ピカチュウのヒーローアカデミア   作:でかすぎ史郎

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1話 雄英高校入学試験

 上鳴電気には前世の記憶がある。

 彼はかつてねずみポケモン、ピカチュウだった。

 ファッキンゴッドことアルセウスの思し召しか偶然か、天寿を全うした彼はポケモンの世界から僕のヒーローアカデミアの世界へと転生を果たしたのだ。

 

「元気な男の子ですよ」

 

「これが私達の子供か」

 

「ピ、ピカ!?」

 

 この世界に爆誕した彼は思わず鳴き声をあげる。

 彼の姿は黄色い体毛、赤色のほっぺ、稲妻型のしっぽ、その愛くるしい姿はポケモンの顔役たるピカチュウそのものだ。当たり前だが人間とは程遠い容姿をしている。

 それにも関わらず自分は人間扱いされている。転生したのも相まって彼は困惑した。

 

 この世界にはポケモンは存在しない。

 代わりに個性という全人口の8割が保有する超常の力が存在しており、その個性を悪用する犯罪者ヴィランと取り締まる者ヒーローがいる世界だ。

 彼のピカチュウとしての能力と姿は異形系の個性:電気鼠ということになっている。

 

 そうして彼は困惑しつつも徐々にこの世界に順応していきスクスクと成長していった。

 

「ピカッとひらめいた!ヒーローになるぜ!」

 

 小学生になったある日、上鳴電気はどこかの名探偵ピカチュウのように渋い声で両親の前で宣言をした。

 彼はポケモン世界にいた時にトレーナーの下でバトルをしていた。

 そして転生してもポケモンバトルの熱さを忘れてはいかなかった。

 もう一度ポケモンバトルがしたかった。

 

 だが、この世界にはポケモンバトルはない。ならば一番ポケモンバトルに近い物は何か。

 彼は考えに考えた。そしてある日、見てしまった。

 雄英体育祭の様子を。

 

 雄英の生徒は衆人環視の状態で1対1で個性を使い戦っていた。

 それはまるでポケモンバトルのようだった。

 その瞬間に雄英のヒーロー科に合格することは彼の決定事項となった。

 

 雄英、世界有数のヒーロー科であり、オールマイト・エンデヴァー・ベストジーニストなど有名ヒーローを輩出した名門校。

 その入試倍率は脅威の300倍にして偏差値は脅威の79。まさしく高い壁だ。

 だがそれでも憧れは止められない。

 

 早速、トレーニングと勉学に励んだ。

 そして運命の日を迎えた。雄英ヒーロー科一般入試の日だ。

 

「ここが雄英か」

 

 彼の特性は『せいしんりょく』ではないので思わず緊張で怯んでしまう。

 だがここまで来たのだから今更引くことはできない。

 彼は意を決して試験会場へと向かった。

 

 

 

 筆記試験を終えた彼は大講堂の席についた。

 それから数分後、1人の男が壇上に上がる。

 彼こそはボイスヒーロー、プレゼントマイク。雄英の教員にして実技試験説明のMCだ。

 

「今日は俺のライヴにようこそー! エヴィバディセイヘイ!!!」

 

「…………………………………」

 

 プレゼントマイクは受験生の方にマイクを向けて耳を澄ました。

 当たり前だが試験会場は緊張している受験生で一杯なので返してくれる人はいない。

 大講堂には気まずい雰囲気が漂う。

 

「こいつぁシヴィー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!」

 

 しかしラジオ番組もやっているプレゼントマイクには関係ない。

 滑った空気も何のそのだ。

 

 途中で眼鏡をかけた真面目そうな受験生がオドオドした様子の受験生を注意するなどもあったが、彼は簡潔にルールを説明していく。

 

 制限時間は10分、持ち込み自由。

 試験会場である市街地演習会場には0~3Pの仮想敵がおり、それを行動不能にしてポイントを稼ぐのが受験生の目的。

 当たり前だが他者への攻撃は禁止とのことだ。

 

 そして最後にプレゼントマイクはニヤリと笑いこう言った。

 

Plus(更に) Ultra(向こうへ)!それでは皆、よい受難を!」

 

 プレゼントマイクの言葉を合図に受験生たちは更衣室で動きやすい恰好へと着替えて、仮想敵がいる市街地演習会場へとバスで向かうことになった。

 ちなみに上鳴の服装はポケモンユナイトのホロウェア:スポーツユナイトスタイルピカチュウのような感じだ。

 

「ポケウッドですらこんなセット用意できないぞ。どこからこんな金が」

 

 上鳴は当然の疑問を口にする。彼の目の前には試験会場と呼ぶには余りにも広い市街地群があった。

 

「それはともかく、こりゃ素早い俺には有利だな」

 

 電気袋から電気を出しながら上鳴はそう言う。

 会場は広い、必然的に走り回ることになるだろう。

 ピカチュウの素早さ種族値は90。

 割と速い彼にとっては有利なフィールドだ。

 

「ハイスタート!」

 

 その声に反応して上鳴は『こうそくいどう』で市街地を駆け抜ける。

 彼の前世はポケモン、つまり人の指示を聞くことを生業としていた。故にいつでも人の声に反応できるのだ。

 

「ピカ!ピカ!ピカ!」

 

「標的補足ブッ殺ス!!」

 

「ピーカーヂュー!」

 

 可愛い声(大〇育江ボイス)と共に全身から『10まんボルト』が迸る。

 そしてそれは1P仮想敵(ロボット)に直撃し奴の電気回路はショートし行動不能に陥る。

 

「ヨクモ同胞ヲ!」

「ブッコロ!」

「オ前ラ人間ジャネェ!!!」

 

「喰らえ!『かわらわり』!」

 

 空高く飛び上がり硬化させた尻尾で仮想敵の集団をまとめてカチ割る。

 仮想敵は金属製、つまり鋼タイプだ。格闘タイプの技は効果抜群だ!

 

 これは余談だが『かわらわり』はポケモン世界なら技マシンで習得する技だ。そしてこの世界に技マシンはない。

 なので彼は空手教室に通い練習の末に編み出した。要するに教え技のようなものである。

 

「ピッカァ!もっとかかってこい!」

 

 上鳴は電気袋から電気を発散させる。彼の個性は派手だ。

 必然的に仮想敵の目にも留まる。故に大量の仮想敵が近づいては彼によって行動不能にされていく。

 

 まさしく順調、順調であった。

 彼の個性は鍛え研ぎ澄まされている。そしてロボと相性もいい。圧倒的なスピードで仮想敵を倒していた。

 だが試験開始から7分後、それは突如として終わりを告げる。轟音と共に『じならし』が発生した。

 

「ビガッ!」

 

 地面タイプの技なので上鳴には効果抜群だ!

 威力60とはいえまあまあ効いた。そして素早さが下がった。

 

「あれが0P仮想敵………ダイマックスポケモン並じゃねぇか」

 

 ビルの谷間から超巨大な0P仮想敵が現れた。

 プレゼントマイク曰く「マリオのドッスンのようなギミック」とのことだ。

 ちなみにマリオという単語を聞いた上鳴(ピカチュウ)は遠い異世界で彼と戦ったような感覚*1に襲われた。

 

「なんだよこれ……………」

「死人が出るだろこの試験」

「もうだめだ。おしまいだぁ」

「瓦礫に巻き込まれるぞ!」

「逃げろ!逃げろ!」

 

 蜘蛛の子を散らすように受験生は逃げていく。

 そして上鳴は───

 

「ピカアアアア!オーマイ!アルセウス!」

 

 全力で逃げていた。

 流石に敵わないと思いその場から離れようとしている。

 

「いったぁ」

 

 その声を聴いた彼は動きが止まり反射で仮想敵がいるであろう方角を振り返る。そこには0P仮想敵が現れた時に『じならし』で転んだ女子がいた。

 このままだと危ない。

 そう思った瞬間には考えるより先に体が動いていた。

 

「ピカッァ!無事か!」

 

「あ、ありがと。だけどウチのことはいいから逃げたほうじゃいいんじゃ」

 

 自慢の『こうそくいどう』で女子に駆け寄る。

 女子は震えていた。なぜならば0P仮想敵の赤く光るモノアイと目が合っているからだ。既に奴は彼らを『ロックオン』していた。

 

「帽子を頼む。盛り上げてやるぜ」

 

 上鳴は彼女の足を見た。転んだ拍子にケガをしている、1人では逃げれないだろう。

 自分が背負うのも無理だ。なにせ彼の高さは0.4mで重さは6.0kg。平均的なJCを背負える体格ではない。

 彼は女子に帽子を託して戦うことを選択した。

 要するに、「ダメだ!勝負の最中に 相手に背中をみせられない!」というわけである。

 

「作戦はあるの?」

 

「作戦なんか必要ない。出たとこ勝負で行くぜ」

 

 そう言って『10まんボルト』を放つ。だが巨大すぎるせいか肝心の電気回路まで電撃は通らない。

 0P仮想敵はお返しとばかりに隕石のような大質量のパンチ、『コメットパンチ』を放つ。

 それは上鳴に直撃し「べちん」と吹き飛ばされた。

 

「大丈夫!?」

 

「あー、大丈夫だ。鋼タイプの技は効果いまひとつだから」

 

 電気タイプは鋼タイプの技を半減する。

 それに試験なので仮想敵も少しは手加減している。

 

「なんのこと?」

 

「俺が本気を出したらこんな奴、いちころだ!いくぜ!『ボルテッカー』!」

 

 ピカチュウ一族の専用技『ボルテッカー』は電気技と『でんこうせっか』の併用である。故にそれ相応の反動を受けるが……………上鳴は気にしない!なぜなら彼は『ゆうかん』だからだ。

 この一撃に全てをかけた。

 

「ピカァピカァピカァピカァピカァ!チュー!!!」

 

 黄色い電光が迸った。

 そして、その場には鉄屑の上で立ち尽くす男女が残った。

 つまり0P仮想敵に勝利したのだ。

 

「イタタタ!無事か?えっと、名前なに?」

 

「ウチの名前は耳郎響香。助けてくれてありがとうそれでアンタの名前は」

 

「俺の名前は上鳴電気!よろしくな耳郎!ピッカァ!」

 

 上鳴は愛くるしい(大谷〇江)声をあげて挨拶をする。

 それを見た耳郎はというと………

 

(かわいい)

 

 その愛くるしさに悩殺されていた。

 彼女は見た目によらず乙女であった。

 

 

 

 場所は変わり雄英のモニタールーム。

 そこでは試験官達が今年度の実技試験の講評を行っていた。

 

「まさか0Pが2体も倒されるなんてな!」

 

 倒したのはオドオドした様子の緑髪の少年こと緑谷と黄色い電気鼠こと上鳴だ。

 

「片方は敵Pが0、要は救助Pだけで合格か」

 

 救助P、それは受験生に知らせてないもう一つの採点P。

 文字通り救助活動を行ったものへの加点である。

 緑谷はそのPを稼いだことで合格を勝ち取った。

 

「もう片方は敵Pが60・救助Pが20で総合1位。これは凄いな」

 

 上鳴は合計P80で爆豪を抑えて入試1位に輝いた。仮想敵(鋼タイプ)と相性が良かったのもあるが彼の実力は本物である。

 試験官達の目線の先には彼が仮想敵をなぎ倒す様子が映る。。

 

「俺の合図に唯一反応してスタートダッシュ決めやがった」

 

「個性は電気鼠。同じ鼠として親近感が湧くのさ」

 

「クヒヒ、あんな小さい体でよくあそこまで動けるな」

 

「電気、尻尾ノ複合個性カ。コレハ強イ」

 

「そして極めつけは………」

 

 上鳴が『ボルテッカー』で0P仮想敵を粉砕するシーンになる。

 電光を纏った突進が0P仮想敵の頭部に炸裂し、そのまま鋼鉄を貫いた。

 だが反動も大きく傷を負っている。

 

「0Pを倒した受験生は両方とも自身の放った攻撃で負傷か」

 

「だけど電気鼠の方は意図的な暴走状態に見えるぜ。それに負傷の程度もまだ軽い」

 

「筆記試験も文句なしの合格。雄英で3年間、しっかりと導いてあげよう」

 

 根津校長の言葉に試験官達はうなずく。そして次の受験生の講評が始まる。

 こうしてピカチュウのヒーローアカデミアは始まることになった。

*1
大乱闘スマッシュブラザーズ




(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)今回のピカチュウの技
『10まんボルト』『ボルテッカー』
『かわらわり』『こうそくいどう』

 ゴルーグに何もできない。

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