ピカチュウのヒーローアカデミア   作:でかすぎ史郎

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6話 ピカチュウ小さすぎ

「雄英体育祭!ヒーローの卵達が我こそはと鎬を削る年に一度の大バトル!どうせてめーらアレだろ!こいつらだろ!ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた期待の新星!」

 

「行こうみんな!」

 

 プレゼントマイクと委員長である飯田の言葉と共にA組は入場する。

 

「ヒーロー科!1年!A組だろぉぉぉ!!!」

 

 A組は大量の歓声のシャワーに襲われる。

 会場だけでも何百、何千、何万、画面の向こうを含めたらそれ以上の注目。まさに圧倒的だ。

 

「この熱気、ガラルのチャンピオンマッチ並だな」

 

 そう言って上鳴はガラル地方での記憶を思い出す。彼はそこで大量の観衆の前で戦ったのだ。

 そして今は雄英で似たようなことをしている。

 

「凄いね上鳴………プロヒーローめっちゃいる」

 

 耳郎も緊張と興奮を隠せないのか耳たぶが震えている。

 

「ああ、俺らで更に盛り上げてやろうぜ」

 

「怖いものなしだね」

 

「いいや怖いさ。怖くてたまらない。でもそんな怖さを跳ね除けて選手としての全てを出し切って勝利をもぎとるのが好きで好きでたまらない!」

 

 人生で3度だけの大舞台、上鳴は炎タイプではないが燃え上がる。

 

「続いてはヒーロー科B組ぃ!そして普通科C・D・E組!サポート科F・G・H組もきたぞー!」

 

「俺らって完全に引き立て役だよなぁ」

 

「たるいよねー…」

 

 普通科の人間はそう言って顔を曇らせる。

 彼らの中にはヒーロー科の試験に落ちた人間もいたりする。そのせいかこのA組が注目される空気感を良く思っていないようだ。

 

 そうして他の科達の入場が終えると宣誓台に1人の女性が上がる。

 肌色のタイツにムチという絶対に教職でいてはいけないような格好をした18禁ヒーロー、ミッドナイトだ。

 

「選手宣誓!選手代表!1‐A上鳴電気!」

 

「ピッカァ!」

 

 上鳴は元気よく挨拶をして壇上に上がる。

 選手代表は入試1位の彼だ。

 

「宣誓!結局、僕が一番強くて凄いんだよね!」

 

 ホウエンチャンピオン、ダイゴの如く彼は高らかに宣誓を行った。

 選手を代表として言うのが自らの力の誇示、それすなわち選手全員に対する宣戦布告である。

 

「BOOOO!」

「鼠ぃ!俺が一位になるんだ!コラ!」

「調子のんなよA組!」

 

「いいぞぉ!」

「かわいい顔の割にやるじゃねぇか!」

「応援してるぜ上鳴!」

 

 コートからは敵意、客席からは応援が沸き上がる。

 良い感じに場が温まってきた。

 そうして彼はマイクをミッドナイトに返してA組の列に戻る。

 

「さーて、それじゃあ行きましょう。第1種目。いわゆる予選ね。それは障害物競争よ!」

 

 ミッドナイトはルールを説明する。

 スタジアムの周囲約4kmのコースを駆け抜け、会場に戻ってくる順位を競うというシンプルな物だ。

 なお重篤な障害を残す攻撃ならびにコースアウトは禁止とのこと。

 

「スタートはあそこよ!」

 

 ミッドナイトがムチを向ける場所、そこには1つのゲートがある。

 ゲートの出口はあまりにも狭い。もちろん意図的なものだ。

 

「さあさあ位置につきまくりなさい!」

 

 そうして上鳴は最前列に陣取る。

 彼の体は小さいのでいい感じに入り込むことができるのだ。

 

(四足歩行で………力を貯める)

 

 スタートの合図が出されると同時に上鳴は『ロケットずつき』の勢いを利用してロケットスタートを決める。

 彼の黄色く小さい体が宙を舞った。

 

「おっとぉ!A組上鳴ぃ!いきなりトップに躍り出たぁ!」

 

 他の選手達も続々と飛び出していこうとする…………………がゲートはあまりにも狭すぎてスタート地点で詰まっている。

 

(轟が選手の大勢を凍らせてやがる。容赦ねぇな。そして当然のように……………)

 

「待てや鼠ぃ!」

「二度目はないぞ」

「っぶな!」

 

 A組やB組、一部の他の科の生徒達は轟の凍結妨害を回避する。

 特に爆豪は選手宣誓の件で怒り心頭なのか上鳴のことを凄い剣幕で睨む。

 上鳴は素知らぬ顔で着地し『こうそくいどう』でコースを駆け抜ける。

 

 だがそう簡単にはいかない。

 

「ターゲット大量!」

「人間ブッ飛バセ!」

「ヤレ!足ヲ狙ウゾ」

 

「さあいきなり障害物だ!まずは手始め*1!第一関門、ロボインフェルノだぁ!」

 

 入試に出て来たロボこと仮想敵達が配置されている。

 1~3Pはもちろん0Pまでいる。

 

「チッ、こいつらかよ『ボルテッカー』を採用するんだった」

 

「せっかくならもっとスゲェの用意してもらいてえもんだな。クソ親父が見てるんだから」

 

 そう言うと轟は0P仮想敵を簡単に凍らせて無力化していく。

 そしてタッタカタ―とかわいい音を出してその間を駆け抜けた。

 

「おっとぉ!最初に第一関門を抜けたのはぁ!A組推薦入学者の轟だぁ!これにより首位が入れ替わるぅ!」

 

「先いかれてたまるかよ!」

 

「まったくだ」

 

 爆豪は爆破による勢いで、上鳴は『こうそくいどう』と軽やかな身のこなしの併用で0P仮想敵の体を縫うように走り抜け、頭上を飛び越えていく。

 

「A組の上鳴と爆豪もそれに追いついていくぞぉ!」

 

「あぁ!?なんでお前の方が先に紹介されんだよ!」

 

「うるせぇ!五十音順だろ普通に!」

 

 彼らは言い争いながらも互いに妨害はせずに爆速で駆け抜ける。

 なぜなら轟が前にいるからだ。ここで3位を妨害して2位になるより1位を目指すことのほうが重要なのである。

 

「一足先行く連中はA組が多いなやっぱ!どうなってんだお前のクラスはイレイザー!」

 

「他の科もB組も決して悪くはない。ただ……………立ち止まる時間が短い。各々が経験を糧として迷いを打ち消している」

 

「なるほどな!ヴィラン襲撃で心境の変化があったと!というか相変わらず生徒のこと好きだなオメー!んじゃ第二関門はどうさ?落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!ザ・フォール」

 

 第二関門はザ・フォール。岩の足場同士を一本の細いロープで繋げた道。

 落ちたら大幅なタイムロス間違いなしだ。

 

「無駄だ!」

 

「ピカピカピカァ!」

 

「待てやぁ!」

 

 轟は氷で即席の橋を建設し、上鳴は『こうそくいどう』で、爆豪は爆破を推進力に進んでいく。

 全く問題になっていない。

 

(爆豪も上鳴も調子あげてきたな。スロースターターか)

 

 轟は内心でそう思う。

 

 爆豪は掌の汗腺からニトロのような汗を出して爆発させる。つまり爆破力は汗の量の比例するので動けば動くほど強力になる。

 つまり時間がかかる競技こそ彼の真骨頂だ。

 

 そして上鳴、彼はレースが始まってから『こうそくいどう』を3回使った。

 つまり素早さが最大まで上昇している。

 速度は脅威の4倍、まさしく圧倒的だ。その脚力を利用してロープも使わずに足場から足場へとジャンプして跳んでいく。

 彼もまた時間のかかる競技において輝く。

 

「おおっとぉ!上鳴が轟を抜いたぁ!喜べマスメディア!おまえら好みの展開だ」

 

 プレゼントマイクのアナウンスに会場は湧く。上鳴が轟を抜き返したのだ。

 流石のA組最強も極限まで『かそく』したポケモンには敵わない。

 そしてそのまま大差をつけて引き離す。

 

 現在の順位は上鳴、轟、爆豪の順。

 レースの結果はまだまだ分からない。

 

「選手宣誓の奴、凄いな。個性はなんだ?」

「わからん、異形型なのは確かだが…」

「エンデヴァーの息子さんを抜いたぞ!」

「今年のサイドキック争奪戦は盛り上がりそうだな」

何をやっているかぁ!焦凍ォォォ!

 

「先頭が一足抜けて下は団子状態!上位何名が通過するかは公表してねぇから安心して突き進め!そして早くも最終関門!かくしてその実態は一面地雷原、怒りのアフガンだ」

 

「おいおい、俺は『そらをとぶ』は使えないんだが」

 

 上鳴はそう言って足を止める。

 例え『ロケットずつき』を使ってもぶっ飛んでも飛距離が足りず地雷に引っかかるだろう。

 そしてそれは大幅なタイムロスを意味する。

 

「はっはぁ!俺は!関係ねー!」

 

 爆豪は爆風で『ふゆう』してるので関係がない。

 

「後ろ気にしてる場合じゃねぇ」

 

 轟も道を凍らせて地雷の対策をする。

 

 レースはラストスパートに入り爆豪と轟は熾烈なデッドヒートを繰り広げる。

 そして後続達もと追いついてきている。

 

「おっとぉ!ここで轟と爆豪の一騎打ちだぁ!さあどうなる!?どうなる!?」

 

 氷と爆破が互いに妨害しながらも文字通りゴールが目と鼻の先になった時。

 突如として『だいばくはつ』が起こり、何かが彼らの上を吹っ飛んだ。

 

「A組緑谷!爆発で猛追……………っつーか抜いたぁ!」

 

 緑谷が地雷を集めて起爆し吹っ飛んできた。

 勢いは凄まじく上位争いをしていた彼らの事を抜かしたのだ。

 それを見た元・先頭の2人は脚の引っ張りあいを辞めて緑谷を猛追する。

 1位は譲れない。

 

 だが1位は緑谷でも轟でも爆豪の物ではない。彼の物だ。

 

「ピカァ!」

 

「へ?」

「お?」

「あ?」

 

 先頭3人は困惑する。

 なぜならば彼らの前方にあるコースの地面から小さくて黄色い頭が出てきたからだ。

 

「ピカピカピカピカァァァ!」

 

 その黄色頭は地面から這い出てきてそのまま圧倒的な速度でゴールを果たす。

 ゴール付近には地雷はない。そして彼に勝てる走力の人間はいない。

 

「ん?あ?え?な、なんと!今1番にスタジアムから還って来た男はぁ!上鳴電気だぁ!なにをしたってんだぁ!?」

 

 なんと1位に輝いたのは上鳴電気その人だ。

 プレゼントマイクが叫んだ瞬間にスタジアムはまさかのどんでん返しに湧き上がる。

 

 なぜこんなことが起こったのか。

 しばし時を戻そう。

 

「おいおい、俺は『そらをとぶ』は使えないんだが」

 

 時間は上鳴が最終関門に着いた時だ。

 彼はそう言って足を止める。

 そして黒鉄と化した尻尾を使って『あなをほる』をし始めた。

 

(パワーローダー先生から習っておいてよかったな。)

 

 上鳴は特訓の日々を思い出す。

 2週間の特訓、相澤がどうしても予定があって特訓の監督が出来ないときは別の先生が監督してくれることもあった。

 パワーローダーも監督してくれた先生の1人である。

 

「俺に『あなをほる』を教えてください」

 

 上鳴はパワーローダーが監督をしてくれた日に土下座で『あなをほる』を教えてくれと頼み込んだ。

 パワーローダーの個性は鉄爪、鋼鉄のごとき爪で地中を掘り進む。

 つまり『あなをほる』のエキスパートなのだ。

 

「クヒヒ、別にいいがなんで穴掘りなんて習うんだ?」

 

「倒したい人がいるんです」

 

 上鳴にとっての最重要警戒対象、それは轟焦凍である。

 彼の個性は半冷半燃、つまり『こおり』『ほのお』タイプである。

『こおり』『ほのお』タイプの弱点には『じめん』タイプがある。

 そしてピカチュウが唯一習得できる『じめん』技は『あなをほる』のみだ。

 

 故に彼は轟対策の為に『あなをほる』を習得したいと思ったのだ。

 

「いいだろう教えてやるよ」

 

「ありがとうございます」

 

 そういうわけでパワーローダーからの指導によって『あなをほる』を習得したのだ。

 

「ピカァァァ!」

 

 上鳴は『こうそくいどう』の効果で4倍速になっている。そしてそれは『あなをほる』速度にも影響している。

 まるでイワークの如きスピードで彼は掘り進めている。

 地中ならば地雷にもライバルにも妨害される心配もない。

 轟・爆豪・緑谷が争っている隙に彼は悠々自適にゴール前へとたどり着いたのであった。

 

 そして彼はそのままゴールしたというわけだ。

 

「ハァ、ハァ、まさか上鳴くん地面から出てくるなんて……………でも彼の個性は電気鼠。鼠には穴を掘る種もいるから予想の範囲内なのかな?」

「…………………」

「クソッ!鼠どころかデクにまでぇ!」

 

 上鳴がゴールした後、続々と後続達もゴールしていく。

 1位上鳴・2位緑谷・3位轟・4位爆豪の順だ。

 

(とりあえず予選1位。さあこの勢いで行くぞ!)

 

 上鳴はまだ満足はしない。これからも戦いは続くからだ。

 彼は精神統一をして次の戦いに備えた。

 

(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)

 

「ようやく終了ね。それじゃあ結果をご覧なさい」

 

 選手全員がゴールに到着したのを見計らいミッドナイトが結果をモニターに表示する。

 そこには予選を突破した42名の名前と顔が映っている。

 

「次からいよいよ本選よ!ここからは取材陣も白熱してくるよ!気張りなさい!さーて第二種目は

 騎馬戦よ!

 

 ミッドナイトはルールを説明する。

 

 参加者は2~4人のチームを自由に組んで騎馬を作る。

 

 予選の結果に応じて各自にポイントが振り当てられ、組んだ騎馬で合計のポイントが決まる。そしてそのポイントが書かれているハチマキを奪いあう。

 

 ハチマキを奪われたり騎馬が崩れても失格にはならない。

 

 個性アリの残虐ファイトだが悪質な騎馬崩しは退場。

 

 15分経過時点での上位4チームが次の競技へと進む。

 

「与えられるポイントは下から5ずつ。42位が5P、41位が10Pといった具合よ。そして1位に与えられるポイントは1000万!

 

「ピカ?ミッドナイト?聞き間違いとかではなく」

 

「予選通過1位の上鳴電気くんには1000万P!上位の奴ほど狙われちゃう下剋上サバイバルよ!」

 

 周囲の目線は上鳴に集まる。

 上に行く者には更なる受難を。これぞPlus Ultraだ。

 

「それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!」

 

 そうしてチーム決めが始まった。

 

「轟!組まないか?」

 

 上鳴はとりあえず強いメンバーを集めるべく奔走する。

 まずは最強の轟が第一候補だ。

 

「いや、お前の身長差的に無理があるだろ」

 

「ピカ?あ~、あぁ」

 

 上鳴はピカチュウの容姿をしている。そしてピカチュウの身長は40cmだ。

 対して轟の身長は176㎝。

 つまり身長差がありすぎて騎馬が成り立たないのだ。

 ピカチュウ小さすぎである。

 

「じゃあ俺が騎手になるぜ」

 

「いや、お前は手が短いだろ。流石に無理があるだろ」

 

 何度も言うが上鳴の身長は40cmだ。それ相応に手も短い。

 手が短いということはハチマキが取りにくいということ。

 騎馬戦という競技、彼にとっては最悪とも言える種目だ。

 

おいどうすんだコレ!

 

 上鳴は内心で焦る。

 騎馬も騎手も出来ずポイントは1000万で狙われまくる。

 このままではチームを組む以前の問題だ。

*1
クイックボール




(⚫︎◕ ‧̫ ◕⚫︎)ピカチュウの技
『10まんボルト』『ロケットずつき』
『あなをほる』『こうそくいどう』

前回習得した『??????』選手、名前が判明する前にリストラされるの巻。
『あなをほる』習得についてですが、『こおり』『ほのお』タイプの轟相手なら同じく2倍弱点を出せる『かわらわり』があるじゃないかと思いますが『かわらわり』の威力は75・『あなをほる』は80なのでより火力を求めた形ですね。

職場体験どうする?

  • ポケモン世界からの刺客と戦う
  • ステインと戦う
  • どっちもやろう
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