ピカチュウのヒーローアカデミア   作:でかすぎ史郎

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2話 個性把握テストと〇ック

 雄英高校入学式当日。

 指定の制服を着た上鳴は指定された教室1‐Aの扉を開き中に入る。

 そしてそこには――

 

「あっ!上鳴じゃん」

 

「耳郎!お前も同じクラスか!」

 

 入試で出会った耳郎がいた。

 彼はトテトテと彼女の方へと駆け寄る。

 

「あのこれ…」

 

「ピカ?それは俺の帽子じゃねぇか」

 

「アンタも合格すると思って持ってきた。一応洗濯もしといたから」

 

 そう言って恥ずかしそうに彼女は上鳴に託された小さな帽子を返却する。

 0P敵討伐後、彼は敵Pを稼ぐべく帽子のことなど気にせずにどこかへと走り去っていったので返す機会が今までなかったのだ。

 

「サンキュー」

 

 上鳴は自分の尻尾で耳郎とハイタッチをする。

 そうやって『なかよくする』をしていた、その時だ。

 

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ?」

 

 教室内に男性の声が響いた。

 声の主は寝袋に入っている小汚いオッサンだ。

 天下の雄英に不審者が入ることなどないはずなので恐らく学校関係者であるはずだ。

 

「ミノムッチみたいだ」

 

 その姿はポケモン世界に生息するみのむしポケモンのようであった。

 

「ミノムッチ?ミノムシのこと?確かに似てる」

 

 困惑しつつも生徒達は始業時刻になったので着席する。

 するとミノムッチおじさんは寝袋から出てこう言った。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね。早速だが体操服着てグラウンドに出ろ」

 

 まさかの担任だった。

 相澤は寝袋から体操服を出して生徒達に配布する。

 そして彼らはそれを受け取り、急いで着替えてグラウンドに集まった。

 

「これより個性把握テストを行う」

 

「入学式は?ガイダンスは?」

 

「そんな悠長な行事に出る時間ないよ。中学のころからやってるだろ?個性禁止の体力テスト」

 

 相澤はポケットから端末を取り出してホログラムを投影した。

 そこには映っていたのは生徒が行うテストの内容である。

 

「ソフトボール投げ・立ち幅跳び・50m走・持久走・握力・反復横跳び・上体起こし・長座体前屈……国はいまだに画一的な記録をとって平均を作り続けている。合理的じゃない。まあ文部科学省の怠慢だよ」

 

 そう言って上鳴を指さした。きゃわわな生物に注目が集まる。

 

「とりあえず見せた方が早い。上鳴、ソフトボール投げの最高記録は?」

 

「10m」

 

 ちなみに超常発現前の高校1年男子の平均記録は40m前後である。

 当たり前だが上鳴はピカチュウ、つまり腕も短い。まともな記録など出るわけもない。

 

「じゃあ個性を使って全力で投げてみろ。円からでなければ何してもいい」

 

「じゃあ遠慮なく『アイアンテール』!」

 

 上鳴は尻尾に力を入れる。すると黄色い尻尾は黒鉄(クロガネ)に変化する。『アイアンテール』を使ったのだ。

 その変化に他の生徒達も気づいた。

 

「電気の個性だけじゃないの?」

 

「ケロ、尻尾が黒くなっているわ」

 

「アイアン、つまり尾が鉄になったわけか」

 

「硬化の個性か。個性が被ったぜ」

 

「俺も尻尾要素で被ったよ」

 

 アイデンティティの危機を感じる切島と尾白を尻目に、上鳴は手を使いボールを宙に浮かせる。

 そして尻尾を野球バットのように使い振りぬいた。「カキィン」と気持ちの良い音がする。

 ボールは尻尾に直撃し綺麗な軌道で遥か遠くまでぶっ飛ぶ。

 十数秒後、相澤が持っていた機械が飛距離を知らせる。彼はそれをつぶやいた。

 

「309m、まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 上鳴が出した記録、それは生身では絶対に出せない飛距離である。

 生徒達に個性解禁という自由を自覚させるには十分な結果であった。

 

「なんだこれ?すげー面白そう」

 

「300m……………旧野球の選手のホームランよりも飛んどる*1

 

「個性を思いっきり使えるんだ。流石はヒーロー科」

 

 上鳴の打球を見た生徒達は緊張がほぐれてワイワイと盛り上がる。

 受験から解放され天下の雄英に入学できたのだから彼らも浮足立っているのだろう。

 だが上鳴は最初に相澤先生が言い放った言葉を思い出して『れいせい』になる。。

 

 ――お友達ごっこがしたいなら他所へ行け。

 

 そしてその言葉の通り、相澤は生徒達に『いてつくしせん』を向ける。

 

「……………面白そう…か。ヒーローになる為の3年間をそんな腹づもりで過ごすつもりか?」

 

 グラウンドは静まり返り、全員の動きが止まる。

 ここまで言われれば誰だって察する、自分たちの反応が間違っていたことに。

 

「よし、トータル成績最下位のモノは見込みなしと判断し除籍処分としよう」

 

「ビガァ!?」

 

「生徒の如何は先生の自由、ようこそこれが雄英高校ヒーロー科だ」

 

 入学早々にとんでもない話が飛び込んできた。

 普通の学校なら妄言として切り捨てられるだろう。

 だがここは雄英、入試に超巨大ロボットを動員するほど豪快な高校だ。それは他ならぬ合格者である彼らが身に染みて分かっている。

 

「放課後マ〇クで談笑したかったなら、お生憎。これから雄英は全力で君達に苦難を与え続ける。

 Plus(更に)Ultra(向こうへ)さ」

 

 その相澤の言葉に誰も反論は出来ない。

 自然災害も大事故もヴィランも理不尽が当たり前。そしてそれを覆すのがヒーロー。

 受験という試練を乗り越えた生徒には次の試練が与えられる。

 そうして個性把握テストは始まった。

 

 第1種目:50m走

 

(四足歩行の方がいいな)

 

 上鳴は四足歩行で『こうそくいどう』をした。

 記録は4秒42。

 個性がエンジンの飯田の3秒代には流石に勝てない。

 

「電気に、尻尾の硬化に、機敏な動きってアンタ万能すぎでしょ」

 

「これでも俺がかつていた場所では弱い扱いだったんだぜ」

 

 ピカホエッパーなどピカチュウを用いた構築は存在するにはするが、基本的にピカチュウ(種族値320)は弱いポケモンである。

 

「なにその魔境?」

 

 第2種目:握力

 

「やっぱ手がアレだと握れないな」

 

 上鳴はピカチュウ、故に小さいお手々をしているのでまともに握力計を握れない。

 記録は20㎏。異形型にも拘らず結果は振るわなかった。

 

 その後も第3・4・5種目と続いていく。上鳴は『こうそくいどう』を駆使して並よりは良い結果を残していった。

 とはいえ彼の個性の真骨頂は電気なので麗日の∞のように特筆すべき結果は出せなかった。

 

「……………ちょっと、ヤバいかも。ウチの音の個性は個性把握テストで役に立たない」

 

 耳郎は焦っていた。

 彼女の個性はイヤホンジャック。プラグになった耳たぶを挿入して『ちょうおんぱ』を放てる。

 つまり個性把握テストでは役に立ちづらい。故に上鳴以上に苦戦している。

 それを見かねた上鳴は安心させようとあることを話す。

 

「安心しろ、これは脅しだ」

 

「脅し?」

 

「例耳郎みたいに個性把握テストでは役に立たない個性でもプロヒーローでは活躍できるかもしれないだろ。これは合理的じゃない。おそらくは俺らの最大限を引き出す合理的な嘘の可能性が高い。まあガチで素質がなかったら合理的に除籍しそうな感じだけど」

 

「なるほど」

 

 耳郎はそう言って納得する。

 そんな今までの結果を話し合っていた時であった。

 

「緑谷46m」

 

 相澤の言葉がグラウンドにいる全員が注目する。

 どうやら緑谷が個性を使用してボールを投げようとしていたが……………それは事前にキャンセルされた。

 

「個性を消した。つくづく合理性に欠くよお前のような奴も入学できてしまう」

 

「消した!?そうか!抹消ヒーローイレイザーヘッド!」

 

 イレイザーヘッド、それが相澤の正体だ。

 彼は知る人ぞ知らないアングラ系ヒーローだ。

 現にそのヒーロー名を知らないものは多く、緑谷などのスーパーオタクしか知らない様子だ。

 ちなみに、なぜ知名度が低いかというとメディアへの露出を嫌っているからだ。

 

 相澤は緑谷に近づき何かを話しかける。すると緑谷の顔つきが変わった。

 そして二球目が始まろうとしていた。

 

「指導を受けていたようだが」

 

「除籍宣告だろ」

 

「違うね」

 

「あぁ!?」

 

 上鳴は爆豪の除籍宣告発現を否定した。自らの発言を否定したことで爆豪は『いかく』をする。

 彼は歴戦のポケモン、故に知っている。覚悟を決めた者達の目を。

 

 緑谷は個性を指に集約して投げる。するとボールは空高く飛んでいく。

 

「記録705.3m」

 

 始めてヒーローの卵らしい記録が出た。

 それを見て爆豪は『さわぐ』が相澤によって拘束されてすぐに収まり、そのまま個性把握テストは進んでいった。

 

 そして結果発表の時間になった。

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

「え!?」

 

「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

 結果をホログラムに表示しながら軽いノリでそう言う。

 何名(主に最下位だった緑谷)は壮絶な表情を浮かべた。

 ちなみに上鳴の順位は8位だった。入試1位にしては『ひかえめ』な結果である。

 

(………たぶん本気で見込みがなかったら除籍していたな)

 

 上鳴は内心でそう思う。

 復籍してくれるとはいえ相澤はガチで除籍する系の男なのでその予想は当たりだ。

 そうして本日の授業は終わりを迎えた。

 

 上鳴は制服に着替えて耳郎と一緒に帰ることにした。

 ちなみにサトシよろしく彼は彼女の肩の上に乗っている。

 そして彼女はある提案をした。

 

「ねぇ、帰りにマッ〇よらない?」

 

「おいおい相澤先生が言ってたじゃないか「放課後〇ックで談笑したかったなら、お生憎」って」

 

「だからよ、上位者に逆らうってロックでしょ?」

 

「なるほど悪くないな。行こうかマ〇クへ」

 

 そういうわけで彼らは〇ックに行くことにした。

 

「ピカァ♡ピカァ♡チュウ♡」

 

(……………かわいい)

 

 上鳴はマ〇クでケチャップを必死に啜っている。そしてその様子を耳郎は優しい笑みで見守っている。

 サトシのピカチュウよろしく彼もまたケチャラーである。

 

「個性把握テスト、中々に面白かったな」

 

「はぁ………個性把握テストかぁ、ウチは下から4番目だった」

 

「ピカ?まあ個性にはどうしても向き不向きはあるだろ」

 

「そうだけどさ」

 

「俺は強いと思うぜ音の個性」

 

「……………ありがと」

 

 耳郎は照れ臭そうに感謝を述べる。

 

 ポケモン世界では音技は一定の強さを誇る。音技はみがわり状態を貫通するし、『ばくおんぱ』はあの『ブラッドムーン』の上位互換技である。

 

 そうして彼らは話を変えて自らの個性を開示しあう。その過程で上鳴はあることをピカッと閃いた。

 

「自身の心音を衝撃波として放つ個性か。そんで微細な音も感知できると。じゃあ人間の耳に聞こえない周波数の音、『ちょうおんぱ』で相手を混乱させるのはどうだ?」

 

「なるほど」

 

「あとは俺がかつていた場所では炎・水・電気・悪・エスパー・虫・ひこう・ドラゴンなどの属性を載せた音技*2もあったな。属性を載せれれば応用も効くんじゃないか?」

 

「なるほど?」

 

 耳郎はそのトンチキすぎる話に困惑する。炎や電気は分かるが悪属性やドラゴン属性ってそもそもどういうこと?

 だが彼の目はマジだった。なので正面から否定はしづらかった。

 

「ウチは上鳴の個性が気になるわ。個性が電気鼠で尻尾を硬化できるってどういうこと?」

 

「『アイアンテール』だ。原理は俺にもよくわからない。ちなみに4分の1くらいの確率で外れたりする。まあ必然力があれば必中らしいけど」

 

「必然力?」

 

「ヤーティ神への信仰によって得られる加護だ」

 

「ヤーティ神?なにアンタCRC*3みたいに変な考えでも信じてるの?」

 

「役割論理という自称最強の戦術だ。宗教ではないらしい」

 

「なるほど?」

 

 耳郎は完全に理解不能の状況に陥るも、そういうものとして受け入れることにした。

 ちなみに上鳴が役割論理を知っているのは前世で彼のトレーナーから聞いたからだ。

 

「ま、なにはともあれさ。入試もテストも乗り越えた。これからお互い頑張ろうね」

 

「ピッカッ!」

 

 そうして彼らの会食は続く。

 相澤先生からは「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け」と言われたが関係ない。なぜなら上位者に逆らうのはロックだからだ。

 まだピカチュウのヒーローアカデミアは始まったばかりだ。

*1
ヒロアカの世界では個性NGの旧野球と個性OKの新野球がある。

*2
順番にフレアソング・うたかたのアリア・オーバードライブ・バークアウト・サイコノイズ・みわくのボイス・むしのさざめき・おしゃべり・スケイルノイズとソウルビートのことだと思われる。

*3
異形排斥主義集団。現代のジーランス。




(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)ピカチュウの技
『なかよくする』『ボルテッカー』
『アイアンテール』『こうそくいどう』

 SVみたく技は思い出すことができます。

職場体験どうする?

  • ポケモン世界からの刺客と戦う
  • ステインと戦う
  • どっちもやろう
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