ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ   作:ゴロリコン

45 / 108
この宇宙の希望

「はぁっ!!」

 

「グッ!?」

 

 ブラック化したクウラのパンチを受け、岩盤に叩きつけられるジャネンバ。ゴールデンクウラを圧倒する事は出来ても、流石にブラッククウラの相手は難しかったようで、既に満身創痍と言える程のダメージを受けていた。

 しかし、それに対しブラッククウラの受けたダメージは極僅かで、切られた筈の左肩の負傷も既に完治していた。

 

「はぁ、はぁ……まさかベジータ以外にブラッククウラに変身させられるとは思いもしなかったぞ。とは言え、流石にこの姿になった俺には敵わなかったようだな?」

 

「………」

 

 沈黙を保ち続けるジャネンバに対し、クウラは一瞬不気味な何かを感じ取る。しかし、トドメを刺すチャンスを逃すべきではないと判断し、右手を黒色の気で包み込んだ。

 

「もはや返事をする気力もないか……それだけの力、消すには惜しいが、暴れるだけの獣を放置する訳にもいかん。ここで散れぃ!!」

 

 ブラッククウラの放った拳が、"ターレス"の胸を貫いた。そう、"ジャネンバ"のではなく、"ターレス"の胸を、だ。

 

「なっ……元の山猿に戻った!?で、では奴は何処へ……はっ!?」

 

 猛烈な悪寒を感じ取り、慌てて顔を上げるクウラ。すると上空からドス黒い邪念の塊が、クウラ目掛けて急降下し、その身体を包み込んでしまった。

 

「ぐ、ぐぁああああああああああああ!!!!!な、なんだ……こ、これはぁああああ!?お、俺の意識が……ぬ、塗り潰される……!!や、やめろ!!お、俺の中から出て行けぇええええ!!!!」

 

 常人なら一瞬で発狂死してもおかしくない程の邪念に侵され、頭を抱えつつもクウラは必死に抵抗を試みる。

 だが、次第にその勢いは失われていき、やがて目の色から正気が失われると、悟空とバーダックが戦っている方角へと移動を始めるのだった……

 

 

※※※

 

 

 その頃、トランクス達と合流したベジータは、トランクス、悟天、ミントの三人に気を分けてもらう事で、超サイヤ人4になれる程度には回復する事が出来たようだ。

 

「……よし、これならどうにか戦えるな。礼を言うぞ。トランクス、悟天、ミント。」

 

「ううん、気にしないでよパパ!」

 

「全く、一緒に避難した筈なのにこんな所に居るだなんて!!」

 

「んだ!!しかもミントちゃんまで巻き込んで……こりゃ後で悟空さ達に説教して貰うしかねぇだな!!」

 

「うぇっ!?そ、そりゃないよお母さん!!」

 

「そ、そうそう!!それにミントも滅茶苦茶乗り気だった……」

 

「言い訳無用!!とにかく二人とも覚悟しなさい!!」

 

「「そ、そんなぁ……」」

 

 母親二人の前にすっかり萎縮している悟天とトランクス。ちなみに何故ブルマ達がここにいるのかと言うと、避難している最中に悟天達の姿がない事に気付き、大慌てで探しに来た為である。

 

 するとその時、上空からチチによく似た声が聞こえて来た。

 

「カカロット……?」

 

「へ?」

 

(っ!!あの格好、それに腰に巻いている尻尾……まさか、新手のサイヤ人か?)

 

 悟天を震えながら見下ろしている女のサイヤ人に警戒心を露わにするベジータ。ピッコロ達に至ってはいつでも攻撃出来るように構えを取っていた。

 しかしここでふとベジータはある事に気づいた。

 

(この女、気が小さ過ぎる。おそらく非戦闘員だろう。そして何より、悟天を見てカカロットと言いやがった。ひょっとするとこいつは……?)

 

「やっと……やっと見つけたよ!!カカロット!!」

 

「うわぁ!?」

 

 いきなり降りて来たかと思えば、悟天を力一杯抱き締めるサイヤ人の女性。悟天は訳がわからないとばかりに混乱しているし、チチも突然怪しい女が我が子を抱き締めた事で怒りを露わにしている。

 

「こらぁ!!何処の誰だか知らねぇが、オラの悟天ちゃんに何するだ!?とっととその手を離せ、この変質者!!」

 

「悟天?何を言ってるんだい!!この子はカカロット、あたしの息子だよ!!」

 

「そっちこそ何を言ってるだ!!悟空さがこんなにちっこい訳がねぇべ!!」

 

「悟空?そんな奴あたしは知らないよ!!」

 

「待て。」

 

 何やら怒鳴り合い始めた二人の間に、大凡の事情を察したベジータが割って入った。

 

「ベジータさは引っ込んでてけろ!!オラは親として断固……」

 

「えっ……べ、ベジータ王?いや、髭がないから、ひょっとしてベジータ王子!?」

 

「髭の有無で判断したのは気に入らんが、そうだ。貴様、名は?」

 

「あ、あたしはギネですが……」

 

「やはりそうか……」

 

「ベジータ、どう言う事よ?」

 

 状況が飲み込めずに首を傾げている一同を代表し、ブルマがベジータに問いかける。そしてベジータはこの女性が誰なのか説明する事にした。

 

「この女、ギネはカカロットとラディッツの母親だ。」

 

「……へ?孫君のお母さん?それって……」

 

「チチとタイツにとっては義理の母親、悟飯と悟天、ミントにとっては祖母に当たる女だ。」

 

「おおお、お義母様ぁっ!?」

 

「お〜、僕ってお婆ちゃん居たんだね。」

 

「わぁ、お婆ちゃんわっかーい!!」

 

「は?ぎ、義理の母?祖母?あたしが?ど、どうなってんだい……?」

 

 突然過ぎる展開について行けず、混乱しているチチとギネ。悟天とミントは祖母と出会えた事で何やらテンションが上がっているようだ。

 

 その後、ベジータが改めて事情を説明すると、どうにか状況を飲み込めたようだ。

 

「そ、そっか、惑星ベジータが滅んでからもう随分経ってるんだもんね。そりゃカカロットもとっくに大人になってなきゃおかしいか……にしても、まさかあたしに三人も孫が出来てるとはね……」

 

「あああ、あの、先程はお義母様とは露知らず、とんでもねぇ失礼を……」

 

「あっはっは!!構やしないよ。あたしがあんたの立場でも同じように怒っただろうからね!!それに、それくらいの気概がないとサイヤ人の嫁は務まらないさ!!」

 

 悟天とミントの頭を撫でつつ豪快に笑うギネを見て、どうやら許して貰えたようだとチチは胸を撫で下ろしていた。

 

「それで?貴様、何をしにここへ来たんだ?地球で暴れ回るつもりのようには見えんが……」

 

「そりゃ勿論、カカロットに会いに来たんだよ。地球でちゃんとやれてるか心配だったしね。バーダックの奴も途中までは一緒だったんだけど……」

 

「バーダック……カカロット達の父親か。」

 

「お義父様も来てるだか!?」

 

「ああ、うん……この星のどっかに居るとは思うんだけど、今別行動中なんだ。」

 

「別行動だと?」

 

「なんか、やらなきゃならない事があるそうで、あたしが一緒だと邪魔になるからって一人で飛んでっちゃったんだよ。きっと無事だとは思うけど、今何処で何してるんだか……」

 

 心配そうに溜息を漏らすギネ。そして彼女は知らない。バーダックと息子であるカカロットこと孫悟空が窮地に陥っている事を……

 

「で、一人になった貴様は地球中を飛び回り、カカロットを探し続け、悟天を見つけたと言う訳か。」

 

「だいたいそんな感じだね。」

 

「そうか。だが貴様も見ての通り今の地球は危険な状態だ。非戦闘員の貴様が居た所で何の役にも立たん。大人しくチチ達と一緒に避難していろ。」

 

「ちょっとベジータ!!そんな言い方……」

 

「良いんだよ。ベジータ王子の言う通りだと思う。それに、カカロットもラディッツも今は戦ってるんだろう?なら、あたしが行っても足手纏いになるだけさ。」

 

「お義母様……」

 

「……しかし、悟飯達の祖母が現れた事もそうだがベジータ、お前がそこまで消耗した上、完全に倒す事が出来ない相手が現れたとは、流石に驚いたぞ。」

 

「正直、どうすれば奴を滅ぼす事が出来るのか全くわからん……今度ばかりはキツイかもな。」

 

「お前がそこまで言う程の相手、か……」

 

 神妙な顔をして腕を組んでいるピッコロ。そしてクリリンとヤムチャもベジータがそこまで言う程の敵の登場に、危機感を抱かずにはいられなかった。

 しかしその時、ベジータ達は悟空の気が急激に低下して行く事、そしてクウラの気が消え、入れ替わるように怪物の気が現れたのを感じ取った。

 

「これは……ご、悟空の気が急激に低下して行く!?」

 

(それだけじゃない、この邪悪な気はあの化け物と物だ…….しかし、魔人ブウのすぐ傍からも、同じ気を感じる!!どう言う事だ、あいつが増殖したとでも言うのか……!?)

 

 二つの地点からジャネンバの気を感知した事に、ベジータは混乱に陥っていた。一方チチとギネは悟空が窮地に陥っているのを察したようで、慌ててピッコロに詰め寄っていた。

 

「ど、どう言う事だい!?カカロットに、あの子に何かあったのかい!?」

 

「説明してけろ、ピッコロさ!!」

 

「お、俺にもよくはわからん。だが、悟空の気が大きく低下している事だけは事実だ……!!」

 

「そ、そんな……お父さん!!」

 

「あっ、おい悟天!?」

 

 父の危機を感じ取り、悟天は居ても立ってもいられず、悟空の元へと飛んで行き、続くようにギネも飛んで行ってしまう。それを見たベジータは、慌ててピッコロに指示を飛ばす。

 

「ピッコロ、貴様達は悟天を追え!!あいつ一人で行けば何が起きるかわからん!!」

 

「お前はどうするんだ!?」

 

「俺はもう一つの反応の方へ向かい、すぐに始末して来る!!そっちは任せたぞ!!」

 

 それだけ言うと、ベジータは気を解放し、ジャネンバと魔人ブウの元へ急いだ。

 

(クソッ、あの化け物、まさか増殖能力なんて持ってやがったのか!?何がどうなっていやがる……!!)

 

 

※※※

 

 

 剣に貫かれ、血を垂れ流しながら落下して行く悟空に、ジャネンバはトドメを刺すべく右指の先端からビームを放とうとする。だが……

 

「させるかよっ!!」

 

「グッ!!」

 

 急接近して来たバーダックによって殴り飛ばされ、ジャネンバはビルに叩きつけられた。しかしまるでダメージを受けていないのか、即座に反撃しようと右腕を動かすが、突然金縛りにあったかのように腕が動かなくなってしまう。

 

「っ……!?」

 

 信じられない、とばかりに自分の腕を凝視するジャネンバ。だが、どれだけ動かそうとしても、この身体はいう事を聞かない。

 その時、ジャネンバは感じ取った。この肉体の奥底に眠る魂を。この器の本来の持ち主が妨害しているせいで、自由に身体を動かす事が出来ないのだ。

 

 この世界のジャネンバは、強い邪念を抱く者の肉体なら、どんな強者だろうと簡単に乗っ取ってしまう事が出来る。

 だがクウラはベジータに敗れた後の修行で己を見つめ直し、純粋な戦士として成長し、この7年の間で悟空とは奇妙な友情と言えなくもない物を築き上げていた。

 それ故に、今のクウラはかつて程大きく邪念を持ってはおらず、無理をしてどうにか肉体を乗っ取る事は出来たが、完全に支配するには至らなかったのだ。

 

「隙有りだ!!こいつで吹き飛びやがれっ!!」

 

「ちぃ!!ウガガガガガガ!!!!」

 

 自由に動かせない理由を悟り、小さく舌打ちすると、己の中に眠る邪念を全開にするジャネンバ。それによりクウラの抵抗を無理矢理封じ込め、身体のコントロールを奪還すると、バーダックの放った蹴りを受け止め、逆に右足を掴むと、そのまま地面に叩きつけた。

 

「クッ、テメェ……!!」

 

「イヒヒヒ……ギャハハハハハハハ!!!!」

 

「クソッタレめ、こうなったらあの力を……!!」

 

 高笑いしながらジャネンバはバーダックへと剣を向ける。しかし……

 

「デラックスボンバー!!」

 

「ダブルサンデー!!」

 

「ぬぅっ!?」

 

 突如放たれた二つの気功波を、テレポートする事でジャネンバはギリギリ回避する事に成功した。だが、攻撃の手は二つだけでは終わらなかった。

 ジャネンバの背後に、途轍もなく大きの気を持った者が現れたのだ。

 

「ムッ!?」

 

「好き放題暴れるのもここまでだ……いい加減にしろよ、この屑野郎!!」

 

 そこには、これまでとは気の質が大きく変化し、悟空と同じ道着を身に纏った悟飯が立っていた。そしてジャネンバに対し、目にも留まらぬ速度でパンチを叩き込み、そのまま回し蹴りで数キロは先まで吹っ飛ばしてしまった。

 

「て、テメェ等……!!」

 

「よう、クソ親父。リベンジに来てやった……と言いたいが、どう言う状況だ、これは?明らかにヤバそうな奴がいたから、先にそいつに攻撃しておいたが……」

 

 状況が飲み込めず、ラディッツとナッパは首を傾げているようだ。一方悟飯は油断無くジャネンバの吹き飛ばされた方角を睨みつけていた。

 

(マゴの気がとんでもなく……いや、別人って程に大きく上がってやがる……この力、もしかすると"あの姿"のカカロットにも引けを取らねぇんじゃねぇのか……?)

 

※※※

 

「ふぅ、やれやれ……この老耄をあんなとんでも空間まで連れて行くとは、恐ろしい事を考える奴等じゃわい……」

 

「ま、まぁまぁ……おかげで外の世界ではほんの僅かな時間で修行が終わった訳ですし……」

 

 神の神殿で東の界王神とキビトにマッサージさせている老界王神。どうやらベジータの指示通り即座にΖソードをへし折り、老界王神を解放した後、精神と時の部屋まで連行して儀式を行ったようだ。

 

「にしてもそのベジータとか言う奴、なんでワシやその能力の事まで知っとったんじゃ?まさか其奴、時間移動したのではあるまいな?だとしたらとんでもない事になるぞ。」

 

「さ、流石にそれはないとは思いますが……何にせよ、この件が片付いたら一度ベジータさんと話をする必要がありますね……」

 

 

※※※

 

 

「おい、親父!!聞こえているのか!?」

 

「っせーな……それよりテメェ等はさっさとカカロットを連れて下がりやがれ!!あの野郎相手にまともに戦えんのは俺とそのマゴくれぇだ!!」

 

「何だと貴様!?」

 

「良いから言う通りにしろ!!でねぇとカカロットが死んじまうぞ!!」

 

「なっ……か、カカロット!?」

 

「お父さん!!」

 

 バーダックに怒鳴られた事で、ラディッツ達も漸く悟空が瀕死になっている事に気が付いたらしく、慌てて悟空の元へと駆け寄った。

 

「ナッパ、仙豆は!?」

 

「わかってる!!カカロット、仙豆だ!!」

 

 袋から仙豆を取り出し、悟空の口元へ仙豆を運び、何とか飲み込ませる事に成功した。すると傷ついた悟空の身体は一瞬で完治し、悟空も目を覚ました。

 

「ふぅー、生きけえった!!兄ちゃんもナッパもよく来てくれたなぁ!!二人が仙豆もってきてくんなきゃオラおっ死んでたぞ!!って悟飯、オメェなんかとんでもねぇくらい強くなってねぇか?」

 

「ええと、これは老界王神様に強くして貰ったと言いますか……」

 

「それよりもだ、少し見ない間に瀕死になるとは、一体何があったんだ?」

 

「そ、そうだ、クウラだ!!クウラが変な化け物になってオラを刺して来たんだ!!」

 

「く、クウラさんが!?」

 

「野郎、まさか裏切りやがったのか!?」

 

 クウラに刺されたと言う発言を聞き、ナッパはクウラが裏切ったと判断したようで、怒りを剥き出しにしていた。しかし、悟空はあれがクウラの仕業ではないと理解しているようで、すぐに頭を横に振った。

 

「いや、あれはクウラじゃねぇ……クウラに取り憑いた何かの仕業だ。」

 

「と、取り憑いただと?そんな幽霊じゃあるまいし……」

 

「いいえ、お父さんの言ってる事は本当だと思います。僕もついさっき、フリーザ軍のメンバーと思われる男が、ドス黒い邪悪な気に乗っ取られ、怪物に変身するのを見ましたから……」

 

「じゃ、じゃあそいつがクウラの野郎を乗っ取ったってのが!?」

 

「おそらく。どうして二つも同じ気が存在しているのかまではわかりませんが……」

 

「テメェ等、無駄話はそこまでにしとけ。それより、例のドラゴンボールってのは今使えるのか?」

 

「ドラゴンボール?そりゃ、使えるとは思うが……」

 

「よし、なら今すぐ使ってカカロットに尻尾を再生させろ。」

 

「なっ、今からか!?」

 

 突然ドラゴンボールを使うように言われ、ラディッツは目を剥いて驚いていた。するとバーダックは当然だと言わんばかりに頷いてみせる。

 

「そうだ。俺とマゴ、それから"あの姿"になったカカロットで挑めば、あの化け物相手でも勝機はあるかもしれねぇ。」

 

「あの姿……ま、まさか父ちゃん、超サイヤ人4の事を……」

 

「っ!?来るぞっ!!」

 

「ヒャハハハハハハハハ!!!!」

 

 高笑いしながらドス黒いオーラを解き放ち、瓦礫の山を吹き飛ばしてジャネンバが飛び出して来た。

 そしてジャネンバは復活した悟空を見るや否や、もう一度潰してやると言わんばかりに突撃し、殴り掛かる。

 だが、拳が命中する寸前、悟飯がガードに入り、ジャネンバの拳を受け止めた。

 

「ご、悟飯!?」

 

「下がっていてください、父さん!!はぁっ!!」

 

「オゴッ!?」

 

 つま先蹴りが顎に直撃し、ジャネンバは堪らず仰け反った。そこへバーダックが追撃のライオットジャベリンを叩き込み、悟空から引き剥がす事に成功する。

 

「お爺ちゃん!!」

 

「あの野郎に反撃の隙を与えるな!!行くぞ!!」

 

「はい!!」

 

 バーダックは悟飯と連携しつつ、ジャネンバへと攻撃を開始した。そしてジャネンバはまだ完全にクウラの体を支配できていない為か、本来の力を発揮する事が出来ずに、悟飯とバーダック相手に追い込まれつつあった。

 

「ご、悟飯……」

 

「す、すげぇ、あの二人……特に悟飯の奴、超サイヤ人4のベジータにも引けを取らねぇレベルだぜ……」

 

「お、老いた界王神と一緒に精神と時の部屋に入ったかと思えば、ほんの数分で出て来るわ、別人のように強くなってるわ、いったい中で何が起きたと言うんだ……」

 

 老界王神により潜在能力を限界以上に引き出して貰った悟飯の絶大な力に、悟空達は唖然としていた。しかし、それでもジャネンバを押し切れない。

 それどころか、ジャネンバは段々とクウラの肉体を掌握しつつあるのか、徐々に悟飯とバーダックを押し始めていた。

 

「……デンデ!!聞こえてるか!?」

 

 意を決し、空を見上げて声を張り上げる悟空。程なくしてデンデからテレパシーが帰って来た。

 

『ご、悟空さんですか?聞こえていますが……』

 

「頼む、父ちゃんの言う通りドラゴンボールでオラの尻尾を再生してくれ!!」

 

『し、尻尾をですか?しかし……』

 

「このままじゃ二人ともあいつに押し切られちまう!!今は少しでもつええ力が必要なんだ!!」

 

『……わ、わかりました。すぐに準備しますから、少しだけ待っていて下さい。』

 

 それっきり、デンデとの交信は途絶えてしまった。急いでドラゴンボールを準備してくれているのだろう。

 

「カカロット、本気なのか!?」

 

「ああ。もうこうなったらやるしかねぇ……!!」

 

「でもよ、元が下級戦士のお前じゃ理性を保てねぇんじゃ……」

 

「……もしオラが理性を失ってみんなを傷つけようとしたら、そん時は兄ちゃんとナッパがオラの尻尾を切ってくれ。頼んだぜ?」

 

「……はぁ。今のお前が変身した大猿の相手など死んでもしたくないんだが、仕方あるまい。」

 

「おう。大船に乗ったつもりでいろよ!!」

 

「へへっ、頼むぜ……」

 

 その直後、突然空が黒く染まった。天界でデンデが神龍を呼び出したのだ。更にそう時間を置かず、悟空の身体が光に包まれ、光が晴れると悟空のズボンに穴が開き、失われた筈の尻尾が再生していた。

 

「し、尻尾だ……尻尾が戻ったぞぉ!!」

 

「よ、よし!!これで後は満月を……」

 

バッと振り返り、月を見上げる悟空達。そこには綺麗な"三日月"が浮かんでいるではないか。

 

「……し、しまった!!きょ、今日は満月の日じゃなかったぁぉぁぁ!!!!」

 

「ど、どうすりゃ良いんだ!?つ、月をもう一個出して貰うか!?」

 

 パニック状態に陥り、とんでもない事を口走る悟空。だが、意外にもナッパが冷静に解決案を出して来た。

 

「いや、ここは俺に任せな。どうにかする方法があるぜ。」

 

「何?」

 

「一部のエリートサイヤ人はすげぇ体力を消耗する代わりに、パワーボールって言う人工の月を作り出す事が出来るんだ。そいつを使えば大猿になる事が出来る筈だぜ。」

 

「ナッパ……良いのか?」

 

「へっ、他に方法がねぇんだから仕方ねぇだろうが。それよりカカロット、テメェも覚悟決めとけよ!!」

 

「……ああ、頼む!!」

 

 悟空が頷いたのを見ると、ナッパは大量の気を消費する代わりに、右手に光の球体を作り上げ、それを勢い良く空に向かって投げつけた。

 

「弾けて、混ざれっ!!」

 

 ナッパが右手を握るのと同時にパワーボールが弾け、空気中の酸素と混じり合い、人口の満月と化す。

 悟空はそのパワーボールから1700万ゼノのブルーツ波を目を通して受け取ると、瞳が真っ赤に染まり、身体中が震え出した。

 

「グゥゥウウウウウウ……!!!!」

 

「これは……始まるぞ!!ナッパ、退避だ!!」

 

「お、おう!!」

 

 悟空の身体が急速に巨大化を開始し、身に纏っていた道義が全てはち切れてしまい、全身が体毛に覆われたかと思えば、黒かった体毛は一瞬にして黄金へと変わる。

 そして6メートル以上の巨体にまで巨大化すると、悟空……否、黄金の大猿は天に向かって大地を揺るがす程の咆哮を上げた。

 

「ウギャァアアアアアアアアアア!!!!」

 

「くっ……こ、これがカカロットが……超サイヤ人に到達した者が変身する大猿か……!!」

 

「そ、それより、理性の方はどうなんだ!?ベジータの話が確かなら、この後超サイヤ人4になれる筈だろ!?」

 

 固唾を飲んで黄金の大猿を注視するラディッツとナッパ。黄金の大猿は暫く咆哮を上げていたかが、周囲を見渡すと、突然口から巨大な気功波を街に向けて放ち、大爆発を起こした。

 

「ぐっ!!こ、これは……理性を失い、暴れているのか!?」

 

「チクショウ、やっぱり元が下級戦士のカカロットじゃ、理性を保つ事が出来ねぇんだ!!」

 

「言ってる場合か!!こうなれば仕方ない、カカロットの尻尾を切断するぞ!!」

 

「お、おう!!」

 

 二人とも超サイヤ人へ変身し、黄金大猿の尻尾を切り裂くべく、突撃して行った。だが、黄金大猿はとても大猿とは思えない機敏な動きで二人を捉え、虫を蹴散らすようにして二人を殴り飛ばしてしまう。

 

「グハッ!?」

 

「ってぇ……な、なんてパワーをしてやがるんだ!!流石はカカロットってとこか!?」

 

「あ、ああ……だが、これ以上進ませはせん!!カカロット、お前に……お前にそんな事をさせる訳にはいかんのだ!!うぉおおおおおおお!!!!」

 

 ラディッツは超サイヤ人3へと変身し、再度黄金大猿へと向かって行く。だが、元から悟空は二人を大きく上回る戦闘力を持っていた上、それが今や大猿と化しているのだ。

 如何に理性がない状態とは言え、ラディッツとナッパの二人だけで相手取るのは相当難しいと言う他ないだろう。

 

 

※※※

 

 

「っ!!お爺ちゃん、あれを!!」

 

「あれは……カカロットの奴、暴走しちまいやがったのか……!!」

 

 暴れ回る黄金の大猿を見て、バーダックは一瞬で状況を察し、思わず舌打ちをする。逆にジャネンバは黄金大猿を見て面白そうにゲラゲラと笑っていた。

 

「おいマゴ……いや、悟飯っつったな。テメェはカカロットを止めて来い。だが、尻尾は切るな。」

 

「し、尻尾は切るなって、それじゃあどうやって止めれば……!?」

 

「理性を取り戻すまであのバカガキに呼びかけ続けろ。それしか俺達に勝機は残されちゃいねぇんだよ……!!」

 

「っ……わ、わかりました、やってみます。でも、お爺ちゃんは大丈夫なんですか?」

 

「はっ、舐めんじゃねぇ。こんな野郎にやられる程、柔な鍛え方はしちゃいねぇんだよ。」

 

「お爺ちゃん……」

 

「ほら、とっとと行かねぇか!!」

 

「はい!!」

 

 黄金大猿へと向かって行く悟飯の背中を見送り、バーダックは小さく溜息を漏らした。だが、その表情は何処か嬉しそうでもあった。

 

「ったく、手間の掛かるガキとマゴだぜ。さぁて……」

 

「ギヒヒヒ……ヒャハハハハハハハハ!!!!」

 

「テメェにはもうちょい俺に付き合って貰うぜ?覚悟しな!!」

 

 

※※※

 

 

「父さん!!」

 

 すぐに黄金大猿の元へ辿り着いた悟飯は、右手でラディッツを掴み上げていた悟空に蹴りを入れる事で、どうにかラディッツを救出する事に成功した。

 

「はぁ、はぁ……た、助かったぞ悟飯……」

 

「その傷では、これ以上戦うのは無理です。伯父さんとナッパさんは下がっていてください。父さんは、僕が止めます。」

 

「……悪いが、それは出来んな。カカロットと約束したんだ。あいつが暴走した時は止めてやると。」

 

「伯父さん……」

 

 ラディッツの瞳をじっと見つめる悟飯。その意思は固く、自分が説得しても聞き入れて貰えないのをすぐに理解したのか、諦めたように溜息を漏らすと、ラディッツの手を取って立ち上がらせ、二人が並びだった。

 

「わかりました。僕達で父さんを止めましょう!!」

 

「ああ……!!行くぞ、悟飯!!」

 

「ラディッツ、悟飯!!援護は俺に任せろ!!クンッ!!」

 

 黄金大猿の周囲でジャイアントストームを発動させ、周囲を爆煙で包み込んだ。あまりの力の差から全くダメージは通っていないが、それでも悟飯とラディッツが攻撃を仕掛ける隙を作る事は出来たようだ。

 

「でりゃあっ!!」

 

 黄金大猿の背後から、ラディッツが飛び蹴りを放つ。だが、尻尾が振るわれ、まるで虫を叩き落とすようにラディッツは吹っ飛ばされてしまった。

 

「伯父さん!!くっ……父さん、辞めて下さい!!父さんはこんな事を望むような人じゃない筈です!!」

 

「グゥオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

 悟飯の呼び掛けにも何の反応も示さず、黄金大猿は腕を振り下ろし、悟飯をビルに叩きつけた。そして追撃に拳を振り翳すが……

 

「かめはめ波ぁっ!!」

 

「ギッ!?」

 

 瞬間移動で悟飯の目の前に現れた悟天がかめはめ波を放ち、黄金大猿の顔面に直撃させた。これには堪らず黄金大猿も仰け反り、背中から地面に倒れてしまう。

 

「ふぅ、お兄ちゃん大丈夫!?」

 

「ご、悟天!?馬鹿、どうしてこんな所に来たんだ!!ここは子供の遊び場じゃないんだぞ!?」

 

「だ、だって、お父さんがピンチだって聞いたから……!!」

 

「だからってお前……」

 

「悟天!!」

 

 二人の会話を遮るようにピッコロやギネ達がやって来た。しかもチチ達まで一緒である。

 

「ぴ、ピッコロさん!?それにお母さん達まで!!」

 

「カカロット!!今度こそ見つけたよ!!」

 

「へっ?いや、僕は父さんじゃ……」

 

「お婆ちゃん、違うよ。この人はカカロットじゃなくて僕の兄ちゃんだよ。」

 

「えっ?じゃ、じゃあもう一人の孫って事かい?」

 

「ま、孫?じゃ、じゃあ貴方がお爺ちゃんの言っていたお婆ちゃん!?」

 

「っ!!あんた、バーダックに会ったのかい!?あいつは今何処に……」

 

「グォオオオオオオオオオオ!!!!」

 

 その場に似合わぬ会話が繰り広げられそうになった時、黄金大猿の咆哮がその場に響き渡る。その表情は怒りに満ちており、悟飯達を明確に敵と認識しているようだった。

 

「あれは……大猿、か?いったい誰が……」

 

「……カカロットだ。あれは、カカロットが変身した大猿だ。」

 

「ラディッツ!?」

 

「パパ!!」

 

 ボロボロになったラディッツが現れると、ギネとミントがその傍へと駆け寄って行った。……超サイヤ人3の姿だった為、ギネは一瞬ギョッとした顔をしていたが。

 

「良かった、あんたも無事だったんだね!!だ、だいぶ印象が変わっちゃったようだけど……ち、地球じゃそう言うのが流行りなのかい?」

 

「違うよお婆ちゃん。これは超サイヤ人3って言って、パパが悟空叔父さんに変に対抗してヤクザになった姿なんだよ。」

 

「や、ヤクザ?そ、それに超サイヤ人って、あの伝説の!?」

 

「み、ミント、パパの超サイヤ人3をそんな風に思っていたのか……しかし、こんな所に来るとはいけない子だ。帰ったらママと一緒にお説教だぞ?」

 

「うげぇ……」

 

「そしてお袋……まぁ、なんだ。死人に言うのもあれだが、元気そうで安心した。」

 

「うん、あんたもね!!本当に、生きていてくれて良かった!!」

 

 息子との再会を、涙ぐみながら喜び、我慢出来ずラディッツを抱き締めるギネ。

 流石にラディッツもいい歳である為、気恥ずかしくもあったのだが、泣いている母親を引き剥がす程薄情でもなければ、我が子を想う気持ちは理解出来る為、優しくギネの背中に手を回し、同じように抱き締めた。

 

「……それで、悟飯。ラディッツの言っていた事は本当なのか?あの黄金の大猿が悟空だと言うのは……」

 

「ピッコロさん……ええ、本当です。」

 

「な、なんで悟空さが!?だって悟空さの尻尾は……」

 

「ドラゴンボールで再生させたんです。超サイヤ人4になる為に……でも、ベジータさんのように理性を保つ事は出来なくて……」

 

「そ、そんな……」

 

「あ、あれが、お父さん?」

 

 怒り狂って暴れている黄金大猿を見て、チチは唖然としながら膝を着いてしまう。悟天もいつもおおらかで優しい父からは想像も出来ない凶悪な姿に、現実を受け入れる事が出来ないようだ。

 しかし、それでも悟飯は決して諦めてはいなかった。

 

「……父さんの注意は僕と伯父さんとナッパさんが引き付けます。だからその隙に、母さん達は父さんに呼びかけ続けて下さい。そうすれば、きっと父さんは理性を取り戻す筈です!!」

 

「り、理性を取り戻すったって、悟空は昔大猿になった時、俺達がどれだけ呼び掛けても全く元に戻らなかったんだぜ!?」

 

「そ、それに、大猿になって理性を保てるのは、一部のエリートだけで……」

 

「……いや、カカロットならもしかすると、理性を取り戻せるかもしれん。」

 

「ラディッツ?」

 

「お袋、カカロットはな、常識外れのサイヤ人なんだ。無論、悪い意味ではなくな。あいつならきっと、俺達サイヤ人の常識などあっさりと乗り越える事ができる筈だ!!」

 

 力強くそう宣言するラディッツに、やがて仲間達の目にも希望が宿って行く。

 

「そうね……孫君はこれまで何度も奇跡を起こして来たんだもの。今回だってきっと大丈夫よ!!」

 

「んだな。それに、妻であるオラが悟空さを信じねぇで、他の誰が信じるんだ。」

 

「悟空は昔とは比べ物にならないくらい強くなった。今ならきっと……!!」

 

「お父さんなら大丈夫だよ、絶対!!」

 

「よし、それでは行くぞ悟飯!!」

 

「はい!!」

 

 

※※※

 

 

「ここは……ど、何処だ?オラは、どうしちまったんだ……?確かナッパの作ったパワーボールっちゅーのを見て……」

 

 

 その頃、悟空は暗くて冷たい世界に居た。思うように身体を動かす事が出来ず、まるで金縛りにでもあったかのようだった。

 しかしそんな時、突然彼の視界を眩い光が覆い尽くし、光が晴れると、悟空は何故か山の中に居た。

 

 だが、何かがおかしい。身体は動いているのに、悟空の言う事を全く聞いてくれない。まるで獣のように暴れ回り、破壊の限りを尽くしていた。

 そんな悟空へ、必死になって呼び掛ける、小さな老人の姿が見えた。そしてその老人を、悟空はよく知っていた。

 

「あれは……じ、じっちゃん……?」

 

 そう、悟空に呼びかけ続けていたのは、悟空の育ての親である孫悟飯だった。そして悟空は理解した。いや、理解してしまった。これは……これはかつて、自分が大猿になり、祖父を踏み潰した時の記憶なのだと。

 

「や、やめろ……!!」

 

 悟空に呼びかけ続ける孫悟飯を、遂に大猿の拳が捉える。その一撃だけで、孫悟飯は身動きが取れない程のダメージを受けたのか、苦しそうに身体を抑えている。だがそれでも、弱々しく悟空の名を呼び続けていた。

 

「やめてくれ……!!」

 

 悟空はかつてない程必死になって、身体を動かそうともがいた。だが、決して身体が悟空の言う事を聞く事はなかった。当然だ。所詮これは、過去の記憶に過ぎないのだから。

 そんな事は勿論悟空にもわかっていた。わかってはいても、それでも悟空は足掻かずにいられなかった。だが大猿は、そんな悟空の想いをあざわらうかのように孫悟飯を見下ろし、大きく足を上げた。

 

「やめろぉおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 堪らず、悟空が絶叫する。そしてその絶叫に合わせるかのように、大猿は足を下ろし、孫悟飯を踏み潰してしまった。

 

「あ、あぁ……じ、じっちゃん……」

 

 唖然としながら、悟空は崩れ落ちる。自分が祖父を殺した大猿の正体である事は、かつて界王星で兄と修行していた際、サイヤ人の特性として大猿の話を聞かされた時に理解してはいた。

 だが、こうして実際祖父を殺した姿を見ると、お前の正体は育ての親を殺した悪魔だと言われているようで、罪悪感のあまり心が押し潰されそうになる。

 

 それからも、悟空の罪を突きつけるかのように、場面は何度も切り替わって行った。ピラフ城で、そして天下一武道会で大猿となり、大切な仲間達を恐怖に陥れた。

 そして今も、兄と息子の命を奪わんと、その力を振るっている。あの時と……孫悟飯を殺した時と何も変わっていない。

 

 結局自分の本性は、残忍で冷酷なサイヤ人でしかなかったのだろうか?自分は一体何の為に、これまで生きて来たのだろうか?

 

 悟空の意識が、暗い闇の底へと堕ちて行く……そんな時だった。闇の中に、何者かの気配がある。

 消えかけている悟空の心を、その何者かが繋ぎ止めていた。いったい誰だろう?と悟空の心に疑問が生まれる。

 

 すると、その者は困ったように笑いながら、通りすがり……いや、ベジータのライバルっつった方がオメェにはわかりやすいかな?と、やたらフレンドリーな感じで答えて来た。

 

 その答えだけで、悟空は何故か悟る事が出来た。ああ、この男こそが、ベジータが自分を通じて見ていた者の正体なのだ、と。

 だが、それも納得だ。顔はボヤけていてよく見えないが、雰囲気だけでわかる。この男は誰よりも強い。自分よりも、そしてベジータよりも。正真正銘の英雄だ。

 

 だが、その者はそれを否定するように首を振り、オラは英雄なんかじゃねぇ。間違いを沢山犯して来たし、家族や仲間にだって最後まで迷惑かけっぱなしで、オメェと同じように大切な人をこの手に掛けちまった、と。

 

 ならどうして、そんなに強くあれるのか?自分にはとても出来そうにない、と悟空は弱音を漏らしてしまった。

 

 するとその者は、そんな弱気になる事はねぇさ。だって、オラがそうだったように、オメェは一人じゃねぇ筈だろう?と悟空に優しく呟いた。

 

 どう言う事だろうと悟空が疑問に思うと、その者はゆっくりと人差し指を横に向け、悟空がその後を追うように視線を横に移すと……そこには、傷つきながらも自分に呼びかけ続ける家族と仲間達の姿があった。

 

『悟空さ、しっかりするだ!!』

 

『父さん、諦めないで!!』

 

『目を覚ましてよ、お父さん!!』

 

 チチ、悟飯、悟天……愛する妻と息子達……

 

『俺に別の生き方を教えてくれたのはカカロット、お前だ!!だから今度は、俺がお前を救ってみせる!!』

 

『悟空叔父さんならきっと乗り越えられるよ!!』

 

『カカロット、これだけの人があんたを待ってるんだよ!!目を覚ましな!!』

 

 遠い宇宙からやって来た兄のラディッツと、その娘のミント。最後の女性は見覚えがないが……何故かとても懐かしい気分にさせられた。

 

『孫君!!あんた、いつまでそんな風に暴れてるつもりよ!?いい加減にしないとベジータ呼んで来てボコボコにして貰うわよ!!』

 

『悟空おじさん、頑張って!!』

 

 初めての仲間、ブルマと、その息子であるトランクス……

 

『悟空、しっかりしろ!!お前はそんな弱い奴じゃないだろ!?』

 

『全く、未だに本能を乗り越えられんとは情けないのぅ、かつての弟子よ。悟空、亀仙流の教えを思い出すのじゃ!!』

 

 一番の親友、クリリン。そして師である亀仙人のじっちゃん……

 

『諦めるな、悟空!!お前ならきっとベジータに追いつける筈だ!!』

 

『孫!!お前ならまた起こせる筈だ、奇跡を!!』

 

『根性見せろよ、カカロット!!テメェならなれる筈だぜ、超サイヤ人4に!!』

 

 初めてのライバル、ヤムチャ。かつての宿敵であり、今は頼りになる仲間であるピッコロ。同じサイヤ人であり、今は仲間の一人であるナッパ。

 

『おい、カカロット!!テメェ、いつまで猿のままでいやがるつもりだ!?このまま俺にも他の奴にも負けたままで、テメェは満足か!!』

 

 そして父、バーダック。

 

 みんながどんなに傷ついても、諦めずに自分の名を呼んでいる。光ある場所へ連れ戻そうとしてくれている。

 

 そうか、お前はこれを気付かせようとしてくれてたんだな……

 

 その者は、満足そうに頷き、悟空へ手を差し伸ばすと、悟空は躊躇う事なく、その者の手を掴んだ。次の瞬間、周りは光に包まれた。そして悟空は、この果てない暗闇から飛び出して行った。

 

※※※

 

 

「うわぁああああ!?」

 

「ぐぅっ!!」

 

 黄金大猿の拳が、悟飯とラディッツを纏めて薙ぎ払った。そして極大の破壊光線を放とうと、口にエネルギーを収束させて行く。

 

「ま、まずい!!みんな、逃げて!!」

 

 思わず悟飯が全員に退避するよう呼び掛ける。だが、当然間に合う筈もなく、破壊光線が発射……される事はなかった。

 

 突如大猿の動きが止まり、ゆっくりと空を見上げたのだ。

 

「か、カカロットの動きが止まった……?」

 

「っ!!み、見て下さい!!」

 

「グォオオオオオオオオオオ!!!!」

 

 黄金大猿が咆哮を上げた直後、その内側から島全体を覆い尽くす程の眩い閃光が解き放たれる。

 そして光が晴れた時、破壊されたビルの上に、一人の男が立っていた。

 

 その男の上半身は紅赤の体毛に覆われ金色の瞳を持ち、長い黒髪をしていた。

 

 今ここに、超サイヤ人4孫悟空が誕生したのだ。




え?何故バーダックは大猿化しないんだって?まぁあれだ。つまりはそう言う事だよ、うん。ギネは……頑張って見ないようにしてたんじゃないかな?(適当

超サイヤ人4は量産しちゃってOK?

  • 原作通り悟空とベジータ以外はNG
  • バーゲンセールにしちまおうぜ!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。