ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ 作:ゴロリコン
「さぁ、掛かって来いよブロリー。」
真紅のオーラと無数の紅いスパークを纏い、不敵な笑みを浮かべ、腕を組んでブロリーを見下ろす悟空。
そんな挑発とも取れる態度を取られても、ブロリーは動こうとしない……いや、動けなかった。
本能で悟っているのだ。あの男には敵わないと……
だが、それでもブロリーに降参と言う選択肢はなかった。本能を上回る破壊衝動が、悟空への攻撃を選んだのだ。
「う、うおおおおおおおおおおっ!!!!」
その巨体に似合わぬ超スピードで、ブロリーはほんの一瞬で悟空との距離を詰め、パンチを繰り出した。
そのまま無防備な悟空の横っ面に直撃……したかと思われたが、何故か拳は命中する事なく、悟空の顔をすり抜けてしまった。
「なっ……!?」
「何そんなに驚いてんだ。まさか俺の動きが見えなかったのか?」
「ぐぬっ……!!おおおおおお……ごはぁっ!?」
歯軋りしながら表情を歪ませ、ブロリーが再度殴り掛かる。
しかしそれを遥かに上回る速度で悟空がブロリーの腹部に膝蹴りを叩き込んでいた。
更に追撃として掌をブロリーの眼前に翳し、気功波を至近距離で食らわせて吹っ飛ばした。
だが、まだまだ攻撃は終わっていないとばかりに悟空はブロリーの背後に瞬間移動し、肘打ちを後頭部に食らわせ、そのまま回し蹴りでブロリーを蹴り飛ばすと、またもや一瞬でブロリーに追いつき、ダメ押しにダブルスレッジハンマーを叩き込み、ブロリーをリングに叩き落とした。
「ど、どうなってやがるんだ!?超サイヤ人って奴に変身したのに、孫悟空にボコボコにされてるじゃねぇか!!」
「ど、どう言う事と言われましても、単にブロリーさんの超サイヤ人より、悟空さんのあの姿の方が強かっただけなのでは……?」
「ざけんな!!さっきまで超サイヤ人にすらなってないあいつに押されてた癖に、そんな馬鹿な事があるか!!」
「それだけあの超サイヤ人4ゴッドとやらは、他の形態とは隔絶した力の差があると言う事なんだろう。あんたも神なら少しは黙って観戦したらどうだ?喧しくて敵わん。」
「なっ……ヒット、テメェ!!誰に向かって口利いてんのかわかってんのか!?」
「誰も何も、破壊神シャンパにだが。良いから暫くの間黙っていてくれ。正直、今のあんたは見苦し過ぎて見るに耐えん。」
「きっ、貴様ぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!」
ヒットの態度に激怒したシャンパは、怒りのあまり紫のオーラを解放し、そのままヒットに向けて掌を翳した。
「たかが殺し屋風情が調子に乗りやがって!!どうやら制裁が必要らしいなぁ!?」
「や、やめて下さいシャンパ様!!第六宇宙の仲間同士で……うぐっ!?」
シャンパとヒットの間に割って入り、どうにか仲裁しようと試みたキャベだが、突然シャンパに首を掴まれると、顔のすぐ近くまで引き寄せられた。
「頭に乗るのもいい加減にしろよ!!貴様もだ、ヒット!!所詮てめぇ等もあのブロリーも、ビルスと勝負する為の駒に過ぎねぇんだよ!!それなのに仲間だぁ?人間風情が神を仲間呼ばわりするなんざ、それだけで万死に値する!!今すぐ破壊して……」
「いい加減にするのはお前なのね。」
「っ!?ぜ、全お」
「黙れ。」
いきなり目の前に現れた全王がただ一言呟くと、その瞬間シャンパはまるで氷漬けになったかのように言葉を発する事も身体を動かす事も出来なくなってしまった。
しかし意識の方はバッチリあるようで、身体中から脂汗が絶え間無く流れ続けている。
「お前はちょっとやそっとの制裁程度じゃ全く反省しないって言うのがよくわかったよ。単なる折檻じゃすぐにまた元通りになりそうだから、1年の特別懲罰房行きにしてあげる。」
「っ!?ぜ、全王様、それは流石に!!」
「な、何なんですか?特別懲罰房って……」
「と、特別懲罰房とは、私も噂くらいでしか耳にした事はないのですが、その場所に入ったが最後、たとえ破壊神であろうと半日も持たずに精神崩壊を起こす程の苦痛が待っているとか……」
ヴァドスの説明を受けて、キャベの顔が真っ青になる。破壊神ですら半日も持たないって、どんな地獄が待ち受けているんだ……?
「良い事を教えてあげようかシャンパ?特別懲罰房の中で1年経ってもね、外の世界ではたった1時間しか経過しないんだ。じゃあ、現実で1年経った頃、あそこではどのくらい時間が流れてるんだろうね?」
「……!!!!」
心なしか、凍りついたままのシャンパの身体が少しだけ震えている。何か訴えかけようとしているようだ。
「ん、何?聞こえない。不満もないようだし、すぐにでも送ってあげようかな。」
「っ……!!…………!!!!」
「身体が震えてるだけじゃ何が言いたいのかわからないのね。ああ、それから身体については心配しなくて良いよ。どんな苦痛を味わっても、あそこにいる限り決して死ぬ事ないし、心が壊れても一緒。すぐに元通りになるのね。」
「お、お待ち下さい全王様!!」
「ヴァドスも行ってみる?いくら女性でも君の所業を考えればそれくらいが妥当な気がしてきたし。」
「シャンパ様、ご武運を。」
やはり我が身が大事なのか、秒でヴァドスに見捨てられてしまったシャンパ。
その後全王が指を鳴らすと、シャンパの姿がその場から消滅してしまった。
「しゃ、シャンパ様が消えた……」
「死んじゃいないのね。そしたら界王神も消えちゃうし。今頃きっと楽しんでくれてるんじゃないかな?」
(こいつ、何もしなければ大抵の相手には善良だが、罰すると決めた相手には何処までも冷酷になれるようだな。なるほど、これが全ての神々の頂点に立つ者か…….)
冷や汗を流しながら全王を見つめるヒット。そしてこいつにだけは目をつけられないようにしようと密かに誓うのだった。
「ぜ、全王様、しかしよろしいのですか?もしシャンパ様が再起不能になったら、第六宇宙の破壊神が不在となってしまいますが……」
「構わないよ?良さそうな子も見つけたしね。」
笑顔を浮かべながらブロリーを見下ろす全王。どうやら全王は、ブロリーを第六宇宙の次期破壊神にスカウトするつもりのようだ。
一方、そのブロリーだが、瓦礫を吹き飛ばして悟空へと突撃するが、またも悟空の身体をすり抜けて空振りに終わってしまい、攻撃直後の隙を突かれて後頭部に蹴りが叩き込まれ、もう一度リングに叩き落とされてしまった。
その後もすぐに復帰して悟空へ猛攻を仕掛けるが、やはり攻撃が当たらない。
超サイヤ人4ゴッドに変身した悟空の動きが速過ぎて、全くブロリーが追いつけていないのだ。
「はぁっ!!」
「ぐぁっ!?」
ブロリーの顎に蹴りを入れて空中まで吹っ飛ばすと、もはや視認出来ない程のスピードでブロリーを一方的に殴り続ける悟空。
だが、あまりにも一方的にやられてしまった怒りからか、ブロリーは更なる進化を果たそうとしていた。
「あぁぁぁぁ……!!う、うぐぅぅぅおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーっ!!!!!!」
ブロリーが雄叫びを上げると、全身から凄まじい黄緑色のオーラが放出され、上半身の戦闘服が弾け飛び、筋肉がはち切れんばかりに膨れ上がり、身長も更に巨大化した。
そしてその姿は、第七宇宙のブロリーが変身した伝説の超サイヤ人とそっくりだった。
「ぶ、ブロリーの奴、遂に目覚めやがった……!!」
自分達の宇宙のブロリーを思わせる姿に、ベジータはまたも無意識の内に身体を震わせるのだった。
そして更なる進化を果たしたブロリーは悟空への攻撃を再開し、遂に悟空の姿を捉え……る事は出来ず、ブロリーの放った拳はあっさりと受け流され、首に回し蹴りを食らって逆に吹っ飛ばされてしまった。
「とんでもねぇくらいパワーアップしたが、それだけじゃ今の俺には届かねぇ。気はこう使うんだ!!」
「がぁぁぁぁぁぁっ!?」
悟空が至近距離で放った特大の気功波をまともに受けてしまい、ブロリーは悲鳴を上げながら吹き飛ばされ、すぐに追いついてきた悟空の肘打ちが背中に命中。
地面に激突する寸前、どうにかブロリーは着地に成功したが、その瞬間に殴り飛ばされてしまう。
「し、信じられん……あれ程ブロリーがパワーアップしたと言うのに、孫悟空には全く追いつく事が出来ていないのか!?」
「それはちょっと違うのね。」
唖然としながら呟いたパラガスの言葉を、全王は首を横に振って否定した。すると当然とも言うべきか、第六宇宙の面々の視線が全王に集中する。
「確かにあの姿の孫悟空は圧倒的だよ。でもブロリーはそれを覆せるだけのスペックを秘めているんだ。」
「では、何故ブロリーがこうも一方的にやられているんだ?」
「それは、今の彼が全く理性がなくて、ただ破壊衝動のまま暴れているからなのね。どんなに能力が高くても、そんな精神状態じゃ動きも簡単に読まれちゃうよ。」
全王の指摘通り、ブロリーの攻撃はもはや悟空には全く通用せず、動きは完全に見切られていた。
逆にブロリーは更なる進化を果たしたにも関わらず悟空の動きに全く対応出来ず、良いようにやられてしまっている。このままでは遠からず限界を迎えてやられてしまうだろう。
「ブロリーがこの状態から逆転するには、真の意味で自分の力を使いこなせるようになるしかない。それ以外、ブロリーに勝ち筋は残されてないのね。」
「ブロリー……!!」
「うるぁぁぁあああああああーーーーっ!!!!」
「おっと!!」
獣のように叫びながらこちらへ突撃してくるブロリーを自身のオーラで包み込むと、そのまま動きを封じる悟空。
ブロリーは拘束を振り解こうと暴れるが、全く効果がないようだ。
「落ち着けよ、ブロリー……そんなんじゃせっかくの力を無駄にしちまうぜ?」
穏やかな笑みを浮かべ、ブロリーに語りかける悟空。その悟空の姿を見て、ビルスは首を傾げた。
「悟空の奴、倒そうと思えばすぐに倒せるのに、なんでやらないんだ?」
「決まっている、奴は自分の力をコントロール出来るようになったブロリーと全力で戦いたいんだ。」
「た、確かにお父さんならそう考えそうですね……」
悟空が何を考えているか、ベジータにはお見通しなようで、悟飯も苦笑いしていた。
すると、漸く偽装を解いたパラガスがベンチから飛び出した。
「ブロリーっ!!」
「っ!?と、父さん……生きていたのか!?」
「すまなかった、ブロリー……私はそもそも死んでいなかったんだ。シャンパ様にブロリーを勝たせる為と言われ、死んだふりをしていて……」
「そ、そう、なのか……よ、良かった……」
父の無事を知り、安堵したのか、ブロリーは力が抜けたようで、リングに膝をついてしまった。
そのまま超サイヤ人も解除されそうになったが、パラガスが待ったをかけた。
「待つんだ、ブロリー!!このまま負けてしまっても良いのか!?」
「と、父さん……?」
「せっかく自分と対等以上に渡り合える相手と巡り会えたのだろう?それなのに、こんなあっさりと負けてしまって良いのかと聞いているんだ!!私は知っているぞ。本当はお前が、全力を出せる相手を求めていた事を!!」
「っ……だ、だが、駄目なんだ父さん……超サイヤ人になっても、カカロットには手も足も出なくて……」
「それは違う!!自分の力をコントロール出来るようになれば、もっと強い戦士になれる筈だ!!」
「その通りだぜ、ブロリー。」
敵である筈の悟空が自分の言葉に同意した事に、パラガスは思わず目を見開くが、そんな事は知らんとばかりに悟空は言葉を続けていく。
「オメェの本当の力はこんなもんじゃねぇ。それは戦ってた俺にもよくわかる……だから、いっちょ見してくれよ。その本当の力って奴を。」
「そ、そんな事を言われても、どうすればコントロール出来るか、俺には…‥わ、わからない……」
「そんなに自信がねぇなら、仲間を頼ってみろ。俺も、仲間が居てくれたから超サイヤ人4になる事が出来たんだ。」
「仲間……」
まずは父であるパラガスを見遣り、次にキャベ、そしてヒットへと視線を移すと、三人とも笑顔で頷いてくれた。
「ブロリー、心配するな。たとえこの先何が起きようと、私達はお前の味方だ。そして、それは惑星サラダに残っているケールやレンソウ達も同じだ。お前は決して、一人ではない。」
「父さん……」
父の言葉に思わず胸が熱くなり、目を閉じるブロリー。その脳裏には、故郷の家族や仲間達の笑顔が浮かんでいた。
するとどうだろう?先程まで自分を支配していた破壊衝動が、嘘のように静まり返っていた。
そして同時に、これまで感じた事のない、温かな力が湧き上がって来るのを感じる。
「…‥ありがとう、父さん……今ならどうにかなりそうだ……!!」
「ブロリー……?」
「おおぉぉぉぉぉ……!!うわぁぁぁああああああああーーーーーーーっ!!!!!!」
ブロリーの全身を、眩い光が包み込む。そして放出されるオーラが黄緑から黄金へと変わり、無数の紫電を纏うように変化した。
そして光が晴れると、超サイヤ人の姿のブロリーが立っていた。だが、これまでよりも引き締まってバランスの取れた体型となり、理性を失い白目と化していた目には、金色の瞳が浮かんでいる。
ブロリーは遂に伝説の超サイヤ人の力を制御する事が出来たのだ。
「へっ……どうやら一皮剥けたみてぇだな。」
「お前のおかげだ…‥礼を言う、カカロット。」
「そんなもん良いさ。それより、早くオメェの本当の力を見せてくれねぇか?さっきから戦いまくってウズウズしてるんだ……!!」
「フッ……良いだろう、行くぞぉ!!」
「来い、ブロリー!!」
二人が気を解放すると、同時に姿を消し、空中で激しい攻防を開始した。
だが、これまでのように悟空が一方的にブロリーに攻撃を加えるのではなく、完全に互角の戦いを繰り広げていた。
「せりゃぁっ!!」
悟空の蹴りが、ブロリーの左頬を貫く。しかしブロリーも即座に反撃し、ラリアットを悟空の胸部に叩きつけた。
「ガハッ……!?やるな、ブロリー!!」
「そっちもな!!だが、俺の力はこの程度じゃないぞ!!はぁぁぁぁーーーっ!!!!」
「ぐああああっ!?」
ブロリーの放った追撃の拳が悟空の頬に命中し、悟空は大きく後方に吹き飛ばされてしまった。
だが場外ギリギリで踏みとどまると、口元の血を拭い、ニヤリと笑うと負けじとブロリーの元へ飛んで行き、反撃のパンチを叩き込んだ。
「あのブロリーっての、とうとう4ゴッドの悟空と互角にまでなっちゃったよ。ベジータが出ても危なかったんじゃない?これ。」
「フン、俺が出ていたらそもそも奴がここまで成長する事はなかったさ。」
「なんと言うか姑息だな、貴様。」
「うるさい!!敵に塩を送るカカロットの方がおかしいんだ!!」
「それに関しては貴様も人の事を言えんと思うがな……」
かつて地球で戦った時、自分をデンデに回復させた事を思い出したクウラが鋭いツッコミを入れていた。まぁベジータは華麗にスルーしたが……、
「うおおおおおおおおっ!!!!」
「でぇぇぇぇぇぇぇいっ!!!!」
悟空とブロリーの拳が正面から激突し、周囲に凄まじい轟音が鳴り響くと共に、激突の際に生じた衝撃波で、リング全体に亀裂が走った。
すぐに二人は弾かれるように後方に飛び退いたが、流石に疲労を隠し切れなくなっており、二人して肩で息をしていた。
「はぁ、はぁ……へへっ、やっぱオメェはすげぇぜ、ブロリー。苦労して変身出来るようになった超サイヤ人4ゴッドに、あっという間に追いついちまったんだからな……」
「そっちこそ、流石の強さだ……でも、俺はまだまだ本気じゃないぞ?」
「それはこっちだって一緒だぜ。さぁ、最終ラウンド開始と行こうぜ!!」
「ああ!!行くぞ、カカロットッ!!!!」
二人が同時に駆け出し、先程の焼き直しのように拳が正面から激突する。
その時だった。二人の放ったパンチの威力が大き過ぎたのか、突如次元に亀裂が走り、空間の歪みが発生。その衝撃波で二人とも弾き飛ばされてしまった。
「ぐぅっ!!なんだこりゃ!?」
「な、何が起こっているんだ……?」
目の前の状況が理解出来ず、唖然としている悟空とブロリー。だが、空間の歪みは徐々に広がって行き、何故か巨大な火柱が発生。そしてその中には大きな人の姿が浮かんでいた。
「だ、誰かいるぞ……」
「ふむ、どうやら誰かがこの場所に転移して来たようですね?」
「……この、気は……」
「ベジータさん?」
震え出したベジータに、悟飯は首を傾げたが、今のベジータはそれどころではなかった。あのシルエット、それにこの気、忘れられる訳がない……
そして火柱が消えると……腰の辺りまで伸びた黄緑の髪をはためかせ、禍々しいオーラと雷と見間違う程極太の稲妻を纏った巨漢が姿を現した。
「ブロ、リー……!!」
震えながら、ベジータはその悪魔の名を口にした。
かつてベジータを恐怖のドン底に叩き落とした第七宇宙の伝説の超サイヤ人、ブロリーが今この場に帰還したのである。
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