ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ 作:ゴロリコン
ここは平和な地球のサダラ農園。今日もラディッツとナッパ、ヤムチャ、そして我等が孫悟空(分身)は朝早くからここで働いていた。
するとその時、突然シュンっと瞬間移動の時と似たような音が鳴り響いた為、ラディッツ達が慌てて振り向くと、そこには全王と何故か落ち着かない様子のザマスが立っていた。
「やあ、朝から精が出るね。」
「あんたは……全王様!?」
「それに確かオラの本体にぶちのめされたザマスって奴も……」
「い、いったい何故全王様がここへ……!?」
突然の全王の来訪にラディッツ達は冷や汗を流していた。一方ザマスは未だ落ち着かないようで、チラチラと全王に視線を送りながら小声で話しかけた。
「な、なぁ全ちゃん……やっぱり考え直さないか?俺、配達の仕事なら自信あるけど畑仕事は……」
「そういう求人は無かったから諦めるのね。そもそも君、運転免許持ってないでしょ。」
「うっ……」
「……え、えっと、全王様、な、何故ここへ……?わ、我々に何かご用でも……?」
一同を代表して、ラディッツが全王へと問いかけると、全王はにっこりと笑みを浮かべてラディッツを見上げた。
「うん、実は君達にお願いがあってね。」
「お、お願い、ですか……?」
「そう警戒しなくても良いのね。それに君達にも得がある話だし。」
「は、はぁ……そ、それでお願いとは?」
「うん、彼……ザマスを社会復帰の一環としてここで雇ってあげて欲しいのね。」
「へ?」
この日、サダラ農園に新たな従業員が加わるのだった……
※※※
「死ね、サイヤ人っ!!」
憎悪に満ちた眼でトランクスを睨みつけながら、マイがナイフを振り下ろす。しかしそれよりも早くベジータが気功波を放ち、マイの手からナイフを弾き飛ばした。
「ぐっ!?」
「ま、マイ!?」
「トランクス!!とっととそいつから離れろ!!」
「ま、待ってください父さん!!マイ、これはいったい何の……」
「触るな、猿め!!みんな、サイヤ人だ!!サイヤ人が出たぞっ!!」
トランクスの腕を払いのけ、距離を取ると周りに向かって叫び出すマイ。すると通行人達は一斉に足を止めてベジータ達を睨みつけた。
「見ろ、トランクスだ……!!」
「じゃあ周りの二人もサイヤ人か……!?」
「忌々しい猿どもめ……!!」
「み、みんなまで、い、いったいどうしたって言うんだ……!?」
「くたばれ、猿!!」
「ちぃ!!」
数人の男が鉄パイプを構え、トランクス達へ襲い掛かる。すかさずベジータが加減した気功波で全員吹き飛ばすが、それを見た住民達はより憎悪を露わにし、更に多くの人間達が石を投げたり鉄パイプ等で武装し、罵声を飛ばしながらトランクス達へ襲い掛かった。
「み、みんなやめてくれ!!俺だ、トランクスだ!!」
「黙れ、疫病神の猿野郎が!!」
「てめぇ等サイヤ人さえいなければ!!」
「トランクス、退くぞ!!」
「し、しかし!?」
「何があったのかは知らんが、今のこいつ等に何を言っても無駄だ!!」
「っ……」
「二人とも、目ぇ瞑ってくれ!!太陽拳っ!!」
「「「うぎゃぁぁぁぁぁ!?」」」
二人に合図を送った直後、悟空が暴徒達に向かって太陽拳を発動する。これには貯まらず暴徒達も悲鳴を上げながら目を抑えて蹲ってしまった。
「今の内だ!!」
「ああ!!行くぞトランクス!!」
「は、はい!!」
タイムマシンをカプセルに戻すと、ベジータ達は一目散にその場から逃げ出して行った。
※※※
「ここならそうそう見つからないだろ……トランクス、でぇじょうぶか?」
「は、はい……マイ、みんな……どうして……」
仲間達の豹変に、流石のトランクスもショックを隠し切れていないようであり、流石の悟空もどう声をかけていいのか分からないようだった
だがベジータはただ一人、この状況に覚えがあった。実際に自分が体験した訳ではないが、今の状況と似たような状況を経験したと、前の世界で"カカロット"とその孫のパンが言っていた筈だ。
あれはそう、超ドラゴンボール使用の副作用で地球が爆発した後、ナメック星のポルンガによって再生し、ツフル星から帰還した後に開かれたパーティの時……
※※※
『いやぁ、しっかしこんけぇは今までにねぇくれぇてーへんな目に遭ったなぁ!!
『本当よ!!パパもママもお婆ちゃんも悟天おじさんもすっごく怖い顔してるし、しかもパパと悟天おじさんは殺そうとしてくるし!!私とお爺ちゃん以外みーんな敵になっちゃったのかと思ったわ!!』
呑気にナハハと笑う悟空の横で、孫娘のパンは凄く不機嫌そうにジュースを飲んでいた。そんなパンに対し悟飯達は何も言い返す事が出来ないようだった。
如何に操られていたとは言え、実の両親や祖母、叔父から殺意を向けられたパンのショックは相当大きいだろうし、悟飯達もかなりの負い目を感じている為、ただひたすら頭を下げてばかりであった。
まぁ悟空は特に気にした様子もなく、いつも通り呑気に笑っていたのだが……
『にしてもよくもまぁ……そんな世界全てが敵になったような状況で無事だったわね、あんた。』
『ははは、こんけぇばっかしは流石にもう駄目かと思ったけどな!!』
『そんなに酷かったんですか、お父さん?』
『おう。パンとサタンとブウ、ウーブと界王神様達いげぇはみーんなオラ達の事敵視してたかんなぁ……流石にオメェ等にああいう顔されっと、心に来るもんがあったぞ。』
『悟空さ……』
『……フン、だがそのおかげで貴様は超サイヤ人4になる事が出来たんだろうが。』
『あっ、ベジータオメェそんな事言うんか?……まっ、確かにベジータがベビーに乗っ取られてくれなかったら、超サイヤ人4にはなれなかったかもしんねぇなぁ?』
『なっ!?き、貴様ぁ!!その話を持ち出すとは、喧嘩を売っているのか!?』
『先に売って来たのはベジータの方じゃねぇか!!』
『上等だ、今日こそ決着をつけてやる!!』
『よし、いっちょやっかぁ!!』
『こらぁ!!喧嘩するなら外でやりなさーい!!』
※※※
(そうだ……この状況、"カカロット"とパンが話していた状況とこの上なく酷似している。)
そう、親しい者達から突然殺意を向けられ、世界中が敵に回ったように感じるこの状況……前の世界で悟空とパンが話していた、地球がベビーに支配された時に酷似していた。
(この時代からして、ベビーが既に完成していたとしても何等不思議はない……もしかすると……)
「……?ベジータ、なんか気になる事でもあるんか?」
「……もしかすると、この状況を作り出した犯人がわか……っ!?」
台詞の途中、ベジータはこの場に凄まじいスピードで接近する大きな気を感じ取った。それは悟空とトランクスも同じようで、警戒心を露わにして空を見上げている。
「な、何か大きな気が近付いてくる……ゴクウブラックか!?」
「いや、ブラックよりも気がずっとでけぇ……!!」
「来るぞ!!」
ベジータが叫んだ直後、三人の前に一人の男が現れた。その男は孫悟空……いや、ゴクウブラックに酷似した外見をしていた。だが、彼と違い髪は白く染まり、額と顎、そして眼球に赤い線が浮かんでいた。
「ククク……俺の庭へようこそ、サイヤ人どもよ。」
「貴様……ゴクウブラック、なのか……!?」
「ぶ、ブラック……ブラック、オメェ……!!」
何故か目の前の男を見てプルプルと震えている悟空。そして男を指差すと……
「お、オメェ……あ、あれからまだそんなに経ってねぇのに、髪の毛がぜーんぶ白髪になっちまってるぞ!!ゴクウブラックじゃなくてゴクウホワイトになったんか!?」
などと震えながら口にするのだった。そんな悟空にベジータとトランクスはポカンとし、すぐにずっこけてしまった。
「ば、馬鹿か、貴様は!!何をどうしたらそんなおかしな感想が出てくるんだ!?」
「ご、悟空さん、それは流石に……」
「い、いや、だってよぉ……」
「……き、聞いていた以上に変わった男のようだな、孫悟空。」
目の前の男もあまりにズレた悟空の反応に、冷や汗を流しているようだった。
そしてベジータは咳払いをし、改めて男を見上げると、その姿と先程の声を思い出し、男の正体が誰であるか確信したようだ。
「チッ……まさか本当に貴様がこの時代の地球に来ているとはな。忌々しいツフル人の寄生虫が……!!」
「ほう……そう言えば、貴様は別世界の俺に乗っ取られた事があったんだったな?クックック、なるほどなるほど。流石は経験者なだけはある、俺が誰なのかすぐに理解したか。」
嘲笑するようにベジータを見下ろす男に対し、ベジータは額に青筋を浮かべ、全身から殺気を醸し出しながら睨みつけていた。
「と、父さん、いったいどう言う事ですか!!奴はブラックではないのですか!?」
「肉体の方は以前俺が叩きのめしたブラックである事は間違いない。だが中身は違う。」
「中身?」
「奴の名はベビー……かつてサイヤ人が滅ぼしたツフル人が生み出した、寄生生物だ。」
「き、寄生生物って……じゃあブラックはそのベビーとやらに乗っ取られたって事ですか!?」
「間違いなくそうだろうな。そして奴は単純に乗っ取る以外にも、一度寄生した相手に卵のような物を植え付ける事が出来る。」
「た、卵?」
「そうだ。その卵が孵れば最後、ベビー本体が寄生していなくとも、奴の忠実な奴隷に変えられてしまう。先程街の連中が俺達を敵視していたのは、それが原因だろう。」
「っ!!き、貴様……貴様がマイ達を洗脳したと言うのか!?」
「ふふふ……だったら何だ?下等な地球人如きを栄誉あるツフル人の一員に加えてやったんだ。むしろ感謝して貰いたいな。」
「きっさまぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
あまりの物言いに激怒したトランクスは、一瞬で超サイヤ人ブルーへと変身し、ベビーへと殴り掛かった。だが、突如ベビーとトランクスの間に割って入った青年がトランクスのパンチを押さえてしまった。
そして、トランクスはその者の顔を見て、驚愕のあまり硬直してしまう。
「なっ……」
「あ、あいつは……まさか!?」
「ご無事ですか、ベビー様?」
「フッ、よくやった。それでこそ俺の最も忠実な僕だ、孫悟飯。」
なんと、ベビーとトランクスの間に割って入ったのは、ゴクウブラックと同じ格好をした孫悟飯だった。
それも悟空達の知る悟飯ではなく、トランクスの師であり、この世界では既に命を落としている筈の悟飯だったのだ。
「ご、悟飯、さん……?」
「……ふふふ、久しぶりだな?トランクス。」
「う、嘘だ……だって、悟飯さんはあの時……!!」
「トランクス!!避けろっ!!」
「がはぁっ!?」
現実を受け止め切れず、身体を震えさせていたトランクスに対し、悟飯は容赦なく膝蹴りを浴びせると、そのまま頭部にエルボーを食らわせ、トランクスを地面に叩き落とした。
「トランクスっ!!」
「おっと!!」
トランクスを助けに行こうとしたベジータの前に、ベビーが瞬間移動して立ち塞がった。
「貴様……そこを退け!!」
「せっかくの師弟再会だと言うのに、無粋な真似をするなベジータ。父親らしく黙って息子を見守ってやったらどうだ?」
「退けぇぇぇぇっ!!!!」
怒りを爆発させ、超サイヤ人4へと変身するベジータ。それに対しベビーはニヤリと笑うと、超サイヤ人ロゼに変身した。
「ベジータ!!トランクス!!」
「貴様の相手は私だ!!」
「っ!?」
ベジータとトランクスを援護しようとした悟空に対し、突如気功波が放たれる。
その気功波自体は軽く弾く事に成功したが、打ってきた相手の顔を見て悟空は目を見開いた。
「お、オメェ……ザマス……!?」
「クックック……初めまして、孫悟空。あの負け犬をとち狂わせたその力、見せて頂きましょうか?」
ドス黒いオーラを解き放ち、右手に気の刃を纏うと、ザマスは悟空へと襲い掛かった。
一方、トランクスは悟飯の猛攻の前に、成す術もなく追い込まれていた。
「ぐっ、ごほっ、がはぁっ!?な、何故……何故なんですか、悟飯さん!?まさかベビーに操られて……」
「生憎だが、俺は操られてなんていない。ただ気付いただけだ。」
「き、気付いた!?何にです!!」
「お前に何かを期待するのが、如何に愚かで無意味な行為だったのかに、だ。」
「っ!!そ、そんな……」
「せりゃぁっ!!」
「ぐはぁっ!?」
とてつもないショックを受けて固まるトランクスに、容赦なく回し蹴りを浴びせる悟飯。
そして痛みに苦しんでいるトランクスを見下ろしながら、両腕を合わせると腰に引き、気を球状に収束させて行く。
「せめてもの情け……この俺の手で、お前の苦しみに満ちた一生の幕を閉じ、ここに墓を立ててやろう。それが師としてお前にしてやれる、最後の事だ。」
「ご、悟飯、さん……!!」
「さらばだ、トランクス!!波ぁぁぁああああああああ!!!!」
両腕を前に突き出すのと同時に、極太のエネルギー波がトランクスへと解放される。そしてトランクスは、唖然としながらその光の中に飲み込まれて行くのだった……