ピカチュウのヒーローアカデミア   作:でかすぎ史郎

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13話 ヒーロー殺し

「緑谷、お前なんで動けるんだ?」

 

「なんか普通に動けるようになった」

 

「時間制限か」

 

「いやあの子が一番後にやられた」

 

 そう言って先にやられたヒーローが情報を補足する。

 

「僕だけ先に動けたってことは、人数が多くなるほど効果が薄くなるか・摂取量か・血液型か…」

 

「血液型…俺はBだ」

 

「僕はA………」

 

「僕はO型」

 

 ヒーロー・飯田・緑谷がそれぞれの血液型を口にする。

 偶然にも全員バラバラだ。

 

「血液型………ハァ、正解だ」

 

 ステインは観念したのかそう言う。

 

「わかったことでどうにもなんないけど…さっさと逃げたいところだけど」

 

「ピカ、まあ無理だろうな。プロが来るまで粘るのが最善だ」

 

 そうして緑谷が飯田とヒーローの護衛、ショートと上鳴が個性で寄せ付けないようにする………がそう簡単には上手くいかない。

 氷と炎と電気という圧倒的弾幕をステインは避ける。避けて避けまくる。

 そして近くによられた。だが問題はない。『アイアンテール』でステインの刀と鍔迫り合う。

 

(喰らえ!『アイアンテール』+『10まんボルト』!)

 

 黒鉄の尻尾に電気が流れる。そしてそれはステインの刀を経由して彼の体に通電し一瞬痺れる。

 

「SMASH!」

 

「ハァッ!」

 

 通電してる隙に緑谷がパンチを繰り出すが、事前に上に投げていたナイフが自由落下により彼の腕に命中し威力が殺される。

 そして返しの蹴りが緑谷の顔面にヒットさせる、彼の体が宙を舞う。

 

【良い火力ね!でもスーパーヴィランならこれくらい耐えてくるわよ!】

 

 上鳴はリューキュウに『10まんボルト』を撃った時に言われたセリフを思い出す。(11話参照)

 彼女の言う通り本当に耐えてきた。

 

「これならどうだ!」

 

 ショートの『かえんほうしゃ』。しかしまたしても避けられる。

 

(なんで避けられんだよコレが!)

 

 内心でショートは悪態をつく。そして刀が彼の目前に迫る。

 だがこれは流石に避けることは不可能だ。

 そう、レシプロバーストだ!ステインの刀がへし折れる。

 

 飯田が復帰した。

 

「みんな、申し訳ない。だからもう3人にこれ以上、血を流させるわけにはいかない」

 

「感化され、取り繕おうとも無駄だ。人間の本質は易々と変わらない」

 

 ステインは飯田がヒーローとしてではなく、兄の『かたきうち』をしにきた復讐者であることを知っている。

 

「お前は私欲を優先する贋物にしかならない!ヒーローを歪ませる社会の癌だ!誰かが正さねばならないんだ」

 

 ヒーロー殺しステイン、ヒーロー殺しの前は断罪者スタンダールと名乗りヴィランを正義の為と称して殺しまくるイカレポンチである。

 しかしスタンダールとして活動中にヴィランよりも英雄まがいの方が罪深いという意味不明な論理に到達しヒーロー殺しに進化したのだ。

 

「ピカ?だからって人殺しとか狂ってんだろ。耳を貸すなよ飯田。耳が腐る」

 

「いや言う通りさ。僕にヒーローを名乗る資格などない。それでも折れるわけにはいかない!俺が折れればインゲニウムは死んでしまう」

 

「論外」

 

 ステインは静かに怒り攻撃を再開する。

 それを上鳴とショートが迎撃するも回避される。

 

(クソッ!さっきより動きが拙速になっている。焦ってやがる)

 

 上鳴は察した。

 個性からしても本来、多対一なんて最も苦手、間もなくプロも到着するのならばなおさらだ。

 だがそれでも諦めないのは執念だ。

 

「轟くん!僕の脚を凍らせてくれ!排気筒は塞がずにな」

 

「ハァ…させるか!」

 

 ショートは飯田の脚を凍らせる。

 しかしステインは何もさせないように飛び上がりナイフを投げる。

 

「ピカァッ!」

 

 しかしそれは上鳴の『アイアンテール』で防がれる。そしてそこに+して『かげぶんしん』を行った。

 全ては攪乱の為だ。

 ステインは突然の分身に動きが一瞬だけ止まる。

 

「7%フルカウル」

 

「レシプロ」

 

 緑谷と飯田がステインへと迫る。2人は既に攪乱の意図を察して駆け出していた。

 

「ぶちかませ!」

 

「デトロイトスマッシュ!」

 

「エクステンド!」

 

 緑谷の拳と飯田の脚がステインに叩きこまれる。

 そしてステインは気絶した。

 

「ガッ…」

 

 緑谷と飯田はステインと共に落ちてくるがショートは氷で受け止める。

 

「さすがに気絶してる?」

 

「じゃあ拘束して通りにでよう。何か縛れるもんは…」

 

「念のため、武器は全部外しておこう」

 

 緑谷達はステインは拘束した。

 そして彼らは路地裏から脱出した。

 

「む?んなっ!何故おまえがここに!」

 

「グラントリノ!」

 

「座ってろっつったろ!」

 

 緑谷の職場体験先のヒーロー、グラントリノと合流する。

 そして徐々に、ねじれを始めとしたヒーローが集まって来た。

 

「もうピカチュウ!リューキュウ、怒ってたよ」

 

「すみません。ところでリューキュウは?」

 

「エンデヴァーと一緒にヴィランと交戦中だ」

 

「おい!こいつは?」

 

「ヒーロー殺しだ」

 

 その瞬間だった。突如としてステインが拘束を解いて立ち上がった。

 拘束が解かれた理由はリストバンドに仕込んであった暗器を見逃していたからだ。

 そしてステインは飯田の腹にナイフ突き刺した。

 

 それはまさしく執念の一撃であった。

 

「全ては!正しき!社会の為に!正さねば!誰かが血に染まらねば!ヒーローを取り戻さねば!」

 

「この!」

 

 グラントリノがステインを蹴り上げて今度こそ奴を気絶させる。

 

「大変だ!子供が刺された!」

 

「早く救急車を」

 

「既にそばかすの子用に呼んである!それより応急処置だ!」

 

 ヒーロー達はそれぞれが最適な行動をとる。彼らもプロ、相応の行動は身についている。

 だが傷は深く、飯田は死にそうだ。

 

「俺がやります」

 

「なんだ君は!?」

 

「俺は回復技が使えます。応急処置程度なら出来るかと」

 

 そう、上鳴には回復技の『ねがいごと』がある。

 彼は飯田の前に立った。

 

(技を4つ以上使えたのは火事場の馬鹿力なのは分かっている。今回もそれを!アルセウス様!俺に加護を!)

 

 上鳴は『ねがいごと』をする。そして2秒後に彼がいた位置に飯田を持ってくる。

 すると飯田の傷は少し塞がる。つまり技が成功した。

 その後、警察・エンデヴァー・リューキュウが駆け付けてステインを確保。

 緑谷と轟と飯田は医療機関の手にかかることになった。

 

 そして一夜明けて。

 

「緑谷!飯田!轟!ケガの具合はどうだ?」

 

 上鳴は保須総合病院へと赴いていた。

 そこにはステインに蹴られて打撲した緑谷と頬を深く切られた轟、そして腹部を刺された飯田が入院している。

 

「お見舞いに来てくれてありがとう上鳴くん。リカバリーガールも来てくれたしね」

 

「後遺症は残らなく、数日で治るそうだ。君の個性で早期に対処してくれたおかげだ。ありがとう」

 

「上鳴、お前は回復系の技まであるなんてな。俺以上になんでもできるな」

 

 上鳴が病室に入ると緑谷達はくつろいでそう言った。

 特に大事には至ってないようだ。

 

「上鳴、お前聞いたか?今回の事件の処理について」

 

「ああ、聞いたよ。昨日の遅くに保須市の警察署長とあってな。リューキュウと共に話を受けた」

 

 事件当日の夜、入院するほどのケガを負ってなかった上鳴は保須市警察署長の面構犬嗣と面会した。

 そして面構署長から「エンデヴァーとリューキュウをヒーロー殺し捕縛の功労者に出来ないだろうか」という提案を受けた。

 

 面構曰く、資格未取得者が保護管理者の指示なく個性で危害を加えたことは相手がヒーロー殺しであっても立派な規則違反。

 故にステインと戦った者達と監督者であるエンデヴァー・リューキュウ・マニュアル・グラントリノには厳正な処分が下されなければならない。

 だがこれを公表しなければ違反は『にぎりつぶす』ことが出来るというわけだ。

 

 というわけで関係者達はトップヒーローがヒーロー殺しを倒したというカバーストーリーを遵守することを誓いこの件は手打ちとなった。

 

「まあ怪我人は出たけど後遺症とかの重い怪我や死者が無くて良かったよ」

 

「……………死者、たぶんステインは殺そうと思えば殺せてたと思うんだ」

 

「ああ、俺らはあからさまに生かされた」

 

 上鳴の言葉に緑谷と轟は反応する。

 ステインは真のヒーローの見込みがあるものには殺そうとはしない。

 故に緑谷と轟の傷は比較的浅い。

 

「本気のステインにも負けないように強くならないとな」

 

「だな」

 

 上鳴はそう言って結論を出した。

 そして彼らは他愛のない雑談に花を咲かせる。

 こうして思わぬ形で始まった路地裏の戦いは人知れず終わりを迎えた。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

 職場体験最終日。

 荷物を纏めた上鳴はリューキュウ事務所の前に立っていた。

 もちろん、リューキュウを始めとしてねじれなども見送りの為、その場にいる。

 

「1週間………本当にご迷惑をおかけしました」

 

「本当に迷惑かけたわね。それに心配も」

 

「すみません」

 

 上鳴は平謝りする。

 ヒーロー殺しステインの件でリューキュウには随分と迷惑と心配をかけた。

 ちなみにその件で上鳴は随分と怒られたのだがそれはまた別の話である。

 

「…………………でもあなたは強くなるわ。仮免試験を受けるには2年からだと思うけど資格を得たらまずここに連絡を頂戴。その時はサイドキックピカチュウを喜んで受け入れるわ」

 

「…………はい!」

 

 それはつまりインターン先の事実上の内々定である。

 ヒーローの卵にとってそれはとてつもなく嬉しいことだ。

 リューキュウの優しい言葉に上鳴の表情は綻ぶ。

 

「私は雄英でまた会えるだろうけど、またね」

 

「ピカ!」

 

 上鳴は元気よく返事をした。

 そして舞台は再び雄英へと戻る。

 

「アッハッハッハ!マジか!マジか爆豪!」

 

 職場体験を終えた翌日。

 慣れない激務で疲れている者もいるが流石は最高峰の雄英、全員ちゃんと登校していた。

 むしろ笑い声すら響いている。

 

「笑うな!クセついちまって洗っても直んねぇんだ」

 

「ピカ~www笑う以外ありえないwww」

 

「テメェ!ぶっ殺すぞ電気鼠!」

 

 上鳴・瀬呂・切島は爆豪の8:2ヘアに大爆笑している。

 バトルヒーローの下に行き覚醒した者や女の本性を知った者など、一週間ぶりのクラスメイトの変化は千差万別だ。

 

「まあそこの爆発さん太郎は置いといてよ。よく無事だったよなお前ら」

 

 お前らとは上鳴・緑谷・飯田・轟の4人だ。

 

「そうそうヒーロー殺し」

「エンデヴァーとリューキュウが助けてくれたんだってな」

「委員長が刺されたと聞いて心配しましたわ」

 

「そうだな助けられた」

 

「うん」

 

 クラスメイト達には本当のことは伝えられてない。

 そして彼らが本当のことを言うことはない。

 

「だけどよぉ世間の反応はむかつくよなぁ、飯田を刺したクズの癖に英雄扱いだぜ」

 

 峰田がそう悪態をつく。

 ヒーロー殺しステインの逮捕は良くも悪くも影響を与えた。

 彼の人生と捕縛直前の動画は拡散され多くの人に見られ共感されている現状だ。

 

「確かに信念の男ではあった。クールだと思う人がいるのも分かる。ただ奴は粛清という手段を選んだ。どんな考えを持とうともそこだけは間違いなんだ。だから!

 

 俺のような者を出さぬ為にもヒーローの道を歩もう!」

 

 堂々と、そして迷いのない言葉で飯田は宣言をする。

 その姿からはもう職場体験前の闇はない。

 心配していた緑谷もこれには安心し、席に着く。

 

「さぁそろそろ始業だ!席につきたまえ!」

 

 委員長が帰って来た。




 リューキュウがいたので翼くん脳無は普通に倒されました。

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