転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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PHASE―3 ファウンデーション王国

 

 

 

シン達が仲間達と再会したその夜。

ルネが俺の部屋を訪ねてきた。

 

「それで、何の用なんだ?」

 

俺がそう聞くと、

 

「うん…………ジェイってこの後如何するの?」

 

「如何………とは?」

 

ルネの質問の意味を図りかねて聞き返すと、

 

「だから、この後に起こるファウンデーション王国とのいざこざは如何するの?」

 

「ファウンデーション王国?」

 

聞きなれない国名に俺は首を傾げる。

すると、

 

「…………………もしかしてジェイ、劇場版のSEED FREEDOM知らない?」

 

ルネの言葉に俺はハッとする。

その名は、前世で聞いたことのある名前だった。

 

「あ~、前世の俺が生きてた頃は、まだ動画サイトで公開されてなかったからなぁ………映画館には行かないタイプだし俺」

 

俺は映画館には行かず、動画サイトで済ますタイプの人間だった。

その為、当時映画は公開されていたが、まだ封切りされて間もなかったため、動画サイトでは見れなかったのだ。

 

「で、そのファウンデーション王国とやらがどうなるんだ?」

 

「簡単に言うと、精神操作みたいな能力でキラを罠に嵌めて、それを口実にキラ達をフルボッコ。アークエンジェルも沈んで、挙句の果てに自作自演で核ミサイルを自国に撃ち込み、更にそれを口実にしてユーラシア連邦首都のモスクワに攻撃、壊滅させる」

 

「なんというマッチポンプの嵐…………っていうかアークエンジェル沈むの!? 意外とそれがショックだったんだが………」

 

『不沈艦』として名を馳せたアークエンジェルがそんな簡単に………

 

「相手も最新鋭機だったし、ビームの効かないフェムテク装甲だった。あとは、もともとそう言うつもりだったから、相手の土俵で戦ってたって言うのが一番の理由かな?」

 

「で、核ミサイルで証拠は残らず隠滅……ってか」

 

「尚、キラ達やアークエンジェルクルーは、救援に駆け付けたアスラン達のお陰で事なきを得る」

 

「そこは大丈夫だったんだな…………」

 

「で、如何するの?」

 

ルネが再び問いかけてくる。

 

「まあ、流石に核ミサイルやレクイエムは無関係の人間が死に過ぎるからな………ほっとくのも後味悪いし介入するとして、どうやって介入した物か…………」

 

核ミサイルは飛翔中を撃ち落すなりイレイザーヘッドで無力化できるからどうとでもなるが…………レクイエムは………前みたいにESウインドウで別方向に飛ばすかなぁ。

外から見ていると、後手に回りそうな気もするから、できれば内部から把握できればいいんだが………

俺はルネから詳しい話を聞きつつ、今後の行動を如何するかを話し合うのだった。

尚、どうやって内部に潜り込むかは、数日後にあっさりと解決することになる。

 

 

 

 

 

数日後。

 

『わたくしは平和監視機構コンパス総帥、ラクス・クラインです』

 

ミレニアムがラクスを伴って再度訪問して来たのだ。

俺はミレニアムを迎え入れ、訪問してきた理由を聞くと、

 

「俺達も一緒にファウンデーション王国に来て欲しい?」

 

なんとも思いがけない言葉が返ってきた。

 

「はい、先日ファウンデーション王国のアウラ陛下から親書が届きまして、ブルーコスモスのミケール大佐がユーラシア国境付近のエルドアに潜んでいるようで、その逮捕に協力したいと申し出があったのです」

 

「ほう?」

 

ルネの話の中にあったな。

 

「そして、わたくしはその申し出を受け入れ、ファウンデーション王国に赴こうとしたのですが、直前になって、あなた方の同行も条件に盛り込んできまして…………おそらく、突然現れたあなた方を警戒している………もしくは、その真意を確かめたいものと思われます。我々があなた方と接触したという情報を掴んだ上で条件に入れてきたのだと思いますが………」

 

「別に構わんぞ」

 

「無理でしたら………………え?」

 

即答した俺の言葉にラクスは声を漏らす。

 

「だから同行しても構わんと言ったのだ」

 

「よ、宜しいのですか!?」

 

「ああ。別に断る理由も無い。まあ、不審者同然の俺達を招き入れるんだ。何らかの目的があるのだろうが…………何が狙いかは知らんが、もし罠だとしても、罠ごと叩き潰せばいいだけの話だ」

 

俺がそう言うと、ラクスは若干困った顔をして、

 

「お、お手柔らかにお願いしますわ」

 

引きつった声でそう言うのだった。

 

 

 

 

その後、ファウンデーション王国に行くメンバーを選出する事となり、

 

「あ~、今回はルネとラミアとレモン。この3人はオービットベースに残って貰いたい」

 

俺がそう言うと、

 

「その理由はアクセルかしら?」

 

レモンが察したようにそう言う。

 

「お見通しか………その通りだ。アクセルがいつ目覚めるか分からない以上、彼に対する備えは必要だ。レモンが説得して聞き入れてくれるならまだいいが、そうでなかった場合は力尽くで取り押さえる必要がある。それに………」

 

俺はそう言いながらレモンに視線を向ける。

 

「最悪私も裏切ることを想定してるのね。そうやって楽観視しない所は高評価よ」

 

レモンはさも当然の様にそう言う。

 

「だからアクセルと互角の力を持つラミアに、そこのルネが加われば、いくらアクセルだろうと制圧できると踏んだわけね?」

 

「そう言う事だ。それと、勇者ロボの中で、氷竜、炎竜と、ボルフォッグ以外も置いていく。もしソウルゲインに乗り込まれても何とかなるだろう」

 

俺はレモンの言葉を肯定する。

 

「ルリは、向こうについてもマクロス・ブレイバーの中に残って貰う事になるが………」

 

「はい、艦を留守にするわけにはいきませんから」

 

ルリは理解している言動をとる。

 

「すまん。後で埋め合わせはするからな」

 

「構いませんよ。十分に埋め合わせはしてもらっています」

 

ルリは小さく笑みを浮かべた。

俺も微笑み返した。

 

 

 

 

 

 

オービットベースからマクロス・ブレイバーが分離し、ミレニアムと共に大気圏に再突入する。

暫くして、眼下にかなり大きな都市が広がっているのが見えた。

規模としては、マクロスフロンティア船団のアイランド船位か?

そのままアークエンジェルと合流し、港へと寄港した。

予定通りルリをマクロス・ブレイバーに残し、残りのメンバーで迎えのヘリに乗ると、王城へと向かう。

王城のヘリポートでヘリから降りると、

 

「ようこそ姫。ファウンデーション宰相、オルフェ・ラム・タオです。お出でを心より歓迎いたします」

 

そう言って迎えたのは、金髪の青年。

そして、その後ろに並び立つ6人の男女。

 

「コンパス総帥、ラクス・クラインです。お目に掛かれて光栄です」

 

ラクスがそう返すと、オルフェは手を差し出して握手を求める。

 

「ッ!?」

 

ラクスは一瞬戸惑った表情を見せるが、直ぐに手を差し出して握手に応えた。

 

その瞬間、

 

「ッ!?」

 

ラクスの表情が強張った。

その時、

 

「ジェイ……………何かリミピッドチャンネルみたいな感覚がする………」

 

ハルが小声で俺に伝えてきた。

 

「リミピッドチャンネル………テレパシーか………!」

 

アルマであるハルも、そういうテレパシー能力が使えるのか………

 

「うん…………2人の間での直通みたいだから、何を話してるのかまでは分からないけど………」

 

「もしかして心を読めたりもするのか?」

 

「かもしれない。私の傍に居れば防ぐことは出来るよ」

 

もし俺の心が読まれれば、厄介な事になりかねないな。

 

「ああ、頼む」

 

「わかった」

 

秘密の話を終えると、ラクスとオルフェの少し長い握手を終えると、オルフェに案内されて歩みを進める。

その途中、

 

「ッ!?」

 

キラが驚いたように立ち止まり、辺りを見回した。

 

「………今、キラに向けて思念が飛ばされたよ。『邪魔な奴………』だって………」

 

ハルがそう教えてくれた。

 

 

 

ファウンデーション王国の女王であるアウラとの謁見があったが、特に当たり障りの無いものであり、俺達に対しても、ゾンダーの話を詳しく聞きたいというものであった。

そのままイングリットと名乗った女性に場内を案内されていると、練兵場で出迎えの時に居た残り5人の親衛隊の者達が模擬試合を行っていた。

 

「彼らが我が国の近衛師団です」

 

イングリットがそう言うと、

 

「噂のブラックナイツか…………彼らが」

 

ムウがそう呟いた。

すると、銀髪の青年と赤茶色の髪の青年が模擬戦をしていたのだが、銀髪の青年が赤茶色の髪のサーベルを弾き飛ばした。

弾き飛ばされたサーベルが宙を舞い、狙った様にキラの足元に突き刺さる。

そして、

 

「一手ご指南いただけませんか? ヤマト隊長」

 

銀髪の青年がキラに向かってそう言った。

だが、

 

「いや、僕は………」

 

キラは気まずそうに眼を逸らす。

キラは、パイロットとしての操縦技術こそ卓越しているが、白兵戦においては一般兵と同等以下と言っていい。

おそらく、相手もそれを分かっていて言っているのだろうが、

 

「へぇ~………剣が使えない隊長さんか………」

 

黒髪のオールバックの男性がバカにしたような言動をする。

 

「コンパスってのも、案外大したこと無いんじゃない~?」

 

オレンジ色の髪の女性隊員も便乗してそう言った。

 

「……………それはこの間実証したし……………」

 

灰色の髪のマスクをした男性隊員がボソッと呟いた。

 

「お客人に失礼ですよ、あなた達!」

 

イングリットが咎める発言をするが、

 

「………………ここは俺に任せてくれないか? 隊長」

 

そう言いながら前に出たのはハイネだった。

ハイネは突き刺さっていたサーベルを抜くと、

 

「隊長をああまで言われて、黙ってるわけにはいかないんでね」

 

ハイネは銀髪の男性隊員と相対する。

 

「ハイネ!」

 

キラは止めようとしたが、ムウに止められ、

 

「やらせてみろ」

 

そう言った。

おそらく、ブラックナイツの実力を見るためだろう。

 

「近衛騎士団長、シュラ・サーペンタイン」

 

「ヤマト隊のハイネ・ヴェステンフルス」

 

互いに名乗り合うと、

 

「………はあっ!」

 

ハイネから仕掛ける。

だが、シュラは軽くその剣を往なすと反撃。

素早い動きで次々と剣戟を繰り出し、ハイネを防戦一方に追い込む。

ハイネも負けじと反撃するが、その剣は空を切る。

 

「ッ!? ふっ! はっ!」

 

ハイネは何度も剣を振るが、その剣は全て見切られており、剣を合わせるまでもなく全て躱されていた。

すると、

 

「何だあいつ………!? いくら何でも剣の見切りが早すぎる………!」

 

俺の隣でシンが呟いた。

シンの言う通り、シュラは剣が振り上げられた瞬間には………いや、その前には既に回避を始めていた。

すると、ハイネの突きを跳び上がって宙返りしながら躱しつつ、ハイネの背後に着地すると、そのまま繰り出した鋭い一撃がハイネの剣を弾き飛ばし、その首に剣を添えていた。

 

「…………くっ」

 

ハイネは悔しそうな表情をした。

と、弾かれた剣がこっちに飛んできたので俺がキャッチする。

 

「何だよ? 大したことないな」

 

「良く持った方じゃない? キャハハハハハハ!」

 

近衛騎士隊員から再び馬鹿にしたような声が響く。

 

「やはりアスラン・ザラが最強か………」

 

シュラが期待外れと言わんばかりにそう呟く。

 

「…………まあ、俺よりはあいつの方が強いわな」

 

ハイネもそれには否定しなかった。

 

「さて…………」

 

シュラはそう言いながら再び俺達の方を振り向くと、剣を向ける。

身構えるヤマト隊の面々を、キラは手で制する。

 

「サーペンタイン団長! いい加減にしてください!」

 

イングリットが再び咎める。

 

「世界を統べるのは、力のある者だけだ………お前にその力があるのか?」

 

「ッ………!? そんな世界、誰も望まない……!」

 

「フッ、そうかな………? 君の指揮で戦うのが楽しみだ」

 

シュラはそう言いながら剣を収め、

 

「少なくとも、そこに居る逃げた腰抜けよりかは期待している」

 

最後にシンに向かって侮蔑の視線を向けながら踵を返した。

だが、

 

「……………待て!」

 

そのシュラを俺は呼び止めた。

 

「ん?」

 

シュラが振り向くと、

 

「今の言葉は聞き捨てならんな…………! 誰が腰抜けだと………!?」

 

俺は怒りの感情を込めながらシュラを睨みつける。

 

「これは失礼した………つい本音が口から漏れてしまった様だ」

 

全く悪びれない態度でそう言うシュラ。

ワザと挑発しているのだろうが、

 

「シンは俺が信頼している仲間だ………! その仲間を侮辱されて黙っているほど俺は大人しくは無い……!」

 

「ジェイさん………!?」

 

「ブラックナイツだか何だか知らんが、多少腕が立つだけのチンピラ風情が『騎士』を名乗るなど片腹痛い」

 

俺の言葉にシュラは目を細める。

 

「それは、我々に対する侮辱と受け取って宜しいので?」

 

「先に侮辱して来たのは貴様らだろう? 自分達の事を棚に上げるのは騎士としてあるまじきことではないのか?」

 

「ッ………!」

 

「ジェイさん! それ以上は………!」

 

キラが止めようと声を掛けてくるが、

 

「悪いが俺達はコンパスの指揮下に居るわけではない。あくまで要請に応えてここに居るだけだ」

 

そう言ってシュラを見据える。

シュラだけではなく他のブラックナイツの面々も憎々し気に俺を睨みつけていた。

 

「……………では、それを証明していただけますかな?」

 

シュラはそう言って再びサーベルを抜いた。

その言葉に俺はシンに向き直り、

 

「シン、お前がやれ」

 

そう言って先程キャッチしたサーベルをシンに差し出す。

 

「ジェイさん!? 俺が!?」

 

「ああ。お前になら任せられる。修行の成果を見せてやれ!」

 

「ジェイさん…………………はい!!」

 

シンは返事をしてサーベルの柄を握った。

 

「あれだけ大口を叩いて他人に任せるのか……!?」

 

シュラが怒りの表情を浮かべながら睨みつけてくる

 

「………………俺が相手をしてもいいが、それはフェアではないからな…………シンに勝てたなら俺も敗北を認め、お前達を侮辱したことは謝罪しよう」

 

俺はそう返す。

 

「ッ………! いいだろう!」

 

そう言って、シュラとシンは向かい合った。

 

「はん! あのシンに勝てるわけないじゃない………!」

 

アグネスがバカじゃないのと言いたげにそう漏らす。

 

「シン! 頑張って!」

 

ステラが声援を送る。

シンは感触を確かめるようにサーベルを2、3回振ると、

 

「サーベルか………刀とは勝手が違うけど………何とかなるか………!」

 

そして、シュラは片手持ちで半身で構え、シンは正眼の構えで向かい合う。

 

「近衛騎士団長、シュラ・サーペンタイン!」

 

「GGG隊員! シン・アスカ!」

 

互いに名乗り合うと、

 

「いざ、尋常に……………」

 

シンはそこで一呼吸置き、

 

「勝負!!」

 

一気に斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

「いざ、尋常に……………勝負!!」

 

その言葉と共にシンは一気に踏み込み、袈裟懸けに斬りかかる。

 

「ッ!?」

 

シュラは虚を突かれたような表情で咄嗟に防御するものの、思った以上の剣戟の強さに数歩後退した。

 

「くっ!」

 

声を漏らした瞬間、

 

「はっ! せいっ!」

 

更にシンが踏み込み、切り返しの2連撃を行う。

 

「ちぃっ!」

 

シュラは舌打ちしつつもシンの剣を受け止め、防いだ。

 

「…………少しはやるようだな………だが!」

 

今度はシュラが仕掛けた。

鋭い振り下ろしを繰り出す。

しかし、シンはシュラの一撃をサーベルの刃で滑らせるように受け流し、同時に体勢を崩す。

 

「なっ!?」

 

「はぁああああああっ!!」

 

続けて繰り出される薙ぎ払い。

 

「くっ!」

 

シュラは大きく飛び退きながらその一撃を躱した。

 

「いつまで遊んでるんだよ? シュラ!」

 

ブラックナイツからヤジが飛ぶ。

 

「ふん、言われなくとも、遊びはここまでだ!」

 

そう言ってシュラは己の『能力』を発動させた。

すると、シンが再び斬りかかるが、今度は余裕をもって躱される。

 

「ッ!?」

 

シンは次々と剣を繰り出すが、まるで先程のハイネの様に攻撃が当たらなくなった。

シンはフェイントも交えて攻撃しているが、シュラは全くフェイントに引っ掛からない。

 

「ハッ!」

 

「くぅっ………!」

 

シュラの反撃を、シンは咄嗟に防ぎ、後退する。

 

「よく防いだ。誉めてやろう」

 

上から目線でそう言うシュラ。

シンは険しい表情をしていたが、深呼吸して呼吸を整えると、

 

「………………やっぱりだ」

 

「ん?」

 

「アンタの強さは、その異常な見切りの早さにある」

 

シンはそう口にした。

 

「攻撃を繰り出す前から回避を始めるし、フェイントにも全く引っ掛からない………まるで、数秒先の未来が見えて居たり、相手の心を読んでるんじゃないかってぐらいに………」

 

「ッ!?」

 

その言葉に、シュラは目を見開く。

 

「………なるほど、面白い見解だ。それが本当なのだとしたら、お前に勝ち目は無いぞ?」

 

シュラは余裕の笑みを浮かべる。

 

「……………確かに見切りの早さは厄介だ…………でも、剣技は一流でもリシュウ先生には遠く及ばないし、身体能力もジェイさんの足元にも及ばない………! 勝てないとは思わないな!」

 

シンは剣を構え直しながら言い放った。

 

「ッ…………! 俺の剣技を超える御仁が居るとは恐れ入る…………余程高名なコーディネイターなのかな?」

 

シュラがそう聞き返すと、

 

「リシュウ先生はコーディネイターじゃない………別の世界の人間だけど、ナチュラルだよ」

 

「ッ!?」

 

その言葉にシュラは目を見開く。

 

「ありえん! 俺を超える奴がナチュラルだと!? 絶対にありえん!」

 

先程までの余裕の態度が嘘のように取り乱し、叫ぶシュラ。

 

「嘘を言ってどうするんだよ? リシュウ先生はナチュラルだし、仮にここに立っているのがリシュウ先生だったら、アンタは一太刀目で終わってるよ」

 

「何っ!?」

 

「この試合が始まった一太刀目、アンタは俺の剣を何とか受け止めた。リシュウ先生だったら、アンタが反応できない速さで打ち込むか、防がれたとしてもその細いサーベルごと叩き切られて終わってたよ」

 

シンはさも当然の様にそう言う。

 

「ありえんありえん! ナチュラルがこの俺を超えるなど! ならば俺は何の為に………!」

 

「…………何を取り乱してるのか知らないけど、まだ試合は続いてるんだろ?」

 

「ッ!? 当然だ!」

 

シュラがハッとなって叫んだ。

 

「なら、次で決めよう」

 

「望むところだ……!」

 

シンとシュラが間合いを開けて相対する。

すると、シンが正眼の構えを解くと、右手で剣を垂直に掲げ、シュラに半身を向けると顔の横に剣の柄を持ってきて、左手で柄の下部を掴み、両手持ちで構えた。

そして、深呼吸をすると、

 

「一意専心………!」

 

そう呟き、目を見開いた。

その時、シュラは再び自分の『能力』を発動させていた。

シュラ………いや、ブラックナイツのメンバーは、『アコード』と呼ばれるコーディネイターよりも更に上の進化人類として生み出された存在だった。

その能力の1つに、シンが推測した通り相手の心を読む能力が備わっており、先程のハイネを完封したのもその能力の恩恵が大きい。

シンとの勝負の最初に押され気味だったのは、シュラ自身心を読む能力が無くとも剣技は一流であり、シュラがシンの事を侮っていたため、読心の能力を使っていなかったためだ。

 

(もう俺に侮りは無い! シン・アスカ! お前は俺に勝てない!!)

 

先程シンの攻撃を避け切った時も、その能力を使っていた。

そして、再びシュラはシンの心を読んだ。

その内容は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斬!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?!?!?」

 

シュラが読んだ………いや、叩きつけられたのは『斬』というたった一つの、そして何よりも大きな一文字。

そして同時に、シンに斬られ、倒れ伏すイメージだった。

その心に、読んだシュラ自身が驚愕し、動揺する。

その一瞬の動揺を、今のシンが逃すはずが無かった。

 

「チェストォオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

渾身の叫び声と共に、シンの一太刀が振り下ろされる。

 

「し、しまっ…………」

 

シュラは咄嗟に防御しようとしたが、間に合いそうにない。

いや、よしんば間に合ったとしても、半端な防御では防ぎきれない。

そんな一撃がシュラへと迫る。

そして…………………………

 

「そこまでだ………!」

 

その間に割り込んできた人物に、シンとシュラの剣が掴まれた。

それは、

 

「ッ!? ジェイさん!?」

 

ジェイであった。

ジェイは一瞬で2人の間に割り込むと、右手でシンの剣を、左手でシュラの剣を掴み、止めていた。

 

「勝負に水を差したのは詫びよう。だが、これ以上は怪我で済みそうに無かったのでな…………」

 

「ッ!?」

 

そのジェイの言葉にシュラが動揺する。

 

「シンも熱くなり過ぎだ。これは模擬戦だぞ」

 

その言葉に、シンもハッとなり、

 

「すみませんでした!」

 

自分の仕出かしたことを顧みたのかシュラに向かって思いきり頭を下げた。

すると、

 

「…………この勝負は引き分けとしておこう。謝罪も結構だ。お互い様という事でこの場を収めたいが………宜しいか?」

 

ジェイがイングリットに向かってそう言うと、

 

「は、はい………そちらが構わないのであれば…………」

 

半ば呆然としていたイングリットは頷いた。

すると、

 

「はぁ………まだまだ未熟だな、俺」

 

シンは去り際にそう呟く。

 

「ッ!?」

 

シュラはその言葉を聞き、打ちのめされた様な感覚を覚えた。

 

(未熟だと………!? この俺を追い詰めておきながら、未熟と言ったのかあいつは……!?)

 

すると、

 

「遊びが過ぎましたね、シュラ」

 

赤茶色の髪の隊員であるリュー・シェンチアンが声を掛けた。

彼は、シュラが手加減していたと思っていたようだ。

 

「うるさい!」

 

シュラは声を荒げるとそのまま立ち去る。

 

「シュラ………?」

 

その反応にブラックナイツのメンバーは思わず困惑するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 








はい、ガンダムSEED FREEDOM編第3話です。
夜会の所まで書きたかったけど、半端に長くなって間に合いそうに無かったのでここで投稿です。
はい、皆さまお楽しみのシンとシュラの勝負の回でした。
どうやってファウンデーション王国に同行してシンとシュラを戦わせるかで頭を悩ませましたがこんな感じになりました。
ちょっと強引でしたね。
皆さまはシンの圧勝を望んでいたのかもしれませんが、シンがリシュウに師事していたのは1ヶ月程度ですし、その後も研鑽を怠っていなくとも剣術始めて数ヶ月のシンではそこまでの圧勝は無理かと。
それでもこの成長スピードは大概ですけどね。
なので、シンの渾身の一太刀の前にシュラはあえなく敗北………の前にジェイが止めました。
マジで怪我じゃ済みそうになかったので。
次回の夜会は彼女が出張っちゃいます。
お楽しみに。




次に行く世界は?

  • マクロスΔ
  • ガンダムOO
  • 魔法騎士レイアース TV版第二部
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