ピカチュウのヒーローアカデミア   作:でかすぎ史郎

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14話 期末試験開幕

「はい私が来た。ってな感じでやっていくわけだけどもね。はいヒーロー基礎学ね。久しぶりだ。少年少女、元気か?」

 

「ヌルっと入ったな」

 

「久々なのにな」

 

「パターンが尽きたのかしら?」

 

 午後から始まったオールマイトのヒーロー基礎学はぬるりと始まった。

 彼は「尽きてないぞ」「無尽蔵だっつーの」と反論しながらも今日の授業について説明をする。

 今回は救助訓練レースだ。

 

 オールマイトはルールを説明する。

 ・5人4組に分かれて1組ずつ行う訓練。

 ・どこかにいるオールマイトが救難信号出したら、5人は外側から一斉にスタート。

 ・そして最初にオールマイトに到着した人の勝ち。

 ・場所は運動場γという複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯。

 ・もちろん建物の被害は最小限に。

 

「じゃあ初めの組は位置について」

 

 早速、競争が始まる。

 最初に行うのは緑谷・尾白・上鳴・芦戸・瀬呂である。

 それ以外の生徒達はビルの上にいる。

 彼らはモニターで彼らの動きを見学して自分の番を待つ。そこでは誰が1位になるかについての議論が行われている。

 

「俺は瀬呂が1位。テープで建物の上に行くだけで楽に移動できるだろ」

 

「オイラは芦戸!あいつ運動神経すげぇぞ」

 

「上鳴も身軽だぞ」

 

「デクが最下位」

 

「確かに何か成す度に大怪我してるもんな」

 

 緑谷の評価はまだ定まっていない。

 だがモニターを見ている飯田と轟は知っている。

 彼が格段に成長していることを。

 

「よーい!スタートォ!」

 

 オールマイトが救難信号を出した。そして彼らは一斉に工業地帯を駆け出す。

 

「おおお!緑谷!なんだその動きぃ!」

 

「骨折を克服かよ」

 

「すごい…!ピョンピョン!まるで…爆豪くんみたい」

 

「一週間で…変化あり過ぎ…」

 

 生徒達は画面に映る緑谷の動きに驚く。

 フルカウルを駆使してタンクやパイプの上を飛んでいく。

 ついに彼も一端のヒーローのタマゴらしい動きをするようになったのだ。

 

「『こうそくいどう』+『でんこうせっか』!ピカピカァピカッチュッ!」

 

「いや待て!上鳴が緑谷を追い越した」

 

「あいつも速くなってるな」

 

「まさに韋駄天」

 

 成長したのは緑谷だけではない。

 上鳴も成長している。彼は技を『れんけつ』させて驚異的なスピードを出す。

 技制限は4つがあった時代は『でんこうせっか』と『こうそくいどう』のような役割が被っている技を 両方採用することはなかった。

 だがそれは過去の話。職場体験で開花しステイン戦で結実した彼にはもう技制限などという概念はない。

 

「ちょっと上鳴、速くない!?」

 

 近くにいた芦戸は目を見開いて驚く。

 そして上鳴はオールマイトの下にいち早く駆け付けることに成功した。

 ちなみに緑谷は脚を滑らせたせいで最下位になった。

 

「1位は上鳴少年だ!凄い速さだな。職場体験で何か掴んだのかい?」

 

「ええ、リューキュウと先輩のおかげですよ」

 

 そう言って上鳴は笑った。

 職場体験とヒーロー殺しが彼を一段と進化させた。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

「久々の授業、汗かいちゃった」

 

「俺は機動力課題だわ」

 

「情報収集で補うしかないな」

 

 ここは雄英高校の男子更衣室。そこには授業を終えたA組男子たちが着替えを行っていた。

 

「おい!上鳴!やべぇ事が発覚した!こっちゃ来い!」

 

「なんだ峰田?」

 

 突如として峰田が興奮した様子で上鳴に声をかける。

 ただならぬ様子だ。

 

「見ろよこの穴、ショーシャンク。恐らく諸先輩方が頑張ったんだろう」

 

「それがどうしたんだ?」

 

「分からないのか?隣はそう!女子更衣室」

 

 その言葉を受けた男子高校生達に電流が迸る。

 だがそれに電流が流れない男が1人いた。

 

「ピカ?それがどうかしたのか峰田?」

 

「おい!お前も男だろ!興味ねぇのかよ」

 

「いや興味ないな」

 

 上鳴は前世がポケモン、故に人間の女体に対する興味は薄い。

 

「朴念仁ぶりやがって、八百万のヤオヨロッパイに興味はないのか!?」

 

「いや」

 

「芦戸の腰つき!」

 

「いや」

 

「葉隠の浮かぶ下着」

 

「いや」

 

「麗日のうららかボディ!」

 

「いや」

 

「蛙吹の意外おっぱい!」

 

「いや」

 

「じゃあ耳郎は!?オイラのストライクゾーンからかけ離れてるが、お前はいつも耳郎と近くにいるだろ!」

 

 男子更衣室に緊張が走る。

 他人の恋愛事情は気になるモノだ。

 

「…………………………クラスメイトにそういうことするのよくないだろ?」

 

「グヌヌヌ!もういいぜオイラだけで見てや………あああ!」

 

 そうして峰田が穴に縋るように顔を寄せた、その時だ。

 プラグが彼の目に突き刺さった。

 爆音が峰田を貫く。

 

「耳郎さんのイヤホンジャック…正確さと不意打ちの凶悪コンボが強み!」

 

 一方の女子更衣室。

 

「ありがと響香ちゃん」

 

「なんて卑劣…私の個性ですぐに塞ぎますわ」

 

(上鳴が他の女子に興味がなくて何より)

 

 男子更衣室を盗聴していた耳郎が内心でそう思っていたのは内緒だ。

 まあそんなこともありつつ月日は進む。

 そして夏休みが近づいてきたある日のHRの時間、相澤がいつものように連絡事項を発表する。

 

「えー…そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが1か月休める道理はない」

 

「まさか…」

 

「夏休み林間合宿やるぞ」

 

「やったー!」

 

 相澤の一言が生徒達のテンションを高める。

 だが天下の雄英が生徒に飴だけを与えるわけがない。

 

「ただし、その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は補修地獄だ」

 

 クラスは一部を除いて『ひやみず』をぶっかけられたような気分になる。

 彼らはなんとしても合格しなければならなくなったというわけだ。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

 そして時は流れ、6月最終週。

 期末テストまで残すところ1週間を切っていた。

 

「「全く勉強してねー!」」

 

 上鳴(中間テスト成績20/20位)と芦戸(19位)は叫ぶ。

 彼らはA組の中でも1・2を争うバカだ。

 

 20位(上鳴)は元畜生(ポケモン)だったので前世の勉学の積み重ねなどはない。

 それに加えて体育祭で1位になる為に特訓をしたりなど勉強をする時間がなかった。

 成績が取れないのは当然である。

 

「中間はまだ範囲狭いし特に苦労は無かったんだけどな…行事が重なったのもあるけどやっぱ期末は中間と違って…………………」

 

「演習試験もあるのが辛ぇとこだよな」

 

 峰田(9位)は憎たらしい顔でそう言った。

 

「あんたみたいな奴はバカで初めて愛嬌が出るんだろが。見てよ!上鳴なんかバカでモフモフだから愛嬌出まくりよ」

 

「おいおい照れること言うなよ芦戸」

 

「半分くらいはバカにされてませんこと?」

 

 八百万(1位)がそう言いながら上鳴と芦戸の漫才にツッコミを入れる。

 

「芦戸さん、上鳴くん!が…頑張ろうよ。やっぱ全員で林間合宿を行こうね」

 

「うむ!」

 

「普通に受けてりゃ赤点は出ねぇだろ」

 

 緑谷(4位)・飯田(2位)・轟(5位)が口々にそんなことを言う。

 共にステインを倒した仲だが彼らの成績には隔絶した差があった。

 

「お二人とも、座学なら私がお力添えできるかもしれません」

 

「ヤオモモー(1位)!!!」

 

 救いの女神ヤオモモが現れた。

 彼らは彼女に抱き着く。

 そして八百万は上鳴を撫でまわす。体育祭以来となるピカチュウの毛はフワッフワッであった。

 

「お二人じゃないけど…ウチもいいかな?」

 

「わりぃ、俺も!」

 

「俺も」

 

「良いですとも!!!」

 

 耳郎(7位)・瀬呂(17位)と尾白(8位)が八百万に教えてもらおうとやってきた。

 彼女の表情は明るくなる。そして上鳴を撫でる速度も速くなる。

 

「話は戻るけど峰田くんの言う通り、普通科目は授業範囲内だから、まだなんとかなるけど演習試験は内容が不透明で怖いね」

 

「普通科目はまだなんとかなるんやな…………」

 

 緑谷の言葉に麗日(13位)が衝撃を受けつつも話は進む。

 

「一学期でやったことの総合的内容と相澤先生は言ってたけど…」

 

「戦闘訓練と救助訓練、後はほぼ基礎トレね」

 

 葉隠(16位)と蛙吹(6位)がそう言う。

 ただでさえ成績が悪い芦戸は更に焦る。だが上鳴は『れいせい』であった。

 

「大丈夫だ緑谷。例年通りなら入試の時みたいな対ロボットの演習らしいぜ」

 

「え?本当!?なんで知ってるの上鳴くん」

 

「俺、先輩に知り合いがいるから。2年前のだけど過去問もあるぜ」

 

 先輩とはねじれのことだ。

 上鳴は職場体験中に期末試験についての情報と過去問を貰っていたのだ。

 職場体験で得た縁を有効活用している。

 

「なんだぁ、ロボなら楽ちんだ!あと過去問ちょうだい」

 

「ピカ!みんなに『プレゼント』だ!」

 

「ティーチャー八百万と過去問で林間合宿バッチリだ!」

 

 芦戸はブレイクダンスで喜びを露わにする。

 こうして彼らは勉学と特訓に励み、なんとか筆記試験は突破した。

 

 そして演習試験当日。

 生徒達はバス停前でコスチュームを着て待機している。

 

「それじゃあ始めるぞ。演習試験でも赤点はある。林間合宿に行きたけりゃみっともねぇヘマはするなよ」

 

「先生多いな」

 

「6…7…8人?」

 

 何故か教師が多い。

 生徒達はそれに違和感を感じながらも淡々と説明は続く。

 

「諸君なら事前に情報を仕入れて何するか薄々わかっているとは思うが」

 

「ローボ!ローボ!」

 

「ピーカ!ピーカ!」

 

「残念!諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」

 

 相澤の捕縛布の中から根津校長が出て来た。

 そして上鳴と芦戸の時間は止まる。

 校長曰く、ヴィラン活性化の恐れがある現状ではロボとの戦闘訓練は実戦的ではない。これからは対人戦闘・活動を見据えたより実戦に近い教えを重視するとのことだ。

 

「というわけで…諸君らにはこれから2人1組で、ここにいる教師1人と戦闘を行って貰う」

 

 そう言って校長はルールを読み上げる。

 ・勝利条件はハンドカフスを先生にかけるorどちらか1人が指定のゲートから脱出。

 ・教師側は体重の約半分の重量の重りを装着する。

 ・受験者はステージ中央スタート。

 ・制限時間は30分。

 ・ペアの組と対戦する教師は動きの傾向・成績・親密度などを踏まえて独断で決定。

 

 そうしてペアと対戦カードが発表される。

 上鳴は芦戸とペアで戦うのは根津校長になった。

 

「やったぁ!1位とコンビだぁ!」

 

 芦戸は喜ぶ。上鳴は体育祭では1位の実績があるので味方になればこれほど心強い存在はいない。

 クラスの中では上鳴と轟のどちらが強いのか秘かに議論になっているほどだ。

 それはともかくとして彼らはバスに乗り決戦の地へと移動する。

 

「ねぇねぇ、上鳴」

 

「なんだ芦戸?」

 

「根津校長って戦えるの?」

 

 芦戸は当然の疑問を口にする。

 彼の個性はハイスペック、動物が人間以上の頭脳になるという

 

「大丈夫なのさ!そのためにこのペアだけ私が開発した試作型ロボを配備したのさ」

 

 上鳴の代わりに根津校長は答える。

 なんでもこのペアに限り根津校長に加えて1体のロボを追加するらしい。

 理由は上鳴が強いからだ。同じようにA組の中でも特に強い轟には個性を消せる相澤が、爆豪には最強のオールマイトとをつけている。

 

「結局ロボじゃないですか」

 

「まあ君らだけはそうなのさ」

 

「でもロボを倒しても意味はなく、校長を捕まえるか逃げれるかで勝利」

 

 上鳴はそう単純にはいかないだろうと考える。

 そうこうしているうちに試験会場へと彼らは到着する。

 そして試験が始まった。

 

「工業地帯か。ここにロボットと校長がいると」

 

「だね!じゃあちゃっちゃっとクリアしちゃお!」

 

 芦戸はそう言って張り切る。

 だがそう簡単にはいかない。

 上鳴達の真上に工業地帯を構成するパイプが落ちて来た。

 

「ピカァ!『アイアンテール!』」

 

 上鳴はそれを『アイアンテール』で防いでパイプがあった方向に『10まんボルト』を撃ちこむ。

 だがそこには誰もいなかった。

 

「な、なんだ!?」

 

「校長の仕業だけどどこから攻撃を仕掛けているの!?」

 

 校長は非常に賢い。

 故に、どこをどう壊せばどこが連鎖するかは手に取るように分かる。

 故に遥か遠くから重機を操って攻撃をしているのだ。

 

「チッ!なあ芦戸、俺抜きで耐えれるか?」

 

「え、耐えれるけど」

 

「じゃあ俺だけ脱出でもクリアだから、こうすればいい『あなをほる』!」

 

 ピカチュウは『あなをほる』。

 つまりは地中にいるわけだ。

 こうすれば校長からの攻撃は全てシャットアウトできる。

 そしてゴール直前でゲートを潜れば勝ちというわけだ。

 

 だがそう簡単に期末試験は突破できない

 

「ピカピカピカァ!」

 

『アイアンテール』と併用して『あなをほる』。

 そしてゴールのゲート直前で地上へと出る。

 

「ふう、ちょろいな………………………ん?あれは!轍だ!」

 

 ソレを見た上鳴はそう叫んだ。

 




 どうか良いねと高評価をお願いします。

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