『鬼殺の刃~鬼と逢うては鬼を斬る、人と逢うては人を斬る~』プレイ実況 作:助亜黒宇
俺はなぜあの時、一緒に■ねなかったんだろう。それは、ただ、死ぬのが単純に怖かっただけだ。■や■、■と■を見捨ててまで生にしがみついた。
鬼。俺以外の■■を皆殺しにした、人の形をした化け物。そのせいで、■■は死んでしまった。殺されてしまった。なにもかも、その時に失ったんだ。残ったのはちっぽけな復讐心と逆恨みの気持ちだけ。
その日は……、そう、■が売り込みをかけていたお得意様である士族様のご厚意で、■■全員がお呼ばれした。■と■だけでなく、次男の俺や女である■、■までお呼ばれすることなんてありえないことではあるが、実際にお呼ばれしたのだから仕方ない。
遠路はるばる、馬車を使って士族様のお屋敷へ。お屋敷と言っても何人も召使がいるようなものではなく、ご家族でお住まいってだけだ。洋館ではなく、平屋の、ちょっと大きめ、そんな程度だ。
だからだろう。事件に気付くことができなかったのは。静粛なお屋敷に不穏な気配を感じ取ったものの、行かないという選択はできず、■がお屋敷に入る決断を下した。
-血の匂い。お呼ばれしているのにお出迎えもなく、慌ただしさもない。違和感しかなく、ここで逃げ出していれば■■で仲良く暮らせたんじゃなかろうか。
上がりこんだ■の前に現れた男。「おお、これはこれは」などとあいさつを始めた■に襲い掛かった。
そこからどうやって逃げ出したのか。気が付けば、■は喰われ、女の■と■を連れて林の中に逃げ込んだ俺たちを執拗に付け回した鬼は、疲れ果てた1番年下の■に襲い掛かり、■が身を挺して喰われた。
足が震える。人ってのはこんなにももろいのか、と。死が目前に迫っているのに泣き叫ぶ■。腰を抜かし、後ずさるしかできぬ俺の眼前で、■にその悪鬼の一撃が下る。■の血が俺に飛ぶ。血だらけだ。■だけじゃない、■■の血で俺の服が染められた。
にちゃりと笑う鬼の口から垂れる血は、いったい誰の血だったのか。■か、■か、はたまた■か、最後に襲われた■なのか。
その光景で頭がおかしくなったんだろう、俺は屋敷に逃げ込んだ。獣のように狂い笑う鬼から逃げた先には、士族様に売るはずだった刀が。
-そこから先は覚えてない。黒服の男たちが来るまで切り刻み続けていたらしい。指を、足を、頭を、口を。凄惨な現場だったそうだ。壁という壁に肉片が、血が飛び散っていたそうだ。黒服の男が隙を見て鬼の首を刎ねて終わらせた。
鬼を殺した男に俺は同じ力が欲しいと願った。素質がないと鬼は倒せない。お前に素質があるかわからないが、この烏についていけばいい。そう言われた俺はそのまま烏を一両日追い続け、筋肉凄まじい男に力を願った。
鬼を殺す、そんな力が欲しいと。
男たちと何日か暮らしていたある日のことだった。男は見せてやるが、力は自分でつかみ取らないと手に入らない。そう言って、一度だけ見せてくれた。後は同じように集められた人たちを見て、真似していくしかなかった。生きるために。
より強く、鬼を殺すために。
それからも男は何も教えてくれなかった。ただ、日が経つと古くからいた人からどこかへ送られていった。強かろうと、弱かろうと、長くいる人からどこかに送られるらしい。
ただ一つ分かっていることは、鬼を殺す力は自分で磨かなければいけないということ。そしてその力は呼吸が大事だということ。他の、後から来た人に技を見せた時、あの男からヒュゥゥゥ、そんな音がした。技を見せる時だけ、だ。
だからとりあえず呼吸を真似てみる。ヒュゥゥゥと鳴るように。そしてあの技のように木刀を振るう。水汲みの際は呼吸だけでもし続ける。少しでも長く呼吸できるように。あの男は技の時しか独特の呼吸をしなかったが、鬼がいつ襲ってくるかわからない。目の前に立って「やぁやぁ我こそは~」なんて名乗りは上げてくれないだろうから。
■のように不意を突かれて殺されるかもしれない。だからこそ、常在戦場の精神で呼吸し続ける。
苦しい。とても苦しい。でも、もう■は苦しむことさえできない。目標を立てることも、達成することも、挫折することも出来ない。苦しむことが出来るのは、俺が■■を見捨てて生き延びたからだ。
そんな俺が、苦しいからって逃げていいはずがない。苦しめ。苦しんで、苦しんで。苦しんでも。
鬼を殺す。■■を殺した、畜生を、殺してやる。
睡魔で体が動かなくなるまで、刀を振る。疲労で、あるいは寝不足で、体が重い。でも、■■はそんなことも体感できないのだ。だから、大丈夫。