転生特典に量産型の機体のみという縛りがあったのでジェイアークを選んでやった件   作:友(ユウ)

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♯14 アニュー・リターン

 

 

 

 

【Side ニール】

 

 

 

 

 

衝撃的な事実を知った翌日。

俺はクリスに連れられてオービットベースの廊下を歩いていた。

メインオーダールームとかいう大部屋に辿り着くと、

 

「ロックオン! 生きてて良かったっス!」

 

クリスと同じくソレスタルビーイングの一員でプトレマイオスの操舵手だったリヒティが駆け寄ってきた。

まあ、クリスにリヒティも居ることは聞いてたから驚きは無いんだが。

 

「ああ………大体の話は聞いてる………そっちも大変だったみたいだな」

 

「まあ、こうやって生きてるだけでも運が良かったっスよ」

 

リヒティはそう言って笑った。

 

「…………さて」

 

別の男の声が聞こえ、振り返るといつか会ったことのあるジェイという男が居た。

 

「ロックオン・ストラトス………いや、ニール・ディランディと呼んだ方がいいか?」

 

「…………ニールでいい。ロックオンの名はライルが継いだようだからな」

 

「なら、ニールと呼ばせてもらおう」

 

「まずは助けてくれた礼を言わせてくれ。ありがとう」

 

俺はそう言って頭を下げる。

 

「こちらとしては気まぐれと自己満足で助けただけだが………感謝は受け取ろう」

 

ジェイがそう言ったのを確認して頭を上げる。

すると、

 

「それで、これからのニールの身の振り方だが…………ニール自身は如何したい?」

 

ジェイがそう問いかけてくる。

 

「…………正直決めかねている。俺は本来死んでいた筈だ………それが当然と思っていたし、受けるべき咎だと思っていた………だが、こうしておめおめと生き恥を晒している………」

 

「クリスからも聞いたと思うが、如何するかは個人の自由だ。俺達がどれぐらいこの世界に居られるかは分からないが、その間はゆっくりと考えると良い」

 

「……………ソレスタルビーイングの皆には、まだ俺が生きている事は伝えないでくれ。まだ、自分がどうしたいのか考えがまとまっていないからな………」

 

「それは構わない。まだ時間はある。この世界の現状を見て、それから決めればいいさ」

 

ジェイはそう言って選択肢を俺自身に託した。

 

 

 

 

 

 

 

「ふう…………」

 

俺は自分に宛がわれた部屋のベッドで横になる。

俺はこれから如何するべきか?

クリスとリヒティはGGGの一員となり、これからは彼らと行動を共にするらしい。

リヒティの身体は見た目からでは分からないが、首から下は機械化されているらしく、その為、その体のメンテナンスが出来る技術者が現状GGGのレモン・ブロウニング博士しか居ないらしく、その所為もあってリヒティはGGGに加わり、クリスはリヒティについて行くという。

 

「それにしても、リヒティとクリスがくっ付くとはね…………」

 

リヒティからクリスにアプローチを掛けてるのは何度か見かけた事はあるが、その度にクリスは袖にしていた。

まあ、何らかの心境の変化はあったんだろう。

 

「俺はどうすっかねぇ…………」

 

一度死んだも同然の身として、これからの事が決められない。

ソレスタルビーイングの皆の所へ戻る?

それとも戦いを忘れてひっそりと暮らしていく?

そのどちらも違う様な気がする。

 

「あ~も~! わっかんねぇ!」

 

思わず口に出してしまう。

ここはひとつ、ジェイの言葉通り今の世界を見て考えるようにしよう。

俺はそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

【Side Out】

 

 

 

 

 

 

ブレイクピラー事件から4ヶ月。

GGGは時折現れるゾンダーを倒しつつ世界の推移を見守っていた。

世界ではブレイクピラー事件の事からアロウズへの不信感が高まってきており、アロウズも情報統制に躍起になっている。

そしてソレスタルビーイングだが、ブレイクピラーを引き起こしたメメントモリの破壊に成功するものの、この4ヶ月で幾度もの襲撃を受け、イノベイターが何らかの方法でプトレマイオス2の位置を把握しているのではないか、という結論に至っていた。

そして再びのアロウズとの戦闘でイノベイターの1人、リヴァイヴ・リヴァイヴァルを捕虜にしたソレスタルビーイングだったが、それは敵の作戦であり、プトレマイオス2の操舵手であり、ライルの恋人だったアニュー・リターナーが突如として離反。

本人に自覚は無かったが、彼女もイノベイターであり、捕虜にした同じ遺伝子ベースから生み出されたリヴァイヴの脳量子波を受けたことで、イノベイターとしての使命に覚醒してしまったのだ。

リヴァイヴとアニューは、ダブルオーガンダムとオーライザーの強奪を目論んだが、それを先読みしていたスメラギの策により阻止。

アニューは小型艇で脱出し、リヴァイヴはオーライザーで発進するところまでは成功したが、追って来た刹那のダブルオーガンダムとライルのケルディムガンダムにより確保される。

しかし、リヴァイヴは転んでも唯では起きないとばかりにオーライザーのコクピットを破壊。

アニューの小型艇に乗り移り、現宙域を脱出した。

ライルは小型艇を撃墜しようと銃口を向けたが、引き金を引くことは出来ず、自分の覚悟の無さに嘆いた。

オーライザーのコクピットを破壊された事でダブルオーガンダムのツインドライブシステムが安定せず、修理完了まで出撃不可となってしまう刹那。

更にはアニューの仕業により、プトレマイオス2のシステムの大部分がウイルスによって破壊されてしまい、まともな運用が不可能となっていた。

そのチャンスを、イノベイターが逃すはずが無かった。

リヴァイヴと、同じくイノベイターのヒリング・ケア。

更にはアニューも引き連れてプトレマイオス2へ襲撃を掛けるイノベイター。

ヒリングの接近戦用MSガラッゾ。

リヴァイヴの砲撃戦用MSガデッサ。

アニューに与えられたMSガッデス。

そして、新型MAレグナント。

4機がプトレマイオス2へ迫った。

 

 

 

 

 

 

 

それらの様子をジェイ達はオービットベースから見ていた。

すると、そこへパイロットスーツを着たニールが覚悟を決めた表情でメインオーダールームに入ってきた。

ジェイがそんなニールを見て、

 

「迷いは晴れたか?」

 

そう問いかけた。

すると、

 

「ああ………ごちゃごちゃ考えるのは止めだ。俺は家族を………ライルを…………そして仲間達を助けたい………! 頼む! 力を貸してくれ!」

 

ニールはそう言って頭を下げる。

 

「ロックオン………」

 

そんな姿を見てリヒティが呟く。

そして、

 

「何度も言うが、俺達はこの世界の情勢に関わる気は無い」

 

「……………………」

 

「…………が、アロウズのやり方は多くの一般市民すら平気で犠牲にする明らかな独裁主義だ。そんな奴らを見て何も思わないほど、俺達も薄情じゃない」

 

ジェイはそう言うと、

 

「既にアロウズは俺達の明確な敵だ」

 

「ゾンダーと戦ってた時にも、何度も横やり入れて来たもんね」

 

ルネがここぞとばかりにそう言う。

 

「今この時より、GGGはソレスタルビーイングを全面的に支援。アロウズの打倒に協力することにする。異論のある者は?」

 

ジェイが集まっていた仲間達に問いかけるが、

 

「そんなの、無いに決まってますよ!」

 

シンが自信を持って言う。

 

「奴らのやり方は、俺だって我慢ならない!」

 

アルトが、

 

「奴らは最早軍隊等ではない。明らかな侵略者だ」

 

キョウスケもそう言う。

 

「決まりだな」

 

ジェイも頷く。

 

「総員出撃準備!」

 

「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」

 

全員に迷いは無かった。

 

 

 

 

 

 

イノベイターのMSとMAがセラヴィーガンダム、アリオスガンダム、ケルディムガンダムと交戦を開始する。

レグナントの屈折するビーム砲に連携を分断され、ライルのケルディムガンダムにアニューのガッデスが襲い掛かった。

 

『興奮しないでライル! いい男が台無しよ!』

 

「アニュー!!」

 

通信で呼び掛けられ、ガッデスのパイロットがアニューであることに気付くライル。

 

「アニューだと!?」

 

その事にティエリアが驚きの声を漏らす。

そのままGNヒートサーベルで攻め立てられるケルディムガンダム。

 

『ウッフフフフ! アッハハハハハハ! 劇的な再会よねぇ? 愛した女はイノベイターで自らの敵! 正に、命懸けの恋ってヤツだね!!』

 

ヒリングが楽しそうな声で笑いながら叫ぶ。

アニューを連れてきたのもヒリングの意向であった。

ライルは耐ビームコーティングが施されたブレードが追加されたGNビームピストルⅡでガッデスのGNヒートサーベルやGNバルカンを防ぎつつ、ガッデスと撃ち合う。

そのままライルを引き離すように戦闘空域から離れていくアニュー。

そしてそれがイノベイターの狙いでもあった。

 

『アニューが1機連れてった! あとはこちらで!』

 

ヒリングの言葉通り、戦力を分断され、ティエリアとアレルヤは窮地に追い込まれる。

ティエリアは突破口を開こうとセラヴィーガンダムのハイパーバーストを放つが、レグナントのGNフィールドはそれすらも防ぎ切った。

 

「馬鹿な!? ハイパーバーストが!?」

 

ハイパーバーストが効かなかったことに、ティエリアは驚愕する。

そんなセラヴィーガンダムに攻撃が集中。

何とかGNフィールドで防ぐものの、長くは持たない。

 

「ティエリア!」

 

アレルヤが援護に行こうと気を向けた瞬間、背後からレグナントの屈折ビーム砲が迫った。

 

「うわぁああああっ!?」

 

直前で回避したものの、左腕を吹き飛ばされる。

益々窮地に陥るティエリア達。

一方ライルはアニューと1対1で戦いを続けていた。

 

『行きなさいファング!!』

 

ガッデスが7基のGNビームサーベルファング射出したのに対し、

 

「ハロ! シールドビットアサルトモード!!」

 

ケルディムガンダムは9基のシールドビットを展開。

ファングに対抗する。

互いのファングとビットが破壊し破壊される中、ケルディムガンダムはガッデスに突撃。

GNビームピストルⅡのブレードでガッデスと鍔迫り合いの状態に入る。

 

「何故だ!? 何故俺達が戦い合わなければならない!?」

 

ライルがアニューに問いかける。

 

『それはあなたが人間で、私がイノベイターだからよっ!!』

 

アニューが叫びながら答え、ファングがケルディムガンダムの右足に突き刺さる。

だが、それと同時にライルはGNミサイルを発射。

ガッデスの左腕を破壊する。

 

「ッ………ぐっ! 分かり合ってた!!」

 

ライルは再び呼び掛ける。

 

『偽りの世界でね!』

 

アニューも即座に言い返す。

 

「嘘だというのか!? 俺の想いも………お前の気持ちも!」

 

『…………ッ』

 

ライルの言葉にアニューは僅かに辛そうに目を細める。

 

「ならよぅ!!」

 

ライルはそう叫ぶと同時にトランザムを発動。

怒涛の攻撃でガッデスを中破に追い込む。

そして、ビームピストルとシールドビットでガッデスをいつでも撃ち抜ける状態になった。

 

『…………ライル………』

 

あっという間に追い込まれたアニューは呆然とした声を漏らした。

すると、ケルディムガンダムはビームピストルを投げ捨てると、ガッデスのコクピットハッチに手を掛けた。

 

『な、何を!?』

 

ライルの行動にアニューは声を上げると、

 

「決まってんだろ! もう一度お前を………俺の女にする!!」

 

ライルはそう叫んでコクピットハッチを引き剝がした。

 

「嫌とは言わせねえ!!」

 

それは、ライルの覚悟。

例えアニューがイノベイターだろうと、アニューを愛する気持ちに変わりはないという意思表示。

 

『ライル…………』

 

むき出しになったコクピットでアニューが呆然とライルの名を呟く。

 

「欲しいもんは奪う! 例えお前が、イノベイターだとしても………」

 

『ッ…………!?』

 

その言葉にアニューは感極まり、涙を浮かべる。

ライルはケルディムガンダムの手を差し出すと、

 

「アニュー、戻ってこい………アニュー…………」

 

優しく声を掛けた。

アニューは涙を浮かべたまま顔を上げ、

 

『ライル………私…………私は……………』

 

コクピットから立ち上がると、その手に乗り移ろうと身をの出そうとして、

 

『…………………愚かな人間だ』

 

突如として口調が変わった。

 

「アニュー…………? うわっ!?」

 

ガッデスが動き出し、ケルディムガンダムを殴り飛ばすと、ヒートサーベルを薙ぎ払って囲んでいたシールドビットを切り裂く。

更に残っていたファングを射出すると、ケルディムガンダムを滅多打ちにする。

 

「アニュー!?」

 

『イノベイターは人類を導く者………そう、上位種であり、絶対者だ………人間と対等に見られるのは、我慢ならないな』

 

そう口にするアニュー。

だが、それはアニューの言葉ではない。

脳量子波によってアニューの意識を乗っ取った、リボンズの言葉だった。

 

『力の違いを、見せつけてあげるよ』

 

リボンズの操るファングは残っていたシールドビットを瞬く間に破壊し、ケルディムガンダムの武装を次々と破壊。

更には左腕も切断される。

 

「やめろ!! やめるんだアニュー!!」

 

ライルは必死にアニューに呼び掛けるが、リボンズによって意識を乗っ取られているアニューにその言葉は届かない。

ガッデスはヒートサーベルを真っすぐに突き出すと、ケルディムガンダムを貫かんと突進してくる。

 

「アニューーーーーーーッ!!!」

 

ライルは悲痛な声を上げた。

そして、

 

「狙い撃つ!!」

 

ヒートサーベルを持つガッデスの右腕が閃光に貫かれた。

 

『何っ!?』

 

アニューの意識を乗っ取っているリボンズが驚愕の声を上げた。

右腕が爆発し、突進の勢いが殺されるガッデス。

 

「ッ!? 今のは!?」

 

ライルが振り向く。

その先には、ライルの見た事のないMS、いや。

人型機動兵器が存在していた。

 

 

 

 

 

その少し前、プトレマイオス2にガンダム達を振り切ってきたヒリングとリヴァイヴのガラッゾとガデッサが迫っていた。

 

「ダブルオーは!?」

 

「まだです! もう少し時間が………!」

 

スメラギの言葉にフェルトが答える。

 

「そんな…………!」

 

絶望的な声を漏らすスメラギ。

 

『ダブルオー! いただくよ!!』

 

ヒリングが叫びながらガラッゾのビームクロ―を展開し、プトレマイオス2に襲い掛かった。

現在のプトレマイオス2は火器管制システムもダウンしているので迎撃も行えない。

そんな無防備なプトレマイオス2に、ヒリングが容赦なく襲い掛かり……………

その眼前を閃光が遮った。

 

『何っ!?』

 

咄嗟に退避するヒリングとリヴァイヴ。

 

『一体何が!?』

 

リヴァイヴが振り向きながら叫ぶと、プトレマイオスのかなり後方に、緑と白を基調とし、どこか騎士らしい風貌をした、長大なスナイパーライフルを構えた人型の機動兵器が存在していた。

 

「何………? あの機体は…………?」

 

「データには、一致する機体はありません!」

 

スメラギの言葉にフェルトは既存のデータと照合するが、一致するものは見つけられなかった。

すると、その機体はスナイパーライフルを構え直すと閃光を放ち、遠く離れたセラヴィーガンダムとアリオスガンダムを拘束していたレグナントのエグナーウィップを撃ち抜き、解放する。

 

「助けてくれた………? 味方なの?」

 

スメラギが怪訝な声を漏らす。

 

『何者よアンタ!?』

 

ヒリングが叫ぶ。

すると、

 

「……………俺が何者かって? 弟の恋路を邪魔する奴らに天誅を下しに来た単なる兄バカだよ」

 

その声に、ソレスタルビーイングのメンバーの殆どは驚愕した。

何故なら、その声の持ち主は2人しかいない。

1人は今アニューを取り戻そうとしているライル・ディランディ。

そしてもう1人は……………

 

「ま、まさか…………!?」

 

ティエリアが驚愕の表情で目を見開く。

そして、

 

「アシュセイヴァー! ニール・ディランディ! 狙い撃つぜぇ!!」

 

その名を言い放つと共にその機体、アシュセイヴァーはスナイパーライフルを構えて再び閃光を放った。

それはアシュセイヴァーを狙おうとしていたリヴァイヴのガデッサのGNメガランチャーを撃ち抜き、破壊する。

 

『くっ………!?』

 

リヴァイヴが悔しそうな声を漏らす。

 

「「「「「ロックオン!?」」」」」

 

ティエリアやアレルヤ、プトレマイオスクルー達が驚愕の声を上げる。

すると、アシュセイヴァーはプトレマイオス2の前に護る様に立ちはだかると、

 

「よう、久しぶりだな皆。あまりにも見てらんなくて、地獄から舞い戻ってきちまったぜ」

 

通信モニターに映ったのは紛れもなくロックオン……ニール・ディランディの顔だった。

 

「ロ、ロックオン…………?」

 

スメラギが衝撃の余り呆然となる。

 

「本当に………ロックオンなの………?」

 

「ははっ。信じられないのも無理ねえか………けど、紛れもなく俺さ。それと、地獄から舞い戻って来たのは俺だけじゃないぜ?」

 

「えっ?」

 

ニールの言葉にスメラギがポカンとした声を漏らすと、

 

「トレミーの後方から接近する物体を確認したです。戦艦クラスです!」

 

レーダーを見ていたミレイナが叫んだ。

それは、金色の戦艦マクロス・ブレイバー。

そして、

 

「皆お待たせっス! 援軍到着っスよ!」

 

聞こえて来た男の声にさらに驚愕するプトレマイオスクルー。

 

「リヒティ!?」

 

ラッセが驚愕の声を上げる。

更に、

 

「マクロス・ブレイバーはこれよりマクロスキャノンを発射します。ガンダムは直ちに射線軸上から退避してください」

 

送られてきたデータと共に聞こえた声に、

 

「クリスティナ…………シエラ……………?」

 

フェルトが震える声で呟いた。

その直後にセラヴィーガンダムとアリオスガンダムが、マクロス・ブレイバーとレグナントの射線軸上から退避すると、マクロス・ブレイバーの右舷艦首が展開。

マクロス・キャノンが放たれ、レグナントに直撃する。

レグナントはGNフィールドで防ごうとしたが、この世界の兵器とは比較にならぬ威力を持つマクロスキャノンは、その程度で防ぐことは出来ず、レグナントは捻じ曲げられながら爆散した。

 

『なっ!?』

 

ヒリングが驚愕の声を漏らすと、

 

「てめえらはさっさと帰りな! 行け! ソードブレイカー!!」

 

ニールが叫ぶとアシュセイヴァーの両肩に装備されている6基の自律砲台を射出。

それらは中性粒子ビーム発射装置とスラスターが備え付けられており、パイロットが指定した目標を追尾、射撃するほか、先端部を閉じれば打突攻撃も可能で、更にはビーム刃を展開することも可能な武装である。

ファングやビットを超える動きと射撃武装を持つその武器に、ヒリングとリヴァイヴは翻弄され、打突攻撃によって機体を破壊される。

機体を破壊された2人は脱出装置で脱出した。

ニールはそれを一瞥すると、直ぐに別方向に向き直る。

その視線の先では、アニューの乗るガッデスが、ライルのケルディムガンダムに止めを刺そうとする瞬間だった。

しかし、

 

「狙い撃つ!!」

 

ニールが即座に放った一撃が、ガッデスの右腕を貫き破壊する。

 

「ッ!? 今のは!?」

 

ライルがアシュセイヴァーに気付く。

するとニールはケルディムガンダムに近付きつつスナイパーライフルを放ちガッデスの武装を全て破壊すると、

 

「ライル! その子が大事なら絶対に離すんじゃないぞ!」

 

そう呼びかけた。

 

「その声…………兄さん!?」

 

驚愕の声を上げるライル。

アシュセイヴァーがケルディムガンダムの前に辿り着くと、

 

「兄さん! 死んだんじゃ………!?」

 

「話は後だ! お前はその子を助ける事だけを考えろ! ランカ! 頼むぜ!」

 

ニールが叫ぶと、マクロス・ブレイバーの左舷艦首のカタパルトデッキ横にフォールド・サウンド・ステージが現れ、その中にランカが居た。

 

『…………リラメル ララメル ラン ルラ ラン…………リラメル ララメル ラン ルラ ラン………リラメル ララメル ラン ルラ ラン………! リラメル ララメル ラン ルラ ラン!』

 

軽快でメルヘンチックな音楽が流れ出す。

 

『長いあいだ空は どこかさみしかった♪』

 

「歌…………?」

 

ライルが不思議そうに呟く。

 

『君と手を繋いで 笑いあったときも♪』

 

「ッ………!? この歌が何だというのだ………!?」

 

アニュー、いや、リボンズが忌々しそうに呟く。

だが、ランカは構わずに歌い続ける。

 

『僕らは何を恐れ 何を隠してたの 胸のカギ 今よ 開けクマ♪ 「オープン・ランカ!」』

 

『…………ッ!?』

 

その瞬間、リボンズの意識に一瞬ノイズが走ったような感覚がした。

 

『街に花が満ちて 石ころはお菓子になる♪』

 

『………何だ?』

 

リボンズは怪訝に思うがそれ以降変化は無い。

 

『君の涙拭う ハンカチは小鳥になる 迷子の恋は 虹を渡って 君に届く きっと届く♪』

 

 

 

『気のせいか………』

 

リボンズはその感覚は気のせいと切って捨てた。

 

『乙女心 勇気出して♪』

 

それが、己の首を絞めるとも知らずに。

 

『生きてるってココロ 捻じれてしまうね 辞書では計る 未来の 重さはレンガ色♪』

 

『……………いつまでこんな無意味な歌を聞かせるつもりだい?』

 

リボンズは見下したようにそう口にする。

だが、

 

『頑張って生きなきゃ あたし 探し物はきっとこの胸に♪』

 

「お前は人間を甘く見過ぎだな」

 

ニールは不敵に笑った。

 

『何?』

 

リボンズが怪訝な声を漏らした瞬間、

 

『今よ 開けクマ♪ 「オープン・ランカ!」』

 

(…………ライル)

 

リボンズの脳裏に声が響いた。

 

『ッ!? 何っ!?』

 

リボンズは驚愕したが、もう遅い。

 

『制服はドレスに カバンには海がひとつ 砂漠にぶちまけて イルカと森で遊ぼう♪』

 

(ライル………ライル………!)

 

リボンズの脳裏に響く声はどんどん大きくなっている。

 

『アニュー・リターナー!? 何故だ!? お前の意識は完全に僕が支配したはず……!』

 

『歩くリズムで 夢は叶うよ 乙女心 勇気出して♪』

 

『僕の脳量子波に干渉してくるこれは!? 奴も脳量子波を!? いや、違う! 何だこれは!?』

 

リボンズは未知の力に狼狽える。

これは、ランカの歌が発するフォールド・ウェーブがリボンズの脳量子波に影響を与えていたのだ。

 

『ピアノは空を飛び 星屑は音符になる♪』

 

(ライル!)

 

『くっ! 黙れアニュー・リターナー! 君はイノベイターだ! 上位存在なんだぞ!? それが唯の人間如きに………!』

 

『魔物達は歌い 絵本の中で踊るよ♪』

 

「ライル! 彼女に呼び掛けろ!」

 

ニールがライルに叫ぶ。

 

「えっ?」

 

『愛の軌跡は 虹を渡って 君に届く きっと届く 乙女心 勇気出して♪』

 

「彼女を目覚めさせる最後のカギはお前の声だ! ランカの歌は、その切っ掛けを作り出しているに過ぎない!」

 

「兄さん…………」

 

「行け! お前の気持ちを彼女にぶつけるんだ!」

 

ニールの言葉に、

 

「…………わかった。ありがとう兄さん」

 

ライルはボロボロのケルディムガンダムを動かすと、

 

「アニューーーーーッ!! 戻ってこい! 戻ってくるんだアニューーーーッ!!」

 

アニューに向かって叫んだ。

 

『「オープン・ランカ!」』

 

(ライル! 私は………私はここにいる………!)

 

『黙れアニュー・リターナー! 君は僕の操り人形に過ぎない……!』

 

『唇にはシンフォニー♪』

 

(ッ………私は………私は………!)

 

『操り糸が切れた人形は、廃棄処分されるだけだよ』

 

その言葉にリボンズの中のアニューが動揺し、意志が弱まる。

 

『めぐる銀河 ハーモニー♪』

 

「それは違う!」

 

だが、いつの間にか出撃していたヴァイサーガからラミアが叫んだ。

 

「糸が切られた人形は捨てられるだけだ。だが、自ら糸を断ち切った人形には、人間になる可能性が与えられる!」

 

『愛の軌跡は 虹を渡って♪』

 

(ッ! 私はっ!)

 

ラミアの言葉により、気力を取り戻すアニュー。

 

「アニュー!!」

 

(ライル!!)

 

『君に届く きっと届く♪』

 

『ぐっ!? アニュー・リターナー!』

 

リボンズが余裕のない声を漏らした。

 

『乙女心 勇気出して♪』

 

「アニューーーーーーッ!!!」

 

ライルはケルディムガンダムのコクピットハッチを開けて、身を乗り出しながら叫んだ。

そして、

 

『オトメゴコロ 勇気出して♪』

 

「ッ…………! ライル!!!」

 

リボンズの呪縛を断ち切ったアニューがガッデスのコクピットから飛び出し、ライルへ手を伸ばしながら向かう。

 

「アニュー!!」

 

ライルもケルディムガンダムのコクピットから飛び出し、アニューに手を伸ばす。

そのまま宇宙空間で抱き合う2人。

 

「アニュー!」

 

「ライル……! ごめんなさい……! 私……私………!」

 

ライルがしっかりとアニューを抱きしめ、アニューは涙を浮かべながら謝ろうとする。

 

「いいんだ……! もういいんだアニュー………!」

 

何も言うなと言わんばかりにライルは強くアニューを抱きしめる。

そんな2人をニールは優しく見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ニールの機体

 

 

 

 

アシュセイヴァー狙撃戦仕様

 

 

アシュセイヴァー指揮官機を元に、ニールに合わせて狙撃用に調整した機体。

ガンレイピアの代わりに中性粒子ビームを発射するスナイパーライフルを装備している。

ニールの意向でガンダムデュナメスやケルディムガンダムと同じく狙撃用のライフル型コントローラーが設置された。

カラーリングはアシュセイヴァー指揮官機の青い部分がデュナメスと同じ緑になっている。

 

 

 

 

 







はい、ガンダム00編第14話です。
もうちょっと引っ張ろうかと思ったけど、あんまり引き延ばすことが出来なかったので、ちょっと早いかと思われるかもしれませんが、ニール、リヒティ、クリスの生存バレです。
ニールの機体は狙撃用にしたアシュセイヴァーでした。
アシュセイヴァーはスパロボOG編の終わりにギャンランドからパクってました。
そして相変わらずのマクロスの歌万能説よ。
原作のライルとアニューの悲恋は納得いかなかったのでね、お兄ちゃんに頑張ってもらいました。
ニールなら刹那と違ってコクピット外すことは簡単でしょう………多分。
因みにレグナントにはモブイノベイターが乗っていたって事で。
ルイスが居なければレグナントが開発されない?
アロウズの新型を開発するための資金がイノベイター側に流れたって事でどうか1つ………
次回は再会編です。
そして今年最後の更新です。
それではよいお年を。




フェルトのお相手は?

  • ロックオン(ニール)
  • 刹那
  • 無し(原作通り)
  • ジェイ(爆)
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