転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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PHASE―7 反撃

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

宇宙へと出たミレニアムは、まずはラクスを救出するために、救出部隊を乗せたキャバリアーを装備したズゴックとストライクフリーダムがミラージュコロイドで姿を隠し、アルテミス要塞へ潜入する作戦を取ることになった。

そして、そのためにキラ達が出発する直前、そのキラからMSパイロット達に通信が入った。

 

「皆…………」

 

キラの言葉に皆が反応すると、

 

「ミレニアムを頼むよ」

 

その口から、皆を頼りにするという言葉が発せられた。

 

「「「「ッ!」」」」

 

その事に一瞬驚いたが、すぐに頷いた。

そのままミラージュコロイドで消えるズゴックとストライクフリーダム。

ミレニアムはそのまま敵旗艦艦隊へと向かった。

 

 

 

艦隊と向かい合うミレニアム。

相手が艦隊なのに対し、こちらは一隻。

本来なら、勝ち目など微塵も無く、仕掛けるのも馬鹿らしい戦力差。

だが、

 

「大丈夫です! 我に新兵器あり! 耐熱耐衝撃結晶装甲展開!」

 

ハインラインの言葉と共に、ミレニアムの装甲表面にジェル状の物質が染み出す様に現れ、即座に硬質化する。

更に時間差で起動するミサイルをバラまくと、正面から突撃。

ファウンデーションの旗艦であるグルヴェイグの持つ12連陽電子砲を含め、艦隊からビームの嵐が降り注ぐものの、ミレニアムはそれに真正面から耐える。

そのまますれ違いざまに数隻を墜とすとそのまま艦隊後方へ抜け出る。

ファウンデーションも超高速ミサイルで追撃するが、ミレニアムは戦艦でドリフトするという離れ業をやってのけつつミサイルを迎撃。

それと同時に先ほどバラまいたミサイルが起動。

回頭中だった戦艦の後方からミサイルが殺到し、また多くの戦艦を沈めた。

そして、各MSが発進準備に入る。

 

「ハイネ・ヴェステンフルス! デスティニー! 行くぜ!」

 

オレンジ色を基調としたハイネのデスティニーがカタパルトから発進。

 

「レイ・ザ・バレル! レジェンド! 発進する!」

 

続けてレイのレジェンドがカタパルトから飛び出し、

 

「ルナマリア・ホーク! インパルス! 行くわよ!」

 

更にルナマリアのインパルスが続く。

 

「ヒルダ・ハーケン! ゲルググ! 行くよ!」

 

最後にルナマリアの使っていた赤いゲルググを譲り受けたヒルダが発進した。

ファウンデーション側も、MS部隊を発進させようとしていた。

その中に、ブラックナイツ4人の姿もあり、

 

「デスティニーにレジェンド? ふざけた連中ですね」

 

リューが発進したMSの情報を見て馬鹿にしたようにそう言う。

前大戦で活躍していた機体とはいえ、彼らの乗るブラックナイトスコードに比べれば旧式だからだ。

 

「少しは殺し甲斐あるんじゃね?」

 

ダニエルがどうでもいい様に呟く。

 

「兵隊共の訓練には丁度いいさ」

 

グリフィンも完全に格下扱いの台詞を吐く。

その視線の先では、ファウンデーションの主な戦力である無人機のジンやディンが各戦艦から発進していた。

装備されている大型ミサイルを撃ち放つ各機。

しかし、VPS装甲を持つデスティニー、レジェンド、インパルスはその程度ではやられはしない。

 

「甘いんだよ!!」

 

ハイネのデスティニーが高エネルギー長距離ビーム砲を発射。

ジン数機を纏めて爆散させる。

 

「そこだっ!!」

 

レイのレジェンドがドラグーンを射出。

それぞれのドラグーンが的確に敵MSを撃ち抜く。

 

「私だって!!」

 

ブラストシルエットを装備したルナマリアのインパルスがビーム砲やレール砲を放って敵MS群を纏めて爆散させた。

 

 

 

 

同じ頃、アルテミス要塞にストライクフリーダムが接近しており、シュラのブラックナイトスコード シヴァが出撃。

迎撃に当たる。

しかし、出撃するときにシールドを解除した時、潜入した存在が居たことに気付かなかった。

その存在とは、キャバリア―を装備したズゴック。

要塞内部に侵入したズゴックはミラージュコロイドを解除すると共に攻撃を開始。

停泊していた戦艦を攻撃すると同時に、救出部隊がキャバリアーから出ると、ラクス救出の為に動き出した。

しかし、ファウンデーション側の対応も早く、兵士が応戦してくる。

救出部隊に居たキラが中々進めない事に歯噛みしていたが、

 

「ジェットワッパー!」

 

突如として応戦していたファウンデーション側の兵士が巨大な輪っかに捕らえられた。

 

「何だ!?」

 

キラが声を上げるとその輪っかに繋がっていたワイヤーの先に紫色のロボットが突如として姿を現した。

 

「君は!?」

 

キラが声を上げると、

 

「私の名はボルフォッグ。GGGの隊員です。ルネ隊長より、あなた方の支援をするよう仰せつかっております」

 

ボルフォッグが名乗ると、

 

「救出対象であるラクス・クラインの位置は既に特定してあります。たった今データを送りました。さ、お早く」

 

「ッ! ありがとう!」

 

キラはボルフォッグに礼を言うと、先を急いだ。

救出部隊の一部が配線に端末を取り付けると、キャバリアーからメイリンがハッキングを開始。

アルテミス要塞の隔壁を強制閉鎖し、ラクスのいる場所以外の道程を遮断した。

更にハロを使ってダクト内に催眠ガスを放出。

要塞内のパイロットスーツを着ていない人間を無力化した。

ラクスの所へと辿り着いたキラ達だったが、そこには先回りしたイングリットがラクスを人質に取っていた。

 

「動かないで! 少しでも動けば、彼女の目を潰すわ! 喉を切ったっていい! 歌えなくなった彼女をそれでも愛してるって言えるの!?」

 

人の存在価値を、その人の持つ能力だけが全てという考えを教え込まれてきたイングリットの………

いや、アコードとしての価値観で問いかけるイングリット。

だが、

 

「ああ。その目が見えなくても、声が失われても、ラクスはラクスだ! 僕はその全てを愛している!!」

 

キラは迷いなく即答し、言い切った。

その能力ではなく、『ラクス』という存在そのものを愛し、必要としていると。

 

「キラッ……!」

 

「ッ!?」

 

キラの言葉に、ラクスは嬉しそうにキラの名を呼び、イングリットは逆に戸惑う。

その時、キラの肩からトリィが飛び立ち、それに呼応するようにラクスの髪の中に隠されていた、キラがラクスに送ったロボット鳥のブルーが飛び立つ。

 

「ッ!?」

 

それらにイングリットの気が逸れた瞬間、

 

「ッ!」

 

「あっ!?」

 

ラクスが思い切ってイングリットの腕を振り解いた。

 

「ッ!」

 

キラは咄嗟に駆け寄ってラクスを支える。

 

「くっ!」

 

その直後にイングリットはキラに銃を向けるが、即座に放ったキサカの銃弾がその銃を弾いた。

それでもイングリットは持っていたナイフで斬りかかるが、キラはラクスを庇いながらその一撃を避けると、キサカが駆け込んできて体当たりでイングリットを突き飛ばした。

銃を向けられ動けなくなるイングリット。

 

「キラッ!」

 

「ラクスッ!」

 

その視線の先で、キラとラクスを抱擁を交わしていた。

 

「なんて無茶を…!?」

 

キラはラクスを心配する言葉を漏らすが、

 

「愛しています! わたくしも!」

 

ラクスから出た言葉は、先程のキラの言葉への返答だった。

その言葉は、イングリットの価値観を否定するものであった。

 

「……………ごめんなさい」

 

ラクスはイングリットに一言謝る。

 

「…………行って!! ううっ………!」

 

走り去る彼らに、イングリットは泣き崩れた。

 

 

 

ズゴックと合流し、脱出するキラ達。

それを確認したストライクフリーダムに乗っていたアスランもシュラとの戦いを打ち切り撤退を開始した。

シュラは歯噛みするも、爆発を起こすアルテミス要塞に帰投するのだった。

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

【Side アクセル】

 

 

 

 

 

 

 

『消えかけた………命…………消えかけた………私…………世界を………変える………想いの力………あなたが強く………想う………哀しくて………温かい力………私が………私である為に………あなたの想いの力…………お借り………致しますの…………』

 

レモ………ン………………

おれ………は……………

 

 

 

 

 

「…………うっ………!」

 

意識が急浮上し、戻ってきた身体の感覚に声が漏れた。

 

「…………生きて………いるのか……………?」

 

俺は首を動かして辺りを確認する。

 

「…………ここは何処だ…………?」

 

見覚えの無い部屋。

どうやら医務室ではあるようだが、ギャンランドの物とは違う。

他の、俺の記憶にあるものに一致するところは無い。

すると、部屋の扉が開く。

 

「ッ…………!」

 

俺は咄嗟に警戒したが、

 

「ッ!? アクセル! 目が覚めたの!?」

 

扉から中に入ってきた人間を見て、俺は警戒を解いた。

いや、その人物に驚いたというべきか。

 

「レモン!? 生きていたのか!?」

 

入ってきた人間は同じシャドウミラーに所属するレモンだった。

俺はてっきりエクセレン・ブロウニングやW-17との戦いで戦死したと思っていたが………

 

「それはお互い様よ」

 

レモンはそう言い返してくる。

 

「確かにな………」

 

俺が最後に記憶しているのは両手足が潰れ、内蔵もいくつかやられているほどに酷いケガだった筈だ。

 

「…………ベーオウルフはどうなった?」

 

俺は宿敵の事を尋ねると、

 

「死んだわ。キョウスケ・ナンブの手によってね」

 

「そうか……………」

 

その事を聞いても驚きは無かった。

それにしても、ベーオウルフに止めを刺したのが、同じ存在であったはずのキョウスケ・ナンブとは、皮肉なものだ。

 

「……………ところで、ここは一体どこだ?」

 

俺は今知るべきことを尋ねる。

すると、

 

「ここはオービットベースの医務室です。アクセル隊長」

 

その質問に答えたのはレモンではなかった。

 

「W-17…………いや、ラミア・ラヴレスと呼ぶべきか」

 

入ってきたのはレモンの作ったWシリーズの1人。

作られた存在でありながら、その存在意義に疑問を持ち、シャドウミラーに反旗を翻した者。

すると、そいつは軽く驚いた表情をした。

 

「貴方にそう呼んでいただけるとは…………何か心境の変化でも?」

 

ラミアが問いかけてくる。

 

「…………さあな。何となくそんな気分だっただけだ」

 

確かに以前までの俺ならこいつをラミアとは呼ばす、ナンバーで呼んでいただろう。

あの死の間際の静寂の安らぎ…………

それを悪くないと思ったのが原因だろうか?

 

「それで? そのオービットベースとやらとは何だ?」

 

俺がそう聞くと、2人から現状を掻い摘んで説明された。

 

「フッ………まさか寝ている間に別の世界に連れてこられていたとはな」

 

それにレモンも俺を助ける見返りにGGGとやらに協力しているとは。

 

「………それでアクセル隊長は今後どうするのですか?」

 

ラミアが俺を警戒するように問いかけてきた。

コイツは今でも俺が戦争が日常の世界を求めていると考えているのだろう。

 

「心配せずとも、俺達は負けたんだ。今更否定された世界を目指そうとはせんさ。これがな」

 

「ッ!?」

 

俺の言葉にラミアは驚いた表情を浮かべる。

 

「それではどうなさるおつもりで?」

 

再び問いかけてくる。

 

「俺に出来るのは戦う事だけだ。話を聞く限り、そのジェイとやらに付き合ってやれば退屈はしなさそうだ」

 

「それは………GGGに所属すると………?」

 

「勘違いするな。俺は自分の好きなようにやらせてもらう。誰の指図も受ける気は無い。ある程度方針に則ってやる程度だ」

 

「クスクス………随分と丸くなったわねアクセル」

 

レモンが笑い声を零す。

 

「さてな。負けた事で色々と吹っ切れたのかもしれん」

 

「少なくとも、敵対する気は無いと考えて宜しかったりしちゃいますので?」

 

「………………ああ」

 

コイツの言語機能の障害はまだ直ってないのか?

以前よりかはマシのようだが。

 

「了解しました、アクセル隊長」

 

「ところで現状は如何なっている?」

 

ずっと眠っていた所為か、身体が訛っているのを感じる。

出来れば身体を動かしたいところだ。

 

「現状はこの世界のファウンデーションと呼ばれる国の上層部が、全世界へ向けて降伏勧告に等しい宣言をしています」

 

ラミアの話を聞くに、この世界は遺伝子操作で生み出された人類であるコーディネイターと、そうでない人類であるナチュラルの対立により戦争や小競り合いが起こっている世界なのだそうだ。

そして現在、コーディネイターより更に優れた種として生み出されたアコードを有するファウンデーションという国………というよりその国の女王がデスティニープランとやらで世界を征服しようとしているらしい。

 

「くだらん。何が遺伝子で全てを決める世界だ。挑戦することも許されん世界など、それこそ俺達が嘆いた『緩やかな腐敗を齎す平和』ではないか」

 

キョウスケ・ナンブ達も平和を求めていたが、それは自分達で勝ち取る平和であり、可能性を秘めた平和だ。

 

「………レモン、ソウルゲインは出せるか?」

 

「修復は終わってるけど………出撃するの?」

 

「リハビリには丁度いい………それに、ファウンデーションとやらは気に食わん」

 

俺は立ち上がる。

俺の新しい戦いの為に。

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

 

ミレニアムが戦闘を開始し、しばらく経った頃、俺は戦況を観察していた。

理由は、オーブにレクイエムが撃たれる可能性を考慮しての事だ。

オーブが撃たれてしまえば勝負が決してしまう。

その為にミレニアムを直接援護せず、こうして戦況を伺っているわけだが、

 

『ゲツメンニ高えねるぎーハンノウ』

 

「来るか!」

 

俺はESミサイルを撃てる準備をする。

だがその時、レクイエム発射口付近に突如として金色のMS、アカツキが出現。

追加装備されていた巨大なレール砲をぶっ放すと第一中継点を破壊。

更に追加装備をパージすると、放たれたレクイエムを受け止め、弾き、跳ね返し始めた。

 

「おおう………マジでレクイエム跳ね返したよ」

 

乱反射したビームで周辺の護衛艦も壊滅状態だ。

まあ、限界ギリギリだったようで金色のアカツキの装甲の所々が赤熱化して融解しているが。

アカツキ1機作るのにアストレイ20機分のコストがかかるそうだが、逆に考えればアストレイ20機分のコストでレクイエム防げるってコスパ良すぎね?

実際にレクイエムの前にアストレイ20機並べても一瞬で蒸発する未来しか見えないし。

 

「トモロ。ボルフォッグをアカツキの護衛に回してくれ」

 

『リョウカイ』

 

とはいえ、あの状況で敵陣ど真ん中に居るのは危険だろう。

ボルフォッグをアカツキの護衛に就かせるように指示をしておく。

 

「さて、あいつらの方はどうなっているかな?」

 

 

 

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

 

 

敵艦を次々と沈めていくミレニアムと、そのミレニアムを護るデスティニー、レジェンド、インパルス、ゲルググの4機。

そこへ、4機のブラックナイトスコードが接近して来た。

 

「ブラックナイツが来るよ!」

 

ヒルダが注意を促す。

 

「ビームは通じない! 2人は援護してくれ!」

 

ハイネがそう言いながらデスティニーのアロンダイトを抜き放つ。

すると、ブラストインパルスが周辺の敵機をビーム砲とレール砲、ミサイルで一掃すると、

 

「対艦刀はこっちにもあるわ! 私だって!」

 

ルナマリアはブラストシルエットを切り離すと、随伴していたソードシルエットに換装。

インパルスのボディが赤く染まり、2本の対艦刀エクスカリバーを連結して構える。

 

『ほんっと学習しねえ馬鹿! お前ら俺達には勝てねえんだよ!!』

 

『また墜としてあげる! キャハハハハハハ!!』

 

馬鹿にする言葉を吐くグリフィンと高笑いを上げるリデラード。

高速ですれ違うデスティニーと4機のブラックナイトスコード。

一方、ルナマリアの前には見覚えのあるMSが居た。

それはアグネスのギャンシュトローム。

 

「アグネス!? 何で!?」

 

『インパルス!? ルナマリア!?』

 

ルナマリアはレイ達が合流した時に姿が無かったので心配していたのだ。

 

「アグネス! 生きてたのね!」

 

ルナマリアは嬉しそうな声を漏らすが、

 

『シュラだけが私の価値を分かってくれた!』

 

アグネスはそう叫ぶと胸部のビームガトリングを乱射。

ルナマリアは咄嗟にシールドで防ぐと、

 

「利用されてるだけよ! わかんないの!?」

 

『アンタだってコーディネイターでしょ!? 何でそっちの味方するの!? 戻ってきた馬鹿な男の所為で頭煮えちゃったの!?』

 

「ハァ!? 何でシンが出てくるの!? アンタこそ、隊長に相手にされないからって……」

 

『黙れぇぇぇぇぇぇっ!!』

 

ルナマリアの言葉にアグネスは激高し、ヒートロッドで攻撃、インパルスの対艦刀を弾き飛ばす。

しかし、ルナマリアはお返しとばかりにビームブーメランを投擲。

ヒートロッドとビームアックスを切断する。

一方、ハイネとレイは4機のブラックナイトスコードに苦戦していた。

ハイネのデスティニーがアロンダイトを振り下ろすが、あっさりと回避され、背後からの攻撃をギリギリ回避する。

 

「くっ………!」

 

声を漏らすハイネ。

 

「こいつっ………!」

 

レイはドラグーンを射出。

四方八方からビームの雨を降らせるが、ビーム無効のフェムテク装甲を持つブラックナイツは避けようともせずにビームを受ける。

勿論効果は無いが、それは唯の目晦まし。

 

「ッ!」

 

レイはブラックナイツの背後に回り込ませたビームスパイクを持つ本命のドラグーンで攻撃を仕掛ける。

だが、

 

『見えていますよ』

 

リューが振り向きもせずにそのビームスパイクを躱し、逆にビームライフルで破壊する。

 

「チィッ………!」

 

レイは舌打ちする。

 

「くそっ! コイツはマジでアスランの言ってたことが当たりっぽいぜ!」

 

ハイネが愚痴る。

 

「奴らは俺達の心を読んでいるというのか………!」

 

デスティニーとレジェンドが背中合わせになりながらハイネとレイが言葉を交わす。

心を読む相手に苦戦は必至だった。

 

 

 

レクイエム周辺では、オーブ軍がレクイエム攻略の為に攻撃をしていたが、プラントでクーデターを起こしたジャガンナート中佐が率いるザフト軍の攻撃により、苦戦を強いられてた。

そこへミーティアを装備したデュエルブリッツのイザーク・ジュールとライトニングバスターのディアッカ・エルスマンが戦闘停止を呼びかける。

しかし、ジャガンナートは聞き入れようとせず攻撃を続行。

 

「ジャガンナート中佐! 反逆罪に問われたいか!?」

 

イザークが警告するが、

 

『反逆ではない! 我らこそが、プラントの未来を担うものだ!!』

 

ジャガンナートはそう叫んで聞き入れようとしない。

だが、その時だった。

 

『わたくしはラクス・クラインです』

 

突如として全周波数で放送が流れた。

救出されたラクスがミレニアムで緊急放送をしているのだ。

 

『たった今、ファウンデーションによる監禁を逃れ、皆さんにお話ししています。まず、わたくしはファウンデーションの見解には一切賛同しておりません。彼らの提案する公正で平等な社会とは、デスティニープランによる統治であり、かつて申し上げた通り、わたくしがそれを受け入れることはありません。失敗も、変化も、夢も、全てが許されない世界………人の価値を遺伝子で決める社会………わたくしは、自分の価値を他人に委ねはしません。ましてそれを、暴力や恐怖で人に強制するなど、決して許される事では無いのです! どんな命にも、自らの運命を決める自由があります。わたくしも、そのために戦います! あなたを愛しても居ないものに、決してあなたの価値を決めさせてはいけません!』

 

ラクスの演説最中、ファウンデーションの旗艦グルヴェイグでは、ラクスを逃がすという失態を犯したイングリットをオルフェが罵倒していた。

 

「役目を果たせなければ、我らに生きる意味はない!!」

 

そう言い放つオルフェ。

ラクスの演説により、分が悪くなってきているのも分かってきていた。

その焦りもあるのだろう。

だがその時、ミレニアムの近くに空間の揺らぎが発生した。

この世界の者達は知らないが、デフォールドの兆候である。

そこから現れるのは、金色の戦艦マクロス・ブレイバー。

 

「マクロス………ブレイバー…………!?」

 

ミレニアムでそれを目撃したマリューが驚愕しながら呟く。

次の瞬間、

 

『私は、元プラント評議会議長、ギルバート・デュランダルです』

 

全周波数で放送が発信された。

その映像に映ったのは間違いなく前大戦の折にプラントの評議会議長だったギルバート・デュランダル。

 

「ギルッ!?」

 

その放送にレイが驚きの声を上げ、

 

「おおっ! ギルバート!」

 

グルヴェイグではアウラが期待に満ちた声を上げた。

ギルバートはデスティニープランの提案者。

自分達を擁護してくれると思ったのだろう。

そして、

 

『表舞台を退いた私が、こうして皆様の前に再び姿を現した事、驚く方々も多い事でしょう。しかし、今回の事案。デスティニープランを提唱した者として、申し上げなければならない事があり、こうして皆様の前に姿を現させていただきました』

 

「デュランダル議長…………」

 

ズゴックのコクピットの中で、アスランは危機感を感じていた。

議長の座を追われたとはいえ、彼の影響力は無視できない。

ここでファウンデーションを擁護されれば、ラクスの言葉によって取り戻した評価が覆される可能性もあり得る。

すると、モニターのギルバートが口を開いた。

 

『まず、最初に言っておきます………………私はファウンデーションの見解には……………賛同()()()()()()!』

 

「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」

 

その言葉に放送を聞いていた者達全てが驚いた。

 

「な、何じゃと!?」

 

特にてっきり擁護してくれるものばかりと思っていたアウラの驚愕は一入だった。

 

『デスティニープランを提唱した私が、デスティニープランを推し進めようとするファウンデーションに賛同しない事に、不思議に思う方もいる事でしょう…………その答えは簡単です。何故なら、私が提唱したデスティニープランと、彼らの言うデスティニープランは似て非なるものだからです!』

 

ギルバートがそう言い放つ。

 

「似て非なるもの……………」

 

アスランが呟く。

 

『私が目指したデスティニープランは、自分の役目を享受することで全ての人々が幸せになるという目的の元、提唱しました。それぞれの役目に違いはあれど、そこに上下関係は無く、また、私自身もその役目に従い、自分の運命を享受するつもりでした………ですが、彼らの言うデスティニープランは違います。彼らは言いました。自分達は究極のコーディネイター、アコードであると。即ちそれは、遺伝子的に全ての人間より優れていることになり、全ての人々の上に立つ存在という事になります。そして、そのアコード達を生み出した母たる存在であるアウラ・マハ・ハイバルが世界の頂点に立つ…………即ち、アウラが世界の実質的な支配者となり、全てを意のままに出来る存在となるのです! それは平和などではありません。世界征服なのです! 世界の皆さま………そしてコーディネイターの皆さま………彼らの甘言に騙されてはいけません! 彼らはナチュラルを下等な旧人類と評しましたが、彼らから見れば、我々コーディネイターもまた同じ旧人類であるという事を忘れてはならないのです! そのような輩に、私のデスティニープランを利用されることは我慢なりません! 勘違いしない様に言っておきますが、私は自分のデスティニープランを蒸し返そうとは思っておりません。私のデスティニープランは既に世界の人々によって否定されました。私はそれを受け入れ表舞台から退いたのです。しかし、私のデスティニープランが利用され、世界を再び混迷に陥れるのは忍びありません。故に再びこうして皆様の前に姿を現したのです。もう一度言います。世界の皆様、彼らの甘言に騙されてはいけません。彼らの目的は世界征服と同義であり、その先に平和などは無いのです! 私の申し上げたいことは以上です。あとは、それぞれ個人の判断に委ねます。どうか、よく考えた上で、自分の意志で運命を選ぶことを望みます…………』

 

ギルバートがそう言い終えると、放送が終わった。

 

「デュランダル議長…………」

 

思わぬ後押しに、ラクスは声を漏らした。

 

 

 

 

 

一方、演説を終えたギルバートは、

 

「…………これで良かったのかね? シン」

 

マクロス・ブレイバーの席に座っていたギルバートが問いかけた。

 

『はい、ありがとうございます。デュランダル議長!』

 

通信でパイロットスーツを身にまとったシンがそう返した。

 

()議長だよ、シン」

 

訂正するギルバート。

その言葉にシンは笑みを浮かべると、

 

『後は俺達の仕事だ! シン・アスカ! デスティニー! 行きます!!』

 

その言葉と共に、マクロス・ブレイバーのカタパルトからデスティニーが飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、レクイエムの破壊へ向かっていたキラのストライクフリーダムは、シュラのブラックナイトスコード シヴァに苦戦。

足止めされていた。

1対1なら何とかしのいでいたが、そこへオルフェとイングリットのブラックナイトスコード カルラが合流。

2機の連携と、ジグラートと呼ばれるイングリットに遠隔操作される3隻の戦艦型の大型ドラグーンの支援攻撃により、徐々に追い詰められていくキラ。

そして、それはルナマリア達も同じであった。

ブラストインパルスでの無人機の掃討に続き、アグネスのギャンとの戦闘を継続したため、遂にエネルギー切れとなり、フェイズシフトダウンを起こすインパルス。

 

「ッ!? ハイネ! レイ!」

 

ルナマリアはエネルギー補給を受ける為にハイネとレイに呼び掛けつつ、ソードシルエットをパージし、最後のフォースシルエットに換装して残りのエネルギーで彼らのいる場所へと向かう。

しかしそこで見たものは、

 

「そ、そんなっ………!?」

 

両腕を失ったハイネのデスティニーと、左腕と右足、更にすべてのドラグーンを破壊されたレイのレジェンド。

そして、その2機を取り囲む4機のブラックナイトスコードの姿だった。

 

『よく頑張った方ですが………ここまでですね』

 

リューが褒めるようで見下す発言をし、

 

『デスティニーなんて両腕破壊されたら何も出来ねーし』

 

ダニエルが当然の結果だと言わんばかりにダルそうに口にする。

 

『旧式のMSで俺達に挑むなんて舐めプしてる奴らに、俺達が負けるわけねーだろ!?』

 

グリフィンが完全に馬鹿にした発言でこき下ろす。

 

『ま、当然の結果ね。キャハハハハハハハ!!』

 

楽しそうに高笑いするリデラード。

どちらも満身創痍であり、とてもではないがエネルギー補給を受けられる状況ではない。

すると、

 

「当てが外れて残念だったわね」

 

追いついてきたアグネスが言った。

 

「アグネスッ!」

 

ルナマリアが叫ぶ。

 

「終わりよルナマリア!!」

 

アグネスは叫ぶと、シールドを回転させながらビームサーベルを発生させ、インパルスを切り刻まんと振り被った。

 

「ッ…………………!?」

 

死を目前にルナマリアの脳裏に走馬灯が過る。

家族の事、妹のメイリンの事、アカデミーでの出来事、ミネルバでの戦い、仲間達との思い出。

だが、その中で一番強く心に残っていたのは……………

 

「…………………シン…………!」

 

シンとの思い出だった。

アカデミーで出会った時。

余り成績は良くなかったが、努力して赤服を貰えるほどに強くなった彼。

ミネルバで共に戦った日々。

シンとの思い出が、ルナマリアの心に強く残っていた。

だが、シンはステラを選んだ。

ステラの為に必死になる姿は今でも鮮明に思い出すことが出来る。

ルナマリアは自分の気持ちに気付かないままに自分の心に蓋をした。

 

(………………ステラは、いいなぁ……………)

 

ルナマリアは内心そう零した。

そこで気付く。

 

(ああ、そっか…………私、本当はシンの事……………)

 

シールドを振り被ったギャンが迫る。

 

「………………シン……………!」

 

ルナマリアは一筋の涙を零した。

最後に自分の気持ちに気付くことが出来た喜び。

自分を選んでもらえなかった悔しさ。

ステラと違い、自分は助けてもらえない悲しみ。

色んな気持ちが混ざった涙だった。

目を伏せるルナマリア。

そして、回転するビームサーベル付きのシールドがインパルスを切り裂かんとしたその瞬間、

 

『ッ!?』

 

突如としてギャンの目の前を緑色のビームが通過した。

咄嗟に退避するアグネス。

 

『何っ!?』

 

アグネスが上を向くと、

 

「ルナァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

青を基調としたデスティニーが一直線に向かってきた。

 

『なっ!?』

 

アグネスがその事に驚く間もなく、デスティニーがギャンに蹴りを入れて吹き飛ばした。

 

『きゃぁあああああああああああっ!?』

 

悲鳴を上げるアグネス。

 

「ッ!?」

 

その悲鳴にハッと目を開けるルナマリア。

 

「ルナッ! 無事か!?」

 

インパルスにデスティニーを寄せ、呼び掛けるシン。

 

「シ………シン…………?」

 

呆然と目の前の存在に問いかけるルナマリア。

 

「遅くなってすまない。けど、間に合って良かった」

 

ホッと息を吐くシン。

 

「シン………本当に………本当にシン………?」

 

「どうしたんだよ? 他の誰に見えるっていうんだ?」

 

ルナマリアの言葉に問い返すシン。

すると、シンはインパルスがフェイズシフトダウンを起こしていること気付き、

 

「っと、エネルギー切れか………それなら、デュートリオンビーム、照射!」

 

デスティニーの額からエネルギー供給の為のビームが照射され、インパルスの額に当たるとインパルスのエネルギーゲージが急速に回復していく。

それどころか、エネルギーゲージが満タンになり、緑色の輝きを放った。

 

「な、何!? エネルギーゲージが!?」

 

それに伴い、インパルスもその色を取り戻していく。

しかし、フォースインパルスの青いはずの部分が澄んだ翠に輝いている。

ルナマリアがその事に驚いていると、

 

「ステラ! ルナを頼むぞ!」

 

「わかった!」

 

いつの間にか近くに来ていたガイアからそう返事が来る。

するとシンは、インパルスから離れるとレイ達の方へ向かう。

 

「あっ、シン!」

 

ルナは何処か名残惜しそうな声でシンを呼んだ。

だが、

 

「ルナマリア! 気を引き締めて!」

 

ステラから注意を受けた。

すると、

 

『くっ………あの山猿! よくもやってくれたわね!!』

 

顔を真っ赤にして怒りを露にするアグネスが叫んだ。

 

「シンの邪魔はさせない!」

 

ギャンの前に立ちはだかるガイア。

 

『ガイア!? そんな旧式のMSで私の前に立ちはだかろうって言うの!?』

 

「…………………」

 

『私の邪魔をするっていうならアンタも!』

 

ギャンがガイアに向かって突撃する。

シールド同士をぶつけ合うガイアとギャン。

 

『こっちは最新型よ! 旧式のMSなんかに!!』

 

アグネスはパワーでねじ伏せようと出力のスロットルを最大にする。

しかし、

 

「……………押せ! ガイア!!」

 

ステラが叫ぶとガイアの出力が上昇。

ギャンを一方的に押し始める。

 

『嘘ッ!? 力負け!? 旧式のMSなんかにッ!?』

 

驚愕するアグネス。

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

そのまま突き飛ばされるギャン。

 

『くっ! よくもぉおおおおおおおおっ!!』

 

アグネスは悔しそうな声を上げると、再びガイアへ向かって行った。

 

 

 

 

シンはレイとハイネの救援に向かう。

ブラックナイツたちは、今にも2人に止めを刺そうとしていた。

 

「させるかぁあああああああっ!!」

 

シンはビームライフルを放つと、リューのブラックナイトスコードに直撃した。

 

『むっ!?』

 

ダメージは無かったものの、突如攻撃を受けたリューはそちらを振り向く。

すると、そこにはこちらへ向かってくる青を基調としたデスティニーの姿。

 

『デスティニーがもう1機………?』

 

ダニエルがダルそうに呟く。

 

『あの色はもしや………パイロットはシン・アスカですか』

 

そのままレジェンドとハイネのデスティニーの前に辿り着くシンのデスティニー。

 

「シンッ!?」

 

「お前っ!?」

 

レイとハイネが驚いた声を上げた。

 

「大丈夫か!? 2人とも!」

 

声を掛けるシン。

 

「お前………何で…………」

 

ハイネが問いかけると、

 

「俺やジェイさん達にも、我慢の限界はあるって事さ」

 

シンはそう言うと、

 

「あとは任せろ!」

 

シンはデスティニーをブラックナイツに向かわせる。

 

『旧式のMSで俺達に挑むなんて舐めプする馬鹿がまた居たなんてな』

 

グリフィンが思いきり見下す発言をする。

 

『さっきと同じだし。両腕破壊すれば何も出来ねーし』

 

ダニエルが相変わらずダルそうに言った。

 

『所詮は旧式、しかも1機です。さっさと仕留めますよ』

 

『身の程を思い知るがいいわ! キャハハハッ!!』

 

リューとリデラードがそう言う。

 

「……………」

 

すると、シンはアロンダイトを抜いて、刀身を垂直に構え、柄を顔の横に持ってきて両手で握る。

 

『何棒立ちしてやがる!』

 

グリフィンが叫びながらビームライフルを放った。

しかし、シンは動く様子を見せない。

 

「シンッ!?」

 

レイが声を上げる。

ビームはそのまま吸い込まれるようにデスティニーに直撃し…………弾かれた。

 

『何っ!?』

 

グリフィンが驚いた声を上げる。

 

『ビームを弾いた?』

 

リューが声を漏らしながら2発3発とビームを撃ち込むが、その全ては弾かれる。

これはデスティニーに新たに備わったビームコーティングのお陰だ。

キョウスケ達の世界では、ビームコーティングをぶち抜くビーム兵器もそれなりに存在するが、その世界よりも技術レベルが低いこの世界のビーム兵器では、最新型とはいえMSが持つ兵装ではビームコーティングを貫く事は出来ない。

 

『多少はパワーアップしているようですね。ですが、ビームが効かなければ直接叩き切るだけです!』

 

ブラックナイツ達は、対艦刀を小型化したような近接武器、対モビルスーツ重斬刀を装備すると、デスティニーをかく乱するように周囲を飛び回る。

そして、四方から同時に飛び掛かった。

勿論、反撃に対応するためにシンの心を読みながら。

そして、4機のブラックナイトスコードが、デスティニーの射程に入った瞬間、シンは目を見開く。

同時にシンの中で『種』が弾ける。

次の瞬間、心を読んでいたブラックナイツ達が読み取ったイメージは、

 

『『『『!?』』』』

 

一刀の下に自分達の機体が両断されているイメージだった。

その直後、

 

「チェストォオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

シンの気合の入った叫びと共に一振りされるアロンダイト。

次の瞬間、リューの機体は右肘から切り落とされ、ダニエルの機体は左足を、グリフィンの機体はビームライフルを切り裂かれ、リデラードの機体はシールドを両断されていた。

 

『『『『ッ!?』』』』

 

一撃で4機同時に損傷を受けたブラックナイツは驚愕に包まれる。

直前に読み取ったイメージで致命的損傷は回避したが、攻撃は避けきれなかったのだ。

 

『な、何だコイツ…………!』

 

グリフィンが思わず声を漏らした。

 

「シン……お前………」

 

「俺達が一撃も当てることが出来なかった奴らに………」

 

レイとハイネが声を漏らす。

 

『くっ! どうやらまともにやり合うのは得策ではないようです』

 

リューがそう言うと、

 

『けどどーすんのよ? ビームライフルは効かないみたいだし』

 

リデラードがそう言うと、

 

『確かに奴にはビームは効かないようです。ですが、それ以外は如何でしょう?』

 

リューは左手でビームライフルを構えると狙いを定める。

しかし、その狙いはシンのデスティニーではなく、

 

「ッ!」

 

その直前にシンは狙いに気付き、機体を動かすとレジェンドとハイネのデスティニーの前に立ちふさがった。

リューがビームを放ち、シンはビームシールドで受け止める。

 

「コイツ………動けないレイとハイネを………!」

 

シンはリューのブラックナイトスコードを睨みつけるが、

 

『ああ! そう言う事!』

 

やる事が分かったと言わんばかりにリデラードが嬉々としてビームライフルを放つ。

 

「チィッ!」

 

ダニエルも便乗してビームを撃ってくる。

 

「こいつら………!」

 

シンは歯を食いしばる。

 

『ほらほら如何した? しっかり守らねえとお仲間がくたばっちまうぜ?』

 

ライフルを破壊されたグリフィンは重斬刀で斬りかかってくる。

 

「させるか!」

 

シンは持っていたアロンダイトで重斬刀を受け止める。

そのままグリフィンのブラックナイトスコードを押し返した。

その時、

 

「シン! 俺達の事はいい! 奴らを倒すんだ!」

 

レイが叫ぶ。

 

「そんな事できるか!」

 

シンは即座に否定するが、

 

「このままではオーブが撃たれるぞ!」

 

レイは更に叫んだ。

 

「時間を掛ければ第一中継点が復活してしまう。そうなったら狙われるのはオーブだ!」

 

その言葉に、

 

『その通りです。友を犠牲に我々と戦うか、故郷を犠牲に友を護るか………究極の選択ですね?』

 

リューは楽しむような口調でそう言う。

 

「……………………」

 

シンは無言で攻撃に耐える。

 

「シン!」

 

レイは戦うよう促すために呼び掛ける。

 

『さあどうします!?』

 

リューの言葉に、

 

「…………俺の選択は決まっている」

 

シンが口を開くと、

 

「両方護るさ!」

 

シンの口から出てきたその言葉に、

 

『つまらない答えですね!』

 

『ありきたりすぎる』

 

『出来るもんならやってみやがれ!』

 

『1人で何が出来るって言うのよ!?』

 

ブラックナイツ達はそれぞれが声を上げながら攻撃を続ける。

だが、

 

「俺は……………1人じゃない!!」

 

シンが叫んだ瞬間、突如として赤いビームが飛来。

リデラードの機体に直撃した。

 

『きゃぁあああああああああああっ!?』

 

機体自体にはダメージは無かったものの、衝撃で吹き飛ばされるリデラード。

 

『リデル!? 何が!?』

 

リューが振り返ると、こちらに向かってくる4つの機影。

それは、

 

「はいはーい! 4対1は卑怯じゃないかしら~?」

 

そう言ってきたのは、堕天使の様な機体、ライン・ヴァイスリッターに乗るエクセレン。

さらにキョウスケのアルトアイゼン・リーゼ、アルトのYF-29も続く。

 

「エクセレン! 皆!」

 

シンは救援に駆け付けた仲間達に向かって叫ぶ。

 

「これで4対4よ。フェアに行きましょう!」

 

エクセレンはお気楽そうにそう言う。

 

『チッ! 仲間が他に居たのか………』

 

舌打ちするグリフィン。

 

「貴様らの行いは見るに堪えん………!」

 

静かに、だが確かな熱を持ってキョウスケが呟き、ジャキンとリボルビング・バンカーに弾薬を装填する。

 

「何が遺伝子に決められた役目だ!? 運命だ!? そんなもん、知るかよ!」

 

アルトもデスティニープランの在り方に思う所があるのかそう吐き捨てる。

 

『いいわよ! やってやろうじゃない!』

 

リデラードがそう言うと、

 

『行きますよ!』

 

リューの言葉で戦闘が再開された。

 

『墜ちちゃえ!』

 

リデラードがビームライフルでライン・ヴァイスリッターを狙う。

だが、その姿が一瞬で掻き消えた。

 

『消えたッ!?』

 

リデラードが声を上げると、

 

「は~い! こっちこっち!」

 

ライン・ヴァイスリッターは後ろに回り込んでおり、ハウリング・ランチャーを構えると赤いビームが放たれ背部に直撃。

勢いに吹き飛ばされる。

 

『このっ! 嘗めんじゃないわよ!』

 

リデラードが心を読みながらライフルを連射するが、

 

「ほ~ら! 鬼さんこちら~!」

 

ライン・ヴァイスリッターは消えると錯覚するほどの高速移動を繰り返して掠りもしない。

 

 

ダニエルはアルトアイゼン・リーゼと相対していた。

 

『…………………!』

 

ダニエルは心を読む能力を発動させたが、キョウスケから読み取ったイメージは、アルトアイゼン・リーゼが真っ直ぐに突っ込んできて右腕の武器を突き立てるものだった。

 

『……………バカだコイツ』

 

ダニエルは思わず呟く。

フェイントも何もなく、唯真っ直ぐに突っ込んでくるだけ。

そんな戦術でアコードである自分に挑もうなどとは正気の沙汰とは思えない。

しかも、その右腕に装備されているのはどう見ても杭打ち機。

 

『そんな古臭い武装で何が出来……………』

 

ダニエルがバカにしたように言葉を続けようとした時、アルトアイゼン・リーゼの背部スラスターが展開。

 

「ブーストッ!!」

 

そのスラスターが火を噴いた瞬間、アルトアイゼン・リーゼはダニエルのブラックナイトスコードの目の前に居た。

 

『えっ………? は、はやっ!?』

 

ダニエルの失策はアルトアイゼン・リーゼの加速力を甘く見た事だろう。

 

「多少古臭い武装だが、威力は関係ない!」

 

振り被られていた右腕が繰り出される。

 

『うああっ!?』

 

ダニエルは反射的に機体を動かす。

胴体を狙っていた一撃は狙いがそれ、ブラックナイトスコードの右肩に突き刺さる。

それどころか、その勢いによって右腕が肩から捥ぎ取られ、ブラックナイトスコードは吹き飛ばされる。

その直後、リボルビング・バンカーの撃鉄が落ち、バンカーに衝撃が伝わり、捥ぎ取った右腕が粉微塵に吹き飛んだ。

 

『何なんだよその武器!?』

 

余りの威力にダニエルは悲鳴のような声を上げた。

 

 

リューは向かってくるYF-29に狙いを定める。

 

『チッ! 戦闘機如きで我々に歯向かおうなどと!』

 

引き金を引いてビームが発射されるが、高速で飛び回るYF-29には掠りもしない。

 

「そうやって他を見下してばかりで……! 何様のつもりだっ!!」

 

高速移動中のYF-29がガウォークモードに変形して急制動。

ビームガンポッド叩きこむ。

そのビームはフェムテク装甲によって無効化されてしまうが、

 

『くっ……! 我々は究極のコーディネイター、アコード! 人を導くために生み出された存在! 我々が旧人類よりも優れているのは事実! 自分より劣っている者を見下して何が悪い!?』

 

リューは叫びながら反撃するものの、YF-29の動きを捉え切れない。

 

「その考えが、驕りだって言ってるんだよ!!」

 

アルトは十数発のマイクロミサイルを発射。

 

『くぉぉぉぉぉっ!?』

 

リューは迎撃や回避しようとするが、片腕を失っている状態では対処が追い付かず、何発か被弾する。

 

『おのれぇぇぇぇぇっ!!』

 

機体にダメージはあるが、致命的ではなかったために再び反撃の為のビームを放つリューだった。

 

 

「よくも好き勝手やってくれたな! お返しさせてもらうぞ!!」

 

シンはアロンダイトを構え、グリフィンのブラックナイトスコードに斬りかかる。

 

『腰巾着の分際でほざくな!』

 

グリフィンは心を読む能力を発動させながら重斬刀を手にデスティニーの一撃を躱す。

そしてその隙だらけの背に重斬刀を叩きこもうとした。

心を読む能力でもシンの思考に回避の考えは無い。

グリフィンは貰ったと内心嘲笑いながら重斬刀を振り下ろしたが、その一撃は空を切った。

 

『馬鹿なっ!?』

 

デスティニーは急制動で背後に飛びのいており、同時に左腕を振り被っていた。

 

『思考が見えない!?』 

 

グリフィンが驚愕の声を漏らすと同時に、繰り出された左腕がブラックナイトスコードの左肘を掴み、パルマフィオキーナで爆破される。

 

『コイツ考えていないとでもいうのか!?』

 

手痛い反撃を受け、驚愕の声を上げるグリフィン。

 

 

 

一方、月面でキラのストライクフリーダムを追い詰めていたシュラとオルフェだったが、

 

『むっ………!』

 

シュラが何かに気付く。

それは、他のブラックナイツと戦っている青を基調としたデスティニー。

 

『あの機体は!?』

 

シュラはその機体がシンの乗機である事を過去のデータから知っていた。

そして、先日の手合わせでシンから受けた屈辱が蘇る。

 

『ッ………………! シン・アスカァァァァァァァァッ!!!』

 

シュラは叫びながらキラのストライクフリーダムを無視してデスティニーの方へ向かって行ってしまう。

 

『シュラ!? どこへ行く!?』

 

突然のシュラの行動にオルフェが声を上げる。

 

「ッ!?」

 

その事にキラも驚いた。

 

『ッ……! まあいい。ストライクフリーダムも満身創痍。ここは私だけで十分だ!』

 

オルフェは気を取り直し、ストライクフリーダムへの攻撃を再開する。

ドラグーン・システム『サハスラブジャ』を射出し、キラを追い詰めていき、

 

「ッ!?」

 

背後からジグラートの無数のミサイルが襲い掛かった。

 

「くっ!」

 

ストライクフリーダムのエネルギーはフェイズシフトダウン寸前。

あれだけのミサイルを受ければ間違いなく耐えきれない。

だがその時、

 

「キラァァァァァァァッ!!」

 

アスランのズゴックが叫びながら駆け付ける。

ズゴックがストライクフリーダムの前に立ちふさがり、ミサイルからの盾となった。

しかし、無数のミサイルを受け、装甲が罅割れていくズゴック。

 

「アスランッ!?」

 

「ッ!」

 

そしてついにズゴックが爆発に呑まれた。

だが、その爆煙の中から何かが飛び出してきた。

それは、寸胴なズゴックとは違い、スマートな体躯のMS。

キャバリア―から射出されたリフターを背部に装着し、ディアクティブモードだったグレーの装甲が赤く染まっていく。

その姿は、まさしくジャスティス。

ズゴックは、この姿を隠すための偽装でもあった。

こちらが本来の姿、インフィニットジャスティス弐式である。

アスランはビームサーベルを抜くと、ブラックナイトスコード カルラに斬りかかった。

 

『何っ!?』

 

「大丈夫か!?  キラ!」

 

「アスラン!」

 

アスランが無事だったことにホッとするキラだったが、

 

『キラッ!』

 

入ってきた通信の声に思わず驚く。

 

「ラクス!?」

 

その相手はラクスだった。

ラクスは、『プラウドディフェンダー』と呼ばれる、フリーダム用の追加ウイング兵装に乗って戦場に乗り込んできたのだ。

 

『ドッキングを!』

 

「ッ!」

 

その言葉に、キラはストライクフリーダムを飛び立たせる。

 

『先にフリーダムを仕留める! フリーダムに全火力を叩き込め!』

 

オルフェは同乗しているイングリットにそう命令すると、イングリットは3機のジグラートを遠隔操作。

ミサイルとビーム砲の一斉射撃を放った。

だがその直前、ストライクフリーダムは背部のウイングをパージすると、ラクスの乗ってきたプラウドディフェンダーが接近してきて、

 

『エンゲージ!』

 

その背部にドッキングした。

そのすぐ後にビームとミサイルの嵐がストライクフリーダムに殺到。

その姿を爆発に包み込む。

 

『フッ!』

 

オルフェは仕留めたと笑みを浮かべたが、

 

『………何っ!?』

 

すぐにその表情を驚きに変えた。

爆煙が薄らいでいくと、そこには新たなウイングを装備したストライクフリーダムの姿があった。

白と金色に、桃色の光のラインが走り、光の粒子を舞い散らせる新しいストライクフリーダムの翼。

新たな翼を手に入れた、『マイティストライクフリーダム』の姿だった。

ラクスがプラウドディフェンダーのコクピットからストライクフリーダムのコクピットに移る。

 

「ラクス……どうして?」

 

自分の膝に降りてきたラクスにキラは問いかける。

 

「わたくしの思いは、あなたと共に在ります。幾久しく、よろしくお願いします」

 

それがラクスの想い。

嘘偽りのない、ラクスの願いだった。

 

「………行くよ」

 

「はい!」

 

その想いを受け取ったキラが共に行く事を心に決める。

ラクスが複座に移ると、

 

『そうまでして私を拒むか………! ならばその愚鈍な愛と共に、消え去るがいい!!』

 

オルフェはサハスラブジャを射出すると同時にジグラートの一斉射撃を行う。

先にビームがマイティストライクフリーダムに殺到するが、翼から舞い散る粒子がバリアの様にビームを防ぎ、そのエネルギーを吸収する。

続いて無数のミサイルが殺到してくるが、

 

「ここはわたくしが!」

 

ラクスの中で『種』が弾け、アコードとしての能力も発現しているのか、無数のミサイルを全てロックオンすると、マイティストライクフリーダムの翼が放電を開始。

稲妻が戦場を駆け巡り、全てのミサイルを破壊するだけでは飽き足らず、オルフェが射出したサハスラブジャや、近くに居た艦も行動不能にして月面へと落とした。

 

『何だあの武器は!?』

 

見た事のない武器にオルフェが声を上げる。

すると、

 

「ディスラプターを使う。キラ・ヤマト准将! ディスラプター使用を申請!」

 

キラがそう宣言すると、

 

「総裁ラクス・クライン。ディスラプター使用を承認します」

 

ラクスの前に空間モニターが開き、承認ボタンを押した。

すると、マイティストライクフリーダムの額の中央が展開。

 

「ディスラプター起動! 出力80%!」

 

キラが狙いを3機のジグラートに定めると、その額から超極細のビームが照射される。

一見何のことは無いビーム攻撃に思えたのだが、それはまるで空間を断裂したかのようにジグラートを一閃。

刃物で切り裂いたかのように真っ二つとなった。

 

 

 

グリフィンと戦っていたシンだったが、

 

『シン・アスカァァァァァァァァッ!!』

 

そんな叫びと共にブラックナイトスコード シヴァが襲い掛かってきた。

 

「ッ!?」

 

『シュラ!?』

 

突如現れたシュラにグリフィンも驚愕する。

他のブラックナイツとは一線を画す動きでデスティニーを攻め立てるシュラ。

シンも負けじとアロンダイトで切り結ぶと、

 

『シン・アスカ! あの時の屈辱! 今ここで晴らす!!』

 

シュラが叫んだ。

 

「お前っ! あの時の騎士団長か!?」

 

シンも相手の正体を悟る。

 

『勝つことが俺に与えられた使命! それが俺の存在する意味だ!!』

 

その直後にシュラが飛び退くと、無数のミサイルがデスティニーに殺到する。

 

「ッ!?」

 

爆発に呑まれるデスティニー。

 

「シンッ!?」

 

「直撃だぞ!?」

 

レイとハイネが叫ぶ。

デスティニーは爆発に呑まれたが、

 

「でやぁあああああああっ!!」

 

デスティニーが爆煙の中から飛び出してきて、高エネルギー長距離ビーム砲を放った。

 

『くっ!』

 

咄嗟に躱すシュラ。

 

『やるな。そうでなければ面白くない………だが!』

 

いつの間にか周囲には無人機や戦艦が集まっていた。

これは、シュラが団長権限で生き残りを集めたものだ。

 

『これだけの戦力差は如何ともし難いだろう!?』

 

シュラがそう叫んだ瞬間、突如として戦艦の一隻が爆発。

轟沈した。

 

『何っ!?』

 

シュラが驚愕して振り向くと、沈みゆく戦艦の爆煙の中に浮かび上がる影。

それは、

 

「究極の人類とやらがどれほどのものかと思ったが………物量と自身の能力に長けただけの初見殺しか…………アコードとやらも大したことは無いな」

 

蒼き巨人、ソウルゲイン。

そしてそれを操るアクセル・アルマーであった。

 

「ソウルゲイン!? アクセルか!」

 

「目覚めたのか!?」

 

キョウスケとアルトが驚きの声を上げる。

 

『貴様! 何者だ!?』

 

「ふん。何者でもないさ。理想の世界を追い求め、それを否定されて負けただけの、唯の敗北者だ」

 

アクセルはそう答える。

 

「アクセル………!」

 

キョウスケは警戒の眼差しを向けるが、

 

「心配せずとも、貴様らと戦うつもりはない」

 

「ならば何故ここに来た?」

 

「自分の理想を否定され、俺は戦う意味を失った。だが、俺に出来るのは戦う事だけ…………ならば、戦いの中に身を置く貴様らに付き合うのも一興と思っただけだ」

 

「…………その言葉に偽りは無いな?」

 

キョウスケが問いかける。

 

「信用出来んのも無理はない………気に入らなければ撃って貰って構わん………とはいえ、その場合は避けさせて貰うがな」

 

アクセルはニヤリと笑ってそう言う。

 

「……………いいだろう、アクセル。ぬかるなよ」

 

「貴様もな」

 

キョウスケが共闘を了承し、アクセルも言い返した。

 

「わお! なんだか凄いことになってない!?」

 

エクセレンが楽しそうに言う。

するとその時、マクロス・ブレイバーの方からバラード系の音楽が響き出した。

 

『触れてても 冷たい指先 凍り付いた 月に照らされて♪』

 

『ひび割れた心が 燃え尽きる夜を抱くけど♪』

 

「シェリル! ランカ!」

 

2人の歌声が響く。

 

『何だこの歌は!? 神聖な戦いの最中に歌など歌いおって………!』

 

突然流れた歌にシュラは戸惑うが、

 

「玄武………金剛弾!!」

 

ソウルゲインが右腕を回転させ、射出。

その一撃は一直線に無人機のジンやディンを貫いていき、敵艦をも貫いて爆散させる。

 

「クレイモア! 抜けられると思うなよ!!」

 

アルトアイゼン・リーゼが両肩のコンテナを展開。

火薬入りチタン弾をバラまく。

 

『滅茶苦茶だぁ!?』

 

周囲の無人機と共に、アヴァランチ・クレイモアの巻き添えを食って損傷するダニエルのブラックナイトスコード。

 

「援護射撃! いっくわよ~!!」

 

ライン・ヴァイスリッターが分身するほどの高速移動を繰り返しながらハウリング・ランチャーのEモードを連射。

無数のビームに無人機は次々と貫かれ撃墜されていく。

 

「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」

 

アルトがYF-29ファイターモードで敵陣中央に飛び込むとバトロイドモードに変形。

視線で次々と敵機をロックオンしていくと、マイクロミサイルを展開。

一斉に発射して無数の敵機を同時に爆散させる。

 

『一瞬の彼方で♪』

 

『煌めいた想いが♪』

 

『『愛なら 幻にしてみせて♪』』

 

少し離れたところでは、アグネスのギャンとステラのガイア、ルナマリアのインパルスが戦闘を続けていた。

 

『何で!? 旧式のMSの癖に!』

 

アグネスが叫びながら胸部のビームガトリングを乱射する。

するとステラはガイアをMA形態に変形させた。

 

『馬鹿ね! 陸戦用のガイアを宇宙空間で変形させて如何するのよ!』

 

アグネスは勝機と言わんばかりにビームライフルでガイアを狙い撃った。

アグネスの知識では、足場があるのならともかく、何もない宇宙空間で変形させても動きが鈍くなるだけの筈だからだ。

だが、それはアグネスの知るガイアだった場合の話。

その直後、ガイアは何もない空間を蹴って駆け出した。

 

『なっ!?』

 

ガイアはまるでそこに足場がある様に自由自在に駆け回る。

 

『何で何もない宇宙空間で走り回れるのよ!?』

 

アグネスは訳が分からないと叫びながらビームガトリングを乱射するが、ガイアの動きに追いつけない。

 

『『放つ光 空に堕ちる 望むだけの 熱を捧げて 死に逝く星の 生んだ炎が 最後の夢に 灼かれているよ♪』』

 

その時、

 

「はぁあああああああああっ!!」

 

ルナマリアがインパルスのビームサーベルで斬りかかる。

 

『ルナマリア!』

 

ギャンもビームサーベルを抜いて対抗。

互いにシールドでサーベルを防ぎながら激突する。

先程までは拮抗か、ギャンがやや有利だったのだが、

 

『そんな!? さっきよりもインパルスのパワーが上がってる!?』

 

ギャンがインパルスに押され始める。

これは、デスティニーからエネルギー供給を受けた事による影響だった。

現在のデスティニーのエネルギー源はGストーン。

つまり、デスティニーのエネルギーはGパワーであり、それがデュートリオンビームによってインパルスへと渡された。

今のインパルスは、Gパワーによって出力が大幅に上がっているのだ。

 

「昔っから人の彼氏にちょっかいかけてたわよね、アンタ!」

 

『わるい!? 男ならみんな私の事好きなはずよ! 僻まないでよね!』

 

ルナマリアの言葉にアグネスが言い返す。

 

『アンタこそ何? 急にやる気出しちゃって! あの山猿に助けられて惚れちゃった? チョロい女ね!』

 

その言葉にカチンと来たルナマリアは、

 

「わるい!? 絶体絶命のピンチに気になってた男が助けてくれた! そんなの惚れるに決まってるじゃない!!」

 

まごうこと無き本音で言い返した。

 

『嘘っ!? マジで惚れちゃったの!? あんな山猿に!?』

 

「大きなお世話! あの状況で惚れなきゃそれこそ女じゃないわよ!」

 

ルナマリアは吹っ切れたように叫んだ。

すると、

 

『聞いた? ルナマリアってば、アンタの男に惚れちゃったらしいわよ?』

 

煽るような口調でステラに呼び掛けた。

ステラはガイアをMS形態に変形させて立ち止まる。

 

『気を付けなさい。きっとアンタの男を奪いに来るわよ』

 

ステラの不安を煽る様にそう続けた。

すると、

 

「ゴメン、ステラ…………誰にも言う気は無かったんだけど…………」

 

ルナマリアは誠心誠意心を込めて頭を下げた。

だが、

 

「………………謝らなくていいよ、ルナマリア」

 

ステラはそう言った。

 

「ステラ………でも………」

 

「シンはカッコいいから、ルナマリアが惚れちゃうのも当然だから」

 

「ステラ…………」

 

2人の間に優しい空気が流れる。

 

『何和やかに話してんのよ!? アンタ、自分の男が奪われるかもしれないのよ!? それでもいいの!?』

 

アグネスが叫ぶが、

 

「…………ルナマリアだったらいいよ」

 

「へっ!?」

 

『なっ!?』

 

ステラの言葉に素っ頓狂な声を漏らす2人。

 

「ルナマリアだったら、きっと一緒にシンを愛せるから…………」

 

「ちょ、何言ってるのステラ!?」

 

『一緒にって………そんな事できるわけ無いでしょ!?』

 

2人が叫ぶが、ステラは首を傾げ、

 

「? でも、ジェイやアルトは複数の女の子と付き合ってるよ?」

 

「『んなっ!?』」

 

ステラの爆弾発言に驚愕の声を漏らす2人。

同じ頃、ジェイアークの艦橋とYF-29のコクピットでその2人が盛大なくしゃみをしてたりする。

 

「ステラ! 普通は付き合えたり結婚できるのは1人だけなのよ!?」

 

ルナマリアが言い聞かせるようにそう言うが、

 

「でも、それはその世界の法律がそうなってるだけで、世界を渡り歩くジェイ達には当て嵌まらないってルネが言ってたよ?」

 

ステラも知識としては一夫一妻の法律を知ってはいるが、複数の恋人と付き合っているジェイとの付き合いも長い為に、1人の男が複数の恋人と付き合う事に嫌悪感は無いのだ。

 

「いや、それは…………」

 

最早この3人の間には、グダグダな空気が流れていた。

 

 

 

 

 

『降り積もる 罪は優しさに 棘は微笑(えみ)に 変えてゆけるなら♪』

 

『散る間際の花の 届かない叫びにも似た♪』

 

『祈りの儚さが♪』

 

『求める切なさが♪』

 

『『2人の 出会った時代(とき)を揺らす♪』』

 

圧倒的な速度で部隊を壊滅させていくその力にシュラは危機感を覚える。

 

『こうなれば…………お前達!』

 

シュラがブラックナイツに呼び掛ける。

 

『シンクロアタックだ! 行きますよ!』

 

『『『了解!』』』

 

リューの呼びかけに3人が答え、

 

『『『『『闇に堕ちろ!』』』』』

 

シュラを含めた5人で、キラを暴走させた能力を使用する。

リデラードがエクセレンに。

ダニエルがキョウスケに。

リューがアルトに。

グリフィンがアクセルに。

そしてシュラがシンにその能力を使用した。

その結果は…………

 

 

 

 

 

リデラートはエクセレンに精神を同調させ、その闇を引き出そうとしていた。

 

『キャハハ! 生意気なその顔を苦痛で歪めてやる!』

 

エクセレンの精神に入り込み、その闇を探るリデラート。

お気楽な性格に見えるエクセレンの闇はどうせ大したことは無いだろうと高を括る。

しかし、突如としてリデラートの意識が真っ暗になる。

 

『な、何っ!?』

 

突然の事に狼狽えるリデラート。

そしてその闇の向こうに見えたのは、巨大な化け物の顔。

 

【始まりの地………乱す者を…………】

 

『ひ、ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいっ!?!?!?』

 

その圧倒的な存在感と恐怖にリデラートは耐えきれなかった。

悲鳴を上げて意識のリンクを打ち切った。

 

 

 

ダニエルがキョウスケに精神を同調させる。

 

『さてと………こいつの闇はっと…………』

 

ダニエルはダルそうにキョウスケの闇を探す。

すると、ダニエルは闇を発見する、

 

『ちゃちゃっと終わらそ』

 

ダニエルはさっさと終わらせようと当たり前の様にその闇に手を伸ばす。

そして、突如として周囲が炎に包まれた。

 

『はっ?』

 

突然の事にダニエルは素っ頓狂な声を漏らした。

そして、その炎の中に異形の存在が居ることに気付く。

 

【破壊は創造………滅びは新生………】

 

『ひぎゃぁあああああああああああああっ!?!?!?』

 

その存在にダニエルは恐怖し悲鳴を上げてリンクを打ち切った。

 

 

 

 

 

リューがアルトに精神を同調させる。

 

『さて、コイツの闇は…………フフフ、見つけましたよ』

 

リューはアルトの闇を掘り起こす。

歌舞伎役者の家系に生まれ、役者の道を歩んでいた事。

しかし、その道に疑問を覚え、反発し、パイロットとしての道を選んだ事など。

アルトの葛藤や迷いなどを引き出そうとした。

だが、

 

『『嘆き 光 波にのまれ 痛みの中 君は目醒めて 傷つけながら 出来る絆が 孤独を今 描き始める♪』』

 

心の奥底まで響く歌が聞こえた。

その瞬間、闇に吞まれかかったアルトの心が突如として大空に包まれる。

 

『なっ!? うおわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』

 

リューの意識は心の大空に呑まれ、落ちていく。

そのリューが最後に見たものは、ストロベリーブロンドの女性と緑の髪の女性を背に、何処までも飛んでいくアルトの心だった。

 

 

 

グリフィンはアクセルの精神に同調していた。

 

『ふん、スカした奴め。お前の闇を暴いてやる』

 

グリフィンがアクセルの精神の更に深い所へ向かう。

すると、

 

『人の心に無断で入り込むなんて、無礼なお客様ですのね?』

 

突然声が響いた。

 

『何っ………?』

 

グリフィンの目の前に現れたのは、青髪の年端も行かない少女。

 

『な、何者だ!? お前は……!?』

 

見た目は唯の少女であるはずなのに、グリフィンは得体のしれない存在を前にしているようだった。

 

『人の心に土足で踏み入るような失礼なお客には、名乗る名前を持ち合わせてはございませんの』

 

その少女はゆっくりと手を前に出すと、

 

『失礼なお客人には、即刻お帰り願いますの』

 

その瞬間、グリフィンの意識は吹き飛ばされた。

 

 

 

シュラはシンの精神と同調させていた。

 

『シン・アスカ。貴様の闇を暴いてやる』

 

シュラはシンの心に入り込もうとした。

しかし、突然辺りが闇に包まれる。

 

『な、何だ!?』

 

そして、

 

『はーい! マユでーす! でもごめんなさい。マユは今お話しできません。『はーい! マユでーす! でもごめんなさい。マユは今お話し『はーい! マユでーす! でもごめんなさい。マ『はーい! マユでーす! でも『はーい! マユでーす!『はーい! マユ『はーい!『はーい!『はーい!『はーい!『はー『はー『はー『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は『は』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』

 

『うぉぁあああああああああああああああああああああああああああああああっ!?!?!?』

 

余りの闇の深さに自分自身が飲み込まれそうになる。

 

『こ、コイツの闇は………深すぎる…………!?』

 

シュラは咄嗟にリンクを切り、事なきを得たのだった。

 

 

 

最後の手段と言える精神同調をものの見事に返されたブラックナイツ。

 

『注ぐ生命(いのち) 刻む羽根で 君よどうか 僕を包んで♪』

 

『光はまた 空に堕ちる 望むだけの 熱を捧げて♪』

 

彼らにはもう打てる手は無かった。

彼らに出来るのは、悪あがきとも言える分身攻撃のみ。

だが、

 

「そんな寝ぼけた分身が、通用するかぁ!!」

 

シンが叫ぶと、アロンダイトを垂直に構え、

 

「分身は、こうやるんだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

その状態から無数の分身を生み出すデスティニー。

その全てがほぼ同時に動き出した。

 

『『『『『ッ!?』』』』』

 

どれが本物かも分からず困惑するブラックナイツ。

そして、デスティニーの分身に紛れ、リデラードの前にはハウリングランチャーを構えたライン・ヴァイスリッターが。

ダニエルの前にはリボルビング・バンカーを構えたアルトアイゼン・リーゼが。

リューの前にはファイターモードで突っ込んできたYF-29が。

グリフィンの前には右肘のブレードを振り被ったソウルゲインが。

そしてシュラの前には本物のデスティニーがアロンダイトを振り被っていた。

 

『『崩れ落ち逝く 過ちの果て 最期の夢を 見続けてるよ♪』』

 

「あんま飛ばないけど、威力はあるわよ?」

 

ハウリング・ランチャーのBモードの実弾がリデラードのブラックナイトスコードの胴体を撃ち抜き、

 

「どんな装甲でも、撃ち貫くのみ!!」

 

リボルビング・バンカーがダニエルのブラックナイトスコードの胸部を貫き、

 

「ソニック・ブレイカー!! いけぇっ!!」

 

ブレイクフィールドを発生させたYF-29の突撃がリューのブラックナイトスコードの胴体を貫いて分断させ、

 

「でぇやぁああああああああああああああっ!!」

 

ソウルゲインの舞朱雀がグリフィンのブラックナイトスコードを真っ二つに切り裂き、

 

「チェストォオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

デスティニーの渾身の一撃が、何とか反応して防御姿勢を取ったシュラのブラックナイトスコード シヴァを防御ごと真っ二つに叩き切った。

ほぼ同時に爆発する5機のブラックナイトスコード。

それは、シン達の完全勝利を意味していた。

 

 

 

 

 






ガンダムSEED FREEDOM編第7話です。
書きたいところまで書いてたら、やたらと長くなってしまいました。
でも満足。
本当は『彼女』も出したかったけど、タイミングが無かったので多分次回に。
挿入歌はシェリルとランカの歌でもいいけど、やっぱりミーティアも捨てがたい、と言う訳でシェリルとランカにミーティアを歌わせるという暴挙に出ました。
歌はルネが教えたと思っておいてください。
闇に堕ちろネタは誰にするか捨てがたかったので全員にかけさせていただきました。
まあ、アコードは全員使えるって事で。
キョウスケは微妙だけど。
自らの精神力で跳ね返しても良かったけどね。
多分、次回がFREEDOM編のラストになりそうな感じです。
お楽しみに。



ガンダムOOのどのタイミングに行く?

  • 1stで死亡キャラ救済&敵涙目
  • 2ndでアロウズ&リボンズ涙目
  • 劇場版で、歌でエルスと即行和解
  • むしろ全部やれ
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