ユメ先輩とホシノといっしょにプールに行ってから1ヶ月がたった。今日はヒナに呼ばれてゲヘナに来ていた。
「ゴハン、来てくれてありがとう」
「別に構わないさ。こっちもヒナには何回も助けてもらってるからな。それで今回の要件は?」
「ええ、実は・・・」
ヒナ曰く平日には”魔人”が現れないことがゲヘナの不良の間に広まり最近は平日に暴れる不良が増えているとのことらしい。
「最近では風紀委員会でも抑えられない連中も出てきたからあなたの力を貸してほしいの」
「なるほどな。わかった、手伝おう」
「助かるわ」
その後はヒナや他の風紀委員会と協力して暴れている不良ども次々と抑えていった。
少し暴れたら不良たちは”魔人”が現れたと言い逃げ出した。立ち向かってくるやつもいたがあっさり返り討ちにする。そうして一日中不良どもボコしたことで不良どもは大人しくなった。
「ゴハン、今日は助かったわ。ありがとう」
「どういたしまして。僕の力が必要な時は遠慮なく言ってくれ」
そうしてヒナと別れてゲヘナの校舎を出た。俺は空を飛びアビドスへ戻って行った。アビドス自治区に着いた後、夕飯を買うためコンビニに寄る。夕飯を買いコンビニから出て家に帰ろうとしたとき・・・
「こんばんわ、孫ゴハンさん」
めっちゃ怪しい奴に声を掛けられた。
「・・・・・なんですかあなた?」
「クックック・・・私のことは黒服とお呼びください。今日はあなたと取引するために来ました」
「取引・・・?」
「単刀直入に言いましょう。あなたに私たちの組織に入っていただきたいのです」
「・・・あなたたちの組織ですか?」
黒服と名乗った男はいきなり話かけてきた上に自分たちの組織に入れと言ってきた。正直めちゃくちゃ怪しい。
「ええ、私は【ゲマトリア】という組織に属しておりましてさまざまな研究をしているのです。私は観察者であり、探究者であり、研究者であるのです。私はあなたの【神秘】とも【恐怖】とも違うその力について大変興味があるのです」
(俺の力・・・気のことか?それにこいつが言う【神秘】や【恐怖】とはなんだ?)
「1つ聞いていいですか?あなたが言う【神秘】や【恐怖】というのはなんですか?」
「【神秘】というのはこのキヴォトスにいる生徒たちが持っている力です。【恐怖】というのはその神秘の反対の力だと思っていただけたら結構です。私も全てを理解しているわけではないので」
黒服から聞いた情報から今まで疑問に思っていたことについて考える。
(・・・なるほど。ヘルメット団と最初にヘルメット団と戦った時にホシノから感じたあの力はおそらく神秘だろう。そしてヘイローを持っている奴から気を感じれないのは気の代わりにその神秘を持っているからだろう)
「それであなたはその【神秘】と【恐怖】ではない僕の力について研究したいということですか?」
「その通りです。もちろんタダとは言いません。ゲマトリアに入り私の研究に協力していただければアビドスの借金の半分を支払いましょう。それと小鳥遊ホシノも諦めましょう」
「っ!ホシノだと・・・!」
「ええ、小鳥遊ホシノはアビドス、いえこのキヴォトスにおいて最高の神秘を持っておるのです。前々から興味があり先日あなたと同様に契約を持ち掛けたのですが断られてしまいましてね」
「・・・おい、黒服」
「ッ!?」
「ホシノに手を出すな。もしホシノに手を出してみろ。僕、いや
俺は気を開放する。解放された気は俺の怒りに表すかのように辺りに激しい突風を巻き起こす。
「これはっ・・・ク、クックック、分かりました。今後私からは小鳥遊ホシノには手を出さないことを約束しましょう」
黒服は俺の気で飛ばされないように踏ん張りながらそう言う。
「・・・」
その言葉を聞いた俺は気を収める。
「クックック、あなたのその力、実に素晴らしい!実際に感じてみてますます興味が湧いてきました」
黒服は乱れた服を整えながら興奮したように言う。
「先ほどの話に戻りましょう。どうですか?私に協力していただけませんか?」
「断る」
「なぜですか?」
「お前は信用できない。それにホシノに手を出そうとした奴に協力なんかするか。借金も俺たちで何とかして見せる」
「・・・そうですか。なら今日は素直に退きましょう。孫ゴハンさん、あなたが私に協力してくれるのを待っていますよ。クックック・・・」
黒服はそう言い残すとどこかへ去って行った。
「・・・黒服、今後警戒しておかないとな」
口ではああ言っていたが信用はできない。もしかしたら今後もホシノを狙ってくるかもしれない。
「・・・帰るか」
その後家に帰った俺は今日のことを忘れるかのように眠った。
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「・・・やっば!寝坊した!」
時計を見るとすでに11時を回っていた。俺は急いで支度をしてアビドス高校に向かった。全速力で向かい数分でアビドス高校についた俺は生徒会室に向かう。
「すみません!遅れまし・・・た・・・?」
生徒会室に入るとホシノは不機嫌そうな顔を、ユメ先輩がばつの悪い顔をしておりなんとも言えない空間となっていた。
「あ、ゴハンくん・・・」
「・・・ユメ先輩、何があったんですか?」
「う、ううん!なんにもないよ!私、ちょっと用事があるから出かけてくるね!」
そういうとユメ先輩は急ぐように生徒会室を出ていってしまった。
「・・・ホシノ」
「・・・なんですか、ゴハン」
「なにやらかした」
ユメ先輩のあの表情からおそらくホシノと何かトラブルがあったのだろう。そう思ったため俺はホシノに何があったかを聞く。
「・・・いえ、なにも」
「嘘だな。じゃなければユメ先輩があんな表情するわけないだろ」
「・・・」
ホシノは誤魔化そうとしたが俺にはわかる。いつも一緒に居たためある程度のことは隠していてもわかる。
「ホシノ、別に僕は怒ってるわけじゃない、ホシノは真面目だからユメ先輩が何の理由もなくあんな顔をするわけがない。教えてくれ、何があった」
「・・・分かりました」
俺の言葉に諦めたようにホシノはここで何があったか教えてくれた。どうやらユメ先輩が昔のアビドスのお祭りのポスターを持ってきたらしい。ホシノはそんなユメ先輩に生徒会長としての自覚のなさにキレてユメ先輩の前でそのポスターを破いたらしい。
「・・・ホシノ、たしかにユメ先輩は楽観的過ぎるところはある。現状のアビドスのことを考えるとホシノの言ったこともわかる。でもユメ先輩の前でポスターを破ることはなかったじゃないか?ユメ先輩はおそらく僕たちのことを思ってそれを持ってきたんじゃないか?」
「・・・」
「前にプールに行った時も言っただろ。諦めなければきっとアビドスを復興できるって。ユメ先輩にはその意思が強く宿ってる。だからユメ先輩を信じていこう、な?」
「・・・そうですね・・・たしかに今日は少し言いすぎました・・・」
「じゃあユメ先輩が戻ってきたらちゃんと謝ろうな」
「ええ・・・」
その後はホシノと一緒に書類作業をしていた。17時を回ったころにユメ先輩から電話がかかってきた。
「もしもし、ユメ先輩?」
<もしもし、ゴハンくん。実は・・・>
ユメ先輩からの電話の内容は用事が終わるのが遅くなりそうだから俺とホシノは先に帰っていいとの連絡だった。そのことを伝えたあとユメ先輩が電話を切ろうとするので一度呼び止める。
「ユメ先輩。今日の事情はホシノから聞きました。・・・ホシノも今日のことを謝りたいそうです」
<・・・そっか・・・教えてくれてありがとうゴハンくん>
ユメ先輩はそう言うと電話を切った。俺はユメ先輩からの連絡内容をホシノに伝える。ホシノはばつの悪い顔をしたがユメ先輩からの連絡通り、今日は帰ることにした。俺たちは正門を出る。
「・・・ホシノ、何か悩み事があったら相談しろよ」
「・・・ええ、ではまた明日」
最後にホシノにそう言うとホシノは軽く返事をしたあと帰って行った。
(おそらく俺と同じような会話を黒服として気持ちに焦りが出たんだろうな)
黒服が接触したことで気持ちに焦りが出てユメ先輩に強く当たってしまったのだろう。俺は黒服は警戒をより強めた。
(ちゃんと仲直りできればいいんだけどな・・・)
あと数話で原作開始前のお話は終わります。次回がおそらくこの章のクライマックスのお話になると思います。僕の独自設定が入ってくるとは思います。ちなみに大体想像ついてたと思いますがユメ先輩は生存します。