ピカチュウのヒーローアカデミア   作:でかすぎ史郎

10 / 27
 アンケートへの投票ありがとうございます。


10話 ピカチュウ

「それではこれより表彰式に移ります!」

 

 花火が打ちあがり観客の声がシャワーのように降り注ぐ。

 そんな中、ミッドナイトは表彰式を執り行う。そこには生徒達が表彰台前に集合していた。

 だが生徒達の表情は明るい物ではない、ドン引きしている。

 せっかくの大イベントのフィナーレにも拘らず全員が彼の事を見ている。

 

「wzk0q@at@w@wh.」

 

 そう爆豪だ。

 彼は口から足にかけて全身を拘束されている。

 そして謎の言語を喋りながら上鳴と轟を『にらみつける』。

 まさしく悪鬼羅刹の如くである。

 そんな中でも流石は雄英、普通に表彰式は始まる。

 

「メダル授与式よ!今年メダルを贈呈するのは勿論この人!」

 

「私がメダルを持っ「我らがヒーロー!オールマイト!」

 

 オールマイトとミッドナイトのセリフが少し被り気味になった。

 それはともかくとして、メダルの授与だ。

 まずは3位の常闇。

 

「常闇少年おめでとう!強いな君は!ただ相性差を覆すには個性に頼りっきりじゃダメだ!もっと地力を鍛えれば取れる択が増すだろう」

 

「……御意」

 

 常闇はそれを深く胸に刻む。

 現に入賞したメンツは彼の弱点を突ける攻撃手段を持っているからだ。

 次に同じ3位である轟にオールマイトは近づいた。

 

「轟少年おめでとう!今回、炎の個性を使用したのは何かワケがあるのかな?」

 

「オールマイト………俺だけが吹っ切れて終わりじゃダメだと思いました。清算しなきゃならない」

 

「顔が以前と全然違う。深くは聞くまいよ。今の君ならきっと清算できる」

 

 そして問題の爆豪。

 オールマイトは口につけられた拘束を解いた。

 

「爆豪少年おめでとう!」

 

「オールマイトォォォ!!!2位じゃダメなんだぁ!2位に価値はねぇ!しかも電気鼠は半分野郎と引き分けて、俺は電気鼠に敗北!これじゃ2位未満だぁ!メダルなんていらねぇ!」

 

 地味に呼び名が鼠から電気鼠に進化していることは置いておいて、まるで角が生えているかのように目を尖らせながら爆豪は叫び倒す。

 

「まあ受け取っとけ傷として」

 

「いらねぇ!俺が負けた記念なんざ!」

 

 あくまで受け取らない姿勢の爆豪だがオールマイトが彼の口に無理やり嵌めてメダルの授与は完了する。

 最後に1位の上鳴の番だ。

 オールマイトは満面の笑みで上鳴に近づく。

 

「上鳴少年!宣誓の伏線回収見事だったな!」

 

 雄英体育祭の宣誓。

【結局、僕が一番強くて凄いんだよね!】

 その発言を有言実行し見事、全種目で1位へと輝いたわけである。

 ダイゴさん大誤算とならずに済んだわけだ。

 

「君はもっと強くなれる!がんばれよ!」

 

「ピカ!僕も貴方みたいな偉大なヒーローになります!」

 

「HAHAHA!未来も安泰だな!」

 

 オールマイトは拍手をし、周りの教師・観客・選手達も拍手を送る。

 頃合いを見てオールマイトは振り返り腕を高らかに上げる。

 会場の心が1つになろうとする。

 

「今回は彼らだった!しかし皆さん!この場の誰にもここに立つ可能性はあった!次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている。てな感じで最後に一言!ご唱和ください!せーの」

 

「プルスウル「おつかれさまでした!」

 

「そこはプルスウルトラでしょ。オールマイト!」

 

 まさかの言葉だった。

 そこはプルスウルトラだろうと会場中から大ブーイングだ。

 だがそれすらもオールマイトにかかればネタになる。

 

「ああ、いや疲れたろうなと思って」

 

 なんとも締まらない形で雄英体育祭は閉幕することになった。

 その後、クラスに戻った生徒達は相澤から2日の休みと休み明けにプロからの指名の発表がある事を聞かされて帰宅した。

 優勝した上鳴は彼の両親である上鳴怒牛(ドーブル)と上鳴雷宙(ライチュウ)に『おいわい』を受けて優雅な休暇を過ごしたそうな。

 

 そして3日後。

 上鳴はいつものように通学の為に電車の網棚の上で寝転がっていると………誰かの視線を感じる。

 彼がふりむくと知らないオッサンと目があった。

 

「君、君、ヒーロー科の上鳴くん」

 

「え!?」

 

「体育祭優勝おめでとう!」

 

「本当に小さくてかわいいねぇ」

 

「電車乗るの大変でしょう」

 

「マジリスペクトっす!握手してください!できれば腕相撲の時みたいに尻尾で」

 

「色々な技つかってたよね何の個性?」

 

 道行く人々から様々な視線や応援を向けられる。

 まるで有名人にあったような反応だ、まあ雄英の体育祭の規模を考えると実際有名人なわけだが。

 上鳴は途中で質問攻めに会いながらもなんとか切り抜けながら雄英へと逃げ込んだ。

 

「超、声かけられたよ来る途中!」

 

「俺なんか小学生にいきなりドンマイコールされたぜ」

 

「ドンマイ」

 

「まあ全国中継だもんなぁ…」

 

「やっぱ雄英すげぇな」

 

 クラスに浮ついた雰囲気が流れる。

 だがそれは長くは続かない。

 なぜならば相澤がやってきたからだ。クラスはすぐに静まり返る。

 

「今日のヒーロー情報学はちょっと特別だぞ」

 

「特別?」

 

「コードネーム、ヒーロー名の考案だ」

 

「胸ふくらむヤツきたぁぁぁ!」

 

 重苦しい空気から一転、楽しい空気へと早変わりだ。

 ヒーローを志すなら誰もが一度は考えるヤツだ。

 

「静かにしろ」

 

 その言葉でクラス中は静まり返る。

 そして相澤は詳しい訳を話す。

 

 曰く、体育祭の様子を見てプロ達からのドラフト指名があるとのことだ。

 

「指名が本格化するのは2・3年から…つまり今回来た使命は将来性に対する興味に近い。卒業までにその興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてことはよくある」

 

「頂いた指名がそんまま自身へのハードルになるんですね」

 

「そうだ、それで指名の集計結果がこうだ」

 

 相澤が画面を操作すると結果が表示される。

 

 ・A組指名件数

 上鳴:4821

  轟:3987

 爆豪:2414

 常闇:360

 飯田:251

八百万:108

 耳郎:87

 切島:68

 麗日:20

 瀬呂:14

 峰田:7

 

「例年はもっとバラけるんだが3人に注目が偏った」

 

(そんなにか………)

 

 上鳴は内心でビビり倒す。

 彼の見た目はとてつもなくプリティーで実力も申し分ない。

 当然の結果であろう。

 

「2位と3位逆転してんじゃん」

 

「表彰台で拘束された奴とかビビるもんな…」

 

「ビビってんじゃねぇよプロが!」

 

 瀬呂と切島の会話に爆豪が切れ散らかす。

 

「ウチ、意外と指名が入ってる。なんで?」

 

「きっと上鳴さんと良い勝負をなされたからですわ」

 

 八百万はそう言って耳郎の疑問について答える。

 1位の上鳴に食い下がったおかげで耳郎にも指名が入っていた。

 

 そして相澤は話を続ける。

 

「これを踏まえ指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう。それで必要になるのがヒーロー名だ。まぁ仮ではあるが適当なもんは…」

 

「付けたら地獄を見ちゃうよ!」

 

「ミッドナイト!」

 

 教室に突如として現れたのは体育祭の主審でお馴染みのミッドナイトだ。

 彼女がヒーローネーム担当の教員である。

 

「この時の名が世に認知され、そのままプロ名になってる人が多いからね。特にそこのイレイザーヘッドとかそうだし」

 

 相澤ことイレイザーヘッドはヒーロー情報学の授業でプレゼントマイクから付けられた名前を今でも使っている。

 

「そういうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう」

 

 そう言うと相澤は寝袋に包まりミノムッチになる。

 後はミッドナイトに全て任せるつもりのようだ。

 そして15分後が経った。

 

「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね」

 

 まさかの発表形式である。

 提出形式ではなかった。

 まあどこに出しても恥ずかしくない名前を付けるのだし発表するのは道理である。

 そしてそんな勇気ある第一号は内通者の青山であった。

 

「輝きヒーロー!I can not stop twinkling(キラキラが止められないよ)」

 

「短文!」

 

 まさかの文章であった。

 これは成立するのかと生徒は息を飲んで見守る。

 

「そこはIをとってCan’tに省略しなさい。後はアメリカ英語のCan’t(キャント)イギリス英語のCan’t(カント)にした方が良い易いかもね。非常時を考えるなら言い易さは重要よ」

 

「それねマドモアゼル☆」

 

(ありなんかい)

 

 普通にOKであった。

 青山を皮切りにどんどんと名前が出てくる。

 

「エイリアンクイーン!」

 

「2!血が強酸性のアレを目指してるの。やめときな!」

 

 なんということでしょう。

 スタートダッシュを切った2人がアレだったせいで大喜利みたいな空気になってしまった。

 この空気どうするんだと思った矢先、良い意味で空気を読まない蛙吹梅雨が教壇に立った。

 

「小学生の時から決めてたの。FROPPY」

 

「カワイイ!親しみやすくて良いわ!皆から愛されるお手本のようなネーミングね!」

 

 始めてまともなのが出た。

 これにより発表しやすくなった雰囲気になり続々とヒーロー名が発表されていく。

 

烈怒頼雄斗(レッドライオット)!」

「テンタコル」

「セロファン」

「テ…テイルマン」

「被った………シュガーマン」

Pinky(ピンキー)!」

「インビジブルガール!」

「クリエイティ」

「ツクヨミ」

「グレープジュース!」

「アニマ」

「ウラビティ」

 

 ヒーロー名とは第二の名前のようなものなので基本的にはまともなのが発表されていく。

 まあ中には「デク」だの「ショート」だの「テンヤ」など実名由来のヒーロー名や、「爆殺王」など論外のものなどもあったが。

 

 そして上鳴の番になった。

 

「マウスヒーロー、ピカチュウ」

 

「あらかわいいじゃない。「ピカ」で電気・「チュウ」で鼠を現したのね♡」

 

 ミッドナイトから太鼓判を貰い上鳴のヒーロー名は認められる。

 まあヒーロー名といっても前世の種族名なのだが。

 結局、上鳴はセンスの良い名前が思いつかず自分の前世の名前を取った。

 

「上鳴、ピカチュウってアンタの鳴き声じゃん」

 

「ピカ?そうだな」

 

 上鳴は感嘆詞などを「ピカ?」や「ピカチュウ」と可愛いい声(大〇育江ボイス)でよく話している。

 

「もしかして今までキャラ作ってた?」

 

「いや鳴き声が先に来て名前がある」

 

「へ~」

 

 そう言って耳郎は疑わしそうな眼をしつつ自分のヒーロー名を発表する。

 彼女のヒーロー名は「イヤホンジャック」とのことだ。パンクで粋な名前である。

 そしてこの時間で爆豪を除いた全員のヒーロー名が決まった。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

 ヒーロー名が決まり次にやることは職場体験先を決めることだ。

 指名がある者はそこから選び、無い者は雄英がオファーした受け入れ可の事務所から選ぶことになっている。

 指名1位である上鳴はより取り見取り。実に4000を超える指名がある。指名を一通り見るだけでも大変だ。

 そしてその中から吟味し決定しなければならない。

 彼は分厚い紙の束とにらめっこをしている。

 

「うわぁ………人気があっていいなと思ったけどこれは辛そう」

「そうだな芦戸。今日は徹夜で全部見るコースだ」

「いかんぞ上鳴くん!徹夜は健康に悪い!」

「なあちょっと見せてくれよ」

「いいぜ、出来れば指名選びに協力してくれ」

 

 そう言って上鳴はクラスメイト達に有名ヒーローのみをまとめた指名の紙を渡す。

 ちなみに提出期限は残り2日である。

 明らかに時間が足りてない。

 

「エンデヴァー………エッジショット………ベストジーニスト………ミルコ………クラスト………ウォッシュ………ヨロイムシャ………リューキュウ!?凄いや上鳴くん!」

 

「うへぇ~、そんな大物揃いだとそりゃ迷うわ」

 

 紙を見てメンツを読み上げる緑谷とそれを聞くクラスメイト達は驚きの表情をする。

 上鳴はビルボードチャート上位常連のヒーローに勧誘を受けていたのだ。

 

「どれでも良い体験が出来そうだから困るんだよな」

 

「ケロ………贅沢な悩みね」

 

「緑谷、俺の個性から言って誰が一番相性が良さそうなんだ?」

 

 餅は餅屋、ヒーローにはヒーローオタクである。

 よって上鳴は雄英1のヒーローオタクである緑谷から意見を聞くことにした。

 

「うーん、指名があった有名ヒーローの中には電気の個性を持つヒーローはいないね………ブツブツ………だとするなら上鳴くんの身体能力の高さを活かせるヒーローになる………ブツブツ………そうなるとミルコかリューキュウかな………ブツブツ………上鳴君の強みは身体能力の高さだけではなく見た目のキャッチ―さもある………ブツブツ………じゃあ子供に大人気のウォッシュも捨てがたい………ブツブツ………メディア戦略を考えても………ブツブツ………ここは平均的に強いエンデヴァーか?………ブツブツ………いやクラストやジーニストも捨てがたい」

 

「………なるほど。ちなみに耳郎はどこに行くか決めたのか?」

 

「ギャングオルカ。オルカは音で攻撃できたり探知できたりするからウチの個性と相性良いと思ってさ」

 

「なるほど………」

 

 上鳴は2人の発言を下敷きにして考える。

 確かに個性と相性が良い方がより良い助言を貰えるだろう。

 だが緑谷インフォメーションによると彼のメインウェポンである電気を扱う有名ヒーローはいないとのことだ。

 ならばそれ以外の要素で探すべきだろう。

 

「うーむ、悩ましい」

 

「ウチも手伝うからがんばろ」

 

「オイラもドチャシコヒーローインフォメーションで手伝うぜ。」

 

「俺も力を貸そう。複数の腕を活かした効率的な書類整理なら任せろ」

 

 耳郎と体育祭で共闘した峰田と障子も上鳴の手伝いをし始める。

 4000もあるのだから隠れた名店ならぬ名ヒーローがいるかもしれない。

 そして手伝いの参加者達は増えて、大勢であれやこれやとヒーローを吟味するイベントになった。

 

(ピカ………なんだがこういうのいいな)

 

 上鳴は少し嬉しい気持ちになる。

 彼は前世では野生とトレーナーの手持ちで学生生活とは無縁だった。

 だからこそこういうのは始めてなのだ。

 

(やっぱこれかな)

 

 そうして数時間をかけて上鳴はある1人のヒーローの指名を受けることに決めた。




 上鳴チュウのレベルは現在41。
 原作でオールマイトが期末試験で言った「レベル1(緑谷)の力とレベル50(爆豪)の力、成長速度が同じなハズないだろう?」発言を参考にして職場体験で得る経験なども考慮して40代くらいかなと思って設定しました。

文化祭の掲示板展開見たい?

  • 見たい
  • 見たくない
  • どっちでもええよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。