3日目夜。
個性伸ばしを終えた彼ら(補習組は除く)は肝試しに興じることになった。
「はい、というわけで脅かす側、先攻はB組!A組は2人1組で3分おきに出発。ルートの真ん中に名前を書いたお札があるからそれを持って帰ること。脅かす側は直接接触禁止で、個性を使った脅かしネタを披露しててね」
「なるほど!競争させる事でアイデアを推敲させその結果!個性に更なる幅が生まれるというワケか!さすが雄英!」
飯田が明らかに間違った解釈をしているのは置いといて組を決める為のクジが引かれる。
結果、上鳴はまた耳郎と同じになった。
「本当に縁があるね」
「だな」
クラスは20名で補習は3名の為、総勢17名、つまり1人で肝試しをする人が出来てしまう。
ちなみに1人で肝試しを行うのは緑谷だ。
1人の肝試しとか最悪だ。
「じゃあ3組目はカミナリキティとジローキティね」
それはともかくとして上鳴&耳郎のペアは叫び声が聞こえる森へと入り込む。ちなみに1組目が常闇&障子、2組目が爆豪&轟である。
そこではB組の様々な怖がらせを堪能しつつ、時には中間地点のラグドールに驚きながらも肝試しを存分に楽しんだ。
そして彼らの肝試しはもうそろそろ終わろうとしていた。
「ううう、取蔭の生首がチョー怖かった」
「耳郎、こういうので怖がるとか意外と乙女なんだな」
「うるさい!」
上鳴を肩に乗せながら耳郎はそう言う。肝試しはまだ終わってないというのに彼女は既に限界であった。
その原因は取蔭だ。
なぜなら彼女個性「トカゲのしっぽ切り」。全身をバラバラに切り離し行動出来る個性であり、首だけを宙に浮かせて驚かしてきたのだ。
思わずプラグを取蔭の目に挿してしまったほどだ。
そのせいで耳郎はかなり驚き疲れている。
「というか上鳴はよく平気よね」
「まあリアルなゴーストに慣れているからな」
「リアルなゴーストってなに!?怖いこと言わないで!」
上鳴は元ポケモン、故にゴーストタイプのポケモンともよく戦ってきている。
故にオバケとかビックリ系には耐性があるのだ。
「俺らが驚かすときはどうする?音と光で驚かすくらいしか考え付いてないけど」
「アンタじゃ可愛すぎて萌えるだけでしょ」
「俺の可愛さの前では誰もが目を奪われる」
「大した自信ね」
「ただの事実さ。……………で誰だお前」
「わっ!え?なに!?」
何者かが上空から『メタルクロ―』で切り込み上鳴達を襲撃してきた。
そしてそれを上鳴の『アイアンテール』で防いだ。
凄まじい衝撃が森の中を走り抜ける。
「我が名はゲノセクト。組織によって力を得た改人なり」
「オーケー、ゲノセクト。それでなんのようだ?」
「貴様を
「なるほどつまりヴィランと。ピィィィカァァァヂュュュー!」
上鳴は『10まんボルト』を放った。
「ぬるい一撃だな『ニトロチャージ』!」
「クッ!」
ゲノセクトは『10まんボルト』を耐えた。
そして返しの『ニトロチャージ』、つまり炎技なので『アイアンテール』で受けるわけにもいかずそのまま受けて吹き飛ばされる。
「上鳴!」
「そちらのお嬢さんは死柄木殿から頂いたリストにはなかったが見たところ雄英生か、ならば死ね!」
「やってみな!」
既に彼女は『ソウルビート』を発動している。
そしてプラグを地面に挿して『じならし』を使った。
大地が轟く。
「いい威力だ。だがあいにく我は『でんじふゆう』で浮けるのでな」
そう言ってゲノセクトは『ふゆう』し攻撃を躱した。
「あー、痛いなぁ」
「上鳴、無事!?」
「無事。たぶん状況的に他も襲撃されてるだろうからちゃっちゃと片付けて援軍に行こうぜ」
「ほう?いうではないか。
「いつから電気技がそれだけだと思っていた?俺だって成長してんだよ!『じゅうでん』+
『かみなり』!」
上鳴は個性伸ばしでレベルアップしたことで新技を覚えた。
その名は『かみなり』だ。雷雲がゲノセクトの真上に現れる。
そして雲から地上へと稲妻が迸った。
脳無は死体を生物学的なアプローチで改造した存在なのに対して、ゲノセクトは虫系の個性持ちの人間を機械的なアプローチで改造した存在だ。
そして対上鳴を想定してゲノセクトの体には絶縁体を仕込んでいる。『10まんボルト』が効かなかったのはその為だ。
だが超火力の前には絶縁体すら焼き切れてしまう。
稲妻が機械の回路に入り込みショートを起こす。
「ガッ!貴様!」
「まだ意識あんのかよ。大したもんだな。でもこれで終わりだ『かわらわり』」
そう言ってゲノセクトの背中についてある大砲をカチ割り気絶させる。
これで1体撃破だ。
『ヴィラン2名襲来!他にも複数いる可能性アリ!動けるものは直ちに施設へ!会敵しても決して交戦せず撤退を!』
ゲノセクトを倒して丁度のタイミングでマンダレイのテレパスが上鳴達の脳内に響く。
「っても倒してしまったしなぁ」
「仕方ないでしょ。とりあえず前が爆豪と轟だからそいつらと合流して施設へ行こ」
「だな」
上鳴達は戦力を結集した方が安全だと判断して轟達と合流を測る。
ちなみにゲノセクトは置いていった。
「ピカァ!轟ぃ!爆豪!」
「おお、上鳴に耳郎か」
「電気鼠に耳女か」
彼らが合流した。その瞬間であった。
何者かかが彼らの下へ飛来してきた。
「きれいだ。きれいだよ。ダメだ。仕事だ。見とれてた。ああ、いけない。綺麗な肉面。ああ、もう誘惑するなよ。仕事しなきゃ」
何者かは口を除く全身を黒の拘束着に包んだ痩身の男だ。そして明らかに只者ではない雰囲気を纏っている。
彼の名前はムーンフィッシュ、サイコキラーにして脱獄中の死刑囚だ。そしてヴィラン連合の手の者だ。
「肉、見せて?」
ムーンフィッシュは個性「歯刃」を発動する。鋭い歯が伸びて上鳴達を襲う。
「なんだこいつぁ!痩身で速ぇ!」
「ヴィランだろうが………………かなり強いな。相当な場数踏んでやがる」
「あー!もう!戦うなとか言えないよ!」
歯刃を轟の氷で防ぎ、反撃に『じならし』と伸びた歯を通電することで『10まんボルト』お見舞いする。
「危ないなぁ」
だが『じならし』は歯刃で空を飛んで回避し、『10まんボルト』は途中で歯を自切することで本体への通電を回避する。
「じゃあこれはどうだ!『かみなり』」
上鳴は雷雲を召喚し稲妻を迸らせる。だがこれも歯刃の立体起動でまた躱される。『かみなり』の命中率は70%、威力が高い故に外れやすい技なのだ。
必然力*1が足りない。
「爆豪、ここでデケェ爆発を使って森に火種が燃え移りでもすりゃ火に囲まれて全員死ぬぞ」
「喋んな。わーっとるわ。半分野郎!」
(チッ!こんな時、俺が『あまごい』か『なみのり』を使えれば……………いや無い物ねだりをしても仕方ないか)
『A組B組総員!戦闘を許可する!そしてヴィランの狙いの1つ判明!生徒の「かっちゃん」!わかった!?「かっちゃん」はなるべく戦闘を避けて単独では動かないこと!』
轟と爆豪が話し合っていると突如としてマンダレイのテレパスが届く。
交戦の許可
「おい、爆豪姫。聞こえたな?戦うなってさ」
「黙れ!だーれが姫だ電気鼠!戦うに決まってんだろアホ!ここにはA組の三強がいるんだ!アイツを倒した方が合理的だろが!」
「ウチもいるんですけど」
「そうだぞ2位、耳郎さんもいるぞ。正直、お前より耳郎の方が強かったぞ」
「jrg8o―fv[ta84sqqt4!!!!!」
爆豪は「爆豪姫」と「2位」と「耳郎の方が強かった」という言葉に怒りの臨界点を超えてしまい言葉にならない『いかり』をまき散らす。
「言ってる場合か」
「肉!肉!肉!肉!」
ムーンフィッシュの攻撃は激しさを増していく。
轟の炎と爆豪の爆破がフルに使えないとはいえA組の三強+耳郎に渡り合っているその強さは間違いなく本物だ。
「俺も出るぞ!」
「待て爆豪!爆破は」
「最小限にするわ!爆速ターボ!」
「援護するぜ『かげぶんしん』+『こうそくいどう』」
「肉が!たくさんだぁ!」
爆豪は最小限の爆破で突貫する。そしてそれを上鳴は援護する。
ムーンフィッシュはいきなり肉が増えたと勘違いして大喜びだ。
「『じならし』!」
「穿天氷壁!」
ムーンフィッシュは『じならし』を避ける為に空中に飛んだ。そして反撃の為に最大出力の歯刃を展開して爆豪を寄せ付けないようにする……………がそれは穿天氷壁で破壊される。
つまり今、奴は丸裸だ。
それを見逃さないのはもちろん……………
「
爆豪だ。両手を連続で爆破して錐揉み回転しながら特大の爆発を叩きこむ。
そして攻撃はまだ終わってない。
「『アイアンテール』+『10まんボルト』!」
地面に吹き飛ばされたムーンフィッシュに雷がエンチャントされた黒鉄の尻尾が迫る。
電光が迸った。
「ニクゥ!」
その言葉を最後にムーンフィッシュは気絶する。
奴は細身故に耐久力がなかった。
「倒せたな」
「ああ、恐ろしい敵だった」
「さ、撤退するよ爆豪姫」
「黙れ!耳女ぁ!」
そうして
その瞬間だった。森を壊す何かが近づいてきた。
「いた!氷が見える!」
「爆豪!轟!上鳴!頼む光を!常闇が暴走した!」
障子に背負われている緑谷とそれを追いかける巨大化した常闇の
彼らは轟の炎で
「行くぞ!轟と爆豪!」
「ああ!」
「指図すんじゃねぇクソが!」
そうして爆破と炎と電気の光が辺りを包む。すると
「……………すまん助かった」
「テメェと俺の相性が残念だぜ」
そうして脅威を取り除いた彼らは落ち着いて話をする。
緑谷はブラドキングとイレイザーヘッドがいる施設が一番安全だと推測した。
「障子くんと耳郎さんの索敵能力・
「あぁ!?俺を守る前提で話をするな!それに、半分と電気鼠がクラス2トップとはどういうことだ!」
「だよな。爆豪姫は二位だもんな」
「v[ta84sd@\4fgr=r.!!!!!」
こうして爆豪姫は護衛される。構成としては爆豪の前に緑谷・障子・轟・耳郎、後ろに上鳴と常闇だ。
そして緑谷と障子と耳郎は道中で麗日と蛙吹と合流した。
緑谷は安心した表情をする。
「とりあえず2人が無事で良かった。そうだ!一緒に来て!僕ら今、かっちゃんを護衛しつつ施設に向かっているんだ」
「………………………………ん?」
「その爆豪ちゃんはどこにいるの?」
「何言ってるんだ。かっちゃんなら後ろに………」
緑谷は後ろ見る。だがそこには誰もいなかった。いるはずの常闇・上鳴・爆豪がいない。
そして木の上に怪しいマスク男がいる。状況的に間違いなく彼が下手人だ。
「俺のマジックで貰っちゃったよ。この3人はヒーロー側にいるべき人材じゃあねぇ。もっと輝ける部隊へ俺達が連れてくよ」
「ッ!返せ!」
そうして緑谷達はマスク男ことMr.コンプレスを攻撃する。
彼の個性は「圧縮」。空間を球状に切り取りビー玉サイズまでに一瞬で縮小することが出来る能力だ。それを使い音もなく彼らを攫ったのだ。
「開闢行動隊!目標回収達成だ!予定通りこの通信後5分以内に回収地点へ向かえ!」
コンプレスは全力で逃げる。
「追いついて取り返さなきゃ!」
「しかし緑谷、このままでは放される一方だぞ」
「麗日さん僕らを浮かして!そして浮いた僕らを蛙吹さんの舌で思いっきり投げて!」
緑谷は人間弾を提案する。
そして彼らは吹っ飛んだ。
「あれ?まだこんだけですか?」
「というかゲノセクト、ボロボロだな。上鳴に負けたのか?」
「黙れ!」
場所は変わり、ここはヴィラン連合の回収地点。そこにはトガと荼毘とトゥワイスと脳無に背負われている瀕死のゲノセクトがいた。
そして、彼らは飛んでくる。そう、コンプレスと共に人間弾が飛んできた。
「コンプレス避けろ!」
「了解、荼毘」
人間弾に荼毘の炎が襲い掛かる。コンプレスは自分を圧縮して避けた。
そして彼は立ち上がる。
「飛んで追ってくるとは発想がトんでる」
「爆豪は?」
「もちろん」
そう言ってコンプレスはポケットをまさぐる。だがそこには上鳴達が収容されている玉はない。
「右ポケットに入っていたこれが上鳴・爆豪・常闇だなエンターテイナー」
「ほほう!流石は6本腕、やらしいぜ」
障子が玉を確保していた。
そして黒霧が出てくる。
「待て黒霧、まだ目標が…」
「大丈夫だ、荼毘。マジックの基本でね。モノを見せびらかす時ってのはトリックがある時だぜ?」
そう言ってコンプレスは仮面を外し舌を出す。そこには3人が入っている玉があった。
障子が持っている玉はハズレだ。
「そんじゃーお後がよろしいようで…」
「ピッカァ!」
「なにぃ!」
コンプレスの玉から上鳴が出て来た。
「どういうこった!?俺の個性が無効化だと!」
「
上鳴の前世はポケモン、そして今は野生状態。つまりモンスターボールやコンプレスの個性などの収容するモノにもある程度は抵抗することが出来る。
「『アイアンテール』!」
「ぐへっ!」
コンプレスは黒霧のワープゲートの向こうまで吹き飛ばされた。常闇と爆豪が入っている玉は口から吐き出され宙を舞う。
緑谷達はそれを取ろうとする。
「させるか!」
「逆にさせねぇよ!」
上鳴は荼毘に『でんこうせっか』を繰り出す。しかし、それは炎で防がれ、上鳴は荼毘に拘束された。そして黒霧のワープゲートの向こうへと放りなげる。
だがそのおかげで緑谷達は爆豪と常闇を救出できた。
「爆豪は確保できなかったが上鳴は確保した。世間へ恐慌を与えるには十分だ。帰るぞ」
そう言って荼毘は上鳴と共に黒霧のワープゲートの中へと消えていく。
「上鳴!」
「すまない耳郎、必ず戻る!」
叫ぶ耳郎に上鳴はこう返す。
彼女に瞳には涙が浮かんでいた。
林間合宿襲撃事件。それは生徒40名のうち意識不明の重体15名。重軽傷者11名。そして行方不明者1名。
プロヒーローは1名が頭を強く打たれ重体、1名が大量の血痕を残し行方不明となった。
一方、ヴィラン側はマスキュラ―・マスタード・ムーンフィッシュが確保された。
こうして林間合宿事件は雄英の完全敗北で終わった。
・ゲノセクトの技構成
『ニトロチャージ』『リフレクター』
『メタルクロー』『でんじふゆう』
まさかの幻が噛ませである。
ポケモンキャラとの交戦はテツノワダチでやったから仕方ないね。
ちなみに爆豪の言葉にならない怒りには遊び心を仕込んである。
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