているので、問題なく勝つ可能性が高い。
そうなると、ヤムチャくらいなのではないたろうか?ダーブラが良い勝負を出来るのは?
この世界のヤムチャは(主にナッパのせいで)純地球人最強の座を得ているし、こいつなら上手い具合にダメージを稼げるかもしれない。
だが、ヤムチャがそもそも魔人ブウとの戦いについて来ない可能性の方が高いし、仮について来ても戦いは悟空達に任せる可能性の方が高い。
何せダメージを受ける度に魔人ブウの封印が解けて行くのだ。余計なダメージを避ける為により強い仲間に任せる方がよっぽど普通だろう。
レッド達を使うのはどうかとも思ったが、悟空と同レベルの実力があるレッドがダーブラ程度に負ける可能性は皆無だ。
部下に関してもあのオカマなら普通に勝てるだろうし、ナメック星人も苦戦はしても負けはしないだろう。
となるとターブルとタコの科学者こと004だが、まず004はフリーザレベルなので勝負にもならないだろう。ブルマ達と色々改造を加えているようだが、そこまで宛にすべきではない。
ターブルも少しずつ強くはなっているし、あのプイプイとか言う雑魚になら圧勝出来るだろうが、流石にまだダーブラに勝てるレベルではない。
と言うか、もし仮に魔人ブウが復活しても、前の世界程苦戦はせず、普通に倒して終わる可能性が非常に高い。
自分は言うに及ばず、悟空も超サイヤ人4にこそ未だなれないが、素の実力は自分と互角であり、超サイヤ人3に至っては自分以上に使いこなしているので、もしかしたら前の世界の悟空を超えている可能性さえある。
その悟空と同等の実力があるレッドも同様で、たとえ魔人ブウが相手だとしても、まず負けはしないだろう。
一番厄介な吸収能力も、スピリットの強制分離がある以上、もはや大した脅威とは言えない。それよりもバビディの洗脳術の方がよっぽど厄介だ。
(いっそレッドか他の連中を洗脳させるか……いや、ターブルの仲間にそんな事をさせる訳にはいかんし、そもそも気合で跳ね除ける可能性もゼロではない。しかしそれだとどうやっても魔人ブウが……)
「兄さんもその変なか……もとい、不思議な顔をするんですね。レッドさんにそっくりです。」
「あれ?ターブル君はしないの?」
「僕は特にそう言う顔をしていると指摘された事はないですね。」
「ふーん……そう言えば大きい方のトランクスはたまにしてたけど、こっちのトランクスはまだした事ないし、何か条件でもあるのかしら?」
「さ、さぁ?」
「にしてもそのビーデルって子、よく悟飯君がグレートサイヤマンの正体だって気付いたわね?」
「それが、前にレッドさんが僕の正体を指摘した時以来、ずっと証拠を押さえようと狙ってたらしくて、昨日の事件でとうとうバレてしまって、一緒に天下一武道会に出ないと正体をバラすと……」
若干恨みが籠った視線をレッドに送る悟飯。しかしレッドはそんな事知らんとばかりにトランクスとス◯ブラの対戦に夢中になっていた。
ちなみにレッドはゲームが得意ではないのか、トランクスに終始ボコボコにされ、ただでさえ赤い顔を更に真っ赤にして「もう一回だ!!」と再戦を申し込み、トランクスを呆れさせていた。
「それでですね、天下一武道会ではヘルメットやプロテクターのような防具の使用が禁止されているらしくて、このヘルメットも駄目らしいんですよ。」
「要するにダメージを減らすような物を着てちゃ駄目だと……うーん、それじゃタコ君と新開発したパワードスーツも駄目そうね。でもまぁ、そんな難しく考えなくても良いんじゃない?要は悟飯君だとバレないようにすれば良いんでしょう?」
その後、悟飯は前の世界と同じようにダサ……独特なセンスのサングラスとバンダナを着けて出場する事となった。
「どうだトランクス君、カッコいいだろう!?」
「ノーコメント。(僕の分も造ってって言わなくて良かった……)」
レッドを再度ス◯ブラでボコボコにした後、コメントを求められたトランクスは、無表情でそう答えた。一方レッドは敗戦のショックで「俺様はもう、戦わん……」とか言いながら部屋の隅で体育座りしながらブリーフ博士に慰められていた。
ちなみにターブルは「最高ですよ悟飯君……いや、グレートサイヤマン!!」と大絶賛してトランクスをドン引きさせていたのだが、これはまた別のお話である。
「おい、悟飯。その天下一武道会とやら、俺も出るぞ。」
ここで考え事を切り上げたベジータが前の世界と同じように自分も出場すると伝えた。
「えっ、ベジータさんもですか!?」
「へぇ、珍しいじゃない?天下一大武道会の時は「全力を出せん大会に興味はない」とか言ってたのに。」
「フン、単なる気まぐれだ。」
「パパも出るの!?すっげぇー!!なら悟空おじさんにも声かけようよ!!二人が出るんなら喜んで出てくれるんじゃないかな!?」
「うーん、そうだなぁ……よし、いっそお父さんだけじゃなく、伯父さんやピッコロさん、ナッパさん達にも声かけてみるか!!」
「レッド、貴様はどうする?」
「どうするも何も俺様はセルとして地球人達に恐れられているからな……スーツの方も規則に引っかかるようだし、大人しく観戦しているさ。」
「そうか、それは少し残念だな……」
「あっ、そうだ!!ベジータさんも正体を隠す為に、こう言うコスチュームをしなければ!!」
「良いですね!!」
グレートサイヤマンの衣装を着せようとする悟飯と、それに賛同する弟ターブル。まぁ当然だがベジータは顔を真っ赤にして拒否した。
「着るかぁ!!お、俺は別に正体がバレても構わん!!」
「ええ、残念だなぁ……きっと似合ってると思うんだけど……」
「馬鹿も休み休み言えっ!!」
(良かった、もしパパが着てたらもう一生口利かないところだった……)
きちんと父が拒否してくれた事に、内心安堵したトランクス。それからターブルはセイバーレッド005として出場する事になり、ベジータは大会中は他人のふりをすべきかと真面目に悩む事になったらしい。(ちなみに本来のパワードスーツは規則違反になる為グレートサイヤマンのような衣装を着て出場するらしい)
※※※
あの後悟飯からの誘いに二つ返事で応じた悟空は、その翌日、仕事の昼休憩中にラディッツとナッパ、ヤムチャに大会に参加しないか誘っていた。
「ほう、地球にはそんな武道大会があったのか。」
「面白そうじゃねぇか。ベジータやカカロット、悟飯も出るんなら俺達も出ようぜ!!」
「そうだな……それに賞金が入れば娘にプレゼントを買ってやれるし、悪くない。」
「お、俺は遠慮しとこうかなぁ……」
乗り気になっているラディッツとナッパに対し、ヤムチャはあまり気乗りしてしないようだった。
「んだよヤムチャ、ノリが悪りぃなぁ!!」
「何か気になる事でもあるのか?」
「いや、俺って昔からくじ運悪くて、天下一武道会では絶対一回戦で負けちまうんだよ。それに今回は悟空だけじゃなくてベジータやお前等まで出るんだろ?出たって絶対一回戦負けになっちまうよ……」
「いや、そうとも限らねぇぞ?」
「へ?」
「悟飯の奴がさ、正体を隠す為に超サイヤ人や気功波の類の使用は無しにしようって言ってたんだ。今じゃヤムチャも相当強くなってるし、界王拳を上手く使えば、結構な所まで行けるんじゃねぇか?」
「それに大会で活躍すりゃ、女にモテるかもしれねぇぞ?」
「な、なるほど!!そ、そうか、それなら俺も勝てるかもしれないな!!よぉし、俄然やる気が出てきたぜ!!」
「大会が終わったらうちで祝勝会を開くか。みんなで集まるのも久々だしな!!」
どうやらヤムチャも天下一武道会への参加を決意したようである。ラディッツは大会後のパーティまで企画しているようだ。
その後、悟空はクウラにも声をかけようと言い出したのだが、ラディッツが難色を示していた。
「カカロット、奴は多分参加せんと思うぞ。」
「どうしてだ?」
「天下一武道会とやらでは超サイヤ人は禁止なんだろう?なら、クウラとの実力差は相当に大きくなってしまう筈だ。奴もそんな条件でベジータやお前に勝っても嬉しくはあるまい。」
「うーん……まぁ、声だけはかけてみるさ!」
※※※
「っちゅー訳でよ、オメェもその天下一武道会に出てみる気はねぇか?」
「生憎だが、俺は自分の戦いを無関係な奴等の見せ物にするつもりはない。何よりその大会とやらでは貴様等は超サイヤ人にならんのだろう?実力の半分も出せん貴様等に勝った所で何の自慢にもなるまい。」
クウラを誘いに来ていた悟空だが、ラディッツの予想通り、彼は参加を見送るようだった。
「そっかぁ、残念だな……あっ、じゃあ大会終わった後に兄ちゃんの農園で祝勝会やるんだけどよ、そっちにはどうだ?美味ぇもんいっぱい出っぞ?」
「何っ!?ま、まぁそれなら悪くないかもしれんな。フン、ど、どうしてもと言うのならその祝勝会とやらには出てやっても構わんぞ?」
「じゃあ決まりだな!!」
「所で……このスイカとやら、かなり甘くて美味だが、やたら種が多いのはどうにかならんのか?」
「うーん、スイカっちゅーんはそう言うもんだからな。我慢するしかねぇぞ。ぺっ!!」
「くっ、下品だが仕方ないか。もっと簡単に種が取り除ければ完璧なんだが……」
横に並んで一緒にスイカを食べている悟空とクウラ。どうやら悟空はこの7年ですっかり修行仲間のような関係を構築したようである。
※※※
「と言う訳でターブル、まず貴様は超サイヤ人に変身する所から始めるぞ。」
「は、はい。でもどうやって変身すれば……?」
「そんな変に意識しなくても簡単になれるって。俺と悟天は割とあっさり変身できるようになったし!!」
「それはお前と悟天が特殊なだけだ。まずは基礎を鍛えつつ、イメージトレーニングから始めるぞ。」
「はい!!よろしくお願いします!!」
「パパ!!俺も悟天に負けたくないから、いつもよりうんと厳しく修行つけてよ!!」
「フン、良いだろう。覚悟しておく事だ。」
「よっしゃーーー!!!!」
大喜びしているトランクスと、緊張している様子のターブル。果たしてこの二人は大会までの間にどれだけ強くなる事が出来るのだろうか……?
※※※
「まだそのドラゴンボールは見つからない訳ぇ?」
「はっ、その……も、申し訳ございません……」
「はぁ、君達にはガッカリだよ。情報だけあっても何の意味もないのがわかんないの?これ以上僕をガッカリさせるようならどうなるか、わかってるよね?」
「む、無論でございます!!か、必ずやバビディ様の為にもドラゴンボールを集めてみせます!!た、タゴマ、行くぞ!!」
「は、はい!!」
もう後がない事を察しているのか、大慌てで駆け出していくソルベとタゴマ。そんな彼等の背中を見送りつつ、バビディは溜息を漏らした。
「あーあ、最初はいい拾い物したかと思ったけど、とんだ期待外れだったね。」
「消しますか?」
「いや、まだ少しだけ時間をあげるよ。所でピラフ?君のドラゴンボール用のレーダーとやらにもまだ反応はない訳?」
「………」
「ねぇ、聞こえてるの?」
「……はっ!?ば、バビディ様、も、申し訳ございません、レーダーに反応は見られません……」
「それ、壊れてるんじゃないの?もう一回ちゃんと点検しなよ。それから、あいつ等と一緒に捜索の方もよろしくね。」
「は、はい、今すぐに……お、おいお前達、行くぞ……」
フラフラと下がって行くピラフ達を、プイプイは呆れたような目で見つめていた。
「あいつ等、ここの所やけにぼーっとしてる事が多くありませんか?あんなんで大丈夫なんですかね……」
「ああ、思ってたより早くガタが来たみたいだね。」
「えっ?」
「あいつ等ってさ、そんな邪念が強い訳じゃないんだよね。でもドラゴンボールに関して色々情報を持ってたみたいだから、結構重めの魔法で無理矢理支配下に置いてたんだよ。それこそ、洗脳が解けても精神が粉々に壊れちゃう程のおもーい奴をね。」
「ではあいつ等は……」
「多分術の方に心が持たず、精神崩壊が始まったんじゃないかな。可哀想に、ありゃそう遠くない内に鼻水と糞尿を垂れ流しながら、自分が誰なのかも忘れて、ベッドの上で残りの余生を送る事になるよ。まっ、近々地球なんて滅びるんだし、寂しがる必要もないか!!」
操り人形にしておきながら、精神崩壊が始まったピラフ一味を嘲笑うバビディ。だが、そんな彼を咎める者はこの場に誰一人としておらず、逆に周りの者達はそんな彼を賛美し始めた。
「クククク、バビディ様も人が悪い。そもそも奴等には寂しがるだけの理性も残らないのでしょう?」
「おっと、こりゃ一本取られたね。まぁそう言う訳だから、あいつ等はそろそろ用済みかな。レーダーの使い方だけ聞き出して、後はその辺にでも捨ててきてよ。」
「おや、始末なされないので?」
「うん。まるで役に立たなかったけど、ドラゴンボールの情報とそのレーダーだけでもだいぶ役には立ったからね。だから生かして解放してあげようと思って。ほら、僕って優しいでしょ?」
「全くですな。奴等はバビディ様に感謝すべきです。惜しむべきは、もう何もかもがわからなくなってしまう事ですが。」
「ははははははは!!!!」
この後、ピラフ一味は洗脳を解除され、近くの田舎町に捨てられた後、病院に搬送された。
だがバビディの強力な魔術による支配を受け続けていた彼等の心は地球の……いや、仮に宇宙の医療技術でも手の施しようはない程までに破壊し尽くされていた。
その後ピラフ一味は隔離病院へ送られ、残りの余生をそこで送る事になるのだった。