転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第12話 新しい力

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

龍虎王という新たな機体を手に入れたクスハとブリットの活躍により、アインストを退けた一行は、インスペクターとの戦いに協力する気の無いノイエDCの一部勢力が拠点としているアースクレイドルへと向かっていた。

アースクレイドルとは、簡単に言えばコールドスリープによる巨大な地下冬眠施設。

何れ地球が直面する未曽有の危機に対し、人類とその遺伝子を保存するのが主な用途である。

逆に言えば、その危機を乗り越えるためにその施設は強固なシェルターでもあり、拠点にはもってこいの場所だ。

その為ノイエDC残党などに利用されている。

地球連邦とノイエDCはプロジェクト・プランタジネットにより協力体制が布かれている。

一応それを口実に寄港を申し出てみたのだが、案の定返答はミサイルによる攻撃だった。

すぐさま迎撃に移るヒリュウ改とマクロス・ブレイバー。

迎撃用ミサイルによって迫りくるミサイルを撃ち落した。

何度かミサイル攻撃があり、それを迎撃しつつアースクレイドルの入り口にあたる半球状のドーム、『メイガスの門』に近付いていくと、メイガスの門から複数の機動兵器が出撃した。

それは、シャドウミラーの量産型PTであるエルアインスとこの世界の量産型AMリオン、更にオウカのラピエサージュだった。

そして、敵機体が出てきたことで、ヒリュウ改でも出撃準備が進められていた。

その内の2機、ビルトビルガーとビルトファルケンのコクピットで、アラドとゼオラが機体の開発者であるマリオン・ラドム博士から通信を受けていた。

 

『アラド。右腕にスタッグビートル・クラッシャーを装備したことでバランスが変わっています。注意なさい』

 

「はい!」

 

その言葉通り、ビルトビルガーの右腕には、巨大な鋏が装備されていた。

これがビルトビルガーに追加された………というより、今まで未完成だった武装だ。

 

『パターンTBSについては先ほどレクチャーした通りです。2人とも、使いこなして見せなさい?』

 

「「はい!」」

 

すると、通信が切り替わり、ヒリュウ改のオペレーターが映り、

 

『間もなく発進。それと、ラピエサージュが出てきてるわよ』

 

その報告に、

 

「ほ、ホントっすか!?」

 

「オウカ姉様が!?」

 

2人は声を上げる。

 

『ここがお前達の賭け時だ。遠慮なくバラまいてこい!』

 

「「はい!」」

 

キョウスケの激励に2人が応えると、

 

「行くぜ! ビルトビルガー!!」

 

「ビルトファルケン! 行きます!」

 

ビルトビルガーとビルトファルケンがカタパルトから射出される。

ヒリュウ改から外へ飛び出ると、

 

「シェリルさん! ランカさん! また歌をお願いします!」

 

「オウカ姉様の目を、覚まさせてあげてください!」

 

アラドとゼオラがマクロス・ブレイバーのシェリルとランカへそう呼びかけた。

 

「任せておきなさい!」

 

シェリルが自信満々に答えると、マクロス・ブレイバーの甲板にフォールド・サウンド・ステージがせり上がってきた。

それと共に流れ出す音楽と歌声。

その歌声が迫ってくるラピエサージュにも届く。

 

『ッ………! またも忌々しい歌を………!』

 

オウカがコクピットで顔を顰めると、

 

『ならば、聞こえなくすればいいだけです!』

 

オウカはシステムを操作し、マクロス・ブレイバーからの通信と外部の音を遮断する措置を取る。

 

『これで歌に惑わされることなどありません!』

 

オウカが自信を持ってそう言うと、随伴のエルアインス、リオンと共に攻撃を仕掛けてきた。

ビームの嵐がビルトビルガーやビルトファルケンを襲うが、アラド達はそれを避けラピエサージュに接近する。

 

「姉さん! 目を覚ましてくれ!」

 

アラドがオウカに呼び掛ける。

 

『何度も言わせないでください! あなたに『姉』と呼ばれる謂れはありません!』

 

アラドの言葉を否定するオウカ。

 

「違いますオウカ姉様! アラドも私達と一緒に居たんです!」

 

今度はゼオラが呼びかけた。

 

『……可哀想にゼオラ。あなたもラトと同じようにリマコンを受けてしまったのですね?』

 

そんなゼオラに投げかけられた言葉は同情を含んだ声だった。

 

「姉様!? 違います! リマコンを仕掛けたのはセトメ博士の方で………! 私が記憶を取り戻した瞬間は姉様も見ていたはずです!」

 

ゼオラが更に呼びかけるが、

 

『ああ、ゼオラ………そのように思い込まされているのですね? でも大丈夫、私はしっかりと覚えていますよ? あなたがアラド・バランガに鹵獲された瞬間を………』

 

「姉様………!?」

 

オウカの言葉に怪訝な言葉を漏らすゼオラ。

 

「………駄目、また記憶を操作されてる」

 

フェアリオンに乗ったラトゥーニがそう判断した。

 

『ああ。ラトも来たのですね。2人とも少し待っていなさい。邪魔者を片付けたらすぐに助けてあげますからね!』

 

そう言いながらビルトビルガーに向かってくるラピエサージュ。

 

「くっ! 仕方ない! ゼオラ! ラト! 姉さんの機体を無力化するぞ!」

 

「わ、分かったわ!」

 

「了解!」

 

アラドの言葉に、ゼオラとラトゥーニは戸惑いながらも返事をする。

ラピエサージュから放たれる弾丸を2機のフェアリオンが躍る様に回避しながら接近。

両腕のブレード、ソニック・スウェイヤーで連続で斬りかかる。

 

『くっ! この程度………!』

 

吹き飛ばされるものの、オウカは機体のバランスを立て直す。

だが、

 

「オウカ姉様!」

 

ビルトファルケンから放たれたオクスタン・ライフルのビームが、ラピエサージュの持っていたO.O.ランチャーを貫き、破壊する。

 

『ッ!? ゼオラッ!?』

 

オウカがその事に驚愕した瞬間、

 

「うぉおおおおおおおおおっ!!」

 

アラドのビルトビルガーが一直線に突っ込んできた。

 

『くっ!』

 

オウカは左腕の5連チェーンガンを連射するが、ビルトビルガーはそれを掻い潜り、右腕を振り被るとそこに装備された巨大な鋏が展開。

 

「スタッグビートル………!」

 

突き出された右腕の鋏がラピエサージュの左腕を捕らえ、

 

「クラッシャー!!」

 

圧し潰しながら切断した。

 

『くああっ!?』

 

その衝撃に悲鳴を上げるオウカ。

 

「今だ!」

 

アラドがラピエサージュを確保しようとビルトビルガーを接近させる。

だがその瞬間、爆発と共にビルトビルガーが吹き飛ばされる。

 

「うわぁっ!?」

 

「アラド!?」

 

思わず声を上げるアラドとゼオラ。

とはいえ、元々装甲の厚いビルトビルガーに大したダメージは無く、体勢を立て直すと攻撃された方向に振り向く。

そこには2機のPTが存在していた。

それは以前、オウカを連れ去った茶色と白の機体だ。

 

「あ、あいつらは………!」

 

アラドは敵であると判断し、アサルトライフルを乱射する。

だが、元々射撃適性が低いアラドの射撃はお世辞にも上手いものではなく、数発が当たっただけだ。

しかも、当たった敵機は装甲が損傷するものの、その損傷が瞬く間に塞がっていく。

 

「何っ!?」

 

その事に驚愕するアラド。

 

『下手な射撃だねぇ………』

 

『あんな奴のデータが僕たちに使われているなんて………!』

 

その機体から聞こえた声は、呆れた口調と敵意の籠った声。

 

「データ……!? 俺の……!?」

 

その声にアラドは反応する。

 

『そう。君はブーステッド・チルドレンの中でも最上級の肉体を持っている………』

 

『だからパパはお前のデータを元に僕達の身体を作った……!』

 

「ッ!?」

 

その言葉にアラドは目を見開く。

 

『だけど、僕にはそれが許せない………! お前という汚点を………消す!!』

 

茶色い機体がその言葉と共に動き出し、背中の円環に付いている6つの勾玉の様なものがエネルギーに包まれると射出された。

不規則な動きでビルトビルガーに接近すると、四方から襲い掛かる。

 

「うわぁああああああああっ!?」

 

各部に直撃を受け、ビルトビルガーは墜落。

地面に激突する。

 

「アラド!?」

 

ゼオラがビームを放って牽制すると、ビルトファルケンがビルトビルガーを守る様に立ち塞がる。

 

「アラド! アラド無事っ!?」

 

敵に警戒をしつつゼオラはアラドに呼び掛ける。

 

「ううっ……! いつつ………」

 

アラドは苦しそうにしながらも顔を上げる。

 

『ふん、情けない。やはりお前は欠陥品だ!』

 

そう言いながらライフルを向ける茶色の機体。

 

『………スリサズ。ここは君に任せるよ』

 

白い機体のパイロットが茶色の機体のパイロットに呼び掛ける。

 

『アンサズ………!』

 

スリサズと呼ばれたパイロットは白い機体のパイロットをそう呼ぶと、

 

『僕はさっきから流れているこの歌を止めてくるよ。アウルム1の記憶まで復元されたら面倒だ』

 

「お、お前ら………! シェリルさんやランカさんを……!?」

 

アラドが機体を起こしながらそう言うと、

 

『セトメ博士は歌の力を認めようとはしなかったけど、僕達のパパは違う………実際にブロンゾ27の記憶は復元されてしまったのだからね。不確定要素は早めに摘み取っておくのが正解なんだよ!』

 

アンサズがそう言うと、マクロス・ブレイバーの方へ飛んでいく。

 

「待ちやがれ!!」

 

アラドはその後を追おうとしたが、その前に茶色の機体が立ち塞がる。

 

『行かせると思うのか!?』

 

「どけぇ!!」

 

ビルトビルガーがアサルトライフルを連射し、損傷を与えるものの、先程と同じように修復してしまう。

 

『無駄だ。このベルゲルミルにはマシンセルが搭載されている。多少の損傷なんかすぐに修復できるのさ!』

 

スリサズがベルゲルミルと呼んだ機体は、一度上昇すると、

 

『全員纏めて殺してやるよ! ゲイムシステム フルコンタクト!』

 

ベルゲルミルがゲイムシステムの輝きに包まれ、加速する。

 

「あのシステムは!?」

 

シャイン王女が声を上げる。

 

『僕達マシンナリー・チルドレンはシステムに完全適応している! 限界時間など無い!!』

 

自信満々にそう言うと、アラド達に襲い掛かった。

 

 

 

 

アンサズの乗った白いベルゲルミルはマクロス・ブレイバーへ接近していた。

さらに後続のエルアインス、リオンの部隊も続いてくる。

 

「迎撃!」

 

マクロス・ブレイバーのブリッジでルリが指示を出すと、マクロス・ブレイバーのビームキャノンや対空砲が放たれる。

エルアインスやリオンの多くは撃ち落されるが、ベルゲルミルはその弾丸やビームの嵐を掻い潜る。

 

『……あれか!』

 

アンサズがピラミッド状の透明な装甲板に包まれたフォールド・サウンド・ステージで歌うシェリルとランカを発見する。

そして、ライフルを向けるとビームを打ち込んだ。

 

「「きゃあっ!?」」

 

その攻撃に2人は思わず歌を中断してしまう。

フォールド・サウンド・ステージは、その攻撃には耐えたが、その表面にはヒビが入っていた。

 

『チッ……! だが、これで終わりだ!!』

 

アンサズが対空砲火を躱しつつ、フォールド・サウンド・ステージの目の前に辿り着くと、ベルゲルミルのツインアイが怪しく輝く。

 

「「ッ!?」」

 

シェリルとランカは咄嗟に互いの手を掴み合った。

そのままベルゲルミルのライフルが2人に向けられ、その銃口が輝き始める。

それが放たれれば、確実に装甲が破られ、2人の命は奪われるだろう。

 

「アルト………!」

 

「アルト君……!」

 

2人は無意識にその名を呟き、

 

「シェリル!! ランカァァァァァッ!!」

 

その叫びと共に無数の閃光が白いベルゲルミルを襲った。

ライフルが破壊され、無数の閃光がその装甲を穴だらけにする。

 

『何ぃっ!?』

 

驚愕するアンサズ。

振り向けば、空の彼方から猛スピードで接近してくる赤と白に彩られた戦闘機、YF-29。

YF-29はスピードを落とさずにベルゲルミルに突っ込んでくると、

 

「ソニック・ブレイカー!! くらぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

YF-29がエネルギーフィールドに包まれ、ベルゲルミルに体当りを仕掛け、吹き飛ばした。

 

『うわぁあああああああああっ!?』

 

悲鳴を上げながら吹き飛んでいくベルゲルミル。

YF-29がその場でバトロイドに変形すると、

 

「シェリル! ランカ! 無事か!?」

 

2人に呼び掛けた。

 

「アルト!」

 

「アルト君!」

 

2人は喜びの声を上げる。

 

「待たせたな! 新しい力を得たこいつの力! 見せてやる!」

 

そう言い放つアルト。

 

体勢を立て直したベルゲルミルのアンサズはYF-29を忌々しそうに睨みつけると、

 

『この人間風情が………!』

 

そう叫んで襲い掛かった。

 

 

 

 

一方、ゲイムシステムを発動したスリサズのベルゲルミルはその高機動でアラド達を翻弄していた。

 

『ハハハ! どうした欠陥品共!? その程度か!?』

 

嘲笑いながら高機動を繰り返し、弄ぶように勾玉の様な武装を射出して攻撃する。

 

「くっ!」

 

「うわぁっ!?」

 

ビルトファルケンやフェアリオンは何とか避けるが、ビルトビルガーは直撃を受けてよろける。

すると、回り込んできたエルアインスがライフルでビルトビルガーを狙う。

 

「あっ!?」

 

それに気付いたアラドが声を漏らすが、体勢が悪く避けられそうにない。

 

「やばいっ!」

 

エルアインスのライフルの銃口が輝き始め…………

飛来して来た緑の閃光に貫かれて爆散した。

 

「な、何だ!?」

 

アラドが困惑した声を漏らして空を見上げると、そこには2つの人型の影があった。

それは、

 

「あ、あれは、デスティニーとガイア!?」

 

アラドの言葉通り、そこにはデスティニーとガイアが存在していた。

何気に飛べなかったはずのガイアも空中に留まっている。

 

「アラド! 無事か!?」

 

「シン! ステラも!」

 

デスティニーとガイアがビルトビルガーの近くまで降下して来た。

 

「改修が終わったんだな!」

 

「ああ! 新しいデスティニー………デスティニー spec Gの力を見せてやる!」

 

シンはそう言うとベルゲルミルへ機体を振り向かせる。

 

『フン。いくら機体を強化しようと所詮は人間! 僕達に適うはずが無い!』

 

スリサズが見下した態度でそう言う。

 

「お前ら………さっきから何様のつもりだ!?」

 

自分達以外を『人間』と見下す彼らに、アラドは声を荒げる。

 

『僕達は新たな世界の主となる『マシンナリー・チルドレン』』

 

「新たな世界……?」

 

スリサズの言葉にアラドは声を漏らす。

 

『そう。パパと僕達によって管理され、守られる地球………そこに人間は要らない!』

 

「なっ………!?」

 

シンも驚愕の声を漏らす。

 

『そしてお前達の代わりに駆逐してやるさ………異星人や怪物共をね』

 

「ッ……! そんなの、大きなお世話だ!!」

 

アラドは我慢できずに声を荒げた。

 

「ああ! その通りだアラド! こいつらの言っていることは、要は世界征服って事だ!」

 

シンもそう叫んだ。

 

「行くぞステラ!」

 

「うん!」

 

「俺達も行くぞ! ゼオラ!」

 

「ええ!」

 

デスティニー、ガイア、ビルトビルガー、ビルトファルケンが動き出す。

その時だった。

 

『星を廻せ 世界の真ん中で くしゃみすれば何処かの森で蝶が乱舞♪』

 

再び歌声が響き出した。

 

「シェリルさん!」

 

アラドが叫ぶ。

 

『君が守る ドアの鍵デタラメ 恥ずかしい物語♪』

 

「ランカさんも!」

 

ゼオラも声を上げた。

 

『『舐め合っても ライオンは強い♪』』

 

『何をやっているアンサズ!? さっさとこの歌を止めろ!!』

 

スリサズが声を荒げる。

 

『分かっている! だが………ぐっ!?』

 

アンサズが叫んだ瞬間、白のベルゲルミルにビームやミサイルが殺到。

YF-29の火力も上がっているため、かなりの損傷を与えた。

 

『くっ! 人間風情が調子に乗るな! ゲイムシステムフルコンタクト!!』

 

アンサズもゲイムシステムを使用。

紫の輝きに包まれ速度が上がる。

だが、

 

『生き残りたい 生き残りたい まだ生きてたくなる 星座の導きでいま 見つめ合った♪』

 

その後をファイターに変形したYF-29が追随する。

 

『馬鹿な!? ゲイムシステムを発動させた僕に追いつくだと!?』

 

驚愕の声を上げるアンサズ。

アンサズはYF-29を振り切ろうと蛇行したり急減速や急加速をするが、その全てにアルトは反応する。

 

『あり得ない……! 僕はマシンナリー・チルドレンだぞ……!? 機体性能はともかく、反応速度で唯の人間に後れを取るはずが………!』

 

アンサズは信じられない声を出す。

 

『生き残りたい 途方に暮れて キラリ枯れてゆく♪』

 

「そんなの、お前も人間の域を出てないって事だろ!」

 

アルトはそう言いながら、すれ違いざまにガンポッドを叩きこみ、損傷させる。

 

『くっ……! ふざけるなぁぁぁっ!!』

 

アンサズは声を荒げ、マシンセルの力で機体を修復すると、仕切り直すために距離を取り、スリサズと合流した。

 

『何をやっているアンサズ! 情けない!』

 

『うるさい!』

 

スリサズの言葉にアンサズは叫ぶ。

すると、彼らの背後から増援部隊が現れた。

 

『やっと来たか人形共………!』

 

『さっさと攻撃しろ!』

 

その言葉と共に、エルアインスのビームキャノンが発射される。

 

『本気の身体見せつけるまで♪』

 

『『私眠らない♪』』

 

シン達は散開して避けると、

 

「その程度!」

 

シンはビームライフルを放ち、エルアインスを貫く。

その威力は大きく上がっており、一撃でエルアインスを撃墜する。

それはガイアも同じであり、ガイアのビームライフルでもエルアインスを一撃で撃墜した。

 

「ッ!」

 

ステラは気を引き締めると、ガイアをMA形態に変形させる。

空中で獣型のMA形態に変形させる意味はあるのかと思ったが、次の瞬間、何とガイアは空中を駆けだした。

それは、ガイアの脚部に簡易テスラ・ドライブが装備されており、足場となるフィールドを形成していて、空中を走ることが出来るのだ。

しかもその動きは今まで以上に滑らかで俊敏であり、空中をあらゆる方向に駆け回りながら攻撃を掻い潜り、ウイングのビームブレードでエルアインスを切り裂く。

そして、そのスピードが増してくると、ガイアの周囲にブレイク・フィールドが形成されて行き、

 

「はぁああああああああああああああっ!!!」

 

ステラの掛け声と共に真正面からエルアインスを粉砕した。

更に、壁を垂直に駆け上がる様に上昇すると、MA形態からMSに変形し、飛び蹴りの体勢を取った。

そして、

 

「きゅうきょくっ…………!!」

 

その体勢のままブースターを吹かして急降下。

脚部前方にブレイク・フィールドを発生させ、

 

「げしゅぺんすときぃぃぃぃぃっくっ!!!」

 

そのまま突撃。

その直線上にいたエルアインス3機を纏めて蹴り抜いた。

爆散するエルアインス。

 

「うん。やっぱりカッコいい!」

 

ステラは満足げに笑みを浮かべた。

 

『風はやがて東へ向かうだろう 高気圧この星の氷河を襲う♪』

 

『なっ!? 人間風情が……!』

 

スリサズが思わず吐き捨てるようにそう言う。

すると、

 

「………お前、それしか言えないのか?」

 

シンがスリサズのベルゲルミルを見据えながら言う。

 

「そうやって人を見下してるだけだから、足元を掬われるんだ」

 

『黙れ! 僕は新たな世界の主となる者だ! お前達やそこに居る欠陥品とは違う!!』

 

感情を昂らせながら叫ぶスリサズ。

 

「俺のデータを使ってんなら、お前だってそうだろうが!?」

 

『ッ……!? それを言うなぁぁぁぁぁっ!!!』

 

アラドのその言葉が癪に障ったようで、激昂しながらアラドに向かって発砲する。

 

『さそい水を飲んだ胸が辛い 遠巻きな物語♪』

 

すると、シンがデスティニーのアロンダイトの柄に右手を掛け、引き抜いた。

以前までのシンは、アロンダイトを正眼に構えていたのだが、今のシンは正眼には構えず、剣を垂直に構えると持ち手を顔の横に来るように構え、そこで左手もアロンダイトの柄を掴んだ。

そして光の翼が展開され赤い粒子が舞い散る。

シンはコクピットで目を伏せ、深呼吸すると、

 

「………………一意専心!」

 

その言葉と共に目を見開く。

 

『『かじり合う 骨の奥まで♪』』

 

その瞬間デスティニーの姿が複数に分身。

今までのミラージュコロイドによる姿を残す残像ではない。

完璧な分身だった。

その直後、デスティニーが急加速し、突撃すると、全ての分身が同じ動きで突撃する。

 

『『なっ!?』』

 

それに驚愕するスリサズとアンサズ。

 

『生き残りたい 生き残りたい まだ生きてたくなる 星座の導きでいま 見つめ合った♪』

 

その殆どは実体の無い唯の分身。

しかし、その数は凄まじく、どれが本物か見分けがつかない。

 

『生き残りたい 途方に暮れて キラリ枯れてゆく♪』

 

その分身により困惑し、動きの止まったスリサズの茶色のベルゲルミルに、本物のデスティニーがアロンダイトを振り被り、

 

「チェストォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

 

シンの気合の入った叫び声と共に、振り下ろされた。

棒立ちのまま真っ二つに切り裂かれるベルゲルミル。

 

『本気の身体見せつけるまで♪』

 

『『私眠らない♪』』

 

『修復が………間に合わない………!』

 

その直後、茶色のベルゲルミルは爆散した。

それを目撃したアンサズは、

 

『スリサズッ………!?』

 

驚愕した声を漏らす。

だが、同時に彼らも動き出していた。

 

「ゼオラ! パターンTBSだ!」

 

「分かったわ!」

 

アラドの言葉にゼオラが返事をすると、

 

「ジャケットアーマー! パージ!」

 

ビルトビルガーの装甲がパージされ、白くスマートな姿が露となる。

 

「ウイング展開! ドライブ全開!!」

 

ビルトビルガーの背中にウイングが展開され、急加速する。

 

「テスラ・ドライブ、出力最大! ブーストッ!!」

 

ビルトファルケンのウイングも変形し、高機動モードになると、ビルトビルガーを追うように加速する。

更に2機は、デスティニーの分身に紛れて接近。

 

「アインスッ!」

 

アラドの掛け声と共にビルトビルガーがデスティニーの分身の影から飛び出してきて、ベルゲルミルを殴り飛ばす。

その吹き飛んだ先に、

 

「ツヴァイッ!」

 

ビルトファルケンが待ち構えており、足で踏みつけながらオクスタン・ライフルを接射。

更に蹴りで吹き飛ばし、

 

「ドライッ!」

 

そこへビルトビルガーが追撃。

更に吹き飛ばす。

完全に体勢を崩したベルゲルミルに、ビルトビルガーとビルトファルケンがブレイク・フィールドを纏いながら加速。

 

「「ツインバード……!」」

 

互いに回り込みながらベルゲルミルに突撃。

 

「「ストラーーーーイクッ!!!」」

 

交差しながらの2機同時の体当たり攻撃を仕掛けた。

その攻撃にベルゲルミルは耐えきれるはずも無く上半身と下半身を分断され、

 

『僕が………マシンナリー・チルドレンの僕がぁぁぁぁぁぁぁぁっ…………!?!?!?』

 

断末魔の叫びと共に爆散した。

すると、

 

「さあ、最後の仕上げだ」

 

アルトがそう言いながらフェアリオンが抑えていたラピエサージュに目を向けると、そちらに向けて加速する。

そして、

 

『何しに生まれたの♪』

 

『何しにここに居る♪』

 

2人の歌と共に飛翔する。

 

『生き残りたい 埋まらない傷 光 恐れてた 許された命が今 引かれ合った 彷徨い果てて君の隣で火照り鎮めたい 本気の身体見せつけるまで 私眠らない♪』

 

『生き残りたい 崖っぷちでいい 君を愛してる 目覚めたい命が今 惹かれ合った♪』

 

『狂気に代えて 祈り捧ぐよ 君を愛してる 星座の導きで…………♪』

 

2人の歌がYF-29のフォールドクォーツと。

そしてGSライドのGストーンと共鳴し、翠の粒子を纏いながら撒き散らし、その粒子がラピエサージュを包み込む。

 

『なっ!? そんな!? 通信も外部収音マイクも遮断しているのに歌が聞こえる!?』

 

届くはずの無い歌が届いたことでオウカが驚愕する。

 

『『生き残りたい まだ生きてたい 君を愛してる♪』』

 

『あ………ああっ………!?』

 

オウカの脳裏に記憶が蘇ってゆく。

ずっと大切に思っていた、弟や妹達の本当の記憶。

 

『『本気のココロ見せつけるまで 私眠らない♪』』

 

「姉さん!」

 

「姉様!」

 

「オウカ姉様!」

 

アラド、ゼオラ、ラトゥーニが呼びかける。

 

『……………………………』

 

オウカは少しの間無言だったが、

 

「……………私を………まだ『姉』と呼んでくれるのですか………? あんなに酷い事をしたこの私を……………」

 

そう言いながら顔を上げたオウカは涙を浮かべていた。

 

「姉さん! 記憶が!?」

 

アラドが叫ぶと、

 

「ええ………全て思い出しました…………ごめんなさいアラド。あなたには特に酷い仕打ちをしてしまいましたね…………」

 

「そんな………いいんだよオウカ姉さん。姉さんが俺を思い出してくれただけで、俺は嬉しいんだ」

 

アラドはそう言う。

 

「アラド……ありがとう」

 

「姉様!」

 

「オウカ姉様!」

 

「ゼオラ……ラト………あなた達にも心配をかけてしまいましたね」

 

オウカは優しい笑みを浮かべながらそう言う。

 

「良かった。姉様が記憶を取り戻してくれて………」

 

「姉様………」

 

「大丈夫、これからは一緒ですよ?」

 

「はい……はい……!」

 

ラトゥーニが涙を浮かべながら頷いた。

だがまだ作戦は続く。

出撃した部隊には一時帰還命令が出される。

そして、ヒリュウ改が現れた方向とは真逆側の地中から、艦首に超巨大なドリルを装備したスペースノア級万能戦闘母艦の3番艦、クロガネが姿を現すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

改修機体の説明

 

 

 

・YF-29

 

動力をGSライドとウルテクエンジンに変更し、テスラ・ドライブも追加。

エネルギー出力が増したことでエネルギー系の火力が大幅に上昇し、マイクロミサイルやガンポッドもこの世界の技術で改良を加えられ、こちらも威力が増している。

更に装甲もプロジェクトTDで使用されている物に変更され、耐久力も飛躍的に増した。

その為、アステリオンやズィーガーリオンと同じようにブレイク・フィールドを展開して突撃する戦法を取れるようになったというバルキリーという存在自体に喧嘩を売る仕様となった。

OSに関してはバルキリーの在り方がこの世界でも独特の為、元々のOSにある程度の改良を加えたものになっている。

 

 

 

 

 

・デスティニー

 

 

動力をGSライドとウルテクエンジンに変更したことでビーム系統の出力が上がっている。

更にフレームを勇者ロボやこの世界の技術を流用し、片手でアロンダイトを余裕で振り回せるほどになった。

アロンダイトはゾル・オルハリコニウム製となり、ビームの出力向上と相まって攻撃力だけなら特機にも引けを取らない。

装甲はVPS装甲のままだが、ビームコーティングを施されており、ビームに対してもかなりの耐久性を手に入れた。

Gストーンを使用した影響か、何故か分身が出来るようになった。

GSライドの出力が上がると、ビームや光の翼の色が翠に変化する。

OSもこの世界のTC-OSに変更され、操作性や反応速度が上がっている。

 

 

 

 

・ガイア

 

 

3機の中でおそらく一番魔改造された機体。

動力をGSライドとウルテクエンジンに変更しテスラ・ドライブも乗せられている。

デスティニーと同じくフレームも改良され、運動性が増している。

テスラ・ドライブを乗せた事で飛行が可能になり、ブレイク・フィールドを発生させることでMA形態での突撃戦法も戦術の幅が広がった。

更にMA形態の脚部には簡易テスラ・ドライブが装備されており、エネルギーフィールドを展開することで空中や宇宙でも駆け回ることが可能となった。

OSもTC-OSに換装されており、その中のモーションパターンにあった究極ゲシュペンストキックをステラが気に入り、ブレイク・フィールドを併用して放つガイアの必殺技として使用するようになった。

 

 

 

 






はい、スパロボOG編第12話です。
今回は改修した3機のお披露目です。
ちとやりすぎたと思わないでもない。
特にガイアは必殺技と言うべきものが無いので究極ゲシュペンストキックなんぞを使わせてみた。
ジェイダーとガオファイガーが居るとピンチにならなそうなので、今回はどちらもクロガネ側に居るって事で。
それでは次もお楽しみに。




P.S:今週の返信はお休みします。


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