コッチの方が見やすいと思い改行の間隔を変えてみました。
本作品はオリポケは出しませんが、匂わせ程度はします。
<Side:クロン>
あたりに石造りの神殿のような建築物がガレキがある中、僕らは雑草は少し生えた石畳の上を歩いていく、どれの建築物も崩れているが、人間が住んでいたにしては少し小さいスケールのものだったことが分かった。
現在、僕はネグとペコと共に指名依頼を行った探索隊の先輩の少女と共にダンジョンへ向かっている最中だった。
「すまないな。まだ研修期間というのに指名の形を依頼をしてしまって」
「いえ、僕にも可能なものなら受けてみたいと思いましたので」
「パモッ!」
「しかも直接依頼でなく2次受け… こういうのは断る方が賢明だぞ?」
「グオォォ」「ペココ」
「レントラー、後輩に教えるのもいいが警戒は怠るなよ!」
今回僕らと指名依頼を出し、共にダンジョンへ向かうのは「ライオン系のポケモン」が制限のレオーネさんだ。僕らの少し年上で中堅のフリーの隊員をしている。年齢差以上に背が高い為、顔を上げて話すが…早くこの体にも成長期が来てほしい。
「出発前にも説明したが、今回君には囮役をしてもらう事となる。疲れすぎるのは良くないがダンジョン前に準備運動はしておいた方がいい」
「モッ! モッ!」
「ネグ張り切りすぎ。まだ早いから少し抑えて」
「君たちは体躯の小ささを活かした機動力と咄嗟の判断力が良いと評価されている。プレッシャーを懸けたくはないが期待しているよ」
「ははは… 逃げ足の速さが取り柄なだけですけどね…」
「探索隊にはそれが何より大事なのだ。誇りたまえ、UBからも逃げれた事を」
色々と会話している内に石造りの広場が見え、その中央には人には少し小さい石の門があった。難易度や危険度が低いダンジョンのため、それほど防衛設備を置く必要がないのだろう。
「さて、扉の向こうには案内役がいるが… 何度も言うがあまり驚きすぎるなよ?」
「何回目ですかソレ… 本当にいるんですか?」
レオーネさんが石門を開けて中に入るので僕らも先に続く、ネグとペコはレントラーに乗って移動していた。仲良くなるの早いなぁ…
そうして僕らは扉を抜け、
・・・
「ようこそニャ。新たニャ客人。我らの声に応えてくれてありがとうニャ」
長靴を履き、帽子を被り、マントをしたカッコイイ声の
「ッ! ッ!!!」
「…君たち探索隊は我々の一族を見る度にその反応をする義務があるのかニャ?」
「すまないな。私たちにとって喋るニャースというのは特別なのだ」
「そもそも人の言葉を喋れる事自体が特別なハズニャなのだがね…」
事前に聞いていたとは言え、やっぱり実物の喋るニャースを見ると声が出なくなってしまった。驚愕というか…感動というか…言葉で表しにくい感情が出てきてしまった。
「モ!」「ペコ!」
「ああ、よろしくニャ小さニャ客人。一応コチラの願い通りネズミポケモンなのかニャ? 私の本能も反応したので合ってると思うんニャが?」
「…ハッ!合ってますよ。正確にはモルモットだけど…」
「他のネズミ使いたちは急用で来れなくてな…」
ニャースさん(ついさん付け)の要望通りのネズミ(?)ポケモンを持つ隊員として、レオーネさんから指名が僕に来ていたけど… モルモットでもセーフらしい。
今回僕らへの依頼はこのダンジョン、「猫の国」でヤンチャした猫ポケモンたちをおびき出すための囮役だった。
ダンジョンのボスの1匹が猫の国の特産である特製マタタビ団子を勝手に持ち出し、それを摂取して得られるパワー(?)で外への再侵攻を考えたようで… それに賛同、というかマタタビに釣られた他の猫ポケモンをニャースさんが捕まえたいらしい。
そこで、ココの猫ポケモンの本能に作用するネズミポケモンにより、隠れた相手を誘いだす作戦のようだが…
実際にダンジョン来ても半分ぐらいしか意味が分からない!!!
「今更ですけど、そんな簡単に釣れるんですか?ニャースさんみたいなポケモンがいるなら引っかからないと思うんですが」
「我々の一族は特別ニャ。むしろココのポケモンはオツムが弱いニャ…だから遊び感覚で何度も侵略ごっことかしでかして友好関係が結べニャいニャ…」
「クロン、勘違いしないでほしいがこの国のボスポケモンたちは悪いポケモンではなく『悪役』として楽しむのが好きなのであって、本気で侵略する気はない」
「2回ほどダンジョンごと滅ぼされかけても懲りニャいのは馬鹿すぎるニャ」
「猫の国の特産は我々にも有用だ。それに平均レベルが低いので探索隊や他組織の手持ち候補も多い。だから本部も本気で滅ぼすつもりはない」
何か思っていたよりユルいダンジョンかも?敵性ダンジョン扱いでも危険度が低いのはそれが理由なんだろう。それでも今回の騒動起こしたボスポケモンは傍迷惑なのだが。
ってあれ?そういえば何でこのニャースさんは喋れるんだ?
「他のポケモンもニャースさんみたい話せればこんな騒動起きにくくなるのでは…?」
「それは無理ニャ。我々の一族に知識を与えた湖の妖精、君たちがユクシーと呼ぶものは既にココにはいニャいニャ」
「北欧の神の様に片目を差し出したのではないのだったね?」
「何ニャそのエグイの… 我々の一族が差し出したのは進化の可能性ニャ。一族の未来という代償もそう軽くはニャいニャ。さて仕事の準備をするニャ」
なんかこのダンジョンはモチーフがごちゃごちゃしすぎだなぁ…
・・・
さて、レオーネさんとニャースさんはそろそろ目的地に着いたかな? 僕らはニャースさんがくれた地図のルートを走り続けるだけでいいらしい。ネズミポケモンで釣れるのは最大が20までのレベルが低めな進化前の猫ポケモンのみ。他には…
『進化前でも素早いニューラと自縛を止めたニャスパーの超能力に気を付けるニャ』
『危ない時用に粗悪マタタビを渡すニャ。当てれば混乱させられるニャ』
『正面から来る奴はぶっ飛ばしてイイニャ。思いっ切りやってイイニャ(笑顔)』
うん。かなりストレス溜まってそうだったなぁ…
「よし! 2人ともいくよ!」
「「モッ!」」
誘因用のマタタビを全員で少しまぶしてから草むらから飛び出し、始めはゆっくりと歩く。できるだけ人(猫)目に付きやすいようにして、1つ目の目印である大きなツリーハウスへ向かう。いやアレ、デカイキャットタワーじゃない?
「ニャー」「ニャ?」「ニャ!」「ミィ?」
『ニャー!!!』
思ってたりより食いつくの早い!広い道で草木が少ないのにアチコチから
「行くよ!」 「パモ!」 「モペ!」
「でんこうせっか」でアチコチにススキの生えた道を駆け抜ける。逃げる相手程を追いかけたくなるらしく、付いてくる猫ポケモンたちは増えていく。
前にエーテル団の犬ポケモンの世話で追いかけっこした事を思い出す。あの時よりは簡単だ。幼いながらもデルビルとポチエナの群れで追い立てられるのは結構怖かった…
「ニャオ!」
「痛った! っとと危ないなぁ!!!」
レベルは低く、遠距離持ちがいないと思ったらニャオハが「マジカルリーフ」してきた! 何とか体勢は崩さなかったけれど普通に痛い!しかもソレ必中攻撃じゃん!レベルと威力が低くてもこのままじゃマズイ…
さっき撃ってきた後ろに1匹、右前の木の上に1匹いるのが分かる。そろそろまた「マジカルリーフ」が飛んでくるハズ!
「2人とも、僕の前に!」
「「モ!」」
ニャオハたちが「マジカルリーフ」をした直後に皆で「でんこうせっか」を行う。一瞬避ける事はできたが、不思議な力が宿った葉が僕らの後ろを追尾してくる。
「ぶっつけ本番だけど! この程度の威力なら! ファイトォォォ!」
「「ニャ!?」」
追尾してくる葉が当たる直前に、ビンセに教えてもらった「にどげり」で葉っぱを後ろ向きに蹴りながら加速する!
「買ってて良かった新しい靴! 後、ありがとうビンセ!」
足の性癖の話ばかりする同期の友人に感謝しながら、僕らは大きなキャットタワーに辿り着き、右の森方面へ進路を変えて走り続けた。
・・・
『ニャ~ ニャ~ ニャ~』
「いや 多い!多い!」 「モモモ~!」 「モペ~!」
浅い森の入口に差し掛かる頃には後ろから感じる気配がかなり大きくなってきていた。そして森付近にいるポケモンも多く、数の増え方が先ほど以上だ!
次の目的地は森からも見える丘だけど、少し休憩したくなってきた… 人間は体力が多く、回復が早いからまだいいけど、ネグとペコはそろそろ休みがいるかも。そろそろ1つ目の罠ポイントだから休憩ができるそうだけど…
「客人よ! コッチニャ!!!」
聞こえた声に従って走る。すると長靴を履いてマスクをしたニャースさんが数匹おり、大きな袋を抱えていた。彼らの間を走る抜けると後ろから袋が開く音がし、小さな粉が舞い始めた。
「ニャ?」 「ミャ~?」 「ァァ~」 「ニ~」
「ヨシッ! 捕まえるニャ!」 「ヨシッ!」
「客人、少し休みたミャえ」
足を止めて後ろを向くと追いかけてきていたポケモンたちが目を回しながらフラフラしており、ニャースさんたちが縄で繋げて近くの木に縛りつけていた。
「これを飲むとイイニャ。スミャナイが他のポケモンやボスに情報が広ミャるミャえに再開してほしい。あまり長い時間は休めニャいニャ」
「ふ~ ありがとうございます。そちらは大丈夫ですか?」
「ニャに、彼らを縛り上げるミャでは正気を保てるニャ… ところでなぜ君たちは『かげぶんしん』しているのニャ?」
「いや大丈夫じゃなくないですか!」 「モモ…」
粉末状のマタタビの罠ってやっぱり猫ポケモンのニャースさんたちも自滅してるじゃん!
・・・
休憩の後、気を取り直して丘に向かって再び釣りだす。ただしここからはニューラやニャスパーが出てくるから注意する様に言われている。前から来る場合は避けられないが、今の僕たちなら対処ができる。
「ニュ! ニュ~~」
「パモッ」
「ニューーー!」
ニューラは動きは速いが接近技のみなので、近づいた所を僕が「でんじは」や粗悪マタタビ動きを止めてネグが「つっぱり」をすれば大丈夫だ。…4倍弱点だから2回で十分だよネグ。待って!4回目はさすがにマズイって!
「ミャ~!」
「ペコォ!」
「もう行くよ! ペコ!」
「モペ? モ? モ!」
ニャスパーにはペコが悪状態で「ねんりき」を無効化しながら突っ込み「かみつく」で撃退していた。ただ「チャームボイス」の対策用に耳栓をしてて声が届きづらい… 僕の意図を察してくれる程賢い子で良かった。
それでも道中のポケモンは厳しく、木の上からチョロネコなどによる「ひっかく」による奇襲で体が傷つき、アローラニャースによる「ねこだまし」は来ると分かってても一瞬足を止めてしまう事があり粗悪マタタビを消費していく。
アクジキングの時の様な強力な1体による攻撃やエーテル団の犬ポケモンの様に少数でも群れだった追跡を経験してきたが、単純な数の多さと種類の多彩さによる攻撃は確実に消耗させられる事を実感していた。
それでも体力を振り絞り、再び猫ポケモンを引き連れながら目的地の丘までたどり着く事ができた。そこにはレオーネさんとその手持ちの♂と♀のカエンジシとレントラーが居た。
「よく頑張った。そのまま抜けて目と耳をよく塞いでおけ」
指示に従って慌てて皆で目を閉じ耳に手を当てると、
大きな「おたけび」が辺りに響き渡った。正面から受けたわけでもないのに体が少し震えるのが分かり、振り返って様子を見ると…
『ニャ~~~』
「うわぁ…」 「モ…」
僕たちに付いてきたポケモンが目を回したり腰を抜かしているのが見えた。「特性:いかく」や「ほえる」、「おたけび」の練度を上げれば格下相手へのひるみ効果があるとは聞いていたけど、これほどとは…
「逃げたのは無視し、動けないのを捕まえる。手伝ってくれ」
痺れる体を動かしてレオーネさんとニャースさんと一緒にポケモンたちを一か所にまとめていき、大きな網を被せようとした所、
hyuuuuu…
「ニャ? やっぱ来たニャ! 全員備えるニャ!!!」
丘に何かが降ってきたのか、大きな衝撃音が聞こえ、土埃が舞う。正体は分からないがうっすらと見える影からは強力な圧を感じる… きっとコイツがボスだ!
「あの脳筋! 見栄えのいいタイミング狙って爆発で飛んできたニャ!」
「やっぱりか… どおりでニャビーが少ないと思ったよ」
「ガッガッガッ グオォ!」
「『新入りが居たからカッコつけたい』? ニャに言ってんだコイツ…」
土埃が開けると普通の個体よりも大きい2mは超えているだろうガオガエンが笑っているのが見えた。威圧感の割にフランクなボスだなぁ…
「レオーネさん、どうします?」
「まず勝てない。私の仲間はLv45付近だが、あのボスは全員で仕掛けても叩き伏せられる。本気を出すつもりはないようだが…」
「安心するニャ。こっちも既に備えてるニャ。お~いやっぱ来たニャ~」
ニャースさんがどこかに大声で呼びかけると…
「ゼララッ!!!」
「ガ!? ギャオオ!ガガガァ!」
「『主役が出るには展開が早すぎる』? うっさいニャ!外の客人をお前好みの展開に巻き込むニャ! しかも前にマニューラの方のボスがやったニャ!」
ゼラオラが超足で現れ、ガオガエンと対峙してくれていた。ってガオガエン的に早いって… 何か僕らをヒーローショーの人質役にするつもりだったらしい。何とも締まらないボスだ…
しかもゼラオラが主役って言っているらしいけど、そのゼラオラすごい真面目そうだけど…こんな事に加担させないであげなよ。
「ハァ~~~ ギャオ」 カンッ
『ニャ~~~』
人間臭い溜息をしたガオガエンが指を鳴らすとアチコチから爆発音が聞こえてきた。すると森で捕まえられたはずのポケモンが向かってくるのが見え、今まで姿を見せなった進化後の猫ポケモンたちも急いでコッチこようとしていた。
「いやこれ全部と戦うのは無理ですよ!」
「安心しろクロン。この展開になるとこれから始まるのは…」
「主人公と悪役のバトルニャ… これで国のポケモンもボスも満足するからいいんニャ。再侵攻の前にここまでもってこれればOKニャ」
そう話している間にも数匹のニャヒートがゼラオラとガオガエンの周りを囲み「ほのおのうず」を行って、円形の炎のリングを作り出していた。その外側にはポケモンたちが楽しそうに待っている。森で会ったニャースさんたちもボロボロになりながらもコッチへ歩いてきていた。
「ォン… ガァ ガァ ガァアアア!」
『ニャ ニャ ニャー!』
どうしようこのノリと展開についていけない…
「クロン、ネグ、彼の戦い方は君たちの参考になるはずだ。しっかり見ておくといい」
「パモッ!」 「元気だね… ネグ…」
・・・
一通りガオガエンのパフォーマンスが終わったようでバトルが始まった。
ゼラオラは正に雷の様な速さで動き、「ボルトチェンジ」で攻撃の後にすぐに引いている。一度でもガオガエンに捕まると大変な事になるのは把握しているようで一撃離脱を繰り返していた。
ガオガエンは腕や首の動きだけゼラオラの爪撃を弾き、回避し、時折わざと受けてながらも掴もうとしているのが見えた。
「パモモ…」
ネグが熱心にゼラオラの攻撃を見ている。僕もより注意深く見ると攻撃が避けられたり、弾かれたりしても雷撃を相手に飛ばしており、確実にダメージを与えている事が分かる。そして「ボルトチェンジ」だと思ってた技もまだ不完全なようで「でんこうせっか」と「かみなりパンチ」を合わせた物理技のようだった。
「ガッ ガッ ガッ」
「ゼララ…」
雷撃を確実に当てダメージを稼いでいるハズなのにガオガエンはピンピンしており、逆にゼラオラの方が疲れてきているようだった。それだけじゃなくガオガエンは攻撃を受ける瞬間には体毛を燃やすことでゼラオラにもダメージを与えていた。
「ニャ… まだ主人公役の世代交代したばかりだからキツイニャア…」
ゼラオラが再度攻撃をしようとした途端、爆音と共にガオガエン急接近し、肩からのぶつかりを仕掛ける。ゼラオラは反応して慌てて横に回避したが…
「ガァ!」 「ラァァァ!!!」
再度爆音が起きガオガエンが方向転換してゼラオラを打ち上げるのが見えた。そして空中で回避できないゼラオラがドロップキックを受けて炎のリングの壁にぶつかった。
「何ですか今の!? 巨体のガオガエンがあんな早く動けるなんて!?」
「よく見えたな。あのボスが登場した時と同じだ。アイツは自身の抜け毛を爆発させて高速移動や急な方向転換を可能としている。並みのガオガエンとは思わない事だ」
「無茶苦茶な! ってゼラオラが! 手を貸せないんですか!」
「無理ニャ。そんな事すればこの場の全員が敵に回ってしまうニャ… でもあのバカ好みの展開になれば…」
炎の壁に焼かれたゼラオラが呻きながらもフラフラと起き上がっていた。でもここからどうすべきだ?彼の力はガオガエンにはあまり響いていないようだし、始めからあの移動法を使ってない時点で明らかに手加減されている。勝ち目はあるのか…?
「ニュー!」
「ラ? ゼララァ!!!」
「え? 誰ですかあのオオニューラ?」
「前任の主人公役兼、師匠役だニャ。本人たちは真面目にやってるニャよ」
「いや、いかにも高い木の上に腕を組んで立ってる時点であのオオニューラもガオガエンみたいにいい感じの展開狙ってるじゃないですか!!!」
「ニャース、暫く翻訳してくれないか?」
※少しの間、ポケモンの鳴き声にセリフが入ります。ご注意下さい。
「ガガガ、グオグオ ガガ?」
(クハハ、次は貴様か? 我がライバル、毒爪拳よ?)
「ニュ… ニュララ ニュー!」
(フン… 俺の時代は終わりだ 起きろ!)
「ララ… ゼラ…」
(師匠… すいません…)
「ニュニュ ニューララ」
(未完成だがあの技を使え ソイツの鼻を明かしてやれ)
「ゼ… ゼ!!!」
(あの技… はい!!!)
ゼラオラが立ち上がって腰を少し落とした後に前傾姿勢な構えをとる。ガオガエンは笑いながらもそれを正面から受けるつもりのようだ。
ゼラオラが目を見開き一瞬で距離を詰めた! 速いっ!動きの起こりが見えなかった!
『にゃーーー!』『ミィーーー!』『ニャーーー!』
「モモーーー!」「おおーーー!」
ガオガエンが至近距離で技名の通り「インファイト」のラッシュをその身に受け、最後の一撃によって炎の壁すら抜けて吹っ飛んでいった! ゼラオラの勝利だ! 周りのポケモンたちも楽しそうに笑っている!
「まだ序盤としても展開が粗いな。ガオガエンも一度もちゃんとした技を使ってないから手加減しているのが分かりすい」
「いやレオーネさん! 何冷静になってんですか!」
「私は急にノリが良くなった君に驚いているが…」
確かにガオガエンのやられ方がわざとらしかったけど!
車田飛びとか初めてリアルで見たけども!
「「ニャーハッハッハ!」」
(ハーハッハッハ!)
「ラ? ゼラ!?」
(誰だ? お前らは!?)
ガオガエンが吹き飛んだ方から笑い声が聞こえてきた。まだこの流れが続いてるようだ…
声のした方を見ると、通常個体よりも大きめでいかにもなマントや帽子をしたマニューラとマスカーニャが立っており、マスカーニャはガオガエンを鞭の様なモノで回収していた。
「ニュッニュッニュッ ニュララァ ラァァ」
(フフフ ようやく我ら3ボスとまみえる事ができたな)
「ニャー♪ ニャニャニャ~?」
(遅いっての♪ 自慢の足は飾りかニャ~?)
「グオオ! ガーガッガ!」
(まだ始まりにすぎん! 次はこうはいかんぞ!)
いやガオガエン復帰はやすぎぃ!もうちょっとやられた感じ出しといてよ!
「「「ニャーハッハッハ!」」」
(ハーハッハッハ!)
高笑いをしながら、マスカーニャの「えんまく」(何で覚えてる!?)により視界が塞がれ、煙が晴れた頃には3匹のボスはどこにもいなかった…
・・・
「すまニャい… 色々巻き込んでしまったニャ…」
「いや、いいもの見れましたからいいですよ」
「パモモッ」
「ネグは『かみなりパンチ』の練習がしたくてたまらない感じだな」
なんやかんやで色々終わったあと、僕らバトルで吹き飛んだ地面を直していた。
「本当に今更なんですけど、何であの3匹のボスはこんな事してんですか?」
「ニャ…この国のポケモンたちを退屈させないためニャ。昔、王様がいなくなってからお祭りがなくなり、国中が暗くなりはじめときに彼らがバカ騒ぎを起こすようになったニャ…」
「え…? この国、王様いたんですか!?」
「うむ。この国、というより『猫ポケモンがおもしろおかしく暮らせる空間』を作り上げた存在ニャ。君たち探索隊の言う伝説?と呼べるポケモンかもしれないニャ」
「ここに限らず私たちが知らないポケモンがいると検証組も広報している。パルキアとかでなく、ケット・シーの様なポケモンがこのダンジョンを作ったハズとされている」
「話を戻すニャ。彼らが皆を退屈させないおかげ我々は気ままに暮らしていけてるニャ。もしこの雰囲気がニャくニャれば、ポケモン同士での縄張り争いが起きたり、攻撃性を外へ向けて本当に侵攻をしてしまうかもしれニャいのニャ」
「だからこそ本部もこのダンジョンは今の状態の維持を優先しているのだ」
「思ったり重要な役割なんですね… 楽しんでるだけと思ってました…」
「いや、正直彼らも今回みたいに自分の楽しみを優先してやってるニャ」
「えぇ…」
今回の依頼はいつもと違う感じのダンジョンもある事を学ぶいい機会になった。
手持ちの2匹にもいい影響があった様で、ネグはゼラオラの真似をして「かみなりパンチ」を覚えそうだし、ペコも早めに「スパーク」を覚えてくれそうだ。
帰る前に今回の依頼報酬として猫の国の通行証とネグ向けのマント、特製マタタビをもらった。…最後のはネコ科のポケモンならパワーアップに使えるけど、僕らにはいらないかなぁ…
レオーネさんに良い値で買い取ってもらおうかな?
後日談
「ってことがあって、ビンセに教えてもらった『にどげり』のおかげで助かったよ」
「…サイ」
「え? なんて?」
「お願いします! 俺っちも『猫の国』へ連れて行って下さい! 相性のいいニャオハを探させてください!」
「なんでイキナリ土下座してんの!? 君の制限は、その…『脚がグンバツ』な?ポケモンでしょ? ニャオハ…進化後のマスカーニャは違うんじゃ?」
「馬鹿野郎!!!いつも言ってるだろ!脚は太いのも!細いのも!それぞれの良さがあって!それだけじゃなく尻からの曲線やひざ周りのしなやかさも脚の良さであって!ムチムチしたのも!スラスラしたのも大好物なんだよ!つまるところ俺っち制限はヌ「アマッー!」ゲホォーッ!!!」
ビンセは自身の手持ちのアママイコにみぞおちを蹴られて悶絶していた。
何かこういつの間にかアニポケのタケシとグレッグルみたいな関係になってんなぁ…
ビンセは19話に出てきたクロン君の同期です。
コイツの制限の対応するポケモンが人によって違いすぎる…