ちっ、くだらん…何が強くてニューゲームだ、クソッタレめ 作:ゴロリコン
燃え盛るような真紅のオーラと無数の紅い稲妻、そして黄金の粒子を放出しながら、スーパーサイヤ人4ゴッドとなったベジットがベビーを見下ろし、挑発するように手招きしている。
どうにかダメージから立ち直ったベビーだが、そのベジットの態度が気に食わないのか額に青筋を浮かべていた。
『か、格の違い、だと!?たかがサイヤ人如きが……アガァッ!?』
「サイヤ人如きが、なんだって?早く続きを言えよ王様。」
喋っている途中、ベビーが反応する事すら出来ない超スピードで接近して来たベジットが、腕を組んだ姿勢のままベビーの鳩尾に蹴りを叩き込んでいた。
『げ、ゲホッ、ゲホッ!!グ、グゥゥゥ……!!た、たかがサイヤ人如きが、俺を見下してんじゃねぇぇぇっ!!』
パワーを全開にし、ベビーの剛腕がベジットに直撃し、凄まじい轟音が周囲に響き渡る。
超フルパワーサイヤ人4ゴッドの悟空とベジータを一撃で変身解除まで追い込む程の威力を持った攻撃だ。
これにはベビーも手応えを感じたようで、ニヤリと笑みを浮かべる。だが……
「なぁ、まさかとは思うんだがよ。」
『なっ!?』
ベジットは、全くダメージなど受けていない様子だった。と言うより、実際ベジットは全くダメージを受けてはいなかった。
そしてベジットはベビーを嘲笑うかのような表情をしながら見上げ、口を開いた。
「今の攻撃、ひょっとして全力だったのか?」
『っ……!!う、うおおおおおおおおおおっ!!!!し、死ねっ!!死ね死ね死ね死ね!!死ねぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!』
自分の渾身の一撃を受けたにも関わらず涼しい顔をし、「ひょっとして全力だったのか?」などと聞いてくるベジットに、ベビーは無意識の内に恐怖を抱いていた。
そして逃げるようにベジットから距離を取ると、今度は狂ったように気弾を連射する。その一発一発があの魔人ブウでさえ掠っただけで完全消滅させられる破壊力を持っており、その全てが外れる事無くベジットに直撃し、やがて大爆発を起こした。
『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……は、はははははは!!どうだ、馬鹿め!!この俺様を見くびるからこうなるんだ!!流石の貴様もこれだけの数のエネルギー弾を受けては無事では……なぁっ!?』
最初は強気だったベビーだが、爆煙が晴れて行くと一転して驚愕へと変わってしまった。
またしても、ベジットは無傷のままだった。それも先程と変わらず、腕を組んだ姿勢のまま、まるでつまらない物でも見るかのような視線をベビーに向けている。
この様子からして、ベジットは回避行動など取ってはいない。つまり全弾直撃したにも関わらず擦り傷一つ負ってはいなかったのだ。
『そ、そんな馬鹿な……!?』
「どうした、強気な台詞はもう売り切れか?ちょっと攻撃が効かなかったくらいで情けない奴だ。所詮、他人に寄生しなければ何も出来ない裸の王様って訳か?」
『グッ……!!き、貴様ぁぁぁ……!!」
「それにしても、もっと本気でやって欲しいな。これじゃわざわざポタラで合体した甲斐がない。それとも本気でやってこのザマだったのか?だったら謝るよ。お前は弱っちいなりに必死に頑張ってたのに、失礼な事を言っちまった。いやぁ失敬失敬。」
完全にベビーをおちょくっているかのように、わざとらしく謝罪するベジット。
そのあまりの態度の酷さにベビーは怒りに我を忘れて殴り掛かっていた。
『ウガァァァァァァァッ!!!!』
「おおっと!?良い物をやるぞ、ボス猿!!』
『ヌギャァ!?』
ベビーの体当たりをあっさり回避すると、無防備な背中に気功波を放つベジット。
まともに受けたベビーは背中に大きなダメージを負いながら地面に激突してしまった。
『フ、フハハハハ……』
「ん?」
瓦礫を退かしながら起きが上がったベビーがいきなり笑い出した事に、ベジットは首を傾げた。
するとベビーは何故か勝ち誇ったかのような笑みをベジットに向けて来た。
『き、貴様、何か勘違いしちゃいないか?』
「勘違いだぁ?」
『お前がダメージを与えているのは俺じゃない。ゴクウブラックと、別世界のベジータだ!!』
「……で?」
『猿め、まだわからんのか?つまり、こいつ等の肉体の中に居る俺には全くダメージは通っていないのさ!!お前の攻撃は無駄でしかないんだ!!』
「それがどうした。」
『そ、それがどうしただと!?』
「中のテメェにはダメージが通らないだぁ?そんなもんで俺が怯むとでも思ってんなら随分と嘗められたもんだな。だったらテメェが寄生してるその肉体ごと消し飛ばしちまえばそれで済む話じゃねぇか。」
『なっ……き、貴様正気か!?ブラックはともかく、もう半分は別世界の貴様自身なんだぞ!!』
「テメェ如きの器にされて生き存えるくらいなら死んだ方がマシ……俺なら絶対にそう言うさ。」
『こ、こいつ、イカれてやがる……!!』
別世界とは言え自分自身を平然と消し飛ばすと言い放ったベジットに、ベビーは冷や汗を流し、後退りしていた。
一方でベジットはそんなベビーを見て鼻で笑うと掌を向けた。
「全ての世界の人間をツフル人にするだなんて言い出す野郎に言われたかねぇな……テメェの方がよっぽどイカれてるぜ、下衆野郎。はっ!!」
『ギャァァァァァァァァ!!??』
ベジットの掌から放たれた衝撃波がベビーに炸裂した。その威力は大猿と化したベビーを軽々と空高くに吹き飛ばす程で、ベビーは地面に落下した後も惨めに数百メートル程地面を転がって行ってしまった。
今の一撃だけで身体中に傷を負ったベビーは、青筋を浮かべながらオーラを全開にして立ち上がり、ベジットを睨みつけた……のだが、その時既にベジットはベビーの視界から消えていた。
『や、奴が居ない!?』
「こっちだ、バーカ。」
『ヌガァッ!?』
腕を組んだ姿勢のままベジットが急降下し、ベビーの脳天を両足で踏みつけ、その衝撃でベビーは再度地面に叩きつけられてしまう。
そのままベジットはベビーの背中に乗り移ると、その尻尾を両手で掴み、ニヤリと笑みを浮かべた。
「お寝んねの時間にはまだ早えぞ、ベビー!!」
『う、うおおおおおおおおっ!?は、離せ!!離せぇぇぇぇぇっ!!!!』
ベビーの尻尾を掴んだまま浮かび上がり、グルグルと振り回し、お望み通りにしてやるとばかりに尻尾から手を離すと、ハンマー投げのようにベビーを更に空高くまで投げ飛ばした。
しかし、まだまだベジットの追撃は止まらない。悲鳴を上げながら吹っ飛ばされているベビーの背中に飛び蹴りを叩き込んだ事で、遂にベビーは成層圏を超えて吹っ飛ばされしまう。
そのまま大気圏を突破して宇宙まで飛んで行くかと思われたその時、ベジットが瞬間移動でベビーの目の前に現れた。
「でりゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!!」
『ガッハァァァァァァァァ!!!???』
炎のように燃え盛るオーラを右手に宿したベジットが、ベビーの腹部に強烈な右ストレートを叩き込む。
その破壊力の前にベビーは吐血してしまうが、ベジットはベビーに拳を叩き込んだまま地表へと急降下して行き、やがてベビーは凄まじい勢いで背中から地面に激突し、その衝撃で大地は砕け、周囲を煙が覆い尽くした。
すると煙の中から巨大な紫のオーラを纏い、憤怒の表情を浮かべた血塗れのベビーが飛び出し、地上で腕を組んだまま不敵に笑うベジットを睨み付けた。
「ほほう?まだまだ動けるみてぇじゃねぇか。そう来なくっちゃなぁ!!」
『このぉぉぉ……!!な、嘗めるんじゃねぇぇぇぇ!!!!超ファイナルかめはめ波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!』
もはや星がどうなろうも知った事かとばかりに、大猿になった事で強化されたファイナルかめはめ波をフルパワーで放つベビー。
しかし、迫り来る圧倒的な破壊のエネルギーを前にしてもベジットは一歩も引かず、右手を翳すと、それだけでベビーの渾身の技を受け止めてしまった。
そればかりか受け止めた気功波を球状に丸めるとそのまま圧縮してサッカーボールサイズにまで縮めてしまい、リフティングを始めてしまった。
『な、何だとぉっ!?』
目の前で繰り広げられる信じられない光景に、ベビーは限界以上に目を見開いて驚愕していた。
まさか渾身のファイナルかめはめ波を軽々と受け止められたばかりか、それをサッカーボール扱いしてリフティングを始めるなど誰にも想像出来ないだろう。
するとベジットはリフティングしながらベビーに顔を向け、いかにも面白そうな事を思いついたとばかりの笑みを浮かべ、逆にベビーは背筋に冷たい物が走った。
「そろそろ飽きたし返すぜ。しっかり受け止めなっ!!」
圧縮された気弾を空高く蹴り上げると、一瞬でボールに追いつき、オーバーヘッドキックを気弾に叩き込む。
ベジットに蹴り飛ばされたからか、気弾は一瞬にして音速の壁をぶち破り、ベビーの顔面目掛けて一直線に突き進んで行った。
『う、うおおおおっ!?』
咄嗟に顔を逸らす事で、どうにか直撃を避ける事に成功したベビーだが、それでも左頬が大きく抉られてしまったようで、溢れるように血が流れ出した。
だがその痛みも、遥か上空で生じた大爆発を前に忘れてしまった。あれは間違いなくさっきベジットが蹴飛ばした気弾が爆発した物だろう。
あんな物の直撃を受けていたら、頭が綺麗さっぱり消し飛ばされていたかもしれない。そう考えるとベビーは身体の震えが止まらなかった。
だが、そんなベビーをベジットが黙って見ていてくれる筈もなかった。
「だりゃあっ!!」
『ウゴァッ!?』
唖然としているベビーの顔面に飛び蹴りをかましてベビーを大きく吹っ飛ばす。
そして超スピードで即座にベビーに追いつき、何度もパンチを叩き込んでベビーを更に後方へ吹っ飛ばし、どうにか体制を整えたベビーが拳を振るうが、ベジットからしてみればスローモーションも良い所の鈍い動きだった。
軽々とベビーの渾身の一撃を回避すると、懐に潜り込んで腹部に拳を叩き込んだ。その破壊力はベビーを貫通し、背後の崖を粉々に吹き飛ばし、更に空を漂う雲を綺麗さっぱり消し飛ばす程だった。
『ウッ……ウガァ……!!』
「まだまだこれからだぞ!!」
『う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??』
「はぁぁぁぁ!!!!うおりゃぁぁぁぁぁ!!!!」
ベビーの右足を両手で掴み、空高くまで急上昇すると、そのまま地面目掛けてベビーを投げ飛ばすベジット。そしてベビーが落下する速度を上回るスピードで落下先まで先回りすると、ベビーが地面に激突する寸前、顎を蹴り上げて再度空高くまで吹っ飛ばす。
そしてまたしても超スピードでベビーの背後に回ると、今度はとてつもない量の気を収束した右手をその背中に翳した。
「ビッグバン……アタァァァァァァック!!!!」
『オグギャァァァァァァァァ!!!!』
限界まで収束された気功波が放たれ、ベビーの背中に炸裂する。直後、まるで核爆発でも起きたかのような大規模爆発が発生し、巨大なキノコ雲が立ち上った。
「あれだけツフル人の王だのなんだのと威張り散らしてた癖に、もうギブアップか?もっと出させて欲しいもんだな、本気を。」
上空から爆心地のど真ん中で虫の息となっているベビーを見下ろすベジット。はたしてベビーとの決着はこれでついたのだろうか……?
※※※
その頃、別の地点ではゴハンクス達が合体ザマスと激戦を繰り広げていた。
合体ザマスがゴハンクスを撃ち落とさんと針状のエネルギー弾を連射するが、ゴハンクスは目にも留まらぬ剣捌きでその全てを切り落とし、その隙にゴテンクス、ミントが合体ザマスの背後に気功波を放ち、直撃させた。
「ぐぅぅっ!?ちぃ、うるさい蠅どもがぁっ!!」
「やらさせるか!!バーニング・かめはめ波ぁぁぁぁぁっ!!!!」
「激烈光弾っ!!!!」
太陽を思わせるような灼熱の気を収束させると、両腕を前に突き出し、合体ザマス目掛けて発射するゴハンクス。
これの直撃はまずいと本能的に悟ったのか、合体ザマスは逃げ出そうとするも、その瞬間ピッコロが巨大な気功波を合体ザマスの直撃させた。
そして回避が遅れた合体ザマスは成す術もなく灼熱の気の塊の中に飲み込まれ、大爆発を起こした。
「まだまだぁ!!再生する隙は与えねぇぜ!!行け、お化け達!!」
「クン乱れ打ちよ!!」
爆炎の中、ズタボロになって飛び出して来た合体ザマスに大量のゴースト達が突撃させるゴテンクス。そのまま連続で爆発を起こし、更にそこへジャイアントストームが連発を受けた。
すぐに合体ザマス爆風の中から飛び出して来たが、流石の合体ザマスも回復が追いついていないのか、身体中がボロボロになり、肩で息をしていた。
「はぁ、はぁ……こ、これだから学習能力のない猿どもは困る。我は不死身だと言った筈だが、もう忘れたのか?」
「フッ、その割には、随分と痛そうじゃないか。それに、合体する前と比べて明らかに再生するスピードが落ちていないか?」
「っ!?」
「合体した事が却って仇となったな。不死身ではない偽物の悟飯と一体化した事によって、貴様の再生能力は下がってしまったんだ。」
「だ、黙れぇ!!」
「へっ、焦ってるって事は図星って事じゃねーか!!よぉし、このまま袋叩きにして……」
っと、喋っている最中ゴテンクスの身体が眩い光に包まれる。そして光の中に小柄なシルエットが二人分浮かび上がり、光が晴れると悟天とトランクスがドヤ顔を浮かべながら立っていた。
「「やっつけてやるぜ!!……って、あれ?」」
「お、お馬鹿ーーーーっ!!な、なんつータイミングで元に戻ってんのよぉ!?」
「と、解けちまったんだから仕方ねーだろ!?」
「わわっ!?ま、まずいよ!!あいつ凄いこっち見てる!!」
「は、はははは!!同情するぞ?ここに来て戦力ダウンとはな!!どうやら天は貴様等サイヤ猿どもではなく我を愛してくれているようだ!!絶望の中で死ぬが良い、忌々しい猿どもよ!!」
「「「わぁぁぁぁぁ〜〜〜!!!???」」」
三人纏めて消し飛ばすべく、巨大なエネルギー弾を投げつける合体ザマス。
だが、エネルギー弾と三人の間にゴハンクスが割って入ると剣を振るい、エネルギー弾を真っ二つに切り捨て、左右に別れて飛んで行き、遥か後方に着弾してそれぞれが大爆発を起こした。
「兄ちゃん!!」
「でっかい方の俺!!」
「三人とも、ここまでよくやってくれたな。後は俺とピッコロさんに任せてくれ。」
「たった二人で我に敵うとでも……ぐぼぁっ!?」
「ベラベラ喋っている余裕が貴様にあるのか?」
ゴハンクス達を嘲笑う合体ザマスの右肩を、ピッコロの放った魔貫光殺砲が撃ち貫いていた。
大きな穴が開いて大量出血している右肩を抑え、合体ザマスは憤怒の表情でピッコロを睨みつけ、掌を翳して気功波を放とうとする。
だが、その行動は無駄に終わった。
一瞬で合体ザマスの目の前に現れたゴハンクスが剣を振り上げ、合体ザマスの右腕を切り捨てたのだ。
「ぐぁぁぁぁぁぁっ!?こ、この、虫ケラどもがぁぁぁぁぁっ!!!!」
「今がチャンスだ!!一気に畳み掛けるぞ、ゴハンクス!!」
「はいっ、ピッコロさん!!」
再生速度が落ちている今、一気に決着をつけるべく、ゴハンクスとピッコロはそれぞれ真紅とオレンジのオーラを全開にして突撃し、息のあった連携で合体ザマスを翻弄、一方的に攻撃を加えて行った。
そして完全に回復が追いつかなくなり、合体ザマス身動き一つ取れなくなった瞬間を見計らい、二人は一定の距離を取ると、気を同調させるかのように高めて行く。
「ゴハンクス、合わせろ!!」
「はいっ!!魔閃!!!!」
「光殺砲!!!!」
ゴハンクスの放った魔閃光に、ピッコロの放った魔貫光殺砲が螺旋状に纏わる。そして一つの技と化して合体ザマスに向かって行く。
ギリギリで合体ザマスも両腕を交差して防ごうとするが、何の意味も成さずに両腕は消し飛ばされ、更に腹部も貫かれて大きなダメージを負ってしまった。
「う、うぐぁ……ごぼぁ……お、の……れぇ……!!」
「これでトドメだぁっ!!!!完全に消え去ってしまえ、ザマスッ!!!!」
合体ザマスに急接近したゴハンクスがアッパーを食らわせ、遥か上空まで殴り上げる。
そしてトドメを刺すべく両腕を空に向かって突き出し、体内に収束された気全てを合体ザマスに向けて放出した。
「ば、馬鹿な!!べ、ベビー様最大の守護者であるこの我が、こんな下等生物どもにぃぃぃぃ!!??」
もはやガードする事すら出来ず、ゴハンクスが放出する灼熱の気に全身が飲み込まれ、やがて合体ザマスは大爆発を起こした。
その爆発を見届けると同時にゴハンクスの合体も解除され、元の悟飯とトランクスに分離した。
二人とも相当消耗しているのか、通常時の姿に戻っており、疲れたようにその場に座り込んでしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ……や、やりましたね、悟飯さん……!!」
「え、ええ……流石の奴も、今の攻撃を受けては跡形も無く消し飛んだでしょう。」
「よくやったな。悟飯、トランクス。」
「ピッコロさん!!」
強化形態から元の姿に戻り、悟飯とトランクスの前に降りて来るピッコロ。
だがその時、三人の中でトランクスだけが何かに気付いたようで、慌てたように起き上がった。
「悟飯さん!!危ないっ!!」
「えっ!?」
いきなりトランクスに突き飛ばされた事に驚く悟飯。
その直後、放たれた気功波がトランクスに直撃してしまう。
「なっ……と、トランクスさんっ!!」
「ま、まさか……!!」
「く、くははは……ま、まずは一匹……残念だったな、まだ我は生きているぞ、虫ケラども……!!」
上空から狂ったように笑いながら、合体ザマスが降りて来た。その姿は右半身がドロドロに溶けたようになっており、肌の色も紫色に変色し、目付きも憎悪に満ちた物に変化している。
だが、そんな状態になっても合体ザマスの気は全く下がっておらず、それどころか怒りによって更に激しく上昇さえしていた。
「ザマスっ、貴様ぁぁぁっ……!!」
トランクスがやられた事に怒り、悟飯の髪の毛が逆立つ。しかしもはや気が底を尽きているのか、超サイヤ人にもなれず、老界王神から引き出した力も発動する事が出来ないようだった。
「く、クソッタレがぁぁぁぁっ!!!!」
「無駄だ、愚かな下級神め!!貴様一人に何が出来る!?」
自棄を起こしたように突撃して来たピッコロの攻撃を全て片手で防ぐと、膝蹴りを腹部に叩き込む合体ザマス。
そしてピッコロが怯んだ隙を突き、気の刃で脇腹を貫いてしまった。
「!!!!」
「これで二匹目……ククク!!今度は貴様だ、孫悟飯!!」
白眼を剥いて気絶したピッコロの頭を鷲掴みにし、悟飯に見せつけるように翳す合体ザマス。
だが、その悪行が悟飯の逆鱗に触れた。
プツン、と悟飯は己の中で何かが切れた音を聞いた気がした。そしてドン底にまで落ちていた筈の悟飯の気が、これまでにない程に急上昇を始める。
「むっ!?」
「うぅぅぅぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!!!!」
「なっ、ぬ、ぬおおおおおおおおっ!!??」
怒りと悲しみから、瞳が真紅に染まり、雄叫びを上げながら青白い気を身体から解き放つ悟飯。
その途轍もなく大きな気は周囲を包み込み、衝撃波だけで合体ザマスを吹き飛ばしてしまった。
やがて青白い光が消えた時、悟飯はこれまで確認されたどの超サイヤ人とも異なる姿に変化を遂げていた。
逆立つ髪は銀色に染まり、黒い瞳孔と赤い瞳、そして禍々しいまでの莫大な赤紫のオーラと無数の赤いスパークをその身に纏っていた。
「……は、ははは……!!い、今更そんな変身で、この我を倒せると思うなぁっ!!」
一瞬で悟飯の目の前に現れ、肥大化した右腕を叩きつける合体ザマス。凄まじい轟音が鳴り響き、大地が広範囲に渡って崩壊を起こすが、全くダメージになっていないようで、悟飯はニヤリと笑ってザマスを見下ろした。
「……この程度か?」
「なぁっ!?」
「今度は、僕の番だ……!!はぁっ!!!!」
合体ザマスを軽く気を開放するだけで吹き飛ばし、相手が怯んでいる隙に飛び蹴りを叩き込む悟飯。その威力は凄まじく、蹴りが腹部を貫通し、大きな穴を開けてしまう程だった。
「ガッハァァァァッ!?」
たった一撃で、これまで以上のダメージを合体ザマスは受けてしまい、大量の血を吐き出した。
そしてこの一撃だけで悟ってしまう。自分はとんでもない相手を怒らせてしまったのだと。この男にだけは、どう頑張っても絶対に勝てないのだと。
「あ、あぁぁぁ……わぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
完全に恐怖に支配された合体ザマスは、大慌てでその場から逃げ出した。目指すはここから少し離れた地点にいる悟天達だ。
あの三人を人質にすれば、どうにか逃げられるだろう……そう彼は考えていたが、そんな彼の希望を砕くように、目の前に悟飯が姿を現した。
「な」
「フンッ!!」
振り向き様に悟飯の放った手刀が合体ザマスの顔面に直撃。鼻の骨が砕けたようで、両方の鼻の穴から血を吹き出し、そのまま地面に向かって弾丸のように吹っ飛ばされて行く。
だが、落下先には悟飯が先回りしており、膝蹴りで空中まで蹴り上げられてしまった。そして……
「うおおおおおおおおおおっ!!!!」
「ギャァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
またも先回りしていた悟飯のダブルスレッジハンマーが合体ザマスに直撃し、地上まで叩き落とされ、周りは大量の砂埃と煙に覆われた。
そしてどうにか起き上がったその時、合体ザマスは全身から嫌な汗が噴き出した。この世の物とは思えない程の圧倒的な気が、悟飯に集まっているのだ。
慌てて目を向けると、額に右手の人差し指と中指を宛て、全ての気を一点集中させている。
あんな物を食らえばいくらこの身体でも無事で済むとは思えなかった。
もはや恥も外聞もなく、無様な姿を曝け出して逃亡を図る合体ザマスだが、突然右足に何かが巻き付いて動きを止められてしまった。
「き、貴様は!?」
「に、逃しはせんぞ……!!」
合体ザマスの動きを止めたのはピッコロだった。口から血を流し、全身ズタボロになりながらも、合体ザマスを逃すまいと必死にしがみついている。
「き、貴様っ!?う、うおああああああ!!は、離せ!!離すのだこの虫ケラがぁぁぁぁ!!??」
「ピッコロさん……!?」
「い、今だ!!やれっ、悟はぁぁぁぁぁん!!!!」
「っ……!!魔貫光殺砲ぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
右手を前に突き出し、誰よりも尊敬する師の必殺技、魔貫光殺砲を放つ悟飯。
そして悟飯が魔貫光殺砲を放ったのに合わせてピッコロは合体ザマスの背中に蹴りを入れ、吹っ飛ばされた合体ザマスの頭部に魔貫光殺砲が直撃。
合体ザマスの頭部は塵一つ残さずに消し飛んだばかりか、威力のあまり上半身が完全消滅してしまった。
「ピッコロさんっ!!」
「はぁぁぁぁ……!!魔封波ぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
合体ザマスが再生を始める前に、両腕から気の渦を放つピッコロ。その渦の中に拘束されてしまった合体ザマスは、いつの間にかピッコロが地面に置いていた小瓶の中へと入れられてしまった。
すかさずピッコロは小瓶に蓋をし、札を貼り付ける事で、合体ザマスの封印するのだった。
「ふぅ……残念だったな。さっきも言ったが、不死身だろうと貴様を封じる手段くらいはあるんだ。」
「やりましたね、ピッコロさん!!」
いつの間にやら普段の姿に戻った悟飯が、ピッコロのすぐ隣まで降りて来た。
「悟飯か。お前、いつの間に魔貫光殺砲を?」
「いやぁ、実は研究の合間に、密かに練習してたんですよ。役に立って良かったです!!」
「フッ……それに、さっきの変身も悪くはなかった。上出来だ。」
「ありがとうございます、ピッコロさん!!」
照れ臭そうに背を向けるピッコロに、満面の笑顔を浮かべる悟飯。そしてそんな彼等の元に子供達に支えられたトランクスが合流した。
「トランクスさん!!無事だったんですね!!」
「え、ええなんとか……すみません、最後の最後に役に立てなくて……」
「気にするな……お前は十分よくやった。」
「そうですよ、トランクスさん!!」
「悟飯さん、ピッコロさん……」
「さて、悟空とベジータは上手くやっていると良いが……」
「大丈夫だよ、ピッコロさん!!」
「パパと悟空おじさんが手を組めば、勝てる奴なんてこの世に誰もいないさ!!」
※※※
「……ん?」
倒れ伏したベビーを見下ろしていたベジットだったが、突如タワーから何かがベビーに向けて照射された。
「あれは……ブルーツ波増幅装置か。へぇ?」
一瞬で照射された物の正体を理解したのか、不敵な笑みを浮かべるベジット。
そしてサイヤパワーが注がれた事で身体の傷が瞬く間に完治し、意識を取り戻したベビーは起き上がると、勝ち誇りながらベジットを睨みつけた。
『グハハハ……!!また形勢逆転だな、猿!!』
「猿はテメェだろうが、ボス猿。あれだけボコボコにやられた癖にその強気は何処から来るんだ?」
『馬鹿め、サイヤ人の特性を忘れたのか?お前から瀕死のダメージを受けて復活した事で、俺は更なるパワーアップを果たしたのだ!!こんな風になぁ!!!!』
禍々しい紫の気を開放するベビー。だが、ベジットは何処までも冷めた目でベビーを見つめていた。
『もう遊びは無しだ!!一瞬で殺してやるっ!!死ね、猿野郎っ!!!!』
紫の気を拳に集中させ、ベジットに殴り掛かるベビー。それに対しベジットは右手の人差し指に気を纏わせると、迫り来る拳を指一本で受け止めてしまった。
『……は?』
「どうした、遊びは無しじゃなかったのか?」
あまりにも現実離れした光景を前に、思わずベビーは間抜けな声を漏らしてしまった。
自分はサイヤ人の特性によって更なるパワーアップを果たした筈だ。今ならこんな猿野郎相手に負ける筈がない。
だと言うのに、何故自分の拳が指一本で受け止められている……?
「どうやら回復からのパワーアップを加味しても、俺とテメェとの差は全く埋まらなかったらしいな。だが最初に言った筈だぜ?同じベジットっつっても、俺とテメェとじゃ格の違いってもんがあるってよ。」
『ひ、ヒィッ……!?』
ベビーは、生まれて初めて心の底から震え上がった。真の恐怖と決定的な挫折に……
恐ろしさと絶望に涙すら流した。これも初めての事だった……
「さて、と。」
ギロリとベジットがタワーの方を睨むと、ブルーツ波増幅装置が全基一斉に爆散した。これ以上回復させるつもりはないのだろう。
「これでもう回復も出来ねぇ……もう隠し玉もねぇようだし、そろそろ終わりにさせて貰うぜ。覚悟は良いか?ベビー……!!」
軽く指の関節を鳴らしながら、気を開放するベジット。
ベビーの最期の時は近い……
ゴハンクスで決める予定だったんですけどね……ここ逃したらビースト出すタイミング無くなりそうだむたんでねじ込む事にしました。すまんなゴハンクス……