ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ 作:ゴロリコン
「ふんふんふ〜ん♪」
ここは平和な地球……そしてとある田舎道を、ザマスは鼻歌を歌いながらトラックを運転していた。
全王様の紹介もあってサダラ農園に就職した彼はあの後普通免許は勿論大型免許も取ったようで、現在は配達している最中だったのだ。
「今日は待ちに待った給料日……みんなと飲みに行くのが楽しみだなぁ……っと、この前みたいに羽目を外して使い過ぎないよう気をつけないと。ハ◯ロクも買いたいし……ん?」
仕事後に飲みに出かけるのを楽しみにしていたザマスだったが、前方に手を振っている人物を発見した。よく見てみると車が脱輪してしまったようで動けなくなってしまったようだ。
「どうした、大丈夫か?」
「すみません、車が嵌って動けなくなってしまって……少し手伝って頂けませんか?」
「ああ、構わないぞ。困った時はお互い様だからな!!」
快く引き受けたザマスは、特に疑う素振りも見せず脱輪した車を持ち上げようと近付いた。だが、その瞬間男はニヤリと笑うと、ザマスの背中にマシンガンを突きつけた。
「ん?」
「へっへっへ、馬鹿な野郎だ!!さぁ、手ェ上げて金目のもん全部置いてきな!!でねぇと蜂の巣にしてやるぞ!?」
「……あー……これはあれか。強盗って奴か……はぁ、こんなど田舎でよくやるもんだよ全く……お兄さん達、馬鹿な事やるもんじゃないよ。今なら見逃してあげるからさ、引き返すつもりはない?」
「うるせぇ!!言う事聞かねえつもりならテメェを血祭りに上げてやるぜぇ!!」
「はぁ……仕方ないなぁ……俺、喧嘩とか嫌いなんだけど……」
〜数分後〜
「あっ、もしもし悟飯君?いや、今強盗に襲われてさ。えっ?いやいや、流石に殺したりなんてしないよ。悟飯君って確かグレートなんとかってヒーローやってたんでしょ?俺の代わりに警察に突き出しておいて欲しくて……えっ、引退したの?なんで?」
ボコボコに叩きのめされて気絶している強盗達の上に座りながら悟飯に電話しているザマス。どうやら彼は何やかんや上手く地球でやって行けているようだ。
そして悪人とは言え命を奪わなかったザマスの姿に、天界からこっそり様子を見ていたかつての師であるゴワスは涙を流して喜んでいたそうな……
※※※
「さらばだ、トランクス!!波ぁぁぁああああああああ!!!!」
悟飯の両腕から、とてつもないパワーのかめはめ波が放出され、トランクスを消し去らんと突撃する。
そしてトランクスは唖然としながらその光の中に飲み込まれた……かに思われた。しかし……
「…………はぁぁぁぁぁぁ……でやあああああああっ!!!!」
「っ!!何……!?」
全身を眩い青色のオーラで包み込んだトランクスが、真正面から悟飯のかめはめ波を受け止めていた。
そして、更にパワーを高める事で、完全にかめはめ波を弾き飛ばし、遥か遠方で大爆発を起こした。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!!」
「……愚かだな、トランクス。今ので死んでいれば、これ以上余計な苦しみを味わわずに済んだ物を……」
「悟飯さん……目を……目を覚まして下さい……!!あいつの、ベビーの言いなりになんてなっちゃ駄目だ!!」
「しつこいぞ、トランクス。俺は洗脳などされていないし、目など最初から覚めている。」
「なら悟飯さんは、あいつのやっている事を認めるって言うんですか!?あいつは地球のみんなを洗脳して、自分の奴隷にしているんですよ!!」
「だからなんだ?一体それの何が悪いと言うんだ?」
「なっ……」
「聞こえなかったか。ベビー様が地球のみんなを洗脳したとして、それの何が悪いと聞いているんだ。」
地球人全てを洗脳した事に対し、少しも罪悪感や嫌悪感を感じていない悟飯の姿に、トランクスは言葉を失った。そんなトランクスに構わず、悟飯は言葉を進めていく。
「確かにベビー様によって地球のみんなの意識は書き換えられ、忠実な僕になった。だが、それの何が悪い?地球は今後、ベビー様の管理下に置かれる事になるが、その代わりにありとあらゆる脅威からベビー様に守って頂けるのだ。実際、ゴクウブラックの脅威から皆を救ったのはお前ではなくベビー様なんだぞ?」
「だ、だからってみんなを操るだなんて!!」
「だが、平和は平和だ。地球人ではなくツフル人としての物だとしても、ベビー様の支配を受け入れれば、それだけで地球の皆が求めて止まなかった平和な世界が訪れるんだ。それはそんなにもいけない事なのか?」
「それ、は……」
「そもそもお前に、ベビー様を批判する資格があるとでも思っているのか?人造人間からも、そしてブラックからも、一人では何も守り切れなかった弱虫の分際で。」
「っ!!」
「ベビー様は形はどうあれ誰もが笑顔で安心して暮らせる世界をこの地に齎した。だがお前はどうだ?人造人間どもも一人では倒せず、ゴクウブラックには手も足も出ず、世界はあの様だ。ここでベビー様の支配から地球を解放した所で、お前がベビー様以上に地球を良くして行く事が出来るとは到底思えないな。」
「うっ……」
その言葉に、トランクスは言い返すことは出来なかった。みんなを洗脳したベビーを認めることなど到底出来ない。だが、ブラックと言う脅威を取り除き、どうやったかは知らないが世界をここまで復興したのは紛れもなくベビーなのだ。
それに比べて自分はどうだ?確かに人造人間を倒す事は出来た。だがそれは過去の世界で父に鍛えて貰ったからであって、自分一人の力ではない。
そしてその力を持ってしても界王神を救う事は出来ず、ブラックを倒す事は出来なかった。
「だが、ベビー様はお前とは違う。ゴクウブラックのような脅威だろうと、ベビー様ならば打ち破る事が出来る……いや、それどころかその脅威さえ忠実な部下にする事が出来るんだ。ただ支配を受け入れるだけでそれ程の力の庇護下に置いて頂けるのならば、その方がずっと皆の為になると思わないか?」
「…………」
「どうしても納得出来ないと言うのなら、そうだな……トランクス、お前も俺達の同志となれ。」
「ど、同志……?」
「そう、サイヤ人としての己を捨て、ベビー様の忠実な奴隷となるのだ。何、ベビー様はとても慈悲深い御方だ……お前が心を入れ替え、忠誠を誓うのならば、きっと部下に迎え入れてくれる事だろう。そうすれば、また俺と一緒に戦う事が出来るぞ?ベビー様の支配する、ツフル人の世界の為にな。」
「悟飯さんと……一緒に……」
「そうだ。さぁ、俺の手を取れ、トランクス!!」
トランクスに対し、右手を差し出す悟飯。暫しの間トランクスはじっとその悟飯の手を眺めていたが、視線を悟飯に移し、不意に口を開いた、
「……悟飯さん。貴方はさっき、自分は洗脳されている訳ではないと言った。それは本当ですか?」
「ああ、本当だとも。俺は自分の意思でベビー様に忠誠を誓っているんだ。」
「そうですか……なら、これではっきりした。貴方は……いや、お前は悟飯さんじゃない!!」
「何?」
差し出されていた手を払い退けると、トランクスは後方に飛び退き、剣を抜いてその切先を悟飯へと向ける。
「悟飯さんはいつだってみんなの自由と平和の為に戦っていた……どんな時だって、未来への希望を捨てたりしなかった!!その悟飯さんが、みんなの自由を奪い、誰かの独裁を許すような事を言う筈がない!!お前は……お前は悟飯さんの名を騙る偽者だっ!!」
「……ふっ……クククククク……ハーハッハッハッハッハッハッハ!!!!なるほど、師弟の絆とやらか?だが残念だったな。確かに俺はお前の知る孫悟飯とは別人だ。だが……この肉体は紛れもなく、お前の知る孫悟飯の物なのだよ。」
「肉体は、だと!?まさかベビーのように悟飯さんの身体を乗っ取ったと言うのか!!」
「さぁ、どうなんだろうなぁ?知りたいなら聞き出してみせろ。」
「言われるまでもない!!お前達を倒して、悟飯さんも、世界中のみんなも解放してみせる!!」
「ククク、お前に出来るなら、な……!!」
トランクスは青色のオーラを、悟飯……いや、ゴハンは黒いオーラを解放し、激しい戦闘を開始した。
その頃、悟空は超サイヤ人3に変身し、黒いオーラを纏ったザマスと互角の勝負を繰り広げていた。
「……驚いた。オメェオラ達の世界のザマスより随分つええな?」
「そう言う貴様こそ、想定以上の強さだ。あの負け犬があそこまで拗らせたのも納得が行くな。」
「負け犬……さっきもそんな事言ってたな。いったい誰の事だ?」
「フッ……そう言えば、貴様等は奴の正体を知らなかったな。良かろう、教えてやる。私が口にした負け犬とは、貴様等の言うゴクウブラックの正体……こことも貴様等の世界とも違う世界からやってきた、愚かな界王ザマスの事だ。」
「なっ……ち、違う世界のザマスだって!?」
「奴は……かつての私もそうだったが、愚かな争いばかりを繰り返す人間に強い不信感を持っていた。そんな中、ある日突然ゴワスの下を訪ねて来た孫悟空、貴様に敗れたのだ。その結果奴は人間への敵意と憎悪を爆発させる事となった。」
(そっちの世界のザマスは記憶喪失にならなかったんか……)
なんか色々とはっちゃけている自分の世界のザマスを思い出し、悟空は冷や汗を流していた。
「その後奴は超ドラゴンボールの存在を知り、それを集め、ゴワスを殺害した後にある願いを叶えた。その願いこそが……」
「オラの身体を奪い取る……って事か?」
「正確に言うのなら、肉体の入れ替えだな。まぁ貴様からしてみれば同じような物ではあるが。その後奴はゴワスから奪った時の指輪を使い、この世界へとやって来て、この世界のゴワスを殺害した後、かつての愚かだった私と手を組んだと言う訳だ。」
「ええと、つまりオラの身体をまずザマスが奪って、その後にあのベビーって奴がザマスからオラの身体を奪ったって事か?」
「その通りだ。」
(な、なんでどいつもこいつもオラの身体ばっか狙うんだ?き、気持ち悪りぃ奴等だなぁ……どうせ狙うんならベジータの身体狙えば良いのに……)
別世界とは言え、ザマスにベビーとやたら変な相手にばかり自分の身体が狙われている事にドン引きしている悟空。
まぁ別の世界じゃギニューにボディチェンジされたりドクターウィローに狙われたりしているので、確かによく狙われる肉体ではあるのが辛い所である。
「ザマス……だとややこしいな。ブラックの奴はオラの身体を奪って何をするつもりだったんだ。」
「人間0計画……全ての宇宙から人間を抹殺する計画だ。この世界でその計画を実行していたのは、魔人ブウの一件で第七宇宙の界王神が死んだ事で、同時に破壊神ビルスが死んでいたからだ。」
「へー……界王神様が死んじまうとビルス様も死んじまうんか……」
「私もかつてはブラックの思想に賛同し、人間0計画を遂行していたが……今にして思えば、あのような下らん計画に加担していたなど、恥辱の極みだ。だが私は、ベビー様と出会い、真に進むべき道を……神も人も、ありとあらゆる生命が幸福になる事の出来る、最高の計画を示して頂き、生まれ変わる事が出来た。」
「なんだそりゃ?」
「全次元ツフル化計画……この世界や貴様の世界を含めた全ての世界の人間をツフル人化し、ベビー様の支配下に置く素晴らしい計画だ。ベビー様と言う絶対的支配者の管理下に置かれてこそ、全ての世界の人々は下らない欲望を捨て、争う事もなく、清く正しく生きる事が出来るのだ。」
その計画を聞いて、悟空は「どっちも碌でもねぇ計画じゃねぇか……」と思った。
全ての宇宙の人間を滅ぼす計画など以ての外だが、全ての宇宙どころか全ての世界の人間を支配するなど、ある意味ではブラック以上に狂っているとしか思えない計画だ。
どうやって他の世界にまで手を出すつもりなのかは知らないが、あれだけ自信満々に語っているのを見るに、その為の手段があると見て間違いなさそうだ。
ならば、悟空が取るべき道は一つしかない。
「オラには難しい話はわからねぇけどよ……一つだけよーく理解出来たぜ。オメェ等は何としてもここでやっつけなきゃならねぇって事がな!!」
「フン、所詮は野蛮なサイヤ人の猿……ベビー様の崇高なる計画を理解出来よう筈もない。今ここで駆除してやるぞ、孫悟空!!」
「そうは行かねぇな……確かにオメェはオラ達の世界のザマスよりずっとつええけど、それでもオラには勝てねぇ!!」
「減らず口を……!!」
「はぁぁあああああ……!!!!」
「っ!!そ、孫悟空の気が……!?」
「でやぁぁぁああああああーーーーーっ!!!!」
悟空が気を解放した事で周囲を閃光が包み込み、その衝撃波をもろに受けてザマスは吹き飛ばされる。
そして光が晴れた時、悟空は超サイヤ人4へと変身を遂げていた。
「そ、その姿は……!?」
「こいつは超サイヤ人4……気ぃつけな。さっきまでの俺とは次元の違う強さだぜ……?」
「フン……それがどうした、猿めっ!!」
悟空の視界からザマスの姿が消えると、一瞬にして背後にザマスが現れ、黒い気を纏った手刀を悟空の首へと振るう。
だが、手刀が直撃したにも関わらず悟空は無傷であり、何事もなかったかのようにザマスの方へと振り向いた。
「なっ……き、効いていないだとぉ!?」
「悪りぃが、これ以上オメェに時間を掛けるつもりはねぇんだ。一気にケリぃ付けさせて貰うぜ……はぁっ!!」
「ぐおおおおっ!?」
悟空の右手から放たれた気合砲によりザマスはグルグル回転しながら空高くに吹き飛ばされた。
どうにか体制を整えた時には既に悟空は目の前に迫っており、腹部に膝蹴りが叩き込まれた後、間髪入れずにアッパーが顎に直撃し、更に空高くまで打ち上げられた。
そして悟空は一気にザマスにトドメを刺すべく、黄金の気を収束した右腕を振り翳す。
「龍拳・爆発ぅぅぅぅーーーーー!!!!!!」
悟空が右腕を振り上げた瞬間、膨大な量の気が放出され爆発が起きる。そしてその爆風を切り裂くようにして現れた黄金の龍がザマスへと突撃し、その腹部を貫通した。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!???」
「これでトドメだ!!10べぇ!!かぁぁぁ……めぇぇぇ……はぁぁぁ……めぇぇぇ……!!波ぁぁぁあああああーーーーーーーっ!!!!!!」
腹部を抑えて蹲っているザマスに、悟空は容赦なく背後から10倍かめはめ波を叩き込んだ。
その破壊力のあまり、ザマスは悲鳴を上げる暇もなく光の中へと消えて行き、直後大爆発を起こすのだった。
「……仮にどうにかオメェを正気に戻しても、さっき言ってた人間0計画ってのを再開しちまいそうだったからな……悪く思うなよ、ザマス。」
ザマスを倒したと確信した悟空は僅かな間目を閉じると、すぐに気持ちを切り替え、ベビーと交戦中のベジータの下へと移動を開始した。
※※※
「だりゃあっ!!」
「ククククク……」
超サイヤ人ロゼへと変身したベビーに、ベジータは無数の気功波を放つ。しかしベビーはその全てを弾き飛ばすと瞬間移動を発動してベジータの眼前へと移動し、横っ面にパンチを叩き込んだ。
「ぐっ!?ちっ、流石にブラックの野郎に比べると、遥かに強くなっていやがるな……!!」
「ククク、当然だ。俺は身体を奪った瞬間、限界以上に能力を引き出す事が出来るのだ。あんな雑魚と一緒にされては困る!!」
「っ!?」
またも瞬間移動して来たベビーのパンチを、今度はどうにかガードする事に成功し、そのまま反撃に打って出るベジータ。
しかしベビーもベジータから放たれる攻撃をにガードすると、互いに一度距離を取り、ベジータは右手に碧色の気を、ベビーは両手の間に青白い気を収束させて行く。
「ファイナルシャインアタックッ!!!!」
「かめはめ波ぁっ!!!!」
同タイミングでお互いの必殺技を放つベジータとベビー。二つの巨大な気が激突し、大爆発を引き起こし、その衝撃で周囲の岩山は塵も残さずに消し飛んでしまう。
しかし、二人ともこの程度では全くダメージを受けていないようで、またも同じタイミングで飛び出し、激しい攻防を繰り広げた。
「ふははははは!!褒めてやるぞ、ベジータ!!まさかこの孫悟空の肉体を使った俺と互角に戦うとはなぁ!?」
「ちっ、他人に寄生しなければ何も出来ない赤ん坊風情が!!」
「寄生?それは違うな!!俺は貴様等下等な猿の身体を有効活用してやっているのだ!!感謝されはしても、恨み言を言われる筋合いはない!!」
「減らず口をほざくなぁっ!!」
「ぐぅおおおっ!?」
ベジータの渾身の右ストレートを、ベビーは両腕を交差させる事でガードするが、その威力のあまり完全に受け止め切れずに吹っ飛ばされてしまい、背中から岩盤に叩きつけられてしまった。
「くっ……くくく……どうした、この程度では俺を倒す事は出来んぞ?」
「……そう言えば貴様、さっき言っていたな。別の世界で俺が貴様に乗っ取られたと。何故貴様がその事を知っている?もしや貴様……この世界の存在ではないな!?」
「フッ……フフフフフ……少しは頭の方も働くようだな、ベジータ。ああ、俺はこの世界のベビーではない。貴様が今暮らしている世界で誕生したベビーだ。」
「俺の世界で、だと……!?なら、どうやってこの時代まで来やがった!!まさか地球以外でタイムマシンの開発に成功した文明があったのか!?」
「連れて来て貰ったのさ、あの御方に……俺を導いて下さった神にな。」
「神……?」
「貴様にはこの気を見せた方が早いだろう……よく見ておけ!!これが神より与えられた、究極の闇の力だっ!!!!ぐぅおおおおおお……!!」
「なっ……!?」
ベビーから放出されるオーラの色が、紫からドス黒く変化を遂げる。そしてその気を感じ取ったベジータは驚愕し、目を見開いた。
「こ、これは……この気は……貴様、まさかっ!!」
「ぬぅぅあああああああああっ!!!!」
ベビーが咆哮を上げながら、その全身がドス黒い瘴気に覆われて行く。すると筋肉が膨れ上がり、髪はピンクから白へと再度変化し、目の形状も変化し、眉が失われ、黄色いアーマーのようなジャケットが装着され、かつての世界のスーパーベビー2を思わせる姿へと変化を遂げた。
「クックック……どうだ、この気は。貴様にも覚えがあるだろう?」
「この気……一星龍の……!!まさか貴様、奴から接触を受けていやがったのか!?」
「その通り!!俺は神の力によって完成し、それから貴様の事も、貴様の世界の俺がどのような結末を迎えたのかも、全て教えて貰った!!そして絶対に貴様等に負けぬようこの世界に導いて貰い、貴様を超える最強の肉体と究極の力を授けて頂いたのだ!!」
(馬鹿な……あのジャネンバとか言う化け物の一件で、一星龍があの世界に干渉しているのは理解していた……だが、タイムマシンを使わずに時間を超えただと!?奴にそんな力は無かった筈だ!!い、いったい奴は今、どれ程の力を身につけていると言うんだ……!?)
「さぁ、無駄話はこれまでだ!!親の因果が子に報い……貴様の父、ベジータ三世が犯した罪!!今こそ贖って貰う!!界王拳っ!!!!」
「っ!!な、なにぃ!?」
ベビーの纏うオーラが黒から荒々しい赤へと変化すると、ベジータの視界からベビーの姿が消える。その直後、ベジータを腹部にとてつもない衝撃が襲った。
「かはっ……!!ば、馬鹿な、界王拳、だと……!?」
「言った筈だ、俺をブラックのような雑魚と一緒にするなと!!俺は奴とは違い、孫悟空の肉体を完全に掌握し、限界以上の能力を発揮出来るのだ!!当然奴が覚えていた技も全て使用出来るっ!!」
「ちぃっ!!」
咄嗟にベビーに向けて気功波を放つが、ベビーは超スピードでそれを回避し、ベジータが反応する隙も与えず右斜め上空から飛び蹴りをベジータの右頬に叩き込む。
更に落下中のベジータに即座に追いつくと左足を掴み、スピードを上げて急降下し、ベジータを地面に投げつけ、そのままベジータは地面に衝突し、その時に発生した衝撃で地面に巨大なクレーターが発生し、周囲は煙に包まれた。
それからすぐにベジータは煙の中から飛び出して来たが、その行動はベビーにはお見通しだったようで、即座にベジータの真横に回り込むと、ベビーの蹴りが横腹に直撃。ベジータはまたも吹っ飛ばされ、そこへ追撃の連続エネルギー弾が直撃してしまう。
「ぐああああああっ!?」
「死ね、ベジータぁっ!!超かめはめ波ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「!!!!」
ベビーの放った全力のかめはめ波が、ベジータの全身を飲み込み、大爆発を起こした。
その爆発をベビーは不敵な笑みを浮かべたまま見つめていたが、突如爆風の内側から炎のように赤い気が嵐のように吹き荒れ、煙を吹き飛ばした。
「ぬぅっ!!?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!!!うぅぅぅおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」
ベジータの咆哮が響き渡った直後、赤い気の嵐が爆発を起こし、周囲を閃光が包み込む。
そしてベビーの視界が回復した時、ベジータは髪と瞳が赤く変化し、身体から放出されるオーラも赤い紫電を纏う真紅の物へと変化を遂げていた。
「まさか貴様のような赤ん坊野郎に、超サイヤ人4ゴッドを使わされる羽目になるとは思ってもみなかったぞ……」
「フン、それが貴様の全力か……だが、どれ程の力を持っていようと、この俺には勝てんっ!!」
そう叫ぶとベビーは再度界王拳を発動し、瞬間移動も駆使して一瞬にしてベジータの背後を取る。だが、ベビーの拳が届くよりも早くベジータの裏拳が鼻っ柱に叩き込まれ、逆にベビーが大きく後方へ吹っ飛ばされてしまった。
「ぐあぁぁっ!?おのれ、界王拳10倍っ!!」
屈辱に顔を歪ませたベビーは、一気に界王拳を10倍まで引き上げ、先程までを遥かに超えるスピードでベジータに肉薄し、パンチのラッシュを仕掛ける。
だが、ベジータは腕を組んだまま余裕の表情でその全てを避け切り、逆にベビーの腹部に蹴りをかますと、続け様に脳天に踵落としを叩き込んで地面に叩き落とした。
「くっ、ふ、ふざけるなよ、猿の分際でぇ……!!」
「ごちゃごちゃとうるさいぞ、寄生虫が。」
「がぁっ!?」
ベビーが起き上がるよりも早く、ベジータの拳がベビーの腹部に炸裂。その威力のあまりベビーは血を吐いたが、それにも構わずベジータは先程の仕返しとばかりにパンチのラッシュをベビーに食らわせる。
「貴様がその身体を乗っ取ってくれて良かったぜ。何せ俺が絶対にこの手で殺してやりたいと思っていた奴等が、一つに纏まってくれたんだからな?それに加えてこの世で最も殴り易い顔をしていると来た。最高のサンドバッグだよ、貴様は!!」
「き、きさ……おごぉっ!?」
「これ以上貴様の耳障りな声を聞くつもりはない!!全身の骨を粉々にしてくれるわっ!!」
そのまま反撃の隙を一切与えず、ベビーをタコ殴りにするベジータ。そしてトドメを刺すべく一旦距離を取ると、掌をベビーに向け、紅い気を収束して行く。
「これで消えてなくなりやがれ、ベビー!!ビッグバンアタック!!!!」
ベビーを完全に消し去るつもりで、必殺の一撃を放つベジータ。先程までのダメージもあり、ベビーは瞬間移動を発動する事が出来ず、そのまま消し飛ばされてしまう……かに思われた。だが……
『ファイナルフラァッシュ!!!!』
「な、何っ!?」
いきなりベビーと"全く同じ声"が響いたかと思うと、凄まじいエネルギー波が放たれ、ベジータの放ったビッグバンアタックの真横に直撃し、軌道を逸らし、遠く離れた地点に着弾。大爆発を起こした。
その隙にベビーは瞬間移動を発動し、先程ファイナルフラッシュを打った者の真横に移動する。そして、ベジータはベビーの隣に立つ者の姿を見て、驚愕のあまり目を見開いた。
「ば、馬鹿な……べ、ベビーが……ベビーが二人、だと!?」
そう、ベジータの目の前には今、ベビーが二人いたのだ。それも新たに現れた方のベビーは、前の世界におけるスーパーベビー2と全く同じ姿をしていた。
「ククク……随分苦戦しているようだな、ベビーよ。あんな猿に追い詰められるとは情けのない事だ。」
「フン、どうやら奴の実力を見誤っていたようだな……一応礼は言っておく。流石は俺だ。」
スーパーベビー2の挑発するような物言いに、ブラックベビーは不機嫌そうに鼻を鳴らすと、不本意ながらも礼を口にしていた。
だが、今のベジータに二人の会話など全く耳に入っていないようだった。
「な、何の冗談だ、これは!?な、何故……何故貴様が二人も居やがる!?」
「俺の話を聞いていなかったのか、ベジータ?俺は貴様の世界から来たと言っただろう。」
「っ!!ま、まさかそいつは、この世界のベビーだと言うのか!?」
「ククク、ご名答。そしてこの身体はゴクウブラックが居た世界のベジータ、貴様から頂いた物だ。」
どうやらベビーはブラックの身体を乗っ取った後、この世界の自分を連れ、時の指輪を使ってブラックことザマスのいた世界へ行き、その世界のベジータを叩きのめし、その肉体にベビーを寄生させたようだ。
そして別の世界とは言えまたも自分の肉体を乗っ取ったベビーに対し、ベジータは怒りを露わにして睨みつけた。
「クソッタレめ……!!とことん人をイラつかせる野郎だな、貴様は!!だが、その程度の力でこの俺に勝つ事が出来ると思っているのか!?二人纏めて汚い花火にしてくれるわっ!!」
「ベジータぁ!!」
怒りと共に更に気を高めて行くベジータ。そしてその時、ザマスを撃破した悟空が合流した。
「孫悟空か。やはりザマス如きでは足止めにもならなかったようだな……使えん奴め。」
「オメェ、ベビーか……?さっきまでと随分姿が違うじゃねぇか。それに、二人に増えてやがる……」
「ブラックの身体を乗っ取った方は俺達の世界のベビーで、もう片方はこの世界のベビーだそうだ。どちらにせよ消す事に変わりはないがな。」
「消す?馬鹿め、これから消えるのは貴様等猿の方だ。」
「あれだけの力の差を見せつけられてまだそんな寝言をほざく元気があるとは驚きだ。ならば次は永遠の眠りをくれてやる!!」
「フッ、確かに今の俺達では貴様に勝てんだろうな?孫悟空も居るのなら尚更だ。だが、ベジータ……貴様まだ気付かないのか?俺の耳に付いているのが何なのかに。」
「貴様の耳だと?そんな物に何が……っ!?」
ブラックベビーの耳についているイヤリングを凝視して、ベジータは固まった。言われてみれば、あれには見覚えがある。何せ、あれは前の世界でたった一度だけ使った事があったからだ。
「貴様、まさかそれは……!?」
「漸く思い出せたようだな。ククク、貴様はよーく知っているだろう?こいつの恐ろしさを……!!」
「な、なんだ?あのイヤリングがどうかしたのか、ベジータ?」
「受け取れ、もう一人の俺よ!!」
左耳からイヤリングを外すと、それを隣に立つスーパーベビー2へと放り投げるブラックベビー。スーパーベビー2は、ニヤリと笑みを浮かべながらイヤリングを受け取った。
「確かに受け取ったぞ、もう一人の俺よ。さぁ、奴等に見せてやるとしよう。"ポタラ"の威力を!!」
「そ、そうはさせるかっ!!」
「邪魔はさせん!!ザマスっ!!今度こそ俺の役に立ってみせろ!!!!」
「畏まりました、我が王よ……はぁっ!!」
「なっ、ザマスだって!?」
先程完全に消し去った筈のザマスが無傷で現れた事に驚愕する悟空。そしてその隙を突き、ザマスは悟空とベジータへ気功波を浴びせた。
無論、二人とも全くダメージを受けていないが、それでもほんの僅かに時間を稼ぐ事には成功したようで、スーパーベビー2の左耳にポタラが装着されてしまう。
直後、ブラックベビーとスーパーベビー2の身体が衝突し、眩い光に包まれる。そして閃光の中からブラックベビーもスーパーベビー2も遥かに上回る、圧倒的な気を持った怪物が姿を現した。
「クックック……待たせたなベジータ、そして孫悟空……これから貴様等を地獄に送ってやろう。このベジットベビー様がなぁっ!!!!ふはははははははははは!!!!!!」
高笑いしながら、尋常ではない気を解放するベジットベビー。そのあまりの威圧感に、ベジータも悟空も身体の震えが収まらなかった。
はたして、ベジータと悟空はこの最悪の相手に勝つ事が出来るのだろうか……?