ピカチュウのヒーローアカデミア   作:でかすぎ史郎

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16話 林間合宿

 夏休み、林間合宿当日。

 

「え?A組に補習者が複数いるの?つまり赤点取った人がいるってこと?ええ!?おかしくない!?おかしくない!?A組はB組よりずっと優秀なハズなのにぃ!?あれれれぇ!?」

 

 合宿場に向かうバスの前にA組とB組の生徒計40人が集合していた。

 そこでB組の物間は大声でA組を煽る。ちなみにB組の補習者は物間ただ1人だ。それでも煽れるメンタルは驚嘆に値する。

 まあそんな物間も拳藤の手刀によって意識を落とされてしまったわけだが。非常に手慣れた手つきだ。

 

「お前ら、はよバスに乗れ」

 

 相澤の合図によって彼らはバスに乗る。そうして高速へと入り山間部へと向かう。

 そして1時間後、バスは一時停車する。

 

「ここで一旦休憩だ。一度降りろ」

 

「つか何ここパーキングじゃなくね?」

 

「ねぇB組は?」

 

 バスはとある場所で止まる。

 相澤に促されるままに生徒達は疑うことなくそれに従う。

 そこは崖の上の空き地だった。景色は良い場所だが何もない。

 

 生徒達は口々にそう言う。

 ここは何もない

 

「よーうイレイザー!」

 

「御無沙汰してます」

 

 そう言って相澤は礼をする。

 そこには2人の女性がいた。

 

「きらめく眼でロックオン!」

 

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ」

 

「今回お世話になるプロヒーロー「プッシーキャッツ」の皆さんだ」

 

 ビシッとポーズと口上を決めたプッシーキャッツの2人、マンダレイとピクシーボブに対して、ポカンと呆けるA組の面々。冷静に受け流す相澤。非常に絶妙な空気が漂っていた。

 

「連名事務所を構える4名1チームのヒーロー集団。ヒーローランキングは32位の山岳救助等を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年でもう12年にもなる。」

 

「なるほど猫おばさんか」

 

 上鳴がそう言った瞬間に彼にピクシーボブ(猫おばさんその1)の『ローキック』が飛んできた。

 

「おまえら挨拶」

 

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

「よろしい、ここら一帯は私らの所有地なんだけどね。あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」

 

 そう言ってマンダレイははるか遠くの山を指さす。

 A組の面々は嫌な予感を感じとる。

 目的地までの距離数十キロほど。しかも完全な森林地帯だ。舗装された道とは訳が違う。

 

「じゃあなんでこんな半端なとこに?」

 

「バス戻ろうか!な?早く」

 

「今は午前9時30分。速ければ3時間前後かしらん。12時半までにたどり着けなかったキティはお昼抜きね」

 

 A組生徒は逃げ出そうとする。

 だがもう遅い。

 ピクシーボブの個性「土流」が発動しバスごとA組を崖の下まで押し流す。

 彼女の個性の練度なら土の雪崩を発生させたり土をクッションにして高所から落下を安全に受け止めるくらいは朝飯前だ。

 

「悪いね諸君、合宿は始まっている」

 

「私有地につき個性の使用は自由だよ。今から3時間!自分の脚で施設までおいでませ!この魔獣の森を抜けて!」

 

 マンダレイはそう言って落ちていく彼らに声をかける。

 合宿スタートだ。

 

「魔獣の森?」

 

「トキワの森は俺の故郷だ」

 

「どこよそれ」

 

「いや待て!本当に魔獣がいるぞ!」

 

 切島はそう言って叫ぶ!

 そこにはこの世の物とは思えないフォルムの生物がいた。

 

「ピィカァヂュー」

 

 上鳴は『10まんボルト』を放つ。だが効果はないようだ。

 なぜならこの魔獣はマンダレイの個性「土流」で作られたもの。つまり地面タイプなのだ。

 

「土、さっきの猫おばさんの個性で作られたものか!クソッ!『なみのり』が欲しいぜ!」

 

 上鳴はそうぼやく。土の魔獣は緑谷によって倒された。

 ピクシーボブは遠くからそれを見てニヤニヤしている。

 

「瞬殺だなんて逆立ってきたぁ!じゃあ現れろ!『ゴルーグ』」

 

 彼女は青い巨人のゴーレム魔獣を創造した。

 そしてそれをA組のいる場所へと向かわせる。

 

「ピカ!あれは!……………いやまあいい!いくぞみんな!」

 

「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」

 

 戦いが始まった。

 

「『アイアンテール』!」

 

 ゴルーグの片腕が吹き飛んだ。

 だが奴は冷静に周りの土をかき集めて修復した。

 

「うお!じゃあ喰らわせてやるよ!『しっぽをふる』+『アイアンテール』」

 

 防御を下げてからの『アイアンテール』!

 これには耐えられずゴルーグはバラバラになる。

 

「まだだ!さっきの小さいのが大量にいるぞ!」

 

 そう言って砂藤が指をさす方向には『ゴビット』が大量にいた。

 まだまだ戦いは始まったばかりだ。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

「やーっと来たにゃん」

 

「疲れたぁ!」

 

「うへぇ~」

 

 何とかして彼らはゴビット達を倒して魔獣の森を抜けた。

 だが余りの物量と距離で既に満身創痍だ。

 上鳴なんかPPの消耗が激しく悪あがき一歩手前だ。

 

「なにが3時間ですか………」

 

「腹減った死ぬ」

 

 既に3時間以上は経過して時刻は午後の5時だ。

 

「ねこねこねこ…もっとかかると思ってた」

 

「私の『ゴルーグ』が思ったより簡単に攻略されちゃった。良いよ特にそこ5人」

 

 そこ5人とは上鳴・爆豪・轟・緑谷・飯田のことだ。

 

「躊躇の無さは経験値によるものかしらん?3年後が楽しみ!ツバ付けとこー!」

 

「ピカッ!うわっ汚い!」

 

「部屋に荷物を運んだら食堂にて夕食。そのご入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。さぁ早くしろ」

 

 そうして生徒達は上手い飯を食べて風呂を楽しんだ。

 なお峰田は風呂を覗きかけた件で相澤にみっちり絞られたそうな。

 

 そして翌日。

 合宿2日目、午前5時半。

 

「おはよう諸君。本日から本格的な強化合宿を始める。今の合宿の目的は全員の強化及び、それによる仮免の取得だ」

 

 そう言って相澤は爆豪に個性把握テストで使ったボールを投げる。

 彼はそれを受け取った。

 

「というわけで爆豪、ソイツを投げて見ろ。前回の入学直後の記録は705.2m…どんだけ伸びてるかな?」

 

「おお!成長具合か」

 

「この3か月間、色々と濃かったからな。1㎞とかいくんじゃねぇの?」

 

「そんじゃまぁ!くたばれ!」

 

 爆発によってとてつもない勢いでボールは飛んでいった。

 そして記録は709mであった。

 

「あれ?思ったより」

 

 たった4mしか伸びていない。

 もはや誤差の範囲だ。

 

「確かにこの3か月で君らは成長した。だがそれはあくまで精神面や技術面。あとは体力的な成長がメインで個性そのものはそこまで成長してない。だから今日から君らの個性を伸ばす。死ぬほどキツイが死なないように」

 

 相澤は笑う。

 

「個性を伸ばすって具体的には?」

 

「やるべきことは限界突破だ。許容上限のある発動型は上限の底上げ、異形型・その他複合型は個性に由来する器官・部位の更なる鍛錬」

 

「でもB組も居れて40人ですよ、そんな人数の個性をたった6名で管理できるんですか?」

 

 耳郎はそう言って相澤に質問をする。

 正論だ。

 

「だから彼女らだ」

 

 そう言うとワイルドワイルド・プッシーキャッツの4人が出て来た。

 曰く、ラグドールの個性「サーチ」で個性の情報を探り、ピクシーボブの「土流」で鍛錬に見合う場を形成、マンダレイの「テレパス」で複数の人間へアドバイス、虎が殴る蹴るの暴行を加えるといった感じだ。

 

 上鳴はさっそく、ラグドールの「サーチ」を受けることになった。

 

「にゃるほどにゃるほど、個性「電気鼠」「電気」・「フィジカル増強」・「部分硬化」・「音波」・「回復」・「吸収」まで出来る超万能複合型個性ね」

 

「ピカ?電気から回復までは知ってるんですが「()()」ってなんのことですか?」

 

「たぶん相性の良い人の遺伝子を取り込み馴染み浸透する個性だね。例えば火の個性持ちの遺伝子を取り込んだから火を吹ける的な。もちろん相性があるけどね」

 

(もしかして技マシンのことか?)

 

 技マシンの材料はポケモンの体の一部である。

 つまり技マシンの使用とはポケモンの遺伝情報を取り込んでいるのと同じなのである。

 その要素が発現したのではと上鳴は考察をする。

 

「まあ相性までは分からんからそこは自分で調べろろい!それで何を鍛えたい?」

 

「じゃあ電気で」

 

「オーケー!電気系の個性を伸ばすにはこれが一番、発電機!」

 

「これは?」

 

「アンタには今から発電機で体を通電してしてもらう。それで限界を超えた電力を得れるのだぁ!」

 

 そうして猛特訓が始まる。

 

「ビガバガバガガガガ!ビビビビ!ビビビビ!」

 

 発電機で体を通電することで上鳴の体は『じゅうでん』状態になる。そしてさらに『じゅうでん』し限界を超えること電力総量と出力を上げるというものだ。

 個性とは身体能力、鍛えれば鍛えるだけ壊れれば壊れるだけ力が上がっていく。

 

 そして午後4時になり、個性を伸ばす特訓は一時休止し少し早い夕飯の時間となった

 

「世話を焼くのは昨日だけだ!」

 

「己で喰う飯くらい己で作れ!カレー!」

 

「カレーだと?」

 

 その言葉に上鳴は反応する。

 

「どうしたん上鳴?」

 

「ふっ、遂に来たか。カレーの妖精参上!」

 

 上鳴は自信満々に宣言をする。

 彼はガラル地方を元ご主人と旅をしてきた。その道中で大量のカレーを食べて来た。

 つまりカレーのエキスパートなのだ。

 

「リザードン級(最上級の評価)のカレーを作ってやろう」

 

「リザードンって何よ」

 

「まあ任せなさい」

 

 なお、そうして出来上がったのはドガース級(最低の評価)のカレーであった。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

 ここは神奈川県横浜市神野区。この町は繁華街として栄えたにぎやかな街だ。

 しかし光ある所に影はあり。ここにはどす黒い悪が蠢いていた。

 

「俺達、ヴィラン連合は雄英に襲撃をかける。林間合宿中のガキどもだ」

 

 とある雑居ビルにある洒落たバー、そこはヴィラン連合のアジトである。

 そこには義爛の紹介で集まったものが9人集っている。

 数こそ前回の襲撃より少ないが、中には脱獄死刑囚や凶悪指名手配犯などの猛者揃いだ。

 

「また学校を襲う理由は?失敗したんだろオールマイト殺し」

 

「社会への疑問提起だ。ヒーローとはなにか?正義とは何か?この社会は正しいのかをな。多少の犠牲が出ようと関係ない。ヒーロー殺しのように大義の為なら犠牲は許容される」

 

「へぇ………とりあえず従ってやるよ」

 

 荼毘が一応の納得をする。

 彼がヴィラン連合に加入した理由はステインの意思を全うする為である。

 

「それでなんで林間合宿の場所がわかったの?確か場所を直前で変えたんじゃなかった雄英」

 

 学生服を着たヴィラン、マスタードが疑問を提示する。

 

「そこは秘密だ。こっちのスポンサーからの情報提供って奴だ」

 

「あの脳無っていう死体人間と、機械虫はスポンサーからの提供?」

 

「いや脳無はそうだがアレは違う。スポンサーの友人からのものだ」

 

 死柄木はそう言ってマスタードに説明をする。

 スポンサーとはAFOのことだ。

 

「それで私達の目的は何?死柄木ちゃん」

 

「目的は爆豪・ラグドール・上鳴の拉致・それ以外の殺戮だ。まあ上鳴と殺戮は努力目標で構わない」

 

 死柄木はそう言って彼ら3人の情報が書かれた紙を差し出した。

 

「上鳴………雄英の優勝者だな!知ってるぜ!ぶっ潰しがいがあるな!」

 

「上鳴ちゃんカアイイです!もっと切り刻んで赤くすればもっとカアイクなります!」

 

「あら♡かわいいわね。食べちゃいたい♡」

 

 マスキュラ―・トガ・マグネが口々に上鳴についての感想を述べる。

 

「いや上鳴の相手はアレにやらせる。お前らは他を頼んだ」

 

「じゃあ早速、黒霧ちゃんはワープで仕事してね」

 

「……………はい、皆さまご武運を」

 

 そうして悪の進撃が始まろうとしていた。

 




・ゴルーグの技構成
『どろかけ』『はたく』
『おどろかす』『まるくなる』

あくまでもゴルーグを模したものなので大したスペックはないし地面単タイプ。
飛べないし見かけだおし。

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