ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ   作:ゴロリコン

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そろそろ地獄編も終わりかな……


反撃開始!!超サイヤ人4 孫悟空

「でやぁああああああああ!!!!」

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!」

 

 その頃、フリーザとセルを吸収した魔人ブウ、そしてタゴマに憑依したジャネンバが激しい激突を繰り返している。そしてその際に生じた振動と衝撃波で大地は割れ、岩は粉微塵に吹き飛んだ。

 

 両者共に未だダメージらしいダメージは受けていないが、実際は違う。魔人ブウは持ち前の再生能力のおかげでそう見えるだけで、実際には数え切れない程の致命傷を何度も受けていた。

 そして自分だけが一方的にやられていると言う事実が魔人ブウのプライドを傷つけるのか、その表情は焦りと怒りに支配されていた。

 

 だが、どれだけ怒り狂って力を増そうと、両者の間に存在する力の差は、そう簡単に埋まる物ではない。

 魔人ブウが目にも留まらぬ速度でデスビームをジャネンバの眉間目掛けて放つが、ジャネンバは目を閉じたまま鼻で笑い、首を少し捻るだけでそれを回避する。

 そして魔人ブウが反応出来ないスピードで距離を詰めると、剣を一閃してブウの両腕を切り捨て、更に剣を振り下ろす事で頭頂部から股間までを真っ二つに切り裂いた。

 

「ふ、ふふふ、学習能力のないケダモノめ。何度やろうと無駄だと言うのがわからんのか?」

 

 真っ二つにされながらも魔人ブウが叫ぶと、両腕が一瞬で再生し、切り裂かれた身体もくっつき、再生が完了する。

 しかし、ジャネンバはただ不敵に笑うのみで、その余裕とも取れる態度……実際ジャネンバは余裕なのだが……が余計にブウをイラつかせていた。

 

「フン……貴様、わかっているのか?俺を怒らせれば怒らせるだけ、貴様は苦しんで死ぬ事になるんだぞ!!」

 

「ンヒヒヒヒヒヒヒ!!!ヒャハハハハハハ!!」

 

「な、何がおかしい!?その馬鹿笑いをやめろ、この化け物がぁっ!!」

 

 ブウが怒るのに合わせ、身体から何度もピンク色の蒸気が噴射される。そしてブウの両手に赤い気円斬を展開すると、それをジャネンバ目掛けて投擲した。

 するとジャネンバは迎え撃つように剣を振って斬撃波を飛ばし、気円斬を真っ向から切り捨て、更にそのまま魔人ブウの胴を×の字に切り裂いてしまう。

 

「だったらこれはどうだ!?魔貫光殺砲っ!!」

 

 傷を即座に再生し、間髪入れずに魔貫光殺砲でジャネンバの眉間を狙った……のだが、命中する寸前、ジャネンバの顔の周囲の空間が歪み、魔貫光殺砲が吸い込まれると、今度は魔人ブウの背後の空間が歪み、吸収された魔貫光殺砲が飛び出し、魔人ブウの眉間を貫通してしまった。

 

「ぐわぁっ!?」

 

「イヒヒヒヒヒヒヒ!!ヒャーヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ!!!!」

 

「お、おのれぇぇぇ……!!い、いいか、よく聞け化け物!!俺はな、他人を見下すのは大好きだが、見下されるのは大っ嫌いなんだ!!今すぐその馬鹿笑いをやめなければ、生まれて来た事を後悔する事に……」

 

「ウルァッ!!」

 

 台詞の途中、ジャネンバが右腕を振るった事で無数の光の破片が放たれ、魔人ブウの全身を蜂の巣のように穴だらけにしてしまう。

 その直後、目の前にテレポートして来たジャネンバによって両足を掴まれると、そのまま八つ裂きにされ、魔人ブウはまたしても真っ二つに引き裂かれてしまった。

 更にジャネンバは真っ二つに引き裂いた魔人ブウをそれぞれ別方向に投げ捨てると、両手から気功波を放ち、魔人ブウの両半身を消し飛ばした。

 

 だが、完全に消し去るには至らなかったのか、それとも敢えて残したのかは不明だが、どちらにせよ周囲に飛び散っていた魔人ブウの破片達が突然宙に浮かんだかと思うと、やがて一箇所に集まり、再生を始める。

 その光景を見て、ジャネンバはまた遊べるとばかりに高笑いをしようとし、突然ピタリと動かなくなった。

 

 感じる。遠くに二つ、とてつもない大きな力を。しかもその内一つはついさっき自分の一人を倒した奴で、こちらに向かって来ている。

 もう一人の方は別の自分なら問題なく倒せるだろう。何せ最高の器を手に入れる事が出来たのだ。負ける理由が一つもない。

 だが、今接近中のこいつはこの器では難しいだろう。特に赤髪になられたらまず勝ち目はない。別の自分が来るまで待つのも良いが、それでは面白くない。

 故に、早急に見つけなければならない。絶対に奴に勝てる、より強い邪念に満ちた器を……いや、そんな物探す必要はないか。何せ今目の前に、素晴らしい邪念に満ちた、最高の器が転がっているのだから……

 

「ハァッ!!」

 

 そんなジャネンバの考えを他所に、魔人ブウが再生を終えるが、ここまで手も足も出ずにやられてしまった事で逆に頭が冷えたのか、迂闊に仕掛けるような真似はせず、警戒しながら一定の距離を保っていた。

 

(どうやら奴に俺を完全に消滅させる事は出来ないようだな。だが、こちらの攻撃が全く通用しないのも事実……クッ!!セルとフリーザを吸収し、完璧となったこの俺が、こんな屈辱を……ん?あ、あれは……!!)

 

 ハッとなったブウの視線の先には、切り落とされた自分の両腕が地面に転がっていた。しかもジャネンバからそう遠くない位置であり、向こうはその存在に気付いている様子すらなかった。

 

 となれば、ブウの取るべき選択肢は一つだ。何も敵わない相手に正面から戦う必要などない。その敵を丸々全て自分の養分にする方がよっぽどお得だ。

 

(そうだ、そうするのが一番だ!!目障りな化け物を始末する事が出来る上、俺はより完璧になれるのだから、やらない理由が何処にもない!!こいつも哀れだな。どれだけ素晴らしい力を持っていようと、俺を消し去るだけの火力がないばかりに、その全てが俺の物となるのだから!!)

 

 この時、ブウは自分の勝利を少しも疑ってはいなかった。あの目障りな化け物の隙を突いて吸収してしまえば、それで全てが終わると確信していた。そしてあまりの高揚感に、吹き出しそうになるのを必死に堪えている程だった。

 故に、気付く事が出来なかった。ジャネンバも自分と同じ目を、獲物を狩る者の目をしていた事に……

 

「フフフフ……知性なきケダモノよ、認めてやろう。貴様の強さはこの私を超えていると。だが、勝つのは私だ!!それだけは何が起ころうと絶対に変わらん!!」

 

「ン……?」

 

「私の言っている事の意味がわからんか?だが、貴様がどう思おうと、私が勝者であり貴様は敗者なのだよ。ん、どうした?悔しいか?ええ?悔しかったら私を黙らせてみろ!!」

 

 ジャネンバを挑発し続ける傍ら、ブウは切断された両腕を遠隔操作し、一つにくっつけた後は、粘土細工のように球状にこねくり回した。

 そしてジャネンバはブウの挑発に乗り、剣を構えてゆっくりと近づいて来ると、ブウは勝利を確信し、ニヤリと笑みを浮かべた。

 

「貰ったぁ!!頂くぞ、貴様の全てをなぁ!!」

 

「ヌゥッ!?」

 

 背後からの奇襲に気付けなかったジャネンバは、膨れ上がった破片に全身が覆われてしまう。そのまま特に抵抗らしい抵抗をしないまま、ブウの身体の中に吸収されてしまった。

 

「……ふ……はははははは!!思い知ったか馬鹿め!!どんなに強かろうと、知恵がなければこうして足元を掬われる事になるんだ!!ざまぁみろぉ!!はーはっはっはっはっは!!」

 

「ま、まさかあの化け物を取り込んじゃうなんて、流石は僕の魔人ブウだ!!それでこそ復活させた甲斐があるってもんだよ!!」

 

「っ、バビディか……」

 

 戦闘が終わるや否や、嬉々として顔を出すバビディと、その後に恐る恐るついて来るソルベ。そんな彼等を見て、まるで水を差されたとばかりにブウは顔を顰めるが、バビディはそんな様子にも気づかずにブウの足元まで歩いて行き、偉そうに足に手を添えた。

 

「さぁ、化け物退治が済んだ事だし、この星の連中を痛い目に遭わせてやるとしようか!!僕の邪魔をした連中や界王神は特に痛めつけて……ウゲェッ!?」

 

「どうした?早く続きを言うが良い。何ならこの私を封印する呪文を唱えても構わんぞ?言える物ならなぁ!!」

 

 ブウが人差し指を向けた瞬間、バビディはまるで首を絞められたかのように呼吸が出来なくなり、言葉も発する事が出来なくなってしまう。セルとフリーザを吸収した事により得たサイコキネシスで、バビディの首を締め上げたのだ。

 

「ば、バビディ様!?」

 

「貴様のような小悪党が、この私を思いのままに操れるとでも本当に思っていたのか?馬鹿め、思い上がるのも大概にしておくんだな。その愚かさを地獄で……っ!?」

 

「ビッグバンアタック!!!!」

 

 そのままバビディの首を捻り切ろうとした所へ、突如現れた超サイヤ人4のベジータがビッグバンアタックを放ち、いきなりの事で対処が間に合わなかったブウはもろに直撃を受けて、バビディとソルベを巻き込み、大爆発が発生した。

 やがて爆風が消えると、上半身が消し飛ばされたブウの下半身が倒れていたが、すぐに立ち上がり、上半身を再生させ、復活させた。

 

「随分な挨拶だな……知っているぞ。貴様はベジータだな。いったい何をしにここへ来た?」

 

「貴様、魔人ブウか?その形を見るに、セルとフリーザの野郎を吸収しやがったらしいな。」

 

「何故貴様が私の吸収能力を知っているのかは知らんが、正解だ。そして吸収したのはそいつ等だけではない。あの騒がしい化け物も吸収してやったぞ?」

 

「何……?その割にはあの化け物より気が小さいな。」

 

「フッ、矮小なサイヤ人如きにはこの私の力は理解出来んか。良かろう、ならば君にはウォーミングアップに付き合って貰うとしようか。最強の魔人と化した私の力を測るには相応しい相手だ!!」

 

 不敵な笑みを浮かべ、ベジータへ襲い掛かろうとする魔人ブウ。だが、そんなブウの背後に、音も立てずにドス黒い球体が出現する。

 

「っ!?ブウ、後ろだ!!」

 

「はっ、そんな古臭い手に引っかかるか馬鹿め!!騙し討ちをしようとはサイヤ人の王子が聞いて……ぬ、ぬぉおおおおおおおおお!?」

 

 黒い球体が現れた時、思わずベジータは魔人ブウに大して叫ぶが、ブウはそれを無視した。いや、無視してしまった。それが己の運命を決定付けてしまったともしらずに……

 先程ジャネンバの全身を自らの破片で覆い尽くしたのと同じように全身が一瞬で黒い球体に覆い尽くされ、ブウの身体と同化するようにして、黒い球体は身体の中へと吸い込まれていった。

 

「あ、あ……こ、壊れるっ!?お、俺が……俺が俺じゃなくなるぅ!!うぎゃあああああああああああ!!!!」

 

 悲鳴を上げながら魔人ブウの身体はドロドロに溶けて行き、やがて赤黒い球体へと姿を変える。だが、それだけではブウの変化は終わらなかった。赤黒い球体の表面に、恐怖に支配されたブウの顔が無数に浮かび上がったのだ。

 

「なっ……!?」

 

『『『『あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ! ! !』』』』

 

 浮かび上がったブウの顔達が、一斉にこの世の物とは思えない程の凄まじい絶叫をあげ、周囲にその声が響き渡った。

 ベジータも目の前で繰り広げられている悍ましい光景に思わず動きが止まってしまい、ただただ唖然とその光景を見つめていた。

 

 やがて浮かび上がっていたブウの顔達が赤黒い球体の中へ消えて行くと、最後の変化が訪れる。赤黒い球体は不気味に蠢き出し、やがてジャネンバそっくりな姿へと変化を変える。

 だが、その姿はこれまでのジャネンバとは明確に違っていた。ジャネンバそっくりの容姿をしつつも、何処か魔人ブウの面影も感じるその姿は、二人の悪魔が融合したかのようにも感じられた。

 

「貴様……あの化け物か?それとも魔人ブウか?」

 

「イヒッ……ニヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!」

 

 高笑いをしながら、ジャネンバ……いや、新たな魔人と化した魔人ジャネンバは、先程のブウは勿論ジャネンバさえも遥かに凌ぐ圧倒的な気を解放し、ピンクの蒸気を噴射しながらドラミングを開始した。

 行為だけ見ていると意味不明にしか見えないが、そのあまりにも悍ましい気に、ベジータは本気で冷や汗を流し、無意識のうちに足が一歩下がっていた。

 

「こ、こいつ……性格はあの化け物ベース……いや、本来の魔人ブウに近いのか……!!クッ、まずいな……赤髪無しでこいつに勝てるか……!?」

 

 超サイヤ人4さえも上回る戦闘力を前に、ベジータは7年前にクウラと戦った時以上の焦りを感じていた。そして魔人ジャネンバは、高笑いしながらベジータへと襲い掛かるのだった。

 

 

※※※

 

 

「ご、悟空さ……なのけ……?」

 

 遂に超サイヤ人4へと変身を遂げた悟空が、ゆっくりと仲間達の元へと降り立った。

 だが、ついさっきまで黄金大猿として大暴れしていた事や、今までの悟空と雰囲気が異なっている事から、仲間達は悟空が正気に戻ったか確信出来ずにいるようだ。

 そしてチチが代表して恐る恐る話しかけると、悟空はチチに顔を向け、柔らかな笑みを浮かべた。その笑顔を見て、チチも仲間達も確信する。孫悟空が戻って来たと。

 

「ご、悟空さぁぁぁ!!」

 

「お父さん!!」

 

「孫君!!」

 

「カカロット!!」

 

 気が付けば、全員満面の笑顔を浮かべ、悟空の元へと走っていた。そんな愛すべき仲間達に囲まれ、悟空は思う。戻ってくる事が出来て良かった、と……

 

「チチ、みんな……心配かけちまってすまなかったな……でも、みんなが呼び掛け続けてくれたおかげで、戻ってくる事が出来たぜ。」

 

「本当だべ!!悟空さはいつもいつも!!」

 

「まぁまぁお母さん、お父さんもこうして超サイヤ人4になる事が出来たんですし……」

 

「しっかしサイヤ人ってのは不思議だよな。大猿になったり髪が金髪になったり、色々変わり過ぎだろ……」

 

「……ん?」

 

 その時、悟空はラディッツの隣に立っているギネに気がついたようだ。

 

「オメェは……?」

 

「カカロット、紹介しておこう。この女はギネ……俺とお前の母親だ。」

 

「俺の……母ちゃん……そうか、だから見てて懐かしいような気持ちになったんだな。」

 

「カカロット……その、ラディッツ以上に随分と変わっちゃったね。でも、あんたが生きててくれて、本当に良かった……バーダックがあんたを地球に逃がそうって言い出した時は何を考えてるのかって思ったけど、こんなに良い仲間に囲まれてるんなら、あいつの判断は間違ってなかったんだね……」

 

「父ちゃんが、俺を地球に……?」

 

 涙ぐみながら母が言った言葉に悟空は首を傾げた。てっきり悟空は昔兄達が言っていたように、侵略の為に地球に送られたとこれまで思っていたのだが、どうにも母の言葉を聞く限りは違うようだ。

 

「惑星ベジータが滅んだあの日、バーダックが突然帰って来たかと思えば全身傷だらけでね……そしたら突然フリーザが裏切って、今からあたし達サイヤ人を皆殺しにする為に攻めてくるって言い出したんだ。それで、万が一に備えて、カカロットをフリーザ軍が目をつけてない星まで逃がそうって……」

 

「それでカカロットは地球に送られたのか……」

 

「だけど、迎えに行く事が出来なくてごめんね……また会おうねって約束したのに……」

 

 それだけ言うと、ギネは涙を流しながら俯いてしまった。そんな母に対し、悟空はゆっくりと近づくと、肩に手を置いた。

 

「謝る必要はねぇぞ、母ちゃん。寧ろ俺は、地球へ送ってくれた事に感謝してるくらいなんだ。」

 

「えっ?」

 

「そりゃ、これまで何度も辛い事があったさ。昔大猿になって、育ての親のじっちゃんを殺しちまったし、一人で暮らしてた時は寂しかった。兄ちゃんとも初めて会った時はボコボコにやられて、最終的に一緒に死ぬ事になったからな。」

 

「えっ!?ら、ラディッツ、あんたいったい何をやらかしたんだい!!」

 

「も、もう十年以上昔の事だ!!そ、それにサイヤ人ならよくある事と言うか……と、とにかく今の兄弟仲は悪くないんだから問題ない!!」

 

 思わぬ流れ弾を食らったラディッツは、冷や汗を流しながら弁明するが、ギネは納得出来ていないようでラディッツを睨んでいる。

 

「だが、それ以上に良い事が沢山あった。家族や仲間達に囲まれて、今は毎日すげぇ楽しく過ごす事が出来てる……全部、母ちゃん達が俺を地球に送ってくれたおかげだ。だから、俺を地球に送って本当にありがとな、母ちゃん……」

 

「カカロット……カカロット!!」

 

 堪え切れず、悟空に抱きつくと、ギネはその胸の中で涙を流し続けた。悟空は困ったような表情を浮かべつつも、優しく背中に手を回し、母を抱きしめた。

 

 だが、その直後、悟空達のいる地点から、少し離れた場所で凄まじい爆発音が響いた。

 

「わぁ!?ななな、何事だい!?」

 

「あっ、そうだった!!お爺ちゃんがまだあの怪物と戦ってるんだった!!」

 

「お爺ちゃんって、バーダックが!?」

 

「わりぃ、母ちゃん。今は再会を喜びあってる場合じゃねぇみたいだ……」

 

 抱きついていたギネを引き剥がすと、悟空は仲間達に背を向け、バーダックとジャネンバが戦闘を繰り広げている方角を見上げた。

 

「行くのか?」

 

「ああ……あの化け物からクウラを解放してやらねぇと。」

 

「悟空さ……」

 

「心配すんな、チチ。終わらせて帰って来るさ……すぐにな。」

 

 顔を少しだけ後ろに向け、そう呟くと、悟空は静かに空へ浮かび上がる。そして次の瞬間、周囲に凄まじい突風を巻き起こし、悟空の姿はその場から消えていた。

 

 

※※※

 

 

「シャアッ!!」

 

「グッ!?」

 

 クウラに取り憑いたジャネンバの蹴りを受け、地面に叩きつけられるバーダック。流石に相手が相手の為、身体中に傷を負い、疲労が隠せなくなって来たのか、肩で息をしていた。

 

「ちっ、化け物め!!時間を掛ければ掛けるだけその身体に馴染んでくみてぇだな……このままじゃ……!!」

 

 このままでは遠からず負けてしまうと感じ、バーダックの表情に焦りが浮かぶ。その隙を突き、ジャネンバは瞬間移動でバーダックの背後へと移動し、拳を振り翳した。

 

「しまった!?」

 

 ガードが間に合わず、バーダックの背中にジャネンバの拳が命中するかと思われたその時、凄まじい突風が吹いたかと思うと、ジャネンバが凄まじい勢いで吹っ飛ばされてしまった。

 

「間に合ったようだな……」

 

「か、カカロット!?その姿は……!!」

 

 目の前に現れた悟空の姿を見て、バーダックは息子が理性を取り戻し、最強の超サイヤ人へと至った事を一瞬で理解した。

 直後、紫のオーラが瓦礫の山を吹き飛ばし、ジャネンバが悟空達の前まで戻って来た。そして超サイヤ人4の悟空を見て、ジャネンバは面白そうな獲物を見つけたとばかりに笑みを浮かべる。

 

「ニッヒッヒッヒッヒ……!!」

 

「父ちゃん、後は俺に任せてくれねぇか?」

 

「はっ、一人で大丈夫かよ?」

 

「心配いらねぇさ……こんな奴に、今の俺は負けやしねぇよ。」

 

「そうかよ……じゃあ見せて貰おうじゃねぇか。テメェの新しい力って奴をな。」

 

 ニヤリと笑いながらバーダックは後退して行く。その表情は息子の勝利を少しも疑っていなかった。

 

 直後、ジャネンバは挨拶代わりとばかりに右指を横に振い、無数の光の破片を悟空に向けて発射する。

 並大抵の相手ならこれの直撃を受ければ蜂の巣にされるか切り刻まれてしまうのだが……

 

「ウガッ!?」

 

「……それで終わりか?」

 

 なんと、悟空は傷一つ負ってはいなかった。全く回避行動を取らず、全てが直撃したと言うのにだ。

 

「グルルルル……!!オォオオオオオオオ!!!!」

 

 

 奇声を上げながら気を全開にすると、ジャネンバは悟空に殴り掛かった。対する悟空は全く避けようとはせず、されるがまま一方的にジャネンバに殴られ続ける。

 それを見てジャネンバは悟空が反撃する余裕もないのだと判断し、表情に余裕が戻って来ると、口から破壊光線を放ち、悟空の全身を緑のエネルギーが飲み込んでしまう。だが……

 

「アァ!?」

 

 なんと、またも悟空は無傷のまま、そこに立っていた。あれだけ攻撃を叩き込んだにも関わらず、ちっとも効いているようには見えない。

 

「やっぱりな……オメェ、クウラの身体をちっとも使いこなせてねぇぞ。あいつはそんなくすぐってぇ攻撃は絶対にしねぇからな。」

 

「グッ、グルルルル……!!」

 

「手本を見してやるよ……気はこう使うんだ!!」

 

 右手をジャネンバに向けると、そのまま悟空は気功波を放った。その一発はジャネンバでも回避する事が出来ずもろに受けてしまい、単なる気功波とは思えない程のダメージをジャネンバに与えた。

 

「グググ……!!アアアアアアアア!!!!」

 

 体制を立て直すと、ジャネンバは歯軋りしながらエネルギー弾を連発する。だが悟空の身体に当たる前に全てが弾かれてしまい、逆に左頬にパンチを叩き込まれ、追撃の回し蹴りで空中まで吹っ飛ばされた上、背後に瞬間移動して来た悟空にスレッジハンマーを背中に入れられ、地面に叩き落とされた。

 そのすぐ近くに悟空が着地し、ゆっくりと近づいて来ると、ジャネンバは……いいや、クウラは不意に起き上がった。

 

「クウラ……!?」

 

「ぐっ……そ、孫悟空、か?ど、どうやら奴は俺の身体から離れたようだな……」

 

「そうか……オメェの方は無事なのか?」

 

「ああ……貴様のおかげで助かった。礼を言うぞ……」

 

「気にすんな……それよりついて来いよ。すぐデンデに治療して貰おう。」

 

 左肩を押さえながら立ち上がったクウラに、肩を貸そうと悟空は近寄って行く。その瞬間クウラの口元が歪み、右手にジャネンバの剣を召喚すると、悟空を袈裟斬りにするべく剣を振り翳した。

 

「……そんなこったろうと思ったぜ。プライドの高えあいつが、文句よりも先に礼を言う訳ねぇからな。」

 

「ナァッ!?」

 

 クウラ……いや、ジャネンバは剣を振るう事が出来なかった。悟空が剣の刀身を右手で掴んで離さないからだ。

 ならばその右手ごと切り裂こうとするが、どれだけ力を込めても全く剣を動かす事が出来ない。そして悟空が刀身に軽く気を流すと、一瞬で灰と化して剣は消滅してしまった。

 

 ジャネンバは焦りとも怯えとも取れる表情を浮かべながらも空中へと逃れ、右手を天に翳すとブラッククウラの必殺技、ブラックノヴァを発動する。

 

「ハァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

 躊躇なく悟空へ向け、漆黒のエネルギー弾を放った。だが悟空は迫り来るエネルギー弾をただ黙って見上げ、これまで通り避けようともせず、全身がブラックノヴァに飲み込まれてしまう。

 

「ヒ……ヒヒヒヒヒヒヒ!!ギャハハハハハハ!!」

 

 悟空ごと地表に激突し、更に地中深くへと沈んで行くブラックノヴァを見て、ジャネンバは高笑いをし始めた。しかし、その高笑いはすぐに止む事になる。ブラックノヴァが突如動きを止めたかと思うと小さく萎み始めたのだ。

 

「ガッ……!?ア、アァァ……!!」

 

 ブラックノヴァが完全に消えてしまうと、そこには底が見えない程巨大な穴が空いていた……いや、正確には穴の中央に成人男性が一人立つ事が出来るだけの足場は残っており、悟空がやはり無傷なままそこに立っていた。しかもどう言う訳か、先程よりも気が大きくなっている。

 何と悟空はジャネンバのブラックノヴァを吸収し、己の力へと変えてしまったのだ。

 

 あまりの理不尽さに、ジャネンバも明確な怯えの表情を浮かべている。だが、悟空は明確な怒りを露わにしていた。

 

「いい加減にしろよ。次から次に人の身体を乗っ取って、しかも仲間の身体を使って薄汚え真似をしやがって……オメェはもう、謝っても許さねぇぞ。」

 

「ヒッ!?」

 

 悟空の右手から凄まじい衝撃波が放たれ、ジャネンバは数キロ程吹っ飛ばされる。

 そしてジャネンバが体制を立て直す時間すら与えずに追いついた悟空が鳩尾に膝蹴りを叩き込むと、ジャネンバは苦しそうに腹部を押さえて蹲るが、悟空はそんなジャネンバの顔に掌を翳した。

 

「やり過ぎだぜ。悪さが過ぎたな、屑野郎……!!」

 

 冷たく吐き捨てるように呟くと、悟空は一発、二発とジャネンバに気功波を叩き込み、地面へと叩き落とした。

 頭を抱えながらも起き上がったジャネンバは、もはやなりふり構わず周囲に衝撃波を放ち、煙を巻き上げて視界を封じると、その隙に逃走を測る。

 

 だが、それも無駄な抵抗でしかなかった。

 

 煙を抜けた先には既に悟空が先回りしており、ジャネンバの顎に蹴りを叩き込み、空中まで吹っ飛ばすと、両手に赤い気を球状に発生させ、両手を腰に引くと同時に二つの気を一つに合わせ、より巨大な気の塊と化し、眩い光で周囲を照らした。

 

「食らえっ!!10べぇ!!!!か・め・は・め・波ぁあああああああああ!!!!!!」

 

「イッ、ギャァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 悟空が両手をジャネンバに向かって突き出すと、収束されていた気が極大の赤い一筋の光となって解き放たれ、ジャネンバの全身を一瞬にして飲み込むと、そのまま大気圏を突破し、遥か宇宙の彼方で大爆発を起こした。

 

 そして、悟空の両手から気の放出が終わると、地面にズタボロになったジャネンバが静かに横たわっていた。

 

「俺もタフだが、オメェも相当だな。いや、この場合クウラの身体がタフなのか……」

 

「グッ……ウ、ウガァ……キッ、キヒヒヒ……!!」

 

 紫の血を流し、身体を震えさせながらも、ジャネンバは不気味に笑っていた。だが、突然膝をつくと、何故か頭を抑えて苦しみ出してしまった。

 

「ガ、ガァァア……!?」

 

「何だ……?」

 

『そ、孫、悟空……!!』

 

「クウラ!?」

 

 いきなりジャネンバの顔の右半分がクウラの物へ変化をすると、悟空へ語りかけてきた。先程の事もある為悟空は警戒していた物の、確かにクウラの気を感じる上、様子も異なる事から、クウラの意識が表面化したと悟空もすぐに気付いたようだ。

 

「クウラ、オメェ意識が……!!」

 

『そ、そんな事はどうだって良い!!それより、さっさとこの化け物にトドメを刺せ!!俺がこいつを抑え込んでいられるのも、残り僅かだ!!』

 

「だ、だが、そんな真似をすればオメェは……!!」

 

『馬鹿者!!き、貴様も一流の戦士なら、情に流され、目的を見失うな!!それとも……それとも、俺の身体がこんな化け物に利用されても良いと言うのか!?』

 

「くっ……」

 

『た、頼む、孫悟空……!!俺の身体をこの化け物から解き放ってくれぇっ……!!』

 

「……わかった。」

 

 クウラの必死の叫びを聞き、悟空は静かに頷くと、右手に気を収束させて行き、やがて周囲を照らす程黄金に輝き始めた。

 その一撃を受けては拙いと本能で悟ったか、ジャネンバは必死に身体を動かそうともがくが、クウラに主導権が奪われているせいで、全く動く事が出来ずにいた。

 

「龍拳っ!!!!」

 

 ジャネンバの腹部に悟空が拳を叩き込み、直後に吹き上がった爆炎が黄金の龍へと姿を変え、街全体を絡みつくように飛び回り、最後はジャネンバへと飛び込み、その身体を飲み込んだ。

 

「ガッ!?グギャァアアアアアアアア!!!!」

 

 黄金の気に焼かれながら、クウラの身体に取り憑いていたジャネンバは悲鳴を上げ、逃げる暇も与えられず、最後は浄化されるようにして消えて行った。

 何と悟空はクウラの身体を一切傷つける事なく、取り憑いていたジャネンバのみを消滅させてしまったのだ。

 

「孫、悟空……」

 

「フッ……」

 

 すぐに意識を取り戻したクウラが顔を上げると、悟空は小さく笑みを浮かべた。するとクウラは呆れたように溜息を漏らした後、いきなり舌打ちした。

 

「チッ、ベジータと言い貴様と言い、何処までも甘い奴等だ……」

 

「そう言うなよ。オメェだって美味い物食わずに死ぬのは嫌だろ?」

 

「フン……まぁ、確かにな……」

 

 それだけ言うと、クウラは悟空に背を向け、そっぽ向いてしまった。しかし、悟空は見逃さなかった。口ではああは言っていても、クウラが笑顔を浮かべていた事を……

 

 

※※※

 

 

 一方その頃、ベジータは魔人ジャネンバを相手に、かつてない程の苦戦を強いられていた。だが、どうにか隙を突く事に成功する。

 

「貰ったぁ!!」

 

「アギャッ!?」

 

 渾身のパンチが魔人ジャネンバの顔を捉え、直撃すると、ジャネンバは突如身体を抑えて苦しみ始めた。スピリットの強制分離を発動したのだ。

 

(敵の数が増えるが、この化け物とまともにやり合うよりはマシだ……!!いっそ、もっと引き剥がしてやる!!)

 

 苦しんでいる魔人ジャネンバに、ベジータは更に数発のパンチを叩き込むと、そのまま岩盤まで叩きつけた。そして魔人ジャネンバは分離しそうになる気を抑えられなくなり、ジャネンバと魔人ブウに分離して……しまう事はなかった。

 

 いきなり空から雷が魔人ジャネンバの身体を貫いたかと思うと、身体中を凄まじいマイナスエネルギーが覆い尽くしたのだ。

 

「なっ、これは……!?」

 

「ギィィィィ……ペッ!!」

 

 とてつもない邪念を纏った魔人ジャネンバが口から中を吐き出したのだが、よく見るとそれは、デブの魔人ブウだった。

 ベジータは一瞬スピリットの強制分離が成功したかと思ったが、これ以上は分離する気配が無ければ、魔人ジャネンバの身体に変化が起きる気配もない。

 細かい理屈は不明だが、スピリットの強制分離の被害をデブのブウを吐き出すか事で最低限に留めたようだ。

 

「馬鹿な、スピリットの強制分離を食らっておいて、力が減るどころか更に増してやがる……!!」

 

「ギヒ、ギヒヒヒ……ッ!?ア、アガァ……!!ベ、ジー……タ……!!」

 

「言葉を喋った!?」

 

 これまで奇声しか発しなかったジャネンバが突然名前を呼んだ事にベジータは驚愕する。

 

 だが、何かがおかしい。今の声は明らかにこれまでの奴の声質とは異なっていた。それに、何処かで聞いた事があるような気がしてならない。

 

「ドラ、ゴ、ン、ボール……ニ、ミイラレ、タ、ゴミ、メ……!!」

 

「な、何だと!?き、貴様……貴様、まさか!?」

 

 魔人ジャネンバが片言の言葉を喋りながらもドラゴンボールに言及した事で、ベジータは魔人ジャネンバに力を与えた存在の正体に思い至った。

 直後、魔人ジャネンバは右腕を天に翳し、頭上に青い炎を三つ展開する。

 その炎が消えると、フリーザ、セル、そして原初の魔人ブウが姿を現した。

 

「ふ、フリーザ、セル……それに、魔人ブウ!?」

 

「キサマ、ノ……ク、ビ、アノオトコヘノ、テミヤゲニシテ、ヤル……!!」

 

 吸収された筈の敵達が出現した事で、ベジータも驚きを隠せないようだ。

 そして正気の無い目をした三人は魔人ジャネンバの忠実な僕と化してしまったようで、魔人ジャネンバと共に一斉にベジータへと襲いかかるのだった……

 

 次回、最終決戦!!




おまけ

ベジータが魔人ジャネンバ達と戦っている頃、ビーデルと逸れてとにかく逃げ回りまくっていたサタンは吐き出されたまま放置されたデブの魔人ブウを見つけた!!

サタン「お、おい!!大丈夫がお前!?」

ブウ「……う……った……」

サタン「よ、良かった、意識はあるか!!よし、それじゃここから逃げ……」

ブウ「腹、減った……」

サタン「へ?」

ブウ「なんか食わせろ。」

サタン「あ、はい。どうぞ……」

唖然としながらも偶々持ち歩いていた非常食をブウヘ差し出すサタンであった……


こんな感じでサタンとの友情フラグが立ったって事にしといてちょ。

超サイヤ人4は量産しちゃってOK?

  • 原作通り悟空とベジータ以外はNG
  • バーゲンセールにしちまおうぜ!!
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