『鬼殺の刃~鬼と逢うては鬼を斬る、人と逢うては人を斬る~』プレイ実況   作:助亜黒宇

7 / 11
裏話3

 炎柱の殉職。鬼殺隊の最強格、柱の一角が崩れた。上弦の参にやられたそうだ。その場にいた炭治郎さんは辛そうだった。

 

 目の前で尊敬する人を失う気持ちはよくわかる。自責の念に苛まれることになるから。でも、自分で振り切るしかない。出来ることは一緒に訓練するくらいじゃないだろうか。俺がそうだから。

 

 お互いに水の呼吸を使いあう。同じ呼吸だからこそわかる指摘……だったが、先の下弦の壱との闘いで使ったヒノカミ神楽も見せてもらった。真似のできない動きであったが、下弦の壱に効いたこともあり、ヒノカミ神楽との訓練も行う。

 

 別の任務に赴き、顔を合わせれば一緒に訓練させていただいた。善逸さんや、伊之助さんとはあまり訓練に勤しめなかったが。その縁もあったんだろう、蝶屋敷で女の子を拉致しようとした大男、自称祭りの神と任務に携わることになったのは。

 

 男4人で女装する。揃いも揃ってブス面を晒しながら。炭治郎さん、じゃない、炭子と同じ店に雇ってもらえたのは幸運だったのだろう。裏方に回された炭子と異なり、ふと耳にした帳簿の計算間違いを指摘した俺はそちらを見せていただけることになった。

 

 懐かしい。父に仕込まれた帳簿の見方。思わず涙がにじみ出てくる。あふれた涙を隠すように仕事に勤しむ。上弦の陸、本体じゃなくても何か怪しい情報がないか、それを探るために。

 

 炭子と鯉夏花魁に挨拶する。犯人を見つけ出す、そんな宣言。店を後にした炭治郎、と別れる。ふと浮かんだ違和感。異常とは言えぬ何か。確認するため、改めて鯉夏花魁に会おうとふすまを開けた眼前に。

 

 鬼。美しく、髪の長い鬼。その瞳に……、上弦の陸!?すっと腰を落としていなければ顔で切断されていた。すれ違いざま足を斬り、鯉夏花魁を抱えて、飛べッ!

 

 飛ぶと斬撃がすれ違う。薄皮一枚で上弦の陸の攻撃を避けた俺に激昂する鬼。花魁をそこら辺に捨て置き、日輪刀片手に突貫する。おびただしい帯の攻撃を避けて、払って、躱す。攻めることより守ることに主眼を置いて、花魁から徐々に離れていく。

 

 ……本当に上弦の陸だろうか。十二鬼月と戦ったことはないし、今まで戦ったどの鬼より強い。しかしそれだけだ。攻撃が凄まじすぎるわけでもないし、花魁や他の人間に攻撃したりもしない。率直に言って馬鹿ではないか?

 

 対峙していた鬼の、間隙を縫うように祭りの神が鬼の首を刎ねた。だというのに、なぜ死なない?泣き始めた鬼から別の鬼がぬぅっと現れる。病だろうか、歪んだ歯に、痣、曲がった姿勢。にも関わらず感じる圧倒的強者の圧。

 

 その一撃を躱せたのは、圧に負けて一歩引いたからだ。目の前を禍々しい鎌が走る。気合を入れろッ!此奴こそが本当の……上弦の陸!

 

 お兄ちゃんなる鬼が出て情勢が変わる。連携させぬよう、分断する。妹を善逸さんと伊之助さんが、兄を宇髄さんと炭治郎さんと俺が。柱に任せっぱなしじゃいけない。俺と炭治郎さんは互いの隙を潰しあい、宇髄さんが一撃を加えやすいように立ち回る。

 

 お兄ちゃんが警戒しているのは宇髄さんだけだ。だから隙を作れるのは俺と炭治郎さんしかいない。炭治郎さんのヒノカミ神楽ならもしかしたら回復を上回れるかもしれない。だったら俺が隙をつぶしていくしかない。守りに足らぬ一手を担うしかない。

 

 血のように赤く、そして呪いのように禍々しい。呪い、恨み、妬み、そういった負の感情を物体にするとこんな感じになるだろう、そんな宙に浮かぶ鎌を刻んでいく。破片にも触らぬように。余りにも禍々しいから。絶対に触れてはいけない、そんな気がする。

 

 -円斬旋廻・飛び血鎌

 

 禍々しさ故、だろう。本当にたまたまだ。偶然は二度も重ならないだろうけど、一歩引いた、引いてしまったから。お兄ちゃんの攻撃を避けられたのは。避けられたのか?よくわからない。気が付けば建物の倒壊に巻き込まれ、どうなっているかもわからなかった。わかるのは、お兄ちゃんが誰かに話しかけている声。

 

 ……妹を守れない、だと?情けない兄、だと?炭治郎さんに言っているのわかる。だが、許せない。お前らが守れなくしてるんだろうが。誰のせいで苦しんでいるだ。誰のせいで

 

 お前らのせいだろうがッ!

 

 守れなかったんじゃない!情けないんじゃない!悪鬼どもが!どの口がぁ!

 怒りが体を突き動かす。ヒュゥゥゥと息を吐きだす。呼吸とともに血液が体を駆け巡る。疲労なんてものは忘れろ、全身の血管を突き破らんばかりに血液を、熱を体に、全身に巡らせる。血管の一本一本に、筋肉の一つ一つに呼吸を張り巡らせる。

 

 痛い、忘れろ。辛い、忘れろ。嫌だ、忘れろ。終わってからでいい。ミシミシと何かが潰れる音がする。圧迫され押し潰されるような■■。感じない、今感じる必要はない。呼吸とともに後回しにする。

 

 倒壊した建物を吹き飛ばした時には、善逸さんが妹の首に刃を届かせていた。ならばと兄に襲い掛かる。合わせるように祭りの神が蘇る。炭治郎さんとの2人の刃に重ねようとした時、寒気が走る。

 

 大技が来る。建物を崩壊せしめた、あれが。2人の刃に重ねるように攻撃しつつ、警戒する。不発に終わるはずがない。不発に終わる気配じゃない。絶対に来る。

 

 ほら来た。少しでも軽減できるように刃を振るったがどれほどの効果があったのだろうか。薄れゆく意識の中、討伐完了を願うしかできなかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。