転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
シュラとの模擬戦を終えてシンと共に皆の所に戻ると、
「ちょっとシン! 凄いじゃない!」
ルナマリアがシンに駆け寄る。
「まさかあそこまでとは思わなかったぜ」
ハイネも驚きを口にする。
「いや………まだまだだよ。危うく模擬戦って事を忘れかけてた………」
シンは謙遜を口にするが、
「だが、最後を除けばいい戦いだった。不利な状況になっても冷静に相手の力を分析して対処しようとしていたのは見事だった」
俺はそう言う。
「ジェイさん………!」
シンは嬉しそうに笑みを浮かべた。
その後、城内の案内が再開され、それが終わると夜に夜会が開催された。
それは王城内の広間で開催され、ファウンデーション国内の有力者達も参加しているのか、多くの人々がダンスなり食事なりを楽しんでいた。
俺達も夜会に招待され、参加している。
「シン! 私達も踊ろ!」
「うわっ!? 引っ張らないでステラ!」
ステラがシンの腕を引っ張りながらダンス会場へ向かって行く。
それを横目に、この国の女王であるアウラとラクスの会談に耳を傾ける。
「貴国のご繁栄は、かねがね耳にしておりましたが………」
「我が国は、年齢や出身を問わず、優秀な人材を登用している。ナチュラル、コーディネイターに関わりなくな。全てオルフェの采配じゃ」
アウラが隣に座っていたオルフェに目を向けた。
ルネから聞いた話から推測するに、上位種のアコードである自分達にとって、ナチュラルも普通のコーディネイターも等しく下等種族だとでも思ってるんだろうな。
その中でも、コーディネイターの方をマシな扱いをするだけで。
すると、オルフェが立ち上がり、ラクスに歩み寄る。
ダンスに誘おうとでも言うのだろう。
これもキラの精神を揺さぶるのが目的かね?
俺は一先ず事の成り行きを見守ろうと思っていたのだが、俺の目の前をストロベリーブロンドの女性が横切って行き、彼女らの方へ歩いて行く。
そして、
「失礼するわ! 突然だけど、少し歌わせて貰っていいかしら?」
そのストロベリーブロンドの女性、シェリルは開口一番にそう言った。
「おいシェリル!? いきなり何言ってるんだお前は!?」
シェリルを追いかけてきたアルトがシェリルの言葉を聞いて思わず突っ込んだ。
「あら? こんなにも観客が居るんだもの、歌わなきゃ損じゃない」
それが当然の様に言うシェリル。
「だからって一国の代表にいきなり直談判するか普通!?」
「忘れたのアルト? 私はシェリル・ノームよ? 私は歌いたいときに歌うわ」
「…………そうだったな。お前はそういう奴だった…………いきなり歌い出さなかっただけマシか………?」
シェリルの言い分に何故か納得してしまうアルト。
「あ~、本当に失礼な事をしていることは重々承知している。だが、できればコイツの要望を通してもらいたい………と、言うか多分許可が出なくても勝手に歌う。こいつはそういう奴だからな。だが、その歌声は本物であることは保証する」
結局アルトはシェリルの擁護に回った。
突然の事にアウラやオルフェ、ラクスは一瞬呆けていたが、
「………ええ、別に構いませんよ」
ハッと我を取り戻したオルフェが平静を装いながらそう言う。
「感謝するわ」
シェリルはそれだけ言うと、会場に備え付けられていたピアノの方へ向かう。
「それにしても豪胆な方だ」
「ん?」
オルフェの言葉にアルトが反応すると、
「我々の世界でも有数の歌姫であるラクス姫の前で歌を披露するというとは………」
その言葉は、まるで身の程知らずめと言っているように聞こえた。
「歌姫か…………」
アルトが呟く。
すると、
「『銀河の妖精』…………」
そう呟いた。
「銀河の………妖精………?」
ラクスがその言葉を繰り返すと、
「俺達の世界での、あいつの通り名だ」
アルトがそう言った時、ピアノの演奏者と席を変わったシェリルがピアノを奏で始める。
その時点では、その音に耳を傾ける者など殆どおらず、会場の騒めきにかき消されていく。
しかし、
「神様に恋をしてた頃は こんな別れが来るとは思ってなかったよ………♪」
最初の一小節。
たったそれだけで会場の騒めきが嘘の様に静まり返っていく。
「もう二度と触れられないなら せめて最後に もう一度抱きしめて欲しかったよ………♪」
更にもう一小節歌う時には、会場で音を立てる者はシェリル以外に居なくなった。
「It‘s long long good-bye…………さよなら さよなら 何度だって 自分に 無上に 言い聞かせて 手を振るのは優しさだよね? 今 強さが欲しい♪」
「な…………あ………………」
オルフェが信じられない表情で声を漏らす。
「貴方に出会い STAR輝いて アタシが生まれて 愛すればこそ iあればこそ♪」
サビに入り、シェリルの歌がますます高まっていく。
最早この会場にその歌声に聞き惚れていない者など誰一人として居ない。
「希望の無い 奇跡を待って どうなるの? 涙に滲む
1コーラス目が終わると、会場から拍手が沸き起こる。
ラクスもそれに漏れずに拍手を送っていた。
そして、自然とその拍手も収まり、2コーラス目を待つ。
「忘れないよ 貴方の温もりも その優しさも 全て包み込んでくれた両手も………♪」
2コーラス目が始まり、再びその歌声に聞き惚れる人々。
「It‘s long long good-bye…………さよなら さよなら 愛しい人 貴方がいたから 歩いて来れた 1人なんかじゃ無かったよね? 今 答えが欲しい♪ 燃えるような 流星捕まえて 火を灯して 愛していたい 愛されてたい♪ 冷えたカラダひとつで 世界は どうなるの? 張り続けてた 虚勢が溶けてく long for………どうしてなの? 涙溢れて 止められない♪」
2コーラス目が終わるが、今度は誰一人として拍手をしない。
そんな雑音を起こすより、シェリルの歌を聞いていたいからだ。
「貴方に出会い STAR輝いて アタシが生まれて 愛すればこそ iあればこそ♪ 希望の無い 奇跡を待って どうなるの? 涙に滲む
シェリルが歌い終えると、会場が静寂に包まれる。
皆声を失っていた。
無言で涙を流す者達もチラホラと居る。
そして、その静寂がしばらく続いた後、パチパチと誰かが思い出したように拍手をした。
それを皮切りに、怒涛の拍手が沸き起こった。
「流石だな………」
俺も拍手をしながらそう呟く。
「ああ。たった一曲で会場の人間の心を鷲掴みにした」
アルトもそう言った。
シェリルが一礼して戻ってくると、
「素晴らしい歌声でした」
ラクスがシェリルを称賛する。
「わたくしも歌姫などと呼ばれた事はございますが、貴方に比べればお恥ずかしい限りですわ」
ラクスがそう言うと、
「……………ッ!? た、確かに素晴らしい歌でした……」
オルフェがハッとなった。
今、シェリルの歌に飲み込まれたなコイツ。
「異世界の技術は素晴らしいですね………あなたの様な歌姫を生み出せるとは…………」
オルフェの言葉は、シェリルの歌声も特殊な技術を使って生み出された物だと思って言っているのだろう。
すると、
「確かに私のいた所じゃ、インプラントやサイバネティックスが普通に行われてたけど………」
マクロス・ギャラクシー船団の事だな。
「でも、残念だけど、私は産まれたままよ? もちろん遺伝子操作で生まれたわけでもないわ」
「ッ…………!?」
その言葉に目を見開くオルフェ。
まあ、あいつらの存在意義を真っ向から否定してるようなもんだしな。
ふと見れば、ダンスを終えたシンが、ムウに歩み寄っている姿が見えた。
「なあ、おっさん」
「おっさんじゃない! って、何だ坊主?」
シンの言葉にムウが反応すると、
「最初に会った時から気になってたけど、アンタってもしかしてネオじゃないのか?」
「えっ? ネオ!?」
「………………ッ」
シンの問いかけにステラも驚き、ムウがバツの悪そうな表情で顔を逸らした。
「今はムウ・ラ・フラガだ…………」
ムウはそう呟く。
「何で地球軍のアンタがアークエンジェルに………」
「違う! 俺は元々アークエンジェルに乗っていた! ヤキン・ドゥーエの戦いで機体が大破し、一命は取り留めたが記憶を失い、ブルーコスモスに拾われていい様に使われていただけだ」
「………………アンタにも、色々理由があるんだな」
「………………何も言わないのか? 結果的にとはいえ、俺はお前との約束を破り、ステラを戦場へ送ったんだぞ?」
「あの時ステラを返す前から、ジェイさんに言われてたよ。ステラを返したとしても、もう一度戦場で相まみえる覚悟を持てって」
「…………………」
「アンタだって、ステラを望んで戦場に送り出したわけじゃないんだろ?」
「それは……………」
「今はステラと一緒に居られる。俺はそれで十分だ」
「…………ふう………あの時の青臭かった坊主が、こんなに立派になるとはねぇ」
ムウは何処か遠い目をする。
「ネオ!」
ステラがムウに飛びついた。
「ステラ! 久しぶりだな。随分と美人さんになったもんだ」
ムウがステラの頭を撫でる。
「けど、俺の事はムウって呼んでくれ。それが本当の名前だ」
「わかった、ムウ」
ステラは素直に頷く。
「よかったら、お前さん達がどんな経験をしてきたか聞かせて貰っていいか?」
「ああ、もちろんだ」
あっちの方は問題なさそうだな。
すると、オルフェがラクスをダンスに誘うのが見えた。
ラクスはその手を取ってホールへと連れられて行く。
2人が踊り始めると、その2人を見てキラが複雑そうな表情を浮かべていた。
俺はキラに歩み寄ると、
「気に食わないか?」
そう声を掛けた。
「ッ!? あ、ジェイさん………いえ、そんな………」
キラは否定しようとするが、
「取り繕う必要は無い。大切な女性が別の男と踊ってたりすれば、気に食わないのは当然だ。俺だってもしハル達が別の男と踊ってたりしたら、間違いなく嫉妬するぞ」
「私はジェイ以外と踊る気なんて無いけどね」
俺の隣でハルが笑って見せる。
「まっ、ハルはそれでいいかもしれないが、ラクスはコンパスの総帥で、対外的にも付き合いは必要だ。相手が一国の宰相ともなれば、その誘いを断るのはその国に失礼になるからな」
「それは分かってるけど…………」
「感情は別、だろ?」
「…………………」
キラは俯く。
「お前は一度、彼女としっかりと向き合ってみるべきだな」
「僕はちゃんと………!」
「相手の事を考えすぎて心配かけまいとしてる所もあるんじゃないのか? お互いに」
「それは…………」
「あとはしっかりと自分の気持ちを素直に言葉にしてみる事だ。ちゃんと言葉にしてくれないと、不安になる事だってあるさ」
「気持ちを………言葉に…………」
「俺からのアドバイスはこの位だ。余計な事だったかもしれないけどな」
「いえ、そんな………」
「ではな………」
俺はそう言ってその場を離れた。
そして翌日。
ブルーコスモスのミケール大佐の捕縛作戦が始まるのだった。
はい、ガンダムSEED FREEDOM編第4話です。
ちょいと短いがキリが良いのでここで投稿です。
シェリルとかランカってアコードの在り方に真っ向から喧嘩売ってると思うのよね。
ラクスって歌姫と呼ばれててもあんまり歌ってる印象無いですし。
ちょこちょこと歌ってただけで。
今回はシェリルの歌と、シン、ステラとムウのお話、それとジェイとキラの話でした。
次回はいよいよファウンデーションの暗躍が始まりますが果たして…………
それでは次も頑張ります。
P.S:今週は忙しいので返信はお休みします。
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むしろ全部やれ