転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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♯08 悪意の矛先

 

 

 

【Side 三人称】

 

 

 

 

――宇宙

ソレスタルビーイングの母艦、プトレマイオス。

 

「GGGのガンダムがトリニティと戦闘を!?」

 

その報告に、スメラギが驚いた声を上げた。

 

「はい。どうやらトリニティは民間施設に攻撃を敢行。GGG所属らしきロボットにより、被害は防がれましたが、その後、GGGのガンダムが現れ、ガンダムスローネ3機と戦闘に入ったと」

 

フェルトがそう報告する。

 

「それでどうなったの!?」

 

スメラギが先を促すと、

 

「はい。どうやらほぼ一方的にGGGがトリニティを追い詰めていったようです。ですが、その途中でゾンダーと思わしき敵が現れ、GGGはその対処に。トリニティはその隙に撤退した模様です」

 

「ガンダムスローネを一方的に…………」

 

その報告に、スメラギは戦慄を感じた。

すると、

 

「自業自得だぜ」

 

ラッセが当然だと言わんばかりにそう口にする。

 

「連中はやりすぎた。軍施設への攻撃はともかく、民間施設への攻撃は許される物じゃねえ。GGGの連中も言ってたんだろ? 無関係な民間人が危機に晒された時や人が死に過ぎる大量破壊兵器なんかが使われた時には、自分達の正義に則って介入するかもしれない、ってよ」

 

「今回は、無関係な民間人が危機に晒された、って所に引っ掛かったんスね」

 

リヒティがラッセの言葉に納得したように頷く。

 

「偶然居合わせたにしては、出来すぎな気がしないでもないがな」

 

ラッセは同時に不自然な点も指摘した。

 

 

 

 

 

 

ユニオンのとある基地で、フラッグの大幅な改修が施されていた。

 

「プロフェッサー。首尾はどうですか?」

 

改修の様子を見に来たグラハムが、改修の責任者であるレイフに問いかける。

 

「あのデータを元に、今現在可能な限りの改修はした。だが、やはり今の技術ではあの機体には遠く及ばん」

 

レイフは不満そうな様子でそう呟く。

 

「未だフラッグの域を出ていない。これでは新型と呼べん。精々フラッグの特別改修機と言ったところだ。それでも、現行のどのフラッグよりも性能は上だと自負できるがね」

 

レイフは以前見たYF-29の戦闘データから、出来る限りのフラッグの改修を行っていた。

しかし、やはりネックは機体の強度とパイロットにかかるGだった。

機体の強度を優先すれば、フラッグのメリットである機動性が失われ、更に機動性を追求すれば、そのGにパイロットが耐えられない。

レイフは、その壁を超えることが出来ないでいた。

 

「…………ガンダムの動力炉…………あれを手に入れることが出来れば、あるいは………」

 

レイフは、ガンダムのGNドライブが機体の強度やパイロットへのG軽減にも関係があると推測していたため、GNドライブがあればその壁を超えることが出来るかもしれないと思い始めていた。

その時だった。

突如として警報が鳴り響く。

 

『アイオア上空F3988ポイントにガンダムと思われる機影を発見!』

 

「ガンダムだと!?」

 

「そのポイントにある施設と言えば……」

 

ビリーがその場所を思い出そうとすると、

 

「ッ! アイリス社の軍事工場!」

 

グラハムが先に気付く。

 

「まさか!? いくら兵器工場とはいえ、働いているのは民間人だ!」

 

ビリーが信じられないといった声色で叫ぶ。

すると、

 

「…………やはり、新型のガンダム3機はソレスタルビーイングとは別の組織なのかもしれん」

 

レイフが口を開いた。

 

「エイフマン教授? しかし、奴らはガンダムを………」

 

ビリーがまさかと言わんばかりにそう言うが、

 

「あの新型のガンダムの武力介入は、今までのソレスタルビーイングの武力介入とは全く異なる。そして、放出している粒子も良く見ればソレスタルビーイングの物とは差異がある。とはいえ、同じ技術が使われていることは間違いないだろう。新型のガンダムはソレスタルビーイングから派生した別の組織………分派と言うべき組織が有する物なのかもしれん」

 

レイフがそう推測を口にした。

 

「まさかそんな………」

 

ビリーは否定しようとしたが、

 

「いや、プロフェッサーの推測が正しければ、色々と腑に落ちる所はある。突如過激になった武力介入や、新型のガンダムがソレスタルビーイングのガンダムと行動を共にしていない事もな」

 

グラハムは逆に納得する。

 

「グラハム………」

 

「プロフェッサー! 特別改修機は出せますか!?」

 

「出撃は可能だ。だが、まともなテストもしていないぞ?」

 

レイフがそう警告するが、

 

「そんな道理、私の無茶で抉じ開ける!」

 

グラハムがすぐにパイロットスーツを装着し、フラッグの特別改修機に乗り込む。

 

「ハワード! ダリル! お前達はフラッグで後からついてこい!」

 

グラハムはそう言ってフラッグの特別改修機を発進させた。

 

 

 

 

 

 

 

その少し前、ユニオンのアメリカにあるアイリス社工場の上空に3機のガンダムスローネが現れていた。

目標は当然アイリス社の兵器工場だった。

これがソレスタルビーイングであれば、事前警告の後避難時間を設け、その後に攻撃するだろうが、トリニティはそんな事を気にもしていない。

警告すらなく狙いを工場施設に定め、引き金を引こうとしていた。

ヨハンは淡々と、ミハエルとネーナに至っては虐殺を楽しもうとする節すら伺える。

そして、

 

「やめろぉおおおおおおおおっ!!」

 

そんな叫びと共に、無数の閃光がガンダムスローネに襲い掛かった。

 

『何だっ!?』

 

咄嗟に回避したヨハンが驚愕の声と共に振り向く。

そこには、猛スピードで接近してくる赤と白の戦闘機。

 

『戦闘機!?』

 

ヨハンが声を上げると、

 

『ハッ! 唯の戦闘機でガンダムに勝てると思ってるのか!?』

 

ミハイルが強気な言葉と共に前に出ると、

 

『墜ちちまいな! ファング!!』

 

ガンダムスローネ ツヴァイがファングを射出。

向かってくる戦闘機を狙う。

戦闘機では、縦横無尽に動き回るファングに対応できず、あっさりと落とされてしまうだろう。

普通の戦闘機なら、だが。

ファングの先端からビームが放たれる。

しかしその瞬間、戦闘機がバレルロールで回避すると、閃光を発射。

ファングの2機を撃ち落す。

 

『何っ!?』

 

ミハエルが驚きの声を上げる。

更にその戦闘機から手足が生え、足となったエンジン部を前に向けることで急制動。

更に手に持った射撃兵装でさらに2機のファングを撃ち落す。

 

『手足が生えた!?』

 

今度はネーナが驚きの声を上げる。

更に残りの2機のファングがビーム刃を発生させながら突撃するが、戦闘機はその場で側転するように宙返りするとファングを躱し、そのまま人型に変形して通過したファングを狙い撃ち、撃墜した。

 

『可変MSか……!?』

 

ヨハンがそう言いながら人型となった戦闘機………

YF-29のバトロイド形態を見据える。

すると、

 

「何をやっているんだ!? お前達は!?」

 

YF-29のパイロットであるアルトが怒鳴りながら問いかける。

 

「この工場で働いているのは民間人だぞ!? それを警告も無しに攻撃しようとするなんて……!」

 

アルトの言葉に、

 

『……この工場は軍事工場だ。それだけで武力介入を行うには十分すぎる』

 

「いったい何人の犠牲が出ると思っているんだ!?」

 

『戦争根絶の為の必要な犠牲だ』

 

『そうそう! 俺達は戦争根絶っつー崇高な使命で動いてるんだ! 余所者はさっさと消えな!』

 

ヨハンに便乗してミハエルも口を出す。

 

「ッ………! シンの言った通りだな。お前達に戦争根絶の意志も、世界を平和にしたいという願いも無い! ただ、与えられた『役』を何も考えずに演じているだけの三流役者だ!!」

 

アルトはトリニティをそう評価した。

 

『何よ!? 好き勝手言ってくれちゃって!』

 

ネーナが不満そうに声を上げると、銃口をYF-29に向けると躊躇なく引き金を引いた。

 

「ッ!」

 

アルトは瞬時に回避行動を取ると、ビームガンポッドで反撃する。

 

『嘘っ!? 躱された!? きゃあっ!?』

 

ビームガンポッドの閃光に被弾し、ネーナは悲鳴を上げる。

 

『ネーナ!? この野郎!』

 

ミハエルがお返しとばかりにGNバスターソードで斬りかかってきたが、アルトは瞬時にガウォークモードに変形すると急上昇してその一撃を躱し、マイクロミサイルを無数に放った。

 

『うぉわっ!?』

 

ミサイルの直撃を受け、損傷しながら吹き飛ばされるツヴァイ。

 

『くっ………!』

 

前回に引き続き、今回もGGGを相手にすることになったヨハンは声を漏らす。

すると、レーダーが接近する機影を捉えた。

 

『ッ!? 接近する機体!? このスピードは!』

 

ヨハンが振り向くと、フラッグの特別改修機が接近してきていた。

現在は高速飛行形態だが、今までよりも航空機の形状に近くなり、機動性もかなり上がっていた。

 

「新型のガンダム! それにあの機体はっ!?」

 

フラッグの特別改修機のグラハムがガンダムだけでなくYF-29が居たことに驚きの声を上げる。

 

「まさかガンダムを止める為に来た先で、彼に再び相まみえようとはな………しかし今はっ!」

 

グラハムは標的をガンダムスローネ アインに絞る。

グラハムはリニアライフルを速射モードで連射。

ヨハンはそれを躱しつつ反撃のビームを放つが、フラッグの速度は予想以上で照準が追い付かない。

すると、フラッグが変形を開始。

本来フラッグは空中変形を想定してはいないが、過去にグラハムはそれをやってのけていた。

しかし、このフラッグ特別改修機は違う。

まだ完全ではないにしろ、戦闘中の変形を想定しているため、今までよりもスムーズな変形が可能だった。

そして、パイロットへの変形時の負担が少なくなった分、攻撃へ集中することが出来る。

 

『速いっ!?』

 

今までのフラッグよりもスムーズな変形と攻撃への移行にヨハンは不意を突かれる。

 

「このフラッグを、今までのフラッグと同じと考えてもらっては困るな!!」

 

グラハムはプラズマソードを抜いて斬りかかる。

ヨハンもビームサーベルを抜いて防ぐが、かなりギリギリだった。

 

『おのれっ……!』

 

ヨハンは咄嗟に右肩のGNランチャーをフラッグに向ける。

鍔迫り合いの状態からの射撃なら外さないと踏んでいた。

 

『貰った!』

 

その言葉と同時にGNランチャーが発射された。

だが、

 

『消えた!?』

 

ヨハンは驚愕の声を上げる。

既にそこにはグラハムのフラッグの姿は無かった。

何故なら、フラッグは側転宙返りをしながら攻撃を躱していたのだ。

 

「うぉおおおおおおおおっ!!」

 

グラハムはその状態から急加速し、もう1本のプラズマソードを抜くと、二刀流でガンダムスローネ アインのビームサーベルを挟み込むように弾くと、その手からビームサーベルが離れ、宙を舞った。

グラハムはプラズマソードを手放すと宙を舞うビームサーベルに手を伸ばし、それを掴んだ。

ガンダムスローネのビームサーベルは、GNコンデンサーが搭載されており、その手を離れてもしばらくはビームサーベルを維持できたが、今回はそれが裏目に出た。

 

「これがフラッグの力だ!」

 

グラハムはその叫びと共にガンダムスローネ アインに斬りかかる。

ヨハンも咄嗟にビームガンで迎撃しようとしたが、それよりも一瞬早くフラッグがその腕を断ち切った。

 

『ば、馬鹿な………!? くっ!』

 

ヨハンはGGGの機体どころかフラッグにすら後れを取ったことに、信じられない声を漏らす。

 

『ミハエル、ネーナ。撤退する!』

 

『兄貴!』

 

『も―サイアク!』

 

ミハエルとネーナもアルトのYF-29にかなり追い詰められており、撤退一択しかなかった。

その場を飛び去るガンダムスローネ。

すると、

 

「はぁ………はぁ………うっ!?」

 

グラハムは息を吐いた後、吐血した。

急激なGに体が耐えられなかったのだ。

 

「おい! 大丈夫か!?」

 

アルトは咄嗟にフラッグに機体を寄せる。

 

「………大丈夫だ。少し血を吐いただけだ」

 

グラハムはそう答える。

 

「………対G性能の低いこの世界の機体で、あんな無茶な機動をすればそうなるのも当然だろ」

 

アルトは、どこか呆れたような感心するような声色でそう言った。

 

「お褒めにあずかり光栄だ」

 

グラハムはそう言うと気を取り直し、

 

「我が国の国民を守ってくれた貴官に感謝する!」

 

グラハムは敬礼しながら礼を述べた。

 

「気にするな。俺達もあいつらのやり方は我慢できなかっただけだ。民間人が働いている施設に攻撃なんて、正気の沙汰じゃない」

 

アルトはそう返した。

 

「…………良ければ、貴官の名とその機体の名を教えてはくれないか?」

 

グラハムはそう問いかけた。

その言葉に、アルトは笑みを浮かべると、

 

「GGG所属、早乙女 アルト! このバルキリー………機体名はYF-29デュランダル!」

 

アルトはそう答える。

 

「早乙女 アルト………そしてデュランダル、か。バルキリーというのは機種名という事か………」

 

「ああ」

 

アルトは頷く。

すると、

 

「バルキリー………戦乙女の名を冠するとは、乙女座の私には、センチメンタリズムな運命を感じられずにはいられないな」

 

「はあ?」

 

グラハムの言葉に、アルトは訳解からんと言いたげな声を漏らした。

すると、グラハムを追ってきたハワードとダリルのフラッグが接近して来た。

 

「…………これ以上留まると、面倒な事になるかもな」

 

アルトはそう呟くと、ファイターに変形し、その場を飛び去る。

 

「………フッ。間近で見ると、更に美しい機体だな。今は遠く及ばん………だが、必ず追いついて見せるぞ、バルキリー!」

 

グラハムは飛び去って行くYF-29に手を伸ばし、掴むように拳を握りしめたのだった。

 

 

 

 






はい、ガンダム00編第8話です。
今週は休日出勤があったのでちょっと短いです。
前回に引き続きトリニティ涙目の回。
アイリス社襲撃は800人以上の民間人が死んでるので、ジェイ達も介入しない訳にはいかないかと。
そして今回はアルトとYF-29の出番。
序にグラハムさんがフラッグの特別改修機で出張ってきました。
因みにエイフマン教授が生きているため、その際に死んだハワードも地味に生きております。
つーかよく原作のグラハムさんはフラッグでガンダムスローネの片腕斬り落とせたなと見直してつくづく思う。
それだけグラハムさんがすごいのかヨハンがショボいのか………
多分両方ですね。
アルトとグラハムさんのやり取りはこんなもんで如何でしょう?
それでは次も頑張ります。
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