転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件 作:友(ユウ)
【Side 三人称】
シュラを含むブラックナイツ達が撃破された事は、グルヴェイグのアウラもモニターで確認できていた。
「私の子供達が………!? ああ………!」
アウラは頭をガジガジと掻き毟ると、
「オーブもプラントも、焼き払ってやる!!」
癇癪を起したようにそう叫んだ。
アグネスのギャンと、ルナマリアのインパルス、ステラのガイアの戦いは続いていた。
『いっつもいっつも、私ばっかり、何でうまく行かないの!?』
アグネスが叫ぶ。
「それ、本気で言ってる?」
ルナマリアが呆れた口調でそう返した。
『アンタらなんて、何だかんだで、結構いい目見てるじゃない!』
「はぁ? 私はともかく、ステラの事を悪く言うのは止めて! あの子がどれだけ苦しい目に遭ってきたか、知りもしないで………!」
ギャンとインパルスが激突しながらそう言い合う。
『あんなポーッとした女に、何の悩みがあるって言うのよ!?』
アグネスがそう叫ぶと、
「あの子はあんたが思うより、何十倍も苦しい人生を送ってきたわ! それでもあの明るさを失わなかったあの子を、私は尊敬してる! だからシンもステラを好きになったのよ! あの子に比べたら、アンタなんて100倍は恵まれてるわよ! その人生に胡坐をかいてきたのはあんたの方でしょ!?」
互いに弾き合う。
『ッ……! 私には、愛される価値があるのよ!!』
「だから何!?」
再び突進して交差した時、インパルスがビームサーベルでギャンの腕を斬り落とした。
その直後、
「きゅうきょく! げしゅぺんすときぃぃぃっく!!」
上方よりガイアが急降下してきてギャンを蹴り落とす。
手加減していたようで、本来なら余裕で蹴り破ることが出来たのだろうが、ギャンは吹き飛ばされただけだ。
『きゃぁあああああああああああっ!?』
アグネスは悲鳴を上げて月面に墜落していった。
ブラックナイツを倒したシンは、
「あとはレクイエムを………!」
シンはレクイエムを止めようとデスティニーを向かわせようとした。
その時、
「シン! フラガ大佐からゼウスシルエットを受け取れ!」
レイから通信が入った。
「ゼウスシルエット?」
シンが聞き返すと、
「デスティニーの拠点攻撃用の追加装備だ! 中継リングを破壊するために今はアカツキに装備させている!」
ハイネがそう答えた。
「わかった!」
シンは光の翼を展開すると、猛スピードでレクイエムの方へ飛翔した。
「タンホイザー! てぇーーーっ!!」
マリューの号令でミレニアムの主砲、4連装陽電子砲が発射され、グルヴェイグへの進路に居る艦隊を纏めて撃沈する。
「今よ! 両舷全速!!」
「敵艦主砲射程、ブラボー! マーク41から65!」
ハインラインがグルヴェイグの現状を報告すると、
「目標、敵旗艦! ぶつけてでも墜とす!!」
ミレニアムがグルヴェイグへ向けて突撃を開始する。
だがその時、ミレニアムの4時方向からザフトクーデター軍のナスカ級戦艦が接近して来た。
クーデター軍を主導するジャガンナートの乗る旗艦だ。
『忘れはせん………忘れはせんぞ……! 死者の流した血を……恨みを……! 忘れる事などぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!』
ジャガンナートは叫びながらナスカ級を突撃させる。
クーデターを起こしたジャガンナートだが、彼にも死んでいった同胞たちへの想いがあるが故の行動だったのだろう。
ミレニアムを墜とすために主砲を撃ちながら特攻を仕掛ける。
「はっ!」
マリューがそれに気付くが、突撃を開始したミレニアムに回避行動は取れなかった。
だがその時、ミレニアムを護る様にマクロス・ブレイバーが射線軸へと入った。
「ッ!? ミレニアムの盾になる気なの!? 駄目よルリさん!」
マリューが叫ぶが、マクロス・ブレイバーは動かない。
このままでは両者が激突して共倒れだろう。
しかし、その時マクロス・ブレイバーに変化が起こった。
エンジン部が下方に移動し、二股の艦首がそれぞれ左右の両側へと移動。
ブリッジが頭部となったその姿は正に人型。
「ええっ!? マクロス・ブレイバーも人型に変形したぁ!?」
ミレニアムのブリッジでアーサーが驚いた声を上げる。
すると、
「……同情はします」
ルリが呟いた。
「貴方にも故人を思うが故の行動だったのでしょう…………しかし、世界は兵士だけが生きているわけではありません………」
強攻型となったマクロス・ブレイバーが左腕を構成する左舷艦首を振り被りながらピンポイントバリアを集中させる。
「マクロスアタック………!」
真っ直ぐに特攻を仕掛けてきたナスカ級に左腕で殴り掛かるマクロス・ブレイバー。
『ッ!?』
ジャガンナートが目を見開く。
ピンポイントバリアで保護された左艦首がナスカ級の中央に突き刺さり、内部へめり込むと、左舷艦首の各部からルリによって遠隔操作されたデストロイド部隊が現れ、内部から直接ミサイルのフルバーストを放った。
ナスカ級が内側から膨れ上がり、一瞬後に爆散する。
その爆発にマクロス・ブレイバーも飲み込まれた。
「ああっ!」
マリューが声を上げるが、その爆炎を切り裂きながら全身をバリアによって覆われ、無傷の姿のマクロス・ブレイバーが姿を現した。
その姿にホッと息を吐くマリュー。
そして気を引き締めると、グルヴェイグを見据えた。
「突貫する! 艦首衝角『ゴウテン』起動!!」
マリューの号令で、ミレニアムの艦首に装備されている熱放射貫抉装備が赤熱しながら赤く染まる。
「全砲門! 近接装填!!」
ミレニアムは攻撃を受けることを厭わずに突撃する。
「総員衝撃に備えて!!」
マリューが叫んだ直後、ミレニアムの艦首がグルヴェイグに突き刺さった。
その瞬間、
「てぇーーーーーーーーーっ!!!」
ミレニアムの全武装が発射される。
その攻撃により、グルヴェイグは完全に撃沈した。
レクイエムに接近するデスティニー。
そこに通信が入る。
「坊主!」
その相手はムウだ。
「おっさん!」
シンが応えると、
「おっさんじゃないっての! お前の装備だ! 受け取れ!」
航空機の様なMA形態のゼウスシルエットのコントロールを渡されるシン。
送られてきたデータの通りにシステムを起動すると、ゼウスシルエットが分離。
同時にデスティニーの背部に装着されていたアロンダイトと高エネルギー長距離ビーム砲がパージされ、MSの全高を上回る長大なリニアキャノン、キャノンの予備砲身2本とミサイルポッドが付属するスカートアーマーが腰背部に装着され、両足には大型ブースターが装着される。
シンは手早くシステムチェックを済ませると、
「ドッキングシステムには問題無し………あれだけ改造してるのに、問題無く使えるなんて、テスラ研の人達には感謝だな」
現在のデスティニーはかなり魔改造されているため、最悪使えない可能性も考慮していたが、ソフト面もハード面にも全く問題が無かったことに、シンは軽い驚きを覚えた。
追加された大型ブースターによって速度を増したデスティニーはレクイエム直上へと到達する。
レクイエムの砲口は解放されているが、その砲口は陽電子リフレクターによって守られている上、その奥の発射口は既に輝き始めており、発射まで間もない事は明白だ。
シンは大型リニアキャノンに砲身を装着すると、その砲口をレクイエムへと向けた。
普通に発射するだけでは、陽電子リフレクターを破れるか不明な上、破れたとしてもレクイエムを発射不能まで破壊できるか未知数だった。
そう判断したシンは、
「GSライド! フルパワー!!」
シンが叫ぶと、シンの勇気に応えてGSライドの出力が上昇。
赤い光の翼が澄んだ翠へと変化し、その砲口も緑の光を放ち始める。
リニアキャノンにGストーンのエネルギーを上乗せしているのだ。
次の瞬間、レクイエムが発射された。
だが、同時にシンも引き金を引いた。
「オーブをやらせるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
故郷を護りたいと願うシンの想いがGSライドのパワーを限界以上に引き出す。
緑の光に包まれた砲弾が放たれる。
尚、発射した際に砲身は焼け付くどころか粉々に吹き飛んでいる。
放たれた弾丸は陽電子リフレクターを紙の如く突き破り、レクイエムのビームと激突。
ビームを切り裂くように四散させながら発射口に到達した。
着弾した場所から周囲に罅が広がる。
それはレクイエムだけでは飽き足らず、ダイダロス基地全体を覆うほどに広がった。
そして、轟音と共にその範囲が根こそぎ吹き飛ぶ。
月に、新しいクレーターが作り出された瞬間だった。
「おいおい……何なんだあの威力………!?」
ゼウスシルエットにあんな威力は無かったはずだとムウは冷や汗を流した。
マイティストライクフリーダム、インフィニットジャスティス弐式とブラックナイトスコード カルラの戦いは佳境を迎えていた。
「命に優れているも劣っているもありません。誰もが誰かにとって、尊い存在です」
ラクスがオルフェを諭そうとそう言う。
『では何故私は愛されない!?』
オルフェは叫ぶ。
「いいえ。必ず誰かがあなたを見ています。今では無くとも、未来にいる誰か……あまりに近すぎて、気付かない誰かが………」
『ッ!?』
その言葉にイングリットがハッとなる。
それでもオルフェはマイティストライクフリーダムに斬りかかる。
だが、キラはそれを防ぐとディスラプターで反撃。
ブラックナイトスコード カルラの左腕を吹き飛ばす。
しかし、それでもオルフェは戸惑わず、
『未来などいい………! 私は今あなたが欲しい!!』
ラクスに向かってそう叫んだ。
『人の愚かさ故に我らは生まれた。平和だ平等だと口にしながら他者に変わることを要求し、決して自ら変わろうとしない!』
「そんなことは無い!」
『だからいつの時代も争いは絶えない! 恨みも忘れず、破滅に瀕しているというのに、目先の損得や思い込みに取りつかれ、足を引っ張り合う! 皆愚か者だ!!』
それはオルフェ自身の本音なのだろう。
『オルフェ!』
まるで自分を追い詰めるようなオルフェの言葉に、イングリットが溜まらず後部座席からオルフェの隣へ飛び出す。
『導く者が必要なのだ! この分断と流血の歴史を終わらせる! それが我らの生まれた意味だ!』
オルフェはそう言い切る。
だが、
「人は『必要』から生まれるのではありません」
ラクスは即座に言い返した。
同時にキラも動き出す。
「『愛』から生まれるのです!」
「僕は自分の手で、未来を選ぶ!!」
ラクスと共にキラも叫んだ。
向かってくるマイティストライクフリーダムにブラックナイトスコード カルラが対モビルスーツ強化刀を振るうが、キラはそれをビームシールドで弾くと、右手に持つ日本刀型実体剣『対艦刀フツノミタマ』を突き出した。
その一撃はブラックナイトスコード カルラのコクピットを掠める。
その一撃により、オルフェは致命傷を負った。
『ば、馬鹿な………私には………使命が…………』
死の間際にあっても尚、己の存在意義を決められた役目に縋るオルフェ。
しかし、
『もう良いのよオルフェ………』
その隣でイングリットが優しく声を掛けた。
『ッ……! イングリット………』
『私は知っているから………』
決められた役目とはいえ、自分の道を真っすぐに進んできたオルフェをイングリットはずっと見ていた。
決められた役目で駄目だと分かっていたはずなのに、彼を愛してしまうほどに…………
その直後、2人は閃光に包まれ、爆炎の中に消えていった。
【Side Out】
「…………どうやら終わったようだな」
ジェイアークの艦橋から、爆発するブラックナイトスコード カルラを遠巻きに眺めながら俺は呟く。
戦いの最中にゾンダーや原種の横やりが入らないか警戒していたので、少し離れたところで静観していたわけだが、杞憂だったようだ。
そう思っていたが、
「ッ! ジェイ! 原種だ」
ハルがハッとなってそう言った。
杞憂だと思っていた次の瞬間に原種が現れるなんて、これもフラグという奴だろうか?
「場所は?」
俺が聞き返すと、ハルは目を瞑って意識を集中し、
「……………近い………ううん、近付いてくる……………場所は…………直上!」
ハルが上を向いて叫んだ。
その時、巨大な影が辺り一帯を覆う。
「あれはっ!?」
俺もそれを見上げて叫んだ。
そこに存在したのは、小惑星を利用して作られた要塞。
「アルテミス要塞!?」
ここから離れた宙域に存在していたはずのアルテミス要塞だった。
「まさか原種がアルテミス要塞と融合したのか……………! ッ! だとしたら拙いぞ!」
俺の脳裏に悪い予感が過る。
その時、アルテミス要塞が変異を始める。
丸みを帯びたひし形の形となったアルテミス要塞。
すると、その各所からあらゆる形のゾンダーロボが這い出す様に現れ始めた。
「ッ! やはり! 要塞に残っていた兵士が原種によってゾンダー化している!」
俺は叫ぶ。
「それって、要塞に居た人全部がゾンダーに!?」
ハルも叫ぶと、
「ああ! キラ達が被害を与えたお陰で部隊の大部分は奴らの旗艦に移動しているだろうが、それでも100人は下らない兵士が要塞には残っていたはずだ!」
それは、最低でも100体以上のゾンダーロボが居ることを意味する。
「ッ……………!」
その時、この宙域にツクヨミが接近してきたことに気付く。
「皆も来たか…………」
俺は気を引き締める。
「どちらにせよ、やるしかあるまい!」
俺は指揮壇から飛び上がり、
「フュゥゥゥジョン!!」
背後の鳥を思わせるエンブレムからジェイアークと同化する。
「ジェイバード、プラグアウト!」
ジェイキャリアからジェイバードが分離。
ジェイキャリアが艦首後方から直角に折れ曲がり、巨大な胴体と脚部を形成する。
「メガッ……フュージョン!!」
ジェイバードの砲台部分が直角から垂直方向に変形。
その直後、艦橋部分と砲台部分が分離。
同時に砲台部分が左右に分離した。
艦橋がそのままジェイキャリアの艦首上部にドッキングし、艦首のジェイクォースが分離。
更に分離した砲台部分の先が変形し、マニピュレーターが現れる。
そのまま砲台が艦首の両サイドに接続され、巨大な腕となる。
ジェイクォースが右前腕の内側に装着されると、最後に艦橋部分のJジュエルが輝いて上部にスライドし、デュアルアイが現れた。
「キングッ………ジェイッ………ダァァァッ!!」
キングジェイダーへとメガフュージョンした俺は、原種となったアルテミス要塞を見据えた。
【Side アクセル】
ファウンデーションのアコードとやらを仕留めた俺は、あまりの呆気なさに拍子抜けしていた。
「つまらん………この程度で究極の人類などとは笑わせる。これならイーグレットのマシンナリーチルドレンとやらの方がまだマシだったな」
少なくとも、戦闘能力だけで考えれば、こいつらよりも奴らの方が上だっただろう。
その時、巨大な影が俺達を覆った。
「ん…………?」
俺が上を見上げると、小惑星を利用して作られた要塞らしきモノが近付いてきていた。
その直後、その姿が変化し、丸みを帯びたひし形の形になる。
「何だ……?」
俺が怪訝な声を漏らすと、
「ッ………! ジェイから連絡が来た。奴は原種だ!」
キョウスケ・ナンブがそう言った。
原種……
前の世界でも何度か現れたらしいが、いまいちどのような存在なのかは分からん。
すると、そいつの至る所から機動兵器が這い出して来る。
「嘘ッ……!? もしかしてあれって全部ゾンダー!?」
エクセレン・ブロウニングが驚きの声を上げる。
「ふん……奴らが何者か知らんが、敵である事には変わりないのだろう? 丁度いい、まだ暴れ足りなかった所だ!」
俺はそう叫んでソウルゲインを飛び立たせる。
「待てっ! アクセル! そいつらは………!」
キョウスケが何か言っているが、聞く気は無い。
「はぁあああああああああああっ!!」
とりあえず一番先頭に居た取り巻きのロボットに向かって、ソウルゲインの拳を回転させながら殴りかかる。
だが、その拳はそのロボットに当たる前に止められる。
「バリアか!? だがっ………!」
俺が力を籠めると、そのバリアを打ち破ってそのロボットの土手っ腹に風穴を開ける。
「フン、他愛ない………」
奴らが警戒していたからどれほどのものかと思えば、多少強力なバリアを持っている程度で恐れるほどではない。
「離れろ! アクセル!」
キョウスケが警告のように俺に呼び掛ける。
「何………? ッ!?」
そこで俺は異常に気付いた。
開けた風穴が瞬く間に塞がり、ソウルゲインの腕を捕らえる。
そのまま腕を飲み込み始めた。
「コイツ……! ソウルゲインを飲み込もうというのか!?」
俺は腕を引き抜こうとするが、一体化が始まっているのか引き抜けない。
「チィッ!」
自分の失態に思わず舌打ちする。
奴らが警戒していた理由はこういう事か!
俺は咄嗟に飲み込まれかけた腕を断ち切ろうと左腕を振り上げた。
その瞬間だった。
(これは…………別のルーツの………純粋なる存在を目指したもの………)
突如として女の声が聞こえた。
「ッ!? 誰だ!?」
振り下ろそうとした腕が止まる。
レモン?
いや、似ているが違う。
(でも………あれは間違った力………全てを原初へと返そうとする意志によって捻じ曲げられた存在…………)
「何だ!? 何を言っている!?」
俺が更に問いかけると、
(好きには………させませんの………!)
次の瞬間、呑み込まれかけたソウルゲインの腕が拒絶するように敵のロボットの身体からはじき出された。
「くっ!」
弾かれた拍子に吹き飛ばされるも、俺は体勢を立て直す。
「ゾンダーが弾かれた!?」
キョウスケが驚きの声を上げた。
かく言う俺も何が起きたのか理解してはいないが。
だが、
「誰だ!? 女! 何処にいる!?」
先程の声の主に呼び掛ける。
恐らくあの声の主の仕業だろう。
「アクセル? 何を言っている?」
キョウスケが怪訝そうな声を漏らす。
「気にするな。こっちの話だ」
キョウスケにそう言うと、
「いい加減に出てきたらどうだ?」
俺はもう一度呼びかける。
すると、
(………わかりましたの)
その言葉に応える声が聞こえた。
次の瞬間、俺の身体から光の玉が出てくる。
「な、何だ貴様……? 何処から………!?」
その光の玉はソウルゲインのコクピットの正面に移動していき、そのままハッチをすり抜けて外へ出たかと思うと、ソウルゲインの腹部から巨大な腕が突き出された。
一瞬貫かれたのかと錯覚したが、ソウルゲインそのものに損傷はない。
赤い装甲………いや、甲殻と言うべきものに包まれたその腕に続き、ソウルゲインの内部からその全貌が露になってゆく。
それは、落ち武者を思わせる風貌にアインストの特徴を兼ね備えた人型の兵器。
「あれはっ………!? ペルゼイン!?」
「もしかしてっ………!?」
キョウスケとエクセレンが驚愕の声を上げる。
そして、
「呼ばれて飛び出て、大サービス………でございますの」
俺の頭の中で聞こえていたその声でそいつは言った。
「アルフィミィ!?」
「嘘ッ………本当に………!?」
キョウスケとエクセレンが更なる驚愕の声を漏らす。
「キョウスケ、エクセレン、お久しぶりですの………」
レモンに似た声でそいつは言う。
「なるほど、近い筈だ。スパイ向きの能力だな。こいつは」
すると、そいつは俺の方を向き、
「………直接ごあいさつするのは初めてですの。私はアルフィミィ………以後、お見知りおきをお願い致しますの」
「あの時………ゲシュペンストMk-Ⅲへのトドメを邪魔したのは………貴様だな?」
俺が一度キョウスケ・ナンブを倒した時、大量のアインストが現れ、トドメを刺しそこなった。
「はい………キョウスケを………失う訳には参りませんでしたので………」
「貴様のその都合で俺は流れを失った。結果がこのザマだ」
「はい、私も………消えなければなりませんでしたの………」
「そうか………アインストも敗れ去ったのだから………当然か。だが、何故貴様は………?」
「それはあなたのお陰ですのよ?」
「………どういうことだ?」
コイツが生き残ったのは俺のお陰?
「私が消えかけていた時………あなたの命もまた………消えかけておりましたの………」
「そうだ………あれは間違いなく致命傷だった」
「私は、あなたが持つ『想い』が持つ力と………蒼き巨人の一部をお借りいたしましたの。そのお陰でこのペルゼインを再び構成することが出来ましたのよ?」
「俺の身体は………その時に?」
「はい。ペルゼインさえあれば造作も無い事ですの。かつてエクセレンもそうやってお助けしましたのよ?」
「ッ!」
その言葉に、エクセレンの息を呑む音が聞こえた。
「…………アインストである貴様が、何故そんな事をする必要があった?」
「私は………もうアインストとは異なった存在になってしまいましたの。人の『想いの力』に触れたことによって…………それはキョウスケやエクセレン………そしてあなたの所為………いいえ、おかげですの。アクセル」
「………………」
その時、後ろから先程のロボットが襲い掛かってきた。
だが、そいつは腰の刀を抜いたかと思うと一閃し、そいつを真っ二つに切り裂いた。
「………今は落ち着いて話も出来ませんの。今は力をお貸しいたしますですの」
「…………何故戦う? 拾った命だ。好きに使えばいい」
「はい。だから好きに使わせていただきますの。私が『私』である為に。自分の道と……居場所を見つける為に。戦うと決めたんですの」
「…………………!」
「アルフィミィちゃん………そうよ………そうなのよ。あなたは………!」
「エクセレン………あなた達の『想いの力』に触れ………アクセルと出会えた私は、そうやってここにおりますの」
その時、あのキングジェイダーとか言う白い巨大ロボットが他のロボットと共に近付いてきた。
【Side Out】
【Side 三人称】
勇者ロボ達を伴ったキングジェイダーがキョウスケ達と合流すると、
「大まかな状況は把握している! アルフィミィ………! 今は手を貸してくれるという事でいいな?」
「はいですの」
「なら、他の勇者ロボと一緒に前衛を頼む! どうやらペルゼインもゾンダーには吸収されないようだからな」
「お安い御用ですの」
迷いなく頷く。
アルフィミィに不満はない様だ。
「ならば、皆はゾンダーロボの相手を頼む。ゾンダー核を抜き出せるガオファイガーと撃龍神を中心に、可能な限りゾンダー核を抜き出してくれ。それでも、半数が限界だろう………残りは…………俺がやる」
その言葉にアクセルが引っ掛かりを覚えた。
「どういう意味だ?」
アクセルが声を漏らすと、
「奴らゾンダーは人間を素体としている。ジェイのパートナーであるハルが、浄解と呼ばれるゾンダーを人間に戻す能力が使えるが、そのためには核を摘出しなければならない。あれだけの数だ…………全てのゾンダー核を摘出するのは不可能だろう」
「なるほど。つまりその核を摘出させずに素体となっている人間ごと奴らを倒すと言う訳か…………だが、戦争である限り犠牲はつきものだろう?」
アクセルがそう言うと、
「ですがそれは、ジェイの望むところではありません」
合流して来たヴァイサーガから、ラミアがそう言った。
「ジェイは………いえ、我々はこの世界には存在しない者です。ゾンダーや原種が現れるのは、我々がこの世界に流れ着いたせいでもあります。その所為でこの世界の者達に犠牲が出ることを、ジェイは良しとしないのです」
ラミアがそう続けると、
「だが、それでもゾンダーが完全体になり、ゾンダー胞子がバラ撒かれるよりかはマシだ。ゾンダーが1体でも完全体になれば、手に負えないからな」
キングジェイダーがそう口にした。
すると、キングジェイダーがゾンダーに向き直り、
「俺が数を減らす! お前達は可能な限りゾンダー核を抜き出してくれ!」
攻撃しようと両手を前に突き出した。
その時、
「待ちな! キングジェイダー!」
炎竜が口を出した。
「炎竜?」
「撃龍神で半数って事は、単純に撃龍神と同じ力を持った奴が2人居ればいいんだろ?」
続いて雷龍がそう言い、
「雷龍………それはそうだが………」
「我々には、それを可能とする合体があります!」
風龍も続き、
「風龍…………ッ!? まさか!」
「はい。『あの合体』を行えば、それも可能です」
氷竜がそう言った。
「氷竜………! だが危険すぎる! あの合体は、『ザ・パワー』の恩恵があってこそ可能な合体だ!」
「確かに切っ掛けは『ザ・パワー』です。しかし、それでも合体できたのなら可能性はあるはずです!」
「だが…………」
「俺達は、人命を諦めるつもりは無いぜ!」
「ッ……………」
「GGG憲章第5条125項!」
「GGG隊員は如何に困難な状況であろうとも、決してあきらめてはならない!」
「例え別のGGGになろうとも、僕達はGGG憲章を違えるつもりはありません!」
「皆…………」
それぞれの想いにキングジェイダーは声を漏らす。
「これは…………『想いの力』が高まっていく…………」
アルフィミィが呟く。
その時、計測されているそれぞれのシンパレートが100%を超えて上昇を始めていた。
「行くぞ!」
「「「おおっ!!」」」
氷竜の掛け声に合わせて皆が飛び立つ。
そして、
「「「「シンメトリカルドッキング!!」」」」
氷竜が雷龍と。
風龍が炎竜と合体を始めた。
それは本来プログラムされていない合体。
それぞれ基本は同じロボットではあるが、それでも危険が伴うものだ。
それでも彼らは合体を戸惑ったりはしない。
何故なら、彼らは『勇者』だからだ。
『青』と『黄』。
『緑』と『赤』の半身がそれぞれ合わさる。
それは、プログラムを超えた『勇気』によって生まれる奇跡の合体ビーグルロボ。
その名は、
「幻っ………竜ぅぅぅぅぅぅぅぅぅじぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!!」
氷竜と雷龍が合体した幻竜神が名乗りを上げ、
「強ぉぉぉぉ龍ぅぅぅぅぅぅぅぅぅじぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!!」
続いて風龍と炎竜が合体した強龍神が名乗りを上げた。
「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」
その姿に全員が驚く。
「いつもとは違う合体!?」
「ワオ! シャッフルドッキングってとこかしら!」
キョウスケが純粋に驚き、エクセレンが即興で合体名を付ける。
すると、大量のゾンダーロボが向かってきたが、
「吹けよ氷雪! 轟け雷光! サンダーブリザード!!」
幻竜神が氷の龍と雷の龍を放ち、
「唸れ疾風! 燃えよ灼熱! バーニングハリケーン!!」
強龍神が風の龍と炎の龍を放った。
4匹の龍がゾンダーロボ達を次々と貫いていく。
「Gストーンが使われている皆は幻竜神と強龍神が摘出したゾンダー核を一カ所に集めて! ハルが浄解しやすい様に!」
「「「「「了解!」」」」」
ルネの言葉に残りの勇者ロボとステラ、アルトが返事をし、
「ルナマリアのインパルスも、今ならゾンダーに触っても大丈夫なはず!」
「わ、分かったわ!」
ルナマリアのインパルスも回収班へ回る。
すると、インフィニットジャスティス弐式とマイティストライクフリーダムも近付いてきて、
「浄解された人達は俺達で救助する」
アスランがそう言い、
「生存者はミレニアムで受け入れるわ!」
近くまで来ていたミレニアムからそう通信が入った。
「『想いの力』………世界が違っても、人々の想いの力はそこにありますの」
アルフィミィが呟くと、背後からゾンダーが襲い掛かろうとした。
その時、青いエネルギー波がゾンダーを怯ませ、その隙にペルゼインがゾンダーを両断する。
アルフィミィがエネルギー波が飛んできた方を見ると、
「アクセル………」
右腕を突き出したソウルゲインの姿があった。
今のはソウルゲインの青龍鱗だ。
「お前には借りがある。これがな」
アクセルがそう言うと、
「感謝いたしますの」
アルフィミィは微笑む。
すると、
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
原種の側面へ回り込んでいたデスティニーがゼウスシルエットのリニアキャノンを構え、原種に向かって放つ。
Gパワーの籠った弾丸が原種のバリアを打ち破って表面に着弾。
原種の身体の1/4程を欠けさせ、原種が大きく傾いた。
「よくやった! シン!!」
それをチャンスと見たキングジェイダーが右腕を突き出し、
「ジェイクォォォォォォォォス!!」
右腕の錨が火の鳥となって羽搏いた。
デスティニーの一撃によって大ダメージを受けていた原種にそれを防ぐ術は無い。
小惑星の身体に火の鳥が飛び込み、罅が全体に広がっていく。
ジェイクォースが突き抜けると同時にその体が粉々に粉砕された。
そして、
「これで…………ラスト!」
最後のゾンダーにガオファイガーがハンマーヘルを撃ち込み、ハンマーヘブンでゾンダー核を引き抜くと、
「光になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
その体を光に変えて、この戦いは決着となった。
それから数日後。
シンはルナマリアに呼び出され、オーブの慰霊碑の前に来ていた。
「ルナ、話って何だ?」
慰霊碑の前で待っていたルナマリアにシンは声を掛けた。
ルナマリアが振り返ると、
「あ………シン…………」
その表情には迷いが見て取れた。
「どうしたんだ?」
シンが問いかけると、
「………えっとね…………やっぱりこのまま黙ってるのは後悔すると思ったから………」
そう言ってルナマリアは少し黙り込む。
シンは黙って次の言葉を待つ。
すると、ルナマリアは決心したように顔を上げ、
「シン………あのね……………」
ルナマリアはそこで一呼吸置くと、
「…………私……………シンが好き…………」
頬を染めながらルナマリアはそう告白した。
「え……………?」
ルナマリアの告白に、シンは予想外だったのか呆けた声を漏らした。
「私も…………一緒に連れて行って…………!」
一陣の風が吹いてルナマリアの髪を揺らす。
ルナマリアは、目を潤ませながらシンの答えを待つ。
すると、シンは申し訳なさそうに俯き、
「………………ごめん」
そう謝った。
「ッ………!?」
ルナマリアは息を呑む。
「ルナマリアの気持ちは正直嬉しい……………でも、俺にはステラが居るから…………」
シンがそう言って断ろうとした。
その時、
「シン! それはダメ!」
ルナマリアとは違う少女の声が響いた。
それは、
「ステラ!?」
慰霊碑の岩場の影から現れたステラだった。
「どうしてここに!?」
シンが問いかけるが、ステラはシンに歩み寄ると、ピッとシンの鼻先に人差し指を突き出し、
「そんな事より、ルナマリアの気持ちを断るのに、私を言い訳にしちゃダメ!」
ステラは叱る様にシンに言った。
「何で………!? ステラだって嫌じゃないのか?」
シンが問い返すと、
「私は、ルナマリアなら良いって思ってる!」
「ええっ………!?」
ステラの言葉にシンは困惑した声を漏らした。
「だってルナマリアも、本気でシンの事が好きだから!」
ステラがそう続ける。
「だからシンは、私の事を言い訳にしないで! シン自身の気持ちで答えて! シンがルナマリアの事を嫌いで受け入れられないのなら仕方ないけど、そうじゃないならちゃんとルナマリア自身と向き合って! ジェイやアルトみたいに!」
ステラはそう言い切る。
「ステラ…………」
シンは改めてルナマリアと向き合った。
ルナマリアの表情は一度断ったからか、不安で泣きそうな表情だ。
シンは、ステラに言われた通り、ステラの存在を抜きにして自分がルナマリアの事をどう思っているのか自らに問いかけた。
(ルナマリア…………アカデミーで出会った同期の女の子………コーディネイターの中でも落ち零れだった俺に好意的に接してくれたし、勉強や訓練の手伝いなんかもレイと一緒に付き合ってくれた…………俺がアカデミーを赤服で卒業できたのは、間違いなくルナの協力があったからだ…………それに、一緒にミネルバに配属になった時も、頼りになる戦友として背中を預けた…………ああ、そうだな………ルナの事は嫌いじゃない………むしろ………)
「…………好き………なんだろうな…………」
シンの口から呟きが漏れた。
それはシンの嘘偽りなき本音。
「えっ………? シン………それって…………」
その呟きを聞いたルナマリアが驚いたように顔を上げた。
シンは気まずそうに視線を逸らしながら、
「あ~………うん…………俺も、ルナの事が好きだよ」
自分が最低な事を言っている自覚がある所為か、少し投げやりな返答になってしまう。
それでも、
「シンッ!!」
ルナマリアは嬉しさのあまり泣きながらシンに抱き着いた。
「ルナ………」
シンはそっとルナマリアの背中に手を回す。
「良かったね、ルナマリア!」
ステラは嬉しそうにニコニコとしていた。
その時、バシバシとシンの両肩が強く掴まれた。
「ッ!?」
シンが驚きながら振り返ると、
「おめでとうシン!」
「シン、良かったな!」
ジェイとアルトの2人がイイ笑顔を浮かべながらシンの肩を掴んでいた。
「ジェ、ジェイさん!? アルト!? 何でここに!?」
シンは思わず問いかける。
すると、
「そんな事は気にするな。それよりも…………」
ジェイが口元を釣り上げ、
「ようこそ! ハーレムの世界へ!」
そう言い放った。
「ッ!?」
「今まで散々好き放題言ってくれたよなぁ?」
アルトも目が笑ってない笑顔でシンに迫る。
「ッ!?!?」
シンは青天の霹靂と言わんばかりの表情を浮かべる。
「もちろん俺達は歓迎するぞルナマリア!」
「ちゃんと皆に紹介しなきゃな!」
ジェイとアルトはルナマリアに向かってそう言う。
「は、はぁ………」
2人の様子に困惑するルナマリア。
こうして、GGGに新たにルナマリアが加わることになるのだった。
それからまた数日が経ち、次の世界へのゲートが開かれたため、GGGは再び旅立つ。
新たな世界へと向かって。
はい、ガンダムSEED FREEDOM編のラストです。
最後は原種が出てきてこんな感じに。
アルフィミィも登場です。
どっかで幻竜神と強龍神を出したかったのでご都合主義で出させていただきました。
そしてルナマリアはシンのハーレム入り。
ステラという外堀を埋められていた所為でシンは逃げ道がありませんでした。
それでは次回からアンケート通りにガンダムOOの世界です。
全部やれって事なのでどうなる事やら。
お楽しみに。
ガンダムOOのどのタイミングに行く?
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1stで死亡キャラ救済&敵涙目
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2ndでアロウズ&リボンズ涙目
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劇場版で、歌でエルスと即行和解
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むしろ全部やれ