転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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第10話 白き巨神

 

 

 

俺がジェイダーでBETAを殲滅した時だった。

突如として凄乃皇・弐型が再起動を果たした。

 

「何っ!?」

 

俺の知識には無い出来事に、思わず驚愕の声を漏らす。

すると、凄乃皇・弐型が突然紫の光に包まれ、形を変えていく。

 

「こ、これは………!」

 

その変化には覚えがあった。

光が消えると、何処か生物的な特徴を感じさせる姿となった凄乃皇・弐型だったものが現れた。

 

「こ、こいつはまさか………『ゾンダー』なのか………?」

 

俺は思わずそう呟く。

しかし、

 

『イイヤ、ソリュウシZ0ハ検知サレナイ。コイツハぞんだーデハナイ………』

 

トモロからそう報告が来る。

そして、

 

『………『原種』ダ!』

 

「何だとっ!?」

 

トモロの言葉に俺は驚愕の声を上げた。

何故『原種』がこの世界にっ!?

 

『な、何が起きたんだ………?』

 

『凄乃皇の形が変わった………?』

 

白銀や御剣が声を漏らす。

その時、凄乃皇・弐型に取り付いた原種………仮に凄乃皇原種とでも呼ぼう。

その凄乃皇原種の頭頂部から、装甲が粘土のように形を変え、薄紫のマントを纏った少女の姿となった。

その姿は、

 

『す、純夏っ………!?』

 

白銀が思わず声を漏らした。

すると、

 

「心弱き者達よ………これより機界昇華を開始する…………己が運命を受け入れるがいい」

 

そう口にする。

 

『な、何を言ってるんだ!? 純夏!』

 

その言葉の意味が分からず白銀が叫びながら近付こうとした。

 

「待て白銀!」

 

俺は近付こうとした白銀の不知火の肩を掴んで止める。

 

『ジェイ特務少佐! 止めないでくれ! 純夏が……!』

 

「落ち着け! 彼女は今、原種に取り込まれている状態だ! お前の知る者ではない!」

 

俺がそう言うと、

 

『えっ……? ゲンシュ………? 何だよそれ………?』

 

白銀は困惑した声を漏らす。

すると、

 

「…………アベルの残せし災い…………その紛い物か」

 

「ッ………! 俺の事を言っているのか!?」

 

原種の言葉に俺はそう言う。

 

「…………機界昇華を行う上での最大の障害と判断。最優先で消去する」

 

そう口にすると、再び凄乃皇原種と同化。

凄乃皇原種が動き出した。

胸部の荷電粒子砲の発射口が開き、エネルギーがチャージされるのが分かる。

 

「ッ……!」

 

その瞬間、俺は飛び立ち、

 

「こっちだ!」

 

自分を囮にする。

その瞬間、荷電粒子砲が放たれた。

その威力は、先ほどの荷電粒子砲の比ではなかった。

閃光が空の彼方まで届き、射線上にあった雲を大きく吹き飛ばす。

 

『ジェイ!?』

 

ハルが悲鳴のような声を上げる。

しかし、

 

「くっ!」

 

俺はジェイダーのスピードで何とか回避に成功し、地上に降りる。

だが、

 

「ぐぅぅ………!」

 

荷電粒子砲の電磁場に巻き込まれ、ダメージを負ってしまった。

 

「あいつ………あの一瞬で狙いを修正して来ただと………!?」

 

発射のタイミングで回避行動を取ったのだが、原種はその動きに合わせて狙いを修正して来た。

その所為で、電磁場に巻き込まれてしまったのだ。

 

『ジェイ! 大丈夫!?』

 

ハルが心配そうな声を上げる。

その時、

 

『各機攻撃開始! ジェイダーを援護しろ!!』

 

伊隅大尉が叫ぶ。

 

『えっ、で、でも………』

 

『凄乃皇を攻撃するなんて………』

 

凄乃皇に希望を見出した者達が、攻撃することを戸惑う。

だが、先任達は命令通り凄乃皇原種に突撃砲を撃ち放った。

しかし、その弾丸は凄乃皇原種本体に届く前に弾かれた。

 

『ッ!? ラザフォードフィールドかっ!?』

 

伊隅大尉がそう叫ぶが、

 

「違う! 原種のバリアシステムだ!」

 

俺はそう叫んだ。

今のは重力場によって弾丸を逸らしたわけではなく、エネルギーフィールドによって弾丸を砕いたと言うべきだろう。

 

「伊隅大尉! 皆を下がらせろ! 戦術機の武装では奴に歯が立たん!」

 

『ジェイ特務少佐!』

 

「こいつの相手は俺がする!」

 

俺はそう叫んでプラズマソードを展開。

ジェイダーのスピードを生かして後ろに回り込みながら接近、斬りかかろうとした。

だが、

 

『後方271』

 

俺が攻撃しようとした部分に突如として小型の砲門が作り出される。

 

「何っ!?」

 

俺が驚愕の声を上げた瞬間、そこからビームが発射された。

 

「ぐぉぉっ……!?」

 

何とか直撃は避けるものの、距離を取らざるを得なかった。

 

「何故攻撃するところが分かった?」

 

ピンポイントで攻撃するところに砲門が作り出された。

予め分かっていないと不可能だ。

 

『私の能力は遠距離探知と未来予測。いかに素早い動きでも、先を読んでいれば対処可能』

 

原種がそう語った。

 

「遠距離探知と未来予測………ッ! 貴様、瞳原種かっ!」

 

俺は相手の正体を察した。

同時に、非常に相性の悪い相手だと感じた。

今俺に出来ることは、ジェイダーによる高速攪乱からの近接攻撃。

だが、動きを読まれてしまえば攪乱は無意味となる。

唯一の救いは、相手が大型の凄乃皇と融合したために、動きは鈍重な事ぐらいか。

しかし、原種の能力で自在に砲台を作り出せるため、そこはあまりウィークポイントにはならない。

瞳原種を相手にするには、スピードよりパワーが必要だ。

相手の攻撃に耐え、相手の防御力を上回る攻撃を繰り出さなければならない。

だが、そんなことは、出力が半分しか出せないジェイダーには不可能だ。

可能性があるとすれば…………

 

「…………一点突破か」

 

ダブルプラズマソードを集中させ、原種核を一気に貫く。

奴を倒す可能性があるのはそれしかない。

鑑 純夏が犠牲になってしまうが、アルマが存在しない現在、原種核を浄解する方法は無い。

原種核は破壊するしかないのだ。

 

「ッ…………!」

 

俺は決意すると、再び空中へ飛び上がる。

そして、

 

「ダブルプラズマソード!!」

 

両手にプラズマソードを発生させ、更に両手を1つに合わせてプラズマソードを合体させる。

 

「行くぞ!」

 

空中から、一直線に突撃した。

主砲の荷電粒子砲では間に合わないと判断したのか、各部が変形し、無数の砲門が現れた。

同時に無数のビームが放たれる。

だが、

 

「うぉおおおおおおおおおおっ!!」

 

俺は構わずに真っすぐに突っ込んだ。

下手に回避すれば、勢いが失われて威力が無くなる上、止まってしまえば狙い撃ちされてしまう。

それならば、いくらかのダメージと引き換えに突っ込んだ方がましだと判断した。

俺はそのまま原種のバリアに到達。

プラズマソードとバリアのエネルギーのぶつかり合いですさまじいスパークが発生する。

 

「貫くっ……!!」

 

俺は推進力を全開にし、原種のバリアを抉じ開けようとする。

その甲斐あって、徐々に切っ先はバリアに食い込んでいく。

そして、

 

「そこだ!」

 

遂にバリアを貫いた。

 

「このまま一気に………!」

そのまま核があると思われる、胸部中央にあるゾンダーや原種特有の紫色の目のような部分に向かってプラズマソードを突き出した。

そして………………

 

「なっ!?」

 

俺は思わず驚愕の声を漏らす。

何故なら、原種のバリアを貫いたプラズマソードは、原種に届く前にねじ曲がり、逸らされていたからだ。

 

「まさかっ! ラザフォードフィールドっ!?」

 

原種は自身のバリアの内部にラザフォードフィールドを張り巡らしていた。

しかも、原種が同化した事により、その出力は格段に上がっている。

バリアによって威力が減衰したプラズマソードでは、ラザフォードフィールドを貫けなかったのだ。

次の瞬間、俺の目の前に無数の砲台が現れる。

 

「ッ!? しまった!」

 

次の瞬間、そこからビームが放たれた。

 

「ぐぁああああああああっ!?」

 

ビームの直撃を受け、俺は吹き飛ばされる。

 

『ジェイ!?』

 

ハルが思わず叫ぶ。

俺はそのまま地面に墜落した。

 

「ぐぅぅ………!」

 

俺は何とか起き上がるが、

 

『機界昇華の妨げとなるものは、全て排除する』

 

原種が目の前に迫る。

 

「くっ……!」

 

その時、

 

『やらせない!!』

 

ハルの不知火が36mm突撃砲を連射しながらこちらに向かってきていた。

当然ながら、弾丸は全てバリアの前に弾かれている。

 

「ハルッ!? 駄目だ! 来るなっ!!」

 

俺はそう叫ぶが、ハルは攻撃を続けながら向かってくる。

すると、

 

『邪魔』

 

その言葉と共に、無数の砲門が現れ、ビームが放たれた。

そのビームは、ハルの不知火の各部を貫く。

 

『うわぁああああああっ!?』

 

「ハルッ!?!?」

 

ハルの悲鳴に俺は彼女の名を呼ぶ。

 

『柏木っ!?』

 

伊隅大尉達も叫んでいる。

ハルの不知火は呆気なく破壊された。

ただ、幸運にもコクピットブロックに直撃は無い。

いや、ゾンダーにするために敢えて外したのだろう。

すると、

 

『アベルの残せし災いの紛い物………消去する』

 

その言葉と共に、正面の荷電粒子砲発射口のカバーが開く。

俺に止めを刺すつもりなのだろう。

 

「ッ………!」

 

俺が回避しようと思ったとき、

 

『直上方向より攻撃』

 

原種はそう言うと、上向きの砲身を無数に作り出し、上空に向かってビームを放った。

次の瞬間、無数の爆発が空で起きる。

 

「ッ!? 支援砲撃か!?」

 

迎撃に回ったのは、荷電粒子砲を撃つ瞬間にはラザフォードフィールドが解除される。

原種のバリアは分からないが、迎撃に回ったという事は、バリアも機能しないのかもしれない。

全て撃墜されてはいるが、こちらから気は逸れた。

 

「ッ! ハルッ!」

 

俺はその場を移動し、撃墜されたハルの不知火の胴体部分を拾う。

 

「ハルッ! 無事か!?」

 

俺が問いかけると、

 

『う………ジェイ……?』

 

意識はあるのか、返事が返ってきた。

俺はひとまず、ハルを一番安全な場所…………分離したジェイキャリアへと運ぶ。

ジェイキャリアにある第二艦橋の近くにハルの不知火の胴体を下すと、

 

「ハル、ジッとしていろ」

 

俺はそう言って戦術機のコクピットハッチを掴むと、強引に抉じ開けた。

 

「ありがとう、ジェイ」

 

ハルはコクピットから出てくるとお礼を言う。

しかし、悠長に話している時間は無い。

 

「ハル、トモロの指示に従って第二艦橋に避難しろ!」

 

俺はそう言うと再び飛び立ち、原種へと向かった。

 

 

 

 

 

【Side 柏木 晴子】

 

 

 

 

 

「ハル、トモロの指示に従って第二艦橋に避難しろ!」

 

ジェイはそう言うと飛んで行ってしまう。

 

「…………トモロって誰?」

 

私は首を傾げる。

私は辺りを見渡すと、この艦の右後方部分に小さな艦橋らしき場所が見えた。

 

「ジェイが言ってた第二艦橋って、多分あれだよね?」

 

すると、その艦橋の真下辺りに扉があり、まるで私を誘うように扉が開いた。

 

「………入れって事?」

 

私がその扉に足を進め、扉を潜ろうとしたら、

 

「何これ?」

 

思わず声が漏れた。

何故なら、扉の向こうの通路は、逆三角形をした形の廊下だったから。

 

「変な形の通路だね………」

 

そう呟くと、

 

『ソノママススメ、カシワギ ハルコ』

 

突然合成音声のような声がした。

 

「だ、誰!?」

 

私は思わず叫ぶ。

すると、

 

『ワタシハ、コノじぇいあーくノめいんこんぴゅーたーデアルともろEXダ』

 

「メインコンピューター? トモロ? ジェイが言ってた?」

 

私は困惑しつつも、この声がジェイの言ってたトモロなんだと理解する。

私は一先ずこの声に従い、通路を進んだ。

通路が逆三角形だから歩きづらい………

しばらく進むと、広い部屋に出る。

此処が第二艦橋みたい。

すると、窓の外から激しい閃光と爆発音が聞こえる。

私が窓に駆け寄ると、外ではジェイの機体が、凄乃皇が変化した怪物と戦っていた。

でも、見る限りジェイは劣勢だ。

ジェイの光の剣は相手の防御システムに防がれ、逆にジェイのスピードは先を読まれたように迎撃を受け、回避が紙一重になったり、いくつかは掠っている。

しかも、その頻度はどんどんと増えて言っている気がした。

 

「ジェイ!」

 

ピンチに陥るジェイを見て、私は思わず叫んでしまう。

 

「トモロ! ジェイを助けられないの!?」

 

私がそう叫ぶと、

 

『ゲンザイノじぇいあーくノブソウデハ、原種ノばりあしすてむヲヤブルコトハデキナイ』

 

「そんな………!」

 

トモロの答えに私は絶望感を感じる。

私は再び窓から様子を伺うと、ジェイの機体が直撃を受け、吹き飛ばされるところを目撃する。

 

「ジェイ!?」

 

私が叫ぶと、ジェイは何とか体勢を立て直して地面に激突する前に飛翔した。

私はホッと息を吐くけど、ジェイは敵に徐々に追い込まれて行ってる。

 

「トモロ! 何か方法は無いの!?」

 

私はもう一度問いかける。

 

『……………………………』

 

トモロから答えは返ってこない。

 

「お願い! 私に出来ることなら何でもする! このままじゃジェイが死んじゃうよ!」

 

私は泣きそうになりながら懇願するように叫んだ。

すると、

 

『…………ヒトツダケホウホウハアル』

 

その言葉に私は飛びついた。

 

「本当!? どうすればいいの!?」

 

私が更に問いかけると、

 

『カシワギ ハルコ。オマエハコレカラモじぇいトトモニアル覚悟ハアルカ?』

 

トモロがそう問いかけてくる。

なぜ今その問いかけをとは思ったけど、

 

「もちろんだよ!」

 

私は即座に頷く。

 

『………ソレガ、タタカイノヒビダトシテモカ?』

 

「ジェイと一緒なら、大丈夫!」

 

『………リョウカイシタ』

 

トモロがそう言うと、床の一部がスライドし、何か人1人が入れるほどのガラスのポッドがせり上がってきた。

 

「これは………?」

 

私がトモロに尋ねると、

 

『カシワギ ハルコ。オマエガコノフネノ『アルマ』トナレ』

 

「アルマっていうのはよくわかんないけど、私がそのアルマって奴になれば、ジェイを助けられるんだね?」

 

トモロの言ってる意味は半分も分からない。

だけど、ジェイを助けられるかどうか。

大事なのはそこだ。

 

『ソウダ。ダガ、イチドあるまニナッタカラニハ、二度トモトノニンゲンニハモドレナイ』

 

トモロが警告の様にそう言う。

だけど、私の心は決まっていた。

 

「なるよ。そのアルマって奴に」

 

私は迷わずにそう言う。

ジェイを助けられるなら、私はどんなことだって耐えられる。

 

『ナラバ、ソノ生体ぽっどニハイレ。コレヨリオマエハあるまトナル』

 

トモロの言葉と同時に生体ポッドの入り口が開く。

私は、躊躇することなくそのポッドの中に入った。

 

「ジェイ………今助けるからね………」

 

その思いを胸に、目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

俺は原種との戦いを続けていたが、正直ジリ貧だと感じていた。

こちらの攻撃は通用せず、スピードでの攪乱も、瞳原種の能力である未来予測でほぼ封じられつつある。

可能性があるとすれば、荷電粒子砲を撃つ瞬間の一点突破だが、動きを読まれている以上、同じ手は2度と通用しないだろう。

 

「どうすれば…………」

 

打つ手なし。

そんな言葉が脳裏を過った。

だがその時、

 

『じぇい』

 

トモロから通信が入った。

 

「トモロ!?」

 

『じぇい、イチドふゅーじょんあうとシテどっきんぐダ』

 

「こんな時に何を!?」

 

ジェイアークになったとて、使える武装が増えるわけでもない。

単体戦闘能力で言えば、ジェイダーの方がマシなはずだ。

 

『セツメイシテイルヒマハナイ。イソゲ』

 

トモロはそう言う。

 

「………………ッ!」

 

何をする気かは分からないが、そう言うからには何か手があるのだろう。

相棒を信じないわけにはいかない。

 

「わかった!」

 

俺はジェイキャリアに向かって上昇すると、

 

「フュージョンアウト!」

 

ジェイダーに変形するときの逆回しの様に、ジェイダーからジェイバードへと変形する。

そのままジェイキャリアとドッキング。

 

「ジェイアーク!!」

 

ジェイアークになると、俺は融合が解除され、指揮壇の上に降り立つ。

 

「トモロ! 一体どうした!?」

 

俺はトモロに問いかけると、

 

『スコシマテ』

 

トモロはそう言って黙り込む。

こうしている間にも、原種はこちらに狙いを定めている。

すると、第二艦橋へと続く扉が開き、

 

「ジェイ!」

 

ハルが駆け込んできた。

 

「ハル?」

 

何故ハルがこちらにと思った瞬間、俺は目を見開いた。

ハルの身体が赤い輝きに包まれ、髪の色も赤く染まり、僅かに逆立つ。

そして、背中に孔雀の尾羽の形をした白い光の羽が生み出され、ハルは指揮壇の上へと飛んできた。

 

「ジェイ!」

 

「ハル!? お前、まさかアルマに!?」

 

指揮壇の上にやってきたハルに、俺は思わず詰め寄ってしまう。

 

「うん。そうだね」

 

ハルはいつもの調子で頷く。

 

「トモロ!! 何故ハルをアルマにした!?」

 

俺はトモロに向かって叫ぶ。

俺はハルをアルマにするつもりなど無かった。

アルマは生体兵器。

ジェイアークに乗って否応無しに戦いに巻き込まれる。

ハルをそのような存在にするつもりは無かった。

 

「待ってジェイ! 私が望んだんだよ!」

 

トモロの前にハルが答えた。

 

「わかってるのか!? アルマになるという事は………!」

 

「わかってる………アルマになった時に必要な知識も頭の中に叩き込まれてるから……………でも、あえて言うよ。私に、後悔は無いよ」

 

真っすぐ言ったハルの言葉に俺は言葉に詰まる。

 

「…………ハル………だが…………」

 

「私は、ジェイの助けになりたかった。普通の人間に戻れないってわかってても、ジェイを助けたかった………それに……………これからも、ずっと一緒なんだよね?」

 

「ハル……………」

 

俺はどうやら独りよがりだったようだ。

ハルはそこまで俺の事を想ってくれていた。

戦いに巻き込まれることになっても、俺と共に居ることを選んでくれた。

だから、

 

「ありがとう………ハル」

 

思いのままに、感謝の言葉を口にした。

 

「フフッ」

 

ハルは嬉しそうな笑みを浮かべる。

その時、ジェイアークに衝撃が走った。

 

「くっ!?」

 

「うわっ!?」

 

俺達は思わず声を漏らす。

原種からの攻撃だった。

すると、

 

「トモロ! どうすればいいの!?」

 

ハルが叫ぶ。

 

『じぇいノ左手ニフレルノダ』

 

トモロがそう答える。

 

「ジェイ」

 

「ああ………」

 

ハルの言葉に、俺は左手を差し出す。

すると、ハルは自分の両手で上下に挟み込むように俺の手に触れた。

その瞬間、ハルに共鳴するように俺の左腕にJの紋章が浮かび上がった。

そして、

 

『せーふてぃーぷろぐらむカイジョ! シュツリョクオヨビゼンブソウシヨウカノウ!』

 

ジェイアークに、本当の力が宿った。

その瞬間、俺は叫ぶ。

 

「反中間子砲全砲門開け! 目標、瞳原種!」

 

『リョウカイ!』

 

俺の号令にトモロが応え、反中間子砲の砲門が狙いを定めて反中間子エネルギーをチャージする。

 

「撃てぇっ!!」

 

号令と共に8条の赤き閃光が放たれる。

その閃光は、瞳原種のバリアシステムとラザフォードフィールドを紙の如く突き破り敵本体に直撃。

対象となる物質を中間子の対消滅により、その物理的な強度を無視して一気に原子崩壊へと導く。

原種の身体が、まるで立体パズルをばらすかのようにバラバラになった。

 

『なっ!? 一撃で凄乃皇が粉々に………!?』

 

伊隅大尉が驚愕の声を漏らす。

 

『す、純夏っ……!?』

 

白銀が悲痛な声を漏らす。

だが、

 

『アレデハ原種核マデハカイシテシマウゾ』

 

トモロから警告を発する。

 

「確かに。パワーが強すぎたようだ………」

 

正直想像以上の威力だった。

これがジェイアークの主砲か………

だが、敵はバラバラになったが原種核には当たっていない。

それは即ち…………

バラバラになった原種の身体が紫色の光に包まれ、元の形を取り戻していく。

 

『馬鹿な!? 再生した!?』

 

『あの状態から元に戻るなんてインチキよ!!』

 

伊隅大尉や速瀬中尉が驚愕の声を上げる。

だが、俺の心に焦りはない。

 

「………ハル。玉座へ」

 

「うん。ジェイも気を付けて」

 

ハルは頷くと指揮壇から浮き上がり、指揮壇の前に備え付けられている玉座へと降りて腰を下ろす。

俺は前を向き、

 

「行くぞ! 瞳原種!!」

 

そう叫んだ。

 

「フュゥゥゥジョン!!」

 

俺は指揮壇から飛び上がり、背後の鳥を思わせるエンブレムの場所からジェイアークと同化する。

 

「ジェイバード、プラグアウト!」

 

先程と同じように、ジェイキャリアからジェイバードが分離、上昇する。

しかし、そこからが以前までとは違う。

ジェイキャリアが艦首後方から直角に折れ曲がり、巨大な胴体と脚部を形成する。

 

「メガッ……フュージョン!!」

 

ジェイバードの砲台部分が直角から垂直方向に変形。

その直後、艦橋部分と砲台部分が分離。

同時に砲台部分が左右に分離した。

艦橋がそのままジェイキャリアの艦首上部にドッキングし、艦首に取り付けられていた巨大な錨、『ジェイクォース』が分離。

更に分離した砲台部分の先が変形し、マニピュレーターが現れる。

そのまま砲台が艦首の両サイドに接続され、巨大な腕となる。

ジェイクォースが右前腕の内側に装着されると、最後に艦橋部分のJジュエルが輝いて上部にスライドし、デュアルアイが現れる。

それは、全長101mにも及ぶジャイアントメカノイド。

ジェイアークの真の姿。

その名は、

 

「キングッ………ジェイッ………ダァァァッ!!」

 

白き巨神がその姿を現す。

 

『デカッ!?』

 

『何て大きさ………』

 

『…………戦艦が人型に変形するとか意味不明なんですけど………』

 

『さっきまでの姿で一杯一杯だったのに、更に上があるとか…………』

 

各々が驚愕している。

 

『アベルの残せし災いの紛い物。危険度上昇。消去する』

 

瞳原種は無数の砲門を作り出し、ビームを次々と放ってくる。

 

「ジェネレイティングアーマー、出力全開!!」

 

『リョウカイ!』

 

キングジェイダーが赤いエネルギーフィールドに包まれ、撃ち込まれるビームを全て弾く。

砲撃がやんだところで俺は左手の先を伸ばしながら瞳原種へ向け、

 

「五連メーザー砲!!」

 

5本の指先それぞれからメーザーが放たれ、瞳原種に直撃。

瞳原種はバリアで耐えようとしたが、防ぎきれずに貫かれ、部分的に爆散する。

俺はすぐに右腕を向けると、

 

「反中間子砲!!」

 

前腕上部に備え付けられている反中間子砲の砲塔から反中間子エネルギーを放ち、瞳原種の左側を粉砕する。

 

『な、何という力だっ………!?』

 

『純夏っ………!』

 

更に俺は原種に接近し、

 

「はぁああああああああああああああああああっ!!」

 

キングジェイダーの巨体による回し蹴りを繰り出した。

蹴りが当たった部分を砕きながら、瞳原種は派手に吹っ飛ぶ。

 

『あの巨体で格闘戦も熟すというのか………!?』

 

そのまま地上に激突した瞳原種は、尚も身体を再生しようとしていた。

俺は瞳原種に向き直る。

その時、

 

『もう……もうやめてくれ!! このままじゃ純夏がっ……!!』

 

白銀が悲痛な声で叫ぶ。

だが、俺は手を緩めない。

緩める余裕も無い。

俺は大きく右腕を突き出し、右前腕部に装備されたジェイクォースにエネルギーを集中する。

 

「ジェイクォォォォォォォス!!」

 

射出と同時にJパワーのオーバーロードによって発生する炎を纏うことで火の鳥を象る。

不死鳥は幾度か羽搏くと、瞳原種に直撃。

その中央を貫いた。

同時に爆散する瞳原種。

 

『純夏ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 

白銀の慟哭が響く。

ジェイクォースが羽搏きながら戻ってくると、元の右腕に収まった。だが、その先には無数のトゲの生えた紫色の巨大な球体―――原種核が存在していた。

俺はキングジェイダーの手で原種核を掴む。

 

『……………終わった……のか………?』

 

伊隅大尉が呟く。

その時、

 

『うわぁあああああああああああああああっ!!!』

 

白銀の不知火が叫びながら突撃砲を連射して来た。

 

『白銀っ!? 何をしている!?』

 

『よくもっ……! よくも純夏をぉぉぉぉぉぉっ!!』

 

伊隅大尉の静止も聞かず……というか聞こえていないようで、白銀は俺……キングジェイダーに向かって突撃砲を連射する。

どうやら、俺に鑑 純夏を殺されたと思っているようだ。

まあ、あの状況なら仕方ないが。

 

『白銀っ! それ以上は看過できんぞ!!』

 

伊隅大尉は突撃砲を白銀の不知火に向けながら最後通告を行う。

だが、

 

「伊隅大尉………」

 

俺は首を振って止めるように伝える。

 

『ジェイ特務少佐………しかし………』

 

俺は動き出し、白銀機を正面に捉えるように向くと、膝を付いて原種核を白銀に見せるようにする。

 

『ッ!?』

 

その行動に警戒したのか、射撃を止める。

そして、

 

「ハル、どうすればいいかわかるな?」

 

「うん………わかるよ」

 

ハルはそう言うと玉座から立ち上がり、浄解モードになる。

艦橋部分―――キングジェイダーの頭部から飛び立つと、原種核の所まで降りてきた。

 

『柏木………なのか?』

 

『えっ? 晴子?』

 

『髪が赤い……』

 

『っていうか、全身赤い』

 

各々が変わったハルの姿に驚く。

すると、

 

「テンペルム…………!」

 

ハルが目を閉じ、不思議な響きを持つ言葉を発する。

 

「ムンドゥース………インフィニ………トゥーム………」

 

言霊を重ね、最後に目を見開くと、その瞳にJの紋章が輝き、

 

「レディーレ!!」

 

最後の言霊を発した瞬間、赤き光が強く輝くと同時に波動が広がり、原種核が光に包まれながら縮み始める。

やがて、それらは2つに分かれ、人と同程度の大きさとなった。

そして光が消えると、1つは紫色の立体パズルのピースのようなもの―――ゾンダークリスタルとなる。

そしてもう一つは、

 

『す………純夏………?』

 

強化装備姿で横たわる、00ユニット―――鑑 純夏となった。

 

「純夏!!」

 

白銀が思わずコクピットハッチを開けて顔を出す。

ただ、キングジェイダーの手とは距離があり、とても届きそうには無い。

すると、ハルがアルマになったことで備わったサイコキネシスで鑑 純夏の身体を浮かすと、白銀の下へ運ぶ。

 

「純夏………!」

 

白銀は、空中を運ばれる鑑を横抱きで受け取った。

そのままホッとしたようにその顔を近付けるように軽く抱きしめると、

 

「か、柏木………?」

 

鑑が無事だったことで、ようやく落ち着きを取り戻した白銀がハルの変化に狼狽えている。

 

「その子が誰なのかは知らないけど、白銀の大事な人なんだよね?」

 

「あ……ああ!」

 

狼狽えながらも白銀は頷いた。

 

「ハル、少しの間ゾンダークリスタルを頼む」

 

「どうするの?」

 

「最後の仕上げをな……」

 

俺がそう言うと、ハルはサイコキネシスでゾンダークリスタルを浮かした。

それを確認すると、俺は立ち上がり、ある方向へ飛び立つ。

それは、凄乃皇の荷電粒子砲で吹き飛んだ、モニュメントの跡地。

ハイヴの地上面は吹き飛んだが、地下はまだ生きている。

そして思った通り、メインシャフトは残っており、その中はあまり被害が見えない。

俺はキングジェイダーをメインシャフトの上まで移動させると、両手の指先を伸ばしながら眼下へ向けた。

そして、

 

「十連メーザー砲!!」

 

両手の指先から同時にメーザー砲を放つ。

放たれたメーザーは、メインシャフトの最下層にあるメインホールまで到達し、エネルギーが炸裂。

反応炉を破壊すると同時に、そこからドリフトに沿ってハイヴ中にメーザー砲のエネルギーが行き渡り、残っていたBETAを焼き尽くした。

そして、俺は気付かなかったが、そのキングジェイダーの姿を多くの衛士達が目撃していた。

後にキングジェイダーはこう呼ばれることになる。

『白き巨神』と…………

 

 

 

 

 






はい、第10話です。
昨日には少し間に合わなかったが何とか掛けた。
おそらく一番の盛り上がりどころのメガフュージョン解禁です。
とりあえず、アニメのキングジェイダー初登場時をリスペクトしてます。
そして相手原種は瞳原種でした。
自分の中でジェイダーに一番対抗できそうなのがこいつだった。
案の定純夏が取り込まれてましたが無事浄解。
はてさて次はどうなることやら?
お楽しみに。


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