ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ 作:ゴロリコン
「なるほど。気がついたらこの世界に来ていた、と。」
あの後、場所をキッチンに移し、ベジータから事情聴取をしていたビルスとウイス。
包み隠さず全てを話した結果、ベジータは巻き込まれた側である事が伝わったのか、二人とも特にベジータを罰するつもりはないようだ。
「しかし不思議ですねぇ。肉体は当時のものに若返っていたにも関わらず、身体能力だけは逆行前と同じものに強化されているとは。これは明らかに第三者の意図が絡んでいるとしか思えません。」
「つまり、ベジータさんがこの世界に来たのは偶然ではない、と?」
「そう考えるのが自然でしょう。もし何らかの理由でベジータさんが偶然発生した次元の裂け目に飲まれてこの世界にやって来たとしても、その場合肉体が若返ったりはせず、この世界のベジータさんとはそれぞれ別個の存在となる筈です。ですが、ベジータさんはこの世界のベジータさんに憑依するような形で現れ、しかも強さまで当時の物に置き換わってしまった。これを偶然で片付けるには些か無理があります。」
「だが好き好んで俺にそんな事をするような奴に心当たりはないぞ。そもそも俺達の世界のドラゴンボールはカカロットと共に消失した筈だ。」
「さぁ?ナメック星のドラゴンボールを使ったか、それとも別のナメック星人の生き残りが生み出したドラゴンボールを使ったか、そう言う可能性もあるのでは?まぁ、他の宇宙ならばともかく、全く別の"世界"となると、全王様以外には調べようもありませんが。」
「全王だと?」
「全王様についてはまたいずれお話ししましょう。それでビルス様、どうなさいますか?私としては破壊する必要はないと……ビルス様?」
何故か先程からずっと沈黙したままのビルスに目を向けるウイス。よく見るとベジータが出した抹茶のパウンドケーキを一口食べた後からずっと俯いてプルプルしている。
そんなビルスに首を傾げながらも、ウイスは同じように抹茶のパウンドケーキを一口口に運ぶと、次の瞬間フォークをテーブルの上に落とし、プルプルと震え出した。
「う、ウイスさん?それにビルス様も……ど、どうかなさいましたか?」
「こ、これは……この、ケーキは……」
「け、ケーキだと?ひょっとして口に合わなかったのか?」
「違うっ!!こ、このケーキ……そう、このケーキは堪らなく、堪らなく……う、う……うーーーーまぁぁああああああーーーーーーいーーーーーぞぉおおおおおーーーーーーー!!!!」
唐突に口と両目から謎の光をぶっ放すビルス。出て来る作品を間違えてるとしか思えない大袈裟なリアクションにベジータ達は目が点になってしまっていた。
「緑色をしているからどんな味がするのかと思えば、渋く、ほろ苦さが舌に深く響き渡っている!!
「それだけではありません!!後から湧き出る特有の甘味と旨みが絶妙に調和し、このケーキの価値を更に高めています!!」
「ベジータ!!この、この最高に美味いケーキを作ったコックは誰だ!?今すぐ連れて来い!!」
「いや、作ったのは俺だが……」
「なっ!?お、お前が作っただと!?」
「そ、それはなんと……なんと……!!」
「「素 晴 ら し い ! ! ! !」」
「お、お二人ともその辺りで!!別の作品が始まってしまいます!!」
謎のテンションで身を乗り出し、更なる大袈裟なリアクションを始めようとした二人を慌てた界王神がメタ発言をしながら宥めようとするが、どうやら二人の耳には全く届いていないようである。
すると突然キッチンの扉が開き、クウラが不機嫌そうな表情を隠そうともせず乱入してきた。
「ベジータ貴様ぁ!!超豪華苺たっぷりケーキを持って来いと言っただろうが!!何をぐずぐずしているんだ、このマヌケめっ!!さては自分だけで頂こうとしているんじゃあるまいな!?そうはさせんぞ!!もしケーキを渡さんと言うなら一戦交えてでも奪って……ん?」
入って来るなり変な勘違いをしたクウラはベジータに怒鳴りつけた。だがその視界の端に何処かで見覚えのある二人の姿が入ってくると、先程までの態度が嘘のように硬直してしまった。
「俺は疲れているようだ、何故か破壊神ビルスの姿が見える……」
「呼び捨てかいクウラ?」
「っ!?びびび、ビルス、様!?馬鹿な!!ほ、本当に!?な、何故破壊神がこんな所に!!」
「別に何だって良いだろう?君こそ、話には聞いてたけど本当にサイヤ人と仲良くなってるみたいだね。変われば変わるもんだよ。それから……さっき君が言ってたケーキだけど、名前からして凄く美味しそうじゃない。僕も興味があるなぁ?」
「っ!!べ、ベジータ、ビルス様達に超豪華苺たっぷりケーキをお持ちしろ!!今すぐにだぁっ!!」
「あ、ああ……」
普段なら嫌味の一つでも言ってやる所だが、あまりのクウラの剣幕に押され、言われるがままにケーキを持ってくる事になってしまったベジータ。
実際今のビルスはかなり機嫌がいいのでそんなに慌てなくても良いのだが、万が一機嫌を損ねて地球と言う名のスイーツパラダイスが破壊されてはたまった物ではないので、クウラが慌てるのも仕方がないだろう。
その後も結局ビルスとウイスが満足するまでベジータは専属コックの如く料理を作らされる事になるのだった……
※※※
「いやぁ、最高に美味かった!!やるじゃないかベジータ王子。宇宙広しと言えど、ここまで美味しい料理を味わった事はこれまで一度もなかったよ。クウラが地球を気に入ったのも納得が行くね。」
「ええ全くです。よもやここまで美味しい料理がこの世に存在していたとは……!!」
「そいつは何よりだな。それで、破壊神ビルスだったか。あんたは俺を破壊するつもりなのか?」
「……まぁ、君も巻き込まれた側のようだしね。今回は目を瞑ってあげるよ。」
「よ、良かったですねベジータさん!!」
ベジータが破壊されずに済んだ事で、界王神達は安堵したようだ。クウラも口には出さなかったものの、ライバル兼優秀なコックを無くさずに済んだ為、心の中でホッとしていたのは秘密である。
「そ、それより、何故ビルス様がここに?まさか、地球に何か破壊に来たのですか?」
(クウラの野郎が敬語を使っていると違和感が凄まじいな……)
「ああ、そう言えばすっかり忘れてた。ベジータ、僕は君に用があって来たんだよ。」
「俺に用だと?」
「そっ。僕はどうしても超サイヤ人ゴッドってのと戦ってみたくてね。だからさ、ゴッドに変身して僕と戦ってくれないかな?」
「………?なんだ、その超サイヤ人ゴッドと言うのは?」
「ははっ、惚けても無駄だよ。なれるんだろう?君はゴッドに。」
「???」
ベジータが超サイヤ人ゴッドになれると確信している様子のビルス。しかしベジータは聞いた事もない超サイヤ人ゴッドに変身しろと言われ、ただ首を傾げるばかりである。
名前からして超サイヤ人のバリエーションの一つだろうが、ゴッドなど前の世界でも今の世界でも全く聞いた事がない。ひょっとして昔惑星ベジータにも地球のように神がいてそいつが超サイヤ人にでもなったのだろうか?
なんて事をベジータはぼんやりと考えていたのだが、想像と違う反応を示すベジータに、ビルスは本当にベジータがゴッドの事を知らないのではないかと勘付き始めた。
「……ウイス。ベジータの反応を見てる限り、ゴッドの事なんて全く知らなさそうなんだけど、こいつ本当に神の気に目覚めたの?」
「ええ、それは間違いありません。先程もビルス様の気を感じ取っていたでしょう?」
「うん、それはそうなんだけど……ベジータ、君本当に超サイヤ人ゴッドの事知らないの?」
「知らんな。生まれてこの方聞いた事もない。と言うか、2、3、4と来て次はゴッドなのか?5ではなく?」
「何言ってるのかわかんないけど、僕は超サイヤ人ゴッドってのと戦う予知夢を見たんだよ。で、地球に住むベジータ王子が神の気に目覚めたって言うから、君がゴッドに違いないと思ってやって来たんだけど……」
「そう言われても、俺は超サイヤ人ゴッドなんぞ聞いた事もないぞ……」
「あの、少しよろしいでしょうか?」
うーんとベジータとビルスが頭を悩ませていた所、突然キビトが割って入ってきた。
「ん?君は界王神の側近のキビトじゃない。どうかしたの?」
「いえ、その超サイヤ人ゴッドでしたか。その姿に心当たりが一応ありまして……」
「何、本当か!?」
「え、ええ……ベジータ、お前が変身していた……超サイヤ人4だったか?あれの髪が赤い時の姿がそうなんじゃないのか?」
「なに?あれは単なる超サイヤ人4の亜種じゃないのか?」
「詳しくは私だって知らん。だが、あの時のお前からは確かに神の気を感じた。可能性があるとすればあの姿以外に考えられん。」
「ふむ……確かにあの時のベジータからはビルス様と同じように戦闘力を感じられなくなっていたな。神の戦闘力は人間には計れんと聞くし、あの姿の時のベジータは人間の気から神の気に変わっていたと考えれば、おかしくもないか。」
キビトの考えに、クウラもかつて赤い髪の超サイヤ人4と戦った時の事を思い出しながら、納得したように頷いている。
しかしベジータはあれがゴッドと言われてもピンと来ないようだ。
「ま、待て。俺はただ超サイヤ人4をフルパワー状態にする為にカカロット達からサイヤ人の気を注いで貰っただけだ。それで何故超サイヤ人ゴッドとやらに変身出来るんだ?」
「そんな事はどうでもいいよ。変身出来るなら話は早い。今すぐ始めようじゃないか。」
(くっ……赤髪状態は修行を続けた事でどうにか3分は変身していられるようになったが、どの道未完成である事に変わりはない。そんな状態でこの破壊神を相手にやり合えるのか……!?)
戦う気満々のビルスに、ベジータは内心冷や汗を流していた。正直、未完成の赤髪の姿で勝てる可能性がある相手だとは思えない。かと言って未完成だから待てと言っても聞いてくれそうもないし、下手すれば機嫌を悪くして地球を破壊しかねない。
どうしたものかとベジータが頭を悩ませていると、突然厨房の中に悟空と界王、バブルスとグレゴリーが現れた。
「おっす!!」
「カカロット!!それに貴様は……界王か!?」
「おや、もう目を覚ましたんだね孫悟空。流石だよ。にしても界王、君が自分の星から出てくるとは珍しい事もあるもんだね?」
「何処の誰のせいだと思ってるんですかね……」
「ん?なんか言った?」
「いえっ、なんでもございません!!」
ビルスが笑顔を向けた途端、界王の顔は真っ青にしながらペコペコと頭を下げていた。尚、これまでの短いやり取りで界王神は界王の星がどうなったのかおおよそ察しがついたようで、心の中で合掌していたそうな。
「それよりさ、ビルス様!!ひょっとしたらその超サイヤ人ゴッドについて色々わかるかもしれねぇ方法を思いついたんだけど、試してみて良いかな?」
「何、本当かカカロット!?」
「おう!もしかしたらだけどな。」
「後で好きなだけ試しなよ。僕はそれよりもベジータと戦いたいんだ。」
「いや、待ってくれビルス様。さっき話題に出た赤い髪の超サイヤ人4はまだ未完成なんだ。」
「えっ、そうなの?」
「ああ。その超サイヤ人ゴッドについて知る事で、完成させられる可能性も捨て切れん。カカロットの提案を聞いてからでも遅くはないだろう。」
ベジータの話を聞き、ビルスは少しだけ頭を悩ませていた。
まさか未完成だったとは想定外だ。それでも楽しめるとは思うが、どうせやるなら完成したゴッドと戦いたい。となるとここは孫悟空の提案に乗るしかないか……?
「……ちなみに、いったい何をするつもりなのかな?」
ジト目で自分を見てくるビルスに対し特に気にした素振りも見せず、悟空はにっこりと笑いながらこう答えた。
「ドラゴンボールだよ!!」
※※※
「全く、漸く顔を出したかと思えば、急にビンゴゲームの景品のドラゴンボールを使わせろだなんてね……しかも破壊神なんて物騒なのまで連れて来て……」
「いやぁ、わりぃなブルマ!」
「良いわよ別に。地球が壊されたらたまったもんじゃないしね……」
あの後、悟空達はブルマの下へドラゴンボールを使わせて欲しいと頼みに行った。当然いきなりやって来て景品のドラゴンボールを使わせろと言われてもブルマが頷く訳がないのだが、界王神とクウラが破壊神について説明すると、顔を真っ青にしながら即座に使用許可を出すのだった。
「でも、破壊神ねぇ……ああしている分にはとてもそうは見えないけど……」
チラリとブルマが視線を向けた先では、ブウとプリンの取り合いをしているビルスの姿があった。
ちなみにブウが怒ってプリンを舐め回そうとした直前、クウラが大慌てでぶっ放したデスビームによってブウの顔面が消し飛ばされ、そのまま超スピードでプリンを何個か奪ってビルスに献上した事により、ビルスの機嫌はなんとか害われずに済んだようだ。
「ははっ、確かにな!!でもビルス様がとんでも無くつええんは本当だぞ?オラが本気で挑んでもまるで敵わなかったかんなぁ。」
「えっ、孫君負けちゃったの!?」
「おう!!結構頑張ったんだけど、別次元ってくらいの力の差を感じたぞ!!」
今やベジータに迫るだけの実力がある悟空が別次元と称した事で、ブルマはビルスがどれだけ規格外な存在なのかを察したようだ。
そしてベジータもこの世界の悟空がそこまで言う相手であるビルスに密かに冷や汗を流し、同時にそんな凄まじい相手と戦える事に対し喜びを感じていた。
「ななな、なんてこった……ま、まさか破壊神ビルス様が地球に来るとは……」
「ん?なんだよナッパ。お前あの破壊神ってのを知ってたのか?」
「あ、ああ。まだ惑星ベジータがあった頃、一度だけな……ベジータ王だけじゃなく、あのフリーザでさえあの御方にはペコペコ頭を下げてたんだ……」
昔からベジータの側近としてベジータ王やらフリーザやらのお偉方と接する機会のあったナッパは、過去に遠目にだがビルスを見た事があり、その噂も聞いた事があるようだった。
そしてその恐ろしさについてもよく理解しているようで、ビルスが顔を出してからはクウラと同じようにずっとビクビクと怯えているようだ。
「なぁなぁ、あの人神様なんだってよ!!」
「うん、聞いたよ!!どれだけ強いんだろう?気になるなぁ!!」
「後で喧嘩売りに行こうよ!!クンしたらきっと怒ってくれるんじゃないかな!?」
ちびっ子達はどうやらビルスの強さが気になるようだ。ちなみにミントの物騒極まりない提案に顔を真っ青にしたクウラとナッパが大慌てで止めに入り、マジギレしながら説教をしたそうな。
そんなこんなでドラゴンボールを並べ終わり、遂に神龍を呼び出す時がやって来た。
「いでよ、神龍!!そして願いを叶えたまえ!!」
悟空の叫びに反応し、七つのドラゴンボールが光り輝いた。そして空が夜のように暗くなり、ドラゴンボールから途轍もない光が飛び出し、やがて龍の形となり、神龍がその姿を現した。
『さぁ願いを言え。どんな願いでも三つだけ叶えてやる。』
「嘘だー!!あたし達に尻尾生やしてくれなかったじゃない!!」
「そーだそーだ!!ついでにナッパさんのハゲも治せなかったじゃん!!」
「インチキだー!!」
「こ、こらっ!!三人とも静かにしてなさい!!」
神龍のお馴染みの台詞に野暮なツッコミを入れる子供達の口を悟飯が慌てて塞いでいた。
ちなみに一年前にラディッツ達の尻尾を再生させた際、悟天達はそもそも生まれつき尻尾がない為再生する事はなく、だったら尻尾を生やしてくれと頼んだがその願いは神の力を超えているとされて叶わなかったらしい。
どうやら子供達はその事を根に持っていたようで、いきなりブーイングを受けた神龍は冷や汗を流してなんとも言えないような顔をしていた。
「あー、す、すまねぇな神龍、うちのチビ達が……」
『べ、別に構わん。それより、早く願いを三つ言うが良い。』
「じゃあ早速……神龍は超サイヤ人ゴッドって知ってるか?」
『ああ、知っている。』
「おお、さっすが神龍!!だったらその超サイヤ人ゴッドになる方法を教えてくんねぇか?ビルス様がどうしても超サイヤ人ゴッドと戦いたいって言うからさぁ!!」
『ビルス様だと……?っ!?びびび、ビルス様!?あっ、これはビルス様、どうも初めまして……私神龍と言う者です……』
「しぇ、神龍が怯えてる……」
「あんな神龍初めて見たわ……」
(確かに、こんな神龍は前の世界を含めても初めて見たな……)
ビルスを前にして冷や汗をダラダラ流しながら怯え、しかも敬語まで使っている神龍に、ベジータは自分の中の神龍のイメージが崩れて行くのを感じていた。ひょっとしたら一星龍達も破壊神ビルスを前にしたらあんな感じなのだろうか?
「あはははは!!おい見ろ、ビルス様見て神龍が怯えてるぜ!!」
「だっさーい!!」
「そんなだから叶えられない願いが沢山あるのよ!!」
またも好き放題に野次を飛ばすちびっ子達に、今度はピッコロから拳骨が落ちるのだった……ちなみにミントを殴った事に対して一人のモンペが騒いでいたのだが、それはどうでも良いだろう。
「……挨拶はいいよ。それより超サイヤ人ゴッドに変身する方法を彼等に教えてあげなさい。」
『は、はい、直ちに!!おっほん!!えー……超サイヤ人ゴッドと言うのはその昔、同じサイヤ人の悪行に疑問を感じ、反乱を起こした正しい心を持つ六人のサイヤ人達がいた。だが多勢に無勢。そのサイヤ人達はすぐ様追い込まれたが、その時五人のサイヤ人は残された自分のの力をリーダーたる戦士に託す事にしたのだ。」
「リーダー?」
『ああ、その名もヤモシ。仲間達の力を受け取ったヤモシは、大猿ともお前達が変身する超サイヤ人とも違う変身を遂げる事となった。』
「それが超サイヤ人ゴッドだと言うのか?」
『そうだ。ヤモシはゴッドの圧倒的な力で、たちまち悪のサイヤ人達を蹴散らしたが、後僅かと言う所で変身が解けてしまい、命を散らしてしまった。その後、その戦いが原因で惑星サダラは崩壊し、サイヤ人達は宇宙を放浪した末に惑星プラントへと移住。その際救世主ヤモシと超サイヤ人ゴッドの存在は歴史から消されてしまったのだ。』
「ええっと、つまり五人の正しい心を持つサイヤ人がもう一人の正しい心を持つサイヤ人に力を送れば、その超サイヤ人ゴッドってのになれるのかしら?」
『その通りだ。』
ブルマの質問に、神龍は特に否定する事もなく頷いた。そしてその話を聞いたベジータ、悟空、悟飯、ラディッツ、ナッパは顔を見合わせていた。
「なぁ、それってセルゲームの時にやったのと同じだよな……?」
「ああ。あの時俺達は未来のトランクスと共にベジータに気を注いだ。」
「ベジータさんの超サイヤ人4を強化する為だったけど、知らない間に超サイヤ人ゴッドの儀式もしてたんですね、僕達って……」
「でもよ、おかしくねぇか?それならなんでベジータはゴッドの力を未だに使いこなせてねぇんだ?それともゴッドっちゅーんはそんなに制御が難しいもんなのか?」
『それは、ベジータが超サイヤ人4と呼ばれる姿でゴッドの儀式を行ったからだ。』
「それでは駄目なのか?」
『いや、駄目ではない。だがそれが原因で予期せぬエラーが起き、本来の超サイヤ人ゴッドに目覚める事が出来ず、超サイヤ人4にゴッドの力の一部が重ね掛けされた状態として、中途半端な覚醒をしてしまったのだろう。』
「つまり、あの赤髪は超サイヤ人ゴッドとは別物と言う事か……おい神龍!!ゴッドの力を物にすれば、あの赤い髪の超サイヤ人4も完成させる事が出来るのか!?」
『その可能性はある。だが、超サイヤ人4と超サイヤ人ゴッド、二つの力を融合させたあの姿を完全に使いこなすのは、お前が考えているより遥かに難しい事となるだろう。』
「フン、上等だ……そうと決まれば話は早い。早速ゴッドに変身し、あの赤い髪の4を完成させてやる!!」
漸く赤い髪の超サイヤ人4の完成が見えて来たのか、ベジータは好戦的な笑みを浮かべていた。また、悟空も更なる領域に進める事に、たまらなくワクワクしているようだった。
『とにかく、これで願いは叶えた。ではさらばだ!!』
「はぁ!?まだ願い一つしか叶えて貰ってないじゃん!!」
『今日は緊張して疲れたからお得意様サービスは無しだ!!それではビルス様、失礼します!!』
「あっ、こら待てー!!逃げるなー!!」
「このヘタレー!!戻ってこーい!!」
またまた子供達に野次を飛ばされながら、神龍は逃げるように身体を光に変えると、七つのドラゴンボールは浮かび上がり、地球各地に飛び散って行った。
「何はともあれ、これでゴッドになる方法はわかった訳だね。さぁベジータ、とっととゴッドになる儀式を始めるんだ。」
「ああ。お前達、頼むぞ。」
「おう!!あっ、でも次はオラの番な!!」
「あたしもゴッドになりたい!!」
「ミントちゃんは駄目だ!!パパそんなの認め「ダイナマイトキーック!!」ごふっ!?」
なんか別世界でサイボーグ化したヤムチャが使いそうな飛び蹴りをラディッツに叩き込むミント。
その後、悟空、悟飯、ラディッツ、ナッパ、そしてトランクスがベジータの周りを囲み、五人が手を繋ぐと六人全員が超サイヤ人に変身。そしてベジータへと気を流し始めた。
すると全員の気のオーラが黄金から青へと変化し、ベジータが空中に浮かび上がると眩い光に包まれ、光が晴れると、髪と瞳が赤色に変化したベジータが現れた。
「ベジータの気が感じられねぇ……それが超サイヤ人ゴッドなんか……?」
「4程滅茶苦茶変わったりはしねぇんだな……?」
ゴッドの変化に少しだけ拍子抜けしている様子の悟空達。
一方でベジータは自身の明確な変化を感じ取っていた。まず、気の質がこれまでとは全く異なる。赤い髪の4の時ですら、ここまでクリアではなかったし、溢れんばかりの凄まじい力も感じる。だが……
(単純な強さだけで言うなら、4の方が上か……)
4に変身出来るからこそ、ベジータにはわかっていた。4の力と比べれば、この形態の強さは幾分か劣る。この形態では、4の悟空が敵わなかったと言う破壊神ビルスには絶対に勝てないだろう。
ならば、やるべき事は一つしかない。今ここであの姿を完成させるのだ。
「……はぁあああああああ……!!!!」
「っ!?べ、ベジータの奴、何を始めるつもりだ!?」
「ベジータ、オメェまさか……!!」
いきなり気を高め始めたベジータにナッパ達が驚く中、悟空だけはベジータが何をしようとしているのか察していた。
(神龍はあの姿を完成させるには想像しているより遥かに難しいと言っていた……だが、それがどうした!?俺は……俺達はそんな難しい事やあり得ない事を何度もぶち破り、そして強くなって来たんだ!!そうだろう!?"カカロット"!!)
気の繭の中で、ベジータは更なる扉を開けるべく、赤い髪の超サイヤ人4に変身していた。だが、それに合わせて身体に途轍もない負担が襲い掛かり、段々とベジータの身体から気が離散して行く。
それでもベジータは諦めなかった。かつてライバルがそうだったように、あくなき強さへの探究心が、ベジータを突き動かしていた。
そしてベジータが限界を迎えそうになった時、ベジータは光の果てにある男の背中を見た。その男は青い道着と白い帯、黄色のズボンとピンクのリストバンド、白い脚絆と黒い靴を身に纏っていた。
「っ!?き、貴様は……!!」
その男は何も答える事なく、少しだけベジータに顔を向けると、にっこりと笑顔を浮かべ、その姿を消した。
今の出来事が現実か幻か、それはわからない。だがベジータは感じていた。"あの男"の存在を。
「フッ……そうか……貴様が見ている以上、情けない姿を晒す訳にはいかんな……よく見ておけよ、"カカロット"!!これが俺の全てだ!!うぉぉぉおおおおおおおおおおおーーーーーつ!!!!!」
ベジータの身体から離散しようとしていた神の気が、一気に身体の中へと吸収されて行く。直後、赤い気の繭が弾け飛び、中から赤い髪の超サイヤ人4のベジータが姿を現した。
だが、オーラは太陽を思わせる程に熱く、そして真紅に燃え上がり、神の気を感じ取れない悟空達でもわかる程、段違いの圧力を放っていた。
「これが完成した赤い髪の超サイヤ人4……超サイヤ人4ゴッドか……4ともゴッドとも次元が違う……!!」
ベジータは、完成した赤い超サイヤ人4の力に、自分でも信じられないと驚いていた。これまでのどの超サイヤ人とも次元が違う、圧倒的なパワーだ。
しかし、それ故に制御が難しく、気を抜けば良くて変身解除、最悪の場合理性を失い暴走する危険性すらあるだろう。
「……ククク、それだ!!その姿こそ、僕が夢で見たゴッドその物だ……!!初めてだよ、ここまで僕をワクワクさせてくれた奴は……!!
今にも飛びかかりそうな程に興奮し、好戦的な笑みを浮かべたビルスがベジータの前に立ち塞がる。
破壊神を前にしてたのに、不思議とこれまで感じていた恐怖は感じない。
むしろ、今ならどんな相手にも勝てる……そんな万能感さえもベジータは感じていた。
「……待たせて悪かったな、ビルス様。さぁ、始めるぞ。破壊神と超サイヤ人4ゴッド、究極を決める戦いをな!!」
ベジータが真紅のオーラを、ビルスが紫のオーラを解放し、睨み合う。それだけで地球全体が悲鳴を上げているかのように激しく揺れていた。
「な、なんて振動だ……!?こ、このままじゃ地球が……!!」
「やれやれ、仕方ありませんね……とは言えこれだけ美味しい食べ物がある星を消すのは勿体無いですし……それっ!!」
ウイスが杖の先端で地面を突くと、あれだけ凄まじく揺れていた地球が嘘のように静まり返ってしまった。
「あ、あれ?地震が止まったの……?」
「私が地球を保護致しました。これであの二人が全力で戦っても壊れる事はないでしょう。」
「ほ、本当か!?ウイスさんだっけ、あんたすげぇんだな!!」
「おほほほ!!それ程でもありませんよ。さぁビルス様、存分にお楽しみになって下さい。」
「礼を言うぞ、ウイス。さぁ、やろうか……あっ、そうだベジータ。一つ賭けをしよう。」
「賭けだと?」
「この勝負、君が勝ったら君の願いを一つだけ聞いてあげるよ。」
「……あんたが勝った場合は?」
「君に僕専属のコックになって貰う。」
「は?」
「だから、コックだよ。君の作る料理は美味しいからねぇ……逃す手はないって思ったんだ。」
決戦の舞台が整い、漸く戦いが始まるかと思いきや、ビルスからいきなり賭けをしようと言われた挙句、負けたら専属コックになれ等と意味不明な事を言われたベジータは、目を点にしていた。
しかしすぐに頭を振り、気を更に上昇させ、構えを取った。
「フン、コックだろうがなんだろうが勝手にしろ。俺が勝てば何の問題もないからな。」
「言ったな?言質は取ったぞ。後でやっぱ無しとか言ったら破壊するからな?」
「くどい!!俺は破壊神を超え、更に先に進む!!行くぞ、破壊神ビルスッ!!!!」
そのままオーラを爆発させ、超スピードでビルスへと向かって行くベジータ。
完成した超サイヤ人4ゴッドは、破壊神に勝利する事が出来るのだろうか……?
と言う訳で赤い髪の超サイヤ人4が完成しました。次回はベジータVSビルス様です。
以下超サイヤ人4ゴッドの軽い設定。
超サイヤ人4ゴッド
解説
超サイヤ人4の状態でゴッドの儀式を行った事で偶然生まれた超強化形態。その力は未完成の状態でもフルパワー4は勿論、ゴッド・ブルーを遥かに上回り、完成体は身勝手の極意にすら匹敵する超次元の力を誇る。
ただしその分制御が凄まじいレベルで難しく、ベジータでさえ気を抜けば暴走する危険性がある程なので、ゴッド及び4に変身さえ出来れば誰でもなれると言う訳ではない。その為本作においてこの形態に変身するのは合体戦士を除けばベジータと悟空のみになる予定。
ポジション的にはリメイク前に登場した超サイヤ人4ブルーで、当初はそのまま登場予定だったが、作者の友人の「青い4ってぶっちゃけ似合わなくね」の一言によりこちらが登場する事となった。
外見的にはヒーローズの超サイヤ人4限界突破が近いが、設定的には別物である。