ピカチュウのヒーローアカデミア   作:でかすぎ史郎

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 今更なんですけ『』内のものはポケモンネタがあります。


12話 保須にて

 職場体験2日目。

 上鳴は訓練場で『そらをとぶ』為に奮闘していた。

 

「ピッカァ!ピィカァ!」

 

 なぜこんなことをしているかというと初日にリューキュウとこういうやり取りをしていたからだ。

 

「じゃあ次は『そらをとぶ』練習ね」

 

「ピカ?」

 

「ねぇピカチュウ、話は変わるけど貴方は仮免許取得後に私のインターンに来てといったら来てくれるかしら?」

 

「はい是非ともお願いしたいです」

 

 上鳴にとって技制限を撤廃してくれた彼女達は大恩人だ。

 故に仮免許取得後のインターンもリューキュウ事務所にお世話になりたいと思っている。

 

「私の個性は見ての通りドラゴン、滑空することができるわ。そしてねじれの個性は波動、その波動を使って空中浮遊ができるわ。要するに私のサイドキックになるにはある程度、飛べる必要があるの」

 

「なるほど」

 

「ピカチュウの個性は電気鼠。だから『でんじふゆう』すれば飛べることができるでしょう。というわけで練習しましょ」

 

 そういうわけで今の上鳴は技制限撤廃の練習と並行して、『そらをとぶ』の前段階の『でんじふゆう』の前段階の練習としてリューキュウが用意した鉄板を『でんじは』で磁力を操り浮かす練習をしている。

 

(雄英よりハードだな。でも間違いなく強くなる)

 

 彼は確信している。これは前世の自分よりも強くなれると。

 

 ちなみにリューキュウはパトロールに出ている。

 今はねじれが上鳴を監督しているわけだ。

 なおこの采配には上鳴の恋心(勘違い)を応援するリューキュウの心遣いがあるのは秘密だ。

 

「おお!浮きました!鉄板が浮きましたよねじれ先輩!」

 

「おめでとう~!じゃあ次は鉄板の上に乗る練習だね!」

 

 ねじれは後輩が可愛くて仕方ないようで、自分の事のように喜ぶ。

 

「じゃあ早速、ピカッ!?」

 

 上鳴は鉄板の上に乗ってみるが鉄板がひっくり返ってしまう。彼は地面に叩きつけられた。

 

「私が補助輪になるからそれで少しずつ『ふゆう』に慣れていこうかー!」

 

 ねじれは上鳴の体を持った。そして彼女の個性で『ふゆう』する。

 

「じゃあ鉄板の上に乗せるよ」

 

「はい!」

 

 そして彼女は上鳴の力で『ふゆう』している鉄板の上に彼を乗せた。もちろん波動で補助している。

 

「ピ!ピカッ!乗れた!ねじれ先輩が補助してくれたおかげだ!」

 

「ねぇねぇ、ヒーロー名がピカチュウなのと鳴き声が「ピカ」なのは何か関連があるの?」

 

「はい、鳴き声が先にあってそれをヒーロー名にしました」

 

「ねぇねぇ、ところで私は補助を数秒前にやめたよ」

 

「ピカッ!?本当だ!先輩の力なしでも『ふゆう』してるぜ!」

 

「じゃあ次は横移動の練習だね」

 

 そうして『でんじふゆう』の特訓は続いていく。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

「ピカァァァ~疲れたぜぇ~」

 

 上鳴、いや上鳴はリューキュウ事務所近くのホテルで休んでいる。

 あの後、彼は特訓の他にもリューキュウやねじれと一緒にCM撮影をしたりと大忙しだった。

 

(明日は保須市か……………確かあそこは飯田がいたな)

 

 リューキュウから予定は聞いている。

 明日は保須市に行くことになった。

 なんでも彼女はヒーロー殺しへの警戒として公安から保須に出向くようにと依頼を受けたとのことだ。

 

(ヒーロー殺しステイン。飯田のお兄さんインゲニウムを再起不能にしたヒーローか)

 

 飯田とは体育祭で一度戦った仲。つまり戦友(とも)だ。

 上鳴もニュースを聞き飯田に問いかけたこともあった。

 

「心配をかけてすまない!俺は大丈夫さ!」

 

 そう言われてその時は引き下がった。

 

(だけどステインがいるであろう保須にいるんだよな。偶然とは考えにくい。やはり復讐をしようと?)

 

 私刑行為、それはヒーロー免許を持っていても許されないことだ。

 

(………いや杞憂だな)

 

 思考を打ち切りスマホを見る。

 そこには耳郎からのメッセージが届いていた。

【ウチはギャングオルカのとこで頑張ってるよ~上鳴もリューキュウのとこで頑張ってね】と書いてあった。

 上鳴はそれに【俺は浮遊した。そして技が5つ以上つかえそうになりそう。そっちも頑張れ】と返事をする。

 ちなみに、それに対する彼女の返信は【本当に何があった?】である。

 

「もうそろそろ寝るか」

 

 そうして上鳴は大きすぎるベッドで丸くなり静かに眠りについた。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

 職場体験3日目。

 リューキュウ達は早朝から移動して事務所のある横浜から川崎を経由して東京都保須市へと来ていた。

 そして彼女達は拠点として借りたオフィスビルの1室で準備を行っていた。

 

(飯田に会えるといいな)

 

 上鳴こと上鳴はそう思いながら準備の手伝いをする。

 そして時間が経ち準備は終わり、リューキュウがサイドキック達を集合させる。

 

「全員、保須市のマップは頭に叩き込んだわね?これより保須市でのヒーロー活動を行うわ!標的は人気の無い街の死角に出没する可能性が高いわ。ピカチュウは常に私の側に居て。勝手な行動はとらず、見学に徹すること。いいわね?」

 

「ピカ!」

 

「じゃあパトロール開始!」

 

 そうしてパトロールが始まった。

 

「ヒーローが多いですね。それになんかピリピリしてます」

 

 上鳴は一目で町の雰囲気に気づく。

 

「ええ、既に保須は厳戒態勢よ。私以外にもエンデヴァーがいるわ。公安もヒーロー殺しをここで潰したい意向よ」

 

「なるほど」

 

(エンデヴァーか。確か轟の父だったな)

 

「ねぇねぇ、ピカチュウはそんな状況なのに落ち着いてるね。もしかしてUSJ襲撃でヴィランと交戦して慣れた?」

 

「まあそれもありますね」

 

 ねじれのノンデリ質問に上鳴はそう返した。

 実際には前世で元ご主人と共に数多の悪の組織達と戦ってきた経験からだ。

 そしてある程度、パトロールを行い休憩時間に入った。

 彼らは自動販売機から『おいしいみず』を買って飲んでいる所だ。

 

「ピカァ、パトロールって疲れますねリューキュウさん」

 

「ええ、だけど犯罪抑止には重要よ」

 

 リューキュウ・ねじれ・上鳴は世間話に花を咲かせる。

 その瞬間だった。

 大きな音が自動販売機のある方角から響いた。

 

「焦凍ォ!お父さんが『とくせんリンゴジュース』を買ってやろう!」

 

「父親面すんじゃねぇ」

 

 エンデヴァーと轟(息子)がいた。

 上鳴は思わず声をかける。

 

「あ!轟!」

 

「ムゥ、エンデヴァーと呼べい!」

 

「ピカ?いやそっちじゃなくて………」

 

「俺の方だ」

 

 轟は上鳴の方へと近づく。

 エンデヴァーと轟は親子、つまり同じ苗字なので非常に紛らわしい。

 

「エンデヴァー?」

 

「リューキュウか。お前も休憩中か。そして上鳴電気か。覚えているぞ、雄英体育祭で焦凍と引き分けた男?*1だったな」

 

「いや最終的に俺は腕相撲で負けたぞ」

 

「そんな細かいところはどうでもいい!」

 

 エンデヴァーは上鳴を『にらみつける』。

 彼からすれば自分の最高傑作に初めて土をつけた相手だ。

 

「久しぶりってほどでもないか。轟はエンデヴァーの所に行っていたんだな」

 

「ああ、ここが1番、俺が成長できると考えてな。前のようには行かないぞ」

 

「チュウ!それは楽しみだ。俺も強くなってるぞ」

 

 上鳴と轟は火花を散らす。

 彼らは雄英体育祭以降、ライバルのような関係になっている。

 

「ハッハッハッ!まあ次は焦凍の勝ちだろうがな」

 

「「「「………………………………」」」」

 

 エンデヴァーの親バカ具合にこの場にいる全員が軽く引く。

 まあ子煩悩なのは良いことだ。

 なお実際は行き過ぎて虐待してたわけだが。

 

 彼らは休憩がてら雑談をする。

 そして上鳴はある質問を投げかける。

 

「しかしリューキュウさん。都市はこんなに物々しいというのに平和ですね」

 

「ええ、これだけヒーローが集まっている都市で派手な犯罪を起こすヴィランはそうそういないわね」

 

「だが裏を返せばそんな所で派手な犯罪が起こすヴィランは理性が飛んでいるということになる。そういう時はいつも以上に気をつけた方がいいな」

 

「なるほど………勉強になりますエンデヴァーさん」

 

 上鳴の疑問にリューキュウとエンデヴァーが答えてくれた。

 彼らもトップヒーロー、故にそういう経験はたくさん積んでいる。

 

「つまりヒーロー殺しも派手な犯罪は出来ないということか」

 

「そうなるね~平和ならそれに越したことはないよねリューキュウ」

 

 轟とねじれの言葉に全員がうなずく。

 しかし平和とは得てして突然、壊れるものだ。

 

「ヴィランだぁ!」

 

 その声と共に腹に響くような重低音が遠くから聞こえた。

 悪意が保須を喰らわんと這い出てきた。

 

「いくわよ!」

 

「ああ!」

 

 エンデヴァー達は音がする方へと向かおうとする。

 

「焦凍!事件だついてこい、ヒーローというものを見せてやる!」

 

「…………………おい!上鳴!携帯を見ろ!」

 

「分かった!」

 

 上鳴は轟に促されるままに携帯を見る。

 画面には緑谷からのメッセージが届いている。つい先ほど送られてきたものだ。

 

「緑谷からクラスメイト全員にメッセージ?しかも住所だけだと?場所は保須市…………まさか緑谷の身になにかあったのか!?」

 

「だろうな」

 

「ケータイじゃない!俺を見ろ焦凍ォ!」

 

 エンデヴァーが注意するが、その言葉は2人の耳には入っていなかった。

 

「江向通り4-2-10の細道。そっちが済むか手の空いたプロがいたら応援頼む。おまえとリューキュウさんならすぐ解決出来るだろ。友達がピンチかもしれねぇ。上鳴、緑谷の所に行くぞ!」

 

「ピカッ!」

 

 上鳴も轟も『れいせい』に状況を見極める。

 先ほど発生したであろう事件に自分たちの出番はない。なぜならエンデヴァーとリューキュウがいる。

 ならば緑谷の危機を助けるのが最も優先するべきこと。

 

「こちらバーニン!飛行個性持ちのヴィランが街中でヒーローを襲っている模様!更に中央本線の上り新幹線を別のヴィランが襲撃、今は保須駅付近でヒーローと戦闘中とのこと」

 

 エンデヴァーのサイドキックからインカム越しに報告が入る。

 

「同時多発か。計画的犯行の可能性が高いな?」

 

「だとしたら友達がピンチな場所もヴィランがいる可能性が高いわね」

 

「焦凍よ。お前達が向かっている先にヴィランがいるかもしれん。良いか?お前達は仮免許もない。戦闘は原則的に禁じられている事を認識して行動しろ」

 

「分かった」

 

 そうして彼らは緑谷を助けに向かう。

 

「大丈夫なの?エンデヴァー!」

 

「無論だ、リューキュウよ。奴らの実力ならばそこらのヴィランごとき余裕で撤退できる」

 

「でもヒーロー殺しがいたらそうはいかないわ………」

 

「それはあり得んだろう。これまでの目撃証言からして奴は単独犯だ。この事件にヒーロー殺しが関わっている可能性は低い」

 

 だが実際には彼らが向かう場所にはヒーロー殺しがいる。

 今回の事件はヒーロー殺しの活動を妨害するために敵連合が脳無を送り込んだのが真相だ。

 これはエンデヴァーのミスだ。

 しかしそれを誰が予想できただろうか。

 彼が自身の判断を後悔するのは事件が全て終わった後になる。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

 江向通り4-2-10の細道。

 

 緑谷が指定したその場所ではとんでもないことが起こっていた。

 ヒーロー殺しステインがいた。

 

「次から次へと………ハァ……」

 

 薄暗い路地裏でヒーローと飯田が倒れており緑谷がステインと対峙している。

 だが遂に応援が来ることになる。

 上鳴と轟だ。

 

「大丈夫だ数分もすりゃプロも現着する」

 

 轟がそう言うとヒーローとクラスメイト達を氷で纏わせて、そこに熱で溶かして自分の傍に持ってくる。

 そして上鳴の『10まんボルト』でステインの攻撃を行うが躱された。

 

「轟くん達!そいつに血を見せちゃダメだ!たぶん血の経口摂取で相手の自由を奪う!皆やられた」

 

「いくぞ上鳴!俺らなら距離を保ったまま…」

 

 それを言い終わる前にナイフが飛んでくる。

 咄嗟に上鳴は『アイアンテール』で弾く。

 

「悪くはない」

 

 だが投げられたナイフは1本ではなかった。2本目のナイフが轟の左頬を掠る。頬からは血が出ている。

 その瞬間にステインは剣を放り投げてからナイフで切りかかる。

 なんとか轟は氷で防ぐがステインは彼の左頬を『したでなめる』を行おうとする。

 だがそれは彼の炎でギリギリの所で防がれた。

 

「ピカァ♡」

 

「グッ!」

 

 ステインはついでに上鳴も狙おうとしたがそれは『チャームボイス』で防がれる。

 音だけは防ぎようがない。

 

「『かげぶんしん』+『ボルテッカー』!」

 

 黄色い電光が迸る。『かげぶんしん』は実体がないハリボテなので攻撃はできないが相手を翻弄することができる。

 

「ハァ……当たれば気絶していたな」

 

(これも躱すか。ヒーロー殺しは強いな。というか、あれ?使った技は『10まんボルト』『アイアンテール』『チャームボイス』『かげぶんしん』『ボルテッカー』。いつの間にか技制限が撤廃されている!?)

 

 いつの間にか技制限4つが撤廃されているのは置いておいて、轟の隣で倒れている飯田は憎しみに満ちた目で震えていた。

 

「何故、3人とも何故だ!辞めてくれよ…兄さんの名をインゲニウムを継いだんだ…僕がやらなきゃ。そいつは僕が…」

 

「俺が見たことがあるインゲニウムはそんな顔じゃなかったけどな」

 

 轟は諭すように話す。

 その言葉に飯田は言葉を失う。

 そして轟は氷の壁を作り逃走を図る。

 

「己より素早い相手に対自ら視界を遮る愚策だ」

 

「そりゃどうかな」

 

 氷の壁を切り裂くステインへ『かえんほうしゃ』しようとする轟だが、そこにステインがナイフを『なげつける』。

 

「させるかよ!」

 

 上鳴は『アイアンテール』でそれを庇う。「カキィン」という高い音が路地裏に響く。

 

「お前達も良い…」

 

 ステインはビルの壁を駆けあがる。そして刀を振りかぶり上空からの奇襲を行う。

 その瞬間だった。

 倒れていた緑谷が復活し、ステインの横っ腹を蹴り飛ばした。

 

「3対1か………甘くはないな」

 

 ステインは『れいせい』かつ狂気に満ちた目でヒーローの卵達を見る。

 本当の戦いが始まろうとしていた。

*1
上鳴はチアコスをしていたので自信が無くなっている




『でんじふゆう』はsvでは覚えられませんが過去作で覚えられるので採用しました。

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