ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ 作:ゴロリコン
『ファイナルシャインアタァァァァァァック!!!!!!』
目の前に迫り来る緑の光線を眺めながら、ブロリーはこう思っていた。「何故だ……」と。
自分は他の有象無象の屑どもとは違う、選ばれた存在の筈だ。
この世の全てはただ自分に蹂躙される為に存在している筈なのに、どうしてこんな取るに足らない屑に追い詰められている?
(何故だ…‥何故なんだ……何故、俺があんな屑なんかに……!?)
ありとあらゆる面で自分はあの屑を上回っていた筈だ。なのに何故、自分が敗北を迎えようとしている?
たとえ超サイヤ人と大猿の力を駆使しても、屑は屑でしかない筈なのに、自分が負ける要素など何もない筈なのに、何故こんな事になっているのだ。
だが、目の前の現実は変えられない。ブロリーの最大の技も呆気なく貫かれ、全く勢いが衰える事のないまま、緑色の光線は遂にブロリーに直撃してしまう。
『う、うおおおおおおおおおお!?』
咄嗟に気のバリアーを張ったが、そんな物は焼石に水にすらならない。
コンマ数秒でバリアーは打ち破られ、ブロリーを飲み込んだ光線はそのまま空高く登って行き、やがてこの星に迫る彗星へと近付いて行った。
本来のブロリーなら彗星の衝突程度鼻で笑い飛ばしていただろう。だが、気に身体を焼かれ、痛みのあまり全く身動きの取れない状態では、いくらブロリーと言えど打てる手は何もない。
ただ死を待つ事以外は、何も。
『ば、ばぁぁぁかぁぁぁなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!???』
最期まで現実を受け止める事が出来ず、ブロリーは緑の光線と彗星の激突によって生じた大爆発により、塵一つ残さずこの世から消滅した。
いや、した筈だった。
『これはこれは……この空間に人がやって来るとは、中々に珍しい事もあるものだ。』
突然、頭の中に声が響いて来た。誰だ……?
不審に思い、ブロリーは身体を動かそうとする。しかし、まるで金縛りにでもあったように身体を動かす事が出来なかった。
『無駄だ。人の身では、この空間で自由に動く事など出来んよ。自我を保っている事すら奇跡なのだからな。』
(何を言っているんだ、貴様は……?ここは何処だ。俺は何故、こんな所に……っ!!)
その時、ブロリーの脳裏にこれまでの記憶が蘇った。
遠い昔、カカロットに泣かされた事。
新惑星ベジータで、妙な姿に変身したベジータに一方的に敗北してしまった事。
最強である筈の自分が、遥か格下である筈の屑どもに、二度も負けてしまったのだ。
(ぐっ……カカロット……!!ベジータ……!!うおおおおおおおおおおおっ!!!!)
『……ほう?貴様、あの二人の関係者か。しかもその様子から察するに、相当な恨みを抱いているようだな。』
(っ!!貴様、カカロットとベジータを知っているのか!?)
『フフフ……ああ、よく知っているとも。そして私もあの二人には恨みがある。どうだ、私と手を組まないか?私と手を組めば、元の世界に帰れるぞ。』
(な、に……?)
突然何を言うんだ、こいつは?
目が覚めたら真っ暗な空間に居て、まともに身体を動かす事が出来ない状況で、突然頭の中に直接語りかけて来る訳の分からない相手と、何をどうしたら手を組もうと思えるのだ?
だが、何故だろう?この声を聞いていると不自然なまでに安心感を覚える。
こいつの言葉も、いつもなら耳を貸さずに拒絶している筈なのに、何故だか受け入れても良いような気分になってしまった。
『さぁ、私の手を取るのだ。遠慮する必要はないぞ?そうすればお前は元の世界に帰れる……いや、それどころかこの世の誰よりも強くなれるのだぞ?』
(この世の、誰よりも……カカロットとベジータよりもか?)
『勿論だ。孫悟空もベジータも、私の力の前ではゴミに過ぎん。この世の全てがお前の前に跪く事となるだろう……さぁ、早く手を取るんだ。私にお前の復讐の手伝いをさせてくれ。』
(復、讐……)
気づけば、ブロリーは身体を動かせるようになっていた。
周りは真っ暗で、声の主の姿は見えないが、こちらに差し出されている右手だけは視認できた。
そきてブロリーは声に導かれるまま、穏やかな笑みを浮かべて右手を差し出し、ゆっくりと相手の右手に近づけ……
突然表情を一変させると、凶悪な笑みを浮かべながらその手を弾いた。
『む……?』
「フフフフ……フハハハハハハ!!調子に乗るなよ、屑め!!この俺の復讐に手を貸すだと?ふざけるな!!俺に仲間など必要ない……俺の感じている怒りも、屈辱も、復讐心も!!全ては俺一人のものだ!!有象無象の屑どもと共有するつもりなどないっ!!!!」
『……なるほど、私を拒絶するか。だがどうするつもりだ?お前一人の力では、どう足掻いてもこの空間から出られんぞ。』
「それがなんだ?ならばこんな空間、俺の力で破壊し尽くすだけだ!!」
『ククククク……随分と大きく出たものだな。よし、ではお前にそれだけの器かどうか、この私が試してやろう。』
「屑がぁ……!!一体何を……へぇあっ!?」
ブロリーが反応するよりも早く、突如右手を握られてしまう。そしてそのままブロリーの身体に得体の知れない気が流し込まれた。
「ぐ、ぐおおおおおおおおおおっ!?な、なんだ、これはぁぁぁぁぁ!?か、身体が…‥身体が、燃えるように熱く……い、痛いぃぃぃぃぃぃっ!!俺に……俺に何をしたぁ!?」
『言ったろう?お前の力を試してやったのだよ。もしもお前に先程の言動に見合うだけの力があるのなら、お前は更なる高みに至るだろう。しかし口先だけの弱者だったなら、肉体が耐え切れず崩壊して死ぬだけだ。』
「な、なんだとぉ!?おのれっ、余計な真似をぉ……!!うぐわぁぁぁぁっ!!!!」
『ククク……せっかく帰れるチャンスを与えてやったと言うのに随分な物言いだ。まぁ良い……どの道、我が力を制御する以外、貴様の生き残る道はないのだから。もし貴様が生き延びる事が出来たのなら、また会おう。』
「ま、待て……!!き、貴様……こ、殺してやる!!うぐぅぅぅ……ぜ、絶対に、絶対に殺してやる!!うおおおおおおおおおっ!!!!」
これまでに感じた事のない激痛に苦しみながらも、ブロリーは必死になって手を伸ばし続けた。
だが、鼻で笑うような声が聞こえたのを最後に、声の主の気配が消えてしまった。
それから真っ暗な空間にただ一人取り残されたブロリーは、身体の中で暴れ回るエネルギーに苦しめられる事となった。
制御しようにも力が大き過ぎるのか、全くコントロールする事が出来ない。こんな事は初めての経験だった。
そして声の主が言ったように、程なくして肉体が内側から崩壊を始めた。何もしていないのに皮膚が裂け、血が飛び散り、内側から気が溢れ出ている。
だが、常人ならとっくに発狂してもおかしくない苦しみの中、それでもブロリーは意識を保ち続けていた。
その脳裏には、赤ん坊の頃に自分を泣かせた男と、最強である筈の自分を負かした忌々しい王子の姿が何度も交互に浮かんでいる。
いつ思い出しても腹立たしい……自分を負かした奴等がこの世に存在するなど、許す訳にはいかない。許される筈がないのだ。
「し、死なん……!!お、俺は、俺は死なんぞ、カカロット、ベジータ……!!絶対に……絶対に貴様等を殺してやるっ!!それまでは、死ぬ訳にはいかんのだっ!!ぬぅおおおおおおおおおおおっ!!!!」
怒りのあまり、ブロリーは伝説の超サイヤ人に変身した。だが、そんなブロリーを嘲笑うかのように、ドス黒いオーラがその身を包み込むのだった……
※※※
「カ、カ……ロッ……ト……ベジー……タ……」
あれから、長い時が流れた。
ブロリーはもはや人としての原型を留めぬ程に肉体が崩壊しつつあったが、それでもブロリーは完全に死んではいなかった。
信じ難い事ではあるが、悟空とベジータへの殺意だけでどうにか命を繋ぎ止めていた。
もはや何故そこまで彼等を憎んでいるのかさえ思い出せないが、この二人への殺意だけは、決して消える事がなかったのだ。
とは言え、このままでは遠からずブロリーも限界を迎えるのは目に見えている。そして誰にも悟られる事なく、一人孤独にこの空間で消滅する事となるだろう。
そんな時だった。自分以外誰もいないこの場所で、誰かの声が聞こえたのだ。
この声……忘れる筈もない。幼い頃、自分を負かした……
「カ……カ、ロットォ……!!」
それだけではない。意識がはっきりしていくにつれ、遠い何処かから幾つもの忌々しい気を感じる。
一つは愚かにも自分を支配しようとした父親パラガスの物。
もう一つは、どういう訳か知らないが、自分とそっくりな気をしていた。いや、感じれば感じる程、自分の気としか思えない。こんな事があり得るのか?
……いや、これはやはり自分の気ではない。性質とでも言えば良いのか、この気の性質は自分の気とは真逆だ。自分の気であるのなら、このような暖かさなど感じる筈がない。
その違いを理解した時、ブロリーの心に更なる怒りの炎が燃え上がった。
自分と同じ……いや、それ以上の力を持ちながら、なんだ、この腑抜けた気は?自分にはこんな暖かさなど必要ない筈だ。
気に入らない……こいつもあの二人と同じく、存在しているだけで反吐が出る。この紛い物も、絶対に殺さなければならない。
やがて、崩壊を始めていたブロリーの肉体が再生を始める。原型を留めない程崩れていた筈なのに、信じられない速度で殆ど元と同じ……いや、それ以上の強さを持った肉体に再構築されて行く。
そして、遂にブロリーは見つけた。自分を最強の座から引き摺り下ろした、忌々しい男の気を。
「ベジータ……べジィィィィィィィタァァァァァァァァァァ!!!!!!」
怒りが頂点に達した事で、今までブロリーを蝕んできた邪悪な気が、ブロリーの体の中へと吸い込まれて消えて行く。
やがて肉体も完全に再生を終えると、ブロリーは一気に超サイヤ人3まで変身すると、僅か数センチ程の次元の裂け目を見つけた。どうやらあの隙間から、ここまであの声と気が届いていたらしい。
その裂け目を見て、ブロリーは口の端を吊り上げると、躊躇なく裂け目に向かってギガンティック・ミーティアを放つのだった……
※※※
「き、貴様は……!!」
悟空と第六宇宙のブロリーの間に生じた次元の裂け目。その中から出現した第七宇宙のブロリーの出現に、ベジータは身体を震わせていた。
「貴様は……あの時、俺がグモリー彗星と一緒に……!!」
ベジータの脳裏に、新惑星ベジータのて死闘が蘇る。あの時、確かにブロリーはグモリー彗星ごも消滅した筈だ。
しかしブロリーはそんな事知らんとばかりに無視し、まずはベジータを、次に第六宇宙のブロリーを、そして最後に悟空へと視線を移したかと思えば、地面を見下ろして口の端を吊り上げた。
「っ!!いけない!!」
「ぜ、全王様?」
全王が立ち上がり、声を上げた直後、ブロリーは躊躇なく地面に向かってギガンティック・ミーティアを放った。そして次の瞬間、試合会場となっていた星は跡形も無く消し飛んでしまった……
※※※
「こ、ここは……界王神界、か?」
「全王様が我々をここまで移動させてくれたのですよ。」
周りを見渡し、唖然としながら悟空はそう呟き、ウイスが全王によってここまで移動させられたと説明する。
すぐにベジータは周りを見渡すが、第六宇宙の面々も含め、第七宇宙のブロリー以外全員転移出来たようだ。
「ったく、なんなんだあいつ?急に現れたかと思えば星を消し飛ばずなんて。おかげで試合がパーだよ。せっかくこれから面白くなりそうだったってのに……」
悟空と第六宇宙のブロリーの試合が台無しにされたのが不満なのか、ビルスは不機嫌そうにしていた。何だかんだで弟弟子の試合を楽しんでいたようである。
「おい、ベジータ。先程の口振りからして、さっきの化け物が第七宇宙のブロリー……伝説の超サイヤ人で良いのか?」
「……ああ。まさかあの状況で生き延びているとは、完全に想定外だった。」
「で、でも、星を爆発させた以上、今ブロリーは宇宙に曝け出されてる訳ですよね?サイヤ人は地球人と同じく宇宙では活動出来ないし、もう死んでしまったんじゃ……」
「まだだよ、油断しないで。」
「全王様?」
「来る……!!」
全王が警戒心を露わにした直後、ベジータ達のすぐ近くで爆発が発生。そして次元の裂け目が発生し、その中からブロリーが飛び出して来た。
「ぶ、ブロリー!?」
「し、信じられない……この界王神界に、こうも簡単に侵入するなんて……!!」
(こいつ……まさか、瞬間移動のような能力を習得したのか……!?)
「クククク……フハハハハ!!アーハッハッハッハッハッハッハ!!!!」
高笑いしているブロリーに、ベジータ達が思わず冷や汗を流している。だがそんなブロリーの前に悟空が立ち塞がった。
「おい、お前。いきなり星を消し飛ばすなんて何考えてんだ?おかげで俺とブロリーの試合が台無しになっちまったじゃねぇか。」
「っ!!カカロット……!!」
「ん……?俺の事を知ってんのか?」
(そう言えばブロリーの奴がカカロットを恨んでいる理由については俺も知らんな。)
前の世界でもこの世界でも、ブロリーがどう言う経緯で悟空を恨んでいる理由については特に知る機会がなかったので、ベジータは内心首を傾げていた。
するとブロリーは邪悪な笑みを浮かべ、悟空に人差し指を向けた。
「カカロット……まずお前から血祭りにあげてやる……!!」
「へぇ……言ってくれるじゃねぇか。面白え。やれるもんならやって……」
「ちぇりゃぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「ぐおおおおっ!?」
「なっ、ベジータ!?」
悟空が好戦的な笑みを浮かべたその瞬間、超サイヤ人4ゴッドに変身したベジータがブロリーの胸部に全力の跳び蹴りを叩き込んだ。
その結果ブロリーは岩盤を五枚程貫通し、更に数キロ先の岩盤に巨大なクレーターを作りながら激突した。
「貴様にこれ以上成長する隙など与えんっ!!でりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃっ!!!!」
ブロリーがめり込んでいる岩盤目掛けて無数のエネルギー弾を連射するベジータ。
すぐに岩盤の方は耐え切れずに崩壊し、ブロリーも避け切れずに全弾直撃した結果更に後方の岩盤に叩きつけられてしまう。
「これで終わりだ!!今度こそ塵一つ残さずこの世から消え失せろっ!!ファイナルシャインアタァァァァァァァァック!!!!」
ダメ押しとばかりに、ベジータが必殺のファイナルシャインアタックを発射する。
岩盤にめり込み、身動きの取れない状態では避けようがなく、ベジータは勝利を確信していた。
その時、自らに迫り来る緑の光を見て、ブロリーの脳裏にかつて新惑星ベジータで敗れた屈辱の記憶が甦った。
「っ!!殺す……殺してやる!!殺してやるぞ、ベジータ!!ぬぅぅぅおおおおおおおおおおおーーーーーーーーっ!!!!!!!」
「な、何っ!?」
ブロリーの体内からとてつもないオーラが溢れ出し、迫り来る気功波を完全に防ぎ切ってしまう。
更にオーラの色が黄金からドス黒く変化を遂げ、界王神界の空も黒く染まって行く。
「この気……まさかブロリー、貴様!?」
ブロリーの放つ気が、今までとは全く別の性質の物へと変化した事に気づいたベジータは、無意識の内に後退ってしまう。
何故なら今のブロリーから放たれている気は、間違いなく、マイナスエネルギーだったからだ。
直後、ブロリーの全身が黒い光に包まれ、周囲に大規模な爆発を引き起こした。
「くっ!!な、何が……はっ!?」
ベジータが気がついた時には、目の前に赤い体毛に覆われた巨大な拳が迫っていた。油断したつもりは一切ない。爆発が起きた後も、ブロリーの動きは完全に捉えていた筈だ。それなのに……
「馬鹿な、俺の反応速度を超えっ……ぐあああああああっ!?」
横っ面に拳が叩き込まれ、悲鳴を上げながらベジータは地面に叩き落とされた。更にそのまま地面を抉るように突っ込んでいき、そのまま岩山に激突すると、崩壊した瓦礫に押し潰されてしまう。
「ベジータ!!あ、あれは……!?」
「フフフフフ……フハハハハハハハハハ!!!!アハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
「す、超サイヤ人4……い、いや、違う……何かが決定的に違う……!!」
黒い髪と赤い体毛、そして漆黒のオーラ……自分達とよく似てはいるが、全く別の超サイヤ人4に変身したブロリーに、流石の悟空も冷や汗を流していた。
「だぁぁぁぁぁぁっ!!」
岩山を吹き飛ばし、ベジータが悟空のすぐ隣に着地した。だが、超サイヤ人4にブロリーを見て目を見開いている。
「す、超サイヤ人4だと!?クソッ、可能性はあるかと考えていたが、まさか本当に変身しやがるとは……相変わらず存在そのものが出鱈目みたいな野郎だぜ……!!」
「ベジータァ……カカロットォ……そして、俺の紛い物……貴様等全員、血祭りにあげてやるっ!!」
「ほざけ!!超サイヤ人4になろうと、俺は負けん!!地獄に送り返してやるぞ、ブロリー!!」
一瞬にしてブロリーの眼前に移動すると、首に回し蹴りを放つベジータ。だが、ブロリーは全くダメージを受けていないようで、ニヤリと笑うと逆にベジータの足を掴み、空中まで投げ飛ばしてしまった。
「な、何ぃっ!?」
「ハーハッハッハッハッハ!!!!」
容赦なく、ブロリーは無防備なベジータの背中目掛けてイレイザーキャノンを放った。
しかし命中する寸前で割って入った悟空によって弾かれてしまう。
「大丈夫か、ベジータ!?」
「クッ……これくらいなんともない!!それよりカカロット、手を貸せ!!あいつだけは絶対に始末しなければならない!!」
「おう!!」
「フハハッ!!無駄な事を……!!屑が群れたところで……」
迫り来る悟空とベジータの拳がまともにブロリーの身体に直撃する。だが、それでもブロリーは全くダメージを負った様子はない。
今のブロリーにとって、二人の攻撃など避ける価値もないのだ。
「な、何っ!?」
「この俺にっ!!」
「グアアアアッ!?」
「カカロット!?」
悟空の腹部にパンチを叩き込み、遥か彼方の岩山まで吹っ飛ばしてしまうブロリー。そして今度はベジータを睨みつけた。
「勝てる訳がないのだ!!死ねっ!!!!」
「う、うおおおおおおおっ!?」
ゼロ距離でイレイザーキャノンの直撃を受けたベジータが、悟空と同じように遥か彼方の岩山まで吹き飛ばされてしまう。
悟空とベジータと言う第七宇宙屈指の戦力である二人を、この短期間でブロリーは纏めて叩きのめしてしまったのだ。
「そ、そんな……お父さんとベジータさんが……!?」
「し、信じられん、あの二人をこうまで容易く……」
そんなブロリーの恐ろしさに、悟飯やクウラ達も驚きを隠せなかった。それと同時に理解する。この男は確かに化け物だと……
「ベジータがあれだけ警戒するのも無理はない……まさかこの世にこんな化け物が存在していたとは……」
「……俺が化け物?違う、俺は悪魔だ……はははははははは!!!!」
自らを悪魔と呼び、何が面白いのかはわからないが、ブロリーは高笑いを始めた。だが、吹き飛ばされた悟空とベジータの気がまだ残っているのを感じ取ったのか、気分を害したように顔を歪めた。
「屑どもが……まだ生きていたか……!!」
二人が吹っ飛ばされた方角に向かって、ブロリーが気功波を放つべく腕を構えた。だが、その前に第六宇宙のブロリーの放ったブラスターシェルが直撃する。
「ん……?」
「それ以上はやらせん……!!」
「貴様……ククク……そうか、貴様から死にたいか。良いだろう、だったら先に貴様から消してやる、紛い物めっ!!」
「俺は……お前とは違う!!紛い物なんかじゃないっ!!」
黄金のオーラを全開にし、超サイヤ人4へと変身したブロリーに向かって行く第六宇宙のブロリー。そんな彼を歓迎するようにブロリーは邪悪な笑みを浮かべるのだった。
「……うーん……困ったね、こりゃ……ねぇウイス?」
「なんでしょう、ビルス様?」
「あいつ……後から現れた方のブロリーなんだけど、僕より強くない?」
「ええ、間違いなくビルス様を超えていますね。」
冷や汗を流しながらブロリー同士の死闘を眺めているビルス。信じられないが、今のブロリーはベジータどころかビルスさえ完全に上回っているようだ。
第六宇宙のブロリーも大した物だが、あれが相手では勝つのはどう頑張っても無理だろう。
何より、如何に力をコントロール出来るようになったとは言え、超サイヤ人である第六宇宙のブロリーに対し、第七宇宙のブロリーはマイナスエネルギーで強化された超サイヤ人4だ。
その力の差は歴然であり、第六宇宙のブロリーのどんな攻撃を受けても第七宇宙のブロリーは全くダメージを受けていなかった。
「うらぁっ!!!!」
「グオオッ!?」
腹部に拳を受け、たまらず蹲る第六宇宙のブロリー。
そこへ追撃のラリアットが放たれ、第六宇宙のブロリーは岩盤に叩きつけられてしまった。
「がはっ……」
「ククク……弱い、弱いなぁ……!!所詮はぬるま湯に浸かっているだけの偽者……この俺に勝てる筈もない!!」
「お、お前のような、悪魔と……一緒に、するな……!!」
「口だけは一丁前だな、偽者?まぁ良い。貴様の存在は目障りだ!!とっとと死ねっ!!」
「ブロリー!?や、やめろっ!!」
息子の危機を前に我慢出来なくなったのか、飛び出したパラガスが第七宇宙のブロリーに気功波を浴びせた。
しかし当然ながら無傷であり、第七宇宙のブロリーはただ鬱陶しそうにパラガスを見下ろした。
「この屑がそんなに大事か、親父……いや、パラガス?」
「当然だ!!子供を大事に思わない親が何処にいると言うんだ!?」
「そうか、そんなに大事か……なら貴様から消してやる!!」
「っ!?や、やめろ!!父さん、逃げろ!!」
パラガスを消し去らんと、左手を翳す第七宇宙のブロリー。だがその時、時飛ばしを発動したヒットの猛攻が第七宇宙のブロリーに直撃し、彼を吹っ飛ばした。
「グッ……!?」
「孫悟飯!!」
「任せろ!!かめはめ波っ!!!!」
吹っ飛ばされた第七宇宙のブロリー目掛けて、究極超サイヤ人4に変身した悟飯が全力のかめはめ波を放つ。だが、その必殺の一撃さえも、ブロリーは腕を軽く振るうだけで弾いてしまった。
「そんな……!?」
「貴様、カカロットの息子か……?フ、フフフ……よし、貴様の首を引きちぎり、カカロットに見せてやるとしよう……!!」
「させん!!」
「邪魔だ、ゴミが!!」
再度時飛ばしを発動したヒットだが、もはやブロリーには通用せず、停止時間に割って入ったブロリーのパンチを受け、一撃で戦闘不能まで持って行かれてしまった。
「ガハッ……!?」
「ヒット!!はっ!?」
「貴様も死ぬが良いっ!!」
一瞬で距離を詰めたブロリーが、悟飯の頭を鷲掴みにすると、急降下して地面に叩きつけた。
そのまま悟飯は気を失ってしまったようで、究極超サイヤ人4も解除されてしまう。
「まずは一匹……!!」
悟飯にトドメを刺すべく、ブロリーは拳を振り翳した。だが、そんな彼の背中に三つの気功波が直撃する。
振り返ってみれば、レッドとクウラ、そして第六宇宙のブロリーがこちらを睨みつけていた。
「調子に乗るなよ、化け物が!!」
「貴様のような化け物を放置する訳にはいかん……ここで破壊させて貰うぞ!!」
「お前は……俺達が止める!!」
「フハハハ!!大人しく隠れていれば痛い目を見ずに済んだ物を……さぁ来い!!ここが貴様等の死に場所だぁっ!!」
高笑いしながら三人を迎え撃つ第七宇宙のブロリー。
全王はその戦いを暫くの間じっと見つめ、やがて意を決したように顔を上げると、指を鳴らすと悟空とベジータの二人をすぐ近くまで転移させる。
更に手を翳すと、重傷を負っていた二人を一瞬にして治療してしまった。
「うっ……こ、ここは……って、ぜ、全王様!?」
「うん。君達の子供達みたいに全ちゃんって呼んでくれて良いのね。」
「い、いや、流石にそれは……全王様が助けてくれたんですか?」
「そうなのね。で……君達に聞きたいんだけど、このまま戦って、彼に勝てそう?」
全王の問いに、悟空とベジータも悔しそうな表情を浮かべながら顔を逸らしてしまう。
確かに全王のおかげで傷は癒えた。しかもどう言う訳か消耗したサイヤパワーも回復している。だが……
「……無理だ。さっきと同じ事の繰り返しになるだけだろう……」
「……そう、だな……あいつ、オラ達の完全に上を行っちまってる……下手したらビルス様以上かもしんねぇ……」
「そっか……じゃあ合体するしかないね。それでも無理そう?」
「へっ?……あっ、そっか!!フュージョン!!フュージョンがあったぞ、ベジータ!!」
「むっ……そ、そうか。確かにフュージョンさえすれば、勝ち目は十二分にある……!!みっともなくて嫌だが、ブロリーが相手では仕方ないか……」
全王のおかげでフュージョンを思い出したのか、悟空とベジータの表情に光が戻る。しかしここで悟空はある疑問を覚えたのか、全王に目を向けた。
「なぁ……じゃなくて、全王様。全王様が自分から戦えば、ブロリーでも簡単に倒せるのでは?」
「……ごめん。僕は今、出来る限り力を使いたくないんだ。来るべき災厄に備えなくちゃならない。」
「さ、災厄?」
「本当なら、僕やビルスがどうにかすべきなんだ。でも、どうしても今は力を使う訳にはいかない。だから……ごめん、君達に頼る事になってしまって……」
心から申し訳なさそうに頭を下げる全王に、悟空とベジータも唖然とする。てっきりビルスのように面倒だからお前等がやれとでも言われるのではないかと思っていたが……
「……フン、別に謝罪など不要だ。あの化け物にやられっ放しなのも気に食わんしな。」
「へへっ、そうだな……一対一で勝てねぇのは悔しいけど、このまま殺されちまうよりはずっと良いさ。」
「……ありがとう、二人とも。お礼って訳じゃないけど、君達の面倒を見て貰えないか、大神官に頼んでみるのね。」
「大神官?」
「その話は後でするよ。さぁ、早速フュージョンを!」
「おう……じゃなくてはい!!ベジータ!!」
「言われんでもわかっている!!やるぞ!!」
横へ飛び、フュージョンのポーズを取れる出来るだけの間隔を開けると、二人はそれぞれ両手を左右に広げた。
「フュー!!」
「ジョン!!」
「「はぁっ!!」」
掛け声と共に悟空とベジータは互いの人差し指をくっつける。すると悟空は橙色の、ベジータは青色の光となり、二つの光は螺旋を描くように激しく回転し、やがて一つとなり、周囲を眩い光で包み込んだ。
そして光が晴れるとオレンジと黒の服と青い帯、そして白のズボンを身に纏った黒髪の戦士、ゴジータがその姿を現した。
「一発で成功したようだね。安心したよ。」
「こんなヤベェ状況で失敗なんてしてられねぇよ。さて……行くか!!」
瞬間移動を発動し、一瞬で姿を消すゴジータ。
その頃第六宇宙のブロリーとレッド、クウラはいよいよ第七宇宙のブロリーにトドメが刺されそうになっていた。
「さ、三人掛かりでこれとは……!!」
「破壊神の力も通用せんとは……あ、悪魔なんてレベルじゃないぞ、こいつは……!?」
「ククク、よく頑張ったがとうとう終わりの時が来たようだな……消えろっ!!」
三人に向けて、トドメのギガンティックミーティアを放つブロリー。その時、彼等の目の前に瞬間移動して来たゴジータが手刀でギガンティックミーティアを弾き飛ばし、遥か上空で大爆発を起こした。
「何っ!?」
「へっ、なんとか間に合ったようだな。」
「お、お前は……カカロット、いや、ベジータ……?」
「いや、その姿は……フュージョンか!?」
「フュージョンだと?あのダサくて有名な!?よ、よくベジータがする気になったな……」
この場で唯一ゴジータの姿を知っているクウラは、即座に二人がフュージョンしたのを察したようだ。一方レッドは唖然とし、第六宇宙のブロリーは頭に?マークを浮かべている。
「三人とも、その傷じゃそれ以上は戦えねぇだろう。俺に任せてくれ。」
「勝てるんだろうな?」
「はっ、誰に言ってやがる。」
不敵な笑みを浮かべながらゴジータはそう呟いた。クウラとしても、こいつで勝てないなら誰でも勝てそうにないと理解しているのか、すぐに悟飯とヒットを連れて撤退する。
「誰だ、貴様は?」
「俺は悟空でもベジータでもない……俺は、貴様を倒す者だ。」
「倒す?この俺を?ククク……雑魚どもがいくら力を合わせたとて、この俺には勝てぬぅっ!!!!」
「そいつはやってみなきゃわかんねぇぜ。」
「そんなに寝言が言いたいのなら、永遠の眠りをくれてやる!!殺してやるぞ、ベジロットォ!!!!」
「ベジロットじゃなくてゴジータだ……まぁ良い。来いっ!!」
漆黒の気を全開にして、ゴジータへと突撃するブロリー。
今ここに、本当の最終決戦の幕が切って落とされた……