ピカチュウのヒーローアカデミア   作:でかすぎ史郎

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24話 雄英文化祭準備

「文化祭があります」

 

「「「ガッポォォォイ!!」」」

 

 相澤の言葉に学校っぽいと喜びを露わにするクラスメイト達。最近は暗いニュースが多くモヤモヤ気分を『きりばらい』するには丁度いいグッドニュースだ。

 

「文化祭!」

 

「学校っぽいの来ました!」

 

「何するか決めよー!」

 

 ワイワイとにぎやかに話す生徒が多い中、不安げな表情を浮かべている者達もいた。それはインターン組(上鳴と常闇を除く)。中でも中でも切島は席から立ち上がって相澤に質問をする。

 

「いいんですか!?この時世にお気楽じゃ!?」

 

「ピカ………変わっちまったな切島」

 

「お前も攫われただろう。というか変わったのはお前だろ。なんでデカくなってんだよ上鳴!」

 

 口をだしてきた上鳴に切島はそう言い返す。もちろん彼も文化祭はやりたい。だが林間合宿のようにヴィラン連合が雄英のイベントを狙っている可能性だってあるのだ。

 もし襲撃があれば雄英は責められるだろう。

 

「もっともな意見だ。しかし、雄英もヒーロー科だけで回っているワケじゃない。体育祭がヒーロー科の晴れ舞台だとしたら文化祭は他科が主役。注目度は比にならんが、彼らにとっては楽しみな催しなんだ。そして現状、寮制をはじめとしたヒーロー科主体の動きにストレスを感じている者も少なからずいる。だからそう簡単に自粛するワケにもいかないんだ」

 

「そう考えると………申し訳たたねぇな………」

 

「ピカァ…」

 

 ただ文化祭の決定は険しい道のりであった。世論もそうだが警察は大反対であり、警察庁長官が直々に雄英に訪れてまで自粛を求めたほどだ。

 

「主役じゃないとは言ったが決まりとして1クラス1つ出し物をせにゃならん。今日はそれを決めてもらう。飯田と八百万。後は任せた」

 

 それだけ言って相澤は寝袋になってミノムッチになる。委員長と副委員長である飯田と八百万が前に出ると早速、クラスの出し物きめが始まった。

 

「ピーカチュウ!メイド喫茶にしようぜ!そして俺もメイドになる!」

 

「体育祭の時といい女装が好きね上鳴ちゃん」

 

「ぬるいわ上鳴!おっぱb………」

 

 トップバッターの上鳴の提案はメイド喫茶。それに続いて峰田も性風俗店を提案するが、ソレが提案される前に蛙吹に簀巻きにされて逆さ吊りの刑に処される。自業自得だ。

 

「ピカ?耳郎、オッパブってなんだ?」

 

「ええ!?ウチに聞かないでよ!切島!パス!」

 

「俺かよ。まあなんだ、「漢」がいく店だぜ」

 

「なるほど、大体察した」

 

 上鳴は隣の耳郎に尋ねた。彼の家は性的コンテンツに制限がかけられていたのでそういうのには疎いのだ。

 耳郎は赤面しながらも切島にパスを送る。そして切島は大分オブラートに包んで解答をした。

 そういう一幕もありながら案はどんどん出されていく。

 

「お餅屋さん」

「腕相撲大会!」

「ビックリハウス」

「クレープ屋」

「ダンス―!」

「………ふれあいどうぶつえん」

「暗黒学徒の宴」

「僕のキラメキショー☆」

「………コントとか?」

 

 その後も、提案された出し物から決めるターンに入る。

 暗黒学徒の宴・キラメキショーなどは消去される。

 こうして話し合いは本格化するが自分の案を押すだけで話は全く進まない。それに業を煮やした相澤はこう言う。

 

「決まらなかった場合………公開座学にするぞ」

 

((((こ、公開座学…!?))))

 

 その言葉にA組の面々は震えあがった。お楽しみの文化祭で公開座学なんてただの晒し物だ。それはそれで他科の留飲は下がるかもしれないがA組は地獄を見ることになる。

 そこで飯田は考えを述べる。

 

「冷静になって考えると他科のストレス、俺達は発散の助けになる企画を出すべきだと思わないか?」

 

「そうなると正直………ランチラッシュの味を知る雄英生に食で満足させられるものを提供はできないな」

 

「じゃあ飯系はダメか」

 

 砂藤がそう言う。彼はA組きっての料理上手だがそれでもランチラッシュには敵わない。やはりアマとプロの差はある。

 再び頭を悩ませるA組の面々、そんな中で芦戸が呟いた。

 

「みんなで踊ると楽しいよ…」

 

「ダンスいいんじゃねぇか?」

 

「轟!?超意外な援軍が!」

 

 そんな驚愕を余所に、彼は音楽とダンスで馬鹿騒ぎするライブを提案してきた。ちなみにこの提案は仮免補講からの連想だ。

 

「飯田の意見はもっともだ。ならライブのように皆で楽しめる場を提供するのが適してんじゃねぇか?」

 

「なるほど!」

 

「私!ダンスなら教えられるよ!」

 

「ツーステップ☆」

 

 そう言いながら青山が芦戸仕込みの踊りを披露する。彼女の指導力は確かだ。

 

「待て素人共!ダンスとはリズム!すなわち音だ!客は極上の音にノるんだ」

 

「音楽といえばぁ!」

 

 クラスの注目が耳郎に集まる。

 

「待ってよ!ウチのは本当、只の趣味だし表立って自慢んできるもんじゃないつーか…」

 

「あんなに楽器ができるとかめっちゃかっけーじゃん!」

 

「ッ耳郎さん。人を笑顔に出来るかもしれない技だよ。十分ヒーロー活動に根差していると思うよ」

 

 上鳴と口田が口々にそういう。そして耳郎の答えはと言うと………

 

「ここまで言われてやらないのも………ロックじゃないよね………」

 

 恥ずかしそうにそう言った。

 そうしてA組の出し物は生演奏とダンスでパリピ空間の提供に決まった。

 少なくともこれで公開座学はなくなったので一安心だ。

 そんな安堵の声の中、蛙吹から解放された峰田が皆の前に躍り出ると力強い声で訴えかけた。

 

「しかし待てお前ら!雄英文化祭において重要な行事があることをお前達は忘れてはいないか!そうそれはミスコンだ!」

 

 なお変態(峰田)の戯言なので女性陣からは無視された。

 その言葉に反応したのは意外にも上鳴であった。

 

「ピカッ、ミスコンに出る為に来たイケメン参上」

 

「施錠」

 

「ああ無情………ってなにすんじゃい峰田!」

 

 上鳴は峰田に檻に入れられながらそう言う。

 

「え?いやアンタは男でしょ上鳴。「ミス」コンだよ?」

 

「そうだぞオイラ的にはテレビCMに出たことがある八百万のミスコン出場を想定してた!」

 

 耳郎と峰田から全否定される。珍しく峰田と女子の意見が合う。

 

「LGBT枠として俺は出るぜ!配慮を頼むぞ」

 

「別にアンタ、LGBTじゃないでしょ」

 

「今まで黙ってたけど今日から俺はトランスジェンダーだ。ちなみに峰田はゲイだ」

 

「おい!オイラは違うからな!」

 

「アンタ、LGBTを浅い所で舐めてるでしょ」

 

 その言葉に一部の男子たちは峰田から距離を取る。あの性欲魔人が男もいけるとなれば避けるのも当然だろう。

 

「………………………………上鳴、ミスコンへの出場についてだが非常にセンシティブな問題だから校長と直談判するように。具体的な日時については追って連絡する」

 

「ピッカァ!分かったぜ相澤先生!」

 

「………待てよ。オイラもLGBT枠で出場したら合法的に女子の花園を物色ができる!?」

 

「お前はダメだ峰田」

 

「はい」

 

 峰田の邪悪な発想は相澤によって砕かれた。

 そうして放課後になった。インターン組の補習が終わってから作戦会議が始まった。

 続々とバンドのメンツが決まっていく。

 ドラムは爆豪、シンセは八百万、ミラーボールは青山、ボーカルは耳郎になった。

 

「あとギターだね、2本欲しい」

 

「楽器ひけるとかカッケー!」

 

「我ら雄英ちっちゃいものクラブにやらせろ!」

 

 耳郎の提案に名乗りを上げたのは上鳴と峰田だ。

 

「ギターこそバンドの華だろ!」

 

 そう言って彼らはギターを弾こうとする…………しかし峰田と上鳴はキャラデザのせいで手が届かない。

 

「チックショー!」

 

「残念だったな峰田。俺にはコレがある」

 

 そう言って上鳴は自分の尻尾でギターを弾く。尻尾を使えばギリギリギターを弾くことが出来たのだ。そういうわけで上鳴とギター経験者であることが判明した常闇が採用された。

 ちなみに峰田はギターが弾けなかったことで呪詛を吐くほどに落ち込んでしまっていたが、芦戸が峰田のハーレムパートをダンスに盛り込むことを提案すると彼は泣いて喜んでいた。曰く「はよ来いや文化祭」とのこと。

 

「そういやバンド名はどうするんだ?」

 

「ザ・ドガース」

「夜間葬団」

「俺」

 

「A組全員で挑むという意味を込めてAバンドというのは?」

 

「それだ!かわいい!」

 

「じゃあ曲はどうする?」

 

 そうして真夜中まで議論は白熱し、ようやくクラスメイト全員の役割も決まった。バンド・ダンス・演出で構成されるライブ。それを最高のものにするためにA組の面々は奮闘するのであった。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

 そして明日になった。上鳴は相澤の仲介で校長室にいる。

 

「朝早くすみません根津校長」

 

「いいのさ、君とは濃密なネズミトークを期待していたところさ上鳴くん」

 

 そう言って根津は上鳴に座るように促す。

 

「まずだねミスコンの出場については認めよう。近頃は多様性の時代だからね」

 

 超常発現前、具体的には2023年のアメリカのニューハンプシャー州で開催されたミスコンでトランスジェンダーの人が優勝したことがある。*1

 前例と時代の流れ的に上鳴のミスコン出場は許可されるのは当然の流れだ。

 

「それでだね、君はなんのチーズが好きかね?」

 

 やはりチーズといえばネズミ、ネズミといえばチーズだ。トムとジェリーと古事記にもそう書いてある。

 

「やはり僕はグリュイエールですかね。水分を無くして重量感があるのがたまりませんね。濃厚な旨味が」

 

「なるほどハードタイプが好きなのかい!私はゴルゴンゾーラが好きさ!ブルーチーズ特有の風味がクセでね」

 

「ああ!分かります!」

 

「服はどうしてるんだい?いや………私も小さいから分かるよ」

 

「はいそうです」

 

「「オーダーメイド!」」

 

「つまりミスコンの服もオーダーメイドなのかい?」

 

「ええ、そうです。デトラネットに依頼しました。電気が通っても焦げない特別な素材で作れるのはあそこしかないので」

 

「……………時にオールマイトの遺伝子を取り込んだのは本当かい?」

 

「ええ、そうですね。おかげで体が巨大化して『あまごい』………雨を降らせるようになりました」

 

「それ以外に何か変化はあるかい?」

 

「いいえ、特には」

 

 上鳴はそう言って首を横に振る。

 

「そうかい、なにか不調があったらいつでも相談したまえ」

 

「分かりました!ありがとうございます!」

 

 そう言って上鳴は校長室から退出する。彼はこれからAバンドとミスコンの二足の草鞋を履くことになって色々と大変なことになるのだがそれは内緒である。

 そして校長室には根津のみが残された

 

(……………彼の個性はどうなるんだろうね。報告では変質した形で発現するそうだが。いやそもそも相性が良くないと適合しないそうだが…)

 

 例えば瀬呂のテープと峰田のもぎもぎで『エレキネット』、耳郎の髪とギャングオルカの爪で『みわくのボイス』になるように、技マシン的習得法では元の個性から変質した形になって出力される。

 

(OFAの複製かスカになるか、これがどう転ぶか。いや彼もヒーロー志望、いい方に転ぶはずさ)

 

 そう思い根津は思考を打ち切った。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

 それから数日後、Aバンドはライブの練習を行う。勉強して、ギリギリまで練習する。その繰り返しだ。

 ちなみに上鳴はその後にミスコンの練習もしている。大変なんてものでは言い表せない。

 だが確実に上達していた。

 

「テメェ走ってんだよ!俺に続けや!」

 

「ピカ!?お前が勝手にアレンジすっから混乱するんだろ!」

 

 爆豪と上鳴は休憩中に言い争いをする。いつもの光景だ。

 

「ねぇ聞いた?B組は演劇をするんだって」

 

「へー、どんなタイトル?」

 

 女子達はワイワイしながら話し合っている。すると葉隠がB組の話題を出した。当たり前だが隣のB組も出し物がある。

 

「「ロミオとジュリエットとアズカバンの囚人~王の帰還~」だって」

 

「混ざり過ぎやない?」

 

「なるほど名作のパロディ路線ですわね」

 

 麗日がツッコミを入れ、八百万が推理をする。だが葉隠は見えない顔を横に振る。

 

「いやそれが王道モノらしいよ。完全オリジナル脚本のファンタジーだってさ」

 

「それは気になるね」

 

 どうやってオリジナルにしたのだろうか?むしろパルワールドみたいにパロディを入れまくって逆にオリジナリティが出ているということなのだろうか?

 

「B組といえば拳藤がミスコンに出るらしいね」

 

「ウチのミスコンはあの電気鼠だけど………」

 

「まあ可愛さは一級品だから」

 

 女子達は微妙な空気になる。

 

「そういや上鳴!ミスコン大丈夫なの?見たところAバンドの練習しかしてないけど」

 

「ばっちりだ!安心して俺の票を入れていいんだぜ」

 

「心配だなぁ」

 

 耳郎はそう呟く。そうして休憩時間が終わりかけていた時であった。

 

「あ!通形先輩」

 

「桃が生ってるよ!」

 

「それにエリちゃんも!」

 

 緑谷が声を上げた。上鳴達もその方向に視線を向けるとそこにはエリと渾身の一発逆が滑っている通形がいた。

 

「え、なに?先輩の子供!?」

 

 エリは通形の隠し子というわけではない。死穢八斎會の組長の孫娘なのだが「巻き戻し」という強力な個性をオーバーホールに利用され個性破壊弾の原料にされてしまった。それを緑谷達によって助け出されたのだ。

 救出後は経過観察の為に入院生活を送っていたが体調が回復して個性暴走の可能性も低くなり外出も許可されていたのだ。

 という説明を通形がするとクラスメイト達も納得した。

 

「あれがインターンの子か。あの子も為にも頑張らないとな緑谷」

 

「だね」

 

「あ、そうだエリちゃん、俺はミスコンに出るんだが是非とも俺に一票を。通形先輩もお願いします」

 

 上鳴はそう言ってミスコンの投票を呼び掛ける。

 彼はガチで勝つ気である。

 

「かわいい、ふかふか、触っていい?」

 

「ピカ!いいぜ!」

 

 そう言ってエリはピカチュウの毛並みを堪能したとさ。

*1
実話です




ザ・ドガースの元ネタはBW2のジムリーダー、ホミカのバンド名ですね。
峰田のゲイネタは海外で峰田が誤訳のせいでゲイ扱いされてたネタからです。
ネズミトークはボーアイディール氏の発案だ。どうもありがとう!

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